JP2006227430A - 無機配向膜形成装置、無機配向膜の形成方法、無機配向膜、電子デバイス用基板、液晶パネルおよび電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の無機配向膜形成装置は、チャンバ内において、成膜用のターゲットを用いて、気相成膜法により無機配向膜を製造するのに用いられるものであって、チャンバの内壁面の少なくとも一部が、ターゲットの構成材料と同一の材料で構成されていることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
このような液晶パネルは、通常、液晶分子を一定方向に配向させるため、所定のプレチルト角が発現するように設定された配向膜を有している。これらの配向膜を製造するには、基材上に成膜されたポリイミド等の高分子化合物からなる薄膜を、レーヨン等の布で一方向に擦るラビング処理する方法等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような問題を解決する目的で、無機材料で構成された配向膜(無機配向膜)を採用する試みがある。無機配向膜は、一般に、無機材料(無機配向膜形成用材料)をターゲットとして用いる気相成膜法により形成されるが、従来の方法では、以下のような問題があった。
上記のような問題を解決する目的で、例えば、表面にアルミを溶射した防着板をチャンバの内壁面に取り付けることが行われてきた。このような構成では、防着板を取り外すことにより、防着板に付着した汚れをチャンバ内から取り除くことができ、チャンバ内の異物を除去する作業を簡易化できるという利点がある。
そこで、マスクを使用した溶射により、防着板の表面に、所定の表面形状のAl層を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。このような技術を採用することにより、温度変化等による付着物の剥離等は、抑制されるもの依然として、上記のような問題を十分に解決するには至っていない。
本発明の無機配向膜形成装置は、チャンバ内において、成膜用のターゲットを用いて、気相成膜法により無機配向膜を製造するのに用いられる無機配向膜形成装置であって、
前記チャンバの内壁面の少なくとも一部が、前記ターゲットの構成材料と同一の材料で構成されていることを特徴とする。
これにより、形成すべき無機配向膜の品質の低下を、確実に防止することができる無機配向膜成形装置を提供することができる。
イオンビームを用いたスパッタ法では、一般に、電子ビーム蒸着法などと比較して、チャンバ壁面へのダスト付着量が少ないという利点が得られるが、パネル特性を考慮した場合には、発生するダスト量は過多であり、それに伴う弊害も生じ易い。本発明では、このようなイオンビームスパッタ法を適用した場合であっても、上記のような問題の発生を十分に防止しつつ、イオンビーム法を適用することによる利点を享受することができる。その結果、優れた特性の無機配向膜をより確実に形成することができる。
これにより、チャンバの内壁面に付着した付着物が剥落すること等を、より確実に防止することができるとともに、無機配向膜の配向特性を特に優れたものとすることができる。
本発明の無機配向膜の形成方法は、本発明の装置を用いることを特徴とする。
これにより、形成すべき無機配向膜の品質の低下を、確実に防止することができる無機配向膜の成形方法を提供することができる。
前記基材上に、主として無機材料で構成された柱状の結晶が、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の面方向に対して、傾斜した状態で配向した前記無機配向膜を形成することが好ましい。
これにより、プレチルト角をより確実に制御することができ、無機配向膜の配向特性(液晶材料の配向状態を規制する機能)を特に優れたものとすることができる。
これにより、無機配向膜を構成する柱状結晶の頂部付近の形状を、液晶材料がより安定して配向することが可能な形状とすることができ、その結果、無機配向膜の配向特性をさらに優れたものとすることができる。
これにより、無機配向膜を構成する柱状結晶の頂部付近の形状を、液晶材料がより安定して配向することが可能な形状とすることができ、その結果、無機配向膜の配向特性をさらに優れたものとすることができる。
これにより、適度なプレチルト角を発現させることができ、液晶材料の配向状態をより好適に規制することができる。
本発明の無機配向膜は、本発明の装置を用いて形成されたことを特徴とする。
これにより、配向特性(液晶材料の配向状態を規制する機能)に優れ、かつ、耐光性に優れた無機配向膜を提供することができる。
これにより、配向特性(液晶材料の配向状態を規制する機能)に優れ、かつ、耐光性に優れた無機配向膜を提供することができる。
本発明の無機配向膜では、無機配向膜の平均厚さは、0.02〜0.3μmであることが好ましい。
これにより、より適度なプレチルト角を発現させることができ、液晶材料の配向状態をより好適に規制することができる。
本発明の無機配向膜とを備えることを特徴とする。
これにより、配向特性(液晶材料の配向状態を規制する機能)に優れ、かつ、耐光性に優れた電子デバイス用基板を提供することができる。
本発明の液晶パネルは、本発明の無機配向膜と、液晶層とを備えたことを特徴とする。
これにより、配向特性(液晶材料の配向状態を規制する機能)に優れ、かつ、耐光性に優れた液晶パネルを提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の液晶パネルを備えたことを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器を提供することができる。
まず、無機配向膜形成装置、無機配向膜の形成方法の説明に先立ち、本発明の液晶パネルについて説明する。
図1は、本発明の液晶パネルの第1実施形態を示す模式的な縦断面図、図2は、本発明の方法により形成された無機配向膜を示す縦断面図である。
図1に示すように、液晶パネル1Aは、液晶層2と、無機配向膜3A、4Aと、透明導電膜5、6と、偏光膜7A、8Aと、基板9、10とを有している。
液晶層2を構成する液晶材料としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶など配向し得るものであればいかなる液晶材料を用いても構わないが、TN型液晶パネルの場合、ネマチック液晶を形成させるものが好ましく、例えば、フェニルシクロヘキサン誘導体液晶、ビフェニル誘導体液晶、ビフェニルシクロヘキサン誘導体液晶、テルフェニル誘導体液晶、フェニルエーテル誘導体液晶、フェニルエステル誘導体液晶、ビシクロヘキサン誘導体液晶、アゾメチン誘導体液晶、アゾキシ誘導体液晶、ピリミジン誘導体液晶、ジオキサン誘導体液晶、キュバン誘導体液晶等が挙げられる。さらに、これらネマチック液晶分子にモノフルオロ基、ジフルオロ基、トリフルオロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基などのフッ素系置換基を導入した液晶分子も含まれる。
液晶層2の両面には、無機配向膜3A、4Aが配置されている。
また、無機配向膜3Aは、後述するような透明導電膜5と基板9とからなる基材100上に形成されており、無機配向膜4Aは、後述するような透明導電膜6と基板10とからなる基材101上に形成されている。
無機配向膜3A、4Aは、液晶層2を構成する液晶材料(液晶分子)の(電圧無印加時における)配向状態を規制する機能を有している。
また、このような柱状の結晶の幅Wは、10〜40nmであるのが好ましく、10〜20nmであるのがより好ましい。これにより、より適度なプレチルト角を発現させることができ、液晶分子の配向状態をより好適に規制することができる。
また、無機配向膜3A、4Aを構成する無機材料は、図2に示すように、柱状に結晶化し得るものであるのが好ましい。これにより、液晶層2を構成する液晶分子の(電圧無印加時における)配向状態(プレチルト角)をより容易に規制することができる。
透明導電膜5、6は、これらの間で通電を行うことにより、液晶層2の液晶分子を駆動する(配向を変化させる)機能を有する。
透明導電膜5、6は、導電性を有しており、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、酸化スズ(SnO2)等で構成されている。
透明導電膜5の外表面側(無機配向膜3Aと対向する面とは反対側の面側)には、基板9が配置されている。同様に、透明導電膜6の外表面側(無機配向膜4Aと対向する面とは反対側の面側)には、基板10が配置されている。
基板9の外表面側(透明導電膜5と対向する面とは反対側の面側)には、偏光膜(偏光板、偏光フィルム)7Aが配置されている。同様に、基板10の外表面側(透明導電膜6と対向する面とは反対側の面側)には、偏光膜(偏光板、偏光フィルム)8Aが配置されている。
偏光膜としては、例えば、上記材料で構成された膜を一軸方向に延伸したものを用いることができる。
偏光膜7A、8Aの偏光軸の方向は、通常、無機配向膜3A、4Aの配向方向に応じて決定される。
なお、本実施形態では、無機配向膜として、図2に示すような構成のものについて説明したが、これに限定されず、液晶分子が安定して配向するような形状であれば、いずれの形状であってもよい。
図3は、無機配向膜の形成方法に用いる本発明の無機配向膜形成装置の模式図である。
まず、無機配向膜形成装置について説明する。
図3に示す無機配向膜形成装置S100は、イオンビームを照射するイオン源(イオンビーム源)S1と、真空チャンバS3と、真空チャンバS3内の圧力を制御する排気ポンプS4と、無機配向膜が形成されるべき基材を真空チャンバS3内に固定する基材ホルダーS5と、ターゲット500を保持するターゲット保持部材(バッキングプレート)S6とを有している。
また、ターゲット保持部材S6は、通常、ステンレス鋼、銅、銅合金等の熱伝導性に優れる金属材料で構成されている。無機配向膜の形成時には、ターゲット500は、In等のボンディング剤を介して、ターゲット保持部材S6に固定される。
<1>まず、真空チャンバS3内のターゲット保持部材S6にターゲット500を設置する。ターゲット500を構成する材料は、無機配向膜3Aを形成する材料によって適宜選択され、例えば、SiO2で構成された無機配向膜を形成する場合には、ターゲット500として、SiO2で構成されたものを好適に用いることができ、また、SiOで構成された無機配向膜を形成する場合には、ターゲット500として、SiOで構成されたものを好適に用いることができる。
<3>次に、排気ポンプS4により、真空チャンバS3内を減圧する。
<4>次に、イオン源S1内に、ガス供給源S13よりガスを供給する。
<5>次に、フィラメントに電源(図示せず)より、電圧を印加し、熱電子を発生させる。このようにして発生した熱電子は、イオン源S1内に導入されたガスと衝突する。これにより、ガスがイオン化し、プラズマが発生する。このような状態で、引き出し電極S12にイオン加速電圧を印加することにより、イオンを加速し、イオンビームとして、ターゲット500に照射させる。
そして、上記のようなイオンビームの照射を続けることにより、スパッタ粒子の基材100上への入射、堆積が進行し、基材100上に無機配向膜3Aが形成された基板(本発明の電子デバイス用基板(電子デバイス用基板200))が得られる。
(1)引き出し電極S12に印加するイオンビームの加速電圧が、1200V以上である。
(2)照射されるイオンビームのイオンビーム電流が、50〜500mAである。
特に、前記条件(1)および(2)を同時に満足することにより、前述の効果がより顕著なものとなる。
イオンビーム電流は、上述したように50〜500mAであるのが好ましいが、200〜500mAであるのがより好ましい。イオンビーム電流が前記下限値未満であると、スパッタレートが低下し、十分な生産性が得られない場合がある。一方、イオンビーム電流が前記上限値を超えると、液晶分子の配向性にばらつきが生じる傾向がある。
無機配向膜3Aを形成する際の基材100の温度は、比較的低いのが好ましい。具体的には、基材100の温度は、150℃以下とするのが好ましく、80℃以下とするのがより好ましく、20〜50℃とするのがさらに好ましい。これにより、基材100に付着したスパッタ粒子が最初に付着した位置から移動する現象、すなわちマイグレーションという現象を抑制し、液晶分子がより安定して配向可能な無機配向膜3Aを形成することができる。なお、無機配向膜3Aを形成する際の基材100の温度が、上記範囲のものとなるように、必要に応じて冷却してもよい。
以上、無機配向膜3Aを形成する場合について説明したが、無機配向膜4Aについても同様に形成することができる。
図4は、本発明の液晶パネルの第2実施形態を示す模式的な縦断面図である。以下、図4に示す液晶パネル1Bについて、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図4に示すように、液晶パネル(TFT液晶パネル)1Bは、TFT基板(液晶駆動基板)17と、TFT基板17に接合された無機配向膜3Bと、液晶パネル用対向基板12と、液晶パネル用対向基板12に接合された無機配向膜4Bと、無機配向膜3Bと無機配向膜4Bとの空隙に封入された液晶よりなる液晶層2と、TFT基板(液晶駆動基板)17の外表面側(無機配向膜4Bと対向する面とは反対側の面側)に接合された偏光膜7Bと、液晶パネル用対向基板12の外表面側(無機配向膜4Bと対向する面とは反対側の面側)に接合された偏光膜8Bとを有している。無機配向膜3B、4Bは、前記第1実施形態で説明した無機配向膜3A、4Aと同様の方法(本発明の無機配向膜の形成方法)で形成されたものであり、偏光膜7B、8Bは、前記第1実施形態で説明した偏光膜7A、8Aと同様なものである。
液晶パネル用対向基板12は、マイクロレンズ基板11と、かかるマイクロレンズ基板11の表層114上に設けられ、開口131が形成されたブラックマトリックス13と、表層114上にブラックマトリックス13を覆うように設けられた透明導電膜(共通電極)14とを有している。
このマイクロレンズ用凹部付き基板111は、例えば、ガラス等で構成されている。
かかる観点からは、マイクロレンズ用凹部付き基板111と、ガラス基板171とは、同種類の材質で構成されていることが好ましい。これにより、温度変化時の熱膨張係数の相違によるそり、たわみ、剥離等が効果的に防止される。
凹部112内には、樹脂層115の構成材料が充填されることにより、マイクロレンズ113が形成されている。
樹脂層115は、例えば、マイクロレンズ用凹部付き基板111の構成材料の屈折率よりも高い屈折率の樹脂(接着剤)で構成することができ、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリルエポキシ系のような紫外線硬化樹脂等で好適に構成することができる。
表層(ガラス層)114は、例えばガラスで構成することができる。この場合、表層114の熱膨張係数は、マイクロレンズ用凹部付き基板111の熱膨張係数とほぼ等しいもの(例えば両者の熱膨張係数の比が1/10〜10程度)とすることが好ましい。これにより、マイクロレンズ用凹部付き基板111と表層114の熱膨張係数の相違により生じるそり、たわみ、剥離等が防止される。このような効果は、マイクロレンズ用凹部付き基板111と表層114とを同種類の材料で構成すると、より効果的に得られる。
なお、表層(バリア層)114は、例えばセラミックスで構成することもできる。なお、セラミックスとしては、例えば、AlN、SiN、TiN、BN等の窒化物系セラミックス、Al2O3、TiO2等の酸化物系セラミックス、WC、TiC、ZrC、TaC等の炭化物系セラミックスなどが挙げられる。表層114をセラミックスで構成する場合、表層114の厚さは、特に限定されないが、20nm〜20μm程度とすることが好ましく、40nm〜1μm程度とすることがより好ましい。
なお、このような表層114は、必要に応じて省略することができる。
透明導電膜14は、導電性を有し、例えば、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、酸化スズ(SnO2)等で構成されている。
TFT基板17は、液晶層2の液晶を駆動する基板であり、ガラス基板171と、かかるガラス基板171上に設けられ、マトリックス状(行列状)に配設された複数(多数)の画素電極172と、各画素電極172に対応する複数(多数)の薄膜トランジスタ(TFT)173とを有している。なお、図4では、シール材、配線等の記載は省略した。
画素電極172は、透明導電膜(共通電極)14との間で充放電を行うことにより、液晶層2の液晶を駆動する。この画素電極172は、例えば、前述した透明導電膜14と同様の材料で構成されている。
無機配向膜3Bは、TFT基板17の画素電極172と接合しており、無機配向膜4Bは、液晶パネル用対向基板12の透明導電膜14と接合している。
このような液晶パネル1Bでは、通常、1個のマイクロレンズ113と、かかるマイクロレンズ113の光軸Qに対応したブラックマトリックス13の1個の開口131と、1個の画素電極172と、かかる画素電極172に接続された1個の薄膜トランジスタ173とが、1画素に対応している。
また、上述したような無機配向膜を備える液晶パネルは、光源の強いものや、屋外で用いられるものに好適に用いることができる。
図5は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100においては、表示ユニット1106が、前述の液晶パネル1Aと、図示しないバックライトとを備えている。バックライトからの光を液晶パネル1Aに透過させることにより画像(情報)を表示し得るものである。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、前述の液晶パネル1Aと、図示しないバックライトとを備えている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
撮影者が液晶パネル1Aに表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
図8は、本発明の電子機器(投射型表示装置)の光学系を模式的に示す図である。
同図に示すように、投射型表示装置300は、光源301と、複数のインテグレータレンズを備えた照明光学系と、複数のダイクロイックミラー等を備えた色分離光学系(導光光学系)と、赤色に対応した(赤色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)24と、緑色に対応した(緑色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)25と、青色に対応した(青色用の)液晶ライトバルブ(液晶光シャッターアレイ)26と、赤色光のみを反射するダイクロイックミラー面211および青色光のみを反射するダイクロイックミラー面212が形成されたダイクロイックプリズム(色合成光学系)21と、投射レンズ(投射光学系)22とを有している。
なお、投射型表示装置300では、ダイクロイックプリズム21と投射レンズ22とで、光学ブロック20が構成されている。また、この光学ブロック20と、ダイクロイックプリズム21に対して固定的に設置された液晶ライトバルブ24、25および26とで、表示ユニット23が構成されている。
光源301から出射された白色光(白色光束)は、インテグレータレンズ302および303を透過する。この白色光の光強度(輝度分布)は、インテグレータレンズ302および303により均一にされる。光源301から出射される白色光は、その光強度が比較的大きいものであるのが好ましい。これにより、スクリーン320上に形成される画像をより鮮明なものとすることができる。また、投射型表示装置300では、耐光性に優れた液晶パネル1Bを用いているため、光源301から出射される光の強度が大きい場合であっても、優れた長期安定性が得られる。
ダイクロイックミラー305を透過した赤色光は、ミラー306で図8中下側に反射し、その反射光は、集光レンズ310により整形され、赤色用の液晶ライトバルブ24に入射する。
ダイクロイックミラー307で反射した緑色光は、集光レンズ311により整形され、緑色用の液晶ライトバルブ25に入射する。
このように、光源301から出射された白色光は、色分離光学系により、赤色、緑色および青色の三原色に色分離され、それぞれ、対応する液晶ライトバルブに導かれ、入射する。
同様に、緑色光および青色光は、それぞれ、液晶ライトバルブ25および26に入射し、それぞれの液晶パネル1Bで変調され、これにより緑色用の画像および青色用の画像が形成される。この際、液晶ライトバルブ25が有する液晶パネル1Bの各画素は、緑色用の画像信号に基づいて作動する駆動回路によりスイッチング制御され、液晶ライトバルブ26が有する液晶パネル1Bの各画素は、青色用の画像信号に基づいて作動する駆動回路によりスイッチング制御される。
前記液晶ライトバルブ24により形成された赤色用の画像、すなわち液晶ライトバルブ24からの赤色光は、面213からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面211で図8中左側に反射し、ダイクロイックミラー面212を透過して、出射面216から出射する。
また、前記液晶ライトバルブ26により形成された青色用の画像、すなわち液晶ライトバルブ26からの青色光は、面215からダイクロイックプリズム21に入射し、ダイクロイックミラー面212で図8中左側に反射し、ダイクロイックミラー面211を透過して、出射面216から出射する。
以上、本発明を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
また、前述した実施形態では、イオンビームを用いたスパッタ法に適用されるものとして説明したが、本発明は、他の気相成膜法(他のスパッタ法やイオンプレーティング法等)に適用されるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、投射型表示装置(電子機器)は、3個の液晶パネルを有するものであり、これらの全てに本発明の液晶パネルを適用したものについて説明したが、少なくともこれらのうち1個が、本発明の液晶パネルであればよい。この場合、少なくとも、青色用の液晶ライトバルブに用いられる液晶パネルに本発明を適用するのが好ましい。
[無機配向膜形成装置の製造]
まず、図3に示すような無機配向膜形成装置を製造した。
真空チャンバS3は、チャンバ本体S30の内表面全体に、SiO2製の板状部材S31が配されたものとした。板状部材S31の厚さは、1mmであった。また、チャンバ本体の内表面は、SiO2で構成されたものとした。
また、ターゲット保持部材S6は、銅で構成された基部と、SiO2で構成された表面層とを有するものを用いた。表面層の厚さは、1.5mmであった。
また、基材ホルダーS5は、銅で構成された基部と、SiO2で構成された表面層とを有するものを用いた。表面層の厚さは、1.5mmであった。
上記のような無機配向膜形成装置を用いて、以下のようにして、図4に示すような液晶パネルを製造した。
まず、以下のようにして、マイクロレンズ基板を製造した。
厚さ約1.2mmの未加工の石英ガラス基板(透明基板)を母材として用意し、これを85℃の洗浄液(硫酸と過酸化水素水との混合液)に浸漬して洗浄を行い、その表面を清浄化した。
次に、形成した多結晶シリコン膜に、形成する凹部に対応した開口を形成した。
これは、次のようにして行った。まず、多結晶シリコン膜上に、形成する凹部のパターンを有するレジスト層を形成した。次に、多結晶シリコン膜に対してCFガスによるドライエッチングを行い、開口を形成した。次に、前記レジスト層を除去した。
その後、石英ガラス基板を、15wt%テトラメチル水酸化アンモニウム水溶液に5分間浸漬して、表面および裏面に形成した多結晶シリコン膜を除去することにより、マイクロレンズ用凹部付き基板を得た。
その後、カバーガラスを厚さ50μmに研削、研磨して、マイクロレンズ基板を得た。
なお、得られたマイクロレンズ基板では、樹脂層の厚みは12μmであった。
このようにして得られた液晶パネル用対向基板の透明導電膜上に無機配向膜を上述したような無機配向膜形成装置を用い、以下のようにして形成した。
次に、真空チャンバS3内の基材ホルダーS5に、液晶パネル用対向基板を設置し、排気ポンプS4により、真空チャンバS3内を5.0×10-4Paまで減圧した。
次に、イオン源S1内に、ガス供給源S13よりアルゴンガスを供給し、フィラメントに、電圧を印加し、プラズマを発生させ、引き出し電極S12に1500Vのイオン加速電圧を印加して、イオンを加速し、イオンビームとして、ターゲット500に照射した。なお、照射されたイオンビームのイオンビーム電流は、250mAであった。
上記のようにして形成された無機配向膜を構成する柱状の結晶の液晶パネル用対向基板に対する傾斜角θcは、45°で、柱状の結晶の幅は、25nmであった。
無機配向膜が形成された液晶パネル用対向基板と、無機配向膜が形成されたTFT基板とを、シール材を介して接合した。この接合は、液晶層を構成する液晶分子が左ツイストするように無機配向膜の配向方向が90°ずれるように行った。
次に、無機配向膜−無機配向膜間に形成された空隙部の封入孔から液晶(メルク社製:MJ99247)を空隙部内に注入し、次いで、かかる封入孔を塞いだ。形成された液晶層の厚さは、約3μmであった。
なお、製造された液晶パネルのプレチルト角は、3〜7°の範囲のものであった。
無機配向膜形成装置の構成、および、無機配向膜を形成する際の各条件を表1に示すようにして、SiO2で構成された無機配向膜を形成した以外は、前記実施例1と同様にして液晶パネルを製造した。
(実施例7〜10)
ターゲット500として、SiOを用い、無機配向膜形成装置の構成、および、無機配向膜を形成する際の各条件を表1に示すようにして、SiOで構成された無機配向膜を形成した以外は、前記実施例1と同様にして液晶パネルを製造した。
図3に示すような装置を用いずに、ポリイミド系樹脂(PI)の溶液(日本合成ゴム株式会社製:AL6256)を用意し、スピンコート法により、液晶パネル用対向基板の透明導電膜上に平均厚さ0.05μmの膜を形成し、プレチルト角が2〜3°となるように、ラビング処理を施して、配向膜とした以外は、前記実施例1と同様にして液晶パネルを製造した。なお、比較例1では、ラビング処理する際に、埃のようなものが発生した。
SiO2製の板状部材S31の代わりに、ステンレス製の基板上に、アルミニウムの溶射膜(厚さ:50μm)が被覆された板材を用い、ターゲット保持部材S6、基材ホルダーS5として、SiO2で構成された表面層を有さない、銅製の部材を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶パネルを製造した。
SiO2製の板状部材S31を用いず、真空チャンバS3をチャンバ本体のみで構成されたものとし、ターゲット保持部材S6、基材ホルダーS5として、SiO2で構成された表面層を有さない、銅製の部材を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液晶パネルを製造した。
(比較例4)
ターゲット500より発生したスパッタ粒子を、傾斜させずに液晶パネル用対向基板に入射させた以外は、前記比較例2と同様にして液晶パネルを製造した。
上記各実施例および比較例2〜4について、それぞれ、上述したのと同様の方法で、無機配向膜の形成を繰り返し行い、100枚の液晶パネルを製造した。
100枚の液晶パネルを製造した後の、真空チャンバ内の状態(清浄状態)を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:チャンバ内の床上に、粉塵、ダスト状の異物等が一切認められなかった。
○:チャンバ内の床上に、粉塵、ダスト状の異物等がほとんど認められなかった。
△:チャンバ内の床上に、粉塵、ダスト状の異物等がわずかに認められた。
×:チャンバ内の床上に、粉塵、ダスト状の異物等が顕著に認められた。
◎:異物の付着が一切認められなかった。
○:異物の付着がほとんど認められなかった。
△:異物の付着がわずかに認められた。
×:異物の付着が顕著に認められた。
上記各実施例および各比較例で製造した液晶パネル(1枚目に製造された液晶パネル)について、光透過率を連続的に測定した。光透過率の測定は、各液晶パネルを50℃の温度下に置き、電圧無印加の状態で、15lm/mm2の光束密度の白色光を照射することにより行った。
◎:耐光時間が比較例1よりも5倍以上。
○:耐光時間が比較例1よりも2倍以上5倍未満。
△:耐光時間が比較例1よりも1倍以上2倍未満。
×:耐光時間が比較例1よりも劣る。
表1には、無機配向膜形成装置の構成、無機配向膜の形成条件、無機配向膜の平均厚さ、各液晶パネルでのプレチルト角度の評価結果とともに、真空チャンバ内、無機配向膜表面の清浄状態の評価、液晶パネルの評価結果をまとめて示した。
また、本発明の液晶パネルにおいては、比較例1の液晶パネルと比較して、優れた耐光性を示した。また、本発明の液晶パネルでは、十分なプレチルト角が得られ、液晶分子の配向状態を確実に規制することができたが、比較例4の液晶パネルでは、十分なプレチルト角が得られず、液晶分子の配向状態を規制するのが困難であった。
上記各実施例および各比較例で製造したTFT液晶パネル(各実施例および比較例2〜4については、100枚目に製造した液晶パネル)を用いて、図8に示すような構造の液晶プロジェクター(電子機器)を組み立て、この液晶プロジェクターを5000時間連続駆動させた。
◎:鮮明な投射画像が観察された。
○:ほぼ鮮明な投射画像が観察された。
△:やや鮮明さに劣る投射画像が観察された。
×:鮮明でない投射画像が確認された。
この結果を表2に示した。
これに対し、比較例1の液晶パネルを用いて製造された液晶プロジェクターでは、駆動時間に伴い、投射画像の鮮明度が明らかに低下した。これは、初期の段階では、液晶分子の配向が揃っているが、長期駆動により、配向膜が劣化し、液晶分子の配向性が低下したためであると考えられる。なお、比較例2〜4の液晶パネルを用いて製造された液晶プロジェクターでは、駆動当初から、鮮明な投射画像を得られるものではなかった。これは、無機配向膜の形成時に混入した異物(例えば、粉塵、ダスト状の異物や、チャンバ本体を構成する金属材料)が悪影響を及ぼしたためであると考えられる。
また、本発明の液晶パネルを備えたパーソナルコンピュータ、携帯電話機、ディジタルスチルカメラを作製して、同様の評価を行ったところ、同様の結果が得られた。
これらの結果から、本発明の液晶パネル、電子機器は、耐光性に優れ、長期間使用しても安定した特性が得られるものであることが分かる。
Claims (14)
- チャンバ内において、成膜用のターゲットを用いて、気相成膜法により無機配向膜を製造するのに用いられる無機配向膜形成装置であって、
前記チャンバの内壁面の少なくとも一部が、前記ターゲットの構成材料と同一の材料で構成されていることを特徴とする無機配向膜形成装置。 - イオンビーム源からのイオンビームを前記ターゲットに照射することにより、スパッタ粒子を引き出し、前記スパッタ粒子を前記基材上に入射させることにより、前記無機配向膜を形成する請求項1に記載の無機配向膜形成装置。
- 前記ターゲットおよび前記チャンバの内壁面の少なくとも一部は、酸化ケイ素で構成されたものである請求項1または2に記載の無機配向膜形成装置。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の装置を用いることを特徴とする無機配向膜の形成方法。
- 前記スパッタ粒子を、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の垂直方向に対して所定の角度θsだけ傾斜させた方向から前記基材上に入射させ、
前記基材上に、主として無機材料で構成された柱状の結晶が、前記基材の前記無機配向膜を形成する面の面方向に対して、傾斜した状態で配向した前記無機配向膜を形成する請求項1ないし4のいずれかに記載の無機配向膜の形成方法。 - 前記所定の角度θsは、40°以上である請求項5に記載の無機配向膜の形成方法。
- 前記基材上に到達する前記スパッタ粒子のエネルギーおよび/または数を制御することにより、前記柱状の結晶の頂部付近の形状を制御する請求項1ないし6のいずれかに記載の無機配向膜の形成方法。
- 前記柱状の結晶は、前記基材に対して所定の角度θcだけ傾斜した状態で配向したものである請求項7に記載の無機配向膜の形成方法。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の装置を用いて形成されたことを特徴とする無機配向膜。
- 請求項4ないし8のいずれかに記載の無機配向膜の形成方法により形成されたことを特徴とする無機配向膜。
- 無機配向膜の平均厚さは、0.02〜0.3μmである請求項10に記載の無機配向膜。
- 基板上に、電極と、
請求項10または11に記載の無機配向膜とを備えることを特徴とする電子デバイス用基板。 - 請求項10または11に記載の無機配向膜と、液晶層とを備えたことを特徴とする液晶パネル。
- 請求項13に記載の液晶パネルを備えたことを特徴とする電子機器。
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