JP2006227175A - 定着用ベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】摺動部材との摩擦特性が良好であり、このため耐久性と画像形成能力に優れた定着用ベルトあるいは定着用ベルト用の樹脂製管状物を提供する。
【解決手段】ポリイミド樹脂を基材とするポリイミド樹脂製管状物であって、数平均分子量が56000を超え300万以下のフッ素樹脂が3〜20体積%配合され、BNが5〜40体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物。特に、フッ素樹脂は10〜15体積%配合されており、BNが10〜20体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物。さらに前記樹脂製管状物を内層としていることを特徴とする定着用ベルト。
【選択図】なし
【解決手段】ポリイミド樹脂を基材とするポリイミド樹脂製管状物であって、数平均分子量が56000を超え300万以下のフッ素樹脂が3〜20体積%配合され、BNが5〜40体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物。特に、フッ素樹脂は10〜15体積%配合されており、BNが10〜20体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物。さらに前記樹脂製管状物を内層としていることを特徴とする定着用ベルト。
【選択図】なし
Description
本発明は転写紙へ画像を定着させる定着用ベルトに関し、特に定着用ベルトの内層のポリイミド樹脂を基材とする樹脂製管状物へ配合するフッ素樹脂の分子量に工夫を凝らし、熱伝導材としてBNを配合することにより、摺動部材との良好な摩擦特性、耐久性、高い画像形成能力を有する定着用ベルトおよびその内層の樹脂製管状物に関する。
複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置における転写紙への画像の定着方法としては、定着ベルト法がある。この方法は、裏側にヒータが設置された定着用ベルトとプレスローラーの間に、定着用ベルト側表面に感熱インクが仮着された転写紙を送込み、感熱インクを転写紙に溶融定着させ、併せて押圧により定着を強固にする方法である(特許文献1)。
ところで、定着用ベルトは弾性率、耐熱性、機械的強度特に引張強度等の面からポリイミド樹脂等にて製造されている(特許文献2)。また、ヒータの定着用ベルトと接触する部分には、ガラス等がコーティングされている。しかし、ポリイミド樹脂は耐磨耗性が必ずしも非常に良好とは言い難いため、そのままでは短期間の使用で磨耗するだけでなく、磨耗粉が発生し、熱伝導や摺動を阻害する。
このため、定着用ベルトあるいはその内層の樹脂製管状物は、ガラス等と摺動する時の耐磨耗性が良好であることが要求される。
また、起動時に良好な応答性を担保する面から、熱伝導率が良好であることも要求される。
このため、定着用ベルトあるいはその内層の樹脂製管状物は、ガラス等と摺動する時の耐磨耗性が良好であることが要求される。
また、起動時に良好な応答性を担保する面から、熱伝導率が良好であることも要求される。
次に、定着用ベルトに要求される実用的な特性として、駆動トルクとスリップトルクの関係がある。駆動トルクとは、装置を停止し、ベルトを回転駆動させるロールを手で回転させようとしたときに必要なトルクである。スリップトルクとは、ベルトは回転しないように固定した状態で、ベルトを回転させるロールを強制的に回転させるために必要なトルクである。そして、スリップトルクが駆動トルクの2倍未満であると、スリップが生じて画像が乱れることがある。このため、スリップトルクは駆動トルクの2倍以上であることが要求される(特許文献2)。
これら各種の要求を充たす定着用ベルトとするため、熱伝導性成分を配合して熱伝導率を増加させること、ベルトを多層構造として転写紙側とヒータ側とで層の材料組成を変えること、特に内層の樹脂製管状物にフッ素樹脂を配合してヒータとの摩擦抵抗を減少させること等の様々な発明がなされている(特許文献3、特許文献4)。
特開平7−186162号公報
特許第2516310号公報
特開平8−80580号公報
特開平5−163360号公報
しかしながら、前記文献に記載されている技術のみでは、定着用ベルトの内層用の樹脂製管状物では引張強度、摩擦特性等の特性が、ひいては定着用ベルトでは耐久性、画像形成性等の特性が、今日の厳しい技術的要求を充たすには未だ不十分である。
また、定着用ベルトのスリップトルクや駆動トルクが適切であるためには、摩擦特性のみならず、その内層としてのポリイミドを基材とする樹脂製管状物の内面の表面粗度が重要であるが、表面粗度を適切な値にするためには、ポリイミド成型時の加熱で樹脂や配合された物質が分解せず、また金型から良好に離れることが必要である。
これらのため、従来以上に摩擦特性、耐摩耗性、引張強度、生産性等が優れた定着用ベルトの内層用のポリイミドを基材とする樹脂製管状物の開発が、ひいては耐久性や画像の形成性が優れた定着用ベルトの開発が望まれていた。
また、定着用ベルトのスリップトルクや駆動トルクが適切であるためには、摩擦特性のみならず、その内層としてのポリイミドを基材とする樹脂製管状物の内面の表面粗度が重要であるが、表面粗度を適切な値にするためには、ポリイミド成型時の加熱で樹脂や配合された物質が分解せず、また金型から良好に離れることが必要である。
これらのため、従来以上に摩擦特性、耐摩耗性、引張強度、生産性等が優れた定着用ベルトの内層用のポリイミドを基材とする樹脂製管状物の開発が、ひいては耐久性や画像の形成性が優れた定着用ベルトの開発が望まれていた。
本発明は、以上の課題を解決することを目的としてなされたものであり、定着用ベルト用の、あるいは特にその内層用のポリイミド樹脂を基材とする樹脂製管状物において、基材のポリイミド樹脂中に分子量が56000を超えるフッ素樹脂を所定量配合したものである。
また、熱伝導性成分としてBN(硼化窒素、ボロンナイトライド)を所定量配合したものである。
また、フッ素樹脂と熱伝導性成分としてのBNの配合量を適切な範囲にしたものである。
また、ポリイミド樹脂を基材とする樹脂製管状物の内面の表面粗度を所定の値にしたものである。
以下、各請求項の発明を説明する。
また、熱伝導性成分としてBN(硼化窒素、ボロンナイトライド)を所定量配合したものである。
また、フッ素樹脂と熱伝導性成分としてのBNの配合量を適切な範囲にしたものである。
また、ポリイミド樹脂を基材とする樹脂製管状物の内面の表面粗度を所定の値にしたものである。
以下、各請求項の発明を説明する。
請求項1に記載の発明は、ポリイミド樹脂を基材とする樹脂製管状物であって、数平均分子量が56000を超え300万以下のフッ素樹脂が3〜20体積%配合され、
BNが5〜40体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物である。
BNが5〜40体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物である。
本請求項の発明は、ポリイミド樹脂を基材とする樹脂製管状物に、数平均分子量が56000を超え300万以下のフッ素樹脂が3〜20体積%配合されているため、セラミックヒータの外面を覆っているガラスと樹脂製管状物との摩擦抵抗が小さく(単に摩擦係数が低いだけでなく、磨耗等につながる引掛りも少なくさらに前記スリップトルクも適切である)、耐磨耗性も良好な樹脂製管状物となる。
なおここに、「基材とする」とは、本来の機能を発揮するあるいは外形、寸法、強度等を保持するための主材料という意味である。
また、熱伝導性成分としてBNが5〜40体積%配合されているため、熱伝導率も良好な樹脂製管状物になる。
また、熱伝導性成分としては、BN以外にAlN、アルミナ、シリカ、炭化珪素、Si3N4等があるが、これらの内BNは、成形性に極めて優れていることが判った。
なおここに、「基材とする」とは、本来の機能を発揮するあるいは外形、寸法、強度等を保持するための主材料という意味である。
また、熱伝導性成分としてBNが5〜40体積%配合されているため、熱伝導率も良好な樹脂製管状物になる。
また、熱伝導性成分としては、BN以外にAlN、アルミナ、シリカ、炭化珪素、Si3N4等があるが、これらの内BNは、成形性に極めて優れていることが判った。
次に、フッ素樹脂の数平均分子量を56000を超える範囲に限定した理由は、これ以下であれば潤滑性に優れるが、あまり小さいと、すなわち56000以下(融点は、327℃以上)であると、ポリイミド成型時の加熱で一部が分解する等不安定となり、金型との離型性を損い易くなり、ひいては内面の粗度も劣化することが判ったからである。また、同じく300万以下の範囲に限定した理由は、300万を超えるとポリイミドとのブレンド時に繊維化し、粘度が著しく上昇し、塗装に向かないからである。
また、BNの配合量の下限が5体積%であるのは、これ未満では熱伝導率改善への寄与が少ないからであり、上限が40体積%であるのは、これを超えると樹脂製管状物の可とう性が劣化し、屈曲で割れが生じることがあるからである。
また、BNの1次粒子の平均径は0.1〜10μm程度であることが、引張強度を高く保持する面から好ましい。
また、BNの1次粒子の平均径は0.1〜10μm程度であることが、引張強度を高く保持する面から好ましい。
また、フッ素樹脂の粒子径は、10μm以下であることが好ましい。これを超えると、ポリイミド樹脂製の管状物の膜(層)の厚さは通常40〜70μmであるため、断面におけるフッ素樹脂の占有率が高くなり、膜の引張強度が低下し、さらに製造時のワニス状のポリイミド樹脂原料液内へのフッ素樹脂粉末の分散性が劣化するからである。
なお、配合するフッ素樹脂の種類は、現時点ではPTFEの粉末が安価に市販されており、またトナーの付着が少ない点で好ましいが、これに限定されるものではない。
なお、配合するフッ素樹脂の種類は、現時点ではPTFEの粉末が安価に市販されており、またトナーの付着が少ない点で好ましいが、これに限定されるものではない。
請求項2に記載の発明は、前記の樹脂製管状物であって、
前記フッ素樹脂が、5〜15体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物である。
前記フッ素樹脂が、5〜15体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物である。
本請求項の発明は、フッ素樹脂の配合量がより適切であるため、セラミックヒータ表面のガラスコーティングとの摩擦が少なく、耐磨耗性と共に引張強度も良好な樹脂製管状物となる。
請求項3に記載の発明は、前記の樹脂製管状物であって、前記フッ素樹脂が、10〜15体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物である。
本請求項の発明は、フッ素樹脂の配合量がより一層適切であるため、より一層優れた樹脂製管状物となり、定着用ベルトの性質も優れたものとなる。
請求項4に記載の発明は、前記の樹脂製管状物であって、前記BNが、5〜30体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物である。
本請求項の発明では、熱伝導性成分としてBNが配合されているため、定着用ベルトの内層としての樹脂製管状物として、成形性等が特に優れたものとなる。
BNの配合量については、5〜30体積%の範囲が、ポリイミド樹脂を基材とする管状物の引張強度を高く維持しつつ熱伝導率を向上させるためにより適切であることが判った。
BNの配合量については、5〜30体積%の範囲が、ポリイミド樹脂を基材とする管状物の引張強度を高く維持しつつ熱伝導率を向上させるためにより適切であることが判った。
請求項5に記載の発明は、前記の樹脂製管状物であって、前記BNが、10〜20体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物である。
本請求項の発明は、BNが、10〜20体積%配合されているため、引張強度は充分高く、摩擦抵抗は低くなる。このため、特にフッ素樹脂が10〜15体積%程度配合されているときには、定着用ベルトに最適の樹脂製管状物となる。
請求項6に記載の発明は、前記の樹脂製管状物であって、内面の表面粗度は、Rz0.5〜4.0μmであることを特徴とする樹脂製管状物である。
樹脂製管状物の内面の表面粗度が、Rz0.5未満であればセラッミックヒータを覆うガラスコートの表面は鏡面であるため平滑面間の密着が生じる危険性があるが、本請求項の発明では、Rz0.5以上であるため、かかる密着が生じる恐れはなく、またRzが4.0μm以下であるためガラスコート表面との引っ掛かりがなくなる。これらのため、優れた接触性能、低い摩擦抵抗の維持がなされる。
なお、かかる表面粗度を維持するため、樹脂製管状物を製造するための金型表面の粗度も低く、さらにイミド転化の終了したポリイミド樹脂製管状物を剥しやすい構造にしていることが好ましい。
なお、かかる表面粗度を維持するため、樹脂製管状物を製造するための金型表面の粗度も低く、さらにイミド転化の終了したポリイミド樹脂製管状物を剥しやすい構造にしていることが好ましい。
請求項7に記載の発明は、前記の樹脂製管状物であって、内面の表面粗度は、Rz0.5〜3.0μmであることを特徴とする樹脂製管状物である。
本請求項の発明は、内面の表面粗度は、Rz0.5〜3.0μmであるため、摩擦抵抗低減の効果がさらに大きくなる。
請求項8に記載の発明は、前記の樹脂製管状物であって、内面の表面粗度は、Rz1.0〜2.0μmであることを特徴とする樹脂製管状物である。
本請求項の発明は、内面の表面粗度は、Rz1.0〜2.0μmであるため、摩擦抵抗低減の効果がさらに一層大きくなる。
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の樹脂製管状物を内層としていることを特徴とする定着用ベルトである。
本請求項の発明においては、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の樹脂製管状物を内層に有している定着用ベルトであるため、耐久性、画像形成性とも優れた定着用ベルトが得られる。
なお、定着用ベルトとしては、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の樹脂製管状物そのものをベルトとしている、転写紙側にフッ素樹脂層等の別の層を形成している、さらに中間に4〜5μmの接着層を設けて3層構造にしているもの等がある。
この場合、転写紙に接する外層のフッ素樹脂は、可とう性等の面から厚さは10μm程度とし、トナーが付着しにくいという面からPTFEまたはPFAあるいはそれらをブレンドしたものが好ましい。
さらに、帯電防止のために、外層には導電性カーボンを1〜5重量%配合していてもよい。
また、外層等にも熱伝導性成分を配合していてもよい。
なお、定着用ベルトとしては、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の樹脂製管状物そのものをベルトとしている、転写紙側にフッ素樹脂層等の別の層を形成している、さらに中間に4〜5μmの接着層を設けて3層構造にしているもの等がある。
この場合、転写紙に接する外層のフッ素樹脂は、可とう性等の面から厚さは10μm程度とし、トナーが付着しにくいという面からPTFEまたはPFAあるいはそれらをブレンドしたものが好ましい。
さらに、帯電防止のために、外層には導電性カーボンを1〜5重量%配合していてもよい。
また、外層等にも熱伝導性成分を配合していてもよい。
本発明の定着用ベルトあるいはその内層の樹脂製管状物は、数平均分子量が56000を超えるフッ素樹脂を配合しているため、ポリイミドに配合して成型する時に、加熱時にフッ素樹脂の一部が分解する等不安定となり、金型との離型性を損うということがない。このため、製造が容易であり、また樹脂製管状物の内表面の粗度も適切になる。この結果、耐久性、画像形成性とも優れた定着用ベルトになる。
また、フッ素樹脂の数平均分子量は300万以下であるので、繊維化し難く、粘度も著しく高くはないので、金型への塗装も容易である。
また、熱伝導性成分としてBNを適切な量配合しているので、樹脂製管状物の熱伝導率が向上する。
また、フッ素樹脂、熱伝導性成分としてのBNの配合量が適切であるので、定着用ベルトの内層として引張強度、摩擦抵抗とも優れた樹脂製管状物を提供でき、ひいては耐久性と画像形成性に優れた定着ベルト用を提供できる。
また、フッ素樹脂の数平均分子量は300万以下であるので、繊維化し難く、粘度も著しく高くはないので、金型への塗装も容易である。
また、熱伝導性成分としてBNを適切な量配合しているので、樹脂製管状物の熱伝導率が向上する。
また、フッ素樹脂、熱伝導性成分としてのBNの配合量が適切であるので、定着用ベルトの内層として引張強度、摩擦抵抗とも優れた樹脂製管状物を提供でき、ひいては耐久性と画像形成性に優れた定着ベルト用を提供できる。
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
なお、本発明の実施例も比較例も基本的な製造方法と材料は同じである。このため、両方の製造方法と試験結果を区別することなく記載し、併せて本発明の実施例の特徴を説明する。
(ポリイミド樹脂を基材とする樹脂製管状物の製造)
ポリイミドワニス(宇部興産製UワニスS、繰返し単位を有する合成ポリイミドを形成する)に、1次粒子径が0.3μm、粒子径が10μmのフッ素樹脂粉末(ダイキン工業製ルブロンL−2、数平均分子量50万、融点330℃)と熱伝導性成分として粒子径が10μ以下のBNをポリイミドの固形分に対しそれぞれ後の表に示す体積%ずつとなるように配合し、更に3本ロールミルにて充分分散させ、フッ素樹脂とBNが配合されたポリイミドワニスを得た。
ここで、分散に3本ロールを使用したのは、各粒子が大きく固まったりする(ダマになる)ことがないこと、BNに折損が生じる等の悪影響を与えないことによる。
ポリイミドワニス(宇部興産製UワニスS、繰返し単位を有する合成ポリイミドを形成する)に、1次粒子径が0.3μm、粒子径が10μmのフッ素樹脂粉末(ダイキン工業製ルブロンL−2、数平均分子量50万、融点330℃)と熱伝導性成分として粒子径が10μ以下のBNをポリイミドの固形分に対しそれぞれ後の表に示す体積%ずつとなるように配合し、更に3本ロールミルにて充分分散させ、フッ素樹脂とBNが配合されたポリイミドワニスを得た。
ここで、分散に3本ロールを使用したのは、各粒子が大きく固まったりする(ダマになる)ことがないこと、BNに折損が生じる等の悪影響を与えないことによる。
フッ素樹脂粉とBNの配合量は、表1、表2の通りである。
BNとしては、鱗片状でグラファイト構造の粒子径が10μm以下のもの(昭和電工製UHP−10)を使用した。
BNとしては、鱗片状でグラファイト構造の粒子径が10μm以下のもの(昭和電工製UHP−10)を使用した。
このポリイミドワニスを、外径24mm、全長500mmの円筒状のアルミニウム製金型の表面に、硬化後に60μmになるように平滑に塗装した。
その後、金型を120℃で40分、更に200℃で30分加熱し、溶剤のNMP(N―メチルー2−ピロリドン)を除去すると共に第1段階のイミド転化反応を進行させ、ポリイミド中間体とした。
次に、250℃で1時間、400℃で30分加熱することにより、ポリイミドのイミド転化を行い、金型から抜き取ることによってポリイミドを基材とする樹脂製管状物(定着用ベルトの内層)を作製した。
さらに、この樹脂製管状物を切り裂き、JIS規定のダンベル金型にて周方向に打ち抜くことにより、ポリイミド樹脂を基材とする樹脂製管状物の評価試験用サンプルを得た。
次に、250℃で1時間、400℃で30分加熱することにより、ポリイミドのイミド転化を行い、金型から抜き取ることによってポリイミドを基材とする樹脂製管状物(定着用ベルトの内層)を作製した。
さらに、この樹脂製管状物を切り裂き、JIS規定のダンベル金型にて周方向に打ち抜くことにより、ポリイミド樹脂を基材とする樹脂製管状物の評価試験用サンプルを得た。
(評価試験)
以上の方法で製造した樹脂製管状物について、引張強度と摩擦抵抗を評価するための試験を行った。その結果を、各々表1と表2に示す。
以上の方法で製造した樹脂製管状物について、引張強度と摩擦抵抗を評価するための試験を行った。その結果を、各々表1と表2に示す。
表1は、引張強度の測定結果である。なお、数値の単位は、N/mm2である。
表2は、摩擦試験結果であり、試験方法は基本的にはJISK7125に則っている。すなわち、測定用の冶具は自社製のものであり、台の下側に直径20mmの円周に等間隔に3箇所直径5mmの鋼球を埋め込んだ構造であり、全体の重量は1.5kg、従って硬球1個あたり500gである。また、被測定物は、評価面を上向きにして平らなガラス上に張付けられ、その上部に前記測定用冶具を乗せて200mm/minで引っ張り、冶具が動く際の荷重を測定するものである。
表2に、測定用冶具が動く際の引張り荷重を示す。
表2は、摩擦試験結果であり、試験方法は基本的にはJISK7125に則っている。すなわち、測定用の冶具は自社製のものであり、台の下側に直径20mmの円周に等間隔に3箇所直径5mmの鋼球を埋め込んだ構造であり、全体の重量は1.5kg、従って硬球1個あたり500gである。また、被測定物は、評価面を上向きにして平らなガラス上に張付けられ、その上部に前記測定用冶具を乗せて200mm/minで引っ張り、冶具が動く際の荷重を測定するものである。
表2に、測定用冶具が動く際の引張り荷重を示す。
表1より、いずれの場合も一定の引張強度を有しているが、フッ素樹脂とBNのいずれについても少なくとも20体積%までは配合量が増加すると引張強度が僅かづつ低下することが判る。
引張強度の面からは、フッ素樹脂の配合量は5〜15体積%が好ましく、同じくBNの配合量は10〜20体積%あたりが好ましい。
引張強度の面からは、フッ素樹脂の配合量は5〜15体積%が好ましく、同じくBNの配合量は10〜20体積%あたりが好ましい。
表2よりフッ素樹脂が5体積%以上配合されていれば、BNの配合比率に無関係に摩擦抵抗は1.3N以下であり、フッ素樹脂の配合量が増すほど摩擦抵抗がゆっくりと減少していくのが判る。
また、摩擦抵抗の面からは、フッ素樹脂が5体積%配合されていれば、BNの配合量は関係が薄いことが判る。さらに、5体積%で摩擦抵抗の低下の飽和があることより、3体積%程度の配合量であっても、摩擦抵抗の充分な低下があるものと判断される。
また、摩擦抵抗の面からは、フッ素樹脂が5体積%配合されていれば、BNの配合量は関係が薄いことが判る。さらに、5体積%で摩擦抵抗の低下の飽和があることより、3体積%程度の配合量であっても、摩擦抵抗の充分な低下があるものと判断される。
(定着用ベルトの製造)
ポリイミドワニス(宇部興産製UワニスS)に、1次粒子径が0.3μm、粒子径が10μmのフッ素樹脂粉末(ダイキン工業製ルブロンL−2、平均分子量50万、融点330℃)とBNを配合し、更に3本ロールにて充分分散させ、配合済みポリイミドワニスを得た。
なお、配合量については、表3、表4の通りである。
また、熱伝導性成分としては、BN(硼化窒素、ボロンナイトライド)を使用した。
ポリイミドワニス(宇部興産製UワニスS)に、1次粒子径が0.3μm、粒子径が10μmのフッ素樹脂粉末(ダイキン工業製ルブロンL−2、平均分子量50万、融点330℃)とBNを配合し、更に3本ロールにて充分分散させ、配合済みポリイミドワニスを得た。
なお、配合量については、表3、表4の通りである。
また、熱伝導性成分としては、BN(硼化窒素、ボロンナイトライド)を使用した。
次に、この配合済みポリイミドワニスを、外径24mm、全長500mmの円筒状のアルミニウム製金型の表面に、硬化後に60μmになるように平滑に塗装した。その後、金型を120℃で40分、更に200℃で30分加熱し、溶剤のNMPを除去すると共に第1段階のイミド転化反応を進行させ、ポリイミド中間体とした。
次に、前記ポリイミド中間体にフッ素樹脂用プライマ(デュポン製855−003)を焼成後に5μmとなるようにディッピング法にて塗装し、200℃の雰囲気中で30分間乾燥させた。
さらに、フッ素樹脂ディスバージョン(デュポン製855−510)に導電性カーボンを配合したものを焼成後に10ミクロンになるようにディッピング法にて塗装し、250℃で1時間、400℃で30分間加熱することにより、ポリイミドのイミド転化を完了させると共にフッ素樹脂を焼成させた。
そして、金型から抜き取った後、所定の形状に切断して定着用ベルトを得た。
そして、金型から抜き取った後、所定の形状に切断して定着用ベルトを得た。
(評価試験)
以上の方法で製造した定着用ベルトについて、耐久性能と画像形成の評価試験を行った。それらの結果を、各々表3と表4に示す。
以上の方法で製造した定着用ベルトについて、耐久性能と画像形成の評価試験を行った。それらの結果を、各々表3と表4に示す。
表3に、耐久性能の試験結果を示す。表3において、○は10万枚以上通紙可能であったことを示し、△は5〜10万枚で端部が破損したことを示し、×は5万枚未満で端部が破損したことを示す。
表3より、耐久性能については、フッ素樹脂の配合量が20体積%であっても、BNとの合計の配合量がおおよそ35体積%までは充分にあることが判る。
BNも、フッ素樹脂が5%以上であれば、かなり広い範囲まで耐久性に悪影響を及ぼさないことが判る。
表3より、耐久性能については、フッ素樹脂の配合量が20体積%であっても、BNとの合計の配合量がおおよそ35体積%までは充分にあることが判る。
BNも、フッ素樹脂が5%以上であれば、かなり広い範囲まで耐久性に悪影響を及ぼさないことが判る。
表4に、画像形成の評価試験結果を示す。表4において、丸は画像に乱れがないことを示し、△は画像に部分的に乱れが発生していることを示し、×は画像が全体的に乱れていることを示す。
表4より、画像形成能力は、フッ素樹脂の配合量が10体積%以上であれば熱伝導性成分の配合量が30体積%までは充分にあり、フッ素樹脂が20体積%配合されておればBNが40体積%配合されていても優れているのが判る。
また、フッ素樹脂が5体積%未満の配合量であるならば、熱伝導性成分の配合量に無関係に画像形成能力がやや劣ることも判る。なお、3体積%未満であるならば、熱伝導性成分の配合量が少なくても画像形成能力が劣るものと判断される。
また、BNは、フッ素樹脂さえ適切にあるいは10体積%以上配合されておれば、少なくも30体積%までは画像形成能力に関係が薄いのが判る。
表4より、画像形成能力は、フッ素樹脂の配合量が10体積%以上であれば熱伝導性成分の配合量が30体積%までは充分にあり、フッ素樹脂が20体積%配合されておればBNが40体積%配合されていても優れているのが判る。
また、フッ素樹脂が5体積%未満の配合量であるならば、熱伝導性成分の配合量に無関係に画像形成能力がやや劣ることも判る。なお、3体積%未満であるならば、熱伝導性成分の配合量が少なくても画像形成能力が劣るものと判断される。
また、BNは、フッ素樹脂さえ適切にあるいは10体積%以上配合されておれば、少なくも30体積%までは画像形成能力に関係が薄いのが判る。
(総合評価)
以上より、定着用ベルトの内層のポリイミドを基材とする樹脂製管状物のフッ素樹脂の配合量の下限は、3体積%、好ましくは5体積%、より好ましくは10体積%であり、また上限は、BNとのトータルの配合量の上限との兼ね合い等もあり、20体積%、好ましくは15体積%であるのが判る。
以上より、定着用ベルトの内層のポリイミドを基材とする樹脂製管状物のフッ素樹脂の配合量の下限は、3体積%、好ましくは5体積%、より好ましくは10体積%であり、また上限は、BNとのトータルの配合量の上限との兼ね合い等もあり、20体積%、好ましくは15体積%であるのが判る。
さらに、BNの配合量の下限は、5体積%、好ましくは10体積%であり、また上限は、フッ素樹脂とトータルの配合量の上限との兼ね合い等もあるが、40体積%、好ましくは30体積%、より好ましくは20体積%であるのが判る。
Claims (9)
- ポリイミド樹脂を基材とする樹脂製管状物であって、
数平均分子量が56000を超え300万以下のフッ素樹脂が3〜20体積%配合され、
BNが5〜40体積%配合されていることを特徴とする樹脂製管状物。 - 前記フッ素樹脂が、5〜15体積%配合されていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製管状物。
- 前記フッ素樹脂が、10〜15体積%配合されていることを特徴とする請求項2に記載の樹脂製管状物。
- 前記BNが、5〜30体積%配合されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の樹脂製管状物。
- 前記BNが、10〜20体積%配合されていることを特徴とする請求項4に記載の樹脂製管状物。
- 内面の表面粗度は、Rz0.5〜4.0μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の樹脂製管状物。
- 内面の表面粗度は、Rz0.5〜3.0μmであることを特徴とする請求項6に記載の樹脂製管状物。
- 内面の表面粗度は、Rz1.0〜2.0μmであることを特徴とする請求項7に記載の樹脂製管状物。
- 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の樹脂製管状物を内層としていることを特徴とする定着用ベルト。
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-
2005
- 2005-02-16 JP JP2005039105A patent/JP2006227175A/ja active Pending
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