JP2006226841A - 全反射減衰を利用したセンサユニット,測定方法及び装置 - Google Patents

全反射減衰を利用したセンサユニット,測定方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 測定精度の低下が少なく、必要な固定量の確保が容易な流路を持つセンサユニットを提供する。
【解決手段】 流路部材41には、センサ面13aへリガンド溶液とアナライト溶液を送液する流路16が形成されている。流路16は、流路部材41の底面に形成された溝であり、この溝がセンサ面13aと当接して水密に封止される。流路部材41は、比較的硬質な材料で形成された本体46と、この本体46よりも軟質な材料で形成され、本体46の底面を含む周面の一部を覆う被覆部47とからなる。流路部材41を上面から加圧すると、被覆部47が変形して、流路16の断面積が変化する。このため、固定時には流路断面積を大きく、他方、測定時には流路断面積を小さくすることができる。
【選択図】 図8

Description

本発明は、センサ面における試料の反応状況を光の全反射減衰を利用して測定を行う全反射減衰を利用したセンサユニット,測定方法及び装置に関するものである。
例えば、タンパク質やDNAなどの生化学物質の相互作用を調べたり、薬品のスクリーニングを行う場合において、試料の反応を測定する測定装置として、全反射減衰を利用した測定装置が知られている。
全反射減衰を利用した測定装置は、透明な誘電体上に形成された薄膜の一方の面であるセンサ面上において試料の反応を生じさせ、前記センサ面の裏面の光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させ、その反射光の減衰状況を検出することにより前記反応を測定する。こうした全反射減衰を利用した測定装置の1つに、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)現象を利用した測定装置(以下、SPR測定装置という)がある。表面プラズモンとは、金属中の自由電子が集団的に振動することによって生じ、その金属の表面に沿って進む自由電子の粗密波である。
SPR測定装置は、透明な誘電体上に形成された薄膜として金属膜を使用し、この金属膜の一方の面をセンサ面として、このセンサ面にSPRを発生させ、そこで生じる物質の反応状況をSPRを検出することにより測定する。
金属膜のセンサ面の裏面から、全反射条件を満足するように(臨界角以上の入射角で)光を照射すると、その光入射面において全反射が起こるが、入射光のうちわずかな光は反射せずに金属膜内を通過して、センサ面に染み出す。この染み出した光波がエバネッセント波と呼ばれる。このエバネッセント波と表面プラズモンの振動数が一致して共鳴すると(SPRが発生すると)、反射光の強度が大きく減衰する。SPR測定装置は、前記光入射面で反射する反射光の減衰を捉えることにより、その裏側のセンサ面で発生するSPRを検出する。
SPRを発生させるための光の入射角(共鳴角)は、エバネッセント波および表面プラズモンが伝播する媒質の屈折率に依存する。言い換えると、媒質の屈折率が変化すれば、SPRを発生させる共鳴角が変化する。センサ面と接する物質は、エバネッセント波および表面プラズモンを伝播させる媒質となるので、例えば、センサ面において、2種類の分子間の結合や解離などの化学反応が生じると、それが媒質の屈折率の変化として顕れて、共鳴角が変化する。SPR測定装置は、この共鳴角の変化を捉えることにより分子間の相互作用を測定する。
生化学分野の実験や研究においては、タンパク質、DNA、薬品などが、リガンドやアナライトとして使用される。例えば、薬品のスクリーニングを行う場合には、リガンドとして、タンパク質などの生体物質を使用し、このセンサ面にアナライトとなる複数種類の薬品を接触させて、それらの相互作用を調べる。
下記特許文献1に記載のSPR測定装置は、金属膜に光を入射させるための光学系として、Kretschmann配置を採用している。Kretschmann配置では、金属膜の光入射面と、この光入射面に向けて全反射条件を満足するように照射された光を集光するプリズムとが接合される。センサ面には、リガンドが固定され、センサ面と対向する位置には、アナライトを流す流路が配置される。この流路にアナライトを送液して、アナライトとリガンドとを接触させ、そのときのSPRの発生を検出することによりそれらの相互作用が測定される。
下記特許文献1記載のSPR測定装置では、装置本体に、プリズムと、流路が形成された流路部材とが配置された測定ステージが設けられており、この測定ステージに、透明な誘電体であるガラス基板上に金属膜を形成した略平板上のチップ型のSPRセンサ(以下、単にチップ型センサという)を装着して、測定が行われる。このチップ型センサは、前記装置本体に着脱自在であり、センサ面と流路とが対向し、光入射面とプリズムとが対向するように、装着される。測定を行う前には前処理として、チップ型センサの金属膜上にリガンドを固定する処理(リガンド固定処理)が行われるが、下記特許文献1記載のSPR装置では、このリガンド固定処理についても、チップ型センサを測定ステージに装着した状態で行われる。
前記流路部材には、センサ面と当接する当接面に、前記センサ面に、試料となるリガンド及びアナライトを含む溶液を接触させながら、それらを前記センサ面と平行に流す溝が形成されており、この溝が、前記流路のうち、前記センサ面と対向する対向部分を構成する。チップ型センサは、センサ面が露出されており、チップ型センサが測定ステージに装着されると、センサ面によって流路の開放部位が覆われて、前記対向部分が密閉される。これにより、センサ面への送液が可能となる。
こうした状態で、流路へリガンドを注入して固定処理が行われる。この固定処理が終了した後、流路に洗浄液を注入して洗浄処理が行われる。洗浄液が注入される前には流路内にはリガンド溶液が満たされており、その状態で、流路へ洗浄液が注入される。流路内のリガンド溶液は、新たに注入された洗浄液によって押し出されて流路から排出される。こうして、流路内の液の入れ替え(置換)が行われる。
洗浄後、流路には、いったんバッファ液が注入された後、アナライト溶液が注入されて測定処理が行われる。所定時間経過後、再びバッファ液が注入されて測定処理が終了する。バッファ液は、SPR信号のベースラインを検出するために注入される。SPR信号の取得は、流路がバッファ液で満たされているときから開始され、アナライト溶液を注入した後、再びバッファ液を注入してアナライト溶液が排出されるまで続く。これにより、アナライトとリガンドとの結合から脱離までの反応状況を調べることができる。
特開平6−167443号公報
リガンドのセンサ面への固定量は、リガンドの流路への注入量を多くすれば増える。そのため、注入量を多くするには、対向部分の流路断面積(以下、流路断面積)を大きくして流路の容積を大きくする必要がある。流路断面積は、流路の幅を一定とすれば、流路の高さ(センサ面から流路の天井までの高さ)によって決まるので、流路の高さが高い方がよい。
他方、リガンドとアナライトの結合反応や脱離反応は短時間で生じるため、SPR信号の測定によって、その反応速度を把握するためには、流路の高さは低い方がよい。というのは、一般に、流路内の液体の流れは、液体が持つ粘性のために流路断面の中心から内壁面に向かって速度勾配が生じ、内壁面に近づくほど流速が低下する。このため、例えば、アナライトで満たされた流路へバッファを注入してアナライトからバッファへ置換を行う場合に、流路の内壁面に相当するセンサ面では、流路の中心付近と比較して置換が遅れるので、センサ面にアナライトが残留する。このアナライトの残留量の多寡は、流路内の液の置換率(以下、液置換率という)で表される。ここで液置換率とは、既に流路へ注入済みの液体が新たに注入された別の液体に置換される割合をいう。液置換率は注入を複数回行ったり時間をかければ上昇するが、前記反応速度を正確に測定するためには、1回の注入でしかも短時間で高い液置換率を確保することが必要となる。流路の高さを低くすると、流路の中心からセンサ面までの距離が短くなり、液体の粘性に起因する速度勾配が抑制されるので、短時間で高い液置換率が確保される。
このように、固定時と測定時においては、それぞれに最適な流路の高さが相反する傾向があり、問題となっていた。
本発明は、測定精度の低下が少なく、必要な固定量の確保が容易な全反射減衰を利用したセンサユニット、測定方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の全反射減衰を利用したセンサユニットは、透明な誘電体と、この誘電体上に形成され表面がリガンドとアナライトの反応を検知するセンサ面となる薄膜と、前記センサ面に固定される前記リガンドが含まれるリガンド溶液と前記リガンドが固定された前記センサ面に前記アナライトを含むアナライト溶液とを送液する流路が形成された流路部材とからなり、前記リガンドを固定後、前記アナライト溶液を送液しながら、前記誘電体を通じて前記薄膜の裏面の光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させたときに前記薄膜の裏面で反射した反射光の減衰角が前記リガンドとアナライトとの反応状況に応じて変化する全反射減衰を利用したセンサユニットにおいて、前記流路部材には、前記流路のうち前記センサ面と対向する対向部分として、前記センサ面と対向して配置され、前記各試料溶液を前記センサ面と接触させながら流す溝が形成されるとともに、この流路部材の少なくとも一部を加圧により変形可能な材料で形成することで、前記溝の断面積を可変にしたことを特徴とする。
前記流路部材は、前記溝が形成され前記センサ面と対向する対向面が変形可能な材料で形成されていることが好ましい。
前記流路部材は、前記溝の周縁部に前記センサ面に向けて突き出す突出部が設けられており、この突出部を変形可能な材料で形成し、これを前記センサ面と当接させることが好ましい。
前記変形可能な材料は、弾性を備えていることが好ましい。また、前記断面積が必要以上に小さくなることがないように、前記流路部材の変形量を規制する変形量規制部が設けられていることが好ましい。
前記流路部材は、基本的な形状を決定する骨格部分となる本体と、この本体の周面の少なくとも一部に被覆される被覆部とからなり、この被覆部を変形可能な材料にすることが好ましい。
前記突出部は、前記被覆部の一部として設けられており、前記変形量規制部は、前記本体と一体に形成されるとともに、前記突出部の内部に配置されることが好ましい。
前記本体と前記被覆部は、それぞれ硬度の異なる2種類の材料が使用され、前記流路部材は、前記2種類の材料を用いて2色成形されることが好ましい。
本発明の全反射減衰を利用した測定方法は、透明な誘電体上に形成された薄膜の表面をリガンド及びアナライトの反応を検知するセンサ面として用い、このセンサ面にリガンドを含むリガンド溶液を送液してリガンドを固定した後、前記センサ面に前記アナライトを含むアナライト溶液を送液して前記リガンドとアナライトとを接触させるとともに、前記誘電体を通じて前記薄膜の裏面に向けて全反射条件を満たすように光を入射させ、前記薄膜の裏面で反射した反射光を受光して、全反射減衰によって生じる前記反射光の減衰角の変化を調べることにより、前記リガンドとアナライトの反応状況を測定する全反射減衰を利用した測定方法において、前記リガンド溶液及びアナライト溶液を前記センサ面へ送液する際に、前記センサ面と対向して配置され前記各溶液を前記センサ面と接触させながら流す流路が形成された流路部材を用い、この流路部材を変形させることにより、前記固定時よりも前記流路の断面積を小さくして前記測定を行うことを特徴とする。
本発明の全反射減衰を利用した測定装置は、透明な誘電体とこの誘電体上に形成される薄膜とからなり、その薄膜の表面がリガンドとアナライトの反応を検知するセンサ面となるセンサユニットが着脱自在にセットされるステージと、前記センサ面と対向して配置され前記リガンドを含むリガンド溶液及びアナライトを含むアナライト溶液を前記センサ面と接触させながら流す流路が形成された流路部材に前記各溶液を注入する注入手段と、前記流路部材を通じて前記リガンド溶液を送液して前記センサ面に前記リガンドを固定した後、前記流路部材を加圧によって変形させることにより前記流路のうち前記センサ面と対向する対向部分の流路断面積を前記固定時よりも小さくする加圧機構と、前記流路部材を通じて前記アナライト溶液を前記センサ面に送液する際に、前記誘電体を通じて前記薄膜の裏面に向けて全反射条件を満たすように光を入射させる光源と、前記薄膜の裏面で反射した反射光を受光する受光部とを備え、全反射減衰によって生じる前記反射光の減衰角の変化を調べることにより、前記リガンド及びアナライトの反応状況を測定することを特徴とする。
前記流路部材は、前記センサ面と対向する対向面に前記対向部分となる溝が形成されるとともに、弾性を備えた材料で形成されることが好ましい。
前記加圧機構は、前記センサユニットと当接して押圧によって前記流路部材を変形させる押圧位置とこの押圧位置から退避する退避位置との間で移動自在に設けられた押圧部と、この押圧部を駆動する駆動部とからなることが好ましい。
前記押圧部は、先端部が楔形をした長尺部材であり、この先端部の傾斜面を前記センサユニットの上面に当接させながらスライドして前記センサユニットを押圧することが好ましい。
本発明は、流路が形成された流路部材を通じてリガンド溶液をセンサ面に送液して固定を行い、その後、前記流路部材を通じてアナライト溶液をセンサ面に送液してリガンドとアナライトとを接触させ、その反応状況を全反射減衰を利用して測定する場合に、前記流路のうち、前記センサ面と対向して配置され前記センサ面と接触させながら前記各溶液を流す対向部分の断面積を、前記流路部材を変形させることにより、前記固定時と前記測定時とで変化させるようにしたから、必要な固定量の確保が容易になるとともに、測定精度の低下を抑えることができる。
図1に示すように、SPRを利用した測定方法は、大きく分けて、固定工程と、測定処工程(データ読み取り工程)と、データ解析工程との3つの工程からなる。SPR測定装置は、固定工程を行う固定機10と、測定工程を行う測定機11と、測定機11によって得られたデータを解析するデータ解析機からなる。
測定は、SPRセンサであるセンサユニット12を用いて行われる。センサユニット12は、一方の面がSPRが発生するセンサ面13aとなる金属膜13と、このセンサ面13aの裏面の光入射面13bと接合されるプリズム14と、前記センサ面13aと対向して配置され、リガンドやアナライトが送液される流路16が形成された流路部材41とを備えている。
金属膜13としては、例えば、金が使用され、その膜厚は、例えば、500nmである。この膜厚は、金属膜の素材、照射される光の発光波長などに応じて適宜選択される。プリズム14は、その上面に前記金属膜13が形成される透明な誘電体であり、光入射面13bに向けて、全反射条件を満たすように照射された光を集光する。流路16は、略U字形に屈曲された送液管であり、両端には、液体を注入する注入口と、それを排出する排出口となる1対の出入口16a,16bが設けられている。
また、流路16の底部は、後述するように、開放されており、この開放部位はセンサ面13aによって覆われて封止される。これら流路16とセンサ面13aによってセンサセル17が構成される。後述するように、センサユニット12は、こうしたセンサセル17を複数個備えている(図3参照)。
固定工程は、センサ面13aにリガンドを固定する工程である。固定工程は、センサユニット12を固定機10にセットして行われる。固定機10には、1対のピペット19a,19bからなるピペット対19が設けられている。ピペット対19は、各ピペット19a,19bが、それぞれ出入口16a,16bのそれぞれに挿入される。各ピペット19a,19bは、それぞれが流路16への液体の注入と、流路16からの吸い出しを行う機能を備えており、一方が注入動作を行っているときには、他方が吸い出し動作を行うというように、互いに連動する。このピペット対19を用いて、出入口16aから、リガンドを溶媒に溶かしたリガンド溶液21が注入される。
センサ面13aのほぼ中央部には、リガンドと結合するリンカー膜22が形成されている。このリンカー膜22は、センサユニット12の製造段階において予め形成される。リンカー膜22は、リガンドを固定するための固定基となるので、固定するリガンドの種類に応じて適宜選択される。
リガンド溶液21を注入するリガンド固定化処理を行う前に、前処理として、まず、リンカー膜22に対して、固定用バッファ液を送液してリンカー膜22を湿らせた後、リンカー膜22へリガンドが結合しやすくするためにリンカー膜22の活性化処理が施される。例えば、アミンカップリング法では、リンカー膜22としてカルボキシメチルデキストランが使用され、リガンド内のアミノ基をこのデキストランに直接共有結合させる。この場合の活性化液としては、N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)とN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)との混合液が使用される。この活性化処理の後、固定用バッファによって流路16が洗浄される。
固定用バッファや、リガンド溶液21の溶媒(希釈液)としては、例えば、各種のバッファ液(緩衝液)の他、生理的食塩水に代表される生理的塩類溶液や、純水が使用される。これらの各液の種類、pH値、混合物の種類及びその濃度等は、リガンドの種類に応じて適宜決められる。例えば、リガンドとして生体物質を使用する場合には、phを中性付近に調整した生理的食塩水が使用される場合が多い。しかし、上記アミンカップリング法では、リンカー膜22は、カルボキシメチルデキストランにより負(マイナス)に帯電するので、このリンカー膜22と結合しやすいようにタンパク質を陽(プラス)に帯電させるため、生理的とはいえない高濃度のリン酸塩を含む緩衝作用の強いリン酸緩衝溶液(PBS:phosphatic−buffered,saline)などが使用される場合もある。
こうした活性化処理及び洗浄が行われた後、センサセル17へリガンド溶液21が注入されてリガンド固定化処理が行われる。リガンド溶液21が流路16へ注入されると、溶液中で拡散しているリガンド21aが徐々にリンカー膜22へ近づいて、結合する。こうしてセンサ面13aにリガンド21aが固定される。固定化には、通常、約1時間程度かかり、この間、センサユニット12は、温度を含む環境条件が所定の条件に設定された状態で、保管される。なお、固定化が進行している間、流路16内のリガンド溶液21を静置しておいてもよいが、流路16内のリガンド溶液21を攪拌して流動させることが好ましい。こうすることで、リガンドとリンカー膜22との結合が促進され、リガンドの固定量を増加させることができる。
センサ面13aへのリガンド21aの固定化が完了すると、前記流路16からリガンド溶液21が排出される。リガンド溶液21は、ピペット19bによって吸い出されて排出される。固定化が完了したセンサ面13aは、流路16へ洗浄液が注入されて洗浄処理が行われる。この洗浄後、必要に応じて、ブロッキング液を流路16へ注入して、リンカー膜22のうち、リガンドが結合しなかった反応基を失活させるブロッキング処理が行われる。ブロッキング液としては、例えば、エタノールアミン−ヒドロクロライドが使用される。このブロッキング処理の後、再び流路16が洗浄される。この後、後述するように、流路16には、乾燥防止液が注入される。こうして、センサユニット12は、センサ面13aが乾燥防止液に浸された状態で、測定までの間保管される。
測定工程は、センサユニット12を測定機11にセットして行われる。測定機11にも、固定機10のピペット対19と同様のピペット対26が設けられている。このピペット対26によって、出入口16aから、流路16へ各種の液が注入される。測定工程では、まず、流路16へ測定用バッファが注入される。この後、アナライトを溶媒に溶かしたアナライト溶液27を注入し、その後、再び測定用バッファが注入される。なお、最初に測定用バッファを注入する前に、いったん流路16の洗浄を行ってもよい。データの読み取りは、基準となる信号レベルを検出するために、最初に測定用バッファを注入した直後から開始され、アナライト溶液27の注入後、再び測定用バッファが注入されるまでの間行われる。これにより、基準レベル(ベースライン)の検出、アナライトとリガンドの反応状況(結合状況)、測定用バッファ注入による結合したアナライトとリガンドの脱離までのSPR信号を測定することができる。
このように、測定工程では、バッファからアナライト溶液27へ、そして、再びバッファへと、流路16内の液体が置換される。液置換は、注入済みの液体を流路16から排出した後、新たに別の液体を注入するのではなく、例えば、流路16がアナライト溶液27で満たされている場合には、その状態でバッファを注入し、新たに注入したバッファによってアナライト溶液27を流路16から押し出して排出することにより行われる。
測定用バッファや、アナライト溶液27の溶媒(希釈液)としては、例えば、各種のバッファ液(緩衝液)の他、生理的食塩水に代表される生理的塩類溶液や、純水が使用される。これらの各液の種類、ph値、混合物の種類及びその濃度等は、リガンドの種類に応じて適宜決められる。例えば、アナライトを溶けやすくするために、生理的食塩水にDMSO(ジメチル−スルホ−オキシド)を含ませてもよい。このDMSOは、信号レベルに大きく影響する。上述したとおり測定用バッファは基準レベルの検出に用いられるので、アナライトの溶媒中にDMSOが含まれる場合には、そのDMSO濃度と同程度のDMSO濃度を持つ測定用バッファを使用することが好ましい。
なお、アナライト溶液27は、長期間(例えば、1年)保管されることも多く、そうした場合には、経時変化によって、初期のDMSO濃度と測定時のDMSO濃度との間に濃度差が生じてしまう場合がある。厳密な測定を行う必要がある場合には、こうした濃度差をアナライト溶液27を注入したときの参照信号(ref信号)のレベルから推定し、測定データに対して補正(DMSO濃度補正)が行われる。
ここで、参照信号(ref信号)とは、後述するように、センサ面上に設けられリガンドが固定されない参照領域に対応するSPR信号であり、リガンドが固定されアナライトとの反応を生じる測定領域の測定信号(act信号)と比較参照される信号である。測定に際しては、前記測定信号と参照信号の2つの信号が検出され、データ解析に際しては、例えば、それら2つのSPR信号の差分を取り、これを測定データとして解析がなされる。こうすることで、例えば、複数のセンサセル間の個体差や、液体の温度変化など、外乱に起因するノイズをキャンセルすることが可能となり、S/N比の良好な信号が得られるようにしている。
DMSO濃度補正のための補正データは、アナライト溶液27を注入する前に、DMSO濃度が異なる複数種類の測定用バッファをセンサセル17に注入して、このときのDMSO濃度変化に応じた、ref信号のレベルとact信号のレベルのそれぞれの変化量を調べることにより求められる。
測定部31は、照明部32と検出器33からなる。上述したとおり、リガンドとアナライトの反応状況は、共鳴角(光入射面に対して照射された光の入射角)の変化として顕れる。そのため、照明部32は、全反射条件を満足する様々な入射角の光を光入射面13bに対して照射する。照明部32は、例えば、光源34と、集光レンズ、拡散板、偏光板を含む光学系36とからなり、配置位置および設置角度は、照明光の入射角が、上記全反射条件を満足するように調整される。
光源34としては、例えば、LED(Light Emitting Diode),LD(Laser Diode),SLD(Super Luminescent Diode)などの発光素子が使用される。こうした発光素子を1個使用し、この単一光源から1つのセンサセルに向けて光が照射される。なお、複数のセンサセルを同時に測定するような場合には、単一光源からの光を分光して複数のセンサセルに照射してもよいし、各センサセルに対して発光素子が1つずつ割り当てられるように複数の発光素子を並べて使用してもよい。拡散板は、光源34からの光を拡散して、発光面内の光量ムラを抑える。偏光板は、照射光のうち、SPRを生じさせるp偏光のみを通過させる。なお、LDを使用する場合など、光源が発する光線自体の偏光の向きが揃っている場合には、偏光板は不要である。また、偏光が揃っている光源を使用した場合でも、拡散板を通過することにより、偏光の向きが不揃いになってしまう場合には、偏光板を使用して偏光の向きが揃えられる。こうして拡散および偏光された光は、集光レンズによって集光されてプリズム14に照射される。これにより、光強度にバラツキがなく様々な入射角を持つ光線を光入射面13bに入射させることができる。
検出器33は、光入射面13bで反射する光を受光して、その光強度に応じたレベルの電気信号を出力する。光入射面13bには、様々な角度で光線が入射するので、光入射面13bでは、それらの光線が、それぞれの入射角に応じて様々な反射角で反射する。検出器33は、これらの様々な反射角の光線を受光する。センサ面13a上の媒質(表面プラズモンの)に変化が生じると屈折率が変化して、光強度が減衰する反射角(SPRが発生する共鳴角)も変化する。センサ面13a上にアナライトを送液すると、アナライトとリガンドの反応状況に応じて共鳴角が変化するため、光強度が減衰する反射角も変化する。
検出器33は、例えば、CCDエリアセンサやフォトダイオードアレイが使用され、光入射面13bにおいて様々な反射角で反射する反射光を受光し、それらを光電変換してSPR信号として出力する。リガンドとアナライトの反応状況は、この受光面内における反射光の減衰位置の推移として顕れる。例えば、アナライトがリガンドと接触する前後では、センサ面13a上の屈折率が異なり、SPRが発生する共鳴角が異なる。そして、アナライトがリガンドと接触して反応を開始すると、それに応じて共鳴角及びそれに対応する反射角が変化を開始して、前記受光面内における反射光の減衰位置が移動し始める。こうして得た反応状況を表すSPR信号が、データ解析機91に出力される。データ解析工程では、測定機11で得たSPR信号を解析して、アナライトの特性を分析する。
なお、測定部31の構成が明確になるように、便宜的に、図1では、光入射面13bへの入射光線およびそこで反射する反射光線の向きが、流路16内の液体の流れ方向と平行になるように、照明部32および検出器33を配置した形態で示しているが、図2に示すように、本実施形態では、入射光線および反射光線の向きが、前記流れ方向と直交する方向に照射されるように、照明部32および検出器33が配置される。もちろん、測定部31をこの図1に示しているように配置して測定してもよい。
図2に示すように、リンカー膜22上には、リガンドが固定されアナライトとリガンドとの反応が生じる測定領域(act領域)22aと、リガンドが固定されず、前記測定領域の信号測定に際しての参照信号を得るための参照領域(ref領域)22bとが形成される。このref領域22bは、上述したリンカー膜22を製膜する際に形成される。形成方法としては、例えば、リンカー膜22に対して表面処理を施して、リンカー膜22の半分程度の領域について、リガンドと結合する結合基を失活させる。これにより、リンカー膜22の半分がact領域22aとなり、残りの半分がref領域22bとなる。
検出器33は、act領域22aに対応するSPR信号をact信号として出力し、ref領域22bに対応するSPR信号をref信号として出力する。これらact信号とref信号は、基準レベルの検出から結合反応を経て脱離に至るまで、ほぼ同時に計測される。データ解析は、こうして得られたact信号とref信号の差や比を求めて行われる。データ解析機91は、例えば、act信号とref信号との差分データを求め、この差分データを測定データとし、これに基づいて解析を行う。こうすることで、上述したとおり、センサユニットや各センサセルの個体差や、装置の機械的な変動や、液体の温度変化など、外乱に起因するノイズをキャンセルすることができるので、精度の高い測定が可能になる。
照明部32及び検出器33は、これら各act信号及びref信号の2チャンネルの計測を行うことができるように構成されている。例えば、照明部32を、1個の発光素子を反射ミラー等を用いて、act領域22aとref領域22bのそれぞれに向けて入射する複数の光線に分光する。そして、各チャンネル用の複数のフォトダイオードアレイで構成した検出器33により、各光線をそれぞれ受光する。
また、検出器33として、CCDエリアセンサを用いた場合には、同時に受光した各チャンネルの反射光を画像処理によってact信号とref信号として認識することもできる。しかし、こうした画像処理による方法が難しい場合には、act領域22aとref領域22bに対して入射させるタイミングを微小時間ずらして、各チャンネルの信号を受光するようにしてもよい。入射タイミングをずらす方法としては、例えば、光路上に、配置角度が180℃ずれた位置に2つの孔が形成された円板を配置し、この円板を回転させることにより、各チャンネルの入射タイミングがずらされる。各孔は、中心からの距離が各領域22a,22bの間隔だけ異なる位置に配置されており、これにより、一方の孔が光路内に進入したときには、act領域22aに光線が入射し、他方の孔が光路内に進入したときには、ref領域22bに光線が入射する。
図3は、センサユニット12の分解斜視図である。センサユニット12は、流路16が形成される流路部材41と、上面に金属膜13が形成されたプリズム14と、流路部材41を、プリズム14の上面と接合させた状態で保持する保持部材42と、保持部材42の上方に配置される蓋部材43とからなる。
プリズム14には、その上面に、蒸着によって金属膜13が形成される。この金属膜13は、流路部材41に形成された複数の流路16と対向するように短冊状に形成される。さらに、この金属膜13の上面(センサ面13a)には、各流路16に対応する部位に、リンカー膜22が形成される。また、プリズム14の長手方向の両側面には、保持部材42の係合部42aと係合する係合爪14aが設けられている。これらの係合により、流路部材41が保持部材42とプリズム14とによって挟み込まれる。流路部材41の底面41bは、プリズム14の上面と対向する対向面であり、流路部材41は、その底面41bとプリズム14の上面とが圧接した状態で保持される。こうして、流路部材41、金属膜13およびプリズム14が組み立てられて、センサユニット12が完成する。
また、プリズム14の短辺方向の両端部には、突部14bが設けられている。後述するように、センサユニット12は、ホルダ52(図4参照)に収納された状態で、固定が行われる。突部14bは、ホルダ52と係合することにより、センサユニット12をホルダ内の所定の収納位置に位置決めするためのものである。
このプリズム14の素材としては、例えば、ホウケイクラウン(BK7)やバリウムクラウン(Bak4)などに代表される光学ガラスや、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)、非晶性ポリオレフィン(APO)などに代表される光学プラスチックなどが用いられる。
保持部材42の上部には、各流路16の出入口16a,16bに対応する位置に、ピペット(19a,19b,26a,26b)の先端が進入する受け入れ口42bが形成されている。受け入れ口42bは、ピペットから吐出される液体が各出入口16aへ導かれるように、漏斗形状をしている。保持部材42が流路部材41を挟み込んでプリズム14と係合すると、受け入れ口42bの下面は、出入口16a,16bと接合して、受け入れ口42bと流路16とが連結される。
また、これら各受け入れ口42bの両脇には、円筒形のボス42cが設けられている。これらのボス42cは、蓋部材43に形成された穴43aと嵌合して、蓋部材43を位置決めするためのものである。蓋部材43は、受け入れ口42bおよびボス42cに対応する位置に穴が空けられた両面テープ44によって、保持部材42の上面に貼り付けられる。
蓋部材43は、流路16に通じる受け入れ口42bを覆うことで、流路16内の液体の蒸発を防止する。蓋部材43は、弾性部材、例えば、ゴムやプラスチックで形成されており、各受け入れ口42bに対応する位置に、十字形のスリット43bが形成されている。蓋部材43は、流路16内の液体の蒸発を防止するためのものであるから、受け入れ口42bを覆う必要があるが、完全に覆ってしまっては、ピペットを受け入れ口42bに挿入することができない。そこで、スリット43bを形成することで、ピペットの挿入を可能とするとともに、ピペットを挿入していない状態では、受け入れ口42bが塞がれるようにしている。スリット43bは、ピペットが押し込まれると、スリット43bの周辺が弾性変形(図1参照)して、スリット43bの口が大きく開いて、ピペットを受け入れる。そして、ピペットを抜くと、弾性力によってスリット43bが初期状態に復帰して、受け入れ口42bを塞ぐ。
流路部材41は長尺状をしており、3つの流路16が、その長手方向に沿って配列されている。上述したとおり、流路16は、略U字形をしており、流路部材41の底面41bに形成されセンサ面13aと対向して液体をセンサ面13aと接触させながらそれと平行に流す対向部分16cと、一端が対向部分16cと接続し、他端にそれぞれ出入口16a,16bが形成され、対向部分16cから垂直に立ち上がって流路部材41を上下方向に貫通する貫通部分16dとからなる。出入口16aから流路16へ注入された液体は、垂直部分を通って対向部分16cに流れ込み、センサ面13aに送液される。
図4に示すように、対向部分16cは、底面41bに形成された溝であり、底面41bが金属膜13と当接すると、溝がセンサ面13aによって封止される。こうして流路16は、金属膜13とともにセンサセル17(図1参照)を構成する。
図5に示すように、流路16の1対の出入口16a,16bの間隔は、例えば、約10mmである。貫通部分16dの直径Dは、約0.7〜0.8mmである。対向部分16cの幅Wは、約1mmである。また、センサ面13aと対向部分16cの天上までの間隔である流路16の高さ(以下、流路高さという)Hは、後述するように、約0.3mm〜約0.5mmの間で可変になっている。
というのは、固定処理の際には、この流路高さHが高い方が、対向部分16cの容積が大きくなるのでより多くのリガンドを注入することができ、センサ面13aに固定されるリガンドの固定量が多くなる。こうしたメリットは、固定の際に、リガンド溶液を流路16に注入した後、流路16内のリガンド溶液の流れを止めて、流路16内で滞留させる、いわゆるフロー&ストップ方式で送液する場合において、特に顕著である。フロー&ストップ方式の送液方法は、リガンド溶液を流路16内で滞留させることなく流し続ける、いわゆる連続フロー(Continuous Flow)方式の送液方法と比べて、リガンド溶液内のリガンドの自然拡散を利用して固定量を得る割合が高い。流路高さが高ければ容積が大きくなり、リガンドの拡散率が上昇するので固定量が上がる。そのため、流路高さを高くすることのメリットは、連続フロー方式と比べて、より自然拡散に対する依存率が高いフロー&ストップ方式の方が大きい。
他方、測定処理は、反応の時間変化を調べるため、センサ面13aにおいて異種の液体(例えば、バッファとアナライト溶液)が混ざることなく短時間で置換されることが重要になる。このため、測定処理の際には、固定処理とは反対に、流路高さHは、低ければ低いほどよい。というのは、例えば、センサ面13aからのアナライトの脱離反応を検出する場合には、アナライト溶液27からバッファ45へ流路16内の液体が置換される。対向部分16cを流れるアナライト溶液27は、粘性のために、流路の中心からその内壁に相当するセンサ面13aに向かって速度勾配を持ち、センサ面13a付近の流速は中心と比べて低下する。この流速の低下は流路高さHが低いほど抑制されるので、新たに注入されたバッファ45によってセンサ面13a上のアナライトが押し出されて、その残留量が減る。これにより、短時間で高い液置換率が確保される。なお、測定処理において流路高さを低くすることは、上記各送液方法(フロー&ストップ方式及び連続フロー方式)のいずれにおいても効果的である。
図6は、測定時(結合反応から脱離反応まで)のSPR信号のグラフであり、図6(A)は、流路高さHが500μmの場合のグラフであり、図6(B)は、流路高さHが300μmの場合のグラフである。ここで、SPR信号の単位RU(レゾナンスユニット)は、センサ面13a上の屈折率変化による減衰角の変化量を表し、それが高ければ高いほど変化量は大きい。
まず、流路16をバッファ45で満たして、SPR信号のベースラインが測定される。この状態で、流路16へアナライト溶液27が注入されると、バッファ45が押し出されてセンサ面13aにアナライト溶液27が送られる。そうすると、センサ面13a上でリガンドとアナライトの結合反応が生じ、SPR信号のレベルが上昇する。この後、アナライト溶液27を流路16内に満たした状態で、バッファ45が流路16へ注入されて、アナライト溶液27からバッファ45へ置換される。この置換時の測定信号から脱離反応が解析される。図6(A),(B)の各グラフからわかるように、バッファ45を1回注入したときの信号レベルが、図6(A)に示す流路高さH=500μmの場合の方が、図7(B)に示す流路高さH=300μmの場合よりも高い。これは、センサ面13a上のアナライトの残留量が多いことを意味し、液置換が遅れていることを表している。流路高さH=500μmの場合でも、2回目のバッファ45の注入により、信号レベルがベースラインに復帰するが、このように置換が遅れると、流路高さH=300μmの場合と比較して、脱離反応の反応速度の測定精度が低下する。このように、固定処理と測定処理とでは、要求される流路高さHの値が異なる。そのため、流路部材41は、流路高さHが約300μm〜約500μmの間で可変にされている。
図7及び図8は、それぞれ流路部材41の断面図であり、図7は、流路16の対向部分16cを流れ方向と平行に切断した断面を示し、図8は、流路16の対向部分16cを流れ方向と直交して切断した断面を示す。流路部材41は、その基本的な形状を決める骨格部分となる本体46と、本体46の底面と本体46の流路部分の内壁面とを覆う被覆部47とからなる。本体46は、比較的硬質な硬質材料で形成され、被覆部47は、前記硬質材料よりも軟質な軟質材料で形成される。これら本体46と、被覆部47とは、同一金型内で異なる複数の材料を組み合わせて成形する成形法であるいわゆる二色成形法(ダブルモールド)によって一体成形される。
流路16は、対向部分16cばかりでなく各貫通部分16dの内壁も被覆部47によって覆われる。これにより、固定機4のピペット対19や測定機6のピペット対26(図1参照)が挿入されたときに、被覆部47が変形して各ピペットの先端と貫通部分16dとの間の隙間が埋められる。
流路部材41は、保持部材42とプリズム14との間に挟み込まれて、両者が係合すると、その底面41bを構成する被覆部47がセンサ面13aに圧接される。被覆部47には、その対向部分16cの周縁部において、センサ面13aに向かって突出した突出部47aが形成される。この突出部47aがセンサ面13aと圧接し、この圧接により突出部47aが変形して、対向部分16cの底部がセンサ面13aによって水密に塞がれる。
こうして、流路部材41は挟持によって変形するが、加圧によって流路部材41の全体が変形してしまうと、流路16とセンサ面13aとの相対位置の位置がずれる等の不都合が生じる。そのため、流路部材41の本体46に硬質材料を使用することにより、流路部材41の剛性を確保している。このように、硬さが異なる2種類の材料で流路部材41を形成することにより、対向部分16cの水密性を確保しつつ、流路16とセンサ面13aとの位置ズレが防止される。
また、図8(A),(B)に示すように、流路部材41は、加えられる押圧力の変化に応じて変形量が変わる。これにより、流路高さHを固定時と測定時で変化させることができる。図8(A)は、保持部材42とプリズム14とによる挟持圧力のみによって流路部材41とセンサ面13aとが圧接しているときの標準状態を示し、この標準状態で固定処理がなされる。図8(B)は、前記挟持圧力以上の押圧力Fを加えたときの流路部材41とセンサ面13aとが圧接しているときの状態を示し、この状態で測定処理がなされる。固定処理のときの流路高さHは、例えば、約500μmであり、これを標準的な流路高さとすると、測定処理のときの流路高さHは、標準的な流路高さよりも低い高さ、例えば、約300μmにされる。これにより、固定時には流路高さを高くして(流路断面積を大きくして)、固定量を稼ぐことができるとともに、測定時には流路高さを低くして、測定精度を向上させることができる。
なお、本例では、固定時の流路高さHを約500μmとし、測定時の流路高さHを約300μmとしているが、上述したとおり、固定時の流路断面積は大きければ大きいほどよく、測定時の流路高さHは低ければ低いほどよい。そのため、例えば、固定時と測定時のそれぞれ流路高さの変化量を大きくして、固定時の流路高さをより高く、測定時の流路高さをより低くしてもよい。
突出部47aは、流路部材41を変形しやすくするためのものである。すなわち、この突出部47aを設けることで、それが無い場合と比べて、流路高さHを変化させるための変形部分の容積を小さくすることができるので、小さい力で流路高さHを変化させることが可能になる。本体46には、この突出部47aの内部に、突出部47aの変形量を規制することにより、流路高さHの変化量を規制する規制部46aが設けられている。規制部46aは、例えば、本体46と一体に成形される。この規制部46aを設けることにより、流路部材41に所定値以上の力が加わった場合でも、必要以上に流路高さHが低くなることが防止される。
本体46及び被覆部47の材料としては、それぞれ硬さが異なるゴム,プラスチック,シリコンなどが使用される。被覆部47は、流路16の内壁面を構成し、流路16を流れる試料溶液と接する。そのため、被覆部47に使用される軟質材料としては、試料溶液中に溶解した試料の吸着が少ない材料であることが好ましい。しかし、試料は、その特性が未知であるのが通常であるので、それがどういった材料に対して吸着するかが予めわからない場合が多い。そのため、多様な物質に対する吸着性が少ない、いわゆる非特異吸着の少ない材料であることが好ましい。こうした非特異吸着の少ない材料としては、例えば、非晶質ポリオレフィンエラストマーなどがある。なお、本体46に使用される硬質材料としては、例えば、ポリプロピレンなどの晶質ポリオレフィンが用いられる。
また、被覆部47の材料としては、加圧によって変形可能であることが必要であるが、弾性変形する材料でもよいし、1度測定処理を行った後、センサユニット12を再使用しないのであれば、塑性変形する材料でもよい。しかし、被覆部47は、流路16の水密性を確保する必要があるので、弾性を備えていた方が好ましい。
図9に示すように、固定機10は、筐体のベースとなる筐体ベース50上に、複数のセンサユニット12を載置する載置スペース51が確保されている。センサユニット12は、この載置スペース51で載置された状態で固定工程のすべての処理が施される。したがって、この載置スペース51は、センサユニット12に対して固定工程を実行する固定ステージとなる。
センサユニット12は、ホルダ52に収納された状態で固定機10にセットされる。ホルダ52は、センサユニット12を複数個(例えば、8個)収納できるようになっている。ホルダ52には、センサユニット12の突部14bと嵌合して、センサユニット12を位置決めする嵌合部が設けられている。また、ホルダ52の底部は、センサユニット12の両端部を支持する支持部を除いて、開口になっている。後述するように、測定工程において、センサユニット12をホルダ52から取り出す場合には、この開口から押し上げ部材81a(図10参照)が挿入されてセンサユニット12が押し上げられる。
載置スペース51には、ホルダ52を、例えば、10個並べて配置することができるようになっており、その数に応じた台座53が設けられている。各台座53上には、ホルダ52を位置決めする位置決め用のボスが設けられている。
固定機10には、ヘッド本体にピペット対19を3組連装したピペットヘッド54が設けられている。このピペットヘッド54が、載置スペース51に配列されたセンサユニット12にアクセスして、液体の注入や排出を行う。ピペットヘッド54には、ピペット対19が3組設けられているので、1つのセンサユニット12に含まれる3つのセンサセル17に対して同時に液体を注入(および排出)することができる。固定機10には、図示しないコントローラが設けられており、このコントローラによって、各ピペット対19の吸い込みや吐き出しの動作に関して、そのタイミング、吸い込み量および吐き出し量などが、ピペットヘッド54ごとにそれぞれ制御される。
筐体ベース50には、このピペットヘッド54をX、Y、Zの3方向に移動させるヘッド移動機構56が設けられている。ヘッド移動機構56は、例えば、搬送ベルト、プーリ、キャリッジ、モータなどから構成される周知の移動機構であり、ピペットヘッド54を上下させる昇降機構と、この昇降機構ごとピペットヘッド54をY方向へ移動自在に保持するガイドレール58を含むY方向移動機構と、前記ガイドレール58を両端で保持し、ガイドレール58毎、ピペットヘッド54をX方向へ移動させるX方向移動機構とからなる。ヘッド移動機構56は、コントローラによって制御されており、コントローラは、このヘッド移動機構56を駆動して、ピペットヘッド54の上下左右の位置を制御する。
筐体ベース50上には、流路16へ注入する種々の液体(リガンド溶液、洗浄液、固定用バッファ,乾燥防止液,活性化液,ブロッキング液など)を保管する複数の液保管部61が設けられている。液保管部61の数は、使用する液体の種類に応じて決定される。各液保管部61には、挿入口が6個並べて設けられている。この挿入口の数および配列ピッチは、ピペットヘッド54のピペットの数と配列ピッチに応じて決められる。ピペットヘッド54は、センサセル17へ液体を注入する場合には、各液保管部61へアクセスして、所望の液体を吸い込み、その後、載置スペース51へ移動して、センサユニット12へ注入する。
また、筐体ベース50上には、ピペットチップ62を保管するピペットチップ保管部63が設けられている。ピペットチップ62は、ピペット19a,19bの先端部に交換可能に取り付けられる。ピペットチップ62は、液体と直接接触するので、このピペットチップ62を介して異種の液体の混液が生じないように、使用する液体毎に交換される。各ピペット19a,19bには、ピペットチップ62のピックアップとリリースを行う機構が設けられており、ピペットチップ62の交換が自動的に行われるようになっている。ピペットチップ62を交換する際には、ピペットヘッド54は、まず、使用済みのピペットチップ62を図示しない廃却部でリリースし、この後、ピペットチップ保管部63にアクセスして未使用のピペットチップ62をピックアップする。
また、符合64は、複数のウエル状の升がマトリックスに配列されたウエルプレートであり、ピペットで吸い上げた液体を一時的に保管したり、複数種類の液体を混合して混合液を調整する際に用いられる。
固定を開始する際には、固定機10の筐体はカバー(図示せず)によって覆われて、載置スペース51を含む固定機10の内部は、外部から遮蔽される。固定機10内の温度は、温度調節器(図示せず)によって調節が可能になっている。センサセル17にリガンドを注入後、センサ面13aへのリガンド21aの固定化が完了するまでの間、センサユニット12は、載置スペース51上で所定時間保管される。この保管中に、必要に応じて流路16内のリガンド溶液21が攪拌される。この間の固定化の進行度合いは、センサユニット12の環境条件(温度)によって左右される。そのため、温度調節器によって固定機10の内部温度が所定の温度に保たれる。設定される温度や静置時間などは、リガンド21aの種類などに応じて適宜決められる。
固定が完了すると、センサセル17に対して、バッファ(洗浄液)が注入される。バッファは、センサセル17をリガンド溶液で満たしたままの状態で、バッファを吸い込んだピペット19aをスリット43bへ挿入して、センサセル17へ注入される。バッファが注入口16aから流路へ吐き出されると、流路16に注入済みのリガンド溶液が排出口16bに向けて押し出されて、排出される。そして、ピペット19aの注入動作に連動して吸い込み動作を行うピペット19bによって、排出されるバッファが吸い込まれる。これにより、センサセル17内の液の置換(入れ替え)が行われる。
そして、洗浄が終了した後、上記と同様の手順によって、センサセル17に対して、リガンド21aの乾燥を防止する乾燥防止液を注入してもよい。こうしておくことで、測定が開始されるまでの間、リガンドの乾燥が防止される。
図5に示すように、測定機11は、ホルダ搬送機構71、ピックアップ機構72、ヘッド移動機構73、測定ステージ74からなり、これらの各部が筐体75に収容されている。ホルダ搬送機構71は、搬送ベルト76と、この搬送ベルト76に取り付けられたキャリッジ77と、このキャリッジ77に取り付けられ、固定済みのセンサユニット12が収納されたホルダ52を載置するプレート78とからなる。ホルダ搬送機構71は、ホルダ52が載置されたプレート78をX方向へ移動させることにより、ホルダ52内の各センサユニット12を、ピックアップ機構72がピックアップするピックアップ位置へ運ぶ。
ピックアップ機構72は、ホルダ52からセンサユニット12をピックアップする機構であり、ホルダ52に収納されたセンサユニット12を下方から上方に向けて押し上げる押し上げ機構81と、この押し上げ機構81によってホルダ52の上方に押し上げられたセンサユニット12を両脇から挟み込んで保持するハンドリングヘッド82とからなる。
上述したとおり、ホルダ52の底部は開口になっており、また、プレート78も、その開口に対応する位置が中空になっている。押し上げ機構81は、プレート78の下方から上昇して、プレート78を通過し、ホルダ52の開口へ進入してセンサユニット12の底面と当接して、これを押し上げる押し上げ部材81aと、この押し上げ部材81aを駆動して上下に昇降させる押し上げ部材駆動機構81bとからなる。
ハンドリングヘッド82は、センサユニット12を挟み込む1対の爪が設けられており、この爪でセンサユニット12を掴んで保持する。ハンドリングヘッド82は、ヘッド本体82aがナット84を介してボールネジ86に取り付けられており、ホルダ52上方のピックアップ位置と、測定ステージ74との間で移動自在に設けられている。ハンドリングヘッド82は、ピックアップ位置でセンサユニット12を掴み、それを保持した状態でY方向へ移動して、センサユニット12を測定ステージ74へ運ぶ。また、測定が終了した後、ピックアップ位置へ復帰して、使用済みのセンサユニット12をホルダ52上でリリースしてホルダ52へ戻す。
測定ステージ74には、センサユニット12が配置される位置の下方に、照明部32と、検出器33とが配置されている。測定ステージ74には、断面が略三角形の取り付け台90が設けられており、照明部32と検出器33は、この取り付け台90の対向する各斜面にそれぞれ取り付けられる。ハンドリングヘッド82によってピックアップ位置から運ばれてきたセンサユニット12は、その底面が取り付け台90の頂上に設けられたガイドレールと嵌合することによって進路をガイドされながら測定ステージ74へ運ばれる。
センサユニット12は、複数のセンサセル17を有しており、測定は各センサセル17毎に行われる。測定ステージ74では、センサユニット12を各センサセル17の配列ピッチでY方向に移動させることにより、各センサセル17を、照明部32の光路上の測定位置に順次進入させる。
なお、この図に示すように、センサユニット12へ照射される入射光線およびセンサ面13aで反射する反射光線の向きと、センサセル17の配列方向、すなわち、流路16の水平部分の流れ方向とが直交するように、照明部32および検出器33が配置される。
測定ステージ74の傍らには、アナライト溶液27を保管するウエルプレート88がプレート上に載置される。例えば、このウエルプレート88の各ウエルには、異なる種類のアナライト溶液27が収容される。なお、図示しないが、測定機11には、ピペット対26がアクセス可能な位置に、測定用バッファや洗浄液を収容するウエルプレート、交換用ピペットチップを収容するピペットチップ保管部が設けられている。
ヘッド移動機構73は、ピペット対26を有するピペットヘッド87を、X,Y,Zの3方向に移動させながら、ピペットヘッド87を測定位置にあるセンサユニット12と、ウエルプレート88とに運ぶ。ヘッド移動機構73は、固定機10のヘッド移動機構56とほぼ同様の構成である。ピペットヘッド87は、測定対象となるセンサセル17にアクセスして、液の注入及び排出を行う。ピペットヘッド87は、測定対象となる特定のセンサセル17に対して、1つずつ、液体の注入および排出を行うものであるから、固定機10のピペットヘッド54とは異なり、ピペット対26が1組だけ設けられている。
アナライトとリガンドとの結合反応を測定する際には、ピペットヘッド87が、ウエルプレート88にアクセスして、所望のアナライト溶液27を吸い込み、測定ステージ74へ移動して、測定位置にあるセンサセル17にアナライト溶液27を注入する。測定部31によるデータ読み取りは、アナライト溶液27を注入する前から開始され、アナライト溶液27が排出されるまで行われる。この間、検出器33が出力するSPR信号は、測定データとしてデータ解析機91に送信される。データ解析機91は、この測定データに基づいてアナライトとリガンドの反応状況を分析する。
また、測定ステージ74には、測定位置にセットされたセンサユニット12の上面を押圧して、流路高さHを標準的な高さよりも低くするための加圧機構93が設けられている。図11及び図12に示すように、加圧機構93は、測定位置に進入してセンサユニット12の上面を押圧する加圧位置と、測定位置から退避する退避位置との間で移動自在に設けられた押圧部100と、この押圧部96を移動させる駆動ギヤ97と、この駆動ギヤ97を回転させるモータ99とからなる。
押圧部100は、1対の長尺部材101,102からなり、各長尺部材101,102は、その後端部分がホルダー106のガイドレール106aに取り付けられてスライド自在に保持される。各長尺部材101,102は、センサユニット12の移動経路と直交する方向にスライドして、それぞれの先端部103,104が測定位置に進入してセンサユニット12と当接する。センサユニット12は、ハンドリングヘッド82のアーム82bにホールドされた状態で、測定位置に進入する。この進入時、押圧部100は、アーム82bとぶつかることがないように退避位置に移動する。これによりセンサユニット12の進入経路が確保される。そして、センサユニット12が測定位置にセットされた後、押圧部100は、各アーム82bの間から、測定位置に向けてスライドする。
長尺部材101,102の各先端部103は、略楔形をしている。先端部103は、それとセンサユニット12と当接する当接面103aが傾斜しており、先端が細く後端に向かって厚みが増す。退避位置から押圧位置に向けて、各長尺部材101,102が平行移動すると、図12の二点鎖線で示すように、まず、各当接面103aの中腹がセンサユニット12の上面の角に当接する。さらに、各長尺部材101,102が同方向に進むと、各当接面103aとセンサユニット12の当接位置が後端側に移動しながら、各先端部103がセンサユニット12の上方に進入する。各先端部103の厚みは後端に向けて増加するから、当接位置が移動していくに従って押圧力が増加する。センサユニット12の底面は取り付け台90によって支持されているので、この押圧力によって流路部材41の被覆部47が変形して、二点鎖線で示す位置から実線で示す位置に向かってセンサユニット12が下方に沈み込む。
各長尺部材101,102の移動がさらに進むと、センサユニット12に対する当接位置が、当接面103aを過ぎて水平部分に達し、この水平部分によってセンサユニット12が幅方向(流路の流れ方向と直交する方向)に均一な力で押圧される。こうして、流路高さHが、標準流路高さよりも下げられる。
また、測定対象となるセンサセル17には、その上方からピペット26が下降して配置されるので、押圧部100によってその上面を塞ぐことができない。各長尺部材101,102の間隔は、各長尺部材101,102が測定対象となるセンサセル17の両脇に配置されるように決定される。こうして、1対の長尺部材101,102でセンサユニット12を押圧するので、流路16がその流れ方向において傾いてしまうことがない。
各長尺部材101,102の後端部分には、それぞれラックギヤ108が形成されており、このラックギヤ108と駆動ギヤ97が噛合する。モータ99が回転すると、駆動ギヤ97が回転して、その回転方向に応じて各長尺部材101,102が進退する。
以下、上記構成による作用について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。まず、リガンドが未固定のセンサユニット12を固定機10にセットして、各センサセル17にリガンド溶液を注入して、流路16内で滞留させる。こうしてリガンド溶液をセンサ面13aに接触させて、リガンドを固定する。この固定時のリガンド溶液の流路16への注入は、標準流路高さ(H=500μm)で行われる。このため、リガンド溶液の注入量が多くなるので固定量を多くすることができる。リガンドが固定された後、流路16へバッファが注入される。
固定済みセンサユニット12は、測定機11にセットされる。ハンドリングヘッド82によって、ホルダ52からセンサユニット12が1つピックアップされて、測定ステージ74に送られる。センサユニット12が測定ステージ74に進入する際には、押圧部100は、退避位置に移動している。センサユニット12が測定位置にセットされると、押圧部100が各アーム82bの間から測定位置に進入する。押圧部100が、センサユニット12の上面と当接し、押圧位置へ移動すると、センサユニット12が上方から押圧されて、流路部材41が変形して流路高さが低くなる。この状態で測定処理が行われる。測定処理では、アナライト溶液が注入されて、その後再びバッファが注入される。この間、SPR信号が取得されて、アナライトとリガンドとの結合反応と、それらの脱離反応が測定される。測定処理は、流路高さHを低くして行われるので、置換速度が速くなり、高い測定精度が確保される。
上記実施形態のセンサユニットの加圧機構の構成は、1例であり、上記以外の各種の構成が考えられ、いずれでもよい。例えば、ピペットと同じように、センサユニットの上方から押圧部材を下降させて、センサユニットの上面から押圧するようにしてもよい。
また、流路部材を硬質材料と軟質材料で二色成形した例で説明したが、変形可能な単一の材料で成形してもよい。また、上記実施形態では、流路部材の底面に突出部を設けた例で説明している。突出部があることで小さな力で変形できるというメリットが得られるが、突出部はなくてもよい。
上記実施形態では、3つの流路を1列に並べたセンサユニットを使用した例で説明しているが、1ユニットに含まれる流路の数は3つに限らず、1つでもよいし、3つ以上設けてもよい。
また、センサユニットとして、金属膜、流路、プリズムを一体化した例で説明したが、これらのうち、プリズムをセンサユニットの構成要素から除いて、装置側に組み込んでもよい。また、流路と金属膜とが一体化されたセンサユニットを用いずに、上記チップ型センサを用いて測定を行う場合にも本発明を適用することもできる。チップ型センサを用いる場合には、測定装置に流路部材を設け、その流路の高さを測定時に固定時よりも低くして流路の断面積を小さくする。
なお、上記実施形態では、リガンドを固定する固定ステージと、アナライトとリガンドの反応を測定する測定ステージとを、それぞれ別筐体に設けた例で説明したが、両者を同一筐体内に配置してもよい。また、測定ステージと固定ステージとを別にしなくてもよく、1つのステージで固定と測定を行ってもよい。
また、本実施形態では、センサ面上にSPRを発生させて、そのときの反射光の減衰を検出するSPRセンサを例に説明したが、本発明のセンサユニット及び測定方法は、SPRセンサに限らず、全反射減衰を利用した測定に用いられる他のセンサ及び測定方法にも適用することができる。全反射減衰を利用するセンサとしては、SPRセンサの他に、例えば、漏洩モードセンサが知られている。漏洩モードセンサは、誘電体と、この上に順に層設されたクラッド層と光導波層とによって構成された薄膜とからなり、この薄膜の一方の面がセンサ面となり、他方の面が光入射面となる。光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させると、その一部が前記クラッド層を透過して前記光導波層に取り込まれる。そして、この光導波層において、導波モードが励起されると、前記光入射面における反射光が大きく減衰する。導波モードが励起される入射角は、SPRの共鳴角と同様に、センサ面上の媒質の屈折率に応じて変化する。この反射光の減衰を検出することにより、前記センサ面上の反応が測定される。
SPR測定方法の説明図である。 リンカー膜上のact領域とref領域の説明図である。 センサユニットの構成図である。 流路部材の底面を示す斜視図である。 流路の寸法の説明図である。 測定時のSPR信号波形を示すグラフである。 流れ方向に沿って切断した流路部材の断面図である。 流れ方向と直交する方向で切断した流路部材の断面図である。 固定機の説明図である。 測定機の説明図である。 加圧機構の説明図である。 押圧部の動作の説明図である。 固定処理及び測定処理のフローチャートである。
符号の説明
10 固定機
11 測定機
12 センサユニット
13 金属膜
13a センサ面
16 流路
16c 対向部分
17 センサセル
41 流路部材
46 本体
46a 規制部
47 被覆部
47a 突出部

Claims (15)

  1. 透明な誘電体と、この誘電体上に形成され表面がリガンドとアナライトの反応を検知するセンサ面となる薄膜と、前記センサ面に固定される前記リガンドが含まれるリガンド溶液と前記リガンドが固定された前記センサ面に前記アナライトを含むアナライト溶液とを送液する流路が形成された流路部材とからなり、前記リガンドを固定後、前記アナライト溶液を送液しながら、前記誘電体を通じて前記薄膜の裏面の光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させたときに前記薄膜の裏面で反射した反射光の減衰角が前記リガンドとアナライトとの反応状況に応じて変化する全反射減衰を利用したセンサユニットにおいて、
    前記流路部材には、前記流路のうち前記センサ面と対向する対向部分として、前記センサ面と対向して配置され、前記各試料溶液を前記センサ面と接触させながら流す溝が形成されるとともに、この流路部材の少なくとも一部を加圧により変形可能な材料で形成することで、前記溝の断面積を可変にしたことを特徴とする全反射減衰を利用したセンサユニット。
  2. 前記流路部材は、前記溝が形成され前記センサ面と対向する対向面が変形可能な材料で形成されていることを特徴とする請求項2記載の全反射減衰を利用したセンサユニット。
  3. 前記流路部材は、前記溝の周縁部に前記センサ面に向けて突き出す突出部が設けられており、この突出部を変形可能な材料で形成し、これを前記センサ面と当接させることを特徴とする請求項1又は2記載の全反射減衰を利用したセンサユニット。
  4. 前記変形可能な材料は、弾性を備えていることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の全反射減衰を利用したセンサユニット。
  5. 前記断面積が必要以上に小さくなることがないように、前記流路部材の変形量を規制する変形量規制部が設けられていることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の全反射減衰を利用したセンサユニット。
  6. 前記流路部材は、基本的な形状を決定する骨格部分となる本体と、この本体の周面の少なくとも一部に被覆される被覆部とからなり、この被覆部を変形可能な材料にしたことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の全反射減衰を利用したセンサユニット。
  7. 前記突出部は、前記被覆部の一部として設けられており、前記変形量規制部は、前記本体と一体に形成されるとともに、前記突出部の内部に配置されることを特徴とする請求項6記載の全反射減衰を利用したセンサユニット。
  8. 前記本体と前記被覆部は、それぞれ硬度の異なる2種類の材料が使用され、前記流路部材は、前記2種類の材料を用いて2色成形されることを特徴とする請求項6又は7記載の全反射減衰を利用したセンサユニット。
  9. 透明な誘電体上に形成された薄膜の表面をリガンド及びアナライトの反応を検知するセンサ面として用い、このセンサ面にリガンドを含むリガンド溶液を送液してリガンドを固定した後、前記センサ面に前記アナライトを含むアナライト溶液を送液して前記リガンドとアナライトとを接触させるとともに、前記誘電体を通じて前記薄膜の裏面に向けて全反射条件を満たすように光を入射させ、前記薄膜の裏面で反射した反射光を受光して、全反射減衰によって生じる前記反射光の減衰角の変化を調べることにより、前記リガンドとアナライトの反応状況を測定する全反射減衰を利用した測定方法において、
    前記リガンド溶液及びアナライト溶液を前記センサ面へ送液する際に、前記センサ面と対向して配置され前記各溶液を前記センサ面と接触させながら流す流路が形成された流路部材を用い、この流路部材を変形させることにより、前記固定時よりも前記流路の断面積を小さくして前記測定を行うことを特徴とする全反射減衰を利用した測定方法。
  10. 前記固定の際に、前記リガンド溶液を、前記流路に注入した後、前記流路内で滞留させることを特徴とする請求項9記載の全反射減衰を利用した測定方法。
  11. 透明な誘電体とこの誘電体上に形成される薄膜とからなり、その薄膜の表面がリガンドとアナライトの反応を検知するセンサ面となるセンサユニットが着脱自在にセットされるステージと、
    前記センサ面と対向して配置され前記リガンドを含むリガンド溶液及びアナライトを含むアナライト溶液を前記センサ面と接触させながら流す流路が形成された流路部材に前記各溶液を注入する注入手段と、
    前記流路部材を通じて前記リガンド溶液を送液して前記センサ面に前記リガンドを固定した後、前記流路部材を加圧によって変形させることにより前記流路のうち前記センサ面と対向する対向部分の流路断面積を前記固定時よりも小さくする加圧機構と、
    前記流路部材を通じて前記アナライト溶液を前記センサ面に送液する際に、前記誘電体を通じて前記薄膜の裏面に向けて全反射条件を満たすように光を入射させる光源と、
    前記薄膜の裏面で反射した反射光を受光する受光部とを備え、
    全反射減衰によって生じる前記反射光の減衰角の変化を調べることにより、前記リガンド及びアナライトの反応状況を測定する全反射減衰を利用した測定装置。
  12. 前記流路部材は、前記センサ面と対向する対向面に前記対向部分となる溝が形成されるとともに、弾性を備えた材料で形成されることを特徴とする請求項11記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  13. 前記加圧機構は、前記センサユニットと当接して押圧によって前記流路部材を変形させる押圧位置とこの押圧位置から退避する退避位置との間で移動自在に設けられた押圧部と、この押圧部を駆動する駆動部とからなることを特徴とする請求項11又は12記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  14. 前記押圧部は、先端部が楔形をした長尺部材であり、この先端部の傾斜面を前記センサユニットの上面に当接させながらスライドして前記センサユニットを押圧することを特徴とする請求項13記載の全反射減衰を利用した測定装置。
  15. 前記固定の際に、前記リガンド溶液を、前記流路に注入した後、前記流路内で滞留させることを特徴とする請求項11〜14いずれか記載の全反射減衰を利用した測定方法。
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