JP2006242857A - センサユニット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 複数の試料を測定できるようにした際にも、各流路形状のばらつきを抑えることができる全反射減衰を利用した測定装置に用いられるセンサユニットを提供する。
【解決手段】 センサユニット12は、上面に金属膜13が形成されたプリズム14と、金属膜13に液体を送液する流路16が形成された流路部材41と、流路部材41をプリズム14に圧接させた状態で保持する保持部材42とから構成されている。金属膜13の表面には、リガンドを固定化するリンカー膜22が複数設けられている。流路部材41は、このリンカー膜22毎に用意され、流路16とリンカー膜22とが対面するように配置される。各流路部材41、及びその流路16は、同一の金型で成形することができるので、各流路16の形状のばらつきが抑えられる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、全反射減衰を利用した測定装置に用いられるセンサユニットと、その製造方法に関する。
タンパク質やDNAなどの生化学物質間における相互作用の測定や、薬品のスクリーニングなどを行う際に、全反射減衰を利用して試料の反応を測定する測定装置が知られている。
このような全反射減衰を利用した測定装置の1つに、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance)現象を利用した測定装置(以下、SPR測定装置と称す)がある。なお、表面プラズモンとは、金属中の自由電子が集団的に振動することによって生じ、その金属の表面に沿って進む自由電子の粗密波である。
例えば、特許文献1などで知られるKretschmann配置を採用したSPR測定装置では、透明な誘電体(以下、プリズムと称す)上に形成された金属膜の表面をセンサ面として、このセンサ面上で試料を反応させた後、プリズムを介してセンサ面の裏面側から全反射条件を満たすように金属膜を照射し、その反射光を測定している。
全反射条件を満たすように金属膜に照射された光のうち、エバネッセント波と呼ばれるわずかな光は、反射せずに金属膜内を透過してセンサ面側に染み出す。この際、エバネッセント波の振動数と表面プラズモンの振動数とが一致するとSPRが発生し、反射光の強度を大きく減衰させる。SPR測定装置は、この反射光の減衰を捉えることにより、センサ面上の試料の反応状況を測定する。
タンパク質やDNAなどの生体試料は、乾燥による変性や失活を防ぐため、生理的食塩水や純水、または各種のバッファ液などの溶媒に溶かされた試料溶液として扱われることが多い。特許文献1記載のSPR測定装置は、こうした生体試料の相互作用などを調べるものであり、センサ面の上には試料溶液を送液するための流路が設けられる。また、センサ面にはリガンドとなる試料を固定させるためのリンカー膜が設けられており、流路にリガンド溶液を注入してリンカー膜にリガンドを固定(固定工程)させた後、アナライト溶液を注入してリガンドとアナライトとを接触(測定工程)させることにより、その相互作用を調べている。
また、特許文献1記載のSPR測定装置には、装置本体にプリズムと流路とが配置された測定ステージが設けられており、ガラス基板上に金属膜を形成したチップ型のセンサユニットを測定ステージに装着することで、前述の測定が行われる。
通常、リガンドの固定が完了するまでには1時間程度を有し、数分程度で終了する測定と比べて非常に時間がかかる。特許文献1記載のSPR測定装置では、固定工程と測定工程とを同一の測定ステージ上で行うため、固定工程を行っている間は測定ステージが占有されてしまい、他のセンサユニットの測定工程を行うことができないなど、作業が滞りがちになってしまうという問題があった。
また、作業効率を上げるために、複数のセンサユニットの固定工程を先に行っておき、測定工程をまとめて行うことも考えられるが、センサユニットは、センサ面を露出させており、固定工程を行ったものを保存しておくと、センサ面が乾燥して試料が変性や失活を起こしたり、センサ面に不純物が付着するなどして、正確な測定を行うことができなくなってしまうことがあった。
これらの問題を解決するため、本出願人は、流路が形成された流路部材と、上面に金属膜が形成されたプリズムと、流路部材の底面とプリズムの上面とを接合させた状態(流路と金属膜とを対面させた状態)で保持する保持部材とからなるセンサユニットを用いたSPR測定装置を提案している(例えば、特願2004−287615号明細書参照)。
このSPR測定装置では、センサユニット自体に流路とプリズムとが設けられているので、複数のセンサユニットの固定工程と測定工程とを並列に行うことが可能となり、作業効率を向上させることができる。また、流路が設けられたことにより、固定工程を行ったものを保存しておく際に、液体を注入した状態で保存することができ、センサ面の乾燥などを防ぐことができる。
また、このセンサユニットの各部材は、長尺状に成形されている。流路部材には、その長手方向に沿って複数の流路が連設されており、一つのセンサユニットで各流路に応じた複数の試料を測定できるようにしている。
特許第3294605号公報
金属膜との密着性を高めるため、流路部材には、例えば、ゴムなどといった弾性を有する樹脂材料が用いられている。こうした樹脂材料は、溶融した樹脂を金型内で固化させることによって成形(例えば、射出成形)されるのであるが、金型の加工精度などによって、各流路の形状にばらつきが生じてしまうという問題があった。こうした流路形状のばらつきは、試料溶液の送液量や送液速度に影響し、測定誤差に直結してしまう。
また、長尺状の流路部材は、樹脂の注入不足などによる成形不良が発生しやすく、上述したばらつきも起きやすい。さらに、流路部材の両端に位置する流路は、隣り合う流路が片側にしかなく、隣り合う流路が両側にある他の流路と比較して変形しやすい。そのため、保持部材でプリズムに圧接させる際に、両端に位置する流路と、他に位置する流路とでは、弾性変形の具合が異なり、この差異によっても各流路の形状にばらつきが生じてしまう。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、複数の試料を測定できるようにした際にも、各流路の形状にばらつきが生じることのないセンサユニットと、その製造方法とを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のセンサユニットは、透光性を有する誘電体ブロックの一面に形成され、表面が光の全反射減衰を利用して試料の反応状況を検知するためのセンサ面となる薄膜層と、前記センサ面と対面して配置され、前記試料を含む試料溶液を前記センサ面に接触させながら流す流路とからなる複数のセンサセルを備え、前記流路を形成する流路部材を、前記各センサセル毎に設け、それぞれを前記薄膜層上に並べて配置したことを特徴とする。
なお、前記流路と前記センサ面とが対面した状態で、前記各流路部材を前記誘電体ブロックに保持する保持部材を設けることが好ましい。
さらに、本発明のセンサユニットの製造方法は、透光性を有する誘電体ブロックの一面に形成され、表面が光の全反射減衰を利用して試料の反応状況を検知するためのセンサ面となる薄膜層と、前記センサ面と対面して配置され、前記試料を含む試料溶液を前記センサ面に接触させながら流す流路とからなる複数のセンサセルを備え、前記流路を形成する流路部材を、同一の金型で成形し、成形された前記流路部材を、前記流路と前記センサ面とが対面するように前記各センサセルのそれぞれに配置して、前記誘電体ブロックに取り付けることを特徴とする。
本発明のセンサユニットによれば、センサ面と対面して配置された際に、試料を含む試料溶液をセンサ面に接触させながら流す流路が形成される流路部材を、各センサセル毎に設けるようにしたので、各流路部材、及びその流路を同一の金型で成形することが可能となり、複数の試料を測定できるようにした際にも、各センサセル毎に生じる流路形状のばらつきを抑えることができる。
図1は、全反射減衰を利用した測定装置としてのSPR測定装置2の概略構成を示すブロック図である。SPR測定装置2は、リガンドの固定(固定工程)を行う固定機4と、固定化したリガンドにアナライトを加えて両者の反応状況を測定(測定工程)する測定機6と、この測定機6によって得られたデータの解析(データ解析工程)を行うデータ解析機8とから構成されている。また、固定工程と測定工程とは、別体となったセンサユニット12に対して行われ、複数の試料の測定が円滑に行われるようにされている。
図2は、センサユニット12の概略構成を示す分解斜視図である。センサユニット12は、上面に金属膜(薄膜層)13が形成されたプリズム(誘電体ブロック)14と、金属膜13に液体を送液する流路16が形成された流路部材41と、プリズム14の上面と流路部材41の底面とを圧接させた状態で保持する保持部材42と、この保持部材42の上方に配置される蓋部材43とから構成されている。また、金属膜13の表面には、リガンドを固定化するリンカー膜22が複数(本例では3つ)設けられている。各リンカー膜22は、長尺状のプリズム14と金属膜13との長手方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられており、流路部材41は、このリンカー膜22毎に別体に用意され、各流路16と各リンカー膜22とが対面するように金属膜13上に並べて配置されている。なお、本例では、リンカー膜22及び流路部材41の数が3つの例を示しているが、これらの数は、3つに限らず、1つ又は2つでもよいし、4つ以上でもよい。
各流路部材41に形成された流路16は、略コの字型に屈曲された送液管であり、液体を注入する注入口16aと、それを排出する排出口16bとを有している。流路16の管径は約1mm程度であり、注入口16aと排出口16bとの間隔は、約10mm程度である。また、流路16の底部は開放されており、この開放部位は、プリズム14と圧接した際に、金属膜13によって覆われて密閉される。以下、金属膜13のうち、この開放部位で囲まれた部分(図4参照)を、センサセル17と称す。すなわち、センサユニット12は、リンカー膜22の数に応じて3つの試料の測定を行えるようにしたマルチチャンネル型のセンサユニットである。
流路部材41は、金属膜13との密着性を高めるため、例えば、ゴムやPDMS(ポリジメチルシロキサン)などの樹脂材料で成形されている。これにより、流路部材41は、プリズム14の上面と圧接された際に、弾性変形して金属膜13との接触面の隙間を埋め、流路16の開放された底部をプリズム14とともに水密に覆う。樹脂材料の成形には、例えば、射出成形法や圧縮成形法などが用いられる。複数のセンサセル17のそれぞれに対応した各流路部材41は、上述の成形法において、図3に示すように、同一の金型50で成形される。
各流路16と対面する長尺状の金属膜13は、例えば、蒸着によって形成される。この金属膜13には、例えば、金や銀が用いられ、その膜厚は、例えば、50nmである。なお、この膜厚は、金属膜13の素材や、照射される光の波長などに応じて適宜選択される。また、これ以降においては、金属膜13のうち、リンカー膜22が形成された側の面をセンサ面13a、この裏面(プリズム14に接触している面)を光入射面13bと称す。プリズム14は、入射した光を光入射面13bに向けて集光するものであり、金属膜13は、全反射条件を満たすように光入射面13bに光が入射した際に、センサ面13aでSPRを発生させる。
プリズム14の長辺側の両側面には、保持部材42の係合部42aと係合する係合爪14aが設けられている。これらの係合により、各流路部材41が保持部材42とプリズム14とによって挟み込まれ、その底面とプリズム14の上面とが圧接した状態で保持される。さらに、プリズム14の両端部には、突部14bが設けられている。センサユニット12は、図示を省略したホルダに収納された状態で、固定が行われる。突部14bは、ホルダに形成されたスリットに嵌り込むことにより、センサユニット12をホルダ内の所定の収納位置に位置決めする。
なお、プリズム14には、例えば、ホウケイクラウン(BK7)やバリウムクラウン(Bak4)などに代表される光学ガラスや、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネイト(PC)、非晶性ポリオレフィン(APO)などに代表される光学プラスチックなどを用いることができる。
保持部材42の上面には、各流路16の注入口16a及び排出口16bに対応する位置に、ピペットなどの送液手段の先端部を進入させる受け入れ口42bが形成されている。これらの受け入れ口42bは、ピペットから吐出された液体が各注入口16aに導かれるように漏斗状に成形されている。また、各受け入れ口42bは、保持部材42が各流路部材41を挟み込んでプリズム14と係合した際に、それぞれの注入口16a及び排出口16bと当接して、流路16と連結する。
また、各受け入れ口42bの両脇には、円柱状のボス42cが設けられている。これらのボス42cは、蓋部材43に形成された穴43aと嵌合して、蓋部材43を位置決めする。蓋部材43は、各受け入れ口42b及び各ボス42cに対応する位置に穴が空けられた両面テープ44によって、保持部材42の上面に貼り付けられる。
蓋部材43は、各流路16に通じる各受け入れ口42bを覆うことで、各流路16内に注入された液体の蒸発を防止する。この蓋部材43は、例えば、ゴムやプラスチックなどの弾性材料で成形されており、各受け入れ口42bに対応する位置には、十字型のスリット43bが形成されている。これにより、蓋部材43は、スリット43bを弾性変形させてピペットの挿入を可能にするとともに、ピペットが抜かれた状態では初期状態を保持して受け入れ口42bを塞ぐ。
図4に示すように、金属膜13上に形成された各リンカー膜22には、リガンドが固定されてアナライトとリガンドとの反応が生じる測定領域22aと、リガンドが固定されず、測定領域22aの信号測定に際しての参照信号を得るための参照領域22bとが設けられている。この参照領域22bは、リンカー膜22を製膜する際に形成される。その形成方法としては、例えば、リンカー膜22に対して表面処理を施し、リンカー膜22の半分程度の領域について、リガンドと結合する結合基を失活させることにより、リンカー膜22の半分が測定領域22aとなり、残りの半分が参照領域22bとなる。
次に、図5に示す説明図を用いて、SPRの測定方法について説明する。リンカー膜22にリガンドを固定する固定工程は、センサユニット12を固定機4にセットして行われる。固定機4には、1対のピペット19a、19bからなるピペット対19が設けられている。ピペット対19の各ピペット19a、19bは、注入口16a、排出口16bのそれぞれに挿入される。各ピペット19a、19bは、それぞれが流路16への液体の注入と、流路16からの吸い出しを行う機能を備えており、一方が注入動作を行っているときには、他方が吸い出し動作を行うというように、互いに連動する。固定機4は、このピペット対19を用いて、リガンドを溶媒に溶かしたリガンド溶液21を、注入口16aから注入する。
固定機4は、リガンド溶液21を注入するリガンド固定化処理を行う前の前処理として、まず、リンカー膜22に対して固定用バッファ液を送液してリンカー膜22を湿らせた後、リンカー膜22にリガンドを結合しやすくするリンカー膜22の活性化処理を施す。例えば、アミンカップリング法では、リンカー膜22としてカルボキシメチルデキストランが使用され、リガンド内のアミノ基をこのデキストランに直接共有結合させる。この場合の活性化液としては、N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)と、N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)との混合液が使用される。固定機4は、この活性化処理の後、固定用バッファ液によって流路16を洗浄する。
なお、固定用バッファ液や、リガンド溶液21の溶媒(希釈液)としては、例えば、各種のバッファ液(緩衝液)の他、生理的食塩水に代表される生理的塩類溶液や、純水などが使用される。これらの各液の種類、pH値、混合物の種類及びその濃度などは、リガンドの種類に応じて適宜決められる。例えば、リガンドとして生体試料を使用する場合には、pHを中性付近に調整した生理的食塩水が用いられる場合が多い。しかし、上記アミンカップリング法では、リンカー膜22が、カルボキシメチルデキストランにより負(マイナス)に帯電するので、このリンカー膜22と結合しやすいようにタンパク質を陽(プラス)に帯電させるため、生理的とはいえない高濃度のリン酸塩を含む緩衝作用の強いリン酸緩衝溶液(PBS:phosphatic-buffered,saline)などが使用される場合もある。
固定機4は、こうした活性化処理及び洗浄を行った後、流路16にリガンド溶液21を注入して、リガンド固定化処理を行う。リガンド溶液21が流路16へ注入されると、溶液中に拡散しているリガンド21aが徐々にリンカー膜22に堆積して結合し、リンカー膜22上にリガンド21aが固定される。なお、固定化には、通常1時間程度かかり、この間、センサユニット12は、温度などの環境条件が所定の条件に設定された状態で保管される。また、固定化が進んでいる間、流路16内のリガンド溶液21を静置しておいてもよいが、流路16内のリガンド溶液21を攪拌して流動させることが好ましい。こうすることで、リガンド21aとリンカー膜22との結合が促進され、リガンド21aの固定量を増加させることができる。
固定機4は、リンカー膜22へのリガンド21aの固定化が完了すると、リガンド溶液21をピペット19bによって吸い出して流路16から排出させた後、流路16に洗浄液を注入して固定化が完了したリンカー膜22の洗浄を行う。また、固定機4は、必要に応じてブロッキング液を注入し、リガンドと結合しなかったリンカー膜22の反応基を失活させるブロッキング処理を行う。ブロッキング液としては、例えば、エタノールアミン−ヒドロクロライドが使用される。このブロッキング処理を行った場合には、再び流路16が洗浄される。最終的な洗浄を行った後、固定機4は、流路16に乾燥防止液を注入する。センサユニット12は、リンカー膜22が乾燥防止液に浸された状態で測定までの間保管される。
測定工程は、センサユニット12を測定機6にセットして行われる。測定機6には、固定機4のピペット対19と同様のピペット対26と、センサユニット12に光を照射してリガンドとアナライトとの反応状況を測定する測定部31とが設けられている。ピペット対26は、固定機4のピペット対19と同様に、注入口16aから流路16へ各種の液体を注入する。
測定部31は、照明部32と検出器33とから構成されている。リガンドとアナライトとの反応状況は、共鳴角(金属膜13に照射された光の入射角)の変化として表れるので、照明部32は、全反射条件を満足する様々な入射角の光を光入射面13bに対して照射する。照明部32は、例えば、光源34と、集光レンズ、拡散板、偏光板などからなる光学系36とから構成され、配置位置及び設置角度は、照明光の入射角が全反射条件を満足するように調整される。
光源34としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)、LD(Laser Diode)、SLD(Super Luminescent Diode)などの発光素子が用いられる。光源34は、こうした発光素子を1個使用し、この単一光源から光入射面13bに向けて光を照射する。拡散板は、光源34からの光を拡散して、発光面内の光量ムラを抑える。偏光板は、照射光のうちSPRを生じさせるp偏光(入射面に平行な振動電場を持つ直線偏光)のみを通過させる。なお、LDを使用する場合など、光源34が発する照射光自体の偏光の向きが揃っている場合には、偏光板は不要である。また、偏光が揃っている光源を使用した場合でも、拡散板を通過したことによって偏光の向きが不揃いになってしまう場合には、偏光板を使用して偏光の向きを揃える。こうして拡散及び偏光された光は、集光レンズによって集光されてプリズム14に照射される。これにより、光強度にバラツキがなく様々な入射角を持つ光を光入射面13bに入射させることができる。
検出器33は、光入射面13bで反射する光を受光して、その光強度に応じたレベルの電気信号を出力する。光入射面13bには、様々な角度の光が入射するので、光入射面13bでは、それらの光が、それぞれの入射角に応じた反射角で反射する。検出器33は、これらの様々な反射角の光を受光する。この検出器33には、例えば、CCDエリアセンサやフォトダイオードアレイが用いられ、光入射面13bにおいて様々な反射角で反射する反射光を受光して光電変換し、それをSPR信号としてデータ解析機8に出力する。
また、リンカー膜22の上には、測定領域22aと参照領域22bとが形成されている。検出器33は、測定領域22aに対応するSPR信号を測定信号として出力し、参照領域22bに対応するSPR信号を参照信号として出力する。
測定機6が測定工程を行う際には、まず、流路16に測定用バッファ液を注入する。この後、アナライトを溶媒に溶かしたアナライト溶液27を注入し、その後、再び測定用バッファ液を注入する。なお、最初に測定用バッファ液を注入する前に、一度流路16の洗浄を行うようにしてもよい。検出器33によるデータの読み取りは、基準となる信号レベルを検出するために、最初に測定用バッファ液を注入した直後から開始され、アナライト溶液27を注入した後、再び測定用バッファ液が注入されるまでの間行われる。これにより、基準レベルの検出、アナライトとリガンドとの反応状況、結合したアナライトとリガンドとの測定用バッファ液注入による脱離までのSPR信号を測定することができる。
測定用バッファ液や、アナライト溶液27の溶媒(希釈液)としては、例えば、各種のバッファ液(緩衝液)の他、生理的食塩水に代表される生理的塩類溶液や、純水などが使用される。これらの各液の種類、pH値、混合物の種類及びその濃度などは、リガンドやアナライトの種類に応じて適宜決められる。例えば、アナライトを溶けやすくするために、生理的食塩水にDMSO(ジメチル−スルホ−オキシド)を含ませてもよい。このDMSOは、信号レベルに大きく影響する。上述したとおり測定用バッファ液は、基準レベルの検出に用いられるので、アナライト溶液27中にDMSOが含まれる場合には、そのDMSO濃度と同程度のDMSO濃度を有する測定用バッファ液使用することが好ましい。
なお、アナライト溶液27は、長時間(例えば、1年)保管されることも多く、そうした場合には、経時変化によって初期のDMSO濃度と測定時のDMSO濃度との間に濃度差が生じてしまう場合がある。厳密な測定を行う必要がある場合には、こうした濃度差をアナライト溶液27を注入したときの参照信号のレベルから推定し、測定データに対して補正(DMSO濃度補正)を行うことが好ましい。
DMSO濃度補正のための補正データは、アナライト溶液27を注入する前に、DMSO濃度が異なる複数種類の測定用バッファ液を流路16に注入して、このときのDMSO濃度変化に応じた参照信号のレベルと測定信号のレベルの、それぞれの変化量を調べることにより求められる。
リガンドとアナライトとの反応状況は、検出器33の受光面内における反射光の減衰位置の推移として表れる。例えば、アナライトがリガンドと接触する前後では、センサ面13a上の屈折率が異なり、SPRが発生する共鳴角が異なる。そして、アナライトがリガンドと接触して反応を開始すると、それに応じて反射光の共鳴角が変化を開始し、受光面内における反射光の減衰位置が移動し始める。測定機6は、こうして得た試料の反応状況を表すSPR信号を、データ解析機8に出力する。
なお、図5では、測定機6の構成が明確になるように、便宜的に光入射面13bへの入射光線及びそこで反射する反射光線の向きが、流路16内を流れる液体の方向と平行になるように、照明部32と検出器33とが配置されているが、図4に示すように、実際には、入射光線及び反射光線の向きが、液体の流れる方向と直交する方向(紙面に直交する方向)に照射されるように、照明部32と検出部33とが配置される。但し、測定部31を、この図5に示すように配置して測定を行っても、何ら問題はない。
データ解析工程では、測定機6で得たSPR信号をデータ解析機8で解析して、アナライトの特性を定量分析する。データ解析機8は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーションなどに専用のソフトウェアをインストールしたものである。
データ解析機8は、測定機6が得た測定信号と参照信号との差や比を求めてデータ解析を行う。例えば、測定信号と参照信号との差分データを求め、この差分データを測定データとし、これに基づいて解析を行う。こうすることで、センサユニット12やリンカー膜22などの個体差や、装置の機械的な変動や、液体の温度変化などといった外乱に起因するノイズをキャンセルすることが可能となり、S/N比の良好な精度の高い測定を行うことができる。SPR測定装置2は、これらの処理を各センサセル17のそれぞれに対して、逐次的、あるいは同時的に行い、一つのセンサユニット12で複数の試料の測定を行う。
次に、図6に示すフローチャートを参照しながら、本実施形態の作用について説明する。センサユニット12を製造する際には、まずこれを構成する各部毎に成形がなされる。複数のリンカー膜22のそれぞれに対応して設けられる流路部材41は、同一の金型50(図3参照)で成形される。なお、複数の金型で大量に流路部材41を生産する際には、例えば、金型毎の識別番号を付与するなどして成形された各流路部材41を管理し、センサユニット12の製造時に同一の識別番号を有するものを用いるようにすればよい。また、この識別番号や識別記号などを、金型50での成形時に流路部材41に形成するようにしてもよいし、外面などにマーキングするようにしてもよい。
成形された流路部材41は、金属膜13上に複数設けられた各リンカー膜22のそれぞれに対し、流路16が対面するように配置(図2、3参照)される。配置された各流路部材41は、保持部材42とプリズム14との係合によって、プリズム14の上面に圧接された状態で保持される。この後、保持部材42の上面に蓋部材43を両面テープ44で貼り付けることで、センサユニット12の製造が完了する。
このように、本実施形態のセンサユニット12によれば、流路部材41を、複数のリンカー膜22のぞれぞれに対応して設けるようにしたので、各流路部材41、及びその流路16を同一の金型50で成形することが可能となり、複数の試料を測定できるようにした際にも、センサセル17毎に生じる流路16の形状のばらつきを抑えることができる。また、複数の流路16が連設された長尺状の流路部材よりもサイズが小さくなることから、成形性が向上して樹脂の注入不足などによる成形不良の発生頻度を低下させ、成形不良による流路16の形状のばらつきを抑えることができる。さらには、各リンカー膜22に個別に流路部材41が設けられるので、配置される位置によって弾性変形の具合に差異が生じることはなく、この差異による流路16の形状のばらつきを防止することができる。
また、長尺状の流路部材では、連設された複数の流路のうち、いずれか一つにでも成形不良が生じると、たとえ他の流路が正常であっても、流路部材全体を不良品として取り扱わざるを得ない。これに対し、上記実施形態の流路部材41は、個々の流路16しか持たないので、このような不具合によるコスト増を抑えることもできる。さらには、センサユニット12の製造後に流路16に破損などが起きた際にも、破損した流路16が形成された流路部材41のみを交換すればよいので、このような不具合に対するコスト増も抑えることができる。
なお、上記実施形態では、一つの樹脂材料で成形される流路部材41を示しているが、弾性変形によるリンカー膜22との位置ズレや、流路16の変形などが懸念される際には、例えば、2色成形法などによって、水密性の必要な箇所にのみ軟質の樹脂材料を用い、それ以外の箇所には硬質の樹脂材料を用いて弾性変形を抑えるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、誘電体ブロックとしてプリズム14を示しているが、誘電体ブロックは、プリズム14に限らず、例えば、光学ガラスや光学プラスチックを板や棒状にしたものでもよいし、これらとプリズムとを光学マッチングオイルなどを介して接合したものなどであってもよい。
さらに、上記実施形態では、金属膜の表面にSPRを発生させて、そのときの反射光の減衰を検出する、いわゆるSPRセンサを例に説明したが、本発明のセンサユニットは、これに限ることなく、全反射減衰を利用した測定に用いられる他のセンサにも適用することができる。全反射減衰を利用するセンサとしては、SPRの他に、例えば、漏洩モードセンサが知られている。漏洩モードセンサは、誘電体と、この上に順に層設されたクラッド層と光導波層とによって構成された薄膜とからなり、この薄膜の一方の面がセンサ面となり、他方の面が光入射面となる。光入射面に全反射条件を満たすように光を入射させると、その一部が前記クラッド層を透過して前記光導波層に取り込まれる。そして、この光導波層において、導波モードが励起されると、前記光入射面における反射光が大きく減衰する。導波モードが励起される入射角は、SPRの共鳴角と同様に、センサ面上の媒質の屈折率に応じて変化する。この反射角の減衰を検出することにより、前記センサ面上の化学反応が測定される。
SPR測定装置の概略構成を示すブロック図である。 センサユニットの概略構成を示す分解斜視図である。 金型による流路部材の成形を概略的に説明する説明図である。 センサセルと測定部との構成を概略的に示す説明図である。 SPRを利用した測定方法の概略を説明する説明図である。 センサユニットの製造工程を概略的に示すフローチャートである。
符号の説明
2 SPR測定装置
4 固定機
6 測定機
8 データ解析機
12 センサユニット
13 金属膜(薄膜層)
13a センサ面
14 プリズム(誘電体ブロック)
16 流路
17 センサセル
41 流路部材
42 保持部材

Claims (3)

  1. 光の全反射減衰を利用して試料の反応状況を検知するための複数のセンサセルを備えたセンサユニットにおいて、
    前記センサセルは、透光性を有する誘電体ブロックの一面に形成され、表面が前記試料の反応状況を検知するためのセンサ面となる薄膜層と、前記センサ面と対面して配置され、前記試料を含む試料溶液を前記センサ面に接触させながら流す流路とからなり、この流路を形成する流路部材を、前記各センサセル毎に設け、それぞれを前記薄膜層上に並べて配置したことを特徴とするセンサユニット。
  2. 前記流路と前記センサ面とが対面した状態で、前記各流路部材を前記誘電体ブロックに保持する保持部材を設けたことを特徴とする請求項1記載のセンサユニット。
  3. 透光性を有する誘電体ブロックの一面に形成され、表面が光の全反射減衰を利用して試料の反応状況を検知するためのセンサ面となる薄膜層と、前記センサ面と対面して配置され、前記試料を含む試料溶液を前記センサ面に接触させながら流す流路とからなる複数のセンサセルを備えたセンサユニットの製造方法において、
    前記流路を形成する流路部材を、同一の金型で成形し、
    成形された前記流路部材を、前記流路と前記センサ面とが対面するように前記各センサセルのそれぞれに配置して、前記誘電体ブロックに取り付けることを特徴とするセンサユニットの製造方法。
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JP2013029369A (ja) * 2011-07-27 2013-02-07 Konica Minolta Holdings Inc イオン性官能基で修飾された局在場光センサーチップおよびリガンド担持荷電微粒子を使用するアナライトの検出方法

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