JP2006226751A - 歪センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Koichi Yuda
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Abstract

【課題】配線の段差等による抵抗体ペーストの印刷性に対する影響を最小限に抑え、感歪抵抗体の特性バラツキをできるだけ少なくできる歪センサ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【解決手段】基板8上に絶縁層9を介して、少なくとも複数の感歪抵抗体10と複数の配線からなるブリッジ回路が形成され、少なくとも前記感歪抵抗体10が保護層11で覆われている歪センサにおいて、前記配線が、厚み0.01〜3μmの焼結薄膜12である歪センサを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は金属弾性体を用いた歪センサ及びその製造方法に関するものである。
従来から金属弾性体上に絶縁体を介して感歪抵抗体が形成されてなる歪センサが提案されていた。こうした歪センサは自動車用のスマートエアーバッグ(助手席の乗員の体重によってエアーバッグの開き方を調整する)等の用途に広く使われ、今後、更に高性能化、低コスト化が望まれる。
従来の歪センサとしては、図26に示すものがある。図26は従来の歪センサの構成を示す断面図である。図26に示すように基板1の上には絶縁層2を介して、感歪抵抗体3とその両端に接続された複数の電極4が形成されている。そして感歪抵抗体3や電極4を覆うように保護層5が形成される構成である。なお図26において、電極4に重なる感歪抵抗体3は、電極4の厚みの影響を受けて凹凸状に形成されている。
図27は図26の感歪抵抗体を上から見た図である。図27に示すように、電極4の厚み(一般的な厚膜材料が使われるため、焼成後で10〜30μmの厚みとなることが多い)の影響を受け、感歪抵抗体3の電極4に重なる部分にダレ6が発生しやすい。またこのダレ6が抵抗値バラツキの原因になりやすい。
また図28は、複数の感歪抵抗体素子が所定形状に接続されてブリッジ回路を形成する様子を示す図である。図28において、複数の感歪抵抗体3が所定のブリッジ回路を形成することで、センサの高感度化が可能になる。なお図28における感歪抵抗体3は、図26における感歪抵抗体3とその両端に接続された電極4に相当する。
しかし、このような構造の場合、図28に示す個々の感歪抵抗体素子の抵抗値バラツキを一定以上に抑えないと、ブリッジ回路としての特性が得られない。これはブリッジ回路を形成する複数の感歪抵抗体3の抵抗値が互いにばらついた場合、ブリッジ回路に接続された半導体チップ(図示していない)でキャリブレーションしきれない場合があるためである。
こうした課題に対して、従来から幾つかのアプローチがなされていた。図29は従来の対策の一例であり、特許文献1等で提案されたものである。図29において、2つの電極4の間に感歪抵抗体3が形成される場合、ダレ6が形成されやすい。このダレ6は、電極4が基板上で厚み10〜30μm程度に凸状に盛り上がっているため、この上に印刷された抵抗体ペーストが印刷時に流れたり、にじんだりすることで発生するものである。そしてこのダレ6が抵抗値のバラツキの発生原因になるため、図29では凸状の接続部7を形成することで、抵抗値バラツキの低減を行おうとするものである。
特開2004−55946号公報
しかしながら従来の構成では、図26に示したような凹凸が発生しやすく、これが抵抗値バラツキに影響しやすい。また図29に示すように感歪抵抗体3と凸状の接続部7を有する電極4は、本質的に絶縁層2の上に凸状に盛り上がっているために、どうしてもこれら電極の上に抵抗体ペーストを印刷すると、前記電極の厚みの影響を受けてダレ6が発生してしまい、複数の感歪抵抗体3の抵抗値バラツキが発生しやすく、この結果、歪センサの歩留りや特性に影響を与えてしまう可能性がある。
本発明はこれら抵抗値バラツキの発生を抑えやすい歪センサ及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、基板上に絶縁層を介して、少なくとも複数の感歪抵抗体と複数の配線からなるブリッジ回路が形成され、少なくとも前記感歪抵抗体が保護層で覆われている歪センサにおいて、前記配線は厚み0.01〜3μmの焼結薄膜である歪センサである。配線を厚み0.01〜3μmの焼結薄膜で形成することで、一般薄膜のような高価な設備(スパッタ等の薄膜蒸着設備やフォトリソ等の高価な設備)を使わずとも、ペーストの印刷焼成で形成できる焼結電極を使うことで設備費を抑えられ、また電極の厚みを薄くすることで感歪抵抗体の抵抗値バラツキを抑えられ、特性の揃った歪センサを安価に提供できる作用効果が得られる。
金属弾性体上に形成された絶縁層を介して、複数の感歪抵抗体と複数の配線からなるブリッジ回路が形成され、前記配線の一部をナノ配線で形成することで、抵抗値バラツキを抑えられ、歪センサの特性を安定にすることができるという作用効果が得られる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、本発明の特に請求項1の発明について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施の形態1における歪センサの構成を示す断面図である。図1において、基板8上には絶縁層9を介して、配線となる焼結薄膜12が形成されている。そして複数の焼結薄膜12の上には、感歪抵抗体10が覆いかぶさるように形成されている。そして、感歪抵抗体10や焼結薄膜12は、保護層11で覆われている。
なお、ここで焼結薄膜としては、金属微粒子を水や溶剤中に分散してなる金属ナノインキであり、こうした金属ナノインキは、銀、金、銅、ニッケル、白金、パラジウムもしくはこれらの単体もしくは合金よりなるものが複数の材料メーカーから市販されている。
なお、こうした金属ナノインキにおいて、本発明に用いる場合、粒径0.001〜1μmのものを主としたものを使うことが望ましい。なお更に望ましくは、後述するようなインキジェット方法や描画方法でパターンを形成する際、比重の大きい金属材料でも自然沈殿しにくいように、粒径0.001〜0.1μmが望ましい。これは比重の大きな金属粉の場合、粒径が大きくなるほど自重で自然沈殿してしまい、その結果として凝集体を発生させたりプリンタヘッドや描画ノズルを詰めたりする可能性があるためである。このように金属微粒子を所定パターンに形成した後、焼成することで焼結薄膜を形成できる。
更に詳しく説明する。まず金属弾性体からなる基板8の上に、所定のガラス絶縁ペーストを印刷し850℃で焼成し、絶縁層9を形成した。そして絶縁層9の上に、銀を主成分とする金属ナノインキをスクリーン印刷した。ここで金属ナノインキとしては、市販の微粒子の銀(粒径10〜100nm程度)を、有機溶剤(αテルピネオールを主成分とするもの)の中に約50wt%の濃度で分散させたものを選び、ここに樹脂(エチルセルロースを主成分とした)を増粘剤として添加し、ズリ速度1〜100/s(1/sは1/秒の意味であり、ズリ速度の一般的な単位)の間で、粘度が100〜1000ポイズの範囲に入るようにした。
そして、このインキをスクリーン印刷で、前記焼成済みのガラスペーストの上に、所定の配線パターンが形成されるように印刷し、100℃で乾燥した後、300℃で熱処理し、これを焼結薄膜12とした。乾燥後の金属ナノインキは導電が得られなかったが、熱処理した後の銀ナノインキパターンは、銀色をしており、非常に低い配線抵抗が得られた。こうして得られた配線の厚みを測定した。まず、各印刷条件で作製し、熱処理した複数個のサンプルを硬化型樹脂で固めて、これを切断し、その断面から配線の厚みをSEMで観察したところ、焼結薄膜12の厚みは0.1〜1μmの間であった。
そしてこれら焼結薄膜12の上に、市販の感歪抵抗体ペーストを複数個、互いに焼結薄膜12を介して所定のブリッジ回路を形成するように印刷し、10分間レベリングさせた後、100℃で乾燥、850℃で焼成し、感歪抵抗体10とした。そして、こうして出来上がった感歪抵抗体10の抵抗値を測定した。すると、感歪抵抗体10の抵抗値バラツキ(3σ/x、なおσは標準偏差、xは平均値である)は、1〜2%であり、充分低く、ブリッジ回路としての特性を満足することができた。最後に前記感歪抵抗体10や焼結薄膜12を覆うように、保護層11を形成し、本発明の歪センサを完成させた。以上のようにして作製した歪センサは、抵抗値バラツキが小さく、99%以上の高歩留りが得られた。
次に比較のために、従来の厚膜用の配線ペーストを用いて同様な実験を行った。なお従来の電極インキは、粒子径が1〜10μm程度の(多くは平均粒径が数μmの)金属粉が主体のため、焼成後の膜厚を5μm以下と薄くなるように印刷して焼成した場合、焼結膜が希薄(もしくはポーラス)になって、導電が得られないことが多い。そのためこうした従来の電極インキの場合、焼成後の膜厚としては10〜20μmが必要となり、その結果、電極厚みに起因する感歪抵抗体のダレや抵抗値バラツキが発生し、感歪抵抗体10の抵抗値バラツキ(3σ/x)は、10%以上であり、最後に保護層11を形成して歪センサとして完成させた後も歩留りは80〜90%程度であった。
更に比較のために、焼結薄膜12の代わりに真空法で形成した薄膜を検討した。しかし従来の薄膜法では、薄膜形成にスパッタ装置や電子ビーム装置と言った大掛かりな真空蒸着装置が必要となり、これらの装置で形成された薄膜はベタであったため、更にフォトリソ工程(ベタで形成された薄膜の上に、感光性樹脂を塗布した後、マスクを介して露光、現像し、不要部をエッチング等の手法で除去する工程)が必要であった。このように従来の薄膜方法では、非常に高価なものとなることが判った。
このように本発明の場合、金属ナノインキを印刷した後、乾燥させ、所定温度で焼成するだけで焼結薄膜12を形成できるため、従来の薄膜法と比べて、極めて安価に作製することができた。また本発明の配線の場合、厚みが0.1〜3μmと充分に薄いため、ダレ等の課題は発生せず、所定のブリッジ回路を形成する複数の感歪抵抗体の抵抗値バラツキを抑えることができる。
なお、本発明で金属ナノインキの熱処理温度は150〜950℃が望ましい。150℃未満の温度では、金属ナノ微粒子の凝集防止に添加している各種添加物が熱分解せずに、所定の導電が得られず、下地に対する接着強度が影響される可能性がある。また熱処理温度としては、150℃以上の場合、その熱処理時間に影響を受ける。150℃では2時間程度の熱処理時間が必要であることがあるが、熱処理温度を200〜250℃とすることで、熱処理時間を30分から10分程度と短縮できる。これは熱処理温度が高くなるにつれて、各種添加物の分解が急速に進むためである。
なお熱処理温度を500〜950℃としても良いが、こうした熱処理炉によっては高価で維持費も高くなるため、金属ナノインキの熱処理では、そこまで高温にしなくとも良い。これは、焼結薄膜12の熱処理温度が150〜500℃であっても、この上に印刷、焼成されてなる感歪抵抗体の焼成温度が600〜900℃であるためである。
なお焼結薄膜12の厚みは、0.01〜3μmが望ましい。焼結薄膜12の厚みが、0.01未満の場合、焼結薄膜12に所定の導電が得られない場合がある。またその厚みが3μmを超えると、抵抗値バラツキの発生を増加させる可能性がある。また焼結薄膜を、金属ナノインキを焼成して作製する場合、金属ナノインキに含まれている金属微粒子の粒径が小さくて、かつ揃っているほど、薄膜が薄くても安定した導電を得ることができることは言うまでもない。ただ粒径が小さくなるほど、金属微粒子のコストが増加したり、金属微粒子を分散させるに必要な添加剤が増加する分金属含有率が低下(場合によっては焼結塗膜がポーラスになる場合もある)する場合もあり、こうした面での金属ナノインキの選定や最適化を行うことで、材料費を削減することができる。なお金属ナノインキの印刷方法としては、本実施の形態で説明したスクリーン印刷方法以外に、インキジェット印刷方法、描画印刷方法、転写印刷等の印刷方法を選ぶことができる。
なお焼結薄膜を形成するには、金属ナノインキ以外に、有機金属化合物を使うこともできる。こうした有機金属化合物は、MO(メタロオーガニック)と呼ばれている。例えば、金の場合、金液とも呼ばれ、陶磁器の絵付けにも使われることがある。本発明ではこうした有機金属化合物を使うこともできるが、その場合、P(燐)やS(硫黄)といった元素が含まれていないものが望ましい。これは燐が化合物の中に含まれている場合、信頼性に影響する場合があるためである。また硫黄が化合物の中に含まれている場合、焼成中に硫酸等が発生し、炉の腐食原因となる場合がある。
なお、こうした元素は金属と有機物との結合部に使われることが多いため、化学式である程度その含有量を判断できる。こうした元素が不純物として含まれている(例えば、数十ppm以下)の場合、実質的に課題になる場合はないと考えられる。なお有機金属化合物の場合、有機物の含有量を多くしないと、有機溶剤に溶解しにくくなる場合がある。しかし有機物含有率が高くなるほど、焼結薄膜を薄層で均一化しにくい場合がある。そのため、本発明に用いる有機金属化合物の場合、金属含有率は50wt%以上が望ましい。
なお焼結薄膜の形成に、金属ナノインキを用いた場合、有機金属化合物に対して、金属含有率を高めることができる。このような有機金属化合物は、化合物であり金属原子に対して有機物が化学結合している。一方の金属ナノインキの場合、金属粉(あるいは金属クラスター)に対して有機物を結合(もしくは付着や吸着)させたものであるため、結果的に金属含有率を高められる。そのため、本発明に用いる金属ナノインキの場合、金属含有率は、60wt%以上(焼結体の緻密さを考えれば望ましくは70wt%以上)を選択することが望ましい。なおここでの金属含有率とは、金属ナノインキが乾燥してなる塗膜を熱分解した後の金属含有率の意味であり、インキ状態(つまり溶剤が残っている)での金属含有率ではない。もし水や有機溶剤といった溶剤が入った状態での金属含有率を定義する場合、10wt%以上が望ましい。これは10wt%未満と濃度が低い場合、インキを所定パターンで印刷した後の乾燥工程で、濃度が低いほど乾燥ムラが発生しやすいためである。
なお、こうした乾燥ムラが発生したサンプルを焼成すると、出来上がった焼結体に乾燥ムラに起因する凹凸やヒビ割れ等が発生する場合がある。そのため乾燥ムラの発生は望ましくない。ただ後述する本発明の実施の形態で提案するように、被印刷面の表面に予め、消失下地等を形成することで、塗布ムラや印刷ムラを低減でき、その結果として乾燥ムラを低減できる。このように、消失下地等を用いた場合、インキとしての金属濃度、もしくは固形分濃度(乾燥重量をインキ重量で割ったもの)が5wt%程度と低い場合でも、塗布ムラ、印刷ムラ、乾燥ムラ等の発生を防止できる。
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、本発明の特に請求項2,19の発明について図面を参照しながら説明する。
図2は本発明の実施の形態2における歪センサの構成を示す断面図である。図1と図2の違いは、図2において、絶縁層9の上には、焼結薄膜12と焼結厚膜13の両方が形成されている点である。このように、必要部分に焼結厚膜13を形成することで歪センサの使い勝手を改善できる。例えば図2に示したように、保護層11に形成した窓14の内部に、半田喰われの発生しにくい焼結厚膜13を形成することで、前記窓14を介して、半導体チップや各種チップ部品、コネクタ等を歪センサ上に実装できるため、歪センサの使い勝手を大幅に改善できる。またここで半導体チップにデジタルキャリブレーション機能を付加することで、感歪抵抗体の抵抗値の変化を半導体チップ側で吸収できるため、その歩留りや出力特性を大幅に改善することもできる。
更に詳しく説明する。まず耐熱性ステンレス基板の上に、所定のガラスペーストを印刷し、850℃で焼成し、絶縁層9とした。そしてその上に、金属ナノペーストをスクリーン印刷した後、300℃で熱処理し、焼結薄膜12を形成した。そして、その上に、感歪抵抗体ペーストと、市販の銀パラジウム電極ペーストを互いに重ならないように印刷、乾燥し、850℃でこれら部材を同時に焼成し、感歪抵抗体10と焼結厚膜13を形成した。なお、焼結薄膜12よりなる複数の配線パターンの一部には前記感歪抵抗体ペーストや、前記銀パラジウム電極ペーストが重なるように印刷しておくことで、焼結薄膜12と焼結厚膜13、あるいは焼結薄膜12と感歪抵抗体10を電気的に接続した。そして最後に、所定のオーバーコートを印刷し、熱処理し、保護層11を形成した。そして、前記オーバーコートに形成された窓14に露出した焼結厚膜13を利用して、半導体チップや、チップ部品、コネクタ等を半田実装した。そして最後に感歪抵抗体特性(例えばブリッジバランス、TCR、GF;なおブリッジバランスとはブリッジを形成する複数の抵抗体の抵抗値バラツキを計算で補正すること、TCRとは抵抗体の温度係数、GFとは歪に対する抵抗値の変化率を意味する)を測定し、その結果を半導体チップに書き込んだ。こうして作製した歪センサは、実装された半導体チップの働きにより、安定した出力が得られた。
ここで焼結厚膜13としては、市販の電極ペーストを用いることができる。こうした市販の電極ペーストは、粒径が1〜10μm程度の金属粉末を、ビヒクルと呼ばれる樹脂溶液の中に、三本ロールミル等の分散機を用いて混練分散されたものであり、スクリーン印刷用に広く市販されているものを使うことができる。また焼結厚膜13に半田付けを行う場合、焼結厚膜の厚みは3〜50μmが望ましい。3μm未満の場合、半田付けの条件によっては半田喰われする場合がある。また50μmを超えると、材料費がコストに影響を与える。また半田喰われを低減するには、パラジウムの含有率を高めることが望ましい。焼結済みの電極中のパラジウム含有率が5%(望ましくは10wt%以上)であれば、鉛フリー半田等の半田付けしにくい材料に対しても半田喰われしにくくできる。また必要に応じて白金を0.1wt%以上(望ましくは0.5wt%以上)加えることで、半田濡れ性も高められる。しかしパラジウムや白金等の含有率を増やすと材料費が製品コストに影響を与える場合がある。
また金属ナノインキに、こうした銀パラジウムよりなる微粒子を使うこともできる。この場合、銀微粒子とパラジウム微粒子を混合しても良いが、可能なれば銀パラジウムの合金よりなる金属微粒子を使うことが望ましい。これは合金とする方が耐半田喰われ性を高められるためである。しかし金属ナノインキを使って耐半田喰われ性を改善するには、その膜厚を厚くすることが望ましく、そうした意味でも、半田付けに対応する部分だけを、従来から広く使われている焼結厚膜13とすることで、工程の安定化が可能となる。
なおオーバーコートに形成された窓の大きさは、0.1mm角以上もしくは0.1mmφ以上の大きさが望ましい。これらの大きさが小さい場合(あるいはこれらの面積より小さい場合)、半田付けしにくい場合があり、またオーバーコートの形成時にこれら窓が塞がってしまう場合もあり、製品の歩留りに影響を与える場合がある。
(実施の形態3)
以下、本発明の実施の形態3について、本発明の特に請求項8〜11,20の発明について図面を参照しながら説明する。
図3〜5は、本発明の実施の形態3について説明する図である。図3は、金属ナノインキの製造方法の一例である。図3において、まず所定の原料15a,15b,15cを反応槽16aに添加して、所定の反応を起こすことで、金属微粒子を形成できる。またこうして形成した金属微粒子に、原料15dを追加し、反応槽16bで更に反応を進めることで金属微粒子の分散安定性を改善できる。
図4は金属ナノインキの構造を示すものである。図4に示すように、金属微粒子18は、少なくともその表面に吸着材19a,19b,19c,19d等が吸着、付着、結合されることで互いの凝集を防止している。そしてこうした吸着材19a,19b,19c,19dによって凝集防止させた金属微粒子は、溶媒20の中で互いに凝集することなく、分散している。また吸着材19eは、金属微粒子18に付着せずに、溶媒20の内部に浮遊している吸着材である。このように金属微粒子18に付着していない吸着材19eを添加しておく(あるいは余剰に添加しておく)ことで、金属ナノインキ21を化学的(あるいは熱力学的にも)に安定化できる。
図4において、吸着材19aは金属微粒子18の表面を均一に覆った状態を意味しているが、完全に覆われていなくとも凝集防止効果は得られる。また吸着材19bは点状に金属微粒子18の上に付着した様子、吸着材19cは高分子系の材料が金属微粒子18の表面に吸着した様子を示す。また吸着材19dは複数の官能基を有する吸着材が、金属微粒子表面に吸着した様子を示す。このように、金属微粒子18への吸着材19の吸着の形式としては、色々なものを選ぶことができる。また異なる吸着形式のものを互いに混合することも可能である。
なお金属ナノインキに用いる金属微粒子としては、銀、金、銅、ニッケル、白金、パラジウムもしくはこれらの単体もしくは合金よりなる粒径0.001〜0.1μmの金属粉を用いることが望ましい。こうした金属微粒子は、薄膜法(例えば真空中にて電子ビーム等で金属を加熱して蒸発させる方法)や、化学法(鍍金技術を応用したり、金属イオンを溶液中で還元したりする方法)を用いることができる。そしてこうして作製した金属微粒子の表面に凝集防止のために、溶液中で各種添加剤(多くの場合、樹脂)を吸着させることが望ましい。またこうして作製した金属ナノインキは、乾燥で溶剤を除去した後は、150〜1000℃で焼結することで、所定の焼結薄膜12を除去した後は、150〜1000℃で焼結することで、所定の焼結薄膜12を形成できる。
図5は、被印刷体上で金属ナノインキが焼結薄膜と変化する様子をその断面で示す図である。
図5に示すように、まず金属ナノインキは、被印刷体22の上に所定パターンとして印刷される。その後、乾燥され溶媒が除去される。こうして図5(A)に示すように、被印刷体22の上に、金属微粒子18がその表面に吸着材19を一種のバインダ(樹脂)として付着させられる。そしてこれを熱処理することで、前記吸着材19を分解し、更に金属微粒子18を焼結させることで、被印刷体22の表面に緻密な焼結薄膜12を形成できる。なお焼結薄膜12の断面を、SEM等で拡大すると粒界23やボイド24が見える。このような粒界23(粒子と粒子が焼結してできる界面であり、不純物や酸化物等から形成されることが多い)やボイド(微細な空隙、もしくは異なる成分が点状に析出していること)が形成されている。このような特徴は、真空を使った薄膜方法では発生しないものであり、焼結体特有のものである。
なお、こうした粒界23やボイド24の有無は、サンプルを単に樹脂埋めして断面研磨するだけでは観察されにくい場合もあり、こうした場合は、FIB(フォーカスイオンビームエッチング)等の手法や、断面を化学エッチングさせることで粒界23やボイド24の有無を確認できる。
また金属ナノインキの下地部材との密着性を改善するために添加した、ガラス材料も、こうした粒界23やボイド24の有無を確認できる。特に、金属ナノインキ中にこうした無機の結着成分を少量添加しておくことで、焼結薄膜12と下地との結着力を高められる。こうした部材としては、ガラス(例えば、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ホウ素)成分や金属酸化物(例えば、銅やニッケル)を使うことができる。こうした結着用の添加剤は、粉末状態や有機物(例えば、前述した有機金属化合物)の形で添加することもできる。またこうした成分の割合は、インキ中では20wt%以下、焼結薄膜12に対しては30wt%以下が望ましい。これはこうした添加剤の割合が多いと、焼結薄膜の抵抗値が増加するためである。
また焼結薄膜12と焼結厚膜13の区別は、上述したようにその断面を観察して、粒界の大きさを比較することで容易に行える。また従来からの焼結厚膜13の場合、3μm未満の薄層化を行った場合、焼結塗膜が希薄になって多くの場合、導電が得られないことからも、こうした区別は容易である。
なお、焼結薄膜の膜厚が薄くなるほど、図5に示したような断面(つまり焼結薄膜に垂直な面からの研磨)での観察は難しくなる。この場合、表面からの観察(もしくは焼結薄膜に平行な面からの研磨)や、斜め研磨を行えば良い。こうした手法は、半導体チップの解析方法等を参考にできる。
また最近では、焼結厚膜13とその下地となるガラス絶縁層の同時焼成が可能となる電極ペーストが市販されている。これらは、電極ペーストに含まれている電極粉末の粒子径を大きくすることで、下地となるガラスの焼結収縮特性に近付けようとしたものである。これは電極とガラスの焼結収縮特性が異なっている場合、電極粉の焼結時に未焼結のガラス粉が引っ張られるために、電極の周囲にクラック(割れ)等が発生する場合があるためである。こうした意味からも、焼結厚膜13の場合、粒径は一定以上の大きさが望まれている。
一方、焼結薄膜の場合、膜自身が極端に薄いため、下地との焼結収縮特性が大きく異なっていても未焼成のガラス粉を引っ張る力が弱いため、クラックは発生しにくい。そのため、必要に応じて焼結薄膜とその下地となるガラス絶縁層を同時焼成することもできる。また同様にオーバーコート材料のガラス材料を用いた場合、焼結薄膜とガラスオーバーコートを同時焼成することもできる。また焼結薄膜の低温焼結性を生かすことで、焼結薄膜だけを150〜400℃程度の低温で焼結しておき、この上にガラス質のオーバーコート材料を印刷し、600〜800℃程度で焼成することもできる。こうした場合、下地となる焼結薄膜は有機物が分解した後であるため、ガラス質のオーバーコートの焼成が容易となり、更に焼成時に下地からのガス発生が少ない分、オーバーコートガラスの中に気泡が残りにくくなる効果も得られる。
なお金属ナノインキに含まれている金属粉には、その表面の一部以上に樹脂もしくは有機物が、厚み1〜100nmで吸着もしくは付着されていることが望ましい。これは金属微粒子同士の凝集を防止するためである。なお厚みが1nm未満の場合、吸着防止の効果が得られない場合がある。また厚みが100nmを超える場合、焼結されてなる焼結薄膜がポーラスになる場合がある。なおこうした吸着層の厚みは、乾燥塗膜をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察することで評価できる。また最近ではAFM(電子間力等を利用した測定装置)を用いることで、直接測定することも可能であり、各種文献(特にζ電位関係)を参考にすることができる。
また水もしくは水溶性有機溶剤もしくは不水溶性有機溶剤の中に、10〜90wt%の濃度で分散されていることが望ましい。これは10wt%未満の場合、乾燥ムラ等が発生する場合があるためである(なお後述するように消失下地等を使えば、濃度5wt%以上であればこうした課題を解決できる)。また濃度を90wt%より高くしようとすると、不安定となり金属微粒子同士が凝集する場合がある。そのため濃度20〜80wt%程度が実用的である。
また焼結薄膜12は、樹脂もしくは有機物が0.1〜40wt%以下の割合で吸着もしくは結合されたものであっても良い。この場合、金属粉の凝集防止に添加している樹脂や有機物の含有率は、市販の熱分析で簡単に評価できる。こうした熱分析の場合、室温から600℃付近までの熱分析で充分である。そのため、熱分析用にPt(白金)の高価なパン(サンプル入れの小皿)を使わずとも、Al(アルミニウム)の安価なものを使うことができる。具体的には金属ナノインキを乾燥させて、溶剤成分を除去した後、熱分析装置で評価することで、樹脂もしくは有機物の吸着もしくは結合された量を測定できる。なおこれら凝集防止の添加剤の含有率が0.1wt%未満の場合、凝集防止の効果が得られない場合がある、またその40wt%を超える場合、乾燥塗膜中に残った有機成分が多いため、焼結してなる焼結薄膜がポーラスになる場合があり、更に下地との結着力も影響を受ける場合がある。
なお、金属微粒子の形成は、真空法あるいは乾式法、あるいは鍍金を含む湿式法もしくは化学的形成法のいずれであっても良い。
(実施の形態4)
以下、本発明の実施の形態4について、本発明の特に請求項22の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態4では、焼結薄膜の形成方法として、インキジェット方法を用いる場合について説明する。図6はインキジェット方法で金属ナノインキを所定パターンに印刷している様子を示す断面図である。
図6において、基板8の上には絶縁層9が形成されている。そしてプリンタヘッド25の内部には所定の金属ナノインキ(図6では図示していない)がセットされ、外部信号(図示していない)によって、ノズル(図示していない)からオンデマンドで噴射され、インキ滴27を形成する。またプリンタヘッド25は、矢印26aの方向に自由に移動でき、移動しながら外部信号(図示していない)によって、インキ滴27を噴射できる。また噴射されたインキ滴27や、矢印26bの方向に飛んだ後、被印刷体となる絶縁層9の上に着弾し、インキパターン28を形成する。このようにして、複雑な回路パターンであっても、コンピュータ上で自動設計し、瞬時に図6のようにしてインキパターン28に起こすことができる。こうして形成されたインキパターン28は、図5(B)に示したように、印刷、熱処理されることで焼結薄膜12となる。
図7は、パターン28の上に感歪抵抗体を形成する様子を断面で示す図である。図7(A)において、基板8の上には、焼結薄膜12が形成されている。この焼結薄膜12は、図6におけるインキパターン28が乾燥された後、所定温度で熱処理されたものである。そして図7(B)に示すように、この焼結薄膜12の上に、所定の抵抗体ペーストを印刷することで、前記焼結薄膜12の厚みに起因するダレが発生しないため、出来上がった感歪抵抗体10の抵抗値バラツキが発生しにくい。
従来のスクリーン印刷では、基板1枚1枚で異なるパターンを作製することは、工程やコスト面で実用的ではなかったが、インキパターンの形成をインキジェット方法にすることで、基板1枚1枚で異なったパターンを形成することも可能となり、歪センサの物作りを更に進化させられる。
なお、図6において、プリンタヘッド25を矢印26aのように動かしているが、被印刷体となる基板8や絶縁層9の方を動かしても良い。
(実施の形態5)
以下、本発明の実施の形態5について、本発明の特に請求項21,23の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態5では、抵抗体上に焼結薄膜を形成する方法について説明する。図8はインキジェット方法で、感歪抵抗体上に電極パターンを形成する様子を断面で説明する図である。
図8において、基板8の上には絶縁層9が形成されている。そしてプリンタヘッド25の内部には所定の金属ナノインキ(図8では図示していない)がセットされ、外部信号(図示していない)によって、ノズル(図示していない)からオンデマンドで噴射され、インキ滴27を形成する。またプリンタヘッド25は、矢印26aの方向に自由に移動でき、移動しながら外部信号(図示していない)によって、インキ滴27を噴射できる。また噴射されたインキ滴27や、矢印26bの方向に飛んだ後、被印刷体となる感歪抵抗体10や絶縁層9の上に着弾し、インキパターン28を形成する。このようにして、インキパターン28の形成方法として、非接触印刷方法を用いることで、感歪抵抗体3の厚みや段差に関係なく、複雑な回路パターンであっても、コンピュータ上で自動設計し、瞬時に図6のようにしてインキパターン28に起こすことができる。こうして形成されたインキパターン28は、図5に示したように、印刷、熱処理されることで焼結薄膜12となる。
なお被印刷体(図8の場合、感歪抵抗体10や絶縁層9となる)とプリンタヘッドの間隔は5mm以下が望ましい。5mm以上離れている場合、インキ滴27が噴射された後、気流や温度や雰囲気の影響を受け、着弾位置がバラついてしまい、インキパターン28のシャープ性やパターン精度が影響を受けてしまう場合がある。またプリンタヘッドが移動している最中に噴射されたインキ滴27は、プリンタヘッドの動く加速度(もしくは速度)を慣性として保持しているため、同様に被印刷体とプリンタヘッドの間隔が5mm以上離れている場合、着弾位置がばらつく場合がある。
望ましくは被印刷体とプリンタヘッドの間隔は、0.01mm以上離れていることが望ましい。間隔が0.01mm未満の場合、被印刷体の表面の凹凸やうねり、あるいは被印刷体に付着したゴミや異物の影響を受ける場合がある。またプリンタヘッドから噴射された直後(もしくはプリンタヘッドからの距離が0.01mm未満の場合)のインキ滴27の液滴形状はまだ不安定であり、噴射の影響で液滴の形状が乱れている場合がある。こうした乱れもインキパターン28の精度に影響する場合がある。
このように、感歪抵抗体10の上に焼結薄膜12からなる電極を形成することで、抵抗値バラツキを抑えられる。これは、感歪抵抗体10が凹凸の無い平面上に直接印刷形成されるためである。またこうして形成された感歪抵抗体において、一つの基板内の複数個の感歪抵抗体の抵抗値がばらつく可能性がある。これは、感歪抵抗体を印刷形成する場合に使用するスクリーン版やスキージの影響を受けてしまう場合である。こうした場合、ブリッジ回路を形成する複数の感歪抵抗体の決まった場所、あるいは特性の位置の抵抗値が影響されてしまう。こうした場合であっても、図8に示すようにして、抵抗値の大小に応じて、感歪抵抗体10の上に形成する焼結薄膜12のパターンをそれに応じてコンピュータで再調整することで、抵抗値を目的値に近付けることもできる。
こうして作製された歪センサの断面を図9に示す。図9において、基板8の上には絶縁層9が形成され、絶縁層9の上には感歪抵抗体10が直接形成されている。そして感歪抵抗体10の両端には、焼結薄膜12が覆いかぶさるように形成されている。そして絶縁層9の上の必要部(例えば半田付けされる部分等)には焼結厚膜13が形成され、これらは保護層11で覆われている。
更に詳しく説明する。図9に示すように、感歪抵抗体10の上に配線を形成する場合、配線となる部材の焼成温度は700℃以下が望ましい。これは焼成されてなる感歪抵抗体10の上に、更に配線を形成する際、配線の焼成温度で、感歪抵抗体10が再焼成されてしまい、感歪抵抗体10の特性が変化してしまうためである。本発明に説明するような感歪抵抗体10は、酸化ルテニウム等のルテニウム化合物を、酸化鉛等を主成分とするガラス中に分散してなる抵抗体ペーストを、600〜900℃付近で焼成することで、GF値の高い感歪抵抗体とする。
しかし一度焼成された後の感歪抵抗体10が、配線の焼成時等で、再度熱処理された場合、感歪抵抗体10の構成要素であるガラスが再溶解(もしくは再軟化)してしまう。そのため、感歪抵抗体10の特性(抵抗値、TCR、GF等)が変化してしまう場合がある。特に複数の感歪抵抗体でブリッジ回路を形成している場合、これら複数の感歪抵抗体がそれぞればらばらの方向に特性がばらついてしまう場合があり、折角、製造工程で特性が揃うように作り込んだとしても、その効果が無になってしまうこともある。そのため感歪抵抗体10の再熱処理としては、低温であれば低温であるほど望ましい(低温であるほど、感歪抵抗体を構成するガラス成分が軟化しにくいため)。
こうした場合、金属ナノインキの低温焼結性を生かすことで、感歪抵抗体10への影響を抑えられる。これは金属微粒子の粒径を小さく(nmオーダーに)することで、その金属の焼結開始温度を低温化できるためである。発明者らの実験では、粒径10nm程度の銀の微粒子では、200℃程度から焼結が始まる場合があった。このように金属微粒子の粒径を小さくすることで、感歪抵抗体の抵抗値が影響を受けない低温(例えば、400℃以下)で、配線を形成できるため、歪センサの特性を安定化できる。
(実施の形態6)
以下、本発明の実施の形態6について、本発明の特に請求項24の発明について図面を参照しながら説明する。
図10は本発明の実施の形態6における歪センサの構成を示す断面図である。図10において、基板8の上には絶縁層9を介して、電極として焼結薄膜12が形成されている(ここで電極として、焼結薄膜12や、焼結厚膜13のどちらを選んでも良い)。そして複数の焼結薄膜12の上に、感歪抵抗体10が覆いかぶさるように形成されている。そして感歪抵抗体10の表面の一部には、ナノ配線が形成され、その一部は焼結薄膜12の上にも接続されている。また少なくとも、感歪抵抗体10や焼結厚膜13は保護層11で覆われている。
なお、ここで焼結薄膜とは、銀等の超微粒子粉が水や有機溶剤に分散されてなる金属のナノ粉体の分散液(以下、金属ナノインキと呼ぶ)であり、この金属ナノインキを所定パターン形状に印刷し、熱処理したものが焼結薄膜となる。このように本発明では、後述するように配線の一部に焼結薄膜を用いることでその配線の厚みを従来(厚み10〜20μm程度)に比べ、極めて薄くできる、焼成温度を下げられる、インキジェット等の新印刷方法等を用いることができるため、この焼結薄膜の厚みによって、感歪抵抗体パターンの形成時にダレ等の抵抗値バラツキの発生原因を抑えられる効果が得られる。なおここで焼結薄膜と呼ぶ背景は、パターン幅がナノメートルと微細であると言う意味ではなく、金属微粒子がナノパウダーであると言う意味である。
次に図11、図12を用いて、インキジェットを用いた歪センサの製造方法の一例について断面図を用いて説明する。図11はインキジェットによって焼結薄膜を形成する様子を示す断面図である。図11において、プリンタヘッド25は、矢印26aの方向(もしくはXY、XYZの方向に)に自由に移動できる。そして移動しながら、プリンタヘッド25の中にセットされた金属ナノインキ(図示していない)が、プリンタヘッド25に印加される外部信号(図示していない)によってインキ滴27として、プリンタヘッド25から矢印26bの方向に噴射される。噴射されたインキ滴27は、被印刷体の上に着弾し、所定のインキパターン28を形成する。
図12はインキジェットによって焼結薄膜を形成する様子を示す断面図である。図12において、29は第1のチャンネル長であり、感歪抵抗体10の上に形成された複数のインキパターン28aとインキパターン28bの距離に相当する。30は第2のチャンネル長であり、複数の焼結薄膜の間隔に相当する。また、プリンタヘッド25には、矢印26aの方向(もしくはXY、XYZの方向に)自由に移動しながら、感歪抵抗体10の上に、複数のインキパターン28a,28bを、第1のチャンネル長29だけ離しながら形成する。そしてインキパターン28a,28bは100〜500℃で焼成され、焼結薄膜12を構成する。そして図10に示すような焼結薄膜12や感歪抵抗体10を覆うように保護層11が形成され、歪センサとなる。またこの歪センサに、所定のチップ部品や半導体部品、コネクタ等を実装することもできる。
次に実施の形態1で提案する歪センサの構造によって、抵抗値バラツキの低減方法について説明する。本発明のような歪センサの場合、同一基板上に複数の(例えば、4個の)感歪抵抗体が形成され、所定のブリッジ回路を形成するため、これら複数の抵抗体の抵抗値を所定スペック内に収める、あるいは抵抗体の抵抗値バラツキを所定スペック内に収める等が必要になる。こうした対策として、レーザートリミング等を行った場合、トリミング費用が製品コストに影響したり、レーザートリミングが感歪抵抗体に影響を与える可能性もある。そのため、ノントリミング(トリミングダメージ無し)に、抵抗値を所定スペック内に抑えることが望まれている。
図13は感歪抵抗体の上に焼結薄膜が形成された様子を示す断面図であり、焼結薄膜を用いることで、感歪抵抗体の抵抗値を所定スペック内に抑える様子を説明するものである。図13において、基板8の上には絶縁層9が形成され、絶縁層9の上には、複数の電極である焼結薄膜12と、その上に感歪抵抗体10が形成されている。そして焼結薄膜12と感歪抵抗体10の上に、焼結厚膜13が形成されている。図13において、複数の焼結薄膜12の間隔(第2のチャンネル長30)よりも、焼結厚膜13の間隔(第1のチャンネル長29)を短く設定している。よって、感歪抵抗体10の示す抵抗値は、第2のチャンネル長30ではなくて、第1のチャンネル長29で決めることができる。
そのため複数の抵抗素子の抵抗値が仕様抵抗値の範囲内に入らなかったり、大きくばらついたりした場合、焼結薄膜12の上に、感歪抵抗体10に覆いかぶさるようにして焼結厚膜13を形成し、第1のチャンネル長29を調整することで、複数の抵抗体に対しても、個々に抵抗値を目的値(あるいは仕様抵抗値の範囲内)に収めることができる。
具体的に焼結薄膜を用いた抵抗値調整の方法について説明する。まず焼結厚膜13を形成する前に、感歪抵抗体10に接続された焼結薄膜12を用いることで、ブリッジ回路を構成する個々の抵抗体の初期抵抗値(焼結厚膜13が形成される前の抵抗値)を測定する。そしてその抵抗値の結果に応じて、個別にインキパターンを選定する。具体的にはインキパターンにおける第1のチャンネル長を決定する。そして、個々の感歪抵抗体の上に、抵抗値に応じて最適化したインキパターンをインキジェット方法で形成する。そしてインキパターンを乾燥、熱処理し、焼結厚膜13を形成する。そして最後に、焼結厚膜13や感歪抵抗体10を覆うように保護層11を形成する。特に本発明においては、個々の抵抗体の抵抗値の測定結果を基に、パソコン上でインキパターンの形状(寸法形状、大きさ、第1のチャンネル長等)を自動的に最適化設計できる。そして最適化設計された所定パターンを形成するように、プリンタヘッド25が矢印26aの方向に移動しながら、パソコンからの信号(図示していない)に応じて、所定のインキパターンを形成することになる。
図14は、第1のチャンネル長と抵抗値の関係を示す図である。図14において、X軸は第1のチャンネル長(単位はmm)であり、これは複数の焼結薄膜12の距離に相当する。またY軸は抵抗値(単位はkΩ)であり、これは焼結薄膜12の間の抵抗値に相当する。図14から、第1のチャンネル長と抵抗値は比例関係にあることが判る。
図14に示したような検量線を作製することで、インキパターン28や、第1のチャンネル長29を自動設計できる。そして感歪抵抗体を複数個形成してブリッジ回路を形成した場合に、抵抗値バラツキが大きくなったとしても、図11〜図13に示すように、焼結薄膜12の上に感歪抵抗体10を、更に感歪抵抗体10の上に焼結厚膜13を形成することで、抵抗値を目的値に近付けたり、抵抗値バラツキを小さくできる。焼結薄膜12の厚みの影響を受けた感歪抵抗体10の表面の凹凸や、感歪抵抗体10のダレ等の発生に対しても、同様に図14のような検量線を形成することで、抵抗値を目的値に補正することができる。
また本発明の場合、感歪抵抗体の上には、複数の焼結厚膜13が一定距離(第1のチャンネル長29相当の距離)を空けて形成すれば良いため、焼結厚膜13と、下地となる基板8(あるいは感歪抵抗体10や焼結薄膜12)との位置ズレは抵抗値に影響しない。つまり焼結厚膜13を形成するインキジェット装置に、基板8をセットした場合、その位置関係がずれたり、ばらついたりしても、複数の焼結厚膜13の間隔(第1のチャンネル長29)は、その影響を受けることはない。そのため、画像認識等の高価な設備を使わずとも、一般的な治具での位置合わせで対応できる。またインキジェット装置として、市販のインキジェット装置(CR−R等の硬質基板上にも高精度で印字できる装置が、各社から数万円以内で市販されている)を流用することも容易になる。
更に詳しく説明する。まず金属基板を所定形状に加工し、これを基板8とした。そしてこの基板8を1ロット1000枚として、連続的にガラスペーストを所定形状で印刷、乾燥させた。そしてこの乾燥したガラスペーストの上に、AgPd系の電極ペーストを印刷し、乾燥させた。そして、前記ガラスペーストと電極ペーストをベルト炉(In/Out60分、最高温度850℃)で同時焼成し、それぞれ絶縁層9、配線となる焼結薄膜12を形成した。そして、焼結薄膜12の上に記載したブリッジ回路を形成するように、複数の感歪抵抗体ペーストを印刷し、これを焼成した。そして、ブリッジ回路を形成する4個の抵抗体の抵抗値を、初期抵抗値として自動測定すると、数%から十数%のバラツキが観察された。また抵抗値自体も目標値より数%から十数%高かった。
そこで、図11、図12に示したようにして、これらの基板の上の感歪抵抗体10の上に、それぞれ最適なインキパターン28を印字した。なお、ここでインキパターン28を形成する金属ナノインキとしては、色々市販されているナノインキの中から、粒径数nmの銀のナノ粒子を水の中に数十wt%の濃度で分散したインキジェット用の低粘度のナノインキを選んだ。そしてこれを事前に良く洗浄しておいた市販のインキジェット装置用の専用インキカセット(元々は、染料や顔料系の色インキが入っていた)にセットした。そしてこれを市販のインキジェットにセットし、ナノインキを印字できるようにした。
ここでインキジェット装置としては、市販のピエゾ素子を用いたプリンタ(年賀状印刷や写真印刷用に市販されている数万円以下のもの)を用い、ここに前記ナノインキをセットした。なおプリンタにはCD等の平板印刷用の機構もセットされていたので、この機種を利用して、基板8をセットした。そして1ロット100枚で、パソコンに保存された基板別の抵抗値データを基に、インキパターン28を選定し、ナノインキを印字した。その後、これら基板上のナノインキを乾燥させた後、250℃で60分間熱処理し、焼結薄膜12を形成した。そして、最後に感歪抵抗体10や焼結薄膜12を覆うように、ガラスペーストを印刷し、乾燥させた後、ベルト炉(In/Out60分、最高温度650℃)で焼成した。こうして出来上がった歪センサの各感歪抵抗体の抵抗値を、焼結薄膜形成後の値として測定した。
そしてこうした試作を、数ロット繰り返した。その結果、初期抵抗(焼結薄膜を形成する前)がスペック内に入らなかったものが20〜30%発生していたが、焼結薄膜形成後(図13の状態)では、ほぼ全数がスペック内に収まった。これは試作結果に応じて、図14に示した検量線を自動的に最適化した効果もあったと思われる。なお、焼結薄膜は250℃で焼成されただけであったが、この上にガラスペーストを印刷して、650℃で焼成したが、前記ナノペーストは650℃の影響を受けなかった。
このように焼結薄膜の上に保護層を形成する場合、保護層を形成する前に、ナノインキを熱処理して、導体化(あるいは金属化、有機成分の分解)もしくは溶剤不溶化しておくことが望ましい。ナノインキが熱処理されていない場合、その上に形成される絶縁層の影響を受ける場合がある。なおナノインキの熱処理としては、100〜600℃が望ましい。100℃未満の場合、ナノインキの導体化が難しい。また600℃を超える高温でナノインキを熱処理した場合、感歪抵抗体10を構成するガラス成分が再融解して、抵抗値やTCR(抵抗値の温度変化率)が変化してしまう可能性がある。
また熱処理時間は、1〜60分が望ましい。熱処理時間が1分未満の場合、ナノインキの分解が激しくなりすぎて、下地と焼結薄膜12の接着強度が影響される場合がある。また熱処理温度が60分より長くなると、歪センサの生産性に影響を与える。発明者らの実験では、熱処理温度が200〜300℃、処理時間は5〜20分(ベルト炉でのIn/Outの時間)が適当であった。
比較のため、焼結薄膜12を焼成することなく(ナノペーストを乾燥しただけで)、この上にガラスペーストを印刷し、650℃で焼成したところ、ナノペーストによっては、焼成中にガラスペースト中に拡散してしまうものもあった。一方、熱処理したナノインキの上で、ガラスペーストを650℃で焼成しても、埋め込まれたナノインキは特に影響されなかったが、これはナノインキが熱処理されて金属化したため、拡散しにくくなったためと考えられた。また比較のため有機溶剤で希釈できるナノペーストを乾燥させ、この上に有機溶剤で希釈できるガラスペーストを印刷して、650℃でナノインキとガラスインキを同時焼成したところ、ナノインキが拡散する場合があった。これは乾燥状態のナノインキが、その上に印刷されたガラスペースト中に含まれる有機溶剤で再溶解され、ガラスインキ中に拡散しやすくなったことも考えられた。
また焼結薄膜12の上に、樹脂系の保護層を形成する場合も、保護層を形成する前にナノインキを熱処理することが望ましい。予めナノインキを熱処理しておくことで、樹脂系の保護層に含まれている溶剤成分、硬化剤等の影響を受けにくく出来る。
なお、インキジェット装置としては、ピエゾ式以外に、コンティニュアル式(連続的に噴射されたインキ滴を電磁界等で偏向させて印字するもの)、サーマル式(マイクロヒーター等で加熱して印字するもの)、ワックス式(ワックス状のインキを熱で溶解して噴射するもの)等、任意のものを選ぶことができる。
なおナノインキとして水溶性のものを選んだ場合、ナノインキを乾燥させておけば、保護剤との同時処理が可能である。例えば保護用のガラスペーストや樹脂ペーストとして有機溶剤系のものを用いた場合、ナノインキとこれら保護剤の同時焼成(あるいは同時硬化)を行うことで、生産コストを抑えることができる。これは保護層用のペーストに含まれている有機溶剤が水溶性のナノインキを溶解させないためである。
同様にナノインキとして有機溶剤可溶性のものを選んだ場合、保護用のガラスペーストや樹脂ペーストとして水溶性のものを用いた場合、ナノインキとこれら保護剤の同時焼成(あるいは同時硬化)を行なうことで、生産コストを抑えることができる。これは保護用のペーストに含まれている水系溶剤がナノインキを溶解させないためである。
なお比較のために、ナノインキの代わりに、市販の低温焼成の銀ペースト(粒子径は1〜10μm程度のもの)を数種類選んで、これを希釈して図11、図12に示すようなインキジェットでの試作を試みたが、インキ中の金属粉が沈殿しやすくプリンタヘッドを詰めてしまって満足な印字はできなかった。一方、本発明で用いたナノインキの場合、金属粉が微粒子で、沈殿しないため、プリンタヘッドを詰めることはなかった。更に低温焼成用の銀ペーストをスクリーン印刷したが、個々の感歪抵抗体の抵抗値に応じて、個別にスクリーン版を選んで印刷することはコスト的に難しかった。
また同様に描画方法でも試みたが、生産性や設備コストが製品価格に影響を与える可能性があった。またこうした低温焼成の銀ペーストを用いて、図14に示す検量線を作製した場合、バラツキが大きくなった。これは銀ペーストに含まれている銀粒子の粒径が、ナノペーストに比べて大きいため、感歪抵抗体との電気的接触が点接触(もしくは粗くなるため)になりやすいためと考えられる。そのため、ナノペーストを使った方が、感歪抵抗体との接触点を増やすことができる(あるいは接触点を細かくできるため)と思われる。
なお、感歪抵抗体の上に形成する保護層の熱処理温度は750℃以下が望ましい。750℃を超えると、感歪抵抗体を構成するガラス成分が再溶解して抵抗値等が変動する場合がある。なお、発明者らは、抵抗体の抵抗値変化に関係なく、焼結薄膜の耐熱性を評価すべく、保護層のガラス部材を750℃、850℃として焼成したが、保護層のガラスの下に形成されていた焼結薄膜12のダメージは特に観察されなかった。
なお比較のために、乾燥状態の焼結薄膜で同様な実験を行った場合、焼結薄膜が薄くなったりパターン形状が変形したりする場合があった。これは、上に印刷したオーバーコート材料に含まれている溶剤成分でナノインキが再溶解された可能性があった。しかしナノインキを熱処理し、不溶化した後は、オーバーコート材料に含まれている溶剤成分でナノインキが再溶解されることもなく、またオーバーコートを高温で熱処理しても特に問題は発生しなかった。
(実施の形態7)
以下、本発明の実施の形態7について、本発明の特に請求項25,26の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態7では、図15を用いて、焼結薄膜のパターン形状について説明する。図15は、焼結薄膜のパターン例である。図15において、複数の配線である焼結薄膜12の上に覆いかぶさるように、感歪抵抗体10が形成されている。また、図15において、複数の焼結厚膜13の間隔が、第1のチャンネル長29、複数の焼結薄膜12の間隔が、第2のチャンネル長30になる。
図15に示すように、(第1のチャンネル長29)<(第2のチャンネル長30)とすることで、抵抗値を焼結薄膜の寸法で調整できる。また第1のチャンネル長29としては、複数の焼結薄膜12の最短距離を選んでも良い。また図15に示すように、焼結薄膜12は、感歪抵抗体10の幅よりも短くてもよく、その一部を覆えばよい。また焼結薄膜12は必ずしも焼結厚膜13と接する必要はない。
少なくとも焼結厚膜13が、感歪抵抗体10を介してでも焼結薄膜12の上に被っていれば(あるいは重なっていれば)、抵抗値の調整効果は得られる。また図15に示すように、本発明の場合、1個の抵抗体に複数の焼結薄膜を同時に形成することができる。そのため、図15から判るように、焼結厚膜13の位置が多少ずれても、あるいは多少傾いても、第1のチャンネル長29は影響を受けないため、結果的にこれら位置ズレは課題にならない。また焼結厚膜13と、その下地となる感歪抵抗体10との接着強度は一定以上あればよい。これは焼結薄膜12と感歪抵抗体10との接触が、点接触ではなくて面接触になり、一般の銀粒子の入った電極ペーストよりも密着性に優れるためであり、更に保護層11で覆われているためでもある。
なお、焼結厚膜13をインキジェットで形成する場合、インキジェットプリンタの解像度は360dpi(Dot per inch)以上、特に720dpi以上が望ましい。これはプリンタの解像度が低い場合、焼結薄膜の寸法精度や第1のチャンネル長29が影響されるためである。またプリンタの解像度を高めた場合、噴射されるインキ滴27の直径が小さくなり、その結果、焼結厚膜13の厚みが低下することが考えられるが、少なくとも感歪抵抗体10のシート抵抗値よりも低ければ特に大きな影響はない。
またプリンタのドライバーソフトを調整することで、微細なインキ滴27であっても焼結薄膜の厚みを調整することができる(同じ位置に着弾するインキ滴27の個数や噴射条件をソフト的に調整できる)。
(実施の形態8)
以下、本発明の実施の形態8について、本発明の特に請求項27〜31の発明について説明する。
実施の形態8では、金属ナノインキについて更に詳しく説明する。
金属ナノインキとしては、銀、パラジウム、銅、ニッケル等の金属もしくは合金からなる電極ナノ粒子を、溶剤中に分散したものを用いることができる。電極ナノ粒子の大きさは0.001〜1μmが望ましい。
なお、0.001μm未満の金属のナノ粒子は、取り扱いが難しく高価である。また1μmを超える金属粉は金属ナノインキ中で沈殿しやすく、プリンタヘッドを詰めてしまう場合がある。またナノインキの溶剤として、水系の場合、水に必要に応じてエチレングリコールやポリエチレングリコール、グリセリン等のOH基を有する(望ましくは複数個有する)等の水溶性有機溶剤を添加したものを用いることが望ましい。これはこうした水溶性有機溶剤を添加することで、ナノインキの表面張力を調整できインキジェット装置での噴射安定性(例えば、噴射後にサテライトと呼ばれる異常インキ滴の発生を防止できる)を改善でき、基材に対する濡れ性、乾燥性(乾燥速度が速すぎると、プリンタヘッドの表面でインキが乾燥して固まってしまう)を調整できる。また水溶性溶剤を用いたナノインキを用いることで、また家庭用に市販されているインキジェット装置を流用することができる。
また金属ナノインキの溶剤として、有機溶剤系を用いる場合、水に不溶性(もしくは水に溶けないもの)を用いることができる。こうした溶剤系の金属ナノインキの場合、産業用のインキジェットプリンタ(例えば、POS用の大型プリンタや産業用高速プリンタ)を用いることができる。こうした産業用のプリンタヘッドは、民生用に比べて構造がしっかりしており耐久性にも優れているため、長時間の安定印字が可能になる。
なお金属ナノインキの熱処理としては、100〜600℃が望ましい。100℃未満の場合、金属ナノインキの導体化が難しい。600℃を超える高温でナノインキを熱処理した場合、感歪抵抗体3を構成するガラス成分が再融解して、抵抗値やTCR(抵抗値の温度変化率)が変化してしまう可能性がある。また熱処理時間は、1〜60分が望ましい。熱処理時間が1分未満の場合、ナノインキの分解が激しくなりすぎて、下地と焼結薄膜12の接着強度が影響される場合がある。また熱処理温度が60分より長くなると、歪センサの生産性に影響を与える。発明者らの実験では、熱処理温度が200℃〜300℃、処理時間は5〜20分(ベルト炉でのIn/Outの時間)が適当であった。
また、必要に応じて金属ナノインキの中に樹脂成分を添加しても良い。樹脂成分を少量添加することで、金属ナノインキのインキを印刷工法に応じて最適化でき、更に乾燥されてできた塗膜の強度が改善でき、傷付きにくくできる。例えば、インキジェット用には、粘度0.1センチポイズ〜20ポイズが望ましい。ここで粘度0.1センチポイズ未満のインキを作製することは難しく、コストが発生する。また粘度が20ポイズを超えると、インキジェットでの印字に影響を与える場合がある。
また金属ナノインキに銀を主体としたものを用いた場合、マイグレーションの可能性がある。しかし、本発明のように、感歪抵抗体の上に形成する場合、殆ど電圧が発生しないためマイグレーションの可能性は低い。また高信頼性、耐半田付け性、耐マイグレーション性の要求される部分には、図1に示したような配線として、銀パラジウム、あるいは必要に応じて白金等を添加することができる。なお、焼結薄膜のマイグレーションを防ぐためには、焼結薄膜の上に保護層を形成することが有用である。例えば焼結薄膜を、ガラスを主体とする保護層で覆うことで、Agのエレクトロマイグレーションの発生原因となる水分の浸入を防止できる。
(実施の形態9)
以下、本発明の実施の形態9について、本発明の特に請求項12〜14,32,34〜37の発明について説明する。
次に実施の形態9として、絶縁層について説明する。基板8の上に形成する絶縁層としては、ガラスやセラミックを主体とするものを用いることが望ましい。こうした無機系の絶縁層は、樹脂系の材料に比べ、耐力的にも優れ、耐水性等の信頼性も高い。また絶縁層としてガラスペーストを印刷焼成してなるガラス系(もしくは無機系)絶縁層を用いることで、配線に銀や銀パラジウムのような高信頼性で耐半田喰われ性の高い厚膜部材を使うことができる。また絶縁層上でのナノインキの焼成温度を高めに設定できるため、焼成時間を短縮でき、生産性を高められる(発明者らの実験では、ナノインキの焼成温度を100〜150℃と低くした場合、焼成時間を長くする必要があった)。
更に詳しく説明する。まずガラス粉としては、粒径(もしくは平均粒径)が0.1〜10μmのものが望ましい。粒径が0.1μm未満のガラス粉は粉砕や分級費用が発生するため高価である。また粒径が10μmを超えると、焼結されてなる絶縁層にボイド(数μm程度の小さな穴)が発生しやすくなる場合がある。
そして、このようなガラス粉に、樹脂溶液を加え、3本ロール等の分散装置を用いて分散することで、ガラスペーストを作製できる。なおここで3本ロールは、セラミック製(アルミナ製、ジルコニア製、もしくは金属ロールの表面にセラミック層を溶射等で形成したもの)を用いることが望ましい。3本ロールの表面が金属の場合、ガラス粉で研磨され、出来上がったガラスペーストの中に不純物として混入してしまう可能性がある。また必要に応じて、異なる組成の複数のガラス粉やセラミック粉等を添加することで、焼成されてなる絶縁層の熱膨張係数や焼結密度を最適化できる。
なお、ガラスペースト中のガラス粉の濃度は40〜80wt%が望ましい。40wt%未満の場合、ガラスペーストが乾燥された後の塗膜の密度が低くなり、焼結体の密度が影響を受ける場合がある。また80wt%を超えると、ガラスペーストの流動性が影響を受け、印刷時にレベリング性やピンホール発生に影響が発生する場合がある。なお、樹脂溶液としては、αテルピネオールやBCA(ブチルカルビトールアセテート)等の有機溶剤に、樹脂(エチルセルロースやポリビニールブチラール他)を溶かしたものを用いることができる。また必要に応じて可塑剤(フタル酸系の高沸点溶剤)を添加することで、出来上がった乾燥塗膜の柔軟性を改善できるため、高膜厚化や高速乾燥が可能になる。
また適当な添加剤(分散剤、レベリング剤等)を添加してもよく、こうした添加剤は色々な種類のものが市販されている。またガラスペーストの印刷には、スクリーン印刷を用いることができる。またスクリーン印刷の場合、ガラスペーストが乾燥されてなる乾燥膜の膜厚は10〜800μmが望ましい。10μm未満の場合、ピンホール等が発生する可能性がある。また800μmより厚い膜厚を、スクリーン印刷で形成しようとするのは難しく、また厚い分だけインキが流れたりダレやすくなるため、微細なビア穴(貫通穴)や高精度なパターン形成が難しくなる場合がある。またこうして形成された乾燥膜を焼成することで、厚み10〜500μmの絶縁膜を形成できる。
なお、ガラスを主体とした絶縁層の厚みが5μm未満の場合、ボイド(小さな穴)の影響を受ける場合がある。また厚みが500μmを超えると、材料費が増加する。なお、ガラス材料としては、非晶質ガラスや結晶質ガラスのどちらを用いても良い。またここにフィラーとして、アルミナやジルコニア、SiO2等のセラミック粉を添加することで、その熱膨張係数や誘電率を変化できる。
またこのとき、熱膨張係数は、基板8より僅かに小さくしておくことが望ましい。絶縁層9の熱膨張係数を、基板8より小さくしておくことで、焼成後に基板8から絶縁層9に対して圧縮応力を発生させられ、その結果、絶縁層9のクラック強度を高められる。なおここでクラック強度とは、絶縁層9の形成された基板8を曲げた時、どのぐらいの歪で絶縁層9にクラック(割れ)が発生するかというものであり、このクラック強度は高いことが望ましい。また添加するセラミック粉の粒径は、0.001〜10μmが望ましい。粒径が0.001μm未満のセラミック粉は高価であり、その比表面積が大きいためガラスペースト中への分散が難しい場合がある。またセラミック粉の粒径が10μmを超えると、出来上がった絶縁層9の中にボイドが発生しやすくなる場合がある。
またこのとき基板8の材料としては、耐熱性のステンレス基板を使うことが望ましい。なお、ステンレス基板の上にガラスペーストを印刷して焼成する場合、焼成温度は950℃以下が望ましい。950℃より高い温度で焼成する場合、ガラス材料が限定され、更に金属基板が特殊で高価なものになってしまう場合がある。
なお絶縁層に用いるガラスの融点は、400〜2000℃のものが望ましい。ガラス材料に非晶質材料を用いる場合、融点が400〜800℃のものが望ましい。融点が400℃未満の場合、ガラスが特殊となり高信頼性が得られない場合がある。また融点が800℃を超えると焼成温度が高くなりすぎ、基板8に用いる金属材料が高価で特殊なものとなる。またガラス材料に結晶性のものを用いることができる。この場合、600〜900℃で結晶化ガラスを焼結できるが、こうして焼結された後の結晶化ガラスの融点は2000℃近くまで上がることがある。またこれらガラス材料の熱膨張係数は7〜20ppm/℃が望ましい。7ppm/℃未満の場合、基板8に使える金属材料が高価で特殊なものとなるためであり、20ppm/℃を超える金属材料も同様に高価で特殊なものとなる。
また同様にオーバーコートに、ガラス材料を用いることができる。この場合、厚み10〜500μmで、融点が300〜1000℃のものを用いることが望ましい。厚み10μm未満の場合、ピンホール等の影響を受ける可能性があるためである。また500μmを超える厚みの場合、材料費が製品コストに影響を与える可能性がある。また融点が300℃未満のガラス材料では信頼性に課題が残る場合がある。また融点が1000℃を超えるものでは、オーバコートの焼成温度が高くなるため、内部に埋め込まれた感歪抵抗体の特性(抵抗値他)に影響を与える場合がある。
またオーバーコートに樹脂材料を用いることができる。この場合、厚みは10μm〜10mmの硬化性樹脂を用いることが望ましい。また硬化温度は100〜400℃が望ましい。硬化温度が100℃未満の材料では、熱硬化が不充分な場合がある。また400℃を超えると樹脂が分解する可能性もある。厚みが10μm未満の場合、ピンホール等の影響を受ける可能性がある。また厚みが10mmを超えると材料費が増加する。なおガラス材料と樹脂材料で、その上限厚みが異なるのは、それぞれに材料費の違いとその内部応力の違い、吸湿性等の違いを加味したためである。
なお本発明に用いる感歪抵抗体は、少なくとも酸化ルテニウムを5〜40wt%、ガラスを40〜90 wt%含み、その厚みは3〜50μmであり、GF値が5以上であるものが望ましい。酸化ルテニウムの含有率が5wt%未満の場合、抵抗値が高すぎてブリッジ回路の設計が難しくなる場合がある。また酸化ルテニウムの含有率が40wt%を超えると、抵抗値が低くなりすぎてブリッジ回路に配線抵抗が影響を与える場合がある。また感歪抵抗体の厚みが3μm未満の場合、抵抗体の厚みバラツキが大きくなり、ブリッジ回路を形成する複数の抵抗体の抵抗値等にバラツキが発生しやすい。またその厚みが50μmを超える場合、抵抗体の材料費が製品コストに影響を与える場合がある。
またGF(Gauge Factor、歪に対する抵抗値の変化率であり、GFは高い方が高感度である。一般の箔ゲージの場合GF=2である)は、5以上が望ましい。GFが5未満の場合、歪に対する抵抗値の変化率が低いため、歪センサとしての利用用途が限定される。
なおガラスペーストが乾燥されてなるガラスペースト乾燥膜と、厚膜ペーストが乾燥されてなる厚膜ペースト乾燥膜を同時に焼成することでコストダウンできる。この場合、焼成温度は400〜900℃が望ましい。400℃未満の場合、焼結が不充分となる可能性がある。また900℃を超える場合、基板8に特殊で高価なものを選ぶ必要がある。
またガラスペーストが印刷乾燥されてなるガラスペースト乾燥膜と、金属ナノインキが印刷乾燥されてなる金属ナノインキ乾燥膜を、400〜900℃で同時に焼成することでコストダウンできる。この場合、焼成温度は400〜900℃が望ましい。400℃未満の場合、焼結が不充分となる可能性がある。また900℃を超える場合、基板8に特殊で高価なものを選ぶ必要がある。
なおガラスペーストが印刷乾燥されてなるガラスペースト乾燥膜と、感歪抵抗体ペーストが印刷乾燥されてなる感歪抵抗体ペースト乾燥膜は、400〜900℃で同時焼成することでコストダウンできる。この場合、焼成温度は400〜900℃が望ましい。400℃未満の場合、焼結が不充分となる可能性がある。また900℃を超える場合、基板8に特殊で高価なものを選ぶ必要がある。
感歪抵抗体ペーストが印刷乾燥されてなる感歪抵抗体ペースト乾燥膜と、金属厚膜インキが印刷乾燥されてなる厚膜乾燥膜もしくは金属ナノインキが印刷乾燥されてなる金属ナノインキ乾燥膜は、共に400〜900℃で同時焼成することでコストダウンできる。この場合、焼成温度は400〜900℃が望ましい。400℃未満の場合、焼結が不充分となる可能性がある。
(実施の形態10)
以下、本発明の実施の形態10について、本発明の特に請求項33,38〜45の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態10では、金属ナノインキを使った配線の薄層化について、図16を用いて説明する。図16は絶縁層の上に直接、インキジェット方法で金属ナノインキを印刷する様子を示す断面図である。
図16において、基板8の上には絶縁層9が形成されている。そしてプリンタヘッド25の内部には所定の金属ナノインキ(図16では図示していない)がセットされ、外部信号(図示していない)によって、ノズル(図示していない)からオンデマンドで噴射され、インキ滴27を形成する。またプリンタヘッド25は、矢印26aの方向に自由に移動でき、移動しながら外部信号(図示していない)によって、インキ滴27を噴射できる。また噴射されたインキ滴27や、矢印26bの方向に飛んだ後、被印刷体となる感歪抵抗体10や絶縁層9の上に着弾し、インキパターン28を形成する。
このようにして、インキパターン28の形成方法として、非接触印刷方法を用いることで、感歪抵抗体10の厚みや段差に関係なく、複雑な回路パターンであっても、コンピュータ上で自動設計し、瞬時に図16のようにしてインキパターン28に起こすことができる。こうして形成されたインキパターン28は、印刷後に熱処理されることで焼結薄膜12となる。
図17は、インキジェット特有の課題とその解決方法について説明する図である。紙の場合、インキジェットで印字するとインキが下地の紙に染み込むために、インキが紙の上に盛り上がり、紙の上で撥水撥油されたように水玉状にはじかれることはない。しかし焼成済みのガラス層やセラミック層の上にインキジェットでインキパターンを印字した場合、下地にインキが染み込まないため、ガラス層やセラミック層の上でインキが水玉状に盛り上がることがある。これは下地にインキが染み込まず、更にインキが低粘度の状態のために、その表面張力で(例えば、室温で水銀が水玉状の塊になるように)インキが水玉状になるためである。
また焼成済みのガラス層やセラミック層によっては、インキは濡れ広がってしまい、印字したパターンが滲んでしまうことがある。これはインキの表面張力が低い場合に発生しやすい。しかしたとえ表面張力が低く、濡れ広がりやすいインキを使ったとしても、当初濡れ広がる焼成済みのガラス層であっても、この焼成済みガラス層を自然放置しておくことで、インキが濡れ広がらない(あるいはインキが表面で水玉状にはじかれる)ことも経験する。これは焼成済みのガラス層を放置している間に、空気中に油や汚れ、ゴミ等が付着したことが原因と考えられる。このように、着弾したインキパターンを高精度に保つことは難しい場合がある。こうした場合、以下のようなアプローチが有効である。
図17(A)において、未焼成ガラス層31が基板8の上に形成された後、所定温度で焼成されることで絶縁層9を形成する。図17(A)において、プリンタヘッド(図示していない)から噴射されたインキ滴27は矢印26bの方向に飛行し、未焼成ガラス層31の上に着弾し、インキパターン28を形成する。図17(A)の丸で囲んだ部分は、未焼成ガラス層31とインキパターン28の界面であり、この丸で囲んだ部分の拡大断面図が図17(B)に相当する。図17(B)において、インキパターン28は、インキ滴27の集合体で表わされている。このようにインキ滴27が未焼成ガラス層31の上に着弾した後、インキ滴27に含まれている溶剤成分(例えば、水や有機溶剤)等が、下地となる未焼成ガラス層31の方向に染み込む。そして溶剤成分の少なくなった着弾後のインキ滴27は、その結果、増粘し流動性をなくす。
図18は、消失性下地を用いて着弾後のインキ形状を高精度に保つ様子を示す断面図である。図18(A)において、基板8の上に、絶縁層9が形成されている。そして絶縁層の一部(図においては、絶縁層9の右半分)に消失性下地32を形成している。そして、この上に、プリンタヘッド(図示していない)から、インキ滴27を噴射させる。一部のインキ滴27は、絶縁層9の上に直接、着弾してインキパターン28aを形成する。またインキ滴27の一部は、絶縁層9の上に形成された消失性下地32の上に着弾してインキパターン28bを形成する。
絶縁層9の上に直接、着弾したインキパターン28aは、下地の絶縁層9に染み込まないため、その表面に水玉状に盛り上がる(あるいはメニスカスと呼ばれる張力によって水玉を形成する)か、その表面で濡れ広がってしまう。一方、消失性下地32の上に着弾したインキ滴27は、着弾と同時にインキ滴27の内部の溶剤成分が、矢印26cに示すように、消失性下地32に染み込むため、濡れ広がったり、水玉状に丸く寄り固まることはない。
図18(B)は、図18(A)のサンプルが焼成された後の断面形状を示すものである。図18(A)において、絶縁層9の上に形成されたインキパターン28aは、図18(B)において、焼結薄膜12aを形成する。図18(A)に示すように、絶縁層9の上に形成されたインキパターン28aは水玉状に丸く寄り固まっており、これが乾燥、焼成されてなる焼結薄膜12aは、図18(B)に示すように、表面粗さが大きく、細かいクラックやひび割れが発生しやすい。
一方、図18(A)において、消失性下地32の上に形成されたインキパターン28bは、インキ滴27の着弾と共に、インキ粘度が上昇するため、均一な厚みで、濡れ広がり、パターンが撥水撥油されて縮まることもない。その結果、このパターンは、焼成後に、図18(B)に示すように、絶縁層9の上で、均一な厚み、高精度なパターンを維持したまま焼結薄膜12bを形成する。なお消失性下地32は、この後、金属ナノインキの熱処理の際、分解してなくなっている。
また、このような手法を感歪抵抗体10の上に金属ナノインキをインキジェットで形成する場合にも利用できる。例えば使用する金属ナノインキによっては、下地となる感歪抵抗体10の上で濡れ広がったり、水玉状にはじかれたり(撥水撥油)されたりする場合も考えられる。こうした場合、ナノインキの下地に、消失性下地層を形成しておくことで下地に対する印刷適性を大幅に改善できる。消失性下地層としては、発明者らが国際公開番号WO/086924号公報等で提案したものを使うことができる。
水溶性のナノインキに対しては水溶性の消失性下地層が、油溶性(もしくは有機溶剤可溶性)のナノインキに関しては、油溶性(もしくは有機溶剤可溶性)の消失性下地を使うことが望ましい。これは、水溶性のナノインキに対して、油溶性の消失性下地を使った場合、油溶性の消失下地の上に着弾した水溶性ナノインキが、撥水撥油されてしまい、パターンが綺麗に描けない(多くの場合、パターン周辺が水玉状に撥水されてしまう)ためである。
なお、水溶性の消失性下地の場合、有機溶剤に対して多少の可溶性(あるいは膨潤性)を有していることが望ましい。こうすることで、様々なナノインキに対する印刷適性を改善できる。なお消失性下地層の厚みは、0.001〜10μmが望ましい。10μmを超える場合、ナノインキパターンの熱処理時にそのパターンが変形する場合がある。また消失性下地の厚みが0.001μm未満の場合、下地に対する印刷適性の改善効果が得られない場合があり、また消失性下地の形成時の厚み制御、更に厚み測定が難しくなる場合がある。このようにしてインキ滴27が、消失下地の上に着弾し、インキ滴の粘度が上昇し、インキパターンのダレやはじきを防止できる。
なお、消失性下地の上に着弾したインキ滴の粘度変化(粘度上昇以外にはゲル化や硬化、脱水等も含まれる)としては、消失性下地への溶剤成分の浸透以外に、消失性下地に含まれている成分との、ゲル化反応を使うことができる。例えば、アニオン系とノニオン系、アニオン系とカチオン系、ノニオン系とカチオン系の反応を使うことができる。例えば、ポリカルボン酸等の分散剤を用いてナノインキを作製し、消失性下地にノニオン系を使うことで、着弾とインキ溶剤の浸透以外にインキ滴の粘度上昇反応(あるいはゲル化)を併用できる。
このように水溶性部材を用いた場合、他の化学反応(例えば、市販のポリビニールアルコール系の合成洗濯のりに硼砂等を加えてできるゲル反応)アクセプターとドナーでゲル化する反応、塩析反応、pHの違いを利用するゲル化反応、物理ゲル反応(例えば、高分子間の水素結合やイオン結合、キレート生成等による物理的橋架け反応)、反対電荷を有する2種類の高分子電解質溶液同士を混合した際に発生するポリイオンコンフレックスゲルと呼ばれるゲル反応等も用いることができる。また化学反応を用いるゲル化反応(あるいはpHの違いを用いるゲル化反応)、タンパク質の凝固反応、脱水反応(脱水化剤として、メタノールやエタノールを使うことができる)を用いることもできる。
またこうした部材を、予め下地となる絶縁層に添加しておくことも可能である。つまりこうした成分をバインダ等に添加し、これで絶縁層を形成しておくことで、この上に着弾したインキ滴27をダレやはじきなしで所定のインキパターン28とすることができる。このようにインキパターンをゲル化や不溶化した場合、下地部材と一括焼成することも可能である。
以上のように、焼結薄膜12を使うことで、その上に形成した感歪抵抗体10にダレ等による抵抗値バラツキの発生を抑えられる。
なお、焼結薄膜12の厚みは0.01〜5μmが望ましい。焼結薄膜12の厚みが0.01μm未満の場合、抵抗値が高くなってしまいブリッジ回路の精度に影響を与える場合がある。また焼結薄膜12の厚みが5μmを超えると、その厚みが感歪抵抗体3の抵抗値バラツキの発生原因になる可能性があり、また焼結薄膜12の材料費が製品コストに影響を与える可能性がある。
なお発明者らの最適化実験では、焼結薄膜12の厚みは0.1〜1μmが望ましかった。焼結薄膜12の厚みが0.1μm以上(望ましくは0.2μm以上)の場合、焼結薄膜12のシート抵抗のバラツキも少なく、その値も安定していた。また焼結薄膜12の厚みが1μm以下の場合、その厚みが感歪抵抗体10の抵抗値バラツキの原因にはなりにくかった。これは感歪抵抗体10の下地となる絶縁層9にも、1μm程度の凹凸や表面粗さがあるためと考えられた。
金属ナノインキとしては、銀、パラジウム、銅、ニッケル等の金属もしくは合金からなるナノ粒子を、溶剤中に分散したものを用いることができる。ナノ粒子の大きさは1nm〜1μmが望ましい。1nm未満の金属のナノ粒子は、取り扱いが難しく高価である。また1μmを超える金属粉では、金属ナノインキが焼成してなる焼結薄膜の厚みを厚くする必要があり、感歪抵抗体に配線の厚みに依存する抵抗値バラツキが発生しやすくなる。
なお金属ナノインキを図16に示すように、インキジェット方法で使う場合、その粘度は0.1センチポイズ〜10ポイズが望ましい。なお粘度測定におけるズリ速度は、1〜1000/sの範囲が望ましい。つまり1〜1000/sのズリ速度域で、少なくとも金属ナノインキの粘度が0.1センチポイズ〜10ポイズであれば、インキジェットでの印字が可能である。なお粘度が10ポイズを超えると、粘度が高すぎてインキジェットでは印字できない場合がある。また、0.1センチポイズ未満のインキを作製することは技術的に困難でありコスト高になる。
なお、図16や図18における焼結薄膜12の形成方法としては、インキジェットを用いても良いが、スクリーン印刷方法や描画方法を用いても良い。スクリーン印刷の場合、ナノインキの粘度は、ズリ速度1/sにおいて10〜10000ポイズが望ましい。ナノインキはインキジェット用に市販されているものがあるので、これらをスクリーン印刷用や描画用に用いる場合、ナノインキに樹脂等を添加して粘度調整すれば良い。また、元々金属ナノインキに含まれている金属粒子は非常に細かいため、スクリーン版や描画用の描画ヘッドを詰めてしまうことはない。
更に詳しく説明する。まず所定寸法に加工した金属基板を基板として約1000枚用意した。次に、この上に所定のガラスペーストを印刷し、乾燥した後、ベルト炉(In/Out60分、最高温度850℃)で焼成した。そしてこの上に、金属ナノインキをインキジェット印刷した後、乾燥させ、ベルト炉(In/Out20分、最高温度300℃)で熱処理した。次にこの上に感歪抵抗体ペーストを所定ブリッジ回路を形成するように複数個を一括してスクリーン印刷し、ベルト炉(In/Out60分、最高温度850℃)で焼成した。そして、最後に保護層を形成した。最後に抵抗値バラツキを測定したところ、殆ど全数が規格抵抗値内に収まっていた。
そこで比較用に、複数の銀パラジウム電極(金属粒子径1〜10μm)を用いて、同様に試作(焼成後の電極厚みは10〜20μmであった)し、抵抗値バラツキを測定したところ、10〜20%が規格抵抗値内に収まらなかった。そこでこれら規格内に収まらなかったサンプルを解析したところ、ダレが発生していることがわかった。一方、実施の形態10のサンプルでは、ダレは発生していなかった。そこで、前記複数の銀パラジウム電極(金属粒子径1〜10μm)を用いて、インキを希釈しながら印刷条件を工夫して薄層化印刷を試みた。電極の焼成後の厚みを5μm程度と薄層化したがダレはまだ発生する場合があった。
更にインキを希釈して電極の焼成後の厚みを1〜3μm程度としたが、抵抗値バラツキは収まらなかった。そこで、これら薄層化した電極を電子顕微鏡で観察したところ、個々の金属粒子径が大きいため、切れ切れになっていた。一方、焼結薄膜の場合(金属粒子径が元々細かいため)、電極厚みを0.1μm未満と薄くしても、配線が切れることはなかった。
なお図16や図18に示した構造とすることで、焼結薄膜12に銀100%の金属ナノインキを選ぶこともできる。これは焼結薄膜12の上に、感歪抵抗体10が形成されるため、複数の焼結薄膜12間にマイグレーションの原因となる水分の浸入を防止できるためである。更に焼結薄膜12や感歪抵抗体10を保護層11で覆うことも効果的である。保護層11としてガラス材料を用いる場合、その厚みは5〜500μmが望ましい。ガラス層の厚みが5μm未満の場合、ガラス層の焼成時に発生する泡やピンホールの影響を受ける場合がある。またガラス層の厚みが500μmを超えると、ガラス層の材料費が製品コストに影響を与える場合がある。
また絶縁層9として、樹脂を用いる場合、その厚みは10μm〜2cmが望ましい。樹脂の厚みが10μm未満の場合、所定の信頼性が得られない場合がある。また樹脂層の厚みが2cmを超えると、樹脂の材料費が製品コストに影響を与える場合がある。このように、ガラスに比べて樹脂の方が、柔らかい分、内部応力が感歪抵抗体の抵抗値変化(あるいは抵抗値のシフトやクリープ、共に抵抗値が時間と共に僅かであるが変化する現象)を防止しやすい。しかし、ガラスに比べて樹脂の方が水分の浸入に弱い場合があるので、保護層11として樹脂を用いる場合、その厚みは20μm以上が望ましい。また樹脂中にセラミック粉等のフィラー材料を入れることで、その耐水性、強度を改善することができる。
次に、絶縁層にガラスを用いた場合について説明する。絶縁層にガラスを用いた場合、ガラス材料と金属ナノインキを同時焼成することが可能である。例えば、金属基板の上に、所定のガラスペーストを印刷、乾燥し、この上に金属ナノインキを所定形状に印刷、乾燥し、ガラスペーストの焼成と共に金属ナノインキの熱処理を兼用することも可能である。
次に具体的に説明する。まず未焼成ガラス層としては、所定のガラス粉を樹脂溶液の中に分散してなるガラスペーストを作製した。ここで樹脂溶液は、ポリビニールブチラール樹脂を、αテルピネオールとBCA(ブチルカルビトールアセテート)の混合溶剤の中に溶かし、更にフタル酸系の高沸点溶剤を可塑剤として加えた。そして、この樹脂溶液中に、前記ガラス粉を添加し、セラミック製3本ロールミルを用いて、均一に分散させた後、粘度調整した。最後に、市販のメッシュ(網)を用いて、前記ペーストをろ過し、ガラスペーストとして完成させた。このガラスペーストを、基板8の上に、スクリーン印刷方法を用いて所定パターン形状に印刷した後、約10分間レベリングさせ、最後に約200℃で10〜30分程度、乾燥させて、未焼成ガラス層とした。
なお、ガラス粉の平均粒径は、0.1〜10μmが望ましい。0.1μm未満のガラス粉は、高価であるので製品価格に影響する場合がある。なおスクリーン印刷時のピンホールや泡が、製品の歩留りに影響するのを防ぐため、未焼成ガラス層は、印刷、乾燥、印刷、乾燥と繰り返すことで、未焼成ガラス層を複数層とすることで対処した。平均粒径が10μmを超える場合、確率的に20μmや30μm、場合によっては40μmと大粒のガラス粉が混在している可能性が高く、ガラスペーストの印刷時や焼成時に課題となる場合がある。またこうした大粒のガラス粉が含まれているガラスペーストの乾燥表面は凹凸が大きく、この凹凸がナノインキの印刷適性や焼成適性に影響を与える可能性がある。
なお、未焼成ガラス層を多層化する場合、ガラスペーストを塗布し乾燥した上に更にガラスペーストを塗布することで形成することができる。また基板8と接する絶縁層9は結晶化ガラスであり、その結晶化率は50%以上であることが望ましい。基板8と接する絶縁層9が非晶質ガラスの場合、感歪抵抗体10の焼成時に軟化して基板8との界面の接着強度が低下する場合がある。そのため基板8と接する絶縁層9を結晶化ガラスとすることで感歪抵抗体10の焼成時に絶縁層9としてガラスが軟化しないため基板8との界面の接着力が低下することはない。また結晶化ガラスを用いる場合、結晶化率は50%以上が望ましい。結晶化率が50%未満(つまり絶縁層の50%以上が非晶質ガラス)の場合、感歪抵抗体10の焼成時に非晶質ガラス成分が軟化して、基板8との接着強度に影響を与える場合がある。なお、絶縁層9の結晶化率はX線回折等の設備を用いて評価することができる。
(実施の形態11)
以下、本発明の実施の形態11について、本発明の特に請求項3〜7の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態11では、図19〜21を用いて、焼結薄膜12と焼結厚膜13との組み合わせ例について説明する。図19は焼結薄膜と焼結厚膜の2種類からなる配線を組み合わせた様子を示す断面図である。図19において、基板8の上には絶縁層9が形成され、その上には焼結薄膜12が形成され、焼結薄膜12の上には、感歪抵抗体10や焼結厚膜13が形成されている。
図20は焼結薄膜と焼結厚膜の2種類からなる配線を組み合わせた様子を示す断面図であり、図20において、14は窓であり、保護層11に所定形状で形成された開口部であり、窓14の中には焼結厚膜13が露出している。また絶縁層9を介して、焼結薄膜12が形成され、焼結薄膜12の上に、感歪抵抗体10が重なるように形成されている。そして保護層11に形成された窓14を介して、各種チップ部品等が半田付け等で実装されることになる。
実施の形態11では、焼結薄膜12の厚みが極めて薄いため、この上に感歪抵抗体10を形成しても、ダレが発生せず、抵抗値バラツキが発生しにくい。また焼結薄膜12の厚みが薄く、更に半田喰われやすい銀を主体としたものであっても、図9に示すようにその上に従来の配線を形成することで、半田喰われ等の発生を防止できる。なお配線としては、パラジウムを5wt%以上含むことが望ましい。パラジウムを含むことで配線の耐半田喰われ性を改善できる。また配線の厚みは5μm以上が望ましい。配線の厚みが5μm未満の場合、半田喰われしてしまうため、必要な接着強度が得られない場合がある。
なお焼結薄膜12と焼結厚膜13の順番は、図21に示すようなものであっても良い。図21は焼結薄膜と焼結厚膜の上下が入れ替わった様子を示す断面図であり、図21において、焼結薄膜12は、感歪抵抗体10や焼結厚膜13の上にその一部が重なるように形成されている。
また、図22、図23は図21に示す歪センサをインキジェット方法で形成する様子を断面で説明する図である。図22(A)において、基板8の上には絶縁層9が形成され、その上には、感歪抵抗体10と、焼結厚膜13が形成されている。そして、図22(B)に示すように、プリンタヘッド25から、金属ナノインキから構成されたインキ滴27を、感歪抵抗体10や、焼結厚膜13の上に重なるように印字する。この際、プリンタヘッド25を被印刷体となる感歪抵抗体10や焼結厚膜13から一定距離離しておくことで、こうした部材の厚みは印字品質に影響を与えない。こうして図23(A)に示すように、感歪抵抗体10と焼結厚膜13を、インキパターン28で接続することができる。そして、最後に、金属ナノインキからなるインキパターン28を熱処理することで、図23(B)に示すように、感歪抵抗体10と焼結厚膜13を電気的に接続できる。
(実施の形態12)
以下、本発明の実施の形態12について、本発明の特に請求項15〜16の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態12では、絶縁層の内部に内部電極を入れる様子について、図24を用いて説明する。図24は絶縁層の内部に内部電極を入れた様子を示す断面図である。図24において、33は内部電極であり、絶縁層9の中に形成されている。このように電極を内部電極33と焼結薄膜12(もしくは焼結厚膜13)と多層化することで、センサの小型化と高性能化、耐ノイズ特性の改善が可能になる。このように絶縁層9の中に内部電極33を形成することで、図24に示したブリッジ回路の配線抵抗を下げられ、ブリッジ回路を形成する所全てに感歪抵抗体10を形成することができ、センサの高感度化が可能となる。
更に図24に示したブリッジ回路の一部(あるいは複数配線)を絶縁層9に形成したビア穴(図24には記載していない)を介して、内部電極33に落とす(電気的に接続する)ことができる。このように、内部電極33を用いることで、センサの耐ノイズ特性を改善できる。こうした手法として、例えば内部電極33をグランド電極として、絶縁層9に形成したビア穴(図24には記載していない)に焼結厚膜13や焼結薄膜12を電気的に接続することが望ましい。更にビア穴を複数個使うことで、更に配線抵抗を下げられる効果が得られる。
またこうした内部電極33によって、基板8に金属材料を用いた場合でも、基板8からのノイズの回り込みを防止できるため(回路のグランドを基板8ではなくて、内部電極33とすることもできる)、耐ノイズ特性の高い歪センサを製造できる。
また内部電極33はベタパターン(広い単一パターン)にこだわる必要はない。コンデンサの電極(容量成分)とする場合、内部電極33をベタパターンとすれば良いが、必要に応じて内部電極33を所定パターン形状に設計してもよく、必要に応じて基板8や内部電極33と焼結厚膜13や焼結薄膜12等と電気的に接続することもできる。
なお内部電極33の厚みは0.1〜100μmが望ましい。内部電極33の厚みが0.1μm未満の場合、所定の導通が得られない場合がある。またその厚みが100μmを超えると、内部電極33の部材がコストに影響を与える場合がある。またこの内部電極33としては、銀を主体とするものを使える。また必要に応じて、ガラスを0.1〜30wt%の範囲で内部電極に添加することで、内部電極33と絶縁層9との接続強度(もしくは剥離強度)を高められる。ガラス添加量が0.1wt%未満の場合、絶縁層9との接着強度が低下する場合がある。またガラス添加量が30wt%を超えると、内部電極33の抵抗値が増加して、センサの感度や出力に影響を与える場合がある。なお内部電極33に添加するガラス材料としては、一般的な市販のガラスフリットを用いても良いが、絶縁層9に使っているガラス材料を使っても良い。
(実施の形態13)
以下、本発明の実施の形態13について、本発明の特に請求項17〜18の発明について図面を参照しながら説明する。
実施の形態13では、基板上に直接、電極を形成する様子を、図25を用いて説明する。図25は基板上にGND電極を直接形成した場合について説明する断面図である。図25において、34はGND電極であり、基板8の上に直接形成している。図25に示すような構造の場合、基板8にステンレス材料を用い、ガラスからなる絶縁層9を形成し、更にその上に焼結厚膜13や焼結薄膜12を形成した状態で、熱処理(ガラスよりなる絶縁層が溶解する温度で、例えば500〜600℃)すると、基板8と焼結薄膜12や焼結厚膜13の間に、電圧が発生する場合がある。これはガラスが溶解され、固体電解質となり、基板8と焼結厚膜13や焼結薄膜12の間で一種の熱起電力を発生させる現象と思われる。
発明者らの経験では、焼結厚膜13や焼結薄膜12に金や白金を用いたときには、このような熱起電力は発生しなかったが、銀を用いた場合にはこうした熱起電力が発生する場合が多かった。そしてこの熱起電力の大きさは、熱処理温度の増加と共に大きくなり、例えば、800℃付近では、1〜2V程度の電圧が発生する場合があった。そしてこのように電圧の発生したサンプルでは、基板1と焼結厚膜13や焼結薄膜12との間の絶縁抵抗が低下する(ショートの発生割合が増加する)こともわかった。またこの起電力は、絶縁体10の厚みが300μmを超えると、殆ど観察されなかったが、絶縁体10の厚みが10〜50μmの場合は、はっきり観察され、更にこうしたサンプルでは、絶縁層10の内部への銀拡散が増加したり、ショートの発生割合が増加した。
以上より、この現象は電極材料に銀(焼結厚膜13や焼結薄膜12)を使った場合、前記銀電極と卑金属(例えばステンレスで、基板8に相当する)との間で、ガラスが溶解して電解質化した場合に発生する電気化学的な現象(あるいは一種の電池反応)と思われた。しかし図25の構造で、GND電極34が形成されていない場合、基板8と焼結厚膜13や焼結薄膜12の間のショート発生率をサンプル試作して評価した(各N=10)ところ、ガラス絶縁層の厚みが100μm前後ではショート率は数%以下であったものが、50μm前後で50%程度、20μmでは100%近くであった。
一方、図25のように基板8の上に、焼結薄膜12や焼結厚膜13に似せたパターン状に(これら配線パターンをそのまま基板8上に写し取るようなパターンとして)銀を主体とする貴金属で、GND電極34を形成した場合、サンプルを800〜900℃に加熱してもこうした電圧発生は観察されなかった。これは基板8の上にGND電極34を形成することで、ガラスが溶解して電解質化した場合でも、銀電極よりなるパターン(焼結厚膜13や焼結薄膜12に相当する)と銀電極よりなるパターン(基板8の上に形成されたGND電極34に相当)が、溶解したガラス層を間に挟んで対向した場合、両方の電極材料が同じであるため、この間に電位差(あるいはイオン化傾向の差)が発生しないためと考えられた。
またこうして作製したサンプル(図25に示すGND電極34が形成された状態、各N=10個で作製)では、ガラスの厚みが100μm前後で、ショート発生率は1%以下、更に50μmでも1〜2%程度、20μmでも数%であった。またこうして作製したサンプルの断面をXMA(蛍光X線装置)したところ、ガラス絶縁層への銀の拡散は殆ど観察されなかった(図25の構造で、GND電極34の形成された場合)が、GND電極34の形成されていないサンプルでは、用いたガラス材料によってはかなりの量の銀がガラス絶縁層の内部に拡散していることが観察された(ガラス断面によっては、ガラス内部で拡散した銀が金属粒子状に析出している場合も観察された)。
なお、GND電極34の厚みは0.1〜100μmが望ましい。厚みが0.1μm未満の場合、膜厚測定が難しい。また100μmを超える場合、GND電極34の材料費がコストに影響を与える場合がある。またGND電極34としては、導電材として貴金属電極の中でも安価な部類になる銀を主体とすることが望ましい。金や白金、パラジウムのような高価な貴金属材料ではコストに影響する。またGND電極34には、ガラス成分を添加しても良い。ガラス成分を添加することでGND電極34と基板8との接着強度を安定化できる。
なお、GND電極34は、電気化学的な反応を防止する触媒のようなものであるので、銀の添加量を減らすことも可能である。またGND電極34はベタパターンでなくとも、斑状(もしくは水玉模様)としたもの、メッシュ状のもの、ストライプ状、格子状、市松状であっても良い。このように、基板8から電気的に絶縁された焼結厚膜13や焼結薄膜12と基板8の間に、GND電極34を形成することで、こうした電気化学的な影響を抑えることができ、製品の歩留りを高められる。
このように基板上に直接、GND電極34を形成する場合、そのGND電極34は銀を主体としたものが望ましい。そしてこのGND電極は、Agを50wt%以上、ガラス成分は0.1〜50wt%のものが望ましい。Agの割合が50wt%未満の場合、熱起電力の発生防止効果が得られない場合がある。またGND電極におけるガラス成分の割合が50wt%を超える場合、GND電極34の導電抵抗が増加するために、熱起電力の発生防止効果が得られない場合がある。またガラス添加量が0.1wt%未満の場合、GND電極34と基板8の接着強度が影響される場合がある。なおGND電極34の厚みが0.1μm未満の場合、電池抑制効果は得られない場合がある。また多少のピンホールや厚みムラがあっても、そのショート防止効果は影響されない。
なおGND電極34に添加するガラス材料としては、一般的な市販のガラスフリットを用いても良いが、絶縁層2に使っているガラス材料を使っても良い。
(実施の形態14)
以下、本発明の実施の形態14について、本発明の特に請求項27〜30、46〜53の発明について説明する。
実施の形態14では、金属ナノインキの形成方法等について更に詳しく説明する。例えば、金属ナノインキの印刷には、描画方法を用いることができる。この場合、粒径が0.001〜1μmの金属粉が水もしくは有機溶剤中に粘度0.1〜100ポイズで分散されてなる金属ナノインキが、内径0.01μm〜1mmの描画ヘッドから描画印刷することが望ましい。
粘度が0.1ポイズ未満の場合、描画時にインキが垂れてしまって所定の精度が得られない場合がある。また粘度が100ポイズを超えると、描画用ノズルから金属ナノインキを塗出させるのが難しくなり、描画ムラが発生する場合がある。なお粘度測定において、ズリ速度は0.1〜1000/sの範囲の任意の点で測定すればよい。また描画用ヘッドには市販のものを用いることができる。
ここで、描画用ヘッドに装着させるヘッドの内径が0.01μm未満の場合、インキが詰まる場合がある。また内径が1mmを超える場合、描画時にインキが垂れたり、描画ムラが発生する場合もあり、更に高精度な描画が難しい。なお描画用ノズルの材質としては、セラミックもしくは超硬金属を用いることで、長時間の安定描画が可能になる。またこうした意味でも、高価であるがサファイアを使うことが望ましい。また描画装置としては、複数メーカーから市販されているものを用いることができる。
また金属ナノインキの印刷には転写印刷を使うことができる。転写印刷とは、所定のパターンを印刷した後、これを被印刷体表面に転写する方法であり、パッド印刷等と呼ばれることもある。こうした転写印刷方法は、ゴルフボール等の上にパターン印刷することに使われており、こうした転写印刷方法を用いることでも、平面以外の異形形状の基板に対しても対応できる。
なお、金属ナノインキが印刷される被印刷体が焼成済みのガラス絶縁層や、焼成済みの感歪抵抗体、焼成済みの焼結厚膜の場合、前記焼成済みの表面の濡れ性、表面粗さ、汚れ具合は、焼成直後と焼成後、数時間後では変化している。これは焼成炉から出た直後は有機物や水分の付着は極僅かであるが、これを室内で放置しておくことで有機物や水分が表面に吸着するためと思われる。こうした焼結済みの表面の場合、金属ナノインキの印刷適性が影響を受ける場合がある。しかしそのような場合であっても、焼結表面に予め、消失下地層を厚み0.1〜5μmで形成しておくことで、印刷適性を安定化でき、その結果として、金属ナノインキやこれが焼結されてなる焼結薄膜のパターン精度や厚み精度を高められる。なお、消失下地の厚みが0.1μm未満の場合、その膜にピンホールが発生しやすく、印刷適性の改善に影響がある場合がある。また消失下地の厚みが5μmを超える場合、消失下地を消失させた後で、下地材料とその上に形成した金属ナノインキの焼結接着強度が影響を受ける場合がある。
なお、金属ナノインキが印刷される被印刷体が未焼成のガラスペーストの乾燥塗膜や感歪抵抗インキの乾燥塗膜、電極インキの乾燥塗膜等の未焼成面の場合、こうしたインキ中に含まれるバインダ樹脂によって、その上に印刷形成される金属ナノインキの印刷適性が影響を受ける場合がある。こうした未焼成面の場合、予め、消失下地を厚み0.1〜5μmで形成しておくことで、印刷適性を改善できる。その結果として、金属ナノインキやこれが焼結されてなる焼結薄膜のパターン精度や厚み精度を高められる。なお、消失下地の厚みが0.1μm未満の場合、その膜にピンホールが発生しやすく、印刷適性の改善に影響がある場合がある。また消失下地の厚みが5μm以上の場合、消失下地を消失させた後で、下地材料とその上に形成した金属ナノインキの焼結接着強度が影響を受ける場合がある。
また、感歪抵抗体インキが印刷される被印刷体が、焼成済みのガラス絶縁層や、焼成済みの焼結厚膜の場合、前記焼結済みの表面の濡れ性、表面粗さ、汚れ具合は、焼成直後と焼成後、数時間後では変化している。これは焼成炉から出た直後は有機物や水分の付着は極僅かであるが、これを室内で放置しておくことで有機物や水分が表面に吸着するためと思われる。こうした焼結済みの表面の場合、感歪抵抗体インキの印刷適性が影響を受ける場合がある。しかしそのような場合であっても、焼結表面に予め、消失下地層を厚み0.1〜5μmで形成しておくことで、印刷適性を安定化でき、その結果として、感歪抵抗体インキやこれが焼結されてなる感歪抵抗体のパターン精度や厚み精度を高められる。なお、消失下地の厚みが0.1μm未満の場合、その膜にピンホールが発生しやすく、印刷適性の改善に影響がある場合がある。また消失下地の厚みが5μmを超える場合、消失下地を消失させた後で、下地材料とその上に形成した感歪抵抗体の焼結接着強度が影響を受ける場合がある。
なお、感歪抵抗体インキが印刷される被印刷体が未焼成のガラスペーストの乾燥塗膜や電極インキの乾燥塗膜等の未焼成面の場合、こうしたインキ中に含まれるバインダ樹脂によって、その上に印刷形成される感歪抵抗体インキの印刷適性が影響を受ける場合がある。こうした未焼成面の場合、予め、消失下地を厚み0.1〜5μmで形成しておくことで、印刷適性を改善できる。その結果として、感歪抵抗体インキやこれが焼結されてなる感歪抵抗体パターン精度や厚み精度を高められる。なお、消失下地の厚みが0.1μm未満の場合、その膜にピンホールが発生しやすく、印刷適性の改善に影響がある場合がある。また消失下地の厚みが5μmを超える場合、消失下地を消失させた後で、下地材料とその上に形成した感歪抵抗体の焼結接着強度が影響を受ける場合がある。
なお、焼成されて厚み3〜30μmの厚膜配線となる電極インキが印刷される被印刷体が焼成済みのガラス絶縁層や、焼成済みの感歪抵抗体、焼成済みの焼結厚膜の場合、前記焼結済みの表面の濡れ性、表面粗さ、汚れ具合は、焼成直後と数時間経過した後では変化している。これは焼成炉から出た直後は有機物や水分の付着は極僅かであるが、これを室内で放置しておくことで有機物や水分が表面に吸着したり表面が酸化したりするためと思われる。こうした焼結済みの表面の場合、焼成されて厚み3〜30μmの厚膜配線となる電極インキの印刷適性が影響を受ける場合がある。しかしそのような場合であっても、焼結表面に予め、消失下地層を厚み0.1〜5μmで形成しておくことで、印刷適性を安定化でき、その結果として、焼成されて厚み3〜30μmの厚膜配線となる電極インキや、これが焼結されてなる焼結厚膜のパターン精度や厚み精度を高められる。なお、消失下地の厚みが0.1μm未満の場合、その膜にピンホールが発生しやすく、印刷適性の改善に影響がある場合がある。また消失下地の厚みが5μm以上の場合、消失下地を消失させた後で、下地材料とその上に形成した厚膜配線もしくは焼結厚膜の接着強度が影響を受ける場合がある。
なお、焼成されて厚み3〜30μmの厚膜配線となる電極インキが印刷される被印刷体が未焼成のガラスペーストの乾燥塗膜や感歪抵抗インキの乾燥塗膜、感歪抵抗インキの乾燥塗膜等の未焼成面の場合、こうしたインキ中に含まれるバインダ樹脂によって、その上に印刷形成され、焼成されて厚み3〜30μmの厚膜配線となる電極インキの印刷適性が影響を受ける場合がある。こうした未焼成面の場合、予め、消失下地を厚み0.1〜5μmで形成しておくことで、印刷適性を改善できる。その結果として、焼成されて厚み3〜30μmの厚膜配線となる電極インキやこれが焼結されてなる焼結厚膜のパターン精度や厚み精度を高められる。なお、消失下地の厚みが0.1μm未満の場合、その膜にピンホールが発生しやすく、印刷適性の改善に影響がある場合がある。また消失下地の厚みが5μmを超える場合、消失下地を消失させた後で、下地材料とその上に形成した厚膜配線もしくは焼結厚膜の接着強度が影響を受ける場合がある。
なお、焼成されて厚み10〜500μmのガラスからなるオーバーコートを形成するオーバーコートインキが印刷される被印刷体が焼成済みのガラス絶縁層や、焼成済みの感歪抵抗体、焼成済みの焼結厚膜の場合、前記焼結済みの表面の濡れ性、表面粗さ、汚れ具合は、焼成直後と焼成後、数時間後では変化している。これは焼成炉から出た直後は有機物や水分の付着は極僅かであるが、これを室内で放置しておくことで有機物や水分が表面に吸着するためと思われる。こうした焼結済みの表面の場合、焼成されて厚み10〜500μmのガラスからなるオーバーコートを形成するオーバーコートインキの印刷適性が影響を受ける場合がある。しかしそのような場合であっても、焼結表面に予め、消失下地層を厚み0.1〜5μmで形成しておくことで、印刷適性を安定化でき、その結果として、焼成されて厚み10〜500μmのガラスからなるオーバーコートを形成するオーバーコートインキやこれが焼結されてなるオーバーコートのパターン精度や厚み精度を高められ、実装用の窓14の安定形成が可能となる。なお、消失下地の厚みが0.1μm未満の場合、その膜にピンホールが発生しやすく、印刷適性の改善に影響がある場合がある。また消失下地の厚みが5μmを超える場合、消失下地を消失させた後で、オーバーコートに泡やピンホールが発生する可能性がある。
なお、焼成されて厚み10〜500μmのガラスからなるオーバーコートを形成するオーバーコートインキが印刷される被印刷体が未焼成のガラスペーストの乾燥塗膜や感歪抵抗インキの乾燥塗膜、感歪抵抗インキの乾燥塗膜等の未焼成面の場合、こうしたインキ中に含まれるバインダ樹脂によって、その上に印刷形成され、焼成されて厚み10〜500μmのガラスからなるオーバーコートを形成するオーバーコートインキの印刷適性が影響を受ける場合がある。こうした未焼成面の場合、予め、消失下地を厚み0.1〜5μmで形成しておくことで、印刷適性を改善できる。その結果として、焼成されて厚み10〜500μmのガラスからなるオーバーコートを形成するオーバーコートインキや、これが焼結されてなるオーバーコートのパターン精度や厚み精度を高められ、実装用の窓14の安定形成が可能となる。なお、消失下地の厚みが0.1μm未満の場合、その膜にピンホールが発生しやすく、印刷適性の改善に影響がある場合がある。また消失下地の厚みが5μmを超える場合、消失下地を消失させた後で、オーバーコートに泡やピンホールが発生する可能性がある。
なお消失下地は、その上に印刷されるインキ中の溶剤を吸収する樹脂材料を50wt%以上含んでいることが望ましい。このように消失可能な樹脂を含ませることで消失下地を熱処理で消失させやすい。また必要に応じて樹脂の他に、ガラス成分(低融点のガラス材料を添加させればこれを焼結時の結着成分とすることができる)や金属(CuやNiといった焼成時に酸化されやすい金属もしくは金属化合物を添加しておけば、焼成時にミックスボンド等と呼ばれる結着成分とすることができる)、あるいは可塑剤(DBPやDOPといったフタル酸系の高沸点溶剤を加えることで樹脂材料を軟化でき、溶剤等が染み込みやすくできインキの受容性を高められる)を添加しても良い。また、消失下地に水溶性の樹脂を用いた場合、可塑剤としてはグリセリン、ポリエチレングリコール等のグリコールや高級アルコールを使うことができる。このようにして、消失下地にインキ中の溶剤を吸収する成分を含ませることで、さらにその上に印刷されるインキに対する受容性や濡れ性を高めることで、印刷後のインキ滲みやダレ防止ができ、歪センサを安価に製造できる作用効果が得られる。
なお消失下地としては、その上に印刷されインキを増粘もしくはゲル化もしくは固化させる作用を有するものを用いることが望ましい。こうした機能を持たせることで、消失下地に印刷されたと同時にそのインキの流動性を低下させることで、インキのダレや滲みを低減できる作用効果が得られる。またこの効果はインキジェットでは顕著であるが、他のスクリーン印刷、描画印刷、転写印刷でもこうした効果が得られることはいうまでもない。またこうした効果を生かすことで、焼結厚膜の上に感歪抵抗体ペーストを印刷した場合でも、前記感歪抵抗体ペーストのダレや滲みを低減できるため、抵抗値バラツキを抑えやすくなり、歪センサの歩留りを向上できる。
なお、消失下地は200〜950℃の熱処理によって、その90wt%以上が消失することが望ましい。熱処理によって消失下地の殆どの部分が分解することで、下地とその上に形成したインキパターンの焼結後の密着強度を高められる。なお消失下地の中に予め、上述したようなガラス成分、ミックスボンドを形成する成分等を添加しておくことで、消失下地に接着層としての機能を持たせることもできることはいうまでもない。
なお消失下地は、肉眼もしくは画像表示装置もしくは紫外線照射装置で判別可能な処理がなされていることが望ましい。消失下地を着色しておくことで、消失下地の有無、消失下地の熱処理後の消失の有無等を、肉眼もしくはTVカメラやCCDカメラ等で各自に認識できるため、製造工程の管理を行いやすい。また消失下地に用いる樹脂によっては、紫外線照射で光らせる等で、その有無を確実に判断できるようにもできる。こうした紫外線照射装置としては、ブラックライトといった、肉眼への安全性等にも配慮された照射機が市販されており、これらを使うこともできる。こうして消失下地の有無の確認を確実にできるため、歪センサの生産安定性を改善でき、歪センサを安価に製造できる作用効果が得られる。
なお、消失下地の形成方法としてはインキジェット印刷方法を用いることができる。この場合、粘度1センチポイズ〜10ポイズの樹脂溶液を、消失下地に形成するインキとして、被印刷体上にインキジェットで印字された後、乾燥されると良い。ここで消失下地を形成するインキの粘度が1センチポイズ未満の場合、消失下地を形成するインキ溶剤に低粘度で特殊なものを使う必要があり、コストに影響を与える場合がある。またそのインキの粘度が10ポイズより高い場合、市販のインキジェット装置での均一な噴射や印字が難しい場合がある。なおこれらのインキ粘度の測定は、0.1〜1000/sの間の任意のズリ速度で行えばよい。
なお消失下地は、被印刷体となる基板8の片面(つまり絶縁層9や感歪抵抗体10等の形成される面)だけに形成することが望ましい。例えば基板を消失下地となる溶液中に、ディップ(浸漬)させて形成した場合、基板の両面に消失下地が形成されてしまう。この場合、基板をパレット(複数枚の基板を仮固定する治具)の上に並べたり、コンベアで搬送したりする場合、基板裏面の消失下地にダストやゴミ、金属片等の異物が付着しやすくなる。またこうして付着したゴミは、基板を立て積み(複数枚の基板をざるそばのように高さ方向に積み重ねた場合)した場合、基板裏面の消失下地に付着したゴミが、必要面(この場合、絶縁層1や感歪抵抗体10等の形成された面)の上に、落ちてしまい、製品の歩留りに影響を与える場合がある。そのため、消失下地は必要面のみもしくはその一平面のみに形成することが望ましい。
この形成方法としては、印刷や転写、塗布といった汎用の工法を選ぶことができる。なおこうした塗布や印刷で消失下地を形成する場合、消失下地となるインキの粘度は10〜5000ポイズが望ましい。粘度が10ポイズ未満の場合、裏面や側面にインキが垂れたり、流れ込んだりしやすい。また粘度が5000ポイズを超えると、印刷ムラや塗布ムラを発生させる場合がある。なお、こうしたインキ粘度の測定は、0.1〜1000/sの間の任意のズリ速度で行えばよい。
なお、本発明で用いるインキジェット装置としては、ピエゾ素子を用いたものを用いることが望ましい。局所加熱によってインキを噴射させるインキジェット装置を用いた場合、前記加熱工程によって、インキ中に含まれる有機成分が分解したり、影響を受けたりして、印刷が不安定になったり、ヘッドが詰まってしまったりする場合がある。
なお、消失下地によるインキの増粘、ゲル化、固化には色々な仕組みを使うことができる。例えばインキに水溶性のものを使い、消失下地にPVA(ポリビニールアルコール)やMC(メチルセルセルロース)、HPC(ヒドロキシフロフルセルロース)等の水溶性樹脂を主体とすることで、インキ中の水溶性溶剤を消失下地に吸い込ませやすくなると共に、消失下地から溶け出た樹脂成分がインキのダレや滲みを抑える効果がある。またインキに有機溶剤系のものを用いた場合、消失下地にEC(エチルセルロース)、PVB(ポリビニールブチラール)等の有機溶剤可溶の樹脂を主体とすることで、インキ中の有機溶剤を消失下地に吸い込ませやすくなると共に、消失下地から溶け出た樹脂成分がインキのダレや滲みを抑える。
またこうした反応に、イオン反応を使うことができる。具体的にはインキにノニオンを、消失下地にアニオンやカチオン系のものを用いることで、これらが触れ合うことで一種のゲル化反応を起こし、印刷されたインキのダレを抑えられる。こうした反応としては、アニオンとノニオン、アニオンとカチオン、ノニオンとカチオン、カチオンとアニオン等色々な組合せを応用できる。更にドナーとアクセプターの反応を用いても良い。こうした反応例として、ポリビニールアルコールと硼砂(あるいはナトリウムやホウ酸でも良い)との反応を流用することもできる。ただこの場合、残渣が発生しやすいので、有機酸と有機塩基の反応を用いても良い。有機酸としては、カルボキシル基(−COOH)を含むものが使いやすい。また塩析(Salt Out)反応を使っても良い。更には、高分子間の水素結合やイオン結合、キレート形成等の反応を流用しても良い。
また反対電荷を有する2種類の高分子電解質同士の混合でゲル化(ポリイオンコンプレックスゲルと呼ばれることもある)する反応を用いても良い。またポリアクリル酸などのポリカルボン酸や、ポリスチレンスルホン酸などの強酸性ポリマーと、アルカリ(例えばアルカリ土類金属)と結合させてもゲルを合成できる。こうしたゲルの場合、金属イオンと配位子が直接結合しているのではなくて、水和イオンを介してゲルを形成するため、ゲル形成は容易である。
更に寒天や、ゼラチン、アーガス、アルギン酸、カラーギナン等のヘリックス形成によるゲル化反応も使える。特にゼラチンの場合、25℃付近でゾル−ゲル転移を起こしやすいため、ゲル化させやすい。またアルギン酸等の電解質多糖類の場合、カルシウムイオン等の添加でイオン形成させることも可能であり、消失下地もしくはその上に印刷されるインキのどちらかにカルシウムイオン、他方に多糖類を添加しておけばよい。また、高分子間での水素結合を利用することもできる。例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミン、ポリビニールアルコール等のプロトン供与性ポリマーと、ポリエチレングリコールやポリビニールピロリドン等のプロトン受容性ポリマーと組み合わせてもよい。なおこの場合、プロトン許容性官能基とプロトン受容性官能基の組成比をほぼ1:1としておくことで、ゲル化反応を安定化できる。
また、ポリカルボン酸、ポリオール、ポリアミン等の錯体形成の可能な配位子を側鎖に有する高分子の場合、多価金属イオンの添加によってゲル化させられる。更にポリビニールアルコールの酢酸銅水溶液を消失下地とし、その上にNH3を含むインキを印刷することでゲル化させられる。更にアルギン酸塩、ペクチン、こんにゃくマンナン等のハイドロコロイドに、カルシウムイオン等の二価の金属イオンを反応させてもゲル化できる。また必要に応じてEDTA(エチレンジアミン四酢酸)などのキレート剤を添加しておけば、カルシウムイオンを除去して、ゲルを解消させることもできる。また食品の増粘剤やゲル化剤として使われている、多糖類のキサンタンガム、あるいはヒアルロン酸等もその吸水性の高さから本用途の消失下地として使える。また卵白アルブミンや大豆タンパク、カゼイン等の加熱によるゲル化(あるいはタンパク質の会合)、高分子凝集剤(PAC等と呼ばれるアルミニウム化合物の場合、水中に分散している微粒子を凝集させる電解質ポリマーとして機能する)を使うこともできる。またアルブミン、グロブリン等のタンパク質、ケラチン、コラーゲン等も使える。更に塩基性材料についてアミン(第1アミンとしてRNH2、第2アミンとしてR2NH、第3アミンとしてR3N、なおRは炭化水素の意味である)、アミド、アミノアルコールやアミン誘導体を使うこともできる。こうした塩基性材料と有機酸を組み合わせることでゲル化できることはいうまでもない。
なお、金属ナノインキを予め150〜400℃で導体化された後、他の部材と共に400〜900℃で再度焼成しても良い。こうすることで、金属ナノインキ内部に含まれる有機物を熱分解し金属ナノインキを焼結皮膜化できるため、その後で更に高温で焼成されても他の部材の中にこの焼結皮膜が拡散しにくくできる。
本発明にかかる歪センサ及びその製造方法は、歪センサの特性を決める感歪抵抗体を高精度かつ安定して形成することができるため、歪センサの特性を安定化できると共にその生産性を高めることができ、製品品質の安定化と低コスト化ができるという効果を有し、高精度な歪センサを低コストで市場に供給することができる。
本発明の実施の形態1における歪センサを示す断面図 本発明の実施の形態2における歪センサを示す断面図 本発明の実施の形態3における金属ナノインキの形成方法を示す図 本発明の実施の形態3における金属ナノインキの構造を示す図 本発明の実施の形態3における金属ナノインキの形成方法を示す断面図 本発明の実施の形態4における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態4における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態5における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態5における歪センサを示す断面図 本発明の実施の形態6における歪センサを示す断面図 本発明の実施の形態6における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態6における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態6における歪センサの製造方法を示す断面図 第1のチャンネル長と抵抗値の関係を示す図 本発明の実施の形態7における歪センサを示す平面図 本発明の実施の形態10における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態10における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態10における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態11における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態11における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態11における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態11における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態11における歪センサの製造方法を示す断面図 本発明の実施の形態12における歪センサを示す断面図 本発明の実施の形態13における歪センサを示す断面図 従来の歪センサの断面図 従来の歪センサの平面図 複数の感歪抵抗体素子が所定形状に接続されてブリッジ回路を形成する様子を示す図 従来の歪センサの対策の一例を示す図
符号の説明
8 基板
9 絶縁層
10 感歪抵抗体
11 保護層
12 焼結薄膜

Claims (53)

  1. 基板上に絶縁層を介して、少なくとも複数の感歪抵抗体と複数の配線からなるブリッジ回路が形成され、少なくとも前記感歪抵抗体が保護層で覆われている歪センサにおいて、前記配線は厚み0.01〜3μmの焼結薄膜である歪センサ。
  2. 基板上に絶縁層を介して、少なくとも複数の感歪抵抗体と複数の配線からなるブリッジ回路が形成され、少なくとも前記感歪抵抗体が保護層で覆われている歪センサにおいて、前記配線は厚み0.01〜3μmの焼結薄膜と、厚み3〜50μmの焼結厚膜で構成されている歪センサ。
  3. 基板上に絶縁層を介して、少なくとも複数の感歪抵抗体と複数の配線からなるブリッジ回路が形成され、少なくとも前記感歪抵抗体が保護層で覆われている歪センサにおいて、前記配線は厚み0.01〜3μmの焼結薄膜と、厚み3〜30μmの焼結厚膜が重なって構成されている歪センサ。
  4. 基板上に絶縁層を介して、少なくとも複数の感歪抵抗体と複数の配線からなるブリッジ回路が形成され、少なくとも前記感歪抵抗体が保護層で覆われている歪センサにおいて、前記配線は厚み0.01〜3μmの焼結薄膜と、厚み3〜30μmの焼結厚膜で形成され、前記焼結厚膜部分に所定の電子部品が実装されている歪センサ。
  5. 基板上に絶縁層を介して、少なくとも複数の感歪抵抗体と複数の配線からなるブリッジ回路が形成され、少なくとも前記感歪抵抗体が保護層で覆われている歪センサにおいて、前記感歪抵抗体の両端下には厚み0.01〜3μmの焼結薄膜が形成されている歪センサ。
  6. 基板上に絶縁層を介して、少なくとも複数の感歪抵抗体と複数の配線からなるブリッジ回路が形成され、少なくとも前記感歪抵抗体が保護層で覆われている歪センサにおいて、前記感歪抵抗体の両端上には、厚み0.01〜3μmの焼結薄膜が形成されている歪センサ。
  7. 基板上に絶縁層を介して、少なくとも複数の感歪抵抗体と複数の配線からなるブリッジ回路が形成され、少なくとも前記感歪抵抗体が保護層で覆われている歪センサにおいて、前記感歪抵抗体の両端下には厚み3〜30μmの焼結厚膜が形成され、更に前記感歪抵抗体の両端上には厚み0.01〜3μmの焼結薄膜が形成されている歪センサ。
  8. 焼結薄膜は、銀、金、銅、ニッケル、白金、パラジウムもしくはこれらの単体もしくは合金からなる粒径0.001〜0.1μmの金属粉が150〜1000℃で焼結されたものである請求項1〜7に記載の歪センサ。
  9. 焼結薄膜は、水もしくは水溶性有機溶剤もしくは不水溶性有機溶剤の中に、10〜90wt%の濃度で分散された粒径0.001〜1μmの金属粉が、150〜1000℃で焼結されたものである請求項1〜7に記載の歪センサ。
  10. 焼結薄膜は、表面の一部以上に樹脂もしくは有機物が厚み1〜100nmで吸着もしくは付着された粒径0.001〜1μmの金属粉が焼結されてなる請求項1〜7に記載の歪センサ。
  11. 焼結薄膜は、樹脂もしくは有機物が0.1〜40wt%の割合で吸着もしくは結合された粒径0.001〜0.1μmの金属粉が焼結されてなる請求項1〜7に記載の歪センサ。
  12. 絶縁層は、厚み10〜500μmで、融点が400〜2000℃で、熱膨張係数が7〜20ppm/℃である非晶質ガラスもしくは結晶化ガラスである請求項1〜7に記載の歪センサ。
  13. オーバーコートは、厚み10〜500μmで融点が300〜1000℃のガラス材料もしくは、厚み10μm〜10mmの硬化型樹脂材料よりなる請求項1〜6に記載の重量センサ。
  14. 感歪抵抗体は、少なくとも酸化ルテニウムを5〜40wt%、ガラスを40〜90wt%含み、その厚みは3〜50μmであり、GF値が5以上である請求項1〜6に記載の歪センサ。
  15. 絶縁層の内部に、厚み0.1〜100μmの導体パターンが形成されている請求項1〜7に記載の歪センサ。
  16. 導体パターンは、銀を主体としガラスが0.1〜30wt%の範囲で添加されている請求項15に記載の歪センサ。
  17. 基板と絶縁層を介して絶縁されている複数の配線パターンの対向する基板上に、厚み0.1〜100μmの導体パターンが形成されている請求項1〜7に記載の歪センサ。
  18. 導体パターンは、銀を50wt%以上、ガラスが0.1〜50wt%含まれている請求項17に記載の歪センサ。
  19. オーバーコートに形成された大きさ0.1mm角以上もしくは0.1mmφ以上の窓の下には、少なくともパラジウムを5wt%以上、もしくは白金を0.1wt%以上含む銀電極が厚み3μm以上で形成されている請求項1〜7に記載の歪センサ。
  20. 粒径0.001〜0.1μmの金属微粒子は、真空法あるいは乾式法、あるいは鍍金を含む湿式法もしくは化学的に形成されたものである請求項8〜11に記載の歪センサ。
  21. 感歪抵抗体の両端に形成された厚膜配線もしくは薄膜配線の間隔によって、ブリッジ回路を形成する複数の感歪抵抗体の抵抗値のバラツキが調整された請求項1〜7に記載の歪センサ。
  22. 金属基板上にガラスペーストを印刷乾燥した後、400〜900℃で焼成して厚み10〜500μmの絶縁層を形成し、次に前記絶縁層上に金属ナノインキを印刷乾燥焼成して厚み0.01〜3μmの焼結薄膜配線を形成し、その後前記焼結薄膜配線の一部に重なるように感歪抵抗体ペーストを印刷乾燥した後400〜900℃で焼成し、次に厚み0.1〜50μmの感歪抵抗体を形成し、その後少なくとも前記焼結薄膜配線と感歪抵抗体を厚み5〜500μmの保護層で覆う歪センサの製造方法。
  23. 金属基板上にガラスペーストを印刷乾燥した後、400〜900℃で焼成して厚み10〜500μmの絶縁層を形成し、次に前記絶縁層上に感歪抵抗体ペーストを印刷乾燥した後400〜900℃で焼成し、その後厚み0.1〜50μmの感歪抵抗体を形成し、次に前記感歪抵抗体の一部に重なるように金属ナノインキを印刷乾燥焼成し厚み0.1〜3μmの焼結薄膜配線を形成し、その後少なくとも前記焼結薄膜配線と感歪抵抗体を厚み5〜500μmの保護層で覆う歪センサの製造方法。
  24. 金属基板上にガラスペーストを印刷乾燥した後、400〜900℃で焼成して厚み10〜500μmの絶縁層を形成し、次に前記絶縁層上に粒径1〜10μmの金属粉を含む金属厚膜インキが印刷焼成されてなる厚み3〜50μmの厚膜配線と、感歪抵抗体ペーストが印刷乾燥焼成されてなる厚み1〜50μmの感歪抵抗体と、前記厚膜配線と前記感歪抵抗体を接続するように、金属ナノインキが印刷乾燥焼成されてなる厚み0.01〜3μmの焼結薄膜配線が形成され、その後少なくとも前記焼結薄膜配線と感歪抵抗体を保護層で覆う歪センサの製造方法。
  25. 金属基板上にガラスペーストを印刷乾燥した後、400〜900℃で焼成して厚み10〜500μmの絶縁層を形成し、次に前記絶縁層上に粒径1〜10μmの金属粉を含む金属厚膜インキが印刷焼成されてなる厚み3〜50μmの厚膜配線と、金属ナノインキが印刷乾燥焼成してなる厚み0.01〜3μmの焼結薄膜配線が互いに一部が重なるように形成し、少なくとも前記厚膜配線もしくは前記焼結薄膜配線の一部に重なるように感歪抵抗体ペーストを印刷乾燥した後、400〜900℃で焼成感歪抵抗体を保護層で覆う歪センサの製造方法。
  26. 金属基板上にガラスペーストを印刷乾燥した後、400〜900℃で焼成して厚み10〜500μmの絶縁層を形成し、次に前記絶縁層上に粒径1〜10μmの金属粉を含む金属厚膜インキが印刷焼成されてなる厚み3〜50μmの厚膜配線と、前記厚膜配線の一部に重なるように感歪抵抗体ペーストを印刷乾燥した後、400〜900℃で焼成し、その後厚み0.1〜50μmの感歪抵抗体を形成し、次に更に少なくとも前記感歪抵抗体の上に重なるように、金属ナノインキが印刷乾燥焼成してなる厚み0.1〜3μmの焼結薄膜配線を形成し、その後少なくとも前記焼結薄膜配線と感歪抵抗体を保護層で覆う歪センサの製造方法。
  27. 水もしくは有機溶剤中に、粒径0.001〜1μmの金属粉が粘度10〜1000ポイズで分散されてなる金属ナノインキが、スクリーン印刷された後乾燥される請求項22〜26に記載の歪センサの製造方法。
  28. 水もしくは有機溶剤中に、粒径0.001〜1μmの金属粉が粘度0.5〜10センチポイズで分散されてなる金属ナノインキが、インキジェット印刷された後、乾燥される請求項22〜26に記載の歪センサの製造方法。
  29. 水もしくは有機溶剤中に、粒径0.001〜1μmの金属粉が粘度0.1〜100ポイズで分散されてなる金属ナノインキが、内径0.01〜1mmの描画ヘッドから描画印刷された後、乾燥される請求項22〜26に記載の歪センサの製造方法。
  30. 水もしくは有機溶剤中に、粒径0.001〜1μmの金属粉が分散されてなる金属ナノインキは、所定形状に形成され、転写印刷された後、乾燥される請求項22〜26に記載の歪センサの製造方法。
  31. 金属ナノインキは150〜400℃で導体化された後、他の部材と共に400〜900℃で再度焼成される請求項22〜26に記載の歪センサの製造方法。
  32. 保護層は所定のガラスペーストが印刷乾燥された後、400〜800℃で焼成された厚み10〜500μmのガラス層である請求項22〜26に記載の歪センサの製造方法。
  33. 保護層は所定の樹脂ペーストが印刷された後、100〜400℃で硬化された厚み10μm〜2cmの樹脂層である請求項22〜26に記載の歪センサの製造方法。
  34. ガラスペーストが印刷乾燥されてなるガラスペースト乾燥膜と、厚膜ペーストが印刷乾燥されてなる厚膜ペースト乾燥膜は、400〜900℃で同時焼成される請求項22〜26に記載の歪センサの製造方法。
  35. ガラスペーストが印刷乾燥されてなるガラスペースト乾燥膜と、金属ナノインキが印刷乾燥されてなる金属ナノインキ乾燥膜は、400〜900℃で同時焼成される請求項22〜26に記載の歪センサの製造方法。
  36. ガラスペーストが印刷乾燥されてなるガラスペースト乾燥膜と、感歪抵抗体ペーストが印刷乾燥されてなる感歪抵抗体ペースト乾燥膜は、400〜900℃で同時焼成される請求項22〜26に記載の歪センサの製造方法。
  37. 感歪抵抗体ペーストが印刷乾燥されてなる感歪抵抗体ペースト乾燥膜と、金属厚膜インキが印刷乾燥されてなる厚膜乾燥膜もしくは金属ナノインキが印刷乾燥されてなる金属ナノインキ乾燥膜は、共に400〜900℃で同時焼成される請求項22〜31に記載の歪センサの製造方法。
  38. 熱処理されて厚み0.1〜3μmの配線を形成する金属ナノインキが印刷される被印刷体は焼結済み面であり、前記焼結済み面の表面には予め厚み0.1〜5μmの消失下地層が形成されている請求項22〜31に記載の歪センサの製造方法。
  39. 熱処理されて厚み0.1〜3μmの配線を形成する金属ナノインキが印刷される被印刷体は未焼成面であり、前記未焼成面の表面には予め厚み0.1〜5μmの消失下地層が形成されている請求項22〜31に記載の歪センサの製造方法。
  40. 焼成されて感歪抵抗体となる感歪抵抗体インキが印刷される被印刷体は焼結済み面であり、前記焼結済み面には予め厚み0.1〜5μmの消失下地層が形成されている請求項22〜31に記載の歪センサの製造方法。
  41. 焼成されて感歪抵抗体となる感歪抵抗体インキが印刷される被印刷体は未焼成面であり、前記未焼成面には予め厚み0.1〜5μmの消失下地層が形成されている請求項22〜31に記載の歪センサの製造方法。
  42. 焼成されて厚み3〜30μmの厚膜配線となる電極インキが印刷される被印刷体は焼結済み面であり、前記焼結済み面には予め厚み0.1〜5μmの消失下地層が形成されている請求項22〜31に記載の歪センサの製造方法。
  43. 焼成されて厚み3〜30μmの厚膜配線となる電極インキが印刷される被印刷体は未焼成面であり、前記未焼成面には予め厚み0.1〜5μmの消失下地層が形成されている請求項22〜31に記載の歪センサの製造方法。
  44. 焼成されて厚み10〜500μmのガラスからなるオーバーコートを形成するオーバーコートインキが印刷される被印刷体は焼結済み面であり、前記焼結済み面には予め厚み0.1〜5μmの消失下地層が形成されている請求項22〜31に記載の歪センサの製造方法。
  45. 焼成されて厚み10〜500μmのガラスからなるオーバーコートを形成するオーバーコートインキが印刷される被印刷体は未焼成面であり、前記未焼成面には予め厚み0.1〜5μmの消失下地層が形成されている請求項22〜31に記載の歪センサの製造方法。
  46. 消失下地は、前記消失下地上に印刷されるインキ中の溶剤を吸収する樹脂材料を50wt%以上含んでいる請求項38〜45に記載の歪センサの製造方法。
  47. 消失下地は、その上に印刷されるインキを増粘もしくはゲル化もしくは固化させる請求項38〜45に記載の歪センサの製造方法。
  48. 消失下地は、200〜950℃の熱処理によって、その90wt%以上が消失する請求項38〜45に記載の歪センサの製造方法。
  49. 消失下地は、肉眼もしくは画像表示装置もしくは紫外線照射装置で判別可能な処理がなされている請求項38〜45に記載の歪センサの製造方法。
  50. 消失下地は、粘度1センチポイズ〜10ポイズの、樹脂溶液が被印刷体上にインキジェットで印字された後、乾燥されたものである請求項38〜45に記載の歪センサの製造方法。
  51. 消失下地は、粘度1〜5000ポイズになるように消失下地形成部材が水もしくは溶剤に溶解されたものが、被印刷体上に印刷もしくは塗布で形成されたものである請求項38〜45に記載の歪センサの製造方法。
  52. 消失下地は、被印刷体上の一平面のみに形成されたものである請求項38〜45に記載の歪センサの製造方法。
  53. インキジェットは、ピエゾ素子を用いたものである請求項28,50に記載の歪センサの製造方法。
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