以下、本発明の給湯装置を貯湯式給湯装置に具体化した実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る貯湯式給湯装置の概略図である。
貯湯式給湯装置1は、貯湯タンクユニット11、ヒートポンプユニット12、台所用リモートコントローラ(以下、台所用リモコンという)13、及び浴室用リモートコントローラ(以下、浴室用リモコンという)14を備えている。貯湯タンクユニット11には、湯水を貯湯するための貯湯タンク15が設けられており、貯湯タンクの側面には、貯湯タンク15内の湯水の温度を検出する複数の貯湯温度センサ16が上下方向に沿って設けられている。
貯湯タンク15の上部には、貯湯タンク15から高温水を出湯するための出湯管17が接続されており、出湯管17には、貯湯タンク15の過圧を逃す過圧逃し弁18が分岐して接続されている。貯湯タンク15の下部には、水道水等の低温水を貯湯タンク15に供給する給水管19が接続されている。給水管19には、給水管19を流れる低温水の温度を検出する給水温度センサ20と、給水圧を減圧する減圧弁21が設けられている。給水管19にはバイパス管22が分岐して接続されており、バイパス管22と出湯管17の下流側にはミキシング弁23が設けられている。このミキシング弁23により、バイパス管22からの低温水と出湯管17からの高温水は混合されるようになっている。ミキシング弁23の下流側には給湯管24が接続されており、給湯管24には、給湯管24を流れる湯水の温度を検出する給湯温度センサ25及び給湯管24を流れる湯水の流量を検出する給湯流量センサ26が設けられている。この給湯管24が浴室の給湯栓27に接続されている。
給湯管24には、湯張り管28が分岐して接続されており、この湯張り管28は浴槽29に接続されている。湯張り管28には、湯張り管28の開閉を行う湯張り弁30と、湯張り管28を流れる流量を積算する湯張り流量センサ31と、浴槽29に貯湯された湯水の水圧に基づいて浴槽29内の水位を検出するための圧力センサ32が設けられている。貯湯タンク15と浴槽29の間には第1循環回路33が設けられている。この第1循環回路33に設けられた第1循環ポンプ34により浴槽29内の湯水は第1循環回路33を循環するようになっている。また、第1循環回路33には加熱部35が設けられており、この加熱部35は螺旋形状の蛇管により構成され、貯湯タンク15内に配設されている。このため、浴槽29内の湯水は第1循環回路33を循環することにより加熱されるようになっている。さらに、第1循環回路33には、第1循環回路33内を循環する湯水の温度を検出する循環湯温度センサ36が設けられている。これらの第1循環回路33、第1循環ポンプ34、加熱部35が保温手段に相当する。
貯湯タンクユニット11には、この貯湯タンクユニット1の制御を行い、マイクロコンピュータを主に構成される貯湯ECU37が設けられている。図2に示すように、貯湯ECU37は各種の演算及び制御を行うCPU38と記憶部39を備えている。記憶部39は各種制御プログラムを記憶する読み出し専用のROM、CPU38による演算結果等を記憶する書き換え可能なRAM、及び電気的に書き込み/消去可能な不揮発性のEEPROMを備えている。上記した圧力センサ32、湯張り流量センサ31、湯張り弁30、第1循環ポンプ34は貯湯ECU37に電気的に接続されている。なお、他のセンサ16,20,25,26,やミキシング弁23も貯湯ECU37に電気的に接続されているが、本発明の要部ではないため図示は省略する。
ヒートポンプユニット12には熱源となるヒートポンプ回路41が設けられている。貯湯タンク15とヒートポンプ回路41は、第2循環回路42により接続されており、貯湯タンク15の湯水はこの第2循環回路42を循環することにより加熱されるようになっている。
ヒートポンプ回路41は、コンプレッサ43と冷媒―水熱交換器44と減圧器45と空気熱交換器46を備えている。コンプレッサ43は二酸化炭素冷媒を圧縮する構成とされており、冷媒―水熱交換器44はコンプレッサ43で圧縮された高温高圧冷媒を貯湯タンク15からの温水との間で熱交換して温水を過熱するようになっている。減圧器45は冷媒―水熱交換器44を通過した高圧冷媒を低圧状態に減圧し、空気熱交換器46は、送風機47からの送風により減圧器45からの低圧冷媒を蒸発させるようになっている。そして、この空気熱交換器46を通過した冷媒は、再度コンプレッサ43により圧縮されるようになっている。
第2循環回路42には、第2循環ポンプ48が設けられている。この第2循環ポンプ48により、貯湯タンク15とヒートポンプ回路41の間で湯水が循環する。そして、冷媒―水熱交換器44で加熱された高温の温水が貯湯タンク15の上部から流入し、貯湯タンク15の底部から湯水が冷媒―水熱交換器44に流入するようになっている。また、ヒートポンプユニット12には、このヒートポンプユニット12の制御を行い、マイクロコンピュータを主に構成されるヒートポンプECU49が設けられている。このヒートポンプECU49は貯湯タンクユニットの貯湯ECU37と電気的に接続されている。
図3に示すように、台所用リモコン13には、操作部51、可視表示部52が設けられている。本実施形態では台所用リモコン13が操作手段に相当する。
図4に示すように、可視表示部52には、日付・時刻表示部55、給湯温度表示部56、残湯量表示部57、保温可能時間表示部58が設けられている。可視表示部52はドットマトリックス型の蛍光表示管により構成されている。
日付・時刻表示部55には、現在時刻とその日の日付及び曜日が表示されるようになっている。給湯温度表示部56には、ユーザにより設定され、給湯栓27から給湯される給湯温度が表示されるようになっている。残湯量表示部57には、貯湯タンク15の残湯量がバー表示されるようになっている。なお、残湯量とは給湯可能な残りの容積を示す。保温可能時間表示部58には、保温可能時間ΔTが浴槽29を示す絵柄とともに表示されるようになっている。保温可能時間ΔTとは、ユーザにより設定された浴槽29の保温温度を保ち続ける残時間を意味する。保温温度とは、ユーザにより設定され浴槽29に貯湯される湯水の保温状態が維持されるときの温度である。なお、保温可能時間表示部58には、表示された時間が保温可能時間ΔTであることをユーザに認識させるため、残時間であることを示す「のこり」という文字が表示されるようになっている。また、この保温可能時間表示部58においては、保温可能時間ΔT、絵柄、及び文字は保温状態のときに表示され(図4参照)、保温状態ではないときには表示されないようになっている(図5参照)。
図3に示すように、操作部51には、自動給湯スイッチ61、選択スイッチ62、設定内容変更スイッチ63、確定スイッチ64が設けられている。
自動給湯スイッチ61は、予め設定された水位となるように湯張り管28を介して浴槽29に湯水を供給することを指示するためのスイッチである。選択スイッチ62は、ユーザが操作したい内容を選択するためのスイッチである。設定内容変更スイッチ63は、上昇スイッチと下降スイッチとから構成され、選択スイッチ62により選択された表示内容を変更するためのスイッチである。確定スイッチ64は、設定内容変更スイッチ63を用いて変更された内容を確定するためのスイッチである。前記選択スイッチ62、設定内容変更スイッチ63、確定スイッチ64により日付・時刻表示部55、給湯温度表示部56における表示内容が変更可能となっているが、本発明の要部ではないため説明は省略する。図2に示すように、台所用リモコン13の内部には、可視表示部52、操作部51を制御し、マイクロコンピュータを主に構成されるリモコン制御部65が設けられている。このリモコン制御部65は、貯湯ECU37と電気的に接続されている。また、可視表示部52、操作部51、リモコン制御部65に電気的に接続されている。
浴室用リモコン14には、操作部66、可視表示部67が設けられている。この操作部66が操作されることで、浴槽29に貯湯される湯水の保温温度、浴槽29の水位、給湯温度等がユーザにより設定可能になっている。
上記のように構成された貯湯式給湯装置1において、浴槽29に湯を張る場合は、貯湯ECU37におけるCPU38の制御に基づいて、貯湯タンク15では、給水管19を介してその下部から低温水が流入し、この給水管19からの給水圧により貯湯タンク15上部の高温水が出湯管17に押し出される。そして、ミキシング弁23にて出湯管17からの高温水とバイパス管22からの低温水とが混合され、給湯管24を介して湯張り管28に流れる。それとともに、湯張り弁30が開放され、湯張り管28から浴槽29に給湯される。このときミキシング弁23は、給湯温度センサ25で検出する温度が設定された保温温度になるように混合する。その後、設定された水位となると湯張り弁30が閉鎖される。設定された水位となったか否かの判断は、圧力センサ32と湯張り流量センサ31からの検出結果によって貯湯ECU37のCPU38において判断される。即ち、予め設定された水位に基づいた圧力値と流量が記憶部39に記憶されており、CPU38は圧力センサ32と湯張り流量センサ31からの検出結果と比較する。そして、検出結果に基づく圧力値と流量が、記憶部39における圧力値と流量に一致した場合にCPU38は設定水位となったと判断して湯張り弁30を閉鎖するように指示をする。
また、一旦浴槽29に貯湯された湯水を保温する場合は、貯湯ECU37の記憶部39におけるプログラムに従ってCPU38の制御により、第1循環ポンプ34が駆動され、浴槽29の湯水が第1循環回路33を循環することにより実現される。具体的には、保温時間が経過する間、所定時間(例えば10分)毎に、CPU38は、第1循環ポンプ34に駆動するよう指示をする。なお、保温時間とは、設定された保温温度で保温状態を維持する時間をいう。すると、第1循環回路33内で湯水が循環し、循環湯温度センサ36により第1循環回路33内で循環する湯水の温度が検出される。ユーザにより設定された保温温度は、記憶部39に記憶されているため、CPU38は、検出された湯水の温度と記憶部39の保温温度とを比較する。そして、検出された温度が記憶部39の保温温度よりも下回っていた場合は、CPU38は保温温度と一致するまで第1循環ポンプ34を駆動し続けるよう指示する。一方、検出された温度が記憶部39の保温温度を下回っていない場合は、CPU38は、第1駆動ポンプ33の駆動を停止させるように指示をする。このようにして保温状態は維持される。なお、以下の説明において、上記したCPU38により保温状態が維持される制御を保温制御という。
ところで、上記のように構成された貯湯式給湯装置1においては、貯湯ECU37の制御により、保温時間を一時的に延長又は短縮できるようになっている。貯湯ECU37が時間変更手段に相当する。
その制御を実現するための特徴的構成について説明すると、可視表示部52はドットマトリックス型の蛍光表示管より構成されているため、可視表示部52では表示態様を変化させることが可能になっている。そのため、可視表示部52では、日付・時刻表示部55、給湯温度表示部56、残湯量表示部57、保温可能時間表示部58の表示が消去され、図6、図7及び図8に示すように、設定保温時間T0、一時的保温時間T5又は前記保温可能時間ΔTが拡大表示されるようになっている。なお、設定保温時間T0とは、一旦ユーザにより設定された場合は、次にユーザが操作部51を操作して設定変更がなされるまで同じ値が記憶部39に保持される保温時間をいう。一方、一時的保温時間T5とは、一時的に設定保温時間T0を延長又は短縮させた保温時間をいい、ユーザにより設定されるものである。一時的保温時間T5は、設定してもその一時的保温時間T5で一度保温がなされた場合、又は保温解除操作がなされた場合には、記憶部39から消去される点で設定保温時間T0とは異なる。なお、保温解除操作とは、本実施形態では、自動給湯スイッチ61を押し浴槽29への湯水の供給開始を指示した後に、再度自動給湯スイッチ61を押すことをいう。
図6、図7、及び図8に示すように、可視表示部52において設定保温時間T0、一時的保温時間T5、又は保温可能時間ΔTが拡大表示される場合は、操作部51の操作が、設定保温時間T0、一時的保温時間T5、又は保温可能時間ΔTに関する操作であるかを識別可能とする識別手段としての識別表示部59が設けられる。設定保温時間T0が拡大表示される場合は、識別表示部59には図6に示すように「保温時間」という文字とともに表示されるようになっている。また、一時的保温時間T5が拡大表示される場合は、識別表示部59には図7に示すように「保温時間」という文字及び一時的であることを示す「(今回のみ)」という文字とともに表示されるようになっている。また、保温可能時間ΔTが拡大表示される場合は、識別表示部59には図8に示すように「保温時間残り」という文字とともに表示されるようになっている。上記識別表示部59により、ユーザが設定保温時間T0、一時的保温時間T5、又は保温可能時間ΔTのいずれに関する操作であるか誤認混同することを防止できる。なお、設定保温時間T0、一時的保温時間T5、又は保温可能時間ΔTとともに表示される文字は上記した文字に限定されるものではなく、適宜変更させてもよい。
以下、保温可能時間表示部58の表示内容が表示されず、可視表示部52に日付・時刻表示部55、給湯温度表示部56、残湯量表示部57における各表示内容が表示された画面を第1通常画面71という。また、可視表示部52に日付・時刻表示部55、給湯温度表示部56、残湯量表示部57、保温可能時間表示部58における各表示内容が表示された画面を第2通常画面72という。また、設定保温時間T0が拡大表示された画面を第1拡大画面73といい、一時的保温時間T5が拡大表示された画面を第2拡大画面74という。また、保温可能時間ΔTが拡大表示された画面を第3拡大画面75という。
そして、可視表示部52において、第1通常画面71が表示されている場合には、操作部51の選択スイッチ62を繰り返し押すことで、可視表示部52において第1拡大画面73又は第2拡大画面74に画面表示が切り替わるようになっている。また、第2通常画面72が表示されている場合には、選択スイッチ62を押すことで可視表示部52において第3拡大画面75に画面表示が切り替わるようになっている。そして、選択スイッチ62の操作により選択された第1拡大画面73、第2拡大画面74、又は第3拡大画面75において、設定内容変更スイッチ63が操作されることで、設定保温時間T0、一時的保温時間T5、保温可能時間ΔTの数値が変更可能になっている。
次に、設定保温時間を変更する場合の制御について説明すると、貯湯ECU37の記憶部39には、設定保温時間T0が記憶されている。そして、ユーザにより台所用リモコン13を用いて設定保温時間T0の変更操作がなされた場合は、CPU38により記憶部39の設定保温時間T0が書き換えられる。具体的には、図5に示すような第1通常画面71が表示されている場合に、図6に示すような第1拡大画面73を表示すべくユーザにより台所用リモコン13の選択スイッチ62が押されると、操作部51からリモコン制御部65を介して貯湯ECU37のCPU38に選択信号が入力される。それに対し、CPU38は、第1拡大画面73を表示するように制御信号をリモコン制御部65を介して可視表示部52に出力する。その後、設定内容変更スイッチ63が操作されて設定保温時間T0の数値が変更された後、確定スイッチ64が押されれば、その変更値がCPU38に出力され、CPU38は、記憶部39の設定保温時間T0をその変更値に書き換える。なお、可視表示部52では、リモコン制御部65の制御により設定内容変更スイッチ63の操作に伴って設定保温時間T0が表示される。
次に一時的保温時間T5を変更する場合の制御について説明すると、貯湯ECU37の記憶部39には、保温可能時間ΔTの計算に用いる保温計算用時間T1が記憶されている。この保温計算用時間T1には、通常は設定保温時間T0が代入されている。しかし、ユーザにより台所用リモコン13を用いて一時的保温時間T5の設定操作がなされた場合は、CPU38により保温計算用時間T1に一時的保温時間T5が代入される。具体的には、図5に示すような第1通常画面71されている場合、即ち保温時間が経過する前に、図7に示すような第2拡大画面74を表示すべくユーザにより台所用リモコン13の選択スイッチ62が押されると、操作部51からリモコン制御部65を介して貯湯ECU37のCPU38に選択信号が入力される。それに対し、CPU38は、第2拡大画面74を表示するように制御信号をリモコン制御部65を介して可視表示部52に出力する。その後、設定内容変更スイッチ63が操作されて一時的保温時間T5の数値が設定された後、確定スイッチ64が押されれば、その設定値がCPU38に出力され、CPU38は、記憶部39の保温計算用時間T1の値を設定保温時間T0から一時的保温時間(設定値)に書き換える。なお、リモコン制御部65の制御により可視表示部52では設定内容変更スイッチ63の操作に伴って設定保温時間T5が表示される。
次に保温可能時間ΔTを延長又は短縮する場合の制御を浴槽29への給湯が開始されるところから説明する。
ユーザにより自動給湯スイッチ61が押されると、操作部51からリモコン制御部65を介して貯湯ECU37のCPU38に湯張り開始信号が入力される。そして、CPU38が、湯張り弁30を開放させるように、湯張り弁30に制御信号を出力することで浴槽29への湯水の供給が開始される。
その後、圧力センサ32及び湯張り流量センサ31からの検出信号に基づいて、CPU38が設定された水位の湯水が浴槽29に貯湯されたと判断した場合には、湯張り弁30を閉鎖させるように湯張り弁30に制御信号を出力する。これとともに、CPU38は、記憶部39のプログラムに従って、設定された時間だけ設定された保温温度で浴槽の湯水が保温されるよう保温制御を開始する。そして、さらにCPU38は、保温可能時間表示部58に保温可能時間ΔT、浴槽29の絵柄、及び「のこり」という文字を表示させるように制御信号をリモコン制御部65を介して可視表示部52に出力する。その結果、台所用リモコン13の可視表示部52では図5に示す第1通常画面71から図4に示すような第2通常画面72になる。
ところで、貯湯ECU37の記憶部39には、保温中の保温時間の延長時間又は短縮時間を表す延長/短縮時間T2が記憶されている。保温中とは保温時間の経過中をいう。そして、保温中において上記した第2通常画面72から、図8に示すような第3拡大画面75を表示すべくユーザにより台所用リモコン13の選択スイッチ62が押されると、操作部51からリモコン制御部65を介して貯湯ECU37のCPU38に選択信号が入力される。それに対し、CPU38は、第3拡大画面75を表示するように制御信号をリモコン制御部65を介して可視表示部52に出力する。
その後、設定内容変更スイッチ63が操作され可視表示部52に表示された保温可能時間ΔTの数値が変更された後に確定スイッチ64が押された場合は、その差分値T4がCPU38に出力される。そして、CPU38は記憶部39の延長/短縮時間T2について、差分値T4を新たな延長/短縮時間T2として書き換える。差分値T4とは、変更後の保温可能時間ΔTと変更前の保温可能時間ΔTとの差をとった時間を表す。この差分値T4は、保温可能時間ΔTを延長する場合は「+(プラス)」の値となり保温可能時間ΔTを短縮する場合は「−(マイナス)」の値となる。この保温可能時間ΔTが延長又は短縮されることで、実質的には保温時間が一時的に延長又は短縮されることになる。なお、リモコン制御部65の制御により可視表示部52では設定内容変更スイッチ63の操作に伴って変更後の保温可能時間ΔTが表示される。また、以下の説明では上記したように操作部51を操作して保温可能時間ΔTを延長又は短縮する操作を延長/短縮操作という。
次に、保温中に保温可能時間ΔT(保温時間)が一時的に延長又は短縮される処理の内容について図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
このフローチャートは、ユーザに自動給湯スイッチ61が押され、浴槽29への湯水の供給が開始された後、圧力センサ32及び湯張り流量センサ31からの検出信号に基づいてCPU38が浴槽29に設定された水位の湯水が貯湯されたと判断した場合に起動する。
まずステップS1では、CPU38は、記憶部39の延長/短縮時間T2を「0」にリセットする。それとともに、CPU38は、保温制御を開始したときからその保温制御を継続した時間(以下、保温経過時間T3という)の計測(カウント)を開始する。ステップS2では、CPU38は保温可能時間ΔTを算出する(ステップS2)。具体的には記憶部39に記憶されている保温計算用時間T1に、記憶部39に記憶されている延長/短縮時間T2を加え、CPU38でカウントした保温経過時間T3を差し引いて、保温可能時間ΔTを算出する(ΔT=T1+T2−T3)。そして、CPU38は、その算出された保温可能時間ΔTを表示させるように台所用リモコン13に制御信号を出力する。その結果、可視表示部52の保温可能時間表示部58には、保温可能時間ΔTが表示される。なお、前記保温計算用時間T1には、第1通常画面71が表示されている間に上述したようにして一時的保温時間T5が設定されていれば、一時的保温時間T5が保温計算用時間T1として用いられる。一方、第1通常画面71が表示されている間に一時的保温時間T5が設定されていなければ、設定保温時間T0が保温計算用時間T1として用いられる。また、延長/短縮時間T2については、保温中に一時的な延長又は短縮の操作がなされない限り延長/短縮時間T2の値は「0(ゼロ)」となる。そのため、その間は実質的には保温計算用時間T1から保温経過時間T3を差し引いた値が保温可能時間ΔTとなる(ΔT=T1−T3)。
ステップS3では、CPU38は延長/短縮操作があったか否かを判断する。即ち、上記した第3拡大画面75において保温可能時間ΔTが変更され、その差分値T4がCPU38に入力されたか否かを判断する。
延長/短縮操作がされておらず、差分値T4が入力されていなければ(ステップS3がNO)、CPU38は保温を継続する(ステップS4)。なお、保温を継続するとは、上述した保温制御を続けることをいう。そして、ステップS5では、算出した保温可能時間ΔTが「0(ゼロ)」か否かを判定する。保温可能時間ΔTが0(ゼロ)であることは今回の保温時間が全て経過したことを意味する。今回の保温時間とは設定保温時間T0、一時的保温時間T5、又はこれらに延長/短縮時間T2が加えられた時間をいう。一方、保温可能時間ΔTが0(ゼロ)でなければ、まだ保温を継続する時間が残っていることを意味する。
保温可能時間ΔTが「0」でないと判断したならば(ステップS5がNO)、CPU38は、保温解除操作があったか否か判定する(ステップS6)。即ち、保温中にユーザにより再度自動給湯スイッチ61が押されたか否かを判断する。自動給湯スイッチ61が押されておらず、保温解除操作がないと判断すると(ステップS6がNO)、ステップS2に戻り、カウントされ続ける保温経過時間T3に基づいて、保温可能時間ΔTが算出される。従って、保温中に一時的な延長又は短縮の操作がなされない限り、保温可能時間ΔTが0(ゼロ)になるまで又は保温解除操作があるまでステップS2、ステップS3、ステップS4、ステップS5、ステップS6が繰り返される。
ところで、ステップS3において、上記した第3拡大画面75で保温可能時間ΔTが変更され、その差分値T4が入力されたことによりCPU38が延長/短縮操作があったと判断した場合は(ステップS3がYES)、ステップS7に進む。そして、CPU38は記憶部39の延長/短縮時間T2について、差分値T4を新たな延長/短縮時間T2として書き換え、ステップS2に戻る。その結果、保温計算時間T1に延長/短縮時間T2(≠0)が加えられた値から保温経過時間が減算されて保温可能時間ΔTが算出されることになり、保温可能時間(保温時間)ΔTは延長又は短縮されることになる。
一方、保温時間が経過した結果、保温可能時間ΔTが0(ゼロ)になった(ステップ5がYES)、又は保温中にユーザにより再度自動給湯スイッチ61が押され保温解除操作があった(ステップS6がYES)と判断した場合は、CPU38は、記憶部39の保温計算用時間T1について設定保温時間T0を保温計算用時間T1として書き換える(ステップS7)。それとともに、CPU38では保温経過時間T3のカウントをリセットする。その後、このフローチャートは終了する。なお、保温可能時間ΔTが0(ゼロ)になることが延長又は短縮された保温時間が経過することに相当し、保温中にユーザにより再度自動給湯スイッチ61が押されることが保温手段の保温設定が解除されることに相当する。
このようにして延長/短縮時間T2が0(ゼロ)にリセットされるステップS1と、記憶部39の保温計算用時間T1について設定保温時間T0を保温計算用時間T1として書き換えるステップS8により、保温可能時間ΔTが0(ゼロ)になった、又は保温解除操作があったという所定条件が成立するまで保温時間(保温可能時間ΔT)が一時的に延長又は短縮されるという制御が実現できる。
即ち、上記したようにこのフローチャートが起動されるたびにステップS1において、延長/短縮時間T2が0(ゼロ)にリセットされる。このため、保温中に延長/短縮操作がされても、保温可能時間ΔTが0(ゼロ)になり又は保温解除操作がなされ、そのときの保温が終了した場合は、次に保温が開始されるときには、前回記憶した延長/短縮時間T2が保温可能時間ΔTの演算に用いられることはない。従って、保温中に延長/短縮操作がなされても、その保温時間(保温可能時間ΔT)は一時的なものとなる。そのため、保温中に突発的に保温時間(保温可能時間ΔT)を延長又は短縮させた場合でも次に保温するときに自動的に再度同じ延長又は短縮がなされることはないため、保温時間を設定変更するための無駄な再操作をする必要がなく、保温時間に関するユーザの使い勝手の向上を図ることができる。また、突発的に保温時間を延長させた場合においては、保温時間の設定を元に戻す設定変更忘れによる不必要な保温継続によるエネルギーロスや不経済性を防止することもできる。さらに、ユーザが最も望むと思われる保温中に、保温時間(保温可能時間ΔT)の一時的な延長又は短縮の設定操作が可能となることで、さらなるユーザの使い勝手の向上を図ることができる。
さらに、上記したようにステップS8において、記憶部39の保温計算用時間T1について設定保温時間T0を保温計算用時間T1として書き換える。このため、保温が開始される前に一時的保温時間T5が設定され保温計算用時間T1としてその一時的保温時間T5が用いられていても、保温可能時間ΔTが0(ゼロ)になり又は保温解除操作がなされ、そのときの保温が終了した場合は、先に設定した一時的保温時間T5が保温計算用時間T1として保温可能時間ΔTの演算に用いられることはない。従って、突発的な出来事により、保温前に一時的保温時間T5を設定して保温時間(設定保温時間T0)を延長又は短縮させても、次に保温するときに自動的に再度同じ延長又は短縮がなされることはないため、保温時間を設定変更するための無駄な再操作をする必要がなく保温時間に関するユーザの使い勝手の向上を図ることができる。また、一時的保温時間T5により、保温する前であっても、ユーザが望んだときはいつでも一時的な延長又は短縮の設定が可能となり、さらなるユーザの使い勝手の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、保温可能時間ΔTが0(ゼロ)になった、又は保温解除操作があったという所定条件が成立するまで保温時間(保温可能時間ΔT)が一時的に延長又は短縮されるようにしている。ユーザが一時的な延長又は短縮を望むのは、通常、そのときの保温時間が経過するまで、又は保温解除操作をするまでであると考えられるため、ユーザが望む期間だけ適切に一時的な保温時間の延長又は短縮を実現できる。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、CPU38で保温経過時間T3を計測するようにしたが、貯湯ECU37にタイマを設け、タイマに保温経過時間T3を計測させるようにしてもよい。
・上記実施形態では、保温前にも保温時間を一時的に延長又は短縮できるように一時的保温時間T5を設定可能に構成したが、保温中のみ一時的に保温時間を延長又は短縮できる構成にしてもよい。また、保温前のみ保温時間を一時的に延長又は短縮できる構成にしてもよい。
・上記実施形態では、台所用リモコン13で延長/短縮操作、一時的保温時間T5の設定の操作ができるように構成したが、浴室用リモコン14でもこれらの操作が可能になるようにしてもよい。また、浴室用リモコン14でのみこれらの操作が可能になるようにしてもよい。
・上記実施形態では、可視表示部52はドットマトリックス型の蛍光表示管により構成したが、液晶表示をする構成にしてもよい。
・上記実施形態では、保温解除操作は、保温中に再度自動給湯スイッチ61を押す構成にしたが、保温解除スイッチを別に設け、この保温解除スイッチが操作されることによって保温解除操作がなされる構成にしてもよい。
・上記実施形態では、保温可能時間ΔTが0(ゼロ)になったとき又は保温解除操作されたときまで一時的な保温時間の延長又は短縮がなされるようになっていたが、いずれか一方の条件で一時的な保温時間の延長又は短縮が解除される構成にしてもよい。また、一時的な保温時間の延長又は短縮が解除される条件は、日付が変更するまで、2日過ぎるまで等、他の条件を設定してもよい。
・上記実施形態において、保温中に設定保温温度T0を変更可能な構成にして、保温中に設定保温温度T0が変更された場合には、再度ステップS1から処理を開始する構成にしてもよい。
・上記実施形態では、浴槽29に設定した水位の湯水が貯湯された場合は、CPU38の制御により自動的に保温可能時間表示部58に保温可能時間ΔTを表示させたが、ユーザにより手動で操作された場合のみ保温可能時間ΔTを表示させる構成にしてもよい。この場合、操作部51には表示切替スイッチが設けられる。
・上記実施形態では、保温中に保温可能時間ΔTの延長又は短縮をする場合には、第3拡大画面75が表示された状態で操作されたが、選択スイッチ62による第3拡大画面75の選択後、第2通常画面72に戻って保温可能時間表示部58において保温可能時間ΔTの延長又は短縮の操作ができるような構成にしてもよい。