JP2006225771A - 繊維弾性体、クッション詰め物およびクッション - Google Patents

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順一 藤田
Hiroaki Morita
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勝己 田代
Eriko Kitamura
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Abstract

【課題】 航空機及び鉄道を含む乗り物用座席等に用いられる、極めて高い繰り返し揺動に耐えられる様に改良された繊維弾性体において、長期間使用に耐えられるように改良された繊維弾性体を提供する。
【解決手段】 繊維素材のうち50重量%以上が炭素繊維からなり、繊維と繊維との交点を第1のバインダー樹脂で結着している結着点を有する三次元構造体を備え、前記結着点を、前記第1のバインダー樹脂と同一又は性質の異なる第2のバインダー樹脂で補強している繊維弾性体。長間使用耐久性に優れたクッション詰め物およびクッションが得られる。
【選択図】図2

Description

本発明は一般に繊維弾性体(クッション部材)に関するものであり、より特定的には、航空機および鉄道を含む乗り物用座席に用いられる、極めて高い繰り返し揺動に耐えられるように改良された繊維弾性体に関する。この発明はまた、そのような繊維弾性体を用いたクッション詰め物およびクッションに関する。
従来から、航空機、鉄道車両(例えば、新幹線、地下鉄)等のクッション部材としては、様々な部材が使用されている。座席のクッション部材としては、例えばポリウレタン発泡体や、密度の異なるウレタン発泡体を複数個組み合わせた部材や、ポリエステル繊維集合体等が汎用されている。しかし、これらのクッション部材では、長期間の使用によってへたりが生じ、厚みおよび硬度(クッション性)が低下する。また、とりわけ航空機においては、その耐燃焼性の制限より、難燃性の高いアラミドなどの不織布でクッション材を覆うか、クッション部材に特殊なウレタン発泡体を使用しなければならず、航空機の重量軽減の大きな足かせとなっていた。
一方、主成分が炭素繊維で構成された炭素繊維三次元構造体からなるクッション部材も知られており(例えば特許文献1参照)、その軽量性と耐燃焼性の高さから、航空機、鉄道車両等において非常に好適に使用できるが、長期間の使用によって、へたりが生じるという点で同じ問題を有していた。このような特性の変化は、繊維同士を結着している結着点(バインド)が長期間の使用によって外れるために起こると考えられる。三次元構造体は結着点が外れることによって繊維原料(ウェブ)に近づこうとする。その結果として、へたりが生じるのである。
また、炭素繊維三次元構造体に、例えばシリコン系、フッ素系の滑り性を有するバインダー樹脂(以下滑性結着材)を追加的に付与し、結着点の外れた自由繊維に対し新たな結着点を形成し、ソフトな圧縮反発性を有し、かつ、へたりを抑えたクッション部材を得る技術も提案されている(例えば特許文献2参照)。
用いられている滑性結着材としては、アルコール変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ジメチル変性シリコーン、ジメチルシリコーン等のシリコーン系熱反応性高分子、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフルオロビニリデン、フッ素系熱可塑性エラストマー、エチレンーテトラフルオロエチレンコポリマー等のフッ素系熱溶融高分子、水酸基を有するフッ素系高分子と、イソシアネートやメラミン樹脂とを混合した架橋性フッ素系高分子混合物が挙げられている。
特開2003−125902号公報
特願2003−302150号
ところで、航空機および鉄道を含む乗り物用座席で使用される座席に求められているクッションにおいては、繰り返し揺動(スクロール)試験5万回後の厚みの低下率と硬度の低下率を、初期の値に対してともに30%以内、より好ましくは20%以内にしなければならない。
しかし、特許文献2の開示する、シリコーン系、フッ素系の滑性結着材を用いて改良したクッション部材でも、この極めて高い繰り返し耐久性要求には応えることができなかった。
それゆえに、この発明の目的は、極めて高い繰り返し揺動に耐えられるように靱性が改善された繊維弾性体を提供することにある。
この発明の他の目的は、そのような繊維弾性体を含むクッション詰め物を提供することにある。
この発明のさらに他の目的は、極めて高い繰り返し耐久性要求を満たす航空機および鉄道を含む乗り物用のクッションを提供することにある。
この発明の第1の局面に従う繊維弾性体は、繊維素材のうち50重量%以上が炭素繊維からなり、繊維と繊維との交点を第1のバインダー樹脂で結着している結着点を有する三次元構造体を備え、上記結着点を、上記第1のバインダー樹脂と同一又は性質の異なる第2のバインダー樹脂で補強していることを特徴とする。
この発明によれば、上記結着点を、上記第1のバインダー樹脂と同一又は性質の異なる第2のバインダー樹脂で補強しているので、繰り返し揺動耐久性の良い繊維弾性体となる。
この繊維弾性体は、靭性が改善されたクッション部材として利用される。本明細書で、クッション部材が複数個組み合わされて一体化されたものをクッション詰め物といい、クッション詰め物を表皮材(金巾、面ファスナー等)で被覆したものをクッションというものとする。
なお、三次元構造体を炭素繊維三次元構造体のみを用いて構成してもよいが、炭素繊維三次元構造体と他の素材からなる三次元構造体又は他の線状繊維集合物とを組み合わせて構成してもよい。
炭素繊維の種類は限定されない。例えばポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、レーヨンなどの高分子、石油ピッチ、石炭ピッチなどのピッチを原料とし、炭化または黒鉛化された炭素繊維を使用できる。特に、ピッチ系炭素繊維は、強制加熱下での発生ガスの毒性が低い。また、炭素繊維が曲状繊維(好ましくは繊維全体の50〜100重量%が曲状繊維)であると、炭素繊維自体の弾性を利用し、小さな嵩密度(軽量)で強い反発圧縮力が得られやすい。
炭素繊維の平均繊維径は、例えば、0.5〜30μm、好ましくは1〜25μm(例えば、5〜25μm)程度であり、平均繊維径1〜20μm(例えば10〜20μm)程度の炭素繊維を用いる場合が多い。炭素繊維としては、通常、短繊維(非連続繊維)が用いられる。短繊維の繊維長は、例えば、1〜200mm、好ましくは1〜150mm(例えば1〜100mm)、さらに好ましくは3〜50mm程度である。
そのような炭素繊維が主成分である繊維と1種類のバインド成分(第1のバインダー樹脂)からなる三次元構造体の靱性改善のため、この三次元構造体に対しさらに、別の種類のバインド成分(第2のバインダー樹脂)(液状バインダー樹脂)を付与する。付与の方法は含浸の後、吸引等の方法によって過剰のバインド成分を脱液する方法が最も一般的であるが、均一に中まで付与できる方法であればこれに限定はしない。例えば、バインド成分溶液をスプレーする方法、バインド成分を直接塗布または散布する方法も好ましい。
第2のバインダー樹脂溶液の濃度は、溶媒100重量部に対して、第2のバインダー樹脂1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは5〜40重量部(特に10〜20重量部)程度である。
溶媒としては、用いる第2のバインダー樹脂の種類によって異なるが、慣用の溶媒を用いることができる。例えば、水、アルコール類(例えば、エタノール、イソプロパノール等)、ハロゲン化炭化水素類(例えば塩化メチレン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル等)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、セロソルブ類(例えば、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、芳香族炭化水素類(トルエン等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環族炭化水素類(シクロヘキサン等)等が例示できる。
また後で付与する第2のバインダー樹脂は先に導入されている第1のバインダー樹脂と同一又は異なった硬度の性質を持つものから選択し、より好ましくは靭性のより改善のため、先に導入されている第1のバインダー樹脂より軟らかい、硬度が小さいか、又は伸びが大きい性質を持つものから選択する。
バインダー樹脂としては、硬質な熱可塑性樹脂(スチレン系樹脂等)や、硬質な熱硬化性樹脂(アミノ系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂等)等を用いてもよいが、特に航空機および鉄道を含む乗り物用クッション用途に供する繊維弾性体を作製する場合には、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂等を除く軟質な熱硬化性樹脂(ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂等)等が好ましく使用できる。これらのバインダー樹脂のうち、軟質な熱硬化性樹脂、特にポリウレタン系樹脂が好ましい。ポリウレタン系樹脂としては、溶液型、エマルジョン型、二液硬化型、湿気(水蒸気)硬化型ポリウレタン系樹脂等が使用できる。
軟質ポリウレタン系樹脂には、ポリオール成分として、ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレン−プロピレンブロックコポリマー、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリC2-4アルキレングリコール)や、C4-12多塩基酸(アジピン酸などのC6-12アルカンジカルボン酸)とポリオール成分(エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール等のC2-10アルキレングリコールなど)とから得られるポリエステルポリオール等を用いたポリウレタン系樹脂などが含まれる。イソシアネート成分としては、汎用の芳香族ジイソシアネート(ジフェニルメタンジイソシアネートやトリレンジイソシアネート等)、芳香脂肪族ジイソシアネート(キシリレンジイソシアネートなど)、脂環族ジイソシアネート(イソホロンジイソシアネートなど)、脂肪族ジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネートなど)等が例示できる。また、ポリウレタン系樹脂は、末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと硬化剤(短鎖オールや多価アルコール、ヘキサメチレンジアミンなどのアルキレンジアミン、アルカノールアミンなどのポリアミン類等)との組成物であってもよい。
各種バインダー樹脂の硬度の性質に関して、表1に代表的なバインダー樹脂についての比較を掲げた。この表1から、第1のバインダー樹脂と第2のバインダー樹脂を選ぶのが好ましい。それらは同一種から選んでもよいし、異種のものから選んでもよい。同一種から選ぶ場合とは、例えば同じポリウレタン系樹脂においても種々の硬度、伸びを示すものがあり、第1のバインダー樹脂と第2のバインダー樹脂のそれぞれに、硬度の異なる、または伸びが異なるポリウレタン系樹脂を選ぶ場合である。
Figure 2006225771
バインダー樹脂に軟質な熱硬化性樹脂を用いた場合、そのバインダー樹脂を硬化させるための温度は、そのバインダー樹脂の種類によって異なるが、通常50〜150℃、好ましくは70〜120℃程度であり、硬化時間は、通常、10秒〜24時間、好ましくは30秒〜5時間、さらに好ましくは1分〜1時間(特に3〜10分間)程度である。
従来技術では三次元構造体を形成する場合、繊維(主成分が炭素繊維)と第1のバインダー樹脂(液状バインダー樹脂もしくは熱融着ポリエステルなどの繊維系バインダー樹脂)を使用する。第1のバインダー樹脂には繊維との接着力が強いもの(例えば炭素繊維と比較的なじみの良いエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等)を選択する。
接着力の強いものは一般に強度も強いが硬くてもろい性質も伴うため、第1のバインダー樹脂としてエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂等を用いた場合には、望ましくは第2のバインダー樹脂として軟らかくて靭性のあるバインダー樹脂(例えばポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂等)を選択する。
第2のバインダー樹脂は、液状で付与されるのでその表面張力によって、既に形成されている第1のバインダー樹脂の交点付近に集まる。第2のバインダー樹脂は第1のバインダー樹脂の比較的不完全な結着点(⇔繰り返し揺動によって外れやすい結着点)をより完全な結着点(⇔繰り返し揺動によって外れにくい結着点)に近づける作用を果たす。また、上記第2のバインダー樹脂として軟らかくて靭性のあるバインダー樹脂を選択した場合、すなわち、上記第1のバインダー樹脂より硬度が小さいか、または伸びが大きいものを選んだ場合には、第1バインダー樹脂で形成された比較的硬くてもろい結着点の性質も改善され、靱性が付加される。
一方、第2のバインダー樹脂が第1のバインダー樹脂と同一又は硬い成分の場合、比較的不完全な結着点はより完全な結着点に近づくが、靭性は付加されない。
本発明の他の局面に従う発明は、靭性の改善されたクッション詰め物にかかる。例えば、炭素繊維とフェノール樹脂からなる三次元構造体に第2のバインダー樹脂としてポリウレタン樹脂を含浸の方法によって付与し、余剰分を脱液後、水蒸気硬化させたものを取得し、この靭性が付加された繊維弾性体を他のクッション部材と組み合わせてクッション詰め物にする。これにより、繰り返し揺動に対して高い耐久性を示すクッション詰め物が得られる。このクッション詰め物は、それぞれ別々に作られた靭性が付加された繊維弾性体と従来の三次元構造体とを後に貼りあわせて一体化することにより形成してもよいし、靭性が付加された繊維弾性体と従来の三次元構造体の成型硬化の際に同時に一体化することにより形成してもよい。
この発明のさらに他の局面に従う発明は、クッションの繰り返し揺動耐久性の向上を図る目的でなされたものである。上記靭性が改善された繊維弾性体をクッションの上側(⇔座の場合)を含む少なくとも一部に配置することによって長期間使用可能な耐久性に優れたクッション詰め物とすることが出来る。
より具体的には炭素繊維とポリウレタン系樹脂もしくは炭素繊維と熱融着ポリエステルなどの繊維系バインダー樹脂からなる従来の三次元構造体の上側、好ましくは上下両側に、上記靭性が付加された繊維弾性体が配されるように組み合わせ、クッション詰め物を形成する。より好ましくは上記靭性が付加された繊維弾性体をクッション全体に配されるように組み合わせ、クッション詰め物を形成する。さらには得られたクッション詰め物の一部ないしは全面を適当な表皮材、例えば金巾あるいはマジックテープ(登録商標)等で覆い、且つ必要に応じ縫製(刺し縫い)を併せ施して、クッションを形成する。このようにして得られたクッションは、極めて高い繰り返し揺動に耐えられる。
なお、このような組み合わせからなる繊維弾性体は、座席部の背もたれにも使用することができる。背もたれの最外層に使用する場合、また最外層以外の部分にも使用する場合にも、同様の効果を奏する。
この発明にかかるクッション詰め物またはクッションは、航空機および鉄道を含む乗り物用座席のクッションに好ましく用いられる。航空機や鉄道車両等で使用される座席用クッションには、極めて高い繰り返し揺動に対する耐久性が要求されるが、この発明にかかるクッション詰め物またはクッションは、この要求を充分に満たすことができる。
従来の三次元構造体、すなわち繊維とバインダー樹脂(=第1のバインダー樹脂)との組成物に対し、第2のバインダー樹脂を付与する。第2のバインダー樹脂としては、液状で且つ軟質な熱硬化性のバインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂等)が好ましい。この繊維組成物を便宜上、本明細書では繊維弾性体と呼ぶが、この繊維弾性体の繊維交点付近の結着点は第1のバインダー樹脂を覆う形で第2のバインダー樹脂が存在し、第1のバインダー樹脂だけでは不完全であった交点付近の結着点を、より完全な結着点に近づける役割を果たすほか、第2のバインダー樹脂が比較的軟質な場合には靭性も付加される。これにより、繊維弾性体はもともとの三次元構造体よりも繰り返し揺動に対する耐久性が向上する。これをクッション部材として単独または既存のクッション部材と組み合わせて、繰り返し揺動に対する耐久性に優れたクッション詰め物が得られる。また必要に応じ、適当な被覆処理を併せ行うことによって繰返し揺動に対する耐久性に優れたクッションが得られる。
極めて高い繰り返し耐久性を有する繊維弾性体を得るという目的を、繊維と繊維との交点を第1のバインダー樹脂で結着している結着点を、該第1のバインダー樹脂と同一又は性質の異なる第2のバインダー樹脂で補強するということによって実現した。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明にかかる繊維弾性体100は、ランダムな方向に配列した繊維CF1a,CF1b,CF1cが複雑に交わってなる。これらの繊維には、曲がっているものCF1a,卷縮しているものCF1b、直線状のものCF1c等様々な形状のものがある。これらの繊維は、繊維素材のうち50重量%以上が炭素繊維からなる。繊維弾性体100は、繊維と繊維との交点を第1のバインダー樹脂で結着している結着点を有し、該結着点が、第1のバインダー樹脂と同一又は性質の異なる第2のバインダー樹脂で被覆され、補強されている繊維組成物である。
これについて、図2を用いて、製造方法を説明しながら、さらに詳細に説明する。図中、紙面に垂直な方向が厚み方向である。
まず従来と同様に、繊維(主成分が炭素繊維)とバインダー樹脂(液状バインダー樹脂もしくは熱融着ポリエステルなどの繊維系バインダー樹脂:第1のバインダー樹脂)を使用し、三次元構造体1を形成する。第1のバインダー樹脂としては、繊維との接着力が強いもの(炭素繊維と比較的なじみの良いエポキシ樹脂やフェノール樹脂等)を選択する。
図2(A)に示すように、繊維CF同士は結着点2,3で互いに結着され、三次元の構造体となる。こうして得られた三次元構造体1は、外れにくい完全な結着点2(図中、大きな黒丸で示す)と比較的外れ易い不完全な結着点3(図中、小さな黒丸)を含む。なお、互いに結着されない自由繊維CF1も存在する。従来は、このままクッション部材として使用していたので、図2(A)と(B)を参照して、長期間の繰り返し使用によって、比較的外れ易い不完全な結着点3のみならず、完全な結着点2まで外れ、へたりが生じ、厚みおよび硬度(クッション性)が低下していた。本実施例では、これを防止するために、第2のバインダー樹脂で結着点2,3を補強する処理を行なう。
接着力の強いものは強度も強いが硬くてもろい性質も伴うため、第1のバインダー樹脂としてエポキシ系樹脂やフェノール系樹脂を用いた場合には、第2のバインダー樹脂として比較的軟らかくて靭性のあるバインダー樹脂(例えばアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂)を選択する。
本発明では、炭素繊維とフェノール樹脂からなる炭素繊維三次元構造体に、第2のバインダー樹脂として湿気硬化型ポリウレタン樹脂を含浸の方法によって付与し、余剰分を脱液後、水蒸気硬化させて繊維弾性体を得た。
図2(C)を参照して、第2のバインダー樹脂は液状で付与されるので、その表面張力によって、第2のバインダー樹脂は、既に形成されている第1のバインダー樹脂の結着点2付近に集まる。これにより、第1のバインダー樹脂で形成された比較的硬くてもろい結着点2が比較的軟らかい第2のバインダー樹脂で被覆され、補強され、外れ易さが改善される。また第2のバインダー樹脂は、第1のバインダー樹脂の比較的不完全な結着点3(繰り返し揺動によって外れ易い交点)にも集まり、これを被覆し、より完全な結着点(繰り返し揺動によって外れにくい交点)に近づける作用を果たす。さらに、第1のバインダー樹脂では結着されていなかった自由繊維CF1を、第2のバインダー樹脂が新たな結着点4を形成することによって、固定する作用もする。
図2(C)と(D)を参照して、補強された結着点2,3は、繰り返し揺動を受けても比較的外れ難い。ひいては元来持っている三次元構造体1の厚みおよび硬度(クッション性)を低下させずに、繰り返し揺動に耐えられる靱性が付加された繊維弾性体100が得られる。繊維弾性体100は、長期間の使用に耐えるクッション部材として利用される。
なお、繊維弾性体の製造方法は、上記実施例に限定されるものでなく、後から加えた第2のバインダー樹脂が、繊維と繊維をつなぎとめている結着点(繊維交点付近に存在する)を被覆することができる方法であれば、いずれの方法であってもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
実施例1は、靭性が付加されたクッション部材(繊維弾性体)が適用されたクッションにかかる。
靭性が改善されたクッション部材の製造方法には、基材に、炭素繊維約90重量部と第1のバインダー樹脂(フェノール系樹脂)約10重量部とからなる三次元構造体DLW−3020(密度30kg/m3、厚さ20mm、末尾の表2参照)を選択し、第2のバインダー樹脂(湿気硬化型ポリウレタン系樹脂)を含浸の方法によって付与し、余剰分を脱液後、水蒸気硬化させる方法を採用した。
より詳しく説明すると、この時使用した湿気硬化型ポリウレタン系樹脂は、明和油化工業製MEIWASOL(登録商標)CX−360N(水蒸気硬化型、イソシアネート基含有量10.5±0.5重量%、25℃での粘度3500±500cps)である。この湿気硬化型ポリウレタン系樹脂約15重量部に対し、溶媒(塩化メチレン)を約85重量部用いて溶液とした。この溶液にDLW−3020を含浸し、余剰分を遠心脱水の方法によって脱液した。この時の含浸率(=重量増加分)は、DLW−3020の重量を100とした時、約42であった。
この含浸DLW−3020を金型に入れ、適当な圧力(通常10〜1000Pa)を加えながら水蒸気下、約80℃で15分間加熱して硬化させ、第2のバインダー樹脂が付与された、密度約40kg/m3、厚さ約16mmの繊維弾性体(クッション部材)を得た。
このようにして得られた、靭性が付加されたクッション部材は第1のバインダー樹脂(フェノール系樹脂)に第2のバインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂)が併せ付与されており、クッションの長期間の使用によって生じる負荷、すなわち繰り返し揺動に対し、従来の三次元構造体と比べ極めて高い耐久性(靭性)を示すものである。
この靭性が付加されたクッション部材を、図3に示すようにクッション詰め物30の一部に適用した。この断面形状は、金型により、後述する航空機および鉄道を含む乗り物用の座席に適応するように成型したものを模式したものである。図3において、E1は靭性が付加されたクッション部材、P1は従来からの三次元構造体からなるクッション部材である。すなわち、靭性が付加されたクッション部材E1が、クッション31の繰り返し揺動負荷がかかる側(上側)に配置されている。上側は人体の重量が直接かかる側であり、この側に靭性が付加されたクッション部材E1を配置することにより、繰り返し揺動に対し、極めて高い耐久性を示すようになる。
靭性が付加されたクッション部材E1は、上記の手順によって作製され、また従来の三次元構造体からなるクッション部材P1は、バインダー樹脂を含まない繊維原料WEB−500(炭素繊維、密度5kg/m3、厚み100mm、表2参照)に、上記と同様の手順で第1のバインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂)のみを導入することによって作製された。このようにして別々に作製された3つのクッション部材E1,P1,P1をずれないように組み合わせて一体化する(例えば接着剤等で貼り合わせる)ことによってクッション詰め物30となし、且つ全面を覆うように表皮材6で被覆し、クッション31とした。表皮材6には、例えば金巾またはポリエステル製の面ファスナー(マジックテープ(登録商標)、ベルクロテープ(登録商標)等)が用いられる。このとき(クラレ製マジックループAT8032Kで全面覆った場合)のクッション31のトータル重量は813g、密度は約46kg/m3であり、厚さと硬度の測定を行なったところ、厚さは代表点で86mm、35%圧縮時の硬度は390Nであった。なお、厚さの測定は鋼尺又は厚み計を使用して行なった。硬度の測定はJASO B 407 自動車用シートのクッション性試験方法に従って行った。
また実際にこのクッション31に腰掛けて座り心地を調べてみたところ、バネ感に富んだ底つきも全く感じられないクッションであった。
さて、上記クッション31を、5万回の繰り返し揺動試験(条件は下記)にかけ、その後の厚さと硬度の測定を行ったところ、厚さは代表点で84mm、35%圧縮時の硬度は280Nであった。この値は初期(繰り返し揺動試験前)の値を100としたとき、厚さは約98、硬度は約72であり、ともに低下率は30%以内に収まり、繰返し耐久性のあるクッションが得られた。
(揺動試験条件)
(1)揺動速度:40(回/分)
(2)ねじり角度:±20°
(3)荷重値:77(kg)
(4)揺動回数:50,000(回)
(5)表生地:有
また実際にこの揺動試験後のクッションに腰掛けてその座り心地を調べてみたところ、初期にくらべ多少バネ感は変化しているものの、底付きまでは感じないクッションであった。
図4は、得られたクッションを航空機および鉄道を含む乗り物用の座席部へ使用した場合の概念図である。座席部11は、座部の基台12と、クッション31と、背もたれ14を含む。クッション31は、上張り15に覆われている。クッション31の外面に設けられた面ファスナー13(雌雄の一方)は、上張り15に配置された面ファスナー(雌雄の他方)と係止する目的、および座席部の基台12上に配置された面ファスナー(雌雄の他方)と係止する目的で取り付けられている。なお、クッション31の外面全面を面ファスナーとすることにより、上張り15に配置された面ファスナーとクッション31の面ファスナーとの位置合わせ、および基台12上に配置された面ファスナーとクッション31の面ファスナーとの位置合わせは不要となり、位置合わせに要する手間が省かれるという効果を奏する。
航空機および鉄道を含む乗り物用の座席に用いられるクッションには、極めて高い繰り返し揺動に対する耐久性が要求されるが、本実施例にかかるクッション31では靭性が付加されたクッション部材が組み合わされて作製されているため、この要求を満たすことができ、長期耐久性に優れたクッションとなる。
(比較例)
バインダー樹脂を含まないWEB−500のみを繊維原料として、実施例1に記載の従来の三次元構造体の作製と同じ手順にて、クッション部材P1を作製し、さらにそのクッション部材P1を3層、図5に示すように組み合わせてクッション詰め物40を作製した。
その後、実施例1に記載と同様の方法によってそのクッション詰め物40の全面を覆うようにポリエステル製のファスナー材(クラレ製マジックループAT8032K)で被覆し、クッションとした。このときのクッションのトータル重量は793g、密度は約45kg/m3であり、厚さと硬度の測定を行ったところ、厚さは代表点で86mm、35%圧縮時の硬度は350Nであった。
また実際にこのクッションに腰掛けて座り心地を調べてみたところ、バネ感に富んだ底つきも全く感じられないクッションであった。
一方、このクッションを実施例1と全く同じ手法にて、5万回の繰り返し揺動試験にかけ、厚さと硬度の測定を行ったところ、厚さは代表点で84mm、35%圧縮時の硬度は220Nであった。この値は初期(繰り返し揺動試験前)の値を100としたとき、厚さは約98、硬度は約63であり、厚さについては約30%以内の低下率であったが、硬度は30%を超える低下率となった。すなわち、長期耐久性に乏しいクッションであった。また実際にこの揺動試験後のクッションに腰掛けてその座り心地を調べてみたところ、初期に比べ、バネ感に乏しく、底付きを感じるクッションであった。
実施例2では、まず靭性が付加されたクッション部材の製造方法として、実施例1と同様、基材に、炭素繊維約90重量部と第1のバインダー樹脂(フェノール系樹脂)約10重量部とからなる三次元構造体DLW−3020を選択し、第2のバインダー樹脂(湿気硬化型ポリウレタン系樹脂)を含浸の方法によって付与し、余剰分を脱液後、水蒸気硬化させる方法を採用した。
この時使用した湿気硬化型ポリウレタン系樹脂は、明和油化工業製MEIWASOL(登録商標)CX−2Nconc(水蒸気硬化型、イソシアネート基含有量6.6±0.5重量%、25℃での粘度4500±1000cps)である。この湿気硬化型ポリウレタン樹脂約13重量部に対し、溶媒(塩化メチレン)を約87重量部用いて溶液とした。この溶液にDLW−3020、2枚を含浸し、余剰分を遠心脱水の方法によって脱液した。この時の含浸率(=重量増加分)は、DLW−3020の重量を100とした時、ともに約42であった。
この含浸DLW−3020をそれぞれの形状に合わせた金型に入れ、適当な圧力(通常10〜1000Pa)を加えながら水蒸気下、約80℃で15分間加熱して硬化させ、第2のバインダー樹脂が付与された、密度約40kg/m3、厚さ約16mmの2つのクッション部材(後述するE1)を得た。
このクッション部材は第1のバインダー樹脂(フェノール系樹脂)に第2のバインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂)が併せ付与されており、クッションの長期間の使用によって生じる負荷、すなわち繰り返し揺動に対し、従来の三次元構造体と比べ極めて高い耐久性(靭性)を示すものである。
図6において、E1(最上層)とE1(最下層)は靭性が付加されたクッション部材、クッション部材P1(中層)は従来からの三次元構造体である。すなわち、靭性が付加されたクッション部材E1が、クッション詰め物50の上側(繰り返し揺動負荷がかかる側)および下側(座パンに近い側)に配置されている。上層から揺動負荷がかかると、座パンからも反作用としての負荷がクッションにかかるので、この座パンに近い側にも靭性が付加されたクッション部材E1を配置することにより、クッションの耐久性がさらに向上する。
本実施例では、クッション部材P1(中層)は従来法、すなわちバインダー樹脂を含まない繊維原料WEB−500に、上記クッション部材E1(最上層)、(最下層)と同様の手順で、第1のバインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂)のみを導入することにより作製した。このようにして別々に作製されたクッション部材E1(最上層)、E1(最下層)および従来からのクッション部材P1を、実施例1と同様の手順に従って一体化させることによってクッション詰め物50となし、且つ全面を覆うようにポリエステル製のファスナー材(クラレ製マジックループAT8032K)で被覆し、クッションとした。このときのクッションのトータル重量は783g、密度は平均すると約45kg/m3であり、厚さと硬度の測定を行ったところ、厚さは代表点で86mm、35%圧縮時の硬度は350Nであった。
また実際にこのクッションに腰掛けて座り心地を調べてみたところ、バネ感に富んだ底つきも全く感じられないクッションであった。
このクッションを実施例1および比較例と全く同じ手法にて、5万回の繰り返し揺動試験にかけ、厚さと硬度の測定を行ったところ、厚さは代表点で84mm、35%圧縮時の硬度は295Nであった。この値は初期(繰り返し揺動試験前)の値を100としたとき、厚さは約98、硬度は約84であり、ともに低下率は20%以内に収まり、極めて長期耐久性に優れたクッションが得られた。
また実際にこの揺動試験後のクッションに腰掛けてその座り心地を調べてみたところ、初期に比べ、バネ感の変化もほとんど感じられず、底付きも全く感じられなかった。
実施例3では、まず靭性が付加されたクッション部材の製造方法として、実施例1,2と同様、基材に、炭素繊維約90重量部と第1のバインダー樹脂(フェノール系樹脂)約10重量部とからなる三次元構造体DLW−3020、および密度と厚さの異なるDLW−2308(密度23kg/m3、厚さ8mm、表2参照)を選択するとともに、さらに炭素繊維約80重量部とポリエステル繊維約10重量部と第1のバインダー樹脂(ポリエステル系樹脂)約10重量部とからなる三次元構造体DLW−0750PE(密度7kg/m3、厚さ50mm、炭素繊維80重量部に対し、ポリエステル繊維10重量部、表2参照)を選択し、これらに第2のバインダー樹脂(湿気硬化型ポリウレタン系樹脂)を含浸の方法によって付与し、余剰分を脱液後、水蒸気硬化させる方法を採用した。
この時使用した湿気硬化型ポリウレタン樹脂は、明和油化工業製MEIWASOL(登録商標)CX-360N(水蒸気硬化型、イソシアネート基含有量10.5±0.5重量%、25℃での粘度3500±500cps)である。この水蒸気硬化型ポリウレタン系樹脂約13重量部に対し、溶媒(塩化メチレン)を約87重量部用いて溶液とした。この溶液に各種基材(DLW−3020 2枚、DLW−2308及びDLW−0750PE)をそれぞれ含浸し、余剰分を遠心脱水の方法によって脱液した。この時の含浸率(=重量増加分)は、それぞれの基材の重量を100とした時、約38〜46であった。
これら各種含浸基材をそれぞれの形状に合わせた金型に入れ、適当な圧力(通常10〜1000Pa)を加えながら水蒸気下、約80℃で15分間加熱して硬化させ、第2のバインダー樹脂を含む、密度約40kg/m3、厚さ約6〜40mmの4つのクッション部材を得た。
得られたクッション部材は、各々、第1のバインダー樹脂(フェノール系樹脂またはポリエステル系樹脂)に第2のバインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂)が併せ付与されており、クッションの長期間の使用によって生じる負荷、すなわち繰り返し揺動に対し、従来の三次元構造体と比べ極めて高い耐久性(靭性)を示すものである。
図7を参照して、各々作製された靱性が付加されたクッション部材E1(最上層)、E1(中層)、E2(中層)、E3(最下層)を、実施例1,2と同様の手順に従って一体化させることによってクッション詰め物60となし、且つ全面を覆うようにポリエステル製のファスナー材(クラレ製マジックループAT8032K)で被覆し、クッションとした。このときのクッションのトータル重量は785g、密度は平均すると約45kg/m3であり、厚さと硬度の測定を行なったところ、厚さは代表点で86mm、35%圧縮時の硬度は375Nであった。
また実際にこのクッションに腰掛けて座り心地を調べてみたところ、バネ感に富んだ底つきも全く感じられないクッションであった。
このクッションを実施例1,2および比較例と全く同じ手法にて、5万回の繰り返し揺動試験にかけ、厚さと硬度の測定を行ったところ、厚さは代表点で82mm、35%圧縮時の硬度は310Nであった。この値は初期(繰り返し揺動試験前)の値を100としたとき、厚さは約95、硬度は約83であり、ともに低下率は20%以内に収まり、極めて長期耐久性に優れた(耐用の目安として3年以上の)クッションが得られた。
また実際にこの揺動試験後のクッションに腰掛けてその座り心地を調べてみたところ、実施例2と同様、初期に比べ、バネ感の変化もほとんど感じられず、底付きも全く感じられなかった。
なお、実施例1では、靭性が付加されたクッション部材を、従来からの炭素繊維三次元構造体(WEB−500に対し第1のバインダー樹脂としてポリウレタン系樹脂を付与したもの)と組み合わせて使用する場合を例示したが、この発明はこれに限定されるものでなく、従来から汎用されているクッション部材(例えばポリウレタン発泡体や、密度の異なるウレタン発泡体を数個組み合わせた部材、ポリエステル繊維集合体等)と、本発明にかかる靭性が付加されたクッション部材とを組み合わせて、クッションを形成することも可能である。このように構成しても、その長期間使用耐久性は向上する。
明細書中で用いられたDLW-3020等の基材の内容について、表2に要約する。
Figure 2006225771
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
航空機および鉄道を含む乗り物用の座席に用いられるクッションにおいてその長期間使用耐久性を向上させる炭素繊維系のクッション部材(炭素繊維を主繊維とする靱性が付加された繊維弾性体)とクッション作製の手段(各種クッション部材の組み合わせ方法およびクッション詰め物の被覆の方法)を提供する。従来の繊維系クッション部材(ポリエステル繊維集合体、炭素繊維三次元構造体等)は繰り返し揺動に対する耐久性の向上が最大の課題であった。特に炭素繊維系のクッション部材は耐熱性が高く、軽量であるため、航空機、鉄道車等の座席に適用した場合、安全性と環境性(燃料効率)の向上に寄与することが期待されている。本発明によって航空機、鉄道車両用等の座席に炭素繊維系クッション材が信頼して適用できる。また従来のポリウレタン発泡体やポリエステル繊維集合体等の汎用のクッション部材の耐熱性や長期間使用耐久性向上にも適用できる。
本発明の実施の形態にかかる繊維弾性体の概念図である。 本発明の実施の形態にかかる繊維弾性体の原理を説明するための図である。 実施例1にかかるクッションの断面図である。 クッションの使用態様の一例を示す図である。 比較例にかかるクッションの断面図である。 実施例2にかかるクッション詰め物の断面図である。 実施例3にかかるクッション詰め物の断面図である。
符号の説明
1 三次元構造体
2 第1のバインダー樹脂からなる結着点
3 第1のバインダー樹脂からなる不完全な結着点
4 自由繊維をつなぐ結着点
100 繊維弾性体

Claims (15)

  1. 繊維素材のうち50重量%以上が炭素繊維からなり、繊維と繊維との交点を第1のバインダー樹脂で結着している結着点を有する三次元構造体を備え、
    前記結着点を、前記第1のバインダー樹脂と同一又は性質の異なる第2のバインダー樹脂で補強していることを特徴とする繊維弾性体。
  2. 前記結着点を、前記第2のバインダー樹脂が被覆している、請求項1に記載の繊維弾性体。
  3. 繰り返し揺動試験5万回後の厚みの低下率と硬度の低下率が、初期の値に対してともに30%以内にされている、請求項1または2に記載の繊維弾性体。
  4. 繰り返し揺動試験5万回後の厚みの低下率と硬度の低下率が、初期の値に対してともに20%以内にされている、請求項3に記載の繊維弾性体。
  5. 前記第1のバインダー樹脂は、液状バインダー樹脂あるいは繊維状バインダー樹脂に由来し、前記第2のバインダー樹脂は後処理によって前記三次元構造体に付与された液状バインダー樹脂に由来する請求項1から4に記載の繊維弾性体。
  6. 前記第2のバインダー樹脂は、前記第1のバインダー樹脂より硬度が小さいか、又は伸びが大きい請求項1から5に記載の繊維弾性体。
  7. 前記第2のバインダー樹脂は、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂あるいはそれらの混合物を含む請求項1から6に記載の繊維弾性体。
  8. 請求項1から7に記載の繊維弾性体が、少なくとも一部分に適用されたクッション詰め物。
  9. 請求項1から7に記載の繊維弾性体が、クッションの揺動負荷がかかる上側に配置されている請求項8に記載のクッション詰め物。
  10. 請求項1から7に記載の繊維弾性体が、クッションの揺動負荷がかかる前記上側と反対の下側にも配置されている請求項9に記載のクッション詰め物。
  11. 請求項1から7に記載の繊維弾性体が、クッションの前記上側および下側以外の部分にも配置されている、請求項10に記載のクッション詰め物。
  12. 請求項8から11に記載のクッション詰め物を備え、該クッション詰め物の外面の少なくとも一部が表皮材で覆われてなるクッション。
  13. 前記表皮材は面ファスナーを含む請求項12に記載のクッション。
  14. 前記面ファスナーは、当該クッションの外面の全面に覆われている請求項13に記載のクッション。
  15. 当該クッションまたはクッション詰め物は、航空機および鉄道を含む乗り物用座席に用いられる、請求項8から14に記載のクッションまたはクッション詰め物。
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