JP2006224567A - 液体噴射ヘッドおよびそれに用いるフィルタ - Google Patents

液体噴射ヘッドおよびそれに用いるフィルタ Download PDF

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強 北原
Hiroshi Ito
浩 伊藤
Yutaka Kobayashi
豊 小林
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徹也 高本
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Abstract

【課題】フィルタの微視的な開口孔径のばらつきに起因する残留気泡のばらつきを解消し、液体に混入した気泡の吸引時の排出性を向上させた液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】液滴を噴射するヘッド本体1と、インクカートリッジ2からのインクを上記ヘッド本体1に導く第1インク流路5と、上記第1インク流路5に設けられてヘッド本体1に導くインクをろ過するフィルタ9とを備え、上記フィルタ9は、上記第1インク流路5の上流側空間18に臨むフィルタ面の周辺部にインク通過時の圧力損失が高い高圧損領域20を設け、上記周辺部の高圧損領域20に囲まれた部分に液体通過時の圧力損失が低い低圧損領域21を設けたことにより、微視的な開口孔径に多少のばらつきがあったとしても、液体を吸引すると上流側空間18に存在する気泡17が低圧損領域21から優先的に排出される。
【選択図】図4

Description

本発明は、液体カートリッジ等から供給された液体を液滴として噴射する液体噴射ヘッドに係るものであり、詳しくは液体中に混入した気泡の排出性に優れた液体噴射ヘッドおよびそれに用いるフィルタに関するものである。
液体噴射装置の代表例としては、画像記録用のインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置がある。その他の液体噴射装置としては、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置等があげられる。
上記液体噴射装置の代表例であるインクジェット式記録装置においては、圧力発生室を加圧する圧力発生手段と、加圧されたインクをインク滴として射出するノズル開口とを有するインクジェット式の記録ヘッド(液体噴射ヘッド)がキャリッジに搭載されて構成されている。
そして、上記記録ヘッドは、インクをインク滴として吐出するヘッド本体と、このヘッド本体に供給するインクが貯留されるインクカートリッジとを備えている。そして、上記記録ヘッドにインク供給針が設けられるとともに、インクカートリッジにインク供給口が設けられ、上記インク供給口に挿入されたインク供給針を介してヘッド本体にインクが補給されるように構成されている。
例えば、図14に示すように、上記記録ヘッドは、ヘッドホルダ10の下面に、印字信号に対応してインク滴を吐出するヘッド本体1が取り付けられ、上記ヘッドホルダ10の上部には、インクカートリッジ2が収容されるカートリッジケース12が設けられている。上記インクカートリッジ2は、その下面に、位置決め突部13が形成されるとともに、この位置決め突部13の下面に、インク供給口4が形成されている。このインク供給口4の開口は、インクカートリッジ2が記録ヘッドに装着されるまでは、フィルム14で封止されている。
一方、上記ヘッドホルダ10の上面には、上記位置決め突部13が嵌合する凹部11が形成され、この凹部11に、インク供給針3が立設されている。なお、図は、インクカートリッジ2を装着する前の状態を示している。
上記インク供給針3の先端部は、インク供給口4のフィルム14を容易に突き破れるように円錐状に形成されている。そして、先端の傾斜面の部分に、上下に貫通するインク誘導孔6が穿設されている。そして、インク供給針3の内部には、上記インク誘導孔6に連通する第1インク流路5が形成され、ヘッドホルダ10には、インク供給針3の第1インク流路5内に誘導されたインクをヘッド本体1に供給する第2インク流路7が形成されている。
上記第2インク流路7の入り口部分には、インクカートリッジ2から供給されたインクをろ過して異物をトラップするフィルタ9が設けられている。
そして、上記ヘッドホルダ10の下面には、上記第2インク流路7に連通する連通路8が形成されている。そして、この連通路8に導入されたインクは、ヘッド本体1に設けられたインク供給管16によってヘッド本体1内に供給されるようになっている。
上記記録ヘッドにおいて、インクカートリッジ2を装着する際、インク供給針3の先端が、インクカートリッジ2のインク供給口4を封止するフィルム14を突き破り、インク供給口4内にインク供給針3が挿通される。そして、インク供給針3のインク誘導孔6および第1インク流路5、第2インク流路7、連通路8を通って、インクカートリッジ2内のインクがヘッド本体1に供給される。
上記記録ヘッドは、インクカートリッジ2とともにキャリッジ(図示せず)に搭載され、上記キャリッジにより記録用紙の幅方向に往復動しながらヘッド本体1のノズルプレート15に設けられたノズル開口からインク滴を吐出して印刷を行い、印刷で消費されたインクは、インクカートリッジ2から第1および第2インク流路5,7を介してヘッド本体1に供給される。
上記記録ヘッドでは、インクカートリッジ2等から流入しうるφ10μm以上の異物をトラップする必要から、目の細かい金属メッシュのフィルタ9が用いられている。このような金属メッシュのフィルタ9は、流路抵抗が大きいため、インク吐出時の圧力損失をできるだけ小さくする必要があることから、フィルタ面積をできるだけ大きくすることが行われ、フィルタ9前の第1インク流路5はラッパ状の下広がりに拡径され、フィルタ9後の第2インク流路7は上広がりに拡径されている。
一方、図15に示すように、上記フィルタ9の上流側に位置する流路空間には、インクカートリッジ2等から流下してきた気泡17をトラップする空間としても機能している。上記のように、上記流路空間内に気泡17が残って大きく成長すると、吐出時のインクの流れで気泡17がフィルタ9を通過してヘッド本体1に流れ込み、正常にインク滴が吐出されないドット抜け等の吐出不良の原因となりやすい。また、フィルタ9を通過しないまでも、吐出時のインクの流れにより気泡17がフィルタ9に貼り付いて、フィルタ9の圧力損失が大きくなり、印字不良の原因となるおそれもある。
そこで、フィルタ9上流側の流路空間の気泡17は、定期的にノズルプレート15のノズル開口から強制的に吸引ポンプでインクを吸引することにより、インクとともに強制的にフィルタ9を通過させて吸引除去することが行われる。
特開2001−71525号
上記金属メッシュのフィルタ9は、一般に綾畳の細かい金網でほぼ均一な開口孔径のものが用いられるが、どうしても微視的な開口孔径のばらつきが避けられない。このような孔径ばらつきがあると、フィルタ9のフィルタ面において気泡17の抜ける場所がフィルタ9によって一定しないため、気泡17の排出度合いがフィルタ9によってばらつき、記録ヘッドごとに気泡17の排出性にばらつきが生じることとなり、同じ記録ヘッド内においてもフィルタ9ごとに気泡17の排出性にばらつきが生じ、同じように吸引動作を行ったとしてもフィルタ9上流側の流路空間に残留する気泡17の大きさにばらつきが生じることとなる。
このような現象は、図16に示すように、吸引時の気泡17の挙動に起因するものであり、吸引時のインクの流れによってフィルタ9に張り付いた気泡17は、フィルタ面のうち最も小さな圧力差で気泡17が抜けるポイント(例えばこの例で矢印で示す)からフィルタ9を通過し、ある程度(例えば図示で破線で示したところ)まで抜けてしまうと、あとは上記ポイントからインクだけが流れてそれ以上気泡17が抜けなくなってしまう。したがって、気泡の排出性をよくしようとして吸引ポンプの吸引力を高くしたとしても、気泡17は完全に抜けず、無駄なインクの消費が増えてしまうこととなる。このように、残留する気泡17の大きさにばらつきが生じると、結果的に製品の信頼性や安定性に悪影響を及ぼすこととなる。
一方、不織布フィルタのように圧力損失の低いフィルタを用いると、小さな圧力差でもインクがどんどん流れてしまうため、吸引で気泡を排出することがかえって困難になる。上記特許文献1記載の記録ヘッドにおいても、このようなフィルタ9の微視的な開口孔径のばらつきに起因する残留気泡のばらつきを抑えるまでには至っていない。このような事情から、フィルタ9の微視的な開口孔径のばらつきに起因する残留気泡のばらつきを解消することが強く望まれていた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、フィルタの微視的な開口孔径のばらつきに起因する残留気泡のばらつきを解消し、液体に混入した気泡の吸引時の排出性を向上させた液体噴射ヘッドおよびそれに用いるフィルタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の液体噴射ヘッドは、液滴を噴射するヘッド本体と、液体供給源からの液体を上記ヘッド本体に導く流路と、上記流路に設けられてヘッド本体に導く液体をろ過するフィルタとを備え、上記フィルタは、上記流路の上流側空間に臨むフィルタ面の周辺部に液体通過時の圧力損失が相対的に高い高圧損領域が設けられ、上記周辺部の高圧損領域に囲まれた部分に液体通過時の圧力損失が上記高圧損領域よりも相対的に低い低圧損領域が設けられていることを要旨とする。
また、本発明のフィルタは、液体供給源からの液体をヘッド本体に導く流路に設けられて液体をろ過する液体噴射ヘッド用のフィルタであって、上記流路の上流側空間に臨むフィルタ面の周辺部に液体通過時の圧力損失が相対的に高い高圧損領域が設けられ、上記周辺部の高圧損領域に囲まれた部分に液体通過時の圧力損失が上記高圧損領域よりも相対的に低い低圧損領域が設けられていることを要旨とする。
すなわち、本発明は、上記フィルタは、上記流路の上流側空間に臨むフィルタ面の周辺部に液体通過時の圧力損失が相対的に高い高圧損領域が設けられ、上記周辺部の高圧損領域に囲まれた部分に液体通過時の圧力損失が上記高圧損領域よりも相対的に低い低圧損領域が設けられている。このため、微視的な開口孔径に多少のばらつきがあったとしても、上流側空間に気泡が存在した状態で液体を吸引すると、気泡は優先的に低圧損領域からスムーズに排出される。すなわち、周辺部に設けられた高圧損領域とそれに囲まれるように設けられた低圧損領域との間に圧力損失に相対的な差がある。この状態から、上流側空間に気泡が存在した状態で液体を吸引すると、周囲に高圧損領域が存在することから、フィルタの上流側と下流側である程度の圧力差が生じて気泡がフィルタ側に流される。このとき、周囲の高圧損領域よりもそれに囲まれた低圧損領域において液体がよく流れることから、フィルタ側に押されてきた気泡は、低圧損領域に引き寄せられてフィルタに付着し、そのままフィルタに押し付けられる。このとき、周囲の高圧損領域よりもそれに囲まれた低圧損領域の方が低い圧力差で気泡が抜けることから、フィルタに付着した気泡は、低圧損領域からスムーズに下流側に抜けて排出される。
このように、上記高圧損領域や低圧損領域に微視的な開口孔径に多少のばらつきがあったとしても、気泡は低圧損領域からスムーズに抜けて排出されるのである。したがって、上流側空間に残留する気泡が小さくなってそのばらつきも少なくなり、製品の信頼性や安定性が向上する。また、小さな液流で確実に気泡を排出できるようになるため、気泡排出のための吸引動作で無駄に消費される液体量を節減し、有効に液体を使用できるようになる。さらに、廃液が少なくなる分それを貯めておく廃液タンクを小さくできるうえ、吸引動作のためのポンプ等の機器類も小さなものですむことから、装置自体の小型化にも有利である。
本発明において、上記高圧損領域および低圧損領域は、それぞれフィルタ面にフィルタの開口孔が複数開口するよう所定面積を有した領域として存在している場合には、上記高圧損領域および低圧損領域に微視的な開口孔径に多少のばらつきがあったとしても、気泡は低圧損領域からスムーズに抜けて排出される。
本発明において、上記高圧損領域はフィルタの有効孔径が相対的に小さい領域であり、上記低圧損領域はフィルタの有効孔径が上記高圧損領域よりも相対的に大きい領域である場合には、上記高圧損領域および低圧損領域に微視的な開口孔径に多少のばらつきがあったとしても、気泡は低圧損領域からスムーズに抜けて排出される。
本発明において、上記フィルタは、少なくとも上記フィルタ面が鉛直に対して略水平になるよう配置されている場合には、上流側空間の気泡が液流によってフィルタ側に流され、周囲の高圧損領域よりもそれに囲まれた低圧損領域の液流が強くなって、フィルタ側に押されてきた気泡が、低圧損領域に引き寄せられてフィルタに付着し、そのままフィルタに押し付けられ、低圧損領域からスムーズに下流側に抜けて排出される。このように、液流による気泡の排出がスムーズに行われるようになる。
本発明において、上記低圧損領域は、液体の流下によって気泡が上記フィルタ面に接触する位置の近傍に配置されている場合には、吸引等によって液体の流下が開始されると、上流側空間の上部に滞留していた気泡が液流に押されてフィルタ面に接触するが、そこに低圧損領域を設けることにより、よりスムーズな気泡の排出が実現する。
本発明において、上記流路の上流側空間は、上記フィルタ面から上流側に向けて先すぼまり状に縮径された空間であり、上記低圧損領域は、上流側空間の縮径部に対面するよう上記フィルタ面の中央部に設けられている場合には、液流がほとんどない状態では気泡が上流側空間で上部の縮径部近傍に存在することが多いことから、上記低圧損領域を上記縮径部に対面するフィルタ面の中央部に設けることにより、吸引による液流が発生したときに縮径部近傍の気泡がスムーズにフィルタ面中央部の低圧損領域に付着し、よりスムーズな気泡の排出が実現する。
本発明において、上記流路の上流側空間は、上記フィルタ面から上流側に向けて先すぼまり状に縮径された空間であり、上記低圧損領域は、上記フィルタ面の中心を挟んで上流側空間の縮径部とは反対側に位置するよう設けられている場合には、縮径部がフィルタ面の中央と対面した位置に存在せず、フィルタ面の中心からずれた位置にあるときは、液流はフィルタ面の中心でフィルタ面に直交するように流れるのではなく、縮径部からフィルタ面の中心部を挟んだ反対側に向かう方向に流れるようになる。したがって、液流がほとんどない状態で縮径部近傍に存在した気泡は、吸引による液流が発生したときに縮径部近傍から、フィルタ面の中心を挟んで縮径部とは反対側に位置する低圧損領域にスムーズに付着し、よりスムーズな気泡の排出が実現する。
本発明において、フィルタ面に開口穴を有する相対的に有効孔径が小さい板状の第1フィルタと、上記第1フィルタよりも相対的に有効孔径が大きい板状の第2フィルタとが積層されて構成され、上記第1フィルタの開口穴以外の領域が高圧損領域であり、上記開口穴から第2フィルタが露出した領域が低圧損領域である場合には、有効孔径の異なる第1フィルタと第2フィルタとを組み合わせることにより容易に本発明のフィルタを得ることができ、極めて低コストで気泡の排出性を向上させることができる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明の液体噴射ヘッドが適用されるインクジェット式の記録ヘッドを利用した記録装置の周辺構造の一例を示す図である。この装置は、上部に液体供給源としてのインクカートリッジ2が搭載され、インク滴を噴射するヘッド本体1が下面に取り付けられたキャリッジ25と、上記ヘッド本体1を封止等するキャッピング装置26とを備えている。
上記キャリッジ25は、タイミングベルト27を介してステッピングモータ28に接続され、ガイドバー29に案内されて記録用紙30の紙幅方向に往復移動するようになっている。また、上記キャリッジ25には、記録用紙30と対向する面(この例では下面)に、ヘッド本体1が取り付けられている。そして、このヘッド本体1にインクカートリッジ2からインクが供給され、キャリッジ25を移動させながら記録用紙30上面にインク滴を吐出させて記録用紙30に画像や文字をドットマトリックスにより印刷するようになっている。
上記キャッピング装置26は、キャリッジ25の移動範囲内の非印刷領域に設けられ、印刷休止中にヘッド本体1のノズル開口を封止することによりノズル開口の乾燥をできるだけ防ぐようになっている。また、上記キャッピング装置26でノズル開口を封止した状態で、吸引ポンプ44でキャップ内に負圧与えることにより、ノズル開口から強制的にインクを吸引し、ノズル開口の目詰まりを回復したり、後述するように気泡を排出したりするようになっている。
図2は、本発明の記録ヘッドの構造を示す断面図である。この記録ヘッドは、基本的には図11に示すものと同様であり、以下同様の部分には、同じ符号を用いて説明する。上記記録ヘッドは、ヘッド本体1と、このヘッド本体1に供給するインクを貯留するインクカートリッジ2とを備えている。そして、上記記録ヘッドにインク供給針3が設けられるとともに、インクカートリッジ2にインク供給口4が設けられ、上記インク供給口4に挿入されたインク供給針3を介してヘッド本体1にインクが補給されるようになっている。
より詳しく説明すると、上記記録ヘッドは、ヘッドホルダ10の下面に、印字信号に対応してインク滴を吐出するヘッド本体1が取り付けられ、上記ヘッドホルダ10の上部には、インクカートリッジ2が収容されるカートリッジケース12が設けられている。上記インクカートリッジ2は、その下面に、位置決め突部13が形成されるとともに、この位置決め突部13の下面に、インク供給口4が形成されている。このインク供給口4の開口は、インクカートリッジ2が記録ヘッドに装着されるまでは、フィルム14で封止されている。
一方、上記ヘッドホルダ10の上面には、上記位置決め突部13が嵌合する凹部11が形成され、この凹部11に、インク供給針3が立設されている。なお、図は、インクカートリッジ2を装着する前の状態を示している。
上記インク供給針3の先端部は、インク供給口4のフィルム14を容易に突き破れるように円錐状に形成されている。そして、先端の傾斜面の部分に、上下に貫通するインク誘導孔6が穿設されている。そして、インク供給針3の内部には、上記インク誘導孔6に連通する第1インク流路5が形成され、ヘッドホルダ10には、インク供給針3の第1インク流路5内に誘導されたインクをヘッド本体1に供給する第2インク流路7が形成されている。上記第1インク流路5と第2インク流路7とで、インクカートリッジ2からのインクをヘッド本体1に導く本発明の流路を形成している。
上記第1インク流路5はラッパ状の下広がりに拡径され、第2インク流路7は上広がりに拡径されている。そして、上記第1インク流路5の出口と第2インク流路7の入口とのつなぎ目の部分には、インクカートリッジ2から供給されて第1および第2インク流路5,7を通過するインクをろ過して異物をトラップするフィルタ9が設けられている。
すなわち、上記フィルタ9よりも上流側の第1インク流路5は、フィルタ面から上流側に向けて先すぼまり状に縮径された上流側空間18を構成し、この上流側空間18が、インクカートリッジ2の着脱時にインクカートリッジ2や流路内に混入した気泡17をトラップする空間として機能している。また、上記第1および第2インク流路5,7が、フィルタ9が設けられている部分で拡径されているため、フィルタ9の有効面積を大きくでき、インク吐出時の圧力損失をある程度小さくできる。
図3に示すように、本発明では、上記フィルタ9として、フィルタ面に円形の開口穴19を有する有効孔径が小さい円板状の第1フィルタ9Aと、有効孔径が大きい円板状の第2フィルタ9Bとが積層され、第2フィルタ9B側から見ると上記第1フィルタ9Aの開口穴19を第2フィルタ9Bが覆い、第1フィルタ9A側から見ると上記開口穴19から第2フィルタ9Bが露出するように構成されている。上記第1フィルタ9Aの有効孔径は第2フィルタ9Bの有効孔径よりも相対的に大きくなるように設定されている。
このように、開口穴19を有する円板状の第1フィルタ9Aとこの第1フィルタ9Aと同じ大きさの円板状に形成された開口穴のない第2フィルタ9Bとが積層されることにより、第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bが重なった開口穴19以外の周辺部の領域は、有効孔径が小さい第1フィルタ9Aの上記有効孔径が作用して液体通過時の圧力損失が高い高圧損領域20になっている。また、第1フィルタ9Aの開口穴19の部分は、有効孔径が大きい第2フィルタ9Bしかないので、第2フィルタ9Bの上記有効孔径が作用して液体通過時の圧力損失が低い低圧損領域21になっている。
このような構成により、上記フィルタ9は、上記流路の上流側空間18に臨むフィルタ面の周辺部に高圧損領域20が設けられ、上記周辺部の高圧損領域20に囲まれた部分に低圧損領域21が設けられている。そして、上記高圧損領域20および低圧損領域21は、それぞれフィルタ面にフィルタの開口孔(メッシュ孔)が複数開口するよう所定面積を有した領域として存在している。
また、上記第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bは、第1フィルタ9Aが第2フィルタ9Bの上流側に位置するように、インク供給針3の根元部に設けられ、上流側空間18に露出した部分が有効なフィルタ面として機能する。この例では上記有効なフィルタ面は円形であり、その有効径は図にFで示した径である。また、上記フィルタは、少なくとも上記上流側空間18に露出したフィルタ面が鉛直に対して略水平になるよう配置されている。
上記第1フィルタ9Aとしては、例えば、金属メッシュ,焼結金属,セラミックス焼結体等のフィルタに、円形の開口穴19を設けたものを用いることができ、インクカートリッジ2から流入するφ10μm以上の異物を確実にトラップできる、目の細かい金属メッシュのものが好適に用いられる。一方、上記第2フィルタ9Bとしては、インク中の異物をトラップしうるものであれば、特に限定するものではなく、各種のものを用いることができる。例えば、金属メッシュ,焼結金属,セラミックス焼結体,ガラスウール,ガラスウールメンブラン等各種のものを用いることができる。
このように、フィルタ面に開口穴19を有する有効孔径が小さい板状の第1フィルタ9Aと、上記開口穴19を覆う有効孔径が大きい板状の第2フィルタ9Bとを積層することによりフィルタ9を構成し、上記第1フィルタ9Aの開口穴19以外の領域を高圧損領域20に、上記開口穴19から第2フィルタ9Bが露出した領域を低圧損領域21に形成したことから、有効孔径の異なる第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bとを組み合わせることにより容易に本発明のフィルタ9を得ることができ、極めて低コストで気泡の排出性を向上させることができる。
上記第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bは、積層された状態で接合されている。第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bの接合部の接合状態は、特に限定するものではなく、各種の接合態様のものを採用することができる。
例えば、上記第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bとを焼結により接合したものとすることができる。すなわち、上記第2フィルタ9Bとして焼結金属や焼結セラミックスのような焼結フィルタを用い、第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bを焼結により接合されたフィルタとすることにより、第2フィルタ9Bを焼結で形成する工程と、第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bを接合する接合工程とを同時に行うことができるため、生産効率やエネルギ効率よく本発明のフィルタ9を得ることができる。このとき、焼結フィルタである第2フィルタ9Bと焼結で接合される第1フィルタ9Aとしては、焼結フィルタと焼結で接合されうるものであれば、第2フィルタ9Bと同様に焼結フィルタを用いてもよいし、金属メッシュフィルタを用いることもできる。
また、上記第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bとを溶接により接合したものとすることができる。すなわち、上記第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bが少なくとも上記第1フィルタ9Aの開口穴19の内周部で溶接されることにより接合されたものとすることができる。また、第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bをフィルタ9の外周部で溶接して接合したものとすることができる。さらに、第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bをフィルタ9の内周部と外周部との双方で溶接して接合したものとすることもできる。
このように溶接で接合したものとすることにより、第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bとを確実に接合したフィルタ9とすることができる。特に、少なくともフィルタ9の内周部で溶接して接合したものとすることにより、必要最小限の溶接で第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bが接合されたフィルタ9を得ることができる。上記のように、溶接により第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bを接合する場合、開口穴19の内周部やフィルタ9の外周部の全周にわたって溶接してもよいし、複数箇所を部分的に溶接するようにしてもよい。
そして、上記ヘッドホルダ10の下面には、上記第2インク流路7に連通する連通路8が形成されている。そして、この連通路8に導入されたインクは、ヘッド本体1に設けられたインク供給管16によってヘッド本体1内に供給されるようになっている。
つぎに、インク供給針3の内部空間すなわち上流側空間18を含む第1インク流路5や第2インク流路7と、フィルタ9の低圧損領域21の位置関係について説明する。
図4は、インク供給針3とフィルタ9の配置構造の第1例を示す図である。この例では、インク供給針3およびその内部空間である上流側空間18を含む第1インク流路5がその中心軸Cに対して対称に形成されており、上流側空間18を含む第1インク流路5の中心軸Cとフィルタ9の有効フィルタ面の中心Cとが一致している。
この場合、上記低圧損領域21は、上流側空間18の縮径部に対面するようフィルタ面の中央部に設けられ、その中心Cが上流側空間18を含む第1インク流路5の中心軸Cとフィルタ9の有効フィルタ面の中心Cと一致するように配置される。これにより、上記低圧損領域21は、インクの流下によって気泡が上記フィルタ面に接触する位置の近傍に配置されることとなる。
図5および図6は、インク供給針3とフィルタ9の配置構造の第2例を示す図である。この例では、インク供給針3およびその内部空間である上流側空間18を含む第1インク流路5がその中心軸Cに対して非対称に形成されている。そして、上流側空間18を含まない第1インク流路5の中心軸Crとフィルタ9の有効フィルタ面の中心Cとがずれている。そして、第2インク流路7は、フィルタ9の中心Cから第1インク流路5の中心軸Crがずれた方向とは反対の方向に傾斜するように延びている。
ヘッド本体1のノズル開口からインク供給針3までの距離が遠くなると、上記フィルタ9の中心Cから上流側空間18の先すぼまりの縮径部の中心軸Crとのずれ量が大きくなり、反対に、ヘッド本体1のノズル開口からインク供給針3までの距離が近いほど図4に近い構造となる。
この第2例では、上記低圧損領域21は、上記フィルタ面の中心Cを挟んで上流側空間18の縮径部とは反対側に位置するよう設けられ、低圧損領域21の中心Cfが、フィルタ9の有効フィルタ面の中心Cを挟んで上流側空間18の縮径部の中心Crとは反対側に位置するように配置される。低圧損領域21の中心Cfと有効フィルタ面の中心Cとのずれ量は、有効フィルタ面の中心Cと上流側空間18の縮径部の中心Crとのずれ量とほぼ等しくなるように設定される。これにより、上記低圧損領域21は、インクの流下によって気泡が上記フィルタ面に接触する位置の近傍に配置されることとなる。
つぎに、上記記録ヘッドの作用について説明する。
図7および図8は、図4に示す記録ヘッドの作用を説明する図である。この記録ヘッドでは、上述したように、上記フィルタ9の上流側空間18が、インクカートリッジ2の着脱時等に流路内に混入した気泡17をトラップする空間として機能する。上記気泡17が大きく成長してヘッド本体1に流れ込んだりフィルタ9に貼り付いたりすると印字不良の原因になるため、定期的にキャッピング装置26を使用してノズル開口から強制的にインクを吸引して気泡17も強制的に排出することが行われる。
図7に示すように、吸引開始前は、気泡17は上流側空間の先窄まり状の縮径部に存在する。この状態から吸引を開始すると、インクの流れ(矢印で示す)が生じ、フィルタ9の圧力損失によりフィルタ9の上流側と下流側で圧力差が生じる。この圧力差とインクの流れによって、気泡17は縮径部からフィルタ9側に押されて下降を開始し、やがて図8に示すように、フィルタ9のフィルタ面の中央部(縮径部と対面する箇所である)に付着して扁平状に変形する。気泡17が低圧損領域21を覆うまで変形すると、フィルタ9の上流側と下流側の圧力差が急激に上昇する。このとき、高圧損領域20よりも低圧損領域21の方が、有効孔径が大きいため、上流側と下流側の圧力差が低い段階で気泡17が下流側に通過するのである。
このとき、フィルタ面の中央部に低圧損領域21を設けたことから、フィルタ9の高圧損領域20と低圧損領域21とでインクの流速に差ができ、フィルタ面の中央部において液流が強くなる。このようなフィルタ面の中央部と周辺部との液流の強さの差により、上部に浮かんでいた気泡17は液流の強い中央部の低圧損領域21に引き寄せられて最初に付着する。
このように、上記フィルタ9の上記フィルタ面を鉛直に対して略水平になるよう配置したことから、上流側空間18の気泡17が液流によってフィルタ9側に流され、周囲の高圧損領域20よりもそれに囲まれた低圧損領域21の液流が強くなって、フィルタ9側に押されてきた気泡17が、低圧損領域21に引き寄せられてフィルタ9に付着し、そのままフィルタ9に押し付けられ、低圧損領域21からスムーズに下流側に抜けて排出され、液流による気泡17の排出がスムーズに行われるようになる。
そして、上記流路の上流側空間18は、上記フィルタ面から上流側に向けて先すぼまり状に縮径された空間であり、上記低圧損領域21は、上流側空間18の縮径部に対面するよう上記フィルタ面の中央部に設けたことから、液流がほとんどない状態では気泡が上流側空間18で上部の縮径部近傍に存在することが多いことから、上記低圧損領域21を上記縮径部に対面するフィルタ面の中央部に設けることにより、吸引による液流が発生したときに縮径部近傍の気泡がスムーズにフィルタ面中央部の低圧損領域21に付着し、よりスムーズな気泡の排出が実現する。
このように、上記低圧損領域21が、インクの流下によって気泡17が上記フィルタ面に接触する位置の近傍に配置されているため、吸引等によってインクの流下が開始されると、上流側空間18の上部に滞留していた気泡17が液流に押されてフィルタ面に接触するが、そこに低圧損領域21を設けることにより、よりスムーズな気泡の排出が実現する。
また、上記記録ヘッドでは、上記フィルタ9は、開口穴19を有する第1フィルタ9Aが上流側空間18に臨むように配置したことから、上流側空間の縮径部から液流に押されて低圧損領域21に付着して扁平に変形した気泡17が、第1フィルタ9Aの開口穴19周縁の段差の存在により、高圧損領域20の方にはみ出ることがある程度防止され、低圧損領域21から気泡17がよりスムーズに排出できる。また、フィルタ9の下流側の第2インク流路7側に臨む面に段差を存在させないことにより、フィルタ9を通過した気泡17が崩れて小さな気泡がフィルタ9に引っかかって残るようなトラブルを未然に防止できる。
図9および図10は、図5に示す記録ヘッドの作用を説明する図である。この記録ヘッドでは、図9に示すように、吸引開始前は、気泡17は上流側空間の先窄まり状の縮径部に存在する。このとき、上述したように、フィルタ面の中心Cと気泡17が存在する縮径部の中心Crとにずれがある。
この状態から吸引を開始すると、上記低圧損領域21の中心Cfを上記フィルタ面の中心Cを挟んで上流側空間の縮径部の中心Crとは反対側に配置し、第2インク流路7がフィルタ9の中心Cから縮径部の中心軸Crがずれた方向とは反対の方向に傾斜していることから、インクの流れ(矢印で示す)は、縮径部からフィルタ面の中心部を挟んで反対側に向かって斜め方向に流れるようになる。この状態で、高圧損領域20と低圧損領域21とでインクの流速に差ができて斜め方向の液流が強くなるため、縮径部に浮かんでいた気泡17は液流の強い低圧損領域21に引き寄せられて最初に付着する。
このように、上記低圧損領域21は、上記フィルタ面の中心Cを挟んで上流側空間18の縮径部とは反対側に位置するよう設けられているため、縮径部がフィルタ面の中央と対面した位置に存在せず、フィルタ面の中心からずれた位置にある構造において、液流はフィルタ面の中心でフィルタ面に直交するように流れるのではなく、縮径部からフィルタ面の中心部を挟んだ反対側に向かう方向に流れるようになる。したがって、液流がほとんどない状態で縮径部近傍に存在した気泡17は、吸引による液流が発生したときに縮径部近傍から、フィルタ面の中心を挟んで縮径部とは反対側に位置する低圧損領域21にスムーズに付着し、よりスムーズな気泡の排出が実現する。
上記のようなフィルタ9は、例えば、つぎのようにしてつくることができる。
上記フィルタ9は、相対的に有効孔径が小さい第1フィルタ9Aとなる第1シート31と、上記第1フィルタ9Aよりも相対的に有効孔径が大きい第2フィルタ9Bとなる第2シート32とを準備し、下記の工程(1)〜(4)を行うことにより、開口穴を有する第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bとが積層されたフィルタ9を得るものである。
(1)上記第1シート31に開口穴19を穿設する穿設工程
(2)上記開口穴19が穿設された第1シート31に対し、少なくとも上記開口穴19とその周辺を含む領域に第2シート32を積層して積層体33を形成する積層工程
(3)上記積層体33の少なくともフィルタ9となる領域Fe内において、第1シートと第2シートを接合する接合工程
(4)上記接合された積層体33の積層部分において、上記開口穴19を含んだフィルタ9となる領域Feを打ち抜く打抜工程
図11〜13は本発明のフィルタの製造方法の一例を示す図である。
この例は、第1フィルタ9Aとして金属メッシュフィルタ、第2フィルタ9Bとして焼結フィルタを用いたものである。また、帯状の第1シート31と帯状の第2シート32とを使用し、各工程において、帯状の第1シート31や第2シート32ならびに積層体33を長手方向に順送りしながら連続的に処理する場合を説明する。
図11は、穿設工程を説明する図である。帯状の金属メッシュである第1シート31を準備し、この第1シート31を長手方向に一定のピッチで順送りしながらプレス装置23により一定間隔で開口穴19を穿設する。また、上記プレス装置23によるプレス時に、開口穴19を穿設するのと同時に、上記第1シート31の側端近傍に位置決め穴34を穿設する。
上記プレス装置23は上型22と下型24とを備えて構成されている。上型22には開口穴19を穿設するための第1ポンチ22Aと、位置決め穴34を穿設するための2本(図では1つしか見えていない)の第2ポンチ22Bが下向きに配置されている。下型24には、上記第1ポンチ22Aおよび第2ポンチ22Bにそれぞれ対応するダイス穴24A,24Bが形成されている。
上記上型22と下型24の間に第1シート31を配置し、長手方向に一定ピッチで順送りしながら、上記上型22と下型24でプレス加工を行うことにより、開口穴19と2つの位置決め穴34とが、同じプレス装置による1回のプレス加工により同時に穿設加工されるようになっている。
この加工により、上記開口穴19は帯状の第1シート31の幅方向の中央部近傍に、長手方向に一定のピッチ間隔で並ぶように配置され、上記位置決め穴34は、長手方向において各開口穴19の間で、第1シートの幅方向における両側端部に上記一定のピッチ間隔で並ぶように配置される。また、上記開口穴19は円形に、位置決め穴34は四角形に形成される。
上記位置決め穴34は、後述する打抜き工程において順送りするための位置決め穴であるとともに、打抜き工程においてフィルタ9の打抜き位置を決めるための位置決め穴も兼ねている。
図12は、積層工程を説明する図である。この積層工程は、上記開口穴19が穿設された第1シート31に焼結のグリーンシートである第2シート32を積層して積層体33とする。すなわち、帯状の第1シート31を長手方向に送るとともに、帯状の第2シート32を長手方向に送りながら供給して上記第1シート31の上面に載置する。このとき、第2シート32は、第1シート31の位置決め穴34の列が存在する両側端部を避けた中央よりの部分に配置される。この状態で、第2シート32が、列状の各開口穴19が覆うとともに、上記開口穴19周辺のフィルタとなる領域Fe(図13参照)をカバーするようになっている。言い換えると、上記第2シート32の幅寸法は、少なくともフィルタ9の径よりも大きな寸法に設定され、上記第1シート31の幅寸法は、第2シートの幅寸法よりも位置決め穴34を形成させる分だけ幅広に設定されている。
つぎに、上記積層体33の第1シート31と第2シートを接合する接合工程を行う。この例では、上記第1シート31は金属メッシュであり、上記第2シート32は焼結用のグリーンシートである。そして、第1シート31に対して第2シート32を積層した積層体33を、焼結炉に入れて所定時間加熱して焼結することにより、グリーンシートである第2シート32を焼結するのと同時に、第1シート31と第2シート32を接合することが行われる。この接合工程における焼結は、バッチ炉で行ってもよいし、連続炉において積層体33を長手方向に送りながら連続的に行ってもよい。
このように、上記第2シート32は焼結用のグリーンシートであり、第1シート31に対して第2シートを積層したのち、焼結することにより第1シート31と第2シート32を接合するため、第2シート32がグリーンシートであることから、帯状の第1シート31に帯状の第2シート32を積層する積層工程を連続的に行うことが容易になる。このため、順送りの穿設工程と連続して積層工程を行うことにより、生産性の向上を図ることができる。しかも、グリーンシートを焼結する工程と第1シート31と第2シート32を接合する接合工程とを同時に行うことができるため、生産効率やエネルギ効率がよい。
図13は、打抜き工程を説明する図である。この打抜き工程は、上記接合工程で第1シート31と第2シート32が接合された積層体33を長手方向に一定のピッチで順送りしながら打抜き装置35によりフィルタ9となる領域Feを打ち抜くことが行われる。
上記打抜き装置35は上型36と下型37とを備えて構成されている。上型36にはフィルタ9を打抜くためのポンチ36Aが下向きに配置され、下型37には、上記ポンチ36Aに対応するダイス穴37Aが形成されている。上記上型36と下型37の間に積層体33を配置し、長手方向に一定ピッチで順送りしながら、上記上型36と下型37でプレス加工を行って、フィルタ9の外周部分を打抜くことにより、フィルタ9を打抜き形成するようになっている。図において39はフィルタ9を打抜くことによって形成された抜き穴である。
上記打抜き工程では、上記位置決め穴34を順送りするための位置決め穴として順送りが行われる。したがって、順送りの送りピッチは、穿設工程での送りピッチと同一になり、開口穴19を穿設したピッチでフィルタ9の打抜きを行うことができる。また、下型37に形成された位置決め突部38と上記位置決め穴34を嵌合させた状態で打抜きを行うことにより、上記位置決め穴34によりフィルタ9の打抜き位置を決めて打抜くようになっている。そして、この例では、打抜かれたフィルタ9の中心に開口穴19が位置するよう、開口穴19外側の同心円状の外周部を打抜く。
このようにすることにより、図3に示す本発明のフィルタ9を得ることができる。開口穴19がフィルタ9の中心からずれた位置に配置されたフィルタ(図5参照)をつくる場合は、上記位置決め穴34に対する打ち抜き位置を調節し、開口穴19の中心と打抜き円の中心位置をずらせて打抜くことが行われる。
このように、本発明の製造方法では、開口穴19の穿設工程およびフィルタ9の打抜工程を順送りによる連続処理で行い、優れた生産性でフィルタ9を得ることができる。また、上記積層工程、接合工程、打抜き工程を順送りの連続工程とすることによりさらに生産性が向上する。
また、上記穿設工程において、開口穴19と位置決め穴34を同じプレス工程で同時に形成することから、開口穴19と位置決め穴34との位置精度が確保される。このようにして形成された上記位置決め穴34を、打抜き工程において順送りするための位置決め穴とすることにより、打抜き工程において上記位置決め穴34で第1シート31を順送りする際に、開口穴19と位置決め穴34との位置精度が確保されていることから、順送りの際の開口穴19の位置精度が確保され、打抜き精度を確保することができる。さらに、上記位置決め穴34は、打抜き工程において打抜き位置を決めるための位置決め穴であるため、打抜き工程において上記位置決め穴34で打抜き位置を決める際に、開口穴19と位置決め穴34との位置精度が確保されていることから、打抜きの際のフィルタ9に対する開口穴19の位置精度が確保され、打抜き精度を確保することができる。さらに、上記積層工程は、第1シート31の位置決め穴34が存在する側端部を避けた部分に第2シート32を積層するため、第2シート32の存在が位置決め穴34の精度に影響しないため、積層体33の積層部を打抜く際の打抜き精度を確保することができる。
なお、上述した例では、第2シート32を焼結用のグリーンシートとし、第1シート31に金属メッシュを用いた例を示したが、第2シート32に焼結用のグリーンシートを用いるとともに、第1シート31も焼結用のグリーンシートを用いることもできる。
以上のように、本発明によれば、微視的な開口孔径に多少のばらつきがあったとしても、上流側空間18に気泡17が存在した状態でインクを吸引すると、気泡17は優先的に低圧損領域21からスムーズに排出される。すなわち、周辺部に設けられた高圧損領域20とそれに囲まれるように設けられた低圧損領域21との間に圧力損失に相対的な差がある。この状態から、上流側空間18に気泡17が存在した状態でインクを吸引すると、周囲に高圧損領域20が存在することから、フィルタ9の上流側と下流側である程度の圧力差が生じて気泡17がフィルタ9側に流される。このとき、周囲の高圧損領域20よりもそれに囲まれた低圧損領域21においてインクがよく流れることから、フィルタ9側に押されてきた気泡17は、低圧損領域21に引き寄せられてフィルタ9に付着し、そのままフィルタ9に押し付けられる。このとき、周囲の高圧損領域20よりもそれに囲まれた低圧損領域21の方が低い圧力差で気泡が抜けることから、フィルタ9に付着した気泡は、低圧損領域21からスムーズに下流側に抜けて排出される。
このように、上記高圧損領域20や低圧損領域21に微視的な開口孔径に多少のばらつきがあったとしても、気泡は低圧損領域21からスムーズに抜けて排出されるのである。したがって、上流側空間18に残留する気泡17が小さくなってそのばらつきも少なくなり、製品の信頼性や安定性が向上する。また、小さな液流で確実に気泡17を排出できるようになるため、気泡17排出のための吸引動作で無駄に消費されるインク量を節減し、有効にインクを使用できるようになる。さらに、廃液が少なくなる分それを貯めておく廃液タンクを小さくできるうえ、吸引動作のためのポンプ等の機器類も小さなものですむことから、装置自体の小型化にも有利である。
また、上記各実施の形態では、上記フィルタ9として、第1フィルタ9Aと第2フィルタ9Bをそれぞれ1枚づつ積層して構成した例を示したが、これに限定するものではなく、第1フィルタ9Aを2枚以上設けたり、第2フィルタ9Bを2枚以上設けたりして、合計で3枚以上を積層したフィルタ9とすることもできる。また、周辺部に高圧損領域20を設け、それに囲まれた部分に低圧損領域21が存在していれば、複数積層した構造とするものに限定するものではない。これらの場合も、同様の作用効果を奏する。
本発明の記録ヘッドが適用される記録装置の一例を示す斜視図である。 本発明の記録ヘッドを示す断面図である。 本発明のフィルタの一例を示す図である。 本発明の記録ヘッドの要部を示す断面図である。 本発明の記録ヘッドの要部を示す断面図である。 フィルタと低圧損領域とインク供給針の位置関係を示す図である。 本発明の記録ヘッドの作用を説明する図である。 本発明の記録ヘッドの作用を説明する図である。 本発明の記録ヘッドの作用を説明する図である。 本発明の記録ヘッドの作用を説明する図である。 本発明のフィルタの製造方法の第1例を示す工程図である。 本発明のフィルタの製造方法の第1例を示す工程図である。 本発明のフィルタの製造方法の第1例を示す工程図である。 従来の記録ヘッドを示す断面図である。 上記従来の記録ヘッドの作用を示す断面図である。 上記従来の記録ヘッドの作用を示す断面図である。
符号の説明
1 ヘッド本体, 2 インクカートリッジ,3 インク供給針,4 インク供給口,5 第1インク流路,6 インク誘導孔,7 第2インク流路,8 連通路,9 フィルタ,9A 第1フィルタ,9B 第2フィルタ,10 ヘッドホルダ,11 凹部,12 カートリッジケース,13 位置決め突部,14 フィルム,15 ノズルプレート,16 インク供給管,17 気泡,18 上流側空間,19 開口穴,20 高圧損領域,21 低圧損領域,22 上型,22A 第1ポンチ,22B 第2ポンチ,23 プレス装置,24 下型,24A,24B ダイス穴,25 キャリッジ,26 キャッピング装置,27 タイミングベルト,28 ステッピングモータ,29 ガイドバー,30 記録用紙 31 第1シート,32 第2シート,33 積層体,34 位置決め穴,35 打抜き装置,36 上型,36A ポンチ,37 下型,37A ダイス穴,38 位置決め突部,39 抜き穴,44 吸引ポンプ,

Claims (9)

  1. 液滴を噴射するヘッド本体と、液体供給源からの液体を上記ヘッド本体に導く流路と、上記流路に設けられてヘッド本体に導く液体をろ過するフィルタとを備え、上記フィルタは、上記流路の上流側空間に臨むフィルタ面の周辺部に液体通過時の圧力損失が相対的に高い高圧損領域が設けられ、上記周辺部の高圧損領域に囲まれた部分に液体通過時の圧力損失が上記高圧損領域よりも相対的に低い低圧損領域が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 上記高圧損領域および低圧損領域は、それぞれフィルタ面にフィルタの開口孔が複数開口するよう所定面積を有した領域として存在している請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 上記高圧損領域はフィルタの有効孔径が相対的に小さい領域であり、上記低圧損領域はフィルタの有効孔径が上記高圧損領域よりも相対的に大きい領域である請求項2記載の液体噴射ヘッド。
  4. 上記フィルタは、少なくとも上記フィルタ面が鉛直に対して略水平になるよう配置されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 上記低圧損領域は、液体の流下によって気泡が上記フィルタ面に接触する位置の近傍に配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 上記流路の上流側空間は、上記フィルタ面から上流側に向けて先すぼまり状に縮径された空間であり、上記低圧損領域は、上流側空間の縮径部に対面するよう上記フィルタ面の中央部に設けられている請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  7. 上記流路の上流側空間は、上記フィルタ面から上流側に向けて先すぼまり状に縮径された空間であり、上記低圧損領域は、上記フィルタ面の中心を挟んで上流側空間の縮径部とは反対側に位置するよう設けられている請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
  8. 液体供給源からの液体をヘッド本体に導く流路に設けられて液体をろ過する液体噴射ヘッド用のフィルタであって、上記流路の上流側空間に臨むフィルタ面の周辺部に液体通過時の圧力損失が相対的に高い高圧損領域が設けられ、上記周辺部の高圧損領域に囲まれた部分に液体通過時の圧力損失が上記高圧損領域よりも相対的に低い低圧損領域が設けられていることを特徴とするフィルタ。
  9. フィルタ面に開口穴を有する相対的に有効孔径が小さい板状の第1フィルタと、上記第1フィルタよりも相対的に有効孔径が大きい板状の第2フィルタとが積層されて構成され、上記第1フィルタの開口穴以外の領域が高圧損領域であり、上記開口穴から第2フィルタが露出した領域が低圧損領域である請求項8記載のフィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN106985537A (zh) * 2015-11-26 2017-07-28 精工爱普生株式会社 液体喷射装置以及液体喷射方法

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