JP2006224036A - 光触媒及び光触媒反応方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 窒素含有有機化合物などの光触媒反応を効率よく行うことができる、新規な光触媒及び光触媒反応方法を提供する。
【解決手段】 半導体ナノ粒子からなるコア12と、コア12を空隙13を介して覆うシェル14と、を備え、シェル14内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体からなる光触媒10であって、基質と光触媒とによる光触媒反応(但し、メタノールを基質とした脱水素化反応を除く)を、半導体ナノ粒子への光照射で発生する電子及び/又は正孔により生起させる。半導体ナノ粒子及び触媒ナノ粒子が直接接合した、2つ以上の異なるナノ粒子複合体からなるコアを用いてもよい。この光触媒を用いた光触媒反応によれば、例えば、ニトロベンゼンから医用中間体として有用なアゾキシベンゼンを選択的に合成することができる。
【選択図】 図5

Description

本発明は、有機合成反応、光合成、グリーンケミストリーに利用可能な、光触媒及びそれを用いた光触媒反応方法に関する。
半導体粉末にバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射すると、価電子帯中の電子が伝導帯に励起されるとともに価電子帯に正孔を生成する。これらの光生成した電子と正孔は、半導体表面に吸着された分子をそれぞれ、還元および酸化することができる。現在、このような光触媒反応を利用して、太陽光エネルギーの化学エネルギーへの変換、有機合成、あるいは汚染物質の無害化に関する研究が活発に行われている。
単結晶やバルク粒子などの比較的大きなサイズの半導体では、その種類によって価電子帯上端の電位(EVB)及び伝導帯下端の電位(ECB)が決まっており、これらの電位が光触媒の酸化力および還元力をそれぞれ決定すると考えられている。実際、光触媒として酸化チタンあるいは硫化カドミウムを用いたL−リシンからのピペコリン酸の生成反応では、用いる光触媒の種類によって反応生成物の選択性が異なり、このことは半導体粉末のEVBの違いから説明できる。
これまでの研究では、その殆どがバルク粒子を用いて行われており、したがって、必ずしも半導体粒子中に光生成する電子と正孔のエネルギーは、目的とする反応に適したものとは限らず、反応の反応収率および反応選択性を向上させるために、数多くの種類の半導体粒子を試す必要があった(非特許文献1参照)。
一方、粒径が約10nm以下の半導体ナノ粒子では、量子サイズ効果が発現し、その電子エネルギー構造が粒径減少とともに変化する。すなわち、バルク半導体で見られたエネルギーバンドの縮退が解けて軌道が離散化し、ECBが負電位側に、EVBが正電位側にシフトするとともに、エネルギーギャップが増大する。すなわち、同じ化学組成の半導体ナノ粒子を用いても、その粒径を精密に制御すれば、光触媒として働くときの酸化還元力を調節することが原理的に可能であり、より活性の高い光触媒の調製が可能となる。
しかし、従来の表面化学修飾法などの方法で調製された半導体ナノ粒子では、多くの場合、光触媒反応中にナノ粒子が凝集してより大きな粒子となり、高い光触媒活性を維持できない。また、安定化剤が粒子表面に強く吸着しており、対象とする反応基質の吸着を阻害する可能性がある。
アゾキシベンゼンは、光機能性材料や医薬品などの合成のための中間体として重要であり、現在、ニトロベンゼンを化学的に還元することにより合成されている。半導体光触媒は、環境によりやさしいグリーンプロセスとして注目されており、ニトロベンゼンの還元反応をこの手法により行うことはたいへん興味深い。これまでに、酸化チタンバルク粒子を光触媒として、ニトロベンゼンの還元反応を行うと、アニリンが選択的に生成することがすでに報告されている。また、硫化カドミウムのバルク粒子を光触媒として用いた場合には、アゾキシベンゼンが生成するが、アニリンおよびアゾベンゼンも相当量副生し、アゾキシベンゼンを選択的に合成できない。
一方、半導体ナノ粒子を、ニトロベンゼンの光還元に利用した研究はなく、その粒子サイズが反応選択性に及ぼす影響は明らかではない。
これに対し、本発明者らによる特許文献1には、コア・シェル構造のコアとなる半導体にサイズ選択的光エッチング法を適用し半導体ナノ粒子の粒径を変化させ、シェル内部に制御された空隙をもつコア・シェル構造体が開示されている。
さらに、本発明者らによる特許文献2には、上記のコア・シェル構造体のシェル内部に制御された空隙に金属を析出させ、コアをナノ粒子複合体としたコア・シェル構造体が開示されている。
非特許文献2では、特許文献2に開示されたコア・シェル構造体のシェル内部の制御された空隙に金属ナノ粒子を析出させたコア・シェル構造体を、光触媒として用いた反応が報告されている。そして、メタノールの脱水素化反応を行ったところ、光照射時間とともに水素発生量が直線的に増加し、シリカからなるシェル内部における硫化カドミウムのコア粒子が凝集して失活することなく光触媒として作用し、コアである半導体粒子サイズの減少とともにその光触媒活性が増大することが報告されている。
特開2003−251599号 特開2004−299011号 大谷文章、「半導体触媒による有機合成」季刊化学総説、No.23、pp.96−105、学会出版センター発行、1994年 B. Pal, T. Torimoto, K. Iwasaki, T. Shibayama, H. Takahashi and B. Ohtani, J. Phys. Chem. B, Vol.108, pp.18670-18674, Published on Web 11/10/2004
アゾキシベンゼンは、光機能性材料や医薬品などの合成のための中間体として重要であるが、従来の半導体ナノ粒子によるニトロベンゼンの光還元反応からは選択的に得られていないという課題がある。
従来のコア・シェル構造体、及びジングルベル型構造を持つ半導体粒子の光触媒としての利用は、本発明者らによるメタノール脱水素化反応のみが知られているだけで、その他の光触媒反応は全く解明されていないという課題がある。
上記課題に鑑み、本発明は、窒素含有有機化合物などの光触媒反応を効率よく行うことができる、新規な光触媒及び光触媒反応方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、コア・シェル構造体を有する光触媒及びこの光触媒反応に関し鋭意実験的検討を行った。その結果、コア粒子の粒径及びシェル内部に形成される空隙とを制御した光触媒とすることにより、この光触媒による有機化合物の合成反応などを効果的に得ることができ、しかも、反応収率および反応選択性を制御できるという知見を得て、本発明に至ったものである。
上記目的を達成するため、本発明の光触媒は、半導体ナノ粒子からなるコアと、コアを空隙を介して覆うシェルと、を備え、シェル内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体からなる光触媒であって、基質と光触媒とによる光触媒反応(但し、メタノールを基質とした脱水素化反応を除く)を、半導体ナノ粒子への光照射で発生する電子及び/又は正孔により生起させることを特徴とする。
また、本発明の光触媒は、2つ以上の異なるナノ粒子が接合したナノ粒子複合体からなるコアと、このコアを空隙を介して覆うシェルと、を備え、シェル内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体からなる光触媒であって、ナノ粒子複合体は、少なくとも半導体ナノ粒子及び触媒ナノ粒子を含んでおり、基質と光触媒とによる光触媒反応(但し、メタノールを基質とした脱水素化反応を除く)を、半導体ナノ粒子への光照射で発生する電子及び/又は正孔により生起させると共に、光触媒反応を触媒ナノ粒子の触媒作用により増強することを特徴とする。
上記構成において、好ましくは、シェルは、所定の形状の開口を有している。また、好ましくは、半導体ナノ粒子は金属カルコゲナイド半導体からなり、シェルはケイ素・酸素結合を骨格に持つ膜であり光溶解しない物質からなる。好ましくは、半導体ナノ粒子が硫化カドミウムからなり、シェルがケイ素酸化物からなる。
好ましくは、触媒ナノ粒子は金属触媒又は金属錯体触媒からなり、金属がロジウム,金,パラジウム,白金,銀,ニッケル,鉄,クロム,銅,バナジウム、マンガンの何れかである。
また、好ましくは、半導体ナノ粒子が硫化カドミウムからなり、シェルがケイ素酸化物からなり、基質として窒素含有化合物を用いた光触媒反応を行える。
この光触媒によれば、シェル内部には制御された空隙が形成され、この空隙にコアとなる半導体ナノ粒子が内包されているので、基質との光触媒反応を行うことができる。このため、有機化合物などの各種基質との光触媒反応を効率よく行うことができる。
さらに、コアが半導体ナノ粒子と触媒ナノ粒子とからなるナノ粒子複合体からなる光触媒によれば、コアにはさらに触媒ナノ粒子が内包されており、有機化合物の光触媒反応をさらに効率よく行うことができる。そして、シェル内部の制御された空隙やシェルにシェル孔が形成されている場合には、基質との光触媒反応を、この制御された空隙内で行うことも可能である。
本発明の光触媒反応方法は、半導体ナノ粒子からなるコアと、このコアを空隙を介して覆うシェルと、を備え、シェル内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体からなる光触媒を用い、基質と上記光触媒による光触媒反応(但し、メタノールを基質とした脱水素化反応を除く)を、上記半導体ナノ粒子への光照射で発生する電子及び/又は正孔により生起させることを特徴とする。
また、本発明の光触媒反応方法は、少なくとも半導体ナノ粒子及び触媒ナノ粒子を含む2つ以上の異なるナノ粒子が接合したナノ粒子複合体をコアとし、制御された空隙を介して該コアをシェルで覆ったコア・シェル構造体からなる光触媒を用い、基質と上記光触媒への光照射による光触媒反応(但し、メタノールを基質とした脱水素化反応を除く)を、上記半導体ナノ粒子への光照射で発生する電子及び/又は正孔により生起させる共に、該光触媒反応を上記触媒ナノ粒子の触媒作用により増強することを特徴とする。
上記構成において、シェルは、好ましくは所定の形状の開口を有している。半導体ナノ粒子は金属カルコゲナイド半導体からなり、シェルはケイ素・酸素結合を骨格に持つ膜であり光溶解しない物質からなる。また、好ましくは、半導体ナノ粒子が硫化カドミウムからなり、シェルがケイ素酸化物からなる。触媒ナノ粒子は、好ましくは金属触媒又は金属錯体触媒からなり、金属はロジウム,金,パラジウム,白金,銀,ニッケル,鉄,クロム,銅,バナジウム、マンガンの何れかである。基質は、好ましくは窒素含有化合物、有機化合物、蛋白質の何れかである。また、好ましくは、基質は、ニトロベンゼン、リシン、チオール化合物の何れかである。
この光触媒反応によれば、光触媒のシェル内部には制御された空隙が形成され、この空隙にコアとなる半導体ナノ粒子が内包されているので、基質との光触媒反応を行うことができる。このため、有機化合物などの各種基質との光触媒反応を効率よく行うことができる。
さらに、コアが半導体ナノ粒子と触媒ナノ粒子とからなるナノ粒子複合体からなる光触媒を用いれば、コアにはさらに触媒ナノ粒子が内包されており、有機化合物の光触媒反応を、さらに、効率よく行うことができる。そして、シェル内部の制御された空隙やシェルにシェル孔が形成されている場合には、基質との光触媒反応を、この制御された空隙内で行うことも可能である。
また、半導体ナノ粒子は硫化カドミウムから、シェルはケイ素酸化物からなっていてよく、また、基質がニトロベンゼンであり、ニトロベンゼンからアゾキシベンゼンを選択的に合成する。
また、好ましくは、半導体ナノ粒子が硫化カドミウムからなり、シェルがケイ素酸化物からなり、触媒ナノ粒子が金属触媒又は金属錯体触媒からなり、金属がロジウム,金,パラジウム,白金,銀の何れであり、基質がニトロベンゼンであり、ニトロベンゼンからアゾキシベンゼンを選択的に合成する。
この光触媒反応によれば、医用中間体として有用なアゾキシベンゼンをニトロベンゼンから選択的に合成することができる。
本発明によれば、半導体ナノ粒子又は半導体ナノ粒子と触媒ナノ粒子からなるナノ粒子複合体をコアとしたコア・シェル構造体からなる光触媒を提供することができる。この光触媒のシェル内部には制御された空隙が形成され、この空隙にコアとなる半導体ナノ粒子が内包されているので、有機化合物などの合成を光触媒により効率よく行うことができる。例えば、窒素元素を含む有機化合物として、ニトロベンゼンを光還元することにより、高い反応収率および高い反応選択性で、医用中間体として有用な有機化合物であるアゾキシベンゼンの合成を行うことができる。
以下、本発明の光触媒及びそれを用いた反応方法について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の光触媒を用いた光触媒反応装置の構成を示す模式断面図である。図示するように、光触媒反応装置1は、反応容器2と、この反応容器2内に収容される光触媒及び被反応物質となる基質を含む媒体3と、この媒体3に光反応のために照射する光源4とを備えている。ここで、媒体3は、基質からなる液体、基質を含む水溶液又は有機溶媒などが使用できる。
上記光触媒反応に用いる光触媒は、ナノ粒子からなるコアと、このコアを空隙を介して覆うシェルと、を備え、このシェル内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体からなる光触媒である。
図2及び図3は、本発明の光触媒の構成を示す模式断面図である。図2に示すように、本発明の光触媒10は、第1のナノ微粒子からなるコア12と、コア12を空隙13を介して覆うシェル14と、を備え、シェル14の内部に制御された空隙13を有するコア・シェル構造体からなる光触媒10Aである。空隙13の寸法は、用途に応じて任意の大きさに制御される。図示しないが、シェル14は多数のマイクロ孔(数Å程度の径を有する孔)を有している。
図3は、本発明の光触媒の別の構成を示す模式断面図である。図3は、2つ以上の異なるナノ粒子が接合したナノ粒子複合体15からなるコアと、コアを空隙13を介して覆うシェル14と、を備え、このシェル14の内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体からなる光触媒10Bを示している。ナノ粒子複合体からなるコア15は、2つの異なるナノ粒子から構成される場合には、第1のナノ粒子12とこの第1のナノ粒子12とは異なる第2のナノ粒子16とが直接接合している。例えば、ナノ粒子複合体15は、半導体ナノ粒子12及び触媒ナノ粒子16を含んで構成することができる。
第1のナノ粒子12は、光吸収端を有する固体であれば何でも良いが、金属カルコゲナイド半導体、例えば、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)であってよい。第1のナノ粒子12の粒径は数nm(ナノメーター)から1nm程度の所望の値に制御される。
第2の光溶解しないナノ粒子16は、第1のナノ粒子12とは別組成の触媒であれば何でもよいが、例えば、金属触媒、金属錯体触媒などが好ましい。このような金属触媒としては、ロジウム(Rh),金(Au),パラジウム(Pd),白金(Pt),銀(Ag),ニッケル(Ni),鉄(Fe),クロム(Cr),銅(Cu),バナジウム(V)、マンガン(Mn)などの何れかであればよい。また、金属錯体触媒としては、ロジウム,金,パラジウム,白金,銀,ニッケル,鉄,クロム,銅,バナジウム、マンガンなどの何れかの金属からなる金属錯体触媒であればよい。この第2の光溶解しないナノ粒子16の粒径は数nmから1nm程度の所望の値に制御される。
シェル14は、光溶解しない物質からなり、例えば、ケイ素(Si)・酸素結合を骨格に持つ膜などを用いることができる。シェル14は多数のマイクロ孔(数Å程度の径を有する孔)を有している。このシェル14は、光溶解しない物質であれば何でも良く、例えばSiOx (シリカ、0<x)であってよい。シェル14の径は、用途に応じて約十nmから数nm程度の所望の値に制御される。
図4及び図5は、本発明の光触媒の変形例の構成を示す模式断面図である。図4及び図5に示すように、本発明の光触媒10C及び10Dは、図2及び図3で説明した本発明の光触媒10A,10Bのシェル14の一部に所定の形状の開口14A(以下、適宜シェル孔とも呼ぶ)を有している点で、光触媒10A及び10Bと異なる構造を有している。上記シェルに設ける開口14Aの寸法は、数Å(0.1nm)から数十nm程度とすることができる。
図6は本発明の光触媒10Aを用いた光触媒反応方法を模式的に示す図である。この図は、図1に示した基質と光触媒10A,10Cを含む媒体3の拡大図である。光触媒10A,10Cは、シェル14及び空隙13を省略して示している。この光触媒反応は、基質19を含有した有機溶媒である2−プロパノール中の光触媒10A,10Cのシェル14中での反応を示していて、基質19を含有した媒体3である有機溶媒が多数のマイクロ孔の径を有するシェル14中に進入している。ここで、光触媒の第1のナノ粒子12は硫化カドミウムからなり、シェル14はシリカからなるものとして説明する。
光触媒反応は、光触媒の第1のナノ粒子12である硫化カドミウムへ、バンドギャップエネルギー以上の波長の光源4を照射して、電子17及び正孔18を発生させて行う。このような光源としては、紫外線光源であるレーザーや水銀ランプなどを用いればよい。
硫化カドミウムなどの半導体ナノ粒子12にバンドギャップエネルギー以上のエネルギーを有する光を照射すると、価電子帯中の電子17が伝導帯に光励起されるとともに、価電子帯に正孔18が生成する。このため、光源4の照射により硫化カドミウム12から電子及び正孔17,18が発生し、2−プロパノールが正孔18によって酸化されアセトンが生成すると共に、ニトロベンゼン19が光励起電子17によって還元され、反応生成物20が生成する。
これにより、ニトロベンゼン19と光触媒10A,10Cとの光触媒反応による反応生成物20は、図示するように、アニリン21、ニトロソベンゼン22、アゾベンゼン23、アゾキシベンゼン24である。後述するが、この反応生成物20としては、ニトロソベンゼン22,アゾキシベンゼン24,アニリン21,アゾベンゼン23の順に多く生成される。つまり、ニトロソベンゼン22を、選択的に合成することができる。
図7は、本発明の光触媒10B,10Dを用いた光触媒反応を模式的に示す図である。図7は基質19と光触媒10B,10Dを含む媒体3の拡大図である。図6との違いは、光触媒10B,10Dのコアが、硫化カドミウムに、さらに触媒ナノ粒子16であるRhなどが接合したナノ粒子複合体15からなるコアを有していることである。
硫化カドミウムなどの半導体ナノ粒子12にバンドギャップエネルギー以上のエネルギーを有する光を照射すると、反応生成物20が生成するのは、図6で示した反応と同じである。この際、Rhからなる金属触媒ナノ粒子16は電子17を捕捉し、ニトロベンゼンを還元する。これにより、ニトロベンゼン19と光触媒10B又は10Dとの光触媒反応による反応生成物20は、後述するように、アゾキシベンゼン24が最も大きく、アニリン21、アゾベンゼン23,ニトロソベンゼン22が生じる。このため、光触媒10B,10Dの場合には、アゾキシベンゼン24を選択的に合成することができる。
基質19としては、有機物、窒素を含有する有機化合物や蛋白質が挙げられる。具体的には、基質19として、RCH2 OH、RCOOH、RCH(OH)COOH+NH3 、RCH(OH)COOH+アルギニン、RCH2 NH2 、H2 N(CH2 n NH2 、2,6−ジアミノピメリン酸、R’NH2 、L−α,ω−アミノカルボン酸(オルニチン、リシンなど)、L−アミノ酸(リシンなど)置換アゾベンゼン類、PhCH3 、アルキルベンゼン類、RCH=CHR’、RR’C=CH2 などが挙げられる。ここで、R,R’は異なるアルキル基であり、Phはフェニル基である。このような光触媒反応は、本発明の光触媒による酸化あるいは還元反応、又は酸化還元複合反応に起因すると推定される。例えば、アミノ酸である光学活性なL−リシンから医薬品中間体として有用なピペコリン酸を合成できる。この場合には、L−リシンのアミノ基の酸化とその還元によりピペコリン酸を合成することができる。
さらに、本発明の光触媒反応に用いる媒体3に電子17を捕捉することができる、所謂電子捕捉剤を添加した媒体3を用いた場合には、本発明の光触媒により光励起された正孔18の酸化による光触媒反応を生起することができる。
このような基質19の例としては、チオール化合物(RSH)の酸化によるジスフィド(RSSR)の合成反応を挙げることができる。
さらに、本発明の光触媒反応に用いる媒体3に正孔18を捕捉することができる、所謂正孔捕捉剤を添加した媒体3を用いた場合には、本発明の光触媒により光励起された電子17の還元による光触媒反応を生起することができる。このような基質19の例としては、ジスフィドの還元によるチオール化合物(RSH)の合成反応が挙げられる。
本発明の光触媒10によれば、上記の酸化還元複合反応、酸化反応、或いは還元反応、または、これらの反応の組み合わせによる光触媒反応(但し、メタノールを基質とした脱水素化反応を除く)を生起させることができる。
さらに、光触媒10B,10Dの場合には、コアとなる硫化カドミウム12などに、さらに、第2の光溶解しないナノ粒子16として触媒が接合しているので、基質19の光触媒反応が触媒16の効果により増強されることである。ここで、増強とは、第1に基質19の光触媒反応速度の向上である。第2は、基質19から光触媒反応により生成する複数の生成物を選択的に生成、すなわち合成できるという特徴である。
さらに、本発明の光触媒10B,10Dにおいて、シェル14内のコア12に内包されるナノ粒子複合体15が、第1の半導体ナノ粒子12と、光溶解しない第2のナノ粒子による触媒16と、から構成されるとして説明してきたが、ナノ粒子複合体15の粒子の数は、2つ以上の複数の異なる半導体ナノ粒子12と光溶解しないナノ粒子16による触媒とから構成されてもよい。
次に、本発明の光触媒10の調製方法について説明する。
コア・シェル構造体からなる光触媒10Aは、以下のように調製することができる。
初めに、所望の粒径を有する光溶解する第1のコア12となる微粒子を用意し、微粒子の表面を光溶解しない物質からなるシェル14で被覆する。
次に、光溶解液中で微粒子に特定の波長の光である光溶解用照射光を照射して、コア・シェル構造体の空隙を制御して形成する。ここで、微粒子の吸収端波長の光を照射すると、微粒子は光を吸収して光溶解反応により、微粒子の表面が光溶解液に溶解して徐々に径が小さくなる。例えば、硫化カドミウム微粒子を用いると、その粒径が約10nm以下になると量子サイズ効果が顕著となり、微粒子の粒径が小さくなるにつれて吸収端波長が短波長側に移動し、吸収端波長が光溶解用照射光の波長より短くなると、光溶解反応が停止し、微粒子の粒径は一定値に止まる。このように、光溶解用照射光の波長を選択することによって、微粒子の粒径を制御する。
次に、ナノ粒子複合体からコア・シェル構造体を有する光触媒10Bは、上記光触媒10Aを調製した後に、固体析出用溶液中で上記の工程で形成された制御された空隙13(図3参照)に、第1のナノ粒子12とは組成の異なる第2のナノ粒子固体16を析出させることでナノ粒子複合体15を制御性よく調製することができる。
第2のナノ粒子16として、光溶解しない固体である金属の析出方法を説明する。固体析出用溶液としての金属析出用溶液は、金属元素を含む溶液を用いることができる。例えば、金属を含む錯体溶液が使用できる。既に形成している光溶解するナノ粒子12が半導体の硫化カドミウムなどの場合には、この金属析出用溶液に、さらに、光照射をすることにより、半導体の励起によって生じる電子17と正孔18の還元及び酸化を利用した光触媒反応を制御して、金属または金属酸化物を析出させることができる。金属を析出させる際には、半導体中に光生成する正孔18による酸化作用を抑圧するために、金属析出用溶液へアルコールやトリエタールアミンなどの正孔捕捉剤を添加することが好ましい。これにより、金属析出用溶液中へ、特定の波長の光を照射して、空隙13部分に金属微粒子16を光析出させることで、光エッチングにより粒径を制御されたナノ粒子12と、金属触媒ナノ粒子16からなるナノ粒子複合体15をコアとしたコア・シェル構造体、すなわち、光触媒10Bを得ることができる。この際、ほぼすべての金属錯体を前駆体として使うことができる。
次に、本発明のシェルに開口14Aを有する光触媒10C及び10Dの調製方法について説明する。
光触媒10Cは、最初に所望の粒径を有する光溶解する第1のコア12となる微粒子を用意し、微粒子の表面を光溶解しない物質からなるシェル14で被覆する際に、シェル孔14Aを以下のようにして形成する。
第1のコア12となる微粒子の化学修飾の際に、トリメトキシシリル基等のシラノール基と反応しないアルキルチオール等のチオール化合物を混入し、シラノール基とチオール化合物を競争的に粒子表面に結合させてチオール化合物の集合を形成する。加水分解すると、シラノール基はシリカからなるシェル14を形成するが、チオール化合物の集合はそのまま残留する。
次に、光触媒10Aと同様に、硫化カドミウム微粒子をサイズ選択光エッチング法によって粒径を制御して光溶解し、コア12とシェル14の間に寸法が制御された空間13を形成する。続いて、チオール化合物の集合を酸化脱離させることにより、シェル孔14Aを形成することができる。
光触媒10Dは、上記の光触媒10Cを調製した後で、上記の光触媒10Bの調製方法で説明したように、サイズ選択光エッチング法によって粒径を制御した硫化カドミウム微粒子12に、第2のナノ粒子16として光溶解しない固体である金属触媒16を析出させることにより調製することができる。
以下、実施例について詳細に説明する。
実施例1の光触媒10Aとして、第1のナノ粒子12が硫化カドミウム、シェル14がシリカからなる、コア・シェル構造体を以下の方法で調製した。
最初に、硫化カドミウム粒子表面を3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTS)で化学修飾した後、トリメトキシシリル基を加水分解し、脱水縮合させることにより、シリカ(SiO2 )で被覆した硫化カドミウム(CdS)粒子であるSiO2 /CdS粒子を得た。
ここで、SiO2 からなるシェル14の外径は約5〜5.2nmであった。また、硫化カドミウムは、シェル14の内部に稠密に形成されおり、この時点においてはシェル14内部に空隙13がない状態である。シェル14の厚さは、約0.3nm程度であった。
次に、SiO2 /CdS粒子に、種々の波長のレーザー光を照射することによって、硫化カドミウムコアサイズの異なるジングルベル型構造体を形成させた。硫化カドミウムからなるコアの粒径は、照射するレーザー光の波長を514nm,488nm,458nmと変化させたときに、それぞれ、3.7nm,3.4nm,2.8nm程度であった。この際、シェル内の空隙13は、それぞれ、1.4nm,1.6nm,2.4nm程度であった。
実施例1の光触媒10Bとして、実施例1の光触媒10Aに第2のナノ粒子16としてRhを接合させた。
得られた硫化カドミウムコアサイズの異なるジングルベル型構造体を塩化ロジウム(RhCl3 )を含む50vol%メタノール水溶液中に分散させ、水銀ランプの光(λ>300nm)を照射することによって、実施例2の光触媒10B、すなわち、Rhを担持したSiO2 /CdSナノ粒子10を調製した。ここで、ロジウム担持量はCd原子数に対して0.37atom%である。
金属触媒16としてAuを用いた以外は、実施例2と同様にして光触媒10Bを調製した。Au析出用溶液として、メタノールとH2 O(容積比は、1:1)の混合溶液に、Auをコア・シェル構造体の5重量%(wt%)だけ光析出させるように、適量のK[ Au(CN)2 ]を添加し、実施例2の光触媒10B、すなわち、Auを担持したSiO2 /CdSナノ粒子を調製した。
金属触媒としてPdを用いた以外は、実施例2と同様にして光触媒を調製した。Pd析出用溶液として、Pdの塩化物による錯体を溶解した溶液を用い、実施例4の光触媒10B、すなわち、Pdを担持したSiO2 /CdSナノ粒子を調製した。
金属触媒としてPtを用いた以外は、実施例2と同様にして光触媒を調製した。Pt析出用溶液として、Ptの塩化物による錯体を溶解した溶液を用い、実施例5の光触媒10B、すなわち、Ptを担持したSiO2 /CdSナノ粒子を調製した。
金属触媒としてAgを用いた以外は、実施例2と同様にして光触媒を調製した。メタノールとH2 O(容積比は、1:1)の混合溶液に、適量のKAg(CN)2 を添加し、実施例6の光触媒10B、すなわち、Agを担持したSiO2 /CdSナノ粒子を調製した。
次に、比較例について、説明する。
(比較例1)
実施例1と同様にして比較例1のSiO2 /CdSナノ粒子を作製し、硫化カドミウムの光エッチングを行わないで、シェルの外側にRhを担持した光触媒を比較例1として調製した。
(比較例2)
市販の粒径が100nm以上の硫化カドミウム粒子を比較例2とした。
次に、実施例1〜6で得た光触媒10を用いた光触媒反応について説明する。
基質19としては、ニトロベンゼンを用いた。硫化カドミウムが6mgとなるように調製した各実施例1〜6の光触媒10の粉末を、20mmoldm-3のニトロベンゼンを含む、5cm3 の2−プロパノール水溶液3(50vol%)に分散させた。次に、436nmの単色光(光強度7.3mWcm-2)を24時間照射し、光触媒反応を行った。
いずれの光触媒10の場合も、図6,7に示すようにニトロベンゼン19の還元生成物20として、ニトロソベンゼン22、アニリン21、アゾベンゼン23、アゾキシベンゼン24が生成した。
図8は、実施例1において、458nmの単色光で光エッチングした光触媒による光触媒反応の反応生成物の生成量を示す図である。図において、縦軸は生成量(μmol、10-6mol)を示し、横軸は左から順にアニリン21、ニトロソベンゼン22、アゾベンゼン23、アゾキシベンゼン24を示している。
図から明らかなように、アニリン21、ニトロソベンゼン22、、アゾベンゼン23、アゾキシベンゼン24の生成量は、それぞれ、約2μmol、16μmol以下、1μmol以下、4μmolとなった。実施例1のSiO2 /CdSナノ粒子の場合には、ニトロソベンゼン22の生成量が最も大きいことが分かった。
これにより、実施例1の光触媒によれば、ニトロベンゼン19の還元反応によってニトロソベンゼン22を選択的に合成できることが明らかである。
図9は、実施例2のRhを担持した光触媒10Bにおいて、458nmの単色光で光エッチングした光触媒による光触媒反応の反応生成物の生成量を示す図である。この光触媒10の硫化カドミウムナノ粒子12の粒径は、波長458nmの光エッチングによるもので、約2.8nmである。図において、縦軸は生成量(μmol)を示し、横軸は左から順にアニリン21、ニトロソベンゼン22、アゾベンゼン23、アゾキシベンゼン24を示している。
図から明らかなように、アニリン21、ニトロソベンゼン22、アゾベンゼン23、アゾキシベンゼン24の生成量は、それぞれ、約3μmol、18μmol以下、2μmol以下、28μmolとなり、実施例1のコア12内にRhを担持した光触媒10では、アゾキシベンゼン24が選択的に合成できることが分かった。
これにより、実施例2の光触媒10Bによれば、実施例1のSiO2 /CdSナノ粒子光触媒10Aとは異なり、ニトロベンゼン19の還元反応によりアゾキシベンゼン24を選択的に合成できることが明らかである。
図10は、実施例2による光触媒反応の反応生成物に対するコアである硫化カドミウムの粒径依存性を示す図である。図において、縦軸は生成量(μmol)を示し、横軸は硫化カドミウム粒径を示している。図の黒丸印(●)、三角印(△)、四角(□)、黒菱形(◆)は、それぞれ、アゾキシベンゼン24、アニリン21、ニトロソベンゼン22、アゾベンゼン23の生成量を示している。
硫化カドミウムナノ粒子12の粒径が5nmの場合は、コア12に空隙がない状態であり、比較例1の光触媒は、シェルの外側にRhが担持されている光触媒である。そして、実施例2において、ナノ粒子13の粒径が3.7nm、3.4nm、2.8nmの光触媒は、その形成に用いた光エッチング波長が、それぞれ、514nm,488nm,458nmに対応し、シェル14の内部に形成される空隙13内の硫化カドミウムナノ粒子12にRh16が担持されている。一番左は、比較例2の粒径が100nm以上のバルクの硫化カドミウム粒子である。
図から明らかなように、実施例2の光触媒の場合には、その硫化カドミウムナノ粒子12の粒径が小さくなるほど各生成物の生成量が増加し、アゾキシベンゼン24の生成量が最も大きい、つまり選択的に生成されることがわかった。このアゾキシベンゼン24の反応選択率は、硫化カドミウムナノ粒子の粒径が2.8nmのときに最も高くなり、約70%にまで達した。
一方、比較例1の光触媒である硫化カドミウムナノ粒子の粒径が5nm、つまり、シェル14に空隙13がなくRhがシェルの外側に担持されている光触媒は、光触媒活性が比較例2のバルクの硫化カドミウム粒子よりは大きいが、実施例2よりも小さいことが分かった。
図11は、実施例2〜6の光触媒によるニトロベンゼンからのアゾキシベンゼンの生成量に対する金属触媒依存性を示す図である。何れも、金属触媒の担持量は0.2重量%であり、458nmの波長照射の光エッチングによる硫化カドミウムの粒径は約2.8nmである。図において、縦軸は生成量(μmol)を示し、横軸は金属触媒を示している。実施例2〜6の何れの光触媒も、ニトロベンゼン19からはアゾキシベンゼン24が選択的に生成する。図示するように、アゾキシベンゼン24の生成量は、金属触媒がAg,Pt,Pd,Au,Rhの順に増大し、それぞれ、11μmol,15μmol,21μmol,23μmol,45μmolとなった。
実施例1〜6の光触媒10の活性を比較例と比較すると、何れの光触媒も比較例1及び比較例2の光触媒よりも大きな値を示した。この光触媒活性は、さらに、硫化カドミウムナノ粒子12のコアサイズの減少とともに増大した。しかしながら、還元反応効率および生成物の選択性は用いる光触媒の種類によって大きく異なった。アゾキシベンゼン24の反応選択率は、硫化カドミウムナノ粒子12の粒径が2.8nmのときに最も高くなり、約70%にまで達した。
以上の実施例及び比較例の結果から、本発明の光触媒10によれば、ニトロベンゼン19の反応に対して高い光触媒活性をもち、さらに、生成するアゾキシベンゼン24の反応選択性を硫化カドミウムナノ粒子12の粒径を変化させることにより制御できることがわかった。
本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。2つの異なるナノ微粒子からなるナノ粒子複合体は、上記実施例に限らないことはいうまでもない。
発明の光触媒を用いた光触媒反応装置の構成を示す模式断面図である。 本発明の光触媒の構成を示す模式断面図である。 本発明の光触媒の構成を示す模式断面図である。 本発明の光触媒の変形例の構成を示す模式断面である。 本発明の光触媒の変形例の構成を示す模式断面図である。 本発明の光触媒を用いた光触媒反応を模式的に示す図である。 本発明の光触媒を用いた光触媒反応を模式的に示す図である。 実施例1において、458nmの単色光で光エッチングした光触媒による光触媒反応の反応生成物の生成量を示す図である。 実施例2のRhを担持した光触媒において、458nmの単色光で光エッチングした光触媒による光触媒反応の反応生成物の生成量を示す図である。 実施例2の光触媒による光触媒反応の反応生成物に対するコアである硫化カドミウムの粒径依存性を示す図である。 実施例2〜6の光触媒によるニトロベンゼンからのアゾキシベンゼンの生成量に対する金属触媒依存性を示す図である。
符号の説明
1:光触媒反応装置
2:反応容器
3:媒体
4:光源
10,10A,10B,10C,10D:光触媒
12:コア(第1のナノ粒子)
13:空隙
14:シェル
14A:開口(シェル孔)
15:コア(ナノ粒子複合体)
16:触媒ナノ粒子(第2のナノ粒子)
17:電子
18:正孔
19:基質
20:反応生成物
21:アニリン
22:ニトロソベンゼン
23:アゾベンゼン
24:アゾキシベンゼン

Claims (17)

  1. 半導体ナノ粒子からなるコアと、該コアを空隙を介して覆うシェルと、を備え、該シェル内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体からなる光触媒であって、
    基質と上記光触媒とによる光触媒反応(但し、メタノールを基質とした脱水素化反応を除く)を、上記半導体ナノ粒子への光照射で発生する電子及び/又は正孔により生起させることを特徴とする、光触媒。
  2. 2つ以上の異なるナノ粒子が接合したナノ粒子複合体からなるコアと、該コアを空隙を介して覆うシェルと、を備え、該シェル内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体からなる光触媒であって、
    上記ナノ粒子複合体は、少なくとも半導体ナノ粒子及び触媒ナノ粒子を含んでおり、
    基質と上記光触媒とによる光触媒反応(但し、メタノールを基質とした脱水素化反応を除く)を、上記半導体ナノ粒子への光照射で発生する電子及び/又は正孔により生起させると共に、該光触媒反応を上記触媒ナノ粒子の触媒作用により増強することを特徴とする、光触媒。
  3. 前記シェルは、所定の形状の開口を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光触媒。
  4. 前記半導体ナノ粒子は金属カルコゲナイド半導体からなり、前記シェルはケイ素・酸素結合を骨格に持つ膜であり光溶解しない物質からなることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の光触媒。
  5. 前記半導体ナノ粒子は硫化カドミウムからなり、前記シェルはケイ素酸化物からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光触媒。
  6. 前記触媒ナノ粒子は金属触媒又は金属錯体触媒からなり、該金属はロジウム,金,パラジウム,白金,銀,ニッケル,鉄,クロム,銅,バナジウム、マンガンの何れかであることを特徴とする、請求項2に記載の光触媒。
  7. 前記半導体ナノ粒子は硫化カドミウムからなり、前記シェルはケイ素酸化物からなり、前記基質として窒素含有化合物を用いた光触媒反応を行えることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の光触媒。
  8. 半導体ナノ粒子からなるコアと、該コアを空隙を介して覆うシェルと、を備え、該シェル内部に制御された空隙を有するコア・シェル構造体からなる光触媒を用い、
    基質と上記光触媒による光触媒反応(但し、メタノールを基質とした脱水素化反応を除く)を、上記半導体ナノ粒子への光照射で発生する電子及び/又は正孔により生起させることを特徴とする、光触媒反応方法。
  9. 少なくとも半導体ナノ粒子及び触媒ナノ粒子を含む2つ以上の異なるナノ粒子が接合したナノ粒子複合体をコアとし、制御された空隙を介して該コアをシェルで覆ったコア・シェル構造体からなる光触媒を用い、
    基質と上記光触媒への光照射による光触媒反応(但し、メタノールを基質とした脱水素化反応を除く)を、上記半導体ナノ粒子への光照射で発生する電子及び/又は正孔により生起させる共に、該光触媒反応を上記触媒ナノ粒子の触媒作用により増強することを特徴とする、光触媒反応方法。
  10. 前記シェルは、所定の形状の開口を有していることを特徴とする、請求項8又は9に記載の光触媒反応方法。
  11. 前記半導体ナノ粒子は金属カルコゲナイド半導体からなり、前記シェルはケイ素・酸素結合を骨格に持つ膜であり光溶解しない物質からなることを特徴とする、請求項8〜10の何れかに記載の光触媒反応方法。
  12. 前記半導体ナノ粒子は硫化カドミウムからなり、前記シェルはケイ素酸化物からなることを特徴とする、請求項8〜10の何れかに記載の光触媒反応方法。
  13. 前記触媒ナノ粒子は金属触媒又は金属錯体触媒からなり、該金属はロジウム,金,パラジウム,白金,銀,ニッケル,鉄,クロム,銅,バナジウム、マンガンの何れかであることを特徴とする、請求項9に記載の光触媒反応方法。
  14. 前記基質は、窒素含有化合物、有機化合物、蛋白質の何れかであることを特徴とする、請求項8〜10の何れかに記載の光触媒反応方法。
  15. 前記基質は、ニトロベンゼン、リシン、チオール化合物の何れかであることを特徴とする、請求項8〜10の何れかに記載の光触媒反応方法。
  16. 前記半導体ナノ粒子は硫化カドミウムからなり、前記シェルはケイ素酸化物からなり、前記基質はニトロベンゼンであり、該ニトロベンゼンからアゾキシベンゼンを選択的に合成することを特徴とする、請求項8〜10の何れかに記載の光触媒反応方法。
  17. 前記半導体ナノ粒子は硫化カドミウムからなり、前記シェルはケイ素酸化物からなり、前記触媒ナノ粒子は金属触媒又は金属錯体触媒からなり、該金属はロジウム,金,パラジウム,白金,銀の何れであり、前記基質はニトロベンゼンであり、該ニトロベンゼンからアゾキシベンゼンを選択的に合成することを特徴とする、請求項9又は10に記載の光触媒反応方法。
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