JP2006223836A - 車両用シートパッド - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで且つ簡易な構成にて通気が促進された車両用シートパッドを提供する。
【解決手段】シートパッド1の内部には、両端が座面1aと底面1bとに連通した空孔2が延設されている。空孔2の内部には、該空孔2内の空気が底面1bから座面1aに向って流通することを許容し、これと反対側へ流通することを阻止する逆止弁3が設けられている。シートパッド1に対し着座荷重が加えられた場合、空孔2が減容されるのに伴い、該空孔2内の空気が座面1a側からのみ押し出されることになるため、座面1a側への通気が促進される。
【選択図】図1
【解決手段】シートパッド1の内部には、両端が座面1aと底面1bとに連通した空孔2が延設されている。空孔2の内部には、該空孔2内の空気が底面1bから座面1aに向って流通することを許容し、これと反対側へ流通することを阻止する逆止弁3が設けられている。シートパッド1に対し着座荷重が加えられた場合、空孔2が減容されるのに伴い、該空孔2内の空気が座面1a側からのみ押し出されることになるため、座面1a側への通気が促進される。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両用シートパッドに係り、特に、両端が外部に連通した空孔が内部に延設された車両用シートパッドに関する。
車両用シートパッド(以下、単にシートパッドということがある。)は、一般に、軟質ポリウレタンフォーム又は半硬質ポリウレタンフォーム等の発泡成形体で構成されている。
特開平11−34710号公報には、シートパッドの底面から上方に向って凹陥する凹部を設け、この凹部内にセンサを設置することが記載されている。
また、シートパッドを軽量化するために、この凹部を空洞のままとする(即ち、所謂「肉盗みする」)ことも考えられている。
さらに、この凹部をシートパッドの底面から座面にまで貫通させ(即ち、シートパッド内に、両端が該シートパッドの底面と座面とに連通する空孔を設け)、シートパッドの通気性を改善させることも考えられている。
特開平11−34710号公報
シートパッド内に、両端が該シートパッドの底面と座面とに連通する空孔を設けることにより、シートパッドの通気性は改善されるが、さらに外部からの空気流入を促進させることが望まれる。そこで、この空孔内に空気を送り込むファンを設置することが考えられるが、コスト高であり、構造も複雑なものとなる。
本発明は、低コストで且つ簡易な構成にて通気が促進された車両用シートパッドを提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の車両用シートパッドは、両端が外部に連通した空孔が内部に延設された車両用シートパッドであって、該空孔内に、該空孔内の気体が該空孔の一端側から他端側へ向って流通することを許容し、これと反対側へ向って流通することを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とするものである。
請求項2の車両用シートパッドは、請求項1において、該空孔の孔径は1〜50mmであることを特徴とするものである。
請求項3の車両用シートパッドは、請求項2において、該空孔の体積は該車両用シートパッドの体積の1〜10%であることを特徴とするものである。
請求項4の車両用シートパッドは、請求項1ないし3のいずれか1項において、該空孔の前記他端側が該車両用シートパッドの座面に臨んでいることを特徴とするものである。
請求項5の車両用シートパッドは、請求項4において、該空孔の前記他端側が該車両用シートパッドの座面の複数箇所に臨んでいることを特徴とするものである。
請求項6の車両用シートパッドは、請求項4又は5において、該空孔の前記一端側が車両用シートパッドの底面に臨んでいることを特徴とするものである。
請求項7の車両用シートパッドは、請求項6において、該車両用シートパッドの底面に、着座荷重により減容する気体袋が配置されており、該気体袋内が前記空孔内に連通していることを特徴とするものである。
請求項8の車両用シートパッドは、請求項4ないし7のいずれか1項において、該車両用シートパッドの座面部は、座面側と底面側との2層からなり、該座面側と底面側との間に空室が設けられ、該空室と底面とが第1の空孔で連通され、該空孔と座面とが第2の空孔で連通されており、該第1及び第2の空孔にそれぞれ前記逆止弁が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の車両用シートパッドにあっては、空孔内の気体(例えば空気)は、該空孔の一端側から他端側へ向う方向へのみ該空孔内を流通する。従って、この車両用シートパッドに対し着座荷重が加えられた場合、該空孔が減容(圧縮)されるのに伴い、該空孔内の気体が該空孔の一端側からのみ押し出されることになるため、該一端側への通気が促進される。
この車両用シートパッドは、単に、空孔内に逆止弁を設けただけのものであり、低コストで且つ構造も簡易である。
請求項2の通り、この空孔の孔径を1〜50mmとすることにより、シートパッドの剛性低下が防止され、着座時の底付き感を防止することができる。また、請求項3のように、この空孔の体積をシートパッドの体積の1〜10%とすることにより、この底付き感を確実に防止することができる。
請求項4の通り、空孔の他端側がシートパッドの座面に臨んでいる場合には、座面へ空気が流出するという長所がある。この場合、請求項5のように、この空孔の他端側が座面の複数箇所に臨んでいると、乗員がシートパッドに座ったときに、空孔がこの乗員によって蓋をされた状態とならず、空孔から空気が座面に確実に流出するようになる。
請求項6の通り、空孔の一端側がシートパッドの底面に臨んでいる場合には、底面から座面へ空気を送り込むことができるという長所がある。
請求項7の通り、シートパッドの底面に、着座荷重により減容する気体袋を配置し、この気体袋内を空孔内に連通させることにより、シートパッドに着座荷重が加えられた場合に、気体袋が減容して該気体袋内の気体が空孔内に送り込まれるため、通気が一層促進される。
請求項8の車両用シートパッドにあっては、着座荷重により空室が減容し、空室内の気体が第2の空孔から座面に流出する。着座荷重が解消すると、第1の空孔を通って、底面から空室内に気体が流入し、空室が復容する。
請求項6〜8の製品においては、パッドの単体でも減容による通気が起こるだけでなく、パッド裏面から送風をすることもできる。こうした場合、逆止弁により効率の良い通気ができるばかりでなく、場所により逆止弁の通気の抵抗を替えることにより、各場所に適切な配分の通気量を与えることができる。例えば、たわみが大きく、通気しづらい尻下に対し、腿下に通気抵抗の大きい逆止弁を付けることにより、相対的に尻下への通気量を増加することもできる。
以下に図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
第1図(a)は実施の形態に係る車両用シートパッドの縦断面図であり、第1図(b)はこのシートパッドに着座荷重が加えられたときの縦断面図である。第2図及び第3図は、このシートパッドの成形方法を示す成形用金型の縦断面図である。
車両用シートパッド1は、軟質ポリウレタンフォーム又は半硬質ポリウレタンフォーム等の発泡成形体であり、金型20内にウレタン原液を注入して発泡成形することにより製造されている。このシートパッド1の成形方法は後で述べる。
このシートパッド1は、車両乗員が着座する座面1aと、該座面1aと反対側の底面1bと、該シートパッド1の内部に延設されており、両端が該座面1aと底面1bとに連通した空孔2とを有している。第1図(a)の通り、この実施の形態では、該空孔2は、一端側が底面1bの中央付近に臨んでいると共に、該シートパッド1の内部において左右方向に枝分かれし、他端側は座面1aの左右両サイドに分散して臨んでいる。ただし、空孔2の配置はこれに限定されるものではない。
この空孔2の内部に、該空孔2内の空気が底面1b側から座面1a側に向って流通することを許容し、これと反対側へ流通することを阻止する逆止弁3が設けられている。この実施の形態では、空孔2の延在方向に位置を異ならせて複数個の逆止弁3が配置されている。
なお、この実施の形態では、空孔2は、シートパッド1の成形時に該シートパッド1内に埋設された軟質チューブ10(第2図)によって構成されている。この軟質チューブ10は、第2図に示すように、底面1bに連通する第1のマウス部11と、座面1aに連通する2個の第2のマウス部12,12と、これらのマウス部11,12,12同士をそれぞれつなぐ2本のダクト部13,13とを有したY字型のチューブである。この軟質チューブ10は、軟質なポリプロピレン、シリコン樹脂などの合成樹脂や、ゴム等からなる。
逆止弁3の構成に特に制限はないが、この実施の形態では、軟質チューブ10の内周面から座面1a側へ傾斜しつつ該軟質チューブ10の軸心線方向に張り出すように周設されたひだ状体よりなる。この逆止弁3は、空孔2内の空気が底面1b側から座面1a側に向って流通するときには、この空気によって座面1a側へ押されて拡開し、空気の流通を許容する。一方、空気が座面1a側から底面1b側に向って流通しようとすると、逆止弁3は、この空気によって底面1b側へ押されて窄まり、チューブ10内を閉鎖して空気の流通を阻止する。ただし、逆止弁3の構成はこれに限定されるものではない。
次に、このシートパッド1の成形方法について説明する。
このシートパッド1の成形用の金型20は、上型21と下型22とからなる。なお、この実施の形態では、シートパッド1は、座面1aが下型22のキャビティ面に面し、底面1bが上型21のキャビティ面に面した姿勢で成形される。該上型21のキャビティ面の中央付近には、軟質チューブ10の第1のマウス部11が係合する突起23が設けられ、下型22のキャビティ面の左右両サイドには、第2のマウス部12,12がそれぞれ係合する突起24,24が設けられている。
シートパッド1を成形するに当っては、まず、下型22内にウレタン原液を注入すると共に、軟質チューブ10の第2のマウス部12,12に突起24,24を差し込み、さらに、この軟質チューブ10の第1のマウス部11に上型21の突起23を差し込むようにして該上型21を被せ、型締めする。そして、該ウレタン原液を発泡させ、シートパッド1を成形する。
発泡完了後、型開きしてシートパッド1を脱型する。なお、軟質チューブ10は、そのままシートパッド1内に残置される。その後、必要に応じバリ取り等の処理を施すことにより、シートパッド1の製品が完成する。
このシートパッド1にあっては、空孔2内の空気は、底面1b側から座面1a側へ向う方向へのみ該空孔2内を流通する。従って、このシートパッド1に対し着座荷重が加えられた場合、該空孔2が減容(圧縮)されるのに伴い、該空孔2内の空気が座面1a側からのみ押し出されることになるため、座面1a側への通気が促進される。
なお、この実施の形態では、空孔2が座面1aの両サイドに臨んでいるため、乗員がシートパッド1に座ったときに、空孔2がこの乗員によって蓋をされた状態とならず、空孔2から該座面1a側へ確実に空気が流出するようになる。
この車両用シートパッド1は、単に、空孔2内に逆止弁3を設けただけのものであるため、低コストで且つ構造も簡易である。
第4図(a)は別の実施の形態に係る車両用シートパッドの縦断面図であり、第4図(b)はこのシートパッドに着座荷重が加えられたときの縦断面図である。
この実施の形態では、シートパッド1の底面1bの下側に、着座荷重により減容する気体袋4が取り付けられている。この実施の形態では、該気体袋4は、軟質な合成樹脂やゴム等からなる中空袋状体である。図示の通り、この気体袋4の側周部は蛇腹状となっており、シートパッド1の座面1aに着座荷重が加えられると、上下方向に厚みが小さくなるように減容する。この気体袋4の内部空間は空孔2(軟質チューブ10の第1のマウス部11)内に連通している。
なお、この気体袋4には、該気体袋4内に外気を導入するための給気弁(図示略)が設けられている。この給気弁は、外気の気体袋4内への流入は許容するが、気体袋4外への流出は阻止するよう構成されている。
この実施の形態のその他の構成は、前述の第1〜3図の実施の形態と同様であり、第4図において第1〜3図と同一の符号は同一の部分を示している。
この実施の形態にあっては、シートパッド1に着座荷重が加えられた場合に、気体袋4が減容して該気体袋4内の空気が空孔2内に送り込まれるため、通気が一層促進される。
第5図及び第6図はそれぞれ別の実施の形態に係る車両用シートパッド1A、1Bの断面図である。これらの車両用シートパッド1A、1B内にあっては、座面1aの下側に空室30が設けられており、該空室30と車両用シートパッド1A、1Bの底面1bとが第1の空孔31で連通され、空室30と座面1aとが第2の空孔32で連通されている。各空孔31、32にそれぞれ逆止弁3が設けられている。各逆止弁3は、底面1b側から座面1aに向かう流れを許容し、これと逆方向の流れを阻止する。
なお、第5図の車両用シートパッド1Aにあっては、底面1bから上方に向かって凹所35が設けられ、この凹所35に入れ子36を嵌挿している。この入れ子36の上面と凹所35の天井面との間に空室30が形成されている。
第6図の車両用シートパッド1Bにあっては座面1bから下方に向かって凹所37が設けられ、この凹所37に被さって蓋をするようにスラブ38が装着され、このスラブ38と凹所37の底面との間に空室30が形成されている。
第5図及び第6図のいずれにおいても、第1の空孔31の上端の開口縁部及び第2の空孔32の下端の開口縁部にそれぞれ逆止弁3が貼り付け等により設けられており、逆止弁3を容易に装着することができる。ただし、前記実施の形態のように空孔31、32の途中に逆止弁3を設けてもよい。
この車両用シートパッド1A、1Bにあっては、着座荷重が加えられると、空室30の上側の座面部分が下方に押し込まれるようにして撓み、空室30が減容し、該空室30内の空気が第2の空孔32を通って座面1a側へ流出する。着座荷重が解除されると、シートパッドが元の形状に復元し、第1の空孔31を通って底面1b側から空室30内に空気が流入する。
このようにして車両用シートパッドの通気動作が十分に行われる。この実施の形態では、空室30の容積や厚さを選定することにより、通気量を調節することができる。
上記実施の形態はいずれも本発明の一例を示すものであり、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、図2ではクッションパッドを示しているが、バックパッドを用いてもよい。
1,1A,1B 車両用シートパッド
2 空孔
3 逆止弁
4 気体袋
10 軟質チューブ
11,12 マウス部
13 ダクト部
20 金型
21 上型
22 下型
23,24 突起
30 空室
31 第1の空孔
32 第2の空孔
2 空孔
3 逆止弁
4 気体袋
10 軟質チューブ
11,12 マウス部
13 ダクト部
20 金型
21 上型
22 下型
23,24 突起
30 空室
31 第1の空孔
32 第2の空孔
Claims (8)
- 両端が外部に連通した空孔が内部に延設された車両用シートパッドであって、
該空孔内に、該空孔内の気体が該空孔の一端側から他端側へ向って流通することを許容し、これと反対側へ向って流通することを阻止する逆止弁が設けられていることを特徴とする車両用シートパッド。 - 請求項1において、該空孔の孔径は1〜50mmであることを特徴とする車両用シートパッド。
- 請求項2において、該空孔の体積は該車両用シートパッドの体積の1〜10%であることを特徴とする車両用シートパッド。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、該空孔の前記他端側が該車両用シートパッドの座面に臨んでいることを特徴とする車両用シートパッド。
- 請求項4において、該空孔の前記他端側が該車両用シートパッドの座面の複数箇所に臨んでいることを特徴とする車両用シートパッド。
- 請求項4又は5において、該空孔の前記一端側が車両用シートパッドの底面に臨んでいることを特徴とする車両用シートパッド。
- 請求項6において、該車両用シートパッドの底面に、着座荷重により減容する気体袋が配置されており、
該気体袋内が前記空孔内に連通していることを特徴とする車両用シートパッド。 - 請求項4ないし7のいずれか1項において、該車両用シートパッドの座面部は、座面側と底面側との2層からなり、該座面側と底面側との間に空室が設けられ、該空室と底面とが第1の空孔で連通され、該空孔と座面とが第2の空孔で連通されており、
該第1及び第2の空孔にそれぞれ前記逆止弁が設けられていることを特徴とする車両用シートパッド。
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