JP2006223740A - 処置具および処置具システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 操作部内の洗滌効率を高めることが可能な処置具を提供する。
【解決手段】 超音波処置装置10は、生体組織を処置する先端作用部36を先端に有する細長い挿入シース部34と、この挿入シース部34の基端部に配設され、先端作用部36を操作する操作部32とを備えている。操作部32は、操作部32の内部に流体を注入する開口を有する注入部である流体通孔74fと、この流体通孔74fと異なる位置で流体通孔74fから注入された流体を排出する排出部である流体通孔58bと、前記流体通孔74fとこの流体通孔58bとを接続する流路とを備えている。
【選択図】 図23

Description

この発明は、体内を処置するための処置具および処置具システムに関する。
特許文献1には、超音波処置装置が開示されている。この超音波処置装置は、本体ユニットと、プローブユニットと、振動子ユニットとの3つのユニットを着脱可能に備えている。3つのユニットを互いに装着した状態で本体ユニットの操作部を操作すると、本体ユニットの先端の処置部が回動して、プローブユニットの先端の処置部との間に生体組織を把持することができる。この状態で振動子ユニットに超音波振動を発生させると、プローブユニットの先端にその超音波振動が伝達されて、本体ユニットの先端の処置部との間の生体組織に超音波処置を行なうことができる。
例えば超音波処置装置などの処置具は、使用した後に再使用に供するため、その処置具を洗滌する必要がある。特許文献2に開示された処置具は、操作ロッドチャンネルシース内を洗滌する場合、洗滌アダプタを用いて流水洗滌を行なう。振動伝達部材が挿入されるチャンネルシース内は、ブラッシングにより洗滌を行なう。さらに、操作部内は、超音波洗滌を行なったり、操作部の基端部から水を入れて洗滌を行なう。この場合、操作部の基端部の同じ位置から水を排出している。
特開2002−224133号公報 特開2000−271139号公報
特許文献2に開示された処置具では、操作部内に水などを一旦溜めた後、同じ位置から排出する必要があるので、水流を利用して操作部内を洗滌する場合、手間がかかる。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、操作部内の洗滌効率を高めることが可能な処置具、および処置具システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明に係る処置具は、生体組織を処置する処置部を先端に有する細長い挿入部と、前記挿入部の基端部に配設され、前記処置部を操作する操作部とを具備し、前記操作部は、前記操作部の内部に流体を注入する開口を有する注入部と、前記注入部と異なる位置で前記注入部から注入された流体を排出する排出部と、前記注入部と前記排出部とを接続する流路とを備えていることを特徴とする。
このため、操作部の内部に対して、注入部から流路を通して排出部に洗滌液などの流体を流すことによって、流体を操作部の内部に溜めることなく、流体が流れる力によって洗滌を行なうことができるので、洗滌効率を大きく向上させることができる。
また、好ましくは、前記操作部は、略筒状の操作部本体と、この操作部本体の内部に配設された筒状体と、この操作部本体の先端部に配設され、前記挿入部を前記挿入部の軸回りに回転させる回転ノブとを具備し、前記注入部は、前記操作部本体の基端部で、前記操作部本体の内周面と前記筒状体の外周面との間に形成され、前記排出部は、前記操作部本体の先端部と前記回転ノブとの間に形成され、前記流路は、前記操作部本体の基端部と先端部との間で前記筒状体の外周面側と前記操作部本体の内周面側との間に形成されていることを特徴とする。
このため、操作部本体の基端部の注入部から操作部本体の先端部と回転ノブとの間の排出部に向けて流体を流路を通して流すことができ、流体を操作部の内部に溜めることなく、流体が流れる力によって洗滌を行なうことができるので、洗滌効率を大きく向上させることができる。
また、好ましくは、前記筒状体は、内周面側と外周面側とを連通する通孔を有する第1の筒状体と、この第1の筒状体の先端部で外周側に隙間を有する状態に配設され、内周面側と外周面側とを連通する通孔を前記第1の筒状体の通孔よりも先端部側に有する第2の筒状体と、前記第1の筒状体の先端部の外周面と、前記第2の筒状体の内周面との間に配設されたシール部材とを備えていることを特徴とする。
このため、第1の筒状体の基端部の通孔の内周面側から外周面側に流体を通し、シール部材で流体の流れを止めて第2の筒状体の通孔によって、第1の筒状体の外周面側と第2の筒状体の内周面側との間の流体を第2の筒状体の通孔によって、第2の筒状体の内周面側から外周面側に流体を通すことができる。このため、同一経路を通すことなく流体が排出されるので、洗滌効率を向上させることができる。
また、上記課題を解決するために、この発明に係る処置具システムは、生体組織を処置する処置部を先端に有する細長い挿入部と、前記挿入部の基端部に配設され、前記処置部を操作する操作部とを具備し、前記操作部は、操作部の内部に流体を注入する開口を有する注入部と、前記注入部と異なる位置で前記注入部から注入された流体を排出する排出部と、前記注入部と前記排出部とを接続する流路とを備え、前記注入部には、前記操作部に流体を注入する流体注入アダプタを着脱可能であることを特徴とする。
このため、操作部に流体注入アダプタを装着したときに、操作部の内部に対して、そのアダプタから注入部および流路を通して排出部に洗滌液などの流体を流すことによって、流体を操作部の内部に溜めることなく、流体が流れる力によって洗滌を行なうことができるので、洗滌し易く、洗滌効率を大きく向上させることができる。
また、好ましくは、前記流体注入アダプタは、前記操作部の基端部に着脱可能なアダプタ本体と、前記挿入部の中心軸と同心状に配設された筒状部とを備え、前記操作部は、前記アダプタ本体が着脱可能に配設されたときに前記筒状部が中心軸上に配設される略筒状の操作部本体と、この操作部本体の先端部に配設され、前記挿入部を前記挿入部の軸回りに回転させる回転ノブと、を具備し、前記注入部は、前記操作部本体の基端部で前記筒状部の外周面側と前記操作部本体の内周面側との間に形成され、前記排出部は、前記操作部本体の先端部で前記回転ノブの内周面側との間に形成され、前記流路は、前記筒状部の外周面側で前記操作部本体の基端部と先端部との間の内周面側に形成されていることを特徴とする。
このため、操作部本体の基端部に流体注入アダプタを装着した状態で、アダプタを通して操作部本体の注入部から操作部本体の先端部と回転ノブとの間の排出部に向けて流体を流路を通して流すことができ、流体を操作部の内部に溜めることなく、流体が流れる力によって洗滌を行なうことができるので、洗滌し易く、洗滌効率を大きく向上させることができる。
この発明によれば、操作部内の洗滌効率を高めることが可能な処置具、および処置具システムを提供することができる。
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明する。
一実施の形態について図1ないし図23を用いて説明する。
図1および図2(A)に示すように、この実施の形態に係る超音波処置装置10は、本体ユニット12と、プローブユニット(超音波プローブ)14と、振動子ユニット16とを備えている。すなわち、この超音波処置装置10は、分解可能な3つの組み立てユニット12,14,16を備えている。
プローブユニット14は、振動子ユニット16に着脱可能である。振動子ユニット16は、本体ユニット12の後述する操作部32に着脱可能である。このため、プローブユニット14と振動子ユニット16とが組み合わせられたユニットは、本体ユニット12に着脱可能である。したがって、これら3つのユニット12,14,16は、図2(A)に示す状態に分解可能であり、この状態から図1に示す状態に組み立てられる。
振動子ユニット16は、超音波振動子(図示せず)と、この振動子を覆う振動子カバー16aとを備えている。図3に示すように、超音波振動子の先端部には、超音波振動の振幅を拡大させるホーンの基端部が連結されている。このホーンの先端部には、プローブユニット14を取り付けるためのネジ穴部が形成されている。
振動子カバー16aの後端部には図示しない電源本体から電力を供給するためのハンドピースコード(図示せず)の一端部が接続されている。このハンドピースコードの他端部には電源本体に接続するための図示しないハンドピースプラグが接続されている。
図2(A)および図3に示すように、振動子ユニット16の先端部には、本体ユニット12に対する着脱用のユニット連結部22が配設されている。図3に示すように、このユニット連結部22は、接続リング22aと、リング状のアタッチメント部材22bと、固定リング22cと、Cリング(係合リング)22dとを備えている。
振動子カバー16aの先端部の内周面には、接続リング22aの取付用のネジ部16cが形成されている。このネジ部16cには接続リング22aの基端部の外周面の雄ネジ部が螺着されている。この接続リング22aの雄ネジ部の先端部には固定リング22cが螺着されている。すなわち、この接続リング22aの先端部の外周には、固定リング22cが装着されている。
接続リング22aの基端部の内周面にはアタッチメント部材22bの基端部の外周面が螺着されている。このアタッチメント部材22bの先端部の外周面には、Cリング22dが装着されている。このCリング22dはリングの一部を切り離したC字型の形状に形成されている。Cリング22dの断面形状は、外周を円弧とする略半月状の断面形状に形成されている。このユニット連結部22が本体ユニット12の後述する操作部32の基端部に着脱可能に連結される。
図2(A)に示すように、プローブユニット14は、細長い略棒状の振動伝達部材26を備えている。この振動伝達部材26の基端部には、振動子ユニット16のホーンのネジ穴部(図示せず)に連結される取付ネジ26aが形成されている。この振動伝達部材26の取付ネジ26aは、振動子ユニット16におけるホーンのネジ穴部にねじ込まれて固定されている。このため、振動子ユニット16とプローブユニット14とは、一体的な状態で使用される。
振動伝達部材26の外周面には、絶縁性を有する弾性部材でリング状に形成されたフランジ状の支持体であるゴムリング26bが配設されている。これらゴムリング26bは、振動子ユニット16側から伝達される超音波振動の節の位置(複数個所)に配設されている。
この振動伝達部材26の最先端部は、生体組織に接触させて処置する処置部26cである。この処置部26cは、振動伝達部材26の中心軸から外れる方向に湾曲された非対称形状、例えば円弧形状に形成されている。
振動伝達部材26の最も基端側の振動の節の位置には、断面形状が円形とは異なる異形断面形状部26dが形成されている。図2(B)に示すように、この異形断面形状部26dには、それぞれ90°の位置に3つの平面部26eが形成されている。これら平面部26eは、本体ユニット12に対する位置決めに使用される。
図2に示すように、本体ユニット12は、操作部32と、この操作部32から延出された細長い挿入シース部(挿入部)34と、この挿入シース部34の先端部に配設された先端作用部(処置部)36とを備えている。
ここでは、まず、操作部32の構造について説明する。
図4に示すように、この操作部32は、固定ハンドル44が一体的に形成され、絶縁性を有する略円筒状の操作部本体42を備えている。この操作部本体42の先端部には、径方向内方に突出したフランジ部が形成されている。
この操作部本体42の先端部には、固定リング46と、回転ノブ48と、先端キャップ50とが配設されている。
この操作部本体42の外周面には、固定ハンドル44に対して回動可能な可動ハンドル52が配設されている。固定ハンドル44の操作端部には、親指以外の指が選択的に掛けられる指掛孔44aが形成されている。可動ハンドル52の操作端部には、同じ手の親指が掛けられる指掛孔52aが形成されている。この操作部本体42の基端部上方には、高周波接続用の電極ピン(高周波接続ピン)54が絶縁カバー54aを介して後傾された状態で取り付けられている。
この操作部本体42の内部には、回転筒部材58と、シース接続部材60と、駆動軸ガイド部材62と、水密筒64と、駆動軸接続部材66と、駆動力制限バネ68と、スライダ70と、スライダ取付部材72と、導電筒74と、導電連結部材76と、接点部材78と、Cリング受部材80と、リング部材82とが配設されている。
図3に示すように、操作部本体42の内側の先端部には、円筒状の回転筒部材58が配設されている。この回転筒部材58は、小径部と中径部と大径部とを先端部から基端部に向かって順に備えている。すなわち、小径部の内径および外径は、中径部のそれらよりもそれぞれ小さく形成されている。中径部の内径および外径は、大径部のそれらよりもそれぞれ小さく形成されている。小径部と中径部との間、および、中径部と大径部との間には、それぞれ段差が形成されている。
小径部は、基端部の外周面に雄ネジ部が形成されている。中径部は、小径部および大径部の中間の径を備え、基端部の外周面に雄ネジ部が形成されている。大径部の基端部には、回転筒部材58の軸方向に延びた摺動孔(流体通孔)58aが形成されている。
図4ないし図6に示すように、回転筒部材58の中径部の略中央には、複数の流体通孔58bが同一周上に形成されている。これら流体通孔58bは、回転筒部材58の内部と外部とを連通する。また、大径部の先端部には、複数の流体通孔58cが同一周上に形成されている。これら流体通孔58cは、回転筒部材58の内部と外部とを連通する。
図3に示すように、この回転筒部材58の小径部の外周面には、絶縁性を有する回転ノブ48が螺合されている。図3および図5に示すように、回転筒部材58の中径部の外周面には、回転ノブ48の基端部に離れた状態で固定リング46が螺合されている。固定リング46のフランジ部と、回転筒部材58の大径部とにより操作部本体42の先端部のフランジ部が挟み込まれている。図3に示すように、固定リング46は回転筒部材58の中径部に沿って操作部本体42に対して摺動自在で、回転ノブ48を回すと回転筒部材58も回転する。
回転筒部材58の先端部の内周面には、筒状のシース接続部材60が配設されている。このシース接続部材60の基端部の内周面には、リング状の駆動軸ガイド部材62が配設されている。
これらシース接続部材60および駆動軸ガイド部材62、さらには回転筒部材58には、軸方向に直交する方向に貫通孔が形成されている。これら3つの部材58,60,62の貫通孔には、第1のピン90aが配設されている。このため、これら3つの部材58,60,62は、互いに固定されている。なお、第1のピン90aの頭部は、回転筒部材58の中径部に埋め込まれた状態にあり、中径部の外周面よりも内側にある。
シース接続部材60の内周面には、後述する外シース114の基端部が配設されている。シース接続部材60の先端部には、外シース114の外周面を被覆した絶縁チューブ116の基端部が配設されている。この絶縁チューブ116は外シース114の外周面全体を基端部までの大部分被覆している。
絶縁チューブ116の基端部の外周面には、先端キャップ50が装着されている。この先端キャップ50は、回転筒部材58の先端部の外周面に例えばクリック係合などにより着脱可能に装着されている。
駆動軸ガイド部材62は、後述する駆動軸(操作力伝達部材)132の操作部連結部132bがこの本体ユニット12の挿入シース部34の中心軸に対して平行に貫通される貫通孔をその中心軸に対して平行に備えている。このため、駆動軸132は、この貫通孔に配設されて挿入シース部34の軸方向に沿って進退可能にガイドされている。駆動軸ガイド部材62は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂材で形成され、振動伝達部材26が駆動軸132等の金属部材と接触することが防止されている。
図5に示すように、回転筒部材58の中径部の内周側には、これらシース接続部材60および駆動軸ガイド部材62の基端部に対して離れた位置に水密筒64が配設されている。この水密筒64の内周面には雌ネジが形成されており、駆動軸接続部材66の先端部の外周面に設けられた雄ネジと螺合されている。すなわち、水密筒64と駆動軸接続部材66とは互いに対して固定されている。
水密筒64は、駆動軸接続部材66の先端部の外周面に配設される筒体64aと、この筒体64aの外周面に配設されたリング状のシール部材64bとを備えている。このシール部材64bは、筒体64aの先端部の外周面に配設され、回転筒部材58の中径部の内周面との間に隙間C(図6参照)を有した状態でシール部材64bの先端側を水密状態に保持する。すなわち、シール部材64bの基端部側から先端部側に向かって液体が流れることが防止される。なお、水密筒64と回転筒部材58とは、シール部材64bによって軸方向に摺動可能である。
回転筒部材58の中径部には、シール部材64bの基端部側に、上述したように、複数の流体通孔58bが形成されている。このため、水密筒64の外周面と回転筒部材58の内周面との間を通った洗滌液等の液体は、筒体64aの外周面から回転筒部材58の流体通孔58bを通して回転筒部材58の外側に流れる。
図5および図6に示すように、駆動軸接続部材66の先端部には、駆動軸132の基端部の操作部連結部132bが第2のピン90bによって接続されている。この第2のピン90bの頭部は、駆動軸接続部材66の外周面に対して埋め込まれている。
図5に示すように、駆動軸接続部材66の基端部の内周面には、筒状のスライダ取付部材72が駆動軸接続部材66の基端部側に向かって配設されている。図5および図7に示すように、駆動軸接続部材66とスライダ取付部材72とは、1対の第3のピン90cによって固定されている。これら第3のピン90cは、互いに対向する位置ではなく、ずらされた位置に配設されている。このため、駆動軸接続部材66とスライダ取付部材72とは、互いに対して常に決められた位置に固定されている。
図4および図5に示すように、駆動軸接続部材66の外周面には、径方向外方に第1および第2のフランジ部66a,66bが形成されている。第2のフランジ部66bは、駆動軸接続部材66の基端部に配設されている。
図8および図9に示すように、第1および第2のフランジ部66a,66bは、それぞれ略正方形状に形成されている。図8に示すように、第1のフランジ部66aの縁部の各辺は、正方形の各辺が横軸Oおよび縦軸Oにそれぞれ平行である。一方、図9に示すように、第2のフランジ部66bの縁部の各辺は、正方形の各辺が横軸Oおよび縦軸Oに対してそれぞれ約45°ずつ傾けられている。このため、流体が第2のフランジ部66bから第1のフランジ部66aに流れる場合、第1および第2のフランジ部66a,66b間にまんべんなく流れる。
図5および図9に示すように、駆動軸接続部材66の第2のフランジ部66bには、回転筒部材58の摺動孔58aに頭部が配設された第4のピン90dが配設されている。このため、この第4のピン90dは、回転筒部材58の摺動孔(流体通孔)58aに沿って移動可能である。また、回転ノブ48が回転されると、回転筒部材58も回転するので、駆動軸接続部材66も回転する。すなわち、回転ノブ48が回転されると、回転筒部材58、駆動軸接続部材66、スライダ取付部材72および駆動軸132が回転する。
図10に示すように、スライダ取付部材72の基端部には、径方向外方に突出したフランジ部72aが形成されている。駆動軸接続部材66のフランジ部66aと、スライダ取付部材72のフランジ部72aとの間で、スライダ取付部材72の外周面には、絶縁性を有する略リング状のスライダ70が配設されている。
駆動軸接続部材66のフランジ部66aと、スライダ70との間で、スライダ取付部材72の外周面には、コイル状の駆動力制限バネ68が配設されている。この制限バネ68は、その自由長より圧縮して配設されているので装備荷重が与えられている。このため、スライダ70は、この駆動力制限バネ68により、スライダ取付部材72のフランジ部72aに向かって付勢されている。スライダ70の外周面には、可動ハンドル52の後述する作用ピン94を受ける溝状のピン受部70aが形成されている。
スライダ取付部材72の基端部の内周面には、導電性を有する筒状の導電筒74が配設されている。導電筒74の先端部には、導電性を有するシリコーンゴム材などの導電ゴム材製のリング状の導電部材74aが配設されている。この導電部材74aは、振動伝達部材26の振動の節部の近傍に位置する箇所に配設されている。この導電部材74aは、導電筒74に対して径方向内方側および径方向外方側にそれぞれ突出されている。このため、導電部材74aは、電極ピン54からの高周波電流を振動伝達部材26に供給するとともに、スライダ取付部材72を気密を保ちつつ摺動可能に支持する。
図11に示すように、この導電筒74の内周面には、振動伝達部材26の異形断面形状部26d(図2(B)参照)に対応する異形状穴部74bが形成されている。この異形状穴部74bは、振動伝達部材26の円形断面部分に対応する円形穴部74cと、平面部26eに対応する平面受部74dとをそれぞれ備えている。
超音波処置装置10の組み立て時には振動伝達部材26の異形断面形状部26dが導電筒74の異形状穴部74bに係合される。このため、振動伝達部材26と導電筒74との間の係合面間の回転方向の位置ずれが防止される。
図10および図12に示すように、導電筒74の先端部と基端部との間の中間の位置には、3箇所の摺動孔74eが形成されている。これら摺動孔74eは、それぞれ導電筒74の軸方向に沿って延びている。
スライダ取付部材72の基端部には、3つの第5のピン90eが配設されている。これらピン90eの頭部である外端部は外方に向けられ、ピン90eの内端部は内方に向けられている。これらピン90eの内端部は、導電筒74の摺動孔74eにそれぞれ配設されている。このため、スライダ取付部材72と導電筒74とは、互いに対して軸方向に、摺動孔74eの長さの範囲内で移動可能であるが、周方向には移動が防止されている。これら第5のピン90eは、誤った組み立てを防止するため、隣接するピン90eに対して130°、130°、100°ずつ離れた位置に配設されている。
図10に示すように、導電筒74の摺動孔74eのさらに基端部側には、導電筒74の内部と外部とを連通する複数の流体通孔74fが形成されている。これら流体通孔74fは、導電筒74の基端部で円周上に形成されている。
図3および図10に示すように、操作部本体42には、電極ピン54が配設される電極ピン取付部43が形成されている。図10に示すように、電極ピン54の基端部には、固定ネジ54bが形成され、先端部には、図示しない高周波ケーブルが接続される接続部54cが形成されている。この電極ピン54は、中間部の外周面に上述した電極絶縁カバー54aが取り付けられた状態で固定ネジ54bにより、電極ピン取付部43に取り付けられている。なお、電極ピン54の接続部54cの反対側には、円錐形の尖端部54dが形成されている。電極ピン54は尖端部54dが導電連結部材76の外周面に突き当てられている。このため、電極ピン54と導電連結部材76とは電気的に接続されている。
導電筒74の基端部の外側で、操作部本体42の基端部の内周面には、導電性を有する導電連結部材76が配設されている。この導電連結部材76は、筒体76aと、この筒体76aの基端部に配設されたフランジ部76bとを備えている。フランジ部76bは、筒体76aの基端部で径方向内方に向かって突出されている。このとき、このフランジ部76bの内周面と導電筒74の外周面との間には、隙間Cが形成されている。
この導電連結部材76の筒体76aの外周面には、上述した電極ピン54の尖端部54dが当接されている。このため、上述したように、導電連結部材76と電極ピン54とは電気的に接続されている。
導電連結部材76のフランジ部76bには、第6のピン90fによって接点部材78の基部が固定されている。この接点部材78は、先端部が本体ユニット12の先端部側に向けられている。この接点部材78は、略L字型に形成され、導電筒74の基端部の外周面に対して先端部が常に当接されるようにバネ力を有した状態で付勢されている。
この接点部材78の先端部には、導電筒74の外周面に線状に当接される接点78aが形成されている。このため、この接点部材78は、接点78aで導電筒74に接触されている。したがって、導電筒74は、接点部材78を介して導電連結部材76に電気的に接続されている。
導電連結部材76の筒体76aの基端部には、Cリング受部材80が本体ユニット12の内周面に螺合されている。このCリング受部材80の内周面には、導電連結部材76のフランジ部76bが配設されている。このCリング受部材80は、本体ユニット12の基端部側に向けて突出されている。このCリング受部材80の基端部には、径方向内方に突出した係合突部80aが形成されている。このため、このCリング受部材80には、振動子ユニット16の上述したCリング22dが係合される。
導電筒74の基端部には、絶縁性を有するリング部材82が配設されている。このリング部材82は、導電筒74の外周面に螺合されている。このリング部材82の外周には、上述したアタッチメント部材22bが配設される。
図4および図13に示すように、操作部本体42の外周面には、それぞれ1対の支点ピン受部42aと、作用ピン動作窓42bとが形成されている。作用ピン動作窓42bは、操作部本体42の壁部を貫通している。図4に示すように、可動ハンドル52の上端部には、二又状に分岐された連結部52bが形成されている。可動ハンドル52の上端部には、支点ピン92が支点ピン受部42aに配設されたカラー(絶縁キャップ)52cを通して装着されている。これらカラー52cは、可動ハンドル52をスムーズに回動させる低摩擦係数の部材で形成されている。これら支点ピン92は、後述する外シース114が本体ユニット12に装着されたときの中心軸線よりも図3中の上側で操作部本体42に連結されている。このため、可動ハンドル52は、固定ハンドル44に対して開閉可能である。
可動ハンドル52の上端部には、作用ピン94が作用ピン動作窓42bを通して上述したスライダ70のピン受部70aに配設されている。このため、固定ハンドル44に対して可動ハンドル52が支点ピン92を支点として回動されると、作用ピン94によりスライダ70がスライダ取付部材72の軸方向に沿って前後に進退される。
したがって、可動ハンドル52を固定ハンドル44に対して閉じる回動操作をすると、スライダ70は作用ピン94により操作部本体42の先端方向に押される。逆に、開く回動操作をすると操作部本体42の後端方向に押される。
ここで、スライダ70は駆動力制限バネ68により、スライダ取付部材72のフランジ部72aに付勢されている。可動ハンドル52を閉じたときに駆動力制限バネ68にかかる力量が装備力量よりも小さい場合、スライダ70、駆動力制限バネ68、スライダ取付部材72および駆動軸接続部材66は、回転筒部材58の内周面および上述した導電筒74の外周面に沿って同時に先端方向に移動する。このため、駆動軸132も先端方向に移動する。
一方、生体組織を把持している場合など、駆動軸132の進行方向の動きが規制されているときに、それ以上可動ハンドル52を閉じようとすると、駆動力制限バネ68にかかる力量が装備力量を越えた時点で駆動力制限バネ68が縮む。このため、スライダ取付部材72の外周面に沿ってスライダ70のみ先端方向に動く。したがって、一定以上の力が駆動軸接続部材66を通して駆動軸132にかかることが防止される。
次に、挿入シース部34および先端作用部36の構造について説明する。
図14に示すように、挿入シース部34は、内シース112と、外シース114と、絶縁チューブ116と、筒状の連結部材118と、絶縁カバーを有するジョー保持部材120とを備えている。先端作用部36は、駆動軸132と、この駆動軸132の先端部に回動可能に配設され、生体組織を把持するための片開き型のジョーユニット134とを備えている。
内シース112の先端部の内部には、連結部材118が配設されている。これら内シース112および連結部材118の先端部には、ジョー保持部材120の基端部が配設されている。連結部材118およびジョー保持部材120のそれぞれ基端部には、円形状の外周面の一部に平面部122aが形成された略D字状の断面形状に形成されている。
また、内シース112とジョー保持部材120の先端側とには、円形状の外周面の一部に平面部122bが形成された略D字状の断面形状に形成されている。内シース112の内腔に連結部材118とジョー保持部材120の基端側を挿通してジョー保持部材120を内シース112と連結すると、細長い平面部122bが形成される。
この平面部122bには、駆動軸132が挿入シース部34の軸方向に沿って進退可能に配設されている。なお、内シース112の基端部は、シース接続部材60の内周面に接着もしくは溶接などにより固定されている。
駆動軸132は、略平板状で可撓可能な薄板による軸本体132aを備えている。この軸本体132aの基端部には、駆動軸接続部材66の先端部に第2のピン90bによって接続される操作部連結部132bが形成されている。この軸本体132aの先端部には、横向きの軸本体132aに対して約90°捻られて縦向きに屈曲されたジョー連結部132cが形成されている。このジョー連結部132cと後述するジョー本体142の各脚部142cの上縁部側との間が連結ピン140によって回動自在に連結されている。
図15(A)に示すように、外シース114は、内シース112の外周面に配設されている。なお、平面部122に対向する面は、外シース114の内周面に接触した状態にある。このため、内シース112の外周面の平面部122と外シース114の内周面との間には、駆動軸132が配設されている。
絶縁チューブ116は、外シース114の外周面に被覆されている。図3に示すように、先端キャップ50の先端部の内周面には、絶縁チューブ116の基端部が固定されている。
図14に示すように、ジョーユニット134は、ジョー本体142と、対象物(生体組織)を把持する把持部材144とを備えている。
ジョー本体142は、略U字状に形成されている。すなわち、ジョー本体142は、先端部で連結され、基端部側で二又状に分岐された1対のアーム142a,142bを備えている。このため、ジョー本体142の基端部には、所定の隙間が形成されている。
把持部材144は、例えばPTFE等、耐熱性を有するとともに接触する部材に対する摩擦抵抗を低くする低摩擦抵抗材料で形成されている。この把持部材144には、凝固切開対象の生体組織との接触面側に滑り止めの歯が複数並設され、鋸歯状に形成された滑り止め歯部144aが形成されている。この把持部材144の滑り止め歯部144aによって凝固切開対象の生体組織を滑ることなく把持可能である。
この把持部材144の生体組織との接触面に対して反対側には、ジョー本体142の1対のアーム142a,142b間の隙間に嵌合される突起部144bが形成されている。このため、図15(A)および図15(B)に示すように、把持部材144は、ジョー本体142の隙間に対して嵌合されて装着されている。
図14および図15(C)に示すように、ジョー本体142の各アーム142a,142bの基端部には、斜め後方に向けて屈曲された脚部142cがそれぞれ形成されている。これら脚部142cには、それぞれピン穴142dが形成されている。これらピン穴142dには、枢支ピン148が配設されてジョー保持部材120の先端部のアーム120a,120bがジョー本体142に連結されている。すなわち、ジョーユニット134は、ジョー保持部材120の先端部で挿入シース部34の軸方向に対して直交する方向に回動可能である。
なお、脚部142cのピン穴142dと、枢支ピン148とは、ジョー本体142がジョー保持部材120に対してガタが付されるように、ピン穴142dの内径が枢支ピン148の外径よりもわずかに大きく形成されている。
このため、ジョーユニット134の閉操作時に振動伝達部材26の処置部26cに対してジョーユニット134の把持部材144を押し付けた際に、処置部26cの撓みに応じてジョーユニット134の把持部材144およびジョー本体142が枢支ピン148を中心として挿入シース部34の軸回りに揺動される。したがって、把持部材144と処置部26cとの間の接触部全体で対象物(臓器)が均一な力で把持される。
ジョーユニット134の把持部材144には、振動伝達部材26の処置部26cとの対向面側に、図15(B)に示すように、振動伝達部材26の処置部26cに対応する円弧形状の湾曲部が形成されている。振動伝達部材26の処置部26cとの対向面側には、図15(A)に示すように、振動伝達部材26の処置部26cの形状(図2(A)参照)に対応する凹陥状の把持面が形成されている。ジョーユニット134の全閉位置では把持部材144の下側の把持面は、振動伝達部材26の処置部26cの接触面と隙間なく密着する。
各アーム142a,142bの基端部で、脚部142cの上縁部側には、駆動軸132の先端部のジョー連結部132cと連結ピン140によって連結されるピン穴挿通部142eが形成されている。このため、駆動軸132の先端部のジョー連結部132cと、ジョー本体142のアーム142a,142bの基端部とは、ジョー本体142のピン穴挿通部142eに配設された連結ピン140によって連結されている。すなわち、駆動軸132を平面部122に沿って進退させると、ジョーユニット134がジョー保持部材120の先端部に対して回動される。
ここで、駆動軸132を先端側に前進させることによりジョーユニット134が閉じられる。このジョーユニット134の閉操作時には、プローブユニット14の振動伝達部材26の処置部26cに対してジョーユニット134の把持部材144を押し付けることにより、処置部26cとジョーユニット134の把持部材144との間で対象物(生体組織)が把持される。なお、ジョーユニット134は、生体組織の剥離にも使用される。
図16および図17には、超音波処置装置10の本体ユニット12の洗滌時に使用される洗滌アダプタ(流体注入アダプタ)210を示す。
図16および図17(A)に示すように、この洗滌アダプタ210は、アダプタ本体212と、第1ないし第3の口金214,216,218と、第1および第2の管路224,226とを備えている。アダプタ本体212は、略円筒状に形成されている。この本体212の先端部には、Cリング受部材232が配設されている。このCリング受部材232は、アダプタ本体212の先端部の内周面にその外周面が螺合されている。このとき、Cリング受部材232は、アダプタ本体212の先端からさらに先端側に突出されている。このCリング受部材232の外周面には、Cリング受部232aが形成されている。このCリング受部232aには、Cリング234が配設されている。
なお、このCリング受部材232は、上述した振動子ユニット16のアタッチメント部材22b(図3参照)に対応する。Cリング234は、振動子ユニット16のCリング22dに対応する。このため、このアダプタ本体212の先端は、本体ユニット12の基端部に着脱可能である。
図17(A)に示すように、アダプタ本体212の基端部の中心軸上には、第1の口金214と、第1の管路224と、第2の管路226とが配設されている。第1の口金214と第1の管路224とは、互いに連通された状態に接続されている。第2の管路226は、第1の管路224の周囲に配設されている。
第2の管路226の基端部には、第2の口金216が接続されている。このため、第1の管路224の外周面と第2の管路226の内周面との間と、第2の口金216とは、互いに連通された状態に接続されている。
第2の管路226の外周面とアダプタ本体212の内周面との間と、第3の口金218とは、互いに連通された状態に接続されている。
第1の管路224の先端部の外周面には、Oリング等のシール部材224aが配設されている。このシール部材224aの外周面は、内シース112の基端部の内周面に密着する。
第2の管路226の先端部の内周面と、第1の管路224の外周面との間には、スペーサ226aが形成されている。図17(B)に示すように、このスペーサ226aには、切欠部226bが形成されている。このため、第1の管路224の外周面と第2の管路226の内周面との間に洗滌液が流されると、切欠部226bを通して第2の管路226の前方に洗滌液が流れる。
図18には、超音波処置装置10の本体ユニット12の洗滌時に使用される洗滌用ブラシ310を示す。
図18(A)に示すように、このブラシ310は、柄部312とブラシ部314とを備えている。図18(B)に示すように、ブラシ部314は、第1のブラシ部314aと第2のブラシ部314bとを備えている。第1のブラシ部314aは先端側に配設され、第2のブラシ部314bは第1のブラシ部314aの基端部側の隣接した位置に配設されている。
第1のブラシ部314aは、第2のブラシ部314bに比べて毛の長さが長く、かつ細く形成されている。このため、第1のブラシ部314aのいわゆるコシは、第2のブラシ部314bのそれに比べて弱く形成されている。すなわち、第2のブラシ部314bのコシは、第1のブラシ部314aに比べて強く形成されている。
次に、このような構成を有する超音波処置装置10を組み立てて使用する作用について説明する。
図2(A)に示すように、超音波処置装置10は、本体ユニット12、プローブユニット14、振動子ユニット16の3つのユニットに分解されている。
超音波処置装置10の使用時には、プローブユニット14の取付ネジ26aを、振動子ユニット16のネジ穴部の雌ネジ部に例えばトルクレンチなどを使ってねじ込んで固定する。このため、分解状態のプローブユニット14と振動子ユニット16とが一体化される。その後、プローブユニット14と振動子ユニット16とを一体化させたユニットを本体ユニット12に取り付ける。
この本体ユニット12への取付作業時には、プローブユニット14を本体ユニット12における操作部本体42の後端開口部から操作部本体42の内部に挿入する。続いて挿入シース部34の内シース112内に挿入する。
プローブユニット14の最先端部の処置部26cは、図1に示すように、挿入シース部34の先端に対して突出され、ジョーユニット134との間で生体組織を把持可能な状態にセットされる。このとき、プローブユニット14が操作部32に対して位置決めされるとともに、振動子ユニット16のハンドピースのユニット連結部22が操作部32の基端部に対して着脱可能に連結される。
プローブユニット14は、振動伝達部材26の超音波振動の節の位置に取り付けた複数のゴムリング26bによって、振動伝達部材26が内シース112の内部に対して位置決めされる。このとき、ゴムリング26bによって、金属材製の内シース112が振動伝達部材26に直接接触することが防止された状態にある。
同様に、振動伝達部材26の異形断面形状部26d(図2(B)参照)が導電筒74の異形状穴部74b(図11参照)に係合される。この導電筒74の異形状穴部74bによって振動伝達部材26と導電筒74との間の接合面間の回転方向の位置が規定されて位置ずれが防止される。
振動子ユニット16のユニット連結部22を操作部32の基端部に連結する場合、図3に示すように、操作部本体42の基端部の内周面に沿ってユニット連結部22が先端側に向けて挿入される。このとき、ユニット連結部22のCリング22dが弾性変形しながらCリング受部材80の係合突部80aを乗り越える。ユニット連結部22のアタッチメント部材22bの先端面が導電連結部材76のフランジ部76bの基端面に当接された時点、および、固定リング22cの先端面がCリング受部材80の基端面に当接された時点でCリング22dが弾力によってCリング受部材80の係合突部80aに圧接されて摩擦力を発生して係合される。
Cリング22dとCリング受部材80の係合突部80aとの当接部には径方向の力と軸方向の力との2つの方向の力が発生され、それらによる摩擦力と当接力とにより軸方向にも周方向にも強固に係合される。
このようにして、本体ユニット12と、プローブユニット14と、振動子ユニット16とを図1で示す状態に組み立てる作業が終了する。
超音波処置装置10を使用する場合、本体ユニット12の固定ハンドル44を握り、可動ハンドル52を操作する。この場合、可動ハンドル52の指掛孔52aに親指を掛け、固定ハンドル44の指掛孔44aに同じ手の親指以外の指を掛けて操作する。
可動ハンドル52の操作により、挿入シース部34内で駆動軸132が進退する。このため、先端作用部36のジョーユニット134が挿入シース部34の先端で挿入シース部34の軸方向に沿った方向、および、軸方向から外れる方向に回動する。すなわち、ジョーユニット134が挿入シース部34の先端で開閉する。
ここで、可動ハンドル52を握る操作(閉操作)を行った場合、作用ピン94が支点ピン92を中心として図1中の時計回り方向に回動移動される。このとき、作用ピン94の移動範囲においては、作用ピン94を略直線状に先端側に進ませる。この作用ピン94の動きはスライダ70のピン受部70aの前後の壁面と作用ピン94との係合部を介してスライダ70に伝達される。このため、スライダ70がスライダ取付部材72に沿って先端側に移動される。
このスライダ70の前進移動動作は、スライダ取付部材72から第3のピン90cを介して駆動軸接続部材66に伝達される。この駆動軸接続部材66によって駆動軸132が先端に向けて押し出される。このため、挿入シース部34の内部で駆動軸132が前進する。
この駆動軸132の前進によって、挿入シース部34の先端部の連結ピン140でジョーユニット134のジョー本体142のピン穴挿通部142eを前進させる方向に力が加えられる。このため、ジョー本体142は、枢支ピン148によって挿入シース部34の先端部のジョー保持部材120に対して回動する。
ジョー本体142が回動することによって、ジョー本体142に嵌合された把持部材144がジョー本体142とともに回動する。したがって、ジョーユニット134の把持部材144が振動伝達部材26の処置部26cに対して押し付けられる。
なお、可動ハンドル52の閉操作時に、制限バネ68が自由長よりも圧縮して配設されていることによる装備力量以上の力が加えられたとき、この制限バネ68は、スライダ70によって押圧されて弾性変形する。この場合、制限バネ68のバネ長が短くなるとともにそのバネ68の反力によって、可動ハンドル52の操作が重くなる。したがって、駆動軸接続部材66がそれ以上前進することが防止され、駆動軸132に所定の力以上の力が負荷されることが防止される。
可動ハンドル52の閉操作時に、制限バネ68の装備荷重以下の力が加えられたとき、制限バネ68が弾性変形することなくジョーユニット134が開閉される。このため、ジョーユニット134の開閉操作時における可動ハンドル52の操作感が良くなる。
なお、ジョーユニット134の全閉位置では把持部材144の下側の把持面は、振動伝達部材26の処置部26cの接触面と隙間なく密着する。このとき、本体ユニット12の先端のジョーユニット134の把持部材144と、プローブユニット14の振動伝達部材26の先端の処置部26cとの間で処置対象物を把持して加圧する。この状態で振動子ユニット16に超音波振動を発生させてプローブユニット14の振動伝達部材26に超音波振動を伝達する。そうすると、振動伝達部材26の処置部26cと、処置対象物との超音波振動による摩擦熱で処置対象物の凝固や切開などの処置(超音波処置)が行われる。
処置対象物の超音波処置時には、ジョーユニット134を閉じた状態で、摩擦熱を発生させるために生体組織をしっかりと挟む。このため、振動伝達部材26の処置部26cは把持部材144による押圧力により下方向に撓む。このとき、ジョー本体142のピン穴142dに対してガタを有する枢支ピン148を支点としてジョー本体142が揺動する。すなわち、把持部材144が揺動する。
特に、図19(A)に示すように、ジョーユニット134の基端部が浮くような振動伝達部材26の処置部26cに対する把持力量が大きい場合、ジョーユニット134の基端部が枢支ピン148とピン穴142dとのガタの分だけ下側に下げられる。また、図19(B)に示すように、ジョーユニット134の先端部が浮くような振動伝達部材26の処置部26cに対する把持力量が小さい場合、ジョーユニット134の基端部が枢支ピン148とピン穴142dとのガタの分だけ上側に上げられる。
このため、振動伝達部材26の傾けられた処置部26cに対して垂直に把持部材144を押し付けることができる。このため、把持部材144の全長にわたって確実に生体組織の凝固・切開などの超音波処置が行なわれる。
また、電極ピン54の接続部54cに繋がれた高周波ケーブルからは、高周波電流が供給される。この高周波電流は、電極ピン54の尖端部54dから導電連結部材76に流れる。さらに、この高周波電流は、導電連結部材76から接点部材78、この接点部材78から導電筒74、この導電筒74から導電ゴム製の導電部材74a、この導電部材74aから振動伝達部材26に達する。その後、振動伝達部材26の処置部26cの先端から放電され、超音波処置と同様に生体組織を把持して高周波処置が行なわれる。
ここで、ジョー保持部材120および外シース114は導電性を有する金属材製である。ジョー保持部材120の基端側と外シース114とは絶縁チューブ116で絶縁被覆されている。このため、処置対象となる部分以外に高周波電流を流すことが防止される。
なお、ここでは、ジョー本体142の脚部142cのピン穴142dと枢支ピン148との上述したガタの関係を、鶏皮を超音波処置により切開する実験を行なって検討した。
特に、(1)ピン穴142dの径を0.8mmとし、枢支ピン148の外径を0.8mmとした場合、(2)ピン穴142dの径を0.9mmとし、ピン148の外径を0.8mmとした場合、および、(3)ピン穴142dの径を1.0mmとし、ピン148の外径を0.8mmとした場合について、挿入シース部34の有効長さ毎、および、ジョー本体142の形状を僅かに変化させて、ピン穴142dと枢支ピン148とのガタの関係を検討した。すなわち、枢支ピン148の外径を0.8mmで一定に保ち、ピン穴142dの径を変化させて検討を行なった。また、図20に示すように、ジョー本体142の形状は、中心軸Oに対する先端のオフセット量L、および、角度αによって規定した。
ジョー本体142の形状として、角度αを1.5°、オフセット量Lを0.2mmとして第1のジョー本体Iを規定した。角度αを1.5°、オフセット量Lを0.3mmとして第2のジョー本体IIを規定した。角度αを1.0°、オフセット量Lを0.2mmとして第3のジョー本体IIIを規定した。さらに、角度αを1.0°、オフセット量Lを0.3mmとして第4のジョー本体IVを規定した。
また、挿入シース部34の有効長さを、340mm(ロングタイプ)、および、450mm(エキストラロングタイプ)として実験を行なった。
このような実験を行なった結果を表1ないし表3に示す。表1は、上述した(1)の場合であり、表2は、上述した(2)の場合であり、表3は、上述した(3)の場合の結果である。
Figure 2006223740
Figure 2006223740
Figure 2006223740
なお、表1ないし表3中の◎は鶏皮を一様に切開可能である状態、○は鶏皮をジョーユニット134の把持部材144の前後どちらかから切開が開始され、最終的には全長で切開される状態、△は鶏皮を何とか切開可能であるが、通常の使用には向かない状態、×は鶏皮を切開できない状態を表している。
その結果、ジョー本体142に第4のジョー本体IVを使用した場合であり、かつ、挿入シース部34の有効長さが340mmである場合、ピン穴142dと枢支ピン148との関係によらずに鶏皮が一様に切除された。
また、表3に示すように、ジョー本体142に第4のジョー本体IVを使用し、かつ、挿入シース部34の有効長さが450mmである場合も、鶏皮は一様に切開された。
このため、ピン穴142dの径が1.0mmであるピン穴142dに対する枢支ピン148の外径が80%である場合、挿入シース部34の有効長さが340mm、450mmのどちらであっても、ジョー本体142には、第4のジョー本体IVとして規定した形状のものを使用することが好適であるという結果が得られた。
さらに、枢支ピン148の径をピン穴142dの径に対して80%程度としたときには、ジョー本体142の形状に関係なく、鶏皮を切開可能であった。このため、枢支ピン148の径をピン穴142dの径に対して80%程度としたときに最も好ましい結果が得られた。
また、表1および表2に示すように、挿入シース部34の有効長さが340mmの場合、ジョー本体142の形状に関係なく、鶏皮を切開可能であった。
一方、表2に示すように、挿入シース部34の有効長さが450mmの場合、第4のジョー本体IVの場合にのみ鶏皮を切開可能であったが、第1ないし第3のジョー本体I,II,IIIの場合、通常の使用に向かないことが認識された。さらに、表1に示すように、第1のジョー本体Iでは、鶏皮を切開することができなかった。また、第2ないし第4のジョー本体II,III,IVを使用した場合にも通常の使用に向かないことが認識された。
このため、枢支ピン148の外径がピン穴142dの穴径に対して100%および88.8%のとき、挿入シース部34の有効長さが340mmの場合には使用することが可能であるが、有効長さが450mmの場合には、ほとんどの場合に通常の使用には向かないことが認識された。
したがって、挿入シース部34の有効長さによって異なるが、枢支ピン148の外径がピン穴142dの径に対して上限は、約90%程度まで使用可能な範囲であると認識された。一方、下限は、約70%程度以下の場合は、超音波処置により、鶏皮を一様に切除することができるが、ガタが大きすぎるため、超音波処置を行なわない場合に通常の鉗子として上述した剥離操作を行なうときの操作性が悪くなる。このため、組織の剥離を行なうなどの操作性を考慮すると、下限は、約70%程度であることが好ましい。したがって、枢支ピン148の外径がピン穴142dの径に対して約70%から約90%程度の範囲にあることが好適で、最も好適な数値は、約80%程度である。
また、このときのジョー本体142の形状は、図20に示す角度αが1.0°であり、オフセット量Lが0.3mmであるときが最も好適である。
なお、このジョー本体142は、一体成形されているので、繰り返しの使用などにより強度が低下する薄肉部が設けられていない。このため、ジョー本体142の強度が向上し、その強度が長く一定に保たれる。
このような超音波処置や高周波処置を行なった後、振動伝達部材26の処置部26cに対してジョーユニット134を離隔させて開く。
可動ハンドル52を全閉位置から開く操作時には作用ピン94が支点ピン92を中心として図1中の反時計回り方向に回転移動される。このときの作用ピン94の移動動作に伴ってスライダ70が後方側に移動される。
このスライダ70の後退動作はスライダ取付部材72から第3のピン90cを介して駆動軸接続部材66に伝達される。この駆動軸接続部材66によって駆動軸132が後方側に向けて引き戻される。このため、挿入シース部34の内部で駆動軸132が後退する。
この駆動軸132とともにジョー連結部132cの連結ピン140も挿入シース部34の中心軸に沿って後退する。このため、ジョー本体142が枢支ピン148を支点として回動する。このとき、ジョーユニット134は、枢支ピン148を支点として図1中の時計回りに回動する。したがって、ジョーユニット134は、振動伝達部材26の処置部26cに対して離隔して開く。
また、この超音波処置装置10は、操作部32に対して挿入シース部34および先端作用部36を挿入シース部34の軸回りに回転可能である。この回転操作時には、回転ノブ48を操作する。
回転ノブ48の回転操作時には、回転ノブ48は、回転筒部材58と一体で回転する。この回転筒部材58の回転動作は、回転筒部材58の基端部の第4のピン90dを介して駆動軸接続部材66に伝えられる。
駆動軸接続部材66とスライダ取付部材72とは、第3のピン90cによって固定されているので、スライダ取付部材72も回転する。さらに、スライダ取付部材72の基端部の第5のピン90eは、導電筒74の摺動孔74eに配設されている。このため、導電筒74も回転する。この導電筒74には、振動伝達部材26の異形断面形状部26d(図2(B)参照)に対応する異形状穴部74bが形成されているので、異形状穴部74bに配設された振動伝達部材26、すなわちプローブユニット14も合わせて回転する。そうすると、操作部32の基端部で振動子ユニット16も回転する。
また、回転筒部材58の先端部で、駆動軸ガイド部材62およびシース接続部材60が第1のピン90aにより固定されている。このため、駆動軸ガイド部材62およびシース接続部材60も回転ノブ48の回転操作に伴って回転する。このため、内シース112も回転する。そうすると、内シース112の先端部に配設された連結部材118およびジョー保持部材120が内シース112の回転に伴って回転する。
したがって、回転ノブ48が回転すると、ジョーユニット134が挿入シース部34の回転に伴って回転する。このため、処置対象部位を処置し易いように、ジョーユニット134を所望の向きに挿入シース部34の軸回りに回転させて使用することができる。
本実施の形態の超音波処置装置10は、再使用に供するため、使用後に本体ユニット12、プローブユニット14、振動子ユニット16の3つに分解して洗滌を行なう。
ここでは、超音波処置装置10を使用した後、本体ユニット12を洗滌する作用について説明する。
この場合、まず、プローブユニット14と振動子ユニット16とを一体化したユニットを、本体ユニット12から取り外す。
振動子ユニット16の振動子カバー16aを把持して、本体ユニット12の操作部に対して引き抜く。そうすると、Cリング22dが一旦縮径してCリング受部材80の係合突部80aを乗り越える。このため、振動子ユニット16と本体ユニット12との係合が解除される。
プローブユニット14を挿入シース部34および操作部32から引き抜くと、本体ユニット12と、プローブユニット14および振動子ユニット16を組み合わせたユニットとの2つに分離される。プローブユニット14は、トルクレンチなどを使用して振動子ユニット16から取り外す。
本体ユニット12を洗滌するため、操作部32の基端部に洗滌アダプタ210を取り付ける。この場合、振動子ユニット16を本体ユニット12の操作部32に取り付ける作用と同様の作用により操作部32に取り付ける。
図21ないし図23に示すように、洗滌アダプタ210の第1の管路224の先端を操作部32のリング部材82、導電筒74、スライダ取付部材72、駆動軸接続部材66、駆動軸ガイド部材62、および、シース接続部材60を通して内シース112の内部に挿入する。第2の管路226の先端を操作部32のリング部材82、導電筒74を通してスライダ取付部材72の内部に挿入する。そうすると、洗滌アダプタ210のCリング234は、操作部32のCリング受部材80の係合突部80aを乗り越えてCリング受部材80に嵌合される。このため、洗滌アダプタ210が本体ユニット12の操作部32の基端部に装着される。
図21(A)に示すように、この洗滌アダプタ210の第1の口金214の基端部に第1のチューブ242を装着する。第1のチューブ242を通して第1の口金214から第1の管路224に洗滌液を注入する。すると、図21(B)に示すように、第1の管路224の先端から吐出された洗滌液によって、本体ユニット12の内シース112の内部が洗滌される。このとき、洗滌液は、図21(A)中に矢印で示す経路を通して操作部32の中心軸上を流れる。
この場合、第1の管路224が操作部32の内部(中心部)を貫通して、内シース112の内部に到達している。さらに、第1の管路224の先端の外周面には、シール部材224aが配設されている。このため、洗滌液は、内シース112の基端部に対してシールされた状態にある。したがって、洗滌液は、第1の管路224の外周面を通って第1の管路224の基端部側に流れることが防止されている。そうすると、洗滌液は、開口された内シース112の先端から排出される。すなわち、同一経路を通すことなく、洗滌液が排出される。このため、本体ユニット12の内部に洗滌液が溜まったりして洗滌液の流れが止められることがないので、洗滌液が流れる力を利用して汚れを効率的に落とすことができる。
図22(A)に示すように、第2の口金216の基端部に第2のチューブ244を装着する。第2のチューブ244を通して第2の口金216に洗滌液を注入する。このため、第1の管路224の外周面と第2の管路226の内周面との間に洗滌液が流れる。洗滌液は、第2の管路226の先端に配設されたスペーサ226aの切欠部226b(図22(B)参照)、操作部32のスライダ取付部材72の内側および駆動軸接続部材66の内側を通して内シース112の外周面と外シース114の内周面との間に流れる。
この場合、導電部材74a(図10参照)と、シール部材64b(図5参照)とにより、操作部本体42の内周面側に洗滌液が流れることが防止される。また、第1の管路224の先端に配設されたシール部材224aによって、内シース112の内側を通して先端側に洗滌液が流れることも遮断されている。このため、洗滌液は、内シース112の外周面と外シース114の内周面との間で、内シース112および外シース114の先端から洗滌液が排出される。すなわち、同一経路を通すことなく、洗滌液が排出される。このため、本体ユニット12の内部に洗滌液が溜まったりして洗滌液の流れが止められることがないので、洗滌液が流れる力を利用して汚れを効率的に落とすことができる。
図23に示すように、第3の口金218の基端部に第3のチューブ246を装着する。第3のチューブ246を通して第3の口金218に洗滌液を注入する。このため、第2の管路226の外周面とアダプタ本体212の内周面との間に洗滌液が流れる。洗滌液は、第2の管路226の外周面と、操作部32のリング部材82および導電筒74の内周面との間の隙間Cを通して流れ、一部が導電筒74の内側から流体通孔74fを通して外側に流出する。導電筒74の流体通孔74fを通過した洗滌液は、第2の管路226の外周面と導電筒74の内周面との間の隙間Cに配設された導電性を有する導電部材74aによって堰き止められる。このため、洗滌液は流体通孔74fを通して導電筒(第1の筒状体)74の外周側に流れる。
このため、操作部本体42の内周面が洗滌される。このとき、スライダ取付部材(第1の筒状体)72、スライダ70、制限バネ68の外側を通して回転筒部材58の摺動孔58aや流体通孔58cを通して回転筒部材58の内側に流入する。
また、洗滌液は、駆動軸接続部材(第1の筒状体)66の外周面を第2のフランジ部66bおよび第1のフランジ部66aを通して流れる。この場合、第1および第2のフランジ部66a,66bで切り欠かれた部分が異なるので、駆動軸接続部材66の外周面をまんべんなく洗滌して第1のフランジ部66aの先端側に流れる。
洗滌液は、回転筒部材(第2の筒状体)58の内周面と水密筒(第1の筒状体)64の外周面との間の隙間C(図5参照)を通して水密筒64の先端のシール部材64bに堰き止められる。このため、洗滌液は、回転筒部材58の中径部に配設された流体通孔58bを通して外部に流れる。この場合、回転ノブ48の基端部と操作部本体42の先端部との間を通して洗滌液が排出される。このため、本体ユニット12の内部に洗滌液が溜まったりして洗滌液の流れが止められることがないので、汚れを効率的に落とすことができる。
もちろん、第1ないし第3の口金214,216,218に同時に第1ないし第3のチューブ242,244,246をそれぞれ接続して同時に3つの流路を同時に洗滌することができる。そうすると、洗滌時間を別々に洗滌する場合に比べて短くすることができる。
このようにして、第1の口金214および第1の管路224によって第1の流路(図21(A)中の矢印参照)が形成されている。第2の口金216、および、第1の管路224の外周面と第2の管路226の内周面とによって、第2の流路(図22(A)中の矢印参照)が形成されている。第3の口金218、および、第2の管路226の外周面とアダプタ本体212の内周面とによって、第3の流路(図23中の矢印参照)が形成されている。このため、本体ユニット12の各部を、洗滌液が流れる力を利用して効率的に洗滌することができる。
また、洗滌液を流すことによる洗滌だけでは足りない場合、ブラシ310を使用して細かく洗滌を行なうことができる。
本体ユニット12の例えばジョーユニット134を洗滌する場合、細かいところを細い第1のブラシ部314aで擦って汚れを落とす。例えば、枢支ピン148とピン穴142dとの間や、連結ピン140が配設されたピン穴挿通部142eなどを第1のブラシ部314aで擦って汚れを落とす。
一方、大まかには第1のブラシ部314aよりもコシがあって太い第2のブラシ部314bで擦って汚れを落とす。例えば、ジョーユニット134のジョー本体142の各アーム142a,142bや、把持部材144の滑り止め歯部144aなどを第2のブラシ部314bで擦って汚れを落とす。
この洗滌用ブラシ310は、先端側に第1のブラシ部314aが、基端側に第2のブラシ部314bが配設されているので、ブラシ310の柄部312を把持して細かく操作するだけで2つの作用のブラシ部314a,314bを使い分けることができる。このため、擦り洗滌を容易に行なって汚れを落とすことができる。
このように、分解された本体ユニット12、プローブユニット14、振動子ユニット16の3つのユニットのそれぞれをブラシ310等により積極的に洗滌することが可能となる。このため、超音波処置装置10の洗滌時の利便性を高めることができる。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことがいえる。
超音波処置装置10のジョーユニット134のジョー本体142とジョー保持部材120との間にガタを持たせている。このため、ジョーユニット134の把持部材144と振動伝達部材26の処置部26cとの間に生体組織を把持した場合、良好な把持状態にジョーユニット134を追従させることができる。例えば、ジョーユニット134の基端部が浮くような把持力量が大きい場合、ジョーユニット134の基端部は、ガタの分だけ下側に下げられるので、把持部材144を一様に接触させることができる。また、ジョーユニット134の先端部が浮くような把持力量が小さい場合、ジョーユニット134の基端部は、枢支ピン148とピン穴142dとのガタの分だけ上側に上げられるので、把持部材144を一様に接触させることができる。
特に、ピン穴142dに対する枢支ピン148の外径の許容範囲は、約70%から約90%程度であることが好ましいが、約80%程度にした場合にジョーユニット134に対してより好ましいガタを付与した状態にすることができる。この場合、超音波処置や高周波処置とともに、組織の剥離操作を良好に行なうことができる。
また、このジョー本体142は、一体成形されているので、繰り返しの使用などにより強度が低下する薄肉部が設けられていない。このため、ジョー本体142の強度を長く一定に保つことができる。
また、超音波処置装置10の本体ユニット12を洗滌するときに、洗滌アダプタ210を使用して洗滌を行なうことができる。この場合、内シース112の内部、内シース112の外周面と外シース114の内周面との間、さらには、操作部32の内部をそれぞれ別々の流路で洗滌を行なうことができる。
特に、操作部32の内部を洗滌する場合に、回転ノブ48の基端部側と操作部本体42の先端部側との間から洗滌液を排出することができる。このため、操作部32の基端部側から注入した洗滌液を操作部32の内部に溜めることなく、洗滌を行なうことができる。このため、同じ流路を通して洗滌液を戻す必要がなく、洗滌液が流れる力を利用して効率的に洗滌を行なうことができる。
すなわち、例えばマニュアル洗滌を行なう場合に、操作部32の内部の洗滌液の通りを良くしたので、洗滌効率を向上させることができる。機械洗滌を行なった場合も、一方向に洗滌液を流すことができるので、操作部32の内部に洗滌液を滞留させることなく洗滌を行なうことができる。このため、汚れを効率的に落とすことができる。
さらに、ブラシ310のブラシ部314を細くコシが弱い第1のブラシ部314aと、第1のブラシ部314aに対してコシが強い第2のブラシ部314bとを隣接して配置したので、第1および第2のブラシ部314a,314bを容易に使い分けすることができる。このため、ブラシを変えて洗滌するような手間を省き、擦り洗滌の時間の短縮を図ることができる。
なお、この実施の形態では、高周波処置を行なうため、電極ピン54を操作部本体42に配設した場合について説明したが、超音波処置のみ行ない、高周波処置を行なわないタイプの超音波処置装置(図示せず)であっても、同様の効果を得ることができる。
また、この実施の形態では、超音波処置装置10を本体ユニット12と、プローブユニット14と、振動子ユニット16との3つのユニット部材に分解可能であることについて説明した。その他、図24に示すように、本体ユニット12を例えば操作部ユニット412と、挿入部ユニット(シースユニット)414と、処置部ユニット416など、複数の部材に分解可能に構成することも好適である。
これまで、一実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
上記説明によれば、下記の事項の発明が得られる。また、各項の組み合わせも可能である。
[付記]
(付記項1)
生体組織を処置する処置部を先端に有する処置部ユニットと、
前記処置部ユニットが挿通される挿入部ユニットと、
前記挿入部ユニットに接続されて前記処置部を操作する操作部ユニットと
を具備し、
前記操作部ユニットは、操作部ユニットに向かって流体を注入する注入部と、
前記注入部と異なる位置で前記注入部から注入された流体を排出する排出部と
前記注入部と前記排出部とを接続する管路と
を備えていることを特徴とする処置具。
(付記項2)
生体組織を処置する処置部を先端に有する細長い挿入部と、
前記挿入部の基端部に配設され、前記処置部を操作する操作部と
を具備し、
前記操作部は、
前記操作部の内部に流体を注入する開口を有する注入部と、
前記注入部と異なる位置で前記注入部から注入された流体を排出する排出部と、
前記注入部と前記排出部とを接続する流路と
を具備する処置具の洗滌時に着脱可能に装着されて使用される洗滌アダプタにおいて、
前記操作部の基端部に装着される筒状のアダプタ本体と、
前記アダプタ本体の中心軸上に配設された管路(第2の管路)と
を具備することを特徴とする洗滌アダプタ。
(付記項3)
前記管路の内側には、前記挿入部の中心軸と同心的に配設された他の管路(第1の管路)が配設されていることを特徴とする付記項2に記載の洗滌アダプタ。
(付記項4)
前記他の管路の先端部の外周面には、前記挿入部の内周面に当接されるシール部材が配設されていることを特徴とする付記項3に記載の洗滌アダプタ。
(付記項5)
前記管路の内周面と、前記他の管路の外周面との間には、流体を通す切欠部を有するスペーサが配設されていることを特徴とする付記項3もしくは付記項4に記載の洗滌アダプタ。
(付記項6)
前記アダプタ本体の先端部の外周面には、前記操作部の基端部と係合される係合部(Cリング)が配設されていることを特徴とする付記項2ないし付記項5のいずれか1に記載の洗滌アダプタ。
一実施の形態に係る超音波処置装置を示す概略的な側面図。 (A)は、一実施の形態に係る超音波処置装置における本体ユニット、プローブユニットおよび振動子ユニットを分解した状態を示す概略的な側面図、(B)は、(A)中の2B−2B線に沿う断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部およびその近傍を示す概略的な縦断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部を示す概略的な分解斜視図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の図3中に矢印Vで示す位置の概略的な拡大図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の図3中のVI−VI線に沿う概略的な断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の図3中のVII−VII線に沿う概略的な断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の図3中のVIII−VIII線に沿う概略的な断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の図3中のIX−IX線に沿う概略的な断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の図3中に矢印Xで示す位置の概略的な拡大図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の図3および図10中のXI−XI線に沿う概略的な断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の図3および図10中のXII−XII線に沿う概略的な断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の図3中のXIII−XIII線に沿う概略的な断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの挿入シース部および先端作用部を示す概略的な分解斜視図。 (A)は、一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの挿入シース部の先端部、および、先端作用部を示す概略的な縦断面図、(B)は、一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの先端作用部を(A)中の矢印15B方向から見た状態を示す概略的な部分断面図、(C)は、一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの挿入シース部および先端作用部の連結部を示す概略的な拡大図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットを洗滌するための洗滌アダプタを示す概略的な斜視図。 (A)は、一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットを洗滌するための洗滌アダプタを示す概略的な縦断面図、(B)は、(A)中の17B−17B線に沿う断面図。 (A)は、一実施の形態に係る超音波処置装置を洗滌するときに使用されるブラシを示す概略的な側面図、(B)は、(A)中のブラシのブラシ部を拡大して示す概略図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの挿入シース部の先端部、および、先端作用部を示し、(A)は、ジョーユニットの基端部が浮くように把持力量が大きくかけられた場合にジョーユニットの基端部が枢支ピンとピン穴とのガタの分だけ下側に下げられた状態を示す概略的な縦断面図、(B)は、ジョーユニットの先端部が浮くように把持力量が小さくかけられた場合にジョーユニットの基端部が枢支ピンとピン穴とのガタの分だけ上側に上げられた状態を示す概略的な縦断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の先端作用部のジョーユニットのジョー本体を示し、挿入シース部の中心軸Oに対する先端のオフセット量Lおよび角度αを示す概略的な側面図。 (A)は、一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の基端部に洗滌アダプタを装着した状態を示し、洗滌アダプタの第1の流路によって操作部本体の内シースの内側を洗滌する状態を示す概略的な縦断面図、(B)は、(A)中の21B−21B線に沿い、第1の管路内の液体の流れを示す概略的な断面図。 (A)は、一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の基端部に洗滌アダプタを装着した状態を示し、洗滌アダプタの第2の流路によって操作部本体の内シースの外側と外シースの内側との間を洗滌する状態を示す概略的な縦断面図、(B)は、(A)中の22B−22B線に沿い、第1の管路と第2の管路との間に配設されたスペーサの切欠部を通した液体の流れを示す概略的な断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの操作部の基端部に洗滌アダプタを装着した状態を示し、洗滌アダプタの第3の流路によって操作部本体の操作部の内部を洗滌する状態を示す概略的な縦断面図。 一実施の形態に係る超音波処置装置の本体ユニットの変形例を示し、本体ユニットを操作部ユニットとジョーユニットとシースユニットとの3つの部材に分解した状態を示す概略的な側面図。
符号の説明
32…操作部、42…操作部本体、43…電極ピン取付部、46…固定リング、48…回転ノブ、50…先端キャップ、58…回転筒部材、58a…摺動孔、58b…流体通孔、60…シース接続部材、62…駆動軸ガイド部材、64…水密筒、64b…シール部材、66…駆動軸接続部材、68…駆動力制限バネ、70…スライダ、72…スライダ取付部材、74…導電筒、74a…導電部材、74f…流体通孔、76…導電連結部材、80…Cリング受部材、82…リング部材、210…洗滌アダプタ、212…アダプタ本体、214…第1の口金、216…第2の口金、218…第3の口金、224…第1の管路、224a…シール部材、226…第2の管路、226a…スペーサ、226b…切欠部、246…第3のチューブ

Claims (5)

  1. 生体組織を処置する処置部を先端に有する細長い挿入部と、
    前記挿入部の基端部に配設され、前記処置部を操作する操作部と
    を具備し、
    前記操作部は、
    前記操作部の内部に流体を注入する開口を有する注入部と、
    前記注入部と異なる位置で前記注入部から注入された流体を排出する排出部と、
    前記注入部と前記排出部とを接続する流路と
    を備えていることを特徴とする処置具。
  2. 前記操作部は、
    略筒状の操作部本体と、
    この操作部本体の内部に配設された筒状体と、
    この操作部本体の先端部に配設され、前記挿入部を前記挿入部の軸回りに回転させる回転ノブと
    を具備し、
    前記注入部は、前記操作部本体の基端部で、前記操作部本体の内周面と前記筒状体の外周面との間に形成され、
    前記排出部は、前記操作部本体の先端部と前記回転ノブとの間に形成され、
    前記流路は、前記操作部本体の基端部と先端部との間で前記筒状体の外周面側と前記操作部本体の内周面側との間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の処置具。
  3. 前記筒状体は、
    内周面側と外周面側とを連通する通孔を有する第1の筒状体と、
    この第1の筒状体の先端部で外周側に隙間を有する状態に配設され、内周面側と外周面側とを連通する通孔を前記第1の筒状体の通孔よりも先端部側に有する第2の筒状体と、
    前記第1の筒状体の先端部の外周面と、前記第2の筒状体の内周面との間に配設されたシール部材と
    を備えていることを特徴とする請求項2に記載の処置具。
  4. 生体組織を処置する処置部を先端に有する細長い挿入部と、
    前記挿入部の基端部に配設され、前記処置部を操作する操作部と
    を具備し、
    前記操作部は、
    操作部の内部に流体を注入する開口を有する注入部と、
    前記注入部と異なる位置で前記注入部から注入された流体を排出する排出部と、
    前記注入部と前記排出部とを接続する流路と
    を備え、
    前記注入部には、前記操作部に流体を注入する流体注入アダプタを着脱可能であることを特徴とする処置具システム。
  5. 前記流体注入アダプタは、
    前記操作部の基端部に着脱可能なアダプタ本体と、
    前記挿入部の中心軸と同心状に配設された筒状部と
    を備え、
    前記操作部は、
    前記アダプタ本体が着脱可能に配設されたときに前記筒状部が中心軸上に配設される略筒状の操作部本体と、
    この操作部本体の先端部に配設され、前記挿入部を前記挿入部の軸回りに回転させる回転ノブと、
    を具備し、
    前記注入部は、前記操作部本体の基端部で前記筒状部の外周面側と前記操作部本体の内周面側との間に形成され、
    前記排出部は、前記操作部本体の先端部で前記回転ノブの内周面側との間に形成され、
    前記流路は、前記筒状部の外周面側で前記操作部本体の基端部と先端部との間の内周面側に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の処置具システム。
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