JP2006222874A - 音響エコー消去方法、装置、プログラム、記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
受話信号を拡声する拡声手段及び送話音声を収音する収音手段と、受話信号から疑似エコー信号を生成する適応フィルタと、収音信号から疑似エコー信号との差信号を求めて送話信号とする減算手段と、受話信号と上記差信号を入力として上記適応フィルタで用いるフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、収音信号に被線形成分が含まれているか否かを判定し、非線形成分が含まれていると判定したとき、フィルタ係数更新手段の更新動作を停止させる非線形性判定手段とを備える。
【選択図】図1
Description
より自然な拡声通話環境を実現するには、スピーカからマイクロホンへの音響的回り込みを消去するために、適応フィルタを備えた音響エコーキャンセラが必要となる。1チャネルの再生系と、1チャンネルの収音系とで構成される音響エコーキャンセラを図10に示す。受話端子1からの受話信号は拡声手段として作用するスピーカ2で音響信号として再生され、音響エコー経路を経て収音手段として作用するマイクロホン3に回り込む。エコーキャンセル部4では、受話信号x(k)が疑似エコー信号生成用のFIRフィルタ41に入力されて疑似エコー信号が生成される。減算手段43により収音信号y(k)から疑似エコー信号を差し引くことでエコー消去をはかる。この収音信号y(k)と疑似エコー信号との差信号および過去の受話信号x(k)に基づいて、収音信号y(k)と疑似エコー信号の差が小さくなるようにフィルタ係数更新手段42でFIRフィルタ41のフィルタ係数が更新される。このフィルタ係数更新手段42のフィルタ係数の更新方法としては、例えば特許文献1に記載の更新方法がある。このフィルタ係数が可変なFIRフィルタ41と減算手段43より、適応フィルタが構成される。
エコー信号に非線形成分が含まれる場合、適応フィルタのフィルタ係数は誤って更新され、エコー経路の推定値が劣化してしまう。一例としてAD変換器9で過大レベルの収音信号がクリップされたとき、適応フィルタは、エコー経路全体のインパルス応答が変化したと判断して、収音信号と疑似エコー信号との差が0となるようにFIRフィルタ41の全係数を修正してしまうことになり、この結果エコー消去機能が劣化し、悪くするとハウリングの発生乃至は不快音の発生が考えられる。
更に詳しくは、本発明の実施形態1で提案する音響エコー消去装置は受話信号を拡声する拡声器及び送話音声を収音する収音器と、受話信号から疑似エコー信号を生成する適応フィルタと、収音信号から疑似エコー信号との差信号を求めて送話信号とする減算手段と、受話信号と上記差信号を入力として上記適応フィルタで用いるフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、収音信号に非線形成分が含まれているか否かを判定し、非線形成分が含まれていないと判定したとき、フィルタ係数更新手段の更新動作を実行させ、非線形成分が含まれていると判定したとき、フィルタ係数更新手段の更新動作を停止させる非線形性判定手段とを備える。
本発明の実施形態4では、受話信号を拡声する拡声手段及び送話音声を収音する収音手段と、受話信号を複数の周波数帯域のサブバンド受話信号に分割する受話信号周波数帯域分割手段と、収音信号を複数の周波数帯域のサブバンド収音信号に分割する収音信号周波数帯域分割手段と、これら受話信号周波数帯域分割手段と収音信号周波数帯域分割手段のそれぞれで分割されたサブバンド受話信号とサブバンド収音信号とが入力され、各サブバンド受話信号からサブバンド疑似エコー信号を生成する適応フィルタによるフィルタと、サブバンド収音信号とサブバンド疑似エコー信号とのサブバンド差信号を求める減算手段と、サブバンド受話音声信号とサブバンド差信号を入力として適応フィルタに用いるフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、サブバンド収音信号に非線形成分が含まれるか否かを判定し、非線形成分が含まれないと判定した場合は上記フィルタ係数更新手段の動作を実行させ、非線形成分が含まれると判定した場合は上記フィルタ係数更新手段の動作を停止させる非線形性判定処理とを各サブバンド毎に実行し、それぞれからサブバンド差信号を出力するサブバンドエコーキャンセル手段と、各サブバンド毎にサブバンドエコーキャンセル処理されて出力されたサブバンド差信号を合成して送話音声信号とする周波数帯域合成手段とを備える。
コンピュータに音響エコー消去装置として機能させる場合、コンピュータには少なくとも受話信号から疑似エコー信号を生成する適応フィルタと、収音信号から疑似エコー信号との差信号を求めて送話信号とする減算手段と、受話信号と差信号を入力して適応フィルタに用いるフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、収音信号に非線形成分が含まれているか否かを判定し、非線形成分が含まれていないと判定した場合はフィルタ係数更新手段のフィルタ係数の更新動作を実行させ、非線形成分が含まれていると判定したときは、フィルタ係数更新手段の更新動作を停止させる非線形性判定手段を構築し、これらの各構成要素が相互に作用して音響エコー消去装置として機能する。
受話端子1からの受話信号はスピーカ2で音響信号として再生され、音響エコー経路を経てマイクロホン3に回り込む。エコーキャンセル部4において、受話信号x(k)が疑似エコー信号生成用のFIRフィルタ41に入力されて疑似エコー信号が生成される。減算手段43により収音信号から疑似エコー信号を差し引くことでエコー消去をはかり、送話端子5から対地へ送信される。
ステップSP1では受話信号を疑似エコー信号生成用のFIRフィルタに入力し、疑似エコー信号を生成。
ステップSP2では収音信号から疑似エコー信号を差し引き、対地へ送信。
ステップSP4で非線形エコー成分有りの場合はステップSP5に分岐し、フィルタ係数の更新動作を停止させる。非線形エコー成分が無い場合はステップSP6に分岐し、フィルタ係数の更新動作を継続させる。ステップSP5又はSP6を実行すると、再びステップSP1に戻り、ステップSP1〜SP5又はSP6の動作を繰り返す。
つまり、第2減算手段47の前段に非線形処理手段44を備え、FIRフィルタ41と第2減算手段47との間に非線形処理手段46を備えることにより、マイクロホン増幅器8やAD変換部9の特性のバラつきによらず、非線形エコー成分を確実に消去することが可能となる。マイクロホン増幅器8への入力からAD変換部9の出力までの入力特性として、例えば図8のような特性Aが考えられる。入力がain_p1より小さい範囲ではリニアであり(線形)、ain_p1より大きい範囲では飽和する(非線形)。非線形特性を決める飽和カーブの形やain_p1の値は、実際に電子回路で使用される素子に依存し、装置ごとにバラつきが生じる。そこでAD変換後のデジタル信号に非線形処理手段44で非線形処理することで、装置ごとの非線形特性のバラつきを抑えつつ、マイクロホン増幅器8への入力から非線形処理手段44の出力までの特性を、例えば図8のようなリミッター特性Bにすることができる。同時に、非線形処理手段46の特性をマイクロホン増幅器8への入力から非線形処理手段44までの特性と一致するように設定することで、リミッター特性Bに掛かる信号は互いに近似し、非線形エコー成分を確実に消去することが可能となる。
このMチャネルエコーキャンセル部41〜4Nの構成の一例を図6に示す。図6ではスピーカ21〜2Mとマイクロホン3の間に各エコー経路に対応するFIRフィルタ411〜41Mの出力の送話を加算手段49で求め、その総和を減算手段43で収音信号から差し引くことにより、エコー消去をはかる。
この実施例5では、図6に示したエコーキャンセル部41〜4Nに第2減算手段47を追加し、エコー消去方法を2通り用意している。非線形性判定部45においてエコー信号に非線形成分が含まれていないと判定されたとき、第1減算手段43によりエコー消去処理が行われる。またエコー信号に非線形成分が含まれていると判定されたとき、疑似エコー信号に収音信号と同様の非線形処理手段46が適用され、第2減算手段47の減算動作によりエコーが消去される。
以上説明した本発明による音響エコー消去装置はハードウェアによって構成することも可能であるが、それよりもコンピュータに音響エコー消去プログラムをインストールし、コンピュータに音響エコー消去装置として機能させる実施形態が最も簡素な実現方法である。この発明ではコンピュータにインストールする音響エコー消去プログラムも請求するものである。この発明の音響エコー消去プログラムはコンピュータが解読可能なプログラム言語によって記述され、プログラム言語によって記述された動作手順をコンピュータに備えたCPUに解読させ、コンピュータに図1を用いて説明した音響エコー消去装置、図3乃至図7を用いて説明した音響エコー消去装置として機能させる。音響エコー消去プログラムはコンピュータが読み取り可能な例えば磁気ディスク或はCD-ROMのような記録媒体に記録され、これら記録媒体からコンピュータにインストールするか、又は通信回線を通じてコンピュータにインストールされる。
3,31〜3N マイクロホン 42 フィルタ係数更新手段
4,41〜4N エコーキャンセル部 43 第1減算手段
5,51〜5N 送話端子 44,46 非線形処理手段
6 DA変換器 47 第2減算手段
7,8 アンプ 49 加算手段
9 AD変換器
Claims (9)
- 受話信号を拡声する拡声処理及び送話音声を収音する収音処理と、
受話信号から疑似エコー信号を生成する適応フィルタによるフィルタリング処理と、
収音信号から疑似エコー信号との差信号を求めて送話信号とする減算処理と、
受話信号と上記差信号を入力として上記フィルタリング処理に用いるフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新処理と、
上記収音信号に非線形成分が含まれているか否かを判定し、非線形成分が含まれていないと判定したとき、上記フィルタ係数更新処理を実行させ、非線形成分が含まれていると判定したとき、上記フィルタ係数更新処理の更新動作を停止させる非線形性判定処理と、
を含むことを特徴とする音響エコー消去方法。 - 受話信号を拡声する拡声処理及び送話音声を収音する収音処理と、
受話信号を複数の周波数帯域のサブバンド受話信号に分割する受話信号周波数帯域分割処理と、
収音信号を複数の周波数帯域のサブバンド収音信号に分割する収音信号周波数帯域分割処理と、
これら受話信号周波数帯域分割処理と収音信号周波数帯域分割処理のそれぞれで分割されたサブバンド受話信号とサブバンド収音信号とが入力され、各サブバンド受話信号からサブバンド疑似エコー信号を生成する適応フィルタによるフィルタリング処理と、サブバンド収音信号とサブバンド疑似エコー信号とのサブバンド差信号を求める減算処理と、サブバンド受話音声信号とサブバンド差信号を入力として上記フィルタリング処理に用いる適応フィルタ係数を更新するフィルタ係数更新処理と、上記サブバンド収音信号に非線形成分が含まれるか否かを判定し、非線形成分が含まれないと判定した場合は上記フィルタ係数更新処理を実行させ、非線形成分が含まれると判定した場合は上記フィルタ係数更新処理を停止させる非線形性判定処理とを各サブバンド毎に実行し、それぞれから上記サブバンド差信号を出力するサブバンドエコーキャンセル処理と、
各サブバンド毎にサブバンドエコーキャンセル処理されて出力されたサブバンド差信号を合成して送話音声信号とする周波数帯域合成処理と、
を含むことを特徴とする音響エコー消去方法。 - 受話信号を拡声する拡声手段及び送話音声を収音する収音手段と、
受話信号から疑似エコー信号を生成する適応フィルタと、
収音信号から疑似エコー信号との差信号を求めて送話信号とする減算手段と、
受話信号と上記差信号を入力として上記適応フィルタで用いるフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、
上記収音信号に被線形成分が含まれているか否かを判定し、非線形成分が含まれていないと判定したとき、上記フィルタ係数更新手段の更新動作を実行させ、非線形成分が含まれていると判定したとき、上記フィルタ係数更新手段の更新動作を停止させる非線形性判定手段と、
を備えることを特徴とする音響エコー消去装置。 - 請求項3記載の音響エコー消去装置において、
上記収音信号から疑似エコー信号との差信号を求めて送話信号とする第1減算手段に対し、非線形処理された収音信号から非線形処理された疑似エコー信号との差信号を求めて送話信号とする第2減算手段を設け、上記非線形性判定手段において収音信号に非線形成分がないと判定されたとき、上記第1減算手段が出力する差信号を送話信号とし、上記非線形性判定手段において収音信号に非線形成分があると判定されたとき上記第2減算手段が出力する差信号を送話信号とする切換手段を備える構成としたことを特徴とする音響エコー消去装置。 - 請求項3又は4記載の音響エコー消去装置の何れかにおいて、
上記非線形性判定手段は、収音信号の絶対値を予め設定した閾値と比較し、収音信号の絶対値が閾値より大きいときに非線形成分が含まれると判定する手段を備えることを特徴とする音響エコー消去装置。 - 受話信号を拡声する拡声手段及び送話音声を収音する収音手段と、
受話信号を複数の周波数帯域のサブバンド受話信号に分割する受話信号周波数帯域分割手段と、
収音信号を複数の周波数帯域のサブバンド収音信号に分割する収音信号周波数帯域分割手段と、
これら受話信号周波数帯域分割手段と収音信号周波数帯域分割手段のそれぞれで分割されたサブバンド受話信号とサブバンド収音信号とが入力され、各サブバンド受話信号からサブバンド疑似エコー信号を生成する適応フィルタによるフィルタと、サブバンド収音信号とサブバンド疑似エコー信号とのサブバンド差信号を求める減算手段と、サブバンド受話音声信号とサブバンド差信号を入力として上記適応フィルタに用いるフィルタ係数を更新するフィルタ係数更新手段と、上記サブバンド収音信号に非線形成分が含まれるか否かを判定し、非線形成分が含まれないと判定した場合は上記フィルタ係数更新手段の動作を実行させ、非線形成分が含まれると判定した場合は上記フィルタ係数更新手段の動作を停止させる非線形性判定処理とを各サブバンド毎に実行し、それぞれから上記サブバンド差信号を出力するサブバンドエコーキャンセル手段と、
各サブバンド毎にサブバンドエコーキャンセル処理されて出力されたサブバンド差信号を合成して送話音声信号とする周波数帯域合成手段と、
を備えることを特徴とする音響エコー消去装置。 - 請求項6記載の音響エコー消去装置において、
上記サブバンドエコーキャンセル部に備えられた減算手段を第1減算手段とし、この第1減算手段に対し、非線形処理されたサブバンド収音信号から非線形処理されたサブバンド疑似エコー信号とのサブバンド差信号を求めて送話信号とする第2減算手段を設け、上記非線形性判定手段において、サブバンド収音信号に非線形成分がない判定をされたとき、上記第1減算手段が出力するサブバンド差信号を上記周波数帯域合成手段で合成して送話信号とすると共に、上記非線形性判定手段において、サブバンド収音信号に非線形成分があると判定されたとき、上記第2減算手段が出力するサブバンド差信号を上記周波数帯域合成手段で合成して送話信号とすることを特徴とする音響エコー消去装置。 - コンピュータが解読可能なプログラム言語によって記述され、コンピュータに請求項3乃至7の何れかに記載の音響エコー消去装置として機能させる音響エコー消去プログラム。
- コンピュータが読み取り可能な記録媒体によって構成され、この記録媒体に上記音響エコー消去プログラムを記録した記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005036347A JP4317526B2 (ja) | 2005-02-14 | 2005-02-14 | 音響エコー消去方法、装置、プログラム、記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005036347A JP4317526B2 (ja) | 2005-02-14 | 2005-02-14 | 音響エコー消去方法、装置、プログラム、記録媒体 |
Publications (2)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011002481A (ja) * | 2009-06-16 | 2011-01-06 | Victor Co Of Japan Ltd | 雑音除去装置および雑音除去方法 |
JPWO2012157783A1 (ja) * | 2011-05-19 | 2014-07-31 | 日本電気株式会社 | 音声処理装置、音声処理方法および音声処理プログラムを記録した記録媒体 |
-
2005
- 2005-02-14 JP JP2005036347A patent/JP4317526B2/ja active Active
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JP2011002481A (ja) * | 2009-06-16 | 2011-01-06 | Victor Co Of Japan Ltd | 雑音除去装置および雑音除去方法 |
JPWO2012157783A1 (ja) * | 2011-05-19 | 2014-07-31 | 日本電気株式会社 | 音声処理装置、音声処理方法および音声処理プログラムを記録した記録媒体 |
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