JP2006220526A - 表層部性状測定方法及びそれを用いた表層欠陥判定方法、並びに金属帯の製造方法 - Google Patents

表層部性状測定方法及びそれを用いた表層欠陥判定方法、並びに金属帯の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】検査以降の工程後(例えば、冷延、鍍金工程後)に有害となる欠陥を正確に検出・弁別する表層部性状測定方法及びそれを用いた表層欠陥判定方法、並びに金属帯の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の表層部性状測定方法は、金属被検体を交流磁化し、前記被検体からの交流磁束変化を検出することにより得られる信号強度および位相を基に、金属被検体の正常部とは異なる異常部を検出することを特徴とする。そして、前記表層部性状測定方法により検出された金属被検体の異常部のうち、前記表層部性状の測定以降において有害となる部位を判定する。さらに、上記表層部性状測定方法を、金属帯を製造するに際に用いることにより、歩留まりの低下を防止するとともに高品質の製品を製造することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属被検体の表層に存在する非金属介在物等の欠陥を含む異常部を検出する表層部性状測定方法及びそれを用いた表層欠陥判定方法、並びに金属帯の製造方法に関するものである。
近年の金属製品に求められる品質レベルの高度化により、表面欠陥などの有害欠陥が少ない金属帯、中でも鋼帯に対する要望はますます強まっている。このような鋼帯としては、例えば、自動車用、製缶用の冷延鋼板、めっき鋼板などがある。自動車用に用いられる冷延鋼板では、製鋼段階などで鋼中に混入する非金属介在物などにより表面欠陥が生じることがあり、この表面欠陥の中には塗装をしても肉眼にて確認できるものもあり、これらは外観上大きな問題となっている。
例えば、上記自動車用めっき鋼板は、製鋼工程、熱延工程、酸洗工程、冷延工程、めっき工程などを経て製造され、さらにプレス工程、塗装工程を経て、自動車用部材となる。これらの製造工程を経て得られる自動車用めっき鋼板における重大欠陥の一つとして、ヘゲ、スリバー、スリキズと一般に呼ばれる表面欠陥があり、最終製品である自動車において、この表面欠陥部はその他の健全部と明らかに異なって見えるため、外観を損ねるという問題を引き起こしてしまう。さらに、表面欠陥の程度が非常にひどいものになると、プレス成型時にプレス機を損傷する場合もある。
上記、ヘゲ等も含めた表面欠陥は、製鋼工程において生じる非磁性金属介在物に発生原因がある場合、あるいは製鋼工程および熱延工程入り側(熱延前)における、酸化物の鋼材内部への混入に発生原因がある場合など、全製造工程のなかで、上工程側に起源があるとされている。そして、この表面欠陥は、熱間圧延、冷間圧延、鍍金処理と工程を経ることで顕在化する。
上記に対し、表面欠陥を少なくし高品質の製品を製造するためには、表面欠陥となる部分を全工程の中のできるだけ早い段階で検出し、その結果に応じ最適な対応を行う事が必要である。
このような技術として、特許文献1には、交流励磁を行い交流磁束の変化を検出することで欠陥候補を検出する欠陥検出工程、欠陥候補を除去対象として決定する除去対象決定工程、そして欠陥除去工程からなる冷延または鍍金鋼帯製造用鋼帯の製造方法及び鍍金鋼帯の製造方法が記載されている。具体的には、欠陥検出工程においては、磁化電源から信号に同期した基準信号を準備し、この基準信号で検出信号を同期検波することで、欠陥信号の出力を得、除去対象決定工程においては、この欠陥信号の出力が閾値以上のものを欠陥として判定する。
特開2003-236613号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、検出される信号の強度が閾値以上のものを欠陥として判定している。これは、検出信号の強度が異常部の体積(大きさ)と相関があるとの知見を利用し、所定の検出信号以上となる部位、すなわち異常部が所定の体積以上となる部位が、その検査時点で有害な欠陥である判定する、または、その検査以降の工程から最終工程を経て製品となるまでに有害な欠陥として顕在化すると判定するものである。しかし、実際には例えば、表面に近く、浅い欠陥は検査以降の冷間圧延などの圧延過程において無害な部位となったり、逆に深すぎる位置にある異常部は例え冷間圧延されても最終工程まで表面までに顕在化しない等の理由で有害にならない場合もある。このように、検査以降の工程での処理を考慮すると、異常部の体積のみでなく、異常部の深さの影響も受けるため、特許文献1に開示される異常部の体積に対応した信号強度に基いて判定した欠陥と、検査後の工程で有害になる欠陥とは厳密には一致しなかった。そして、このように検出された異常部が以降の工程において有害な欠陥となるかの判断指標が不完全であるために、検査以降の工程で有害な欠陥になる部位の見逃しとなり、その早期対応が必要となる欠陥を対応しなかったり、逆に過検出として対応する必要がない欠陥を対応したりと歩留まりの低下を起こす問題もある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、検査以降の工程後(例えば、冷延、鍍金工程後)に有害となる欠陥を正確に検出・弁別することで、対応すべき欠陥に対して的確に対応することが可能となり、歩留まりの低下を防止するとともに、高品質の製品を製造することができる表層部性状測定方法及びそれを用いた表層欠陥判定方法、並びに金属帯の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、表層部に存在する異常部の深さ位置を測定し、その情報に基づいて異常部が測定以降の工程において有害となるかどうかを正確に判定するために、以下の知見を得た。
金属被検体の表面の各位置を交流磁化し、その金属被検体の各位置からの交流磁束を測定し、その交流磁束から正常部とは異なる信号を示す領域を異常部として抽出する。このとき、信号強度に加えて、異常部の存在する深さ情報を有する信号の位相情報も測定し、信号強度と位相情報とを用いて欠陥判定をすればよい。しかし、その正常部と異なる信号を示す領域は、正常部と異なる性状である異常部位の大きさ(例えば、表面から見た時の領域)にほぼ対応して検出されるが、その領域内では信号状態は均一でなく、その領域内の場所でも信号は変化している。よって、測定以降の工程において有害な欠陥となるかを判定するに際し、同じ領域内であっても、判定に使用する代表値となる信号の場所が違うと、判定結果が異なる可能性がある。
そのため、測定以降の工程で異常部が有害な欠陥となるかを予測し、判定するに当たっては、異常となる信号を示す領域内の信号強度と位相情報の分布から、異常部の大きさとその深さ位置の分布を予測して、それが有害な欠陥になるかを判断することが重要であり、特に異常部領域内での位相の分布を表す指標(代表値)を選ぶ必要がある。
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]金属被検体を交流磁化し、前記被検体からの交流磁束変化を検出することにより得られる信号強度および位相を基に、金属被検体の正常部とは異なる異常部を検出することを特徴とする表層部性状測定方法。
[2]前記[1]において、前記位相は、前記被検体の複数位置において得られた値であることを特徴とする表層部性状測定方法。
[3]前記[1]または[2]において、前記複数位置で得られた位相を、該位相と同じ位置で得られた前記信号強度で重み付け平均を行った値を用いて前記異常部を検出することを特徴とする表層部性状測定方法。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかの表層部性状測定方法により検出された金属被検体の異常部のうち、前記表層部性状の測定以降において有害となる部位を判定することを特徴とする表層欠陥判定方法。
[5]金属帯の表層部の性状を測定する表層部性状測定工程と、前記表層部性状測定工程で検出された金属帯の異常部のうち、前記表層部性状測定工程以降の工程において有害となる部位を判定する表層欠陥判定工程と、を含み、前記表層性状測定工程において、前記[1]〜[3]に記載のいずれかの表層部性状測定方法を用いることを特徴とする金属帯の製造方法。
なお、本発明における表層欠陥とは、金属帯内部に存在し、後工程において、例えばプレス時に割れる等欠陥として顕在化するものであり、表面欠陥をも含むものである。
本発明によれば、早期の工程段階で、測定以降の各工程(冷延、鍍金工程)やその加工において、有害な欠陥となる部位を正確に弁別することが可能となる。そして、早期に欠陥原因となる部位を発見することで、欠陥原因の早期解決、欠陥部の早期除去等が可能となり、製品の歩留まり向上に大きく寄与する。また、欠陥の少ない高品質の金属帯を製造することも可能となる。
本発明を、鋼板の製造工程における表層部性状測定およびその欠陥判定に適用した例として以下に詳細に説明する。図1は、本発明の第一の実施の形態である表層部性状測定装置の構成を示す概要図である。図1において、鋼板1には、その幅方向に微小で長さ方向(紙面に垂直な方向)に長い異常部2が存在している。また、磁化器4と磁気センサ9は、鋼板1を挟んで対向して配置されている。そして、磁化電源3により、磁化器4のコイルに交流電流を供給し、鋼板1の表面付近を集中的に磁化する。図1では磁束が鋼板1の幅方向に向かって形成されるような磁化を行っているが、欠陥となりうる異常部は長さ方向(圧延方向)に長く伸び、そのような形状の異常部の検出を容易とするために、なるべくこのような磁化を行うことが好ましい。
そして、磁化器4により両磁極間に発生された磁束は、鋼板1の表面近傍を通る。この場合、異常部2が鋼板1に存在するので、この異常部2により磁束が妨げられ、多くの磁束が鋼板1の外部に漏洩し、その変化を磁気センサ9により検出する。
その出力を、同期検波器7a に導き、磁化電源3の波形を移相器5により位相を適当な値にずらした信号を基準信号として同期検波すると、異常部2 の大きさに応じた信号が得られる。この出力は信号レベル判別器8に導かれ、予め定められている閾値と比較されることにより、異常部2のレベルが判別される。
次いで、信号レベル判別器8により得られた結果は位相分布計算機10に導かれる。一方で、別系統の信号処理として、上記により同期検波の際に基準にした信号を90度移相器12により90度位相ずらした信号と同期検波器7bで同期検波を行う。位相分布計算機10では、上記信号レベル判別器8の出力信号と同期検波器7bの出力を基に位相が計算される。
位相分布計算機10により得られた結果は欠陥顕在化判定装置11に送られ、ここでは、信号の位相分布と欠陥信号強度レベルを組み合わせることにより、測定以降の工程、または、最終的に顕在化する欠陥となるかどうかの判定を行う。
なお、図1は磁気センサを1つ設置した例であるが、幅方向に複数のセンサを設け、各センサ毎に設けられた位相検波器、信号レベル判別器により処理された結果を位相分布計算機10に送ることも可能である。このように、各センサ毎に計算された位相を並べることで鋼板1の幅方向の位相分布情報を得ることができる。また、鋼板は紙面と垂直方向に動いているため、位相分布計算機10で位相を時間に対して並べることで、鋼板1の長さ方向の位相分布を得ることができる。
なお、本発明において、磁性金属被検体(例えば鋼板)の幅方向というのは、特に断らない限り当該磁性金属被検体の圧延方向と直角な方向を意味するものである。
図2 は、本発明の第二の実施の形態である表層部性状測定装置の構成を示す概要図である。図2において、前出の図1に示された構成要素と同じ構成要素には、同じ符号を付してその説明を省略することがある。鋼板1には、その幅方向に微小で長さ方向(紙面に垂直な方向)に長い異常部2 が存在している。また表層部性状測定装置として、磁化器及び磁気センサとしてE形の形状のコアを用いたコイル(以下、E形コイルと称する)13 が用いられている。E形コイル13のヨークは3つの脚部13a、13b、13cを有し、それぞれが鋼板1の表面に略垂直に、かつそれぞれが鋼板1の幅方向に並ぶように、鋼板1に対面して設けられている。
そして、中心の脚部13a に巻回されたコイルには、磁化電源3 からの交流電流が供給されて磁化されている。両側の脚部13b、13cにもコイルが巻回され、磁気センサとして使用される。脚部13aのコイルで発生した磁束は、鋼板1の表面近傍を通り、両側の脚部13b、13cを通って脚部13aに戻る。
そのとき、異常部2が図2のような位置に存在すると、脚部13a、13bを通る磁束に対する磁気抵抗が、脚部13a、13cを通る磁束に対する磁気抵抗より大きくなり、これにより、脚部13bを通る磁束の磁束密度は、脚部13cを通る磁束の磁束密度より小さくなる。よって、脚部13bに巻回されたコイルに誘起される電圧は脚部13cに巻回されたコイルに誘起される電圧より小さくなり、両者を差動増幅器6に入力すると、両者の差に対応する電圧が出力される。
その出力を、同期検波器7a に導き、磁化電源3 の波形を移相器5により位相を適当な値にずらした信号を基準信号として同期検波すると、異常部2の大きさに応じた信号が得られる。この出力は信号レベル判別器8に導かれ、予め定められている閾値と比較されることにより、異常部2のレベルが判別される。
次いで、信号レベル判別器8により得られた結果は位相分布計算機10に導かれる。一方で、別系統の信号処理として、上記により同期検波の際に基準にした信号を90度移相器12により90度位相ずらした信号と同期検波器7bで同期検波を行う。位相分布計算機10では、上記信号レベル判別器8の出力信号と同期検波器7bの出力を基に位相が計算される。
位相分布計算機10により得られた結果は欠陥顕在化判定装置11に送られ、ここでは、信号の位相分布と欠陥信号強度レベルを組み合わせることにより、最終的に顕在化する表面欠陥かどうかの判定を行う。
なお、図2では磁気センサとしてE型コイル1つを設置しているが、信号の位相の鋼板長さ方向と幅方向に対する2次元分布を得るために、上記した鋼板1の幅方向、長さ方向にこのセンサをトラバースしても良いし、鋼板1の幅方向に複数のセンサを並べ、鋼板1の長さ方向にトラバースしても良いし、鋼板1の長さ方向に複数のセンサを並べ、鋼板1の幅方向にトラバースしても良いし、鋼板1の幅方向及び長さ方向に複数のセンサを並べて信号の鋼板長さ方向と幅方向に対する2次元分布を得てもかまわない。また、上記のいずれの場合もセンサをトラバースする代わりに、鋼板を移動させてもかまない。
また、上記で複数のセンサを使用する場合は、各センサ毎に差動増幅器、位相検波器、信号レベル判別器を持ち、各センサごとの信号レベル判別器の出力結果をまとめて位相分布計算機に送り位相の分布を計算させる方法が考えられるが、電気的ないしは機械的な切り替えにより、差動増幅器、位相検波器、信号レベル判別器のいずれの間で複数のセンサの出力をまとめてもかまわない。
また、本実施例では、E形のセンサを用いているが、コの字型コイルとホール素子を用いた検出センサを組み合わせるなど、他の磁気的な検出方法でもかまわない。
以上のように、本発明では、発生された磁束が鋼板の表面近傍を通ることにより、単にその時点での表面欠陥について測定するのみならず、表面欠陥としては顕在化していない表層部の性状(以下、潜在的欠陥部)についても測定することになる。すなわち、本発明では、鋼帯表面のみならず、この表層部の異常部も測定の対象とする。
従って、本発明では、測定時点では表面欠陥、あるいは表層部欠陥として顕在化していない異常部(潜在的欠陥)についても、その後の工程で、すなわち最終的に顕在化する可能性を予測することができる。この場合、過去のデータを蓄積しておくことにより、予測の精度を向上させることができる。
なお、本発明において最終的に顕在化する欠陥とは、測定時点で正常部と異なる信号を示した部位のうちで、測定以降の工程で出荷までの製造工程で顕在化(有害化)すると予想される表層部性状の他に、最終消費における処理工程、即ち出荷後の需要家におけるプレス加工等の際に顕在化(有害化)すると予想される表層部性状についても含むものである。
図3は、図2で示した表層部性状測定装置により検出した酸洗鋼板の異常部の信号強度及び信号の位相と鋼板製造時の圧延方向との関係を示す図である。なお、この実験に際して実験条件は、励磁周波数750kHZ、リフトオフ1mmとした。一方で、圧延方向に5mmより短い長さの異常部を含む複数枚の酸洗鋼板に冷間圧延を施し、冷延鋼板とし、得られた冷延鋼板に対して表面欠陥計を用いて実際に表面に顕在化した欠陥を調べ、そのデータを収集した。その結果、最終的に冷間圧延後顕在化した欠陥に対応する表層部性状測定装置で測定された異常部の位相範囲は40度〜80度であるというデータを得た。
以上を基に、図3(図3は長さ方向の一次元分布を示した図)より、従来から行われている信号強度の最大の地点での位相を異常部の位相の代表値として用いた場合、位相の代表値は33度となる。最終的に顕在化される欠陥の上記位相範囲40度〜80度の範囲外であり、これは最終的に欠陥にならないと判断される。
一方で、図3において検出された異常部全体としては、最終的に欠陥として顕在化するとされる上記位相範囲40度〜80度にほぼ含まれており、かつ、その部分の信号強度も強くなっていることがわかる。この鋼板を冷間圧延したところ、この異常部は表面欠陥として顕在化した。例えば、後述する式1に基づき位相に対して、信号強度を元に重みをつけた重み付け平均をとったところ、61度となり、上記の実験における冷間圧延後に顕在化した欠陥の酸洗段階での5mmより短い異常部の位相(40度〜80度)の範囲に入る。このように異常部の長さが5mm以上と長い場合には、重み付け平均により異常部全体の位相を代表する数値とするのが好ましく、適正な結果が得られる。また、異常部が5mm以下と短い場合でも異常部が短いため重み付け平均を取ってもピークの位相とほとんど値は変わらないが、重み付け平均をとる方式は同様に有効であるので、長さで区別せず、全ての異常部にこの重み付け平均の処理をしてもかまわない。ただし、ここで、重み付け平均Wは信号強度をAi、位相をθiとしたとき式1で表される。なお、添字iは信号の検出位置(図3の例では長さ方向の一次元座標であるが、長さ方向および幅方向に測定した場合は2次元位置の座標となる。)
また、異常部領域のうちで、信号強度が最大となる位置を基準として、設計的事項もしくは経験的な事項から任意の領域を定め、その領域に含まれる点における位相の平均をとるようにしてもよい。また、式1は位置を離散的サンプリングして測定した場合の式であるが、連続的に測定した結果の場合でも上記と同様の結果が得られる。この場合の重み付け平均Wは、信号強度をA(x)、位相をθ(x)としたとき式2で表される。なお、xは異常部信号の位置を表す。(図3の例では長さ方向の一次元座標であるが、長さ方向および幅方向に測定した場合は2次元位置の座標となる。)
さらに、例えば、信号強度の2乗を用いたり、信号強度がある閾値以上の場合のみ重みを1としそれ以外の場合に0とするなど信号強度を元に、異常部全体の位相を代表する数値を決定することも可能である。
さらに、信号強度を元に、信号強度の強い順に3点までの点で重みを1とし、それ以外の点での重みを0とする、すなわち、信号強度の強い順に3点までの位相の平均値を求めることもできる。この場合、図3の異常部に当てはめると58度となり、やはり、異常部全体の位相を代表する数値として適当な数値となっていることがわかる。
以上のように、本発明では、金属被検体を交流磁化し、欠陥に起因して発生する交流磁束の変化を検出することにより得られる位相および信号強度を基に、金属被検体の表層異常部を検出し、さらに、これらの位相分布と欠陥信号強度レベルを組み合わせることにより、検出された異常部が最終的に顕在化する欠陥かどうかを判定する。
すなわち、本発明では、まず、第1の基準信号に対する出力Yが閾値を越えたものを一次的に異常部と判定する。次に、あらかじめ、第1の基準信号から90度ずらした第2の基準信号を用意しておき、同期検波を行い、上記異常部に対して第1の基準信号に対する出力Yと第2の基準信号に対する出力Xを用いて、θ=tan-1(Y/X)として位相θを決定する。この位相θと基準信号の出力Yとの組み合わせにより、欠陥顕在化を判定することを特徴とする。
以上、上述した表層部性状測定方法及び表層欠陥の判定方法は、鋼板を製造する際に用いることができる。
具体的には、例えば、熱間圧延後、冷間圧延前である酸洗ラインに図2の表層部性状測定装置を設置し、熱間圧延を施された鋼板に対して表層部性状測定を行い、検出された異常部が冷延工程後または亜鉛鍍金工程後に欠陥として顕在化するかどうかを弁別判定する。次いで、最終的に顕在化すると判定された異常部は、例えば、酸洗段階で除去され、異常部が除去された鋼板は、冷間圧延を経て、あるいはさらにめっきを施し、冷延鋼板または鍍金鋼板となる。この冷延鋼板または鍍金鋼板は、欠陥となる部分が除去されている結果、表面欠陥の非常に少ない良質の鋼板となる。このように本発明の方法では表層部の性状を測定し、以降の工程で顕在化する欠陥を予測、判定して、有害部を決定することで、性状測定時には表面に顕在化していない欠陥をも検知できる。そして、早期に欠陥原因を発見することで、欠陥原因の早期解決、欠陥部の早期除去が可能となり、高い歩留まりで冷延または鍍金鋼板を製造することが可能となる。
なお、上記では、表層部性状測定装置を酸洗ラインに設置し、熱間圧延後冷間圧延前に表層部の性状測定を行って、欠陥顕在化の予測判定を行ったが、性状測定および予測判定を行うタイミングは特に限定しない。しかし、1)除去により逆に欠陥を発生させることの無いよう、部分的に除去された鋼帯の形状、性状を、圧延により均一に整える必要から異常部の除去はできるだけ上流にて、少なくとも冷間圧延前に行う方がよい。一方で、2)検出の容易性(板形状が良く、かつ、板厚が減少しそれに伴い異常部が表面からできるだけ近くに存在する方が検出は容易)、検出の正確性(圧延により異常部も変形していく中で、最終製品にできるだけ近い段階で検出することで、重大度の評価もより正確)の点からは下流側、少なくとも熱延工程以降が望ましい。以上の理由により熱間圧延後冷間圧延前に行うのが好ましい。
また、本発明では、磁性金属被検体を交流磁束によって磁化している。よって、直流磁化を用いる場合に比して表皮効果の影響により磁束の浸透深さが制限され、磁性金属被検体の表層部近くに集中することになる。よって、表面又は表層部に存在する欠陥のみを効率よく検出することができる。
また、実施形態での説明に、鋼板の製造ラインを取り上げたが、アルミ板や銅板などの金属帯で、鋼板と同様の工程を有する金属帯の製造ラインにおいても適用出来ることは言うまでもない。
図2の表層部性状測定装置を酸洗ラインに設置し、上述する方法にて、酸洗鋼板に対して表層部の性状を測定した。引き続き、上記鋼板に冷延、亜鉛めっきを施し、得られた鍍金鋼板に対して欠陥の有無を調査し、酸洗工程にて検出した異常部が最終的に有害欠陥として顕在化するかどうかを調べた。得られた結果を図4に示す。図4は、3点平均位相と信号強度との関係を示す図である。なお、図4において、3点平均位相は、信号強度の強い順に3点までの位相の平均値である。
図4より、顕在化の有無はある境界線を境に分かれており、この境界線は信号強度と位相から式で表すことができ、得られた式を用いることで、欠陥の最終的な顕在化の有無が精度よく分布されることがわかる。すなわち、最終的に顕在化するかどうかは信号強度のみでは判定できず、信号強度と位相を組み合わせて初めて欠陥顕在化の予測、判定が可能となることがわかる。これは、位相の小さいものは酸洗段階で浅い位置に存在し、大きいものは深い位置に存在することに対応するが、浅くて体積の小さい異常部は圧延過程において無害化され、深くて体積の小さい異常部は深すぎて最終工程まで顕在化せず、有害とならないものであることと対応すると考えられる。また、浅くても信号強度が大きい体積の大きい異常部、深くても信号強度が大きい体積の大きい異常部、信号強度が小さく体積が小さくても適当な深さ(位相60度前後)にあればそれらは表面欠陥として顕在化すると考えられる。
表面欠陥などの有害欠陥が少なく、優れた品質レベルが求められる金属製品に対して、本発明表層欠陥の検出方法及びそれを用いた表層欠陥判定方法は有用である。
本発明の第一の実施の形態である表層部性状測定装置の構成を示す概要図である。 本発明の第二の実施の形態である表層部性状測定装置の構成を示す概要図である。 酸洗鋼板の異常部の信号強度及び信号の位相と鋼板製造時の圧延方向との関係を示す図である。 3点平均位相と信号強度との関係を示す図である。
符号の説明
1 鋼板
2 異常部
3 磁化電源
4 磁化器
5 移相器
6 差動増幅器
7a、7b 同期検波器
8 信号レベル判別器
9 磁気センサ
10 位相分布計算機
11 欠陥顕在化判定装置
12 90度移相器
13 E型コイル

Claims (5)

  1. 金属被検体を交流磁化し、前記被検体からの交流磁束変化を検出することにより得られる信号強度および位相を基に、金属被検体の正常部とは異なる異常部を検出することを特徴とする表層部性状測定方法。
  2. 前記位相は、前記被検体の複数位置において得られた値であることを特徴とする請求項1に記載の表層部性状測定方法。
  3. 前記複数位置で得られた位相を、該位相と同じ位置で得られた前記信号強度で重み付け平均を行った値を用いて前記異常部を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の表層部性状測定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの表層部性状測定方法により検出された金属被検体の異常部のうち、前記表層部性状の測定以降において有害となる部位を判定することを特徴とする表層欠陥判定方法。
  5. 金属帯の表層部の性状を測定する表層部性状測定工程と、
    前記表層部性状測定工程で検出された金属帯の異常部のうち、前記表層部性状測定工程以降の工程において有害となる部位を判定する表層欠陥判定工程と、を含み、
    前記表層性状測定工程において、請求項1〜3に記載のいずれかの表層部性状測定方法を用いることを特徴とする金属帯の製造方法。
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