JP2006220250A - トリポード型等速ジョイント - Google Patents
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Abstract
【課題】グリース潤滑を不要とすることができる使用の制限を受けることが少ないトリポード型等速ジョイントを提供することである。
【解決手段】外輪1の内周に3本のトラック溝4を周方向に120°の間隔をおいて形成する。外輪1の内側に組込まれたトリポード部材11には外輪1のトラック溝4の対向一対のローラ案内面5に沿って転動可能なトルク伝達用のローラ13を設ける。外輪1およびローラ13を合成樹脂の成形品としてグリース潤滑を不要とする。
【選択図】図1
【解決手段】外輪1の内周に3本のトラック溝4を周方向に120°の間隔をおいて形成する。外輪1の内側に組込まれたトリポード部材11には外輪1のトラック溝4の対向一対のローラ案内面5に沿って転動可能なトルク伝達用のローラ13を設ける。外輪1およびローラ13を合成樹脂の成形品としてグリース潤滑を不要とする。
【選択図】図1
Description
この発明は、駆動軸と被駆動軸の2軸を連結して、駆動軸の動力を被駆動軸に伝達するトリポード型等速ジョイントに関するものである。
自動車のドライブシャフトの回転トルクを車軸に伝達する部品として等速ジョイントが従来から知られている。
上記等速ジョイントは、駆動軸と被駆動軸との等速性を維持しながら両軸の角度変位を許容する部材であるため、自動車以外の各種産業機械にも多用されている。
等速ジョイントには、角度変位のみを許容する固定型等速ジョイントと、角度変位と軸方向変位を許容する摺動型等速ジョイントとが存在し、その摺動型等速ジョイントとして、特許文献1に記載されたものが知られている。
上記特許文献1に記載された等速ジョイントは、トリポード型等速ジョイントと称され、外輪の内周に軸方向に延びる3本のトラック溝を周方向に120°の間隔をおいて形成し、その外輪の内側に組込んだトリポード部材にはトラック溝のそれぞれに挿入される3本の半径方向に延びる脚軸を突設し、各脚軸の外側にトラック溝に沿って転動可能な球面ローラを回転可能に、かつ軸方向にスライド自在に嵌合し、その球面ローラを介して外輪とトリポード部材の相互間で回転トルクの伝達を行なうようにしている。
特公平3−1528号公報
ところで、上記特許文献1に記載されたトリポード型等速ジョイントにおいては、外輪、トリポード部材および球面ローラの各種部品が鉄鋼等の金属から成るため、強度が高いものの、重く、グリース潤滑が必要であり、動作音が大きい等の問題を有し、使用箇所への制限があった。例えば、事務機、音響機器、医療機器、家庭用電化製品等への使用には問題があった。
また、食品製造機器への使用においては、グリースの漏洩によって食品が汚染されるため、ブーツ等の取付けによるグリースの漏洩防止対策が必要となり、部品点数が多くなってコストも高く、等速ジョイントが大型化するという問題があった。
この発明の課題は、グリース潤滑を不要とすることができる軽量で小型の動作音の小さな、使用の制限を受けることが少ないトリポード型等速ジョイントを提供することである。
上記の課題を解決するため、第1の発明においては、外輪の内周に軸方向に延びる3本のトラック溝を周方向に120°の間隔をおいて形成し、外輪の内側に組込まれたトリポード部材には各トラック溝の外輪周方向で対向するローラ案内面に沿って転動可能なトルク伝達用のローラを設けたトリポード型等速ジョイントにおいて、前記ローラを合成樹脂の成形品とした構成を採用したのである。
ここで、ローラの支持に際し、そのローラにローラ軸を一体に設け、そのローラ軸をトリポード部材の外周に形成された軸挿入孔に回転自在に、かつスライド自在に挿入してもよく、あるいは、トリポード部材の外周にローラ軸を一体に設け、そのローラ軸によってローラを回転自在に、かつスライド自在に支持してもよい。また、トリポード部材の外周に形成された軸挿入孔にローラ軸を圧入し、そのローラ軸によってローラを回転自在に、かつスライド自在に支持してもよい。
また、上記の課題を解決するため、第2の発明においては、上記第1の発明に係るトリポード型等速ジョイントの外輪を合成樹脂の成形品としたのである。
さらに、第3の発明においては、外輪の内周に軸方向に延びる3本のトラック溝を周方向に120°の間隔をおいて形成し、外輪の内側に組込まれたトリポード部材には各トラック溝の外輪周方向で対向するローラ案内面に沿って転動可能なトルク伝達用のローラを設けたトリポード型等速ジョイントにおいて、前記外輪を合成樹脂の成形品とした構成を採用したのである。
第1の発明乃至第3の発明に係るトリポード型等速ジョイントにおいて、合成樹脂として、射出成形可能な合成樹脂を採用することにより、各種部品の成形の容易化を図ることができる。
また、合成樹脂として、潤滑性樹脂を採用することにより、動作音のより小さなトリポード型等速ジョイントを得ることができる。
ここで、トラック溝と突出部の接触部間に予圧を付与することにより、周方向にガタのない等速性に優れたトリポード型等速ジョイントを得ることができる。
第1の発明のように、ローラを合成樹脂の成形品としたことによって、軽量であって、トルク伝達時の動作音の小さな等速ジョイントを得ることができると共に、グリース潤滑を不要とすることができるので、ブーツの取付けを不要とすることができ、簡単な構造の小型のトリポード型等速ジョイントを得ることができる。
このため、使用に制限を受けることが少なく、これまで使用が困難であった事務機、音響機器、医療機器、家庭用電化製品等の各機器への使用が可能となり、これら機器の設計の自由度を高め、小型化、低コスト化を図ることができる。
このため、使用に制限を受けることが少なく、これまで使用が困難であった事務機、音響機器、医療機器、家庭用電化製品等の各機器への使用が可能となり、これら機器の設計の自由度を高め、小型化、低コスト化を図ることができる。
第2の発明のように、ローラおよび外輪の双方を合成樹脂の成形品とすることによって、より軽量なトリポード型等速ジョイントを得ることができる。
また、第3の発明のように、外輪を合成樹脂の成形品とすることによって、第1の発明と同様に、トルク伝達時の動作音の小さな等速ジョイントを得ることができると共に、グリース潤滑を不要とすることができるので、ブーツの取付けを不要とすることができ、簡単な構造の小型のトリポード型等速ジョイントを得ることができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図示のように、トリポード型等速ジョイントは、外輪1と、その内側に組込まれたトリポード部材11とから成る。
外輪1は、一端が開口するカップ部2の閉塞端に第1軸3を設けた構成とされ、上記カップ部2の内周には、その開口端から軸方向に延びる3本のトラック溝4が周方向に120°の間隔をおいて形成されている。各トラック溝4の外輪周方向で対向する両側にはローラ案内面5が形成され、そのローラ案内面5は円筒面とされている。
トリポード部材11は第2軸12を有している。このトリポード部材11の外周には3つのローラ13が設けられ、各ローラ13は外輪1のトラック溝4内に組込まれている。
ローラ13のそれぞれは回転自在およびローラ軸方向に移動自在の支持とされ、外周には球面14が形成され、トラック溝4のローラ案内面5に沿って転動自在とされている。
ここで、ローラ13の支持に際し、図1および図3では、そのローラ13にローラ軸15を一体に設け、このローラ軸15をトリポード部材11の外周に形成された軸挿入孔16内に回転自在に、かつスライド自在に挿入している。
また、図4では、トリポード部材11にローラ軸17を一体に設け、そのローラ軸17によってローラ13を回転自在に、かつスライド自在に支持している。
さらに、図5では、トリポード部材11の外周に軸挿入孔16を形成し、その軸挿入孔16にローラ軸18の一端部を圧入し、ローラ軸18の他端部によってローラ13を回転自在に、かつスライド自在に支持している。
上記ローラ13は、第1軸3と第2軸12の一方に対する回転トルクの入力時、トラック溝4の両側のローラ案内面5の一方と係合し、その係合部において、外輪1とトリポード部材11の相互間で回転トルクの伝達を行なうようになっている。
また、第1軸3と第2軸12が相対的に角度をとってトルクを伝達するとき、ローラ13はトラック溝4に沿って外輪1の軸方向にスライドする。このとき、ローラ13はトラック溝4のローラ案内面5との接触により転動すると共に、ローラ軸方向に移動する。
図1および図2に示すように、外輪1のカップ部2における開口端部の内周には係合溝6が形成され、その係合溝6に一部が切り離された止め輪7が取付けられている。止め輪7はカップ部2の開口端からトリポード部材11が抜け出るのを防止している。
外輪1および第2軸12を含むトリポード部材11、並びにローラ13のそれぞれは合成樹脂の成形品とされている。合成樹脂はトリポード型等速ジョイントの使用条件によって適切なものを選択し、射出成形可能な合成樹脂が望ましい。射出成形可能な樹脂であれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよい。
射出成形可能な樹脂には結晶性樹脂、非結晶性樹脂があり、いずれの樹脂を使用してもよいが、非結晶性樹脂は靱性が低く、許容量以上のトルクがかかった場合急激な破壊が生じるため、結晶性樹脂を用いるのが好ましい。
好ましい合成樹脂として、潤滑特性の高い合成樹脂、例えば、ポリアセタール樹脂(POM)、ナイロン樹脂、PFAやFEP、ETFE等の射出成形可能なフッ素樹脂、射出成形可能なポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、全芳香族ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリアミドイミド樹脂等を挙げることができる。
これらの各樹脂は単独で使用してもよく、2種類以上混合したポリマーアロイであってもよい。あるいは、上記以外の潤滑特性の低い合成樹脂に上記の合成樹脂を配合したポリマーアロイであってもよい。
また、潤滑特性の低い合成樹脂であっても、固体潤滑剤や潤滑油を添加することで潤滑特性を高めることにより使用可能である。固体潤滑剤として、ポリテトラフルオロエチレン、黒鉛、二硫化モリブデン等を挙げることができる。
また、合成樹脂にガラス繊維、炭素繊維、各種鉱物性繊維(ウィスカー)を配合して強度を高めてもよく、固体潤滑剤等と併用してもよい。
この発明で最も使用に適した材料は、POM、ナイロン樹脂、PPS、PEEKである。ナイロン樹脂はナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、分子鎖中に芳香族環を有する半芳香族ナイロン等のいずれでもよい。POM、ナイロン樹脂、PPSは、耐熱性、潤滑性に優れ、比較的安価であるため、コストパフォーマンスに優れた等速ジョイントを得ることができる。
上記のように、外輪1および第2軸を含むトリポード部材11、並びにローラ13のそれぞれを成形品とすることによって、軽量であって、トルク伝達時の動作音の小さなトリポード型等速ジョイントを得ることができると共に、グリース潤滑を不要とすることができる。また、グリース潤滑する必要がないため、ブーツの取付けを不要とすることができ、部品点数の少ない簡単な構造の小型のトリポード型等速ジョイントを得ることができる。また、PEEKは補強材や潤滑剤を配合しなくても機械的強度や潤滑性に優れるため、高機能なトリポード型等速ジョイントを得ることができる。
このため、使用の制限を受けることが少なく、食品製造機器等の各種の機器に使用することが可能である。
トリポード型等速ジョイントを医療機器や食品製造機器に使用する場合は、衛生的な印象を与えるため、合成樹脂は白色系のものを用いるのが好ましい。POMであれば、白色系であると共に、潤滑性も高く、グリースレス化が可能のため最適である。
実施形態では、第2軸12を含むトリポード部材11およびローラ13のそれぞれを合成樹脂の成形品としたが、ローラ13のみを合成樹脂で成形し、トリポード部材11および第2軸12をセラミックスや鉄鋼、ステンレススチール、アルミニウム合金等の金属で形成してもよい。
また、トリポード部材11を合成樹脂の成形品とし、セラミックスや鉄鋼、ステンレススチール、アルミニウム合金等の金属から成る第2軸12を上記トリポード部材11にボルト等の結合手段で結合してもよい。
なお、第2軸12が比較的長い場合は、トルク損失を防止するため、第2軸12をセラミックスや金属で形成することが好ましい。
また、外輪1においては、カップ部2と第1軸3を合成樹脂で一体に成形したが、第1軸3をセラミックスや鉄鋼、ステンレススチール、アルミ合金等で形成して、合成樹脂の成形品から成るカップ部2に結合するようにしてもよい。
実施の形態で示すように、外輪1を合成樹脂の成形品とすることにより、その外輪1の弾性を利用してローラ13とトラック溝4のローラ案内面5の接触部に予圧を付与することができる。具体的には、トラック溝4の対向一対のローラ案内面5間の寸法をローラ13の球径より小さくすることでローラ13とトラック溝4のローラ案内面5の接触部に予圧を付与することができる。
また、外輪1が合成樹脂ではなくセラミックス、鉄鋼、ステンレススチール、アルミニウム合金等であっても突出部13を合成樹脂の成形品とすることにより、そのローラ13の弾性を利用してローラ13とトラック溝4の対向一対のローラ案内面5の接触部に予圧を付与することができる。具体的には、ローラ13の球径をトラック溝4の対向一対のローラ案内面5間の寸法より大きくすることでローラ13とトラック溝4の対向一対のローラ案内面5の接触部に予圧を付与することができる。
上記のように、ローラ13に予圧を付与することによって、周方向にガタのない等速性に優れたトリポード型等速ジョイントを得ることができる。
ここで、図6および図7に示すように、カップ部2に形成されたトラック溝4の外周壁部にカップ部2の開口端から軸方向に延びる周方向の切り離し部8を形成すると、カップ部2を径方向に弾性変形可能とすることができるため、ローラ13に対する予圧の付与が容易であり、トラック溝4の幅寸法を厳しく管理する必要がないため、外輪1の製作の容易化を図ることができる。
実施の形態では、外輪1およびトリポード部材11並びにローラ13を合成樹脂の成形品としたが、ローラ13のみ、あるいは外輪1のみを合成樹脂の成形品としてもよい。
1 外輪
4 トラック溝
5 ローラ案内面
11 トリポード部材
13 ローラ
4 トラック溝
5 ローラ案内面
11 トリポード部材
13 ローラ
Claims (6)
- 外輪の内周に軸方向に延びる3本のトラック溝を周方向に120°の間隔をおいて形成し、外輪の内側に組込まれたトリポード部材には各トラック溝の外輪周方向で対向するローラ案内面に沿って転動可能なトルク伝達用のローラを設けたトリポード型等速ジョイントにおいて、前記ローラを合成樹脂の成形品としたことを特徴とするトリポード型等速ジョイント。
- 前記外輪を合成樹脂の成形品とした請求項1に記載のトリポード型等速ジョイント。
- 外輪の内周に軸方向に延びる3本のトラック溝を周方向に120°の間隔をおいて形成し、外輪の内側に組込まれたトリポード部材には各トラック溝の外輪周方向で対向するローラ案内面に沿って転動可能なトルク伝達用のローラを設けたトリポード型等速ジョイントにおいて、前記外輪を合成樹脂の成形品としたことを特徴とするトリポード型等速ジョイント。
- 前記合成樹脂が、射出成形可能な合成樹脂から成る請求項1乃至3のいずれかに記載のトリポード型等速ジョイント。
- 前記合成樹脂が、潤滑性樹脂である請求項1乃至4のいずれかに記載のトリポード型等速ジョイント。
- 前記トラック溝とローラの接触部間に予圧を付与した請求項1乃至5のいずれかに記載のトリポード型等速ジョイント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005035830A JP2006220250A (ja) | 2005-02-14 | 2005-02-14 | トリポード型等速ジョイント |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2006220250A true JP2006220250A (ja) | 2006-08-24 |
Family
ID=36982708
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101615937B1 (ko) * | 2015-12-10 | 2016-04-27 | 서한산업(주) | 등속조인트 |
KR101837396B1 (ko) | 2016-06-29 | 2018-03-13 | 현대위아(주) | 등속조인트 |
CN108953403A (zh) * | 2018-08-01 | 2018-12-07 | 浙江德福精密驱动制造有限公司 | 一种滚动式三球销万向节总成 |
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2005
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CN108953403B (zh) * | 2018-08-01 | 2024-05-14 | 浙江德福精密驱动制造有限公司 | 一种滚动式三球销万向节总成 |
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