JP2006220163A - 油圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ピストンロッドに対するリバウンド部材の組立時にその挿入作業に起因するホルダの挿入孔内周面の傷付きが防止できる構造を備えた油圧緩衝器を提供する。
【解決手段】 リバウンド部材8をコイルスプリング22と、このコイルスプリング22の少なくとも一方端に嵌合した状態で挿入孔を介してピストンロッド5に挿入されたホルダ23、24とから構成した油圧緩衝器において、ピストンロッド5の先端側となる上記取付用環状溝9の開口端と、ピストンロッド5外周面との境界部に損傷防止部10を設け、この取付用環状溝9を跨いでリバウンド部材8をピストンロッド5に挿入する組立時に、上記境界部でホルダ23、24の挿入孔23a、24a内周面が損傷するのを防止した。
【選択図】 図1
【解決手段】 リバウンド部材8をコイルスプリング22と、このコイルスプリング22の少なくとも一方端に嵌合した状態で挿入孔を介してピストンロッド5に挿入されたホルダ23、24とから構成した油圧緩衝器において、ピストンロッド5の先端側となる上記取付用環状溝9の開口端と、ピストンロッド5外周面との境界部に損傷防止部10を設け、この取付用環状溝9を跨いでリバウンド部材8をピストンロッド5に挿入する組立時に、上記境界部でホルダ23、24の挿入孔23a、24a内周面が損傷するのを防止した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ピストンロッドの最大伸び切り時の衝撃を緩和するためのリバウンド部材を備えた油圧緩衝器に関する。
従来から、ピストンロッドの最大伸び切り時の衝撃を緩和するリバウンド部材を備えた油圧緩衝器としては、特許文献1に示すものを例示することができる。
この油圧緩衝器は、図5,6に示すように、シリンダ開口端部を封止しピストンロッド52を軸支する伸び切り規制部材としての図示しないロッドガイドと、ピストンロッド52の基端側に設けた断面円弧状の取付用環状溝53に加締固定されたストッパ部材としてのフランジ部材54と、これらロッドガイド及びフランジ部材54間に介装されたリバウンド部材55とを備えると共に、このリバウンド部材55をコイルスプリング56と、この両端に嵌合した状態で挿通孔を介してピストンロッド52に挿入された上部及び下部ホルダ57,58とから構成されている。
従って、ピストンロッド52の伸び切り時には、リバウンド部材55はその上部及び下部ホルダ57,58をロッドガイドとフランジ部材54とに当接して規制された状態でコイルスプリング56が圧縮され、この伸び切り時の衝撃を緩和するようになっている。
特開2004―84776号公報(図4)
上記のように構成された油圧緩衝器においては、そのリバウンド部材の組立時、次に示すような問題点の発生が考えられる場合がある。
即ち、リバウンド部材55をピストンロッド52に挿入する際、ピストンロッド52の先端にエンドボルトが予め溶接されている場合がある。
通常、エンドボルトはリバウンド部材55の上部及び下部ホルダ57、58の挿入孔57a,58aよりも径の大きな大径部を有しているので、この場合には、ピストンロッド52の先端側となるエンドボルト側からのリバウンド部材55の挿入が不可能となる。
従って、ピストンロッド52に対してリバウンド部材55を挿入するには、フランジ部材54が加締固定されてない状態のピストンロッド52の基端側から上記取付用環状溝53を跨ぐようにして挿入しなければならない。
このとき、上記取付用環状溝53は断面円弧状に形成されているが、この環状溝53の開口端とピストンロッド52外周面との境界部には、図7に示すように、略直角状をなす角部59a,59bが存在するので、矢印Xで示す方向への移動となるリバウンド部材55の挿入時に、上部又は下部ホルダ57,58の挿入孔57a,58a内周面がこの角部59a,59bに接触すると、傷付きを起すことが考えられる。
この接触はリバウンド部材55の挿入側となるピストンロッド52の基端側角部59aでは起り難いが、リバウンド部材55挿入側とは反対側になるピストンロッド52の先端側角部59bには縮径された取付用環状溝53の存在によって、この角部53bと上部又は下部ホルダ57、58の挿入孔57a、58a内周面とが接触し易くなる。
上部又は下部ホルダ57,58の挿入孔57a,58a内周面への傷付きは、これらホルダ57,58をピストンロッド52に挿通させることでリバウンド部材55を上記ピストンロッド52に対して摺動自在とする場合には、その摺動性を悪化させ、又、これらホルダ57、58をピストンロッド52に圧入することでリバウンド部材55を上記ピストンロッド52に対して固定する場合には、その固定力を低下させると言う問題点が発生する。
そこで、本発明は上記の問題点を解決するために創案されたものであって、その目的は、ピストンロッドに対するリバウンド部材の組立時にその挿入作業に起因するホルダの挿入孔内周面の傷付きが防止できる構造を備えた油圧緩衝器を提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明は、シリンダと、このシリンダに設けた伸び切り規制部材と、シリンダにピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッドと、このピストンロッドに設けられた断面円弧状の取付用環状溝に加締固定したストッパ部材と、上記伸び切り規制部材とストッパ部材との間に介装されて伸び切り時の衝撃を緩和するリバウンド部材とを備え、このリバウンド部材をコイルスプリングと、このコイルスプリングの少なくとも一方端に嵌合した状態で挿入孔を介してピストンロッドに挿入されたホルダとから構成した油圧緩衝器において、上記取付用環状溝の開口端と、ピストンロッド外周面との境界部に損傷防止部を設け、この取付用環状溝を跨いでリバウンド部材をピストンロッドに挿入する組立時に、上記境界部でホルダの挿入孔内周面が損傷するのを防止したことを特徴とするものである。
本発明によれば、ストッパ部材を加締固定するための取付用環状溝の開口端と、ピストンロッド外周面との境界部に損傷防止部を設けたので、この取付用環状溝を跨いでリバウンド部材をピストンロッドに挿入する組立時に、上記境界部でホルダの挿入孔内周面が損傷するのを防止できる。
従って、従来例のようにホルダの挿入孔内周面が傷付きを起して、リバウンド部材をピストンロッドに対して摺動可能とする場合の摺動性の悪化や、リバウンド部材をピストンロッドに対して固定する場合の固定力の低下を確実に防止できる。
以下に、本発明を自動車のサスペンション装置に使用する複筒型の油圧緩衝器に具体化した実施の形態を図に基づいて説明する。
この油圧緩衝器1は、図1に示すように、外筒2内に挿入されたシリンダとしての内筒3と、内筒3内にピストン4を介して出没自在に挿入されると共に、先端に図示しないエンドボルトが溶接固定されたピストンロッド5と、内筒3端部を封止しピストンロッド5を軸支する伸び切り規制部材としてのロッドガイド6と、ピストンロッド5の基端側に設けた取付用環状溝9に加締固定されたストッパ部材7と、ストッパ部材7とロッドガイド6との間に介装されたリバウンド部材8とを備えている。
以下、詳細に説明すると、外筒2と内筒3とは同芯に配置され、外筒2の端部内周と内筒3の端部とに渡ってロッドガイド6が嵌合されている。
ロッドガイド6は、その中央にピストンロッド5を案内する案内孔11が設けられ、案内孔11内に嵌合された環状の軸受部材12を介しピストンロッド5が摺動自在に軸支されている。
又、ロッドガイド6の上面にはピストンロッド5との隙間をシールするシール部材13が配置され、外筒2の端部を内側に折り曲げて加締めることによってロッドガイド6及びシール部材13を外筒2と内筒3に対して固定するようになっている。
ピストン4は、ピストンロッド5の基端部に挿入されてナット15により固定されると共に、このピストン4により内筒3内がロッド室Rとピストン室Pに区画されている。
又、ピストン4のロッド室R側面には圧側ポート(図示なし)を開閉可能に閉塞する圧側バルブ16が設けられ、ピストン4のピストン室P側面には伸側ポート17を開閉可能に閉塞する伸側バルブ18が設けられている。
ストッパ部材7は、金属にて形成されると共に、筒状をなす固定部19と、この固定部19の上部に連接された円盤状のフランジ部21とから構成されている。このフランジ部21の上面には平面状をなすフランジ側当接部20が設けられ、後述するリバウンド部材8のホルダ側当接部31が面接触状態で載置されるようになっている。
又、ストッパ部材7は、ピストンロッド5に挿入されると共に、このピストンロッド5の基端側となるピストン4の直上部に設けた縮径状態の取付用環状溝9に対し、上記固定部19を縮径方向に加締めることで固定されている。
取付用環状溝9は、図2に示すように、断面が円弧状に形成されると共に、ピストンロッド5の先端側となる取付用環状溝9の開口端とピストンロッド5外周面との境界部には本発明の損傷防止部としての傾斜平面状の面取り部10が形成されている。
この面取り部10は、取付用環状溝9の開口端と、ピストンロッド5外周面との境界部をなだらかな平面とすることで、従来例で示した角部を無くしたものであって、この部分を通過して挿入されるリバウンド部材8の後述する上部及び下部ホルダ23,24の挿入孔23a,24a内周面がこの面取り部10に接触し難く、又、接触しても傷付きを起さないようになっている。
上記リバウンド部材8は、コイルスプリング22と、この両端に嵌合されたホルダとしての合成樹脂製の上部及び下部ホルダ23,24とから構成されており、この上部及び下部ホルダ23,24には夫々ピストンロッド5を挿通する挿通孔23a,24aが設けられている。
上記下部ホルダ24は厚肉筒状の下側本体部25と、この下側本体部25から垂設され、外径が下側本体部25よりも小径の嵌合部26と、この嵌合部26の上方に設けたコイルスプリング22案内用のガイド部27とから構成され、下側本体部25の下面には上記ストッパ部材7のフランジ側当接部20と当接する同じく平面状のホルダ側当接部31が設けられている。
又、下部ホルダ24の挿通孔24a内周面にはピストンロッド5に対して下部ホルダ24を圧入固定するための図示しない圧入用突起が形成されている。
上部ホルダ23は、円筒状のホルダ本体28と、本体28から垂設され、外径がホルダ本体28よりも小径の嵌合部29と、この嵌合部29から延設されたテーパ部30とから構成されており、コイルスプリング22の上端部がこのテーパ部30に案内されて嵌合部29に嵌合されるようになっている。
上記のように構成された油圧緩衝器1において、先端にエンドボルトが溶接固定されたピストンロッド5にリバウンド部材8を挿入する組立時には、ピストン4及びストッパ部材7が挿入固定されていない状態のピストンロッド5に対して、その基端側から上記リバウンド部材8を挿入する。
すると、リバウンド部材8は、図3の矢印Yで示す方向へ移動し、上記取付用環状溝10を跨いでストッパ部材7とロッドガイド6との間となる所定の位置に挿入されることになる。
このとき、リバウンド部材8挿入側とは反対側になる取付用環状溝9の開口端と、ピストンロッド5外周面との境界部には、傾斜平面状の面取り部10が形成されているので、この面取り部10に上部又は下部ホルダ23,24の挿通孔23a,24a内周面が接触し難くなると共に、例え接触しても従来のように角部が存在しないので、傷付きを起すのを防止できる。
従って、従来例のようにリバウンド部材8をピストンロッド5に対して圧入固定する場合に、その固定力が低下する虞を確実に防止できる。
又、上記面取り部10は従来構造の取付用環状溝の角部を平面状に加工することで形成できるので、安価に且つ簡単に実施化が可能である。
特に、本実施の形態では、下部ホルダ24の挿通孔24a内周面に圧入用突起を設けているので、上記面取り部10の存在はピストンロッド5への圧入固定力の低下を防止できて大変有効である。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、次のように変更して具体化することも可能である。
1)本実施の形態では、上記面取り部10をピストンロッド5の取付用環状溝9の先端側にのみ設けたが、これに限定されるものではなく、取付用環状溝9の基端側にも設けても良い。
2)本実施の形態では、損傷防止部を平面状の面取り部10としたが、これに限定されるものではなく、図4に示すような円弧面状の面取り部14にしても良い。
3)本実施の形態では、下部ホルダ24の挿通孔24a内周面に設けた圧入用突起をピストンロッド5に圧入することで、この下部ホルダ24をピストンロッド5に固定したが、これに限定されるものではなく、下部ホルダ24の挿通孔24a内周面全体がピストンロッド5外周面に圧入されるようにしても良い。
4)本実施の形態では、複筒型の油圧緩衝器1に具体化したが、単筒型の油圧緩衝器に具体化しても良い。
3 内筒(シリンダ)
4 ピストン
5 ピストンロッド
6 ロッドガイド(伸び切り部材)
7 ストッパ部材
8 リバウンド部材
9 取付用環状溝
10 平面状面取り部(損傷防止部)
14 円弧面状面取り部(損傷防止部)
22 コイルスプリング
23 上部ホルダ(ホルダ)
23a 挿通孔
24 下部ホルダ(ホルダ)
24a 挿通孔
4 ピストン
5 ピストンロッド
6 ロッドガイド(伸び切り部材)
7 ストッパ部材
8 リバウンド部材
9 取付用環状溝
10 平面状面取り部(損傷防止部)
14 円弧面状面取り部(損傷防止部)
22 コイルスプリング
23 上部ホルダ(ホルダ)
23a 挿通孔
24 下部ホルダ(ホルダ)
24a 挿通孔
Claims (3)
- シリンダと、このシリンダに設けた伸び切り規制部材と、シリンダにピストンを介して移動自在に挿入したピストンロッドと、このピストンロッドに設けられた断面円弧状の取付用環状溝に加締固定したストッパ部材と、上記伸び切り規制部材とストッパ部材との間に介装されて伸び切り時の衝撃を緩和するリバウンド部材とを備え、このリバウンド部材をコイルスプリングと、このコイルスプリングの少なくとも一方端に嵌合した状態で挿入孔を介してピストンロッドに挿入されたホルダとから構成した油圧緩衝器において、上記取付用環状溝の開口端と、ピストンロッド外周面との境界部に損傷防止部を設け、この取付用環状溝を跨いでリバウンド部材をピストンロッドに挿入する組立時に、上記境界部でホルダの挿入孔内周面が損傷するのを防止したことを特徴とする油圧緩衝器。
- 上記損傷防止部は上記境界部に設けた傾斜平面状又は円弧面状の面取り部である請求項1記載の油圧緩衝器。
- 上記ホルダは合成樹脂で形成されると共に、その挿通孔内周面にピストンロッドへの圧入用突起が形成されている請求項1記載の油圧緩衝器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005031249A JP2006220163A (ja) | 2005-02-08 | 2005-02-08 | 油圧緩衝器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005031249A JP2006220163A (ja) | 2005-02-08 | 2005-02-08 | 油圧緩衝器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006220163A true JP2006220163A (ja) | 2006-08-24 |
Family
ID=36982628
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005031249A Pending JP2006220163A (ja) | 2005-02-08 | 2005-02-08 | 油圧緩衝器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006220163A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014114871A (ja) * | 2012-12-10 | 2014-06-26 | Kayaba Ind Co Ltd | 緩衝器 |
-
2005
- 2005-02-08 JP JP2005031249A patent/JP2006220163A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014114871A (ja) * | 2012-12-10 | 2014-06-26 | Kayaba Ind Co Ltd | 緩衝器 |
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A02 | Decision of refusal |
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