JP2006219549A - アクリル系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
溶媒(イ)を重合溶媒として使用してアクリル系単量体成分からアクリル系重合体ブロック(a)を重合した後、この重合体溶液にメタアクリル系単量体成分および溶媒(ロ)を添加してメタアクリル系重合体ブロック(b)を重合するアクリル系ブロック共重合体(A)を製造する方法において、重合反応後に回収された、重合溶媒および未反応単量体成分を含有する混合溶液から、溶媒を、(イ)/(ロ)の重量比が0.5以上の溶媒(ハ)および0.5未満の溶媒(ニ)に分離して、溶媒(ハ)をアクリル系重合体ブロック(a)の重合にリサイクル使用する。
【選択図】 図1
Description
本発明に係る方法で製造されるアクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)からなるブロック共重合体(A)の構造は、特に問うものではなく、線状ブロック共重合体であってもよく、分岐状(星状)ブロック共重合体であってもよく、これらの混合物であってもよい。ブロック共重合体(A)の構造は、必要とされるブロック共重合体(A)の物性に応じて使いわければよい。また、その分子量や、アクリル系重合体ブロック(a)とメタアクリル系重合体ブロック(b)の組成比は、要求されるブロック共重合体(A)を含有する組成物の成型時の形状の保持や溶融性、エラストマーとしての弾性等の物性から適宜決定される。
アクリル系重合体ブロック(a)は、アクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、このようなものとして、例えば、アクリル酸エステルおよびこれと共重合可能なビニル系単量体とからなるものが挙げられる。
メタアクリル系重合体ブロック(b)は、メタアクリル酸エステルを主成分とする単量体を重合してなるブロックであり、このようなものとして、例えば、メタアクリル酸エステルおよびこれと共重合可能なビニル系単量体とからなるものが挙げられる。
アクリル系ブロック共重合体(A)の製造方法としては、特に限定されないが、制御重合を用いることが好ましい。制御重合としては、リビングアニオン重合、連鎖移動剤を用いるラジカル重合および近年開発されたリビングラジカル重合をあげることができる。リビングラジカル重合がブロック共重合体の分子量および構造制御の点ならびに架橋性官能基を有する単量体を共重合できる点から好ましい。
アクリル系重合体ブロック(a)の重合工程(1)の具体例を以下に示す。本発明におけるアクリル系重合体ブロック(a)の重合工程では、例えば、反応機に撹拌型耐圧反応機を用いて、反応機内を十分に窒素置換し、酸素を取り除いた状態にして、アクリル系単量体、重合触媒である遷移金属触媒、重合溶媒および重合開始剤をそれぞれ所定量順次仕込み、前記の温度範囲(例えば原子移動ラジカル重合であれば、好ましくは室温〜200℃)で所定量の触媒配位子を添加してラジカル重合を開始する方法(前記制御重合)にてアクリル系重合体ブロックが製造される。
メタアクリル系重合体ブロック(b)の重合工程(2)の具体例を以下に示す。工程(1)と同様、重合溶媒、重合触媒である遷移金属触媒、およびメタアクリル系単量体をそれぞれ所定量順次反応容器に導入し、所定の温度範囲で所定量の触媒配位子を添加する。これにより、ラジカル重合が開始される。この場合、アクリル系重合体ブロックのカップリング、不均化などの副反応を抑制するために、重合溶媒添加による溶液の希釈を速やかに行うことが好ましい。
<(3)アクリル系ブロック共重合体溶液の精製工程>
重合によって得られた重合体溶液は、重合体および触媒である金属錯体を含んでいるため、重合活性を消失させるとともに、これら金属錯体を分離除去する必要がある。金属錯体の分離除去の方法としては、有機酸を添加して金属錯体を失活させた後にこれを除去する方法がある。本発明で使用することができる有機酸は、特に限定されないが、カルボン酸基、もしくは、スルホン酸基を含有する有機物であることが好ましい。その中でも、有機溶媒への分散しやすさ、酸と金属錯体の反応との生成物の性状、入手しやすさなどから、ベンゼンスルホン酸もしくはその誘導体が好ましく、それらの中ではp−トルエンスルホン酸がより好ましい。
<(4)アクリル系ブロック共重合体溶液から重合溶媒、未反応のアクリル系単量体およびメタアクリル系単量体を蒸発分離する工程>
アクリル系ブロック共重合体溶液から有機溶媒成分を蒸発分離するに際しては、種々の蒸発機が適用可能である。そのような中でも、重合体溶液の液膜を加熱することにより揮発分を除去、すなわち蒸発、脱揮等させる種々の形式の薄膜蒸発機が好ましい。その他、単軸もしくは2軸スクリューと脱揮口を有する押出機による蒸発も可能である。
<(5)蒸発分離した回収溶媒を蒸留する工程>
蒸発により回収された溶媒には、重合溶媒、精製希釈溶媒だけでなく、未反応のアクリル系単量体、メタアクリル系単量体が含まれる。このため、これを、そのままアクリル系重合体ブロック(a)の重合工程(1)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)の重合工程(2)にリサイクル使用することは、重合反応制御の点で困難である。重合反応には、前述した種々の重合溶媒が利用可能であるが、本系では、反応制御の点から、アクリル系重合体ブロック(a)の重合溶媒としてはアセトニトリル、メタアクリル系重合体ブロック(b)の重合溶媒としてはアセトニトリルとトルエンの混合溶媒が好ましく用いられる。この場合、蒸発回収溶媒はアセトニトリルとトルエンの混合溶媒となっている。この蒸発回収溶媒をアクリル系重合体ブロック(a)の重合溶媒としてそのまま使用した場合、反応制御が困難で分子量分布が広くなる傾向がある。
<転化率の測定法>
本実施例中の転化率の測定にはガスクロマトグラフィーを用い、重合溶媒を内部標準物質として、重合開始前のモノマーと溶媒の面積比の数値と、任意の時間でサンプリングされたモノマーと溶媒の面積比の数値を比較し、その数値の減少の割合より転化率を算出した。システム:(株)島津製作所製GC−14B、カラム:Agilent Technologies製DB−17。
<分子量の測定法>
重合体溶液を活性アルミナで濾過することにより銅錯体を除去した。本実施例に示す分子量は以下に示すGPC分析装置で測定し、クロロホルムを移動相として、ポリスチレン換算の分子量を求めた。システム:Waters社製GPCシステム、カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)。
ブロック共重合体100重量部に対して、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.3重量部を配合し、240℃に設定したラボプラストミル(東洋精機(株)製、型番:MODEL20C200)を用いて、特定の成形条件(試料量:45g、混練温度:240℃、予熱時間:無し、スクリュー回転数:50rpm、ブレード:ローラ型R60B2軸、チャンバ容量:60CC、ミキサー:チッカ耐磨耗ローラミキサーR60HT)で12分間溶融混練して、塊状のサンプルを得た。得られたサンプルを、設定温度240℃で熱プレス成形し、厚さ2mmのシート状の成形体を得た。これらのシートを島津製作所製島津オートクラフAG−A型シリーズを用いて機械強度を測定した。
本実施例に示す圧縮永久歪みは、JIS K6301に従い、円柱型成形体を圧縮率25%の条件で70℃もしくは100℃で22時間保持し、室温で30分放置したのち、成形体の厚みを測定し、歪みの残留度を計算した。すなわち、圧縮永久歪み0%で歪みが全部回復し、圧縮永久歪み100%で歪みが全く回復しないことに相当する。
窒素置換した15L反応機にアクリル酸ブチル264g、アクリル酸エチル259g、アクリル酸−2−メトキシエチル161g、及び臭化第一銅10.4gを仕込み、攪拌を開始した。引き続きジャケットに熱媒油を通液し、内溶液を70℃に昇温して30分間保持した。その後、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチル5.21gをアセトニトリル115gに溶解させた溶液を仕込み、75℃に昇温を開始した。内温が75℃に到達した時点でペンタメチルジエチレントリアミン1.51mLを加えて、第一ブロックの重合を開始した。
製造例1で得られた回収溶媒[1]をガラス製の蒸留塔を用いて蒸留した。蒸留塔の理論段数は10段、塔頂抜出バルブの開閉時間を調整し、還流比は1に設定した。溶媒をフラスコに仕込み、オイルバスを140℃に設定して昇温を開始した。塔頂に溶媒成分が上昇してから30分間全還流を実施し、以降、還流比1で低沸点成分から順次抜き出した。塔頂温度80〜100℃までの回収液を留出成分[1]として回収した。留出成分[1]についてGC分析を行った結果を表2に示す。
製造例1で得られた回収溶媒[1]をガラス製の蒸留塔を用い蒸留した。蒸留塔の理論段数は10段、塔頂抜出バルブの開閉時間を調整し還流比は1に設定した。溶媒をフラスコに仕込み、オイルバスを140℃に設定して昇温を開始した。塔頂に溶媒成分が上昇してから30分間全還流を実施し、以降、還流比1で低沸点成分から順次抜き出した。塔頂温度80〜113℃までの回収液を留出成分[2]として回収した。留出成分[2]についてGC分析を行った結果を表2に示す。
Claims (5)
- (1)溶媒(イ)を重合溶媒として使用してアクリル系単量体成分からアクリル系重合体ブロック(a)を重合する工程、(2)工程(1)で得られた重合体溶液にメタアクリル系単量体成分および溶媒(ロ)を添加してメタアクリル系重合体ブロック(b)を重合する工程、(3)工程(2)で得られたアクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)の重合体溶液を精製する工程、(4)工程(3)で得られたアクリル系ブロック共重合体溶液から重合溶媒、未反応のアクリル系単量体およびメタアクリル系単量体を蒸発分離する工程、(5)工程(4)で得られた回収溶媒を蒸留する工程から構成される、アクリル系ブロック共重合体(A)を製造する方法において、工程(5)で回収溶媒を(イ)/(ロ)の重量比が0.5以上の溶媒(ハ)および0.5未満の溶媒(ニ)に分離して、溶媒(ハ)を工程(1)にリサイクル使用することを特徴とするアクリル系ブロック共重合体の製造方法。
- (1)溶媒(イ)を重合溶媒として使用してアクリル系単量体成分からアクリル系重合体ブロック(a)を重合する工程、(2)工程(1)で得られた重合体溶液にメタアクリル系単量体成分および溶媒(ロ)を添加してメタアクリル系重合体ブロック(b)を重合する工程、(3)工程(2)で得られたアクリル系重合体ブロック(a)およびメタアクリル系重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)の重合体溶液を精製する工程、(4)工程(3)で得られたアクリル系ブロック共重合体溶液から重合溶媒、未反応のアクリル系単量体およびメタアクリル系単量体を蒸発分離する工程、(5)工程(4)で得られた回収溶媒を蒸留する工程から構成される、アクリル系ブロック共重合体(A)を製造する方法において、工程(5)で回収溶媒を(イ)/(ロ)の重量比が0.5以上の溶媒(ハ)および0.5未満の溶媒(ニ)に分離して、溶媒(ニ)を工程(2)〜(5)のいずれか又はこれら工程の二以上にリサイクル使用することを特徴とするアクリル系ブロック共重合体の製造方法。
- 前記溶媒(ニ)を、更に、(イ)/(ロ)の重量比が0.01以上0.5未満の溶媒(ホ)、0.01未満の溶媒(ヘ)に分離して、溶媒(ヘ)を工程(2)にリサイクル使用することを特徴とする請求項2に記載のアクリル系ブロック共重合体の製造方法。
- 溶媒(ハ)に含まれるメタアクリル系単量体濃度を5重量%以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体の製造方法。
- 溶媒(イ)がアセトニトリル、溶媒(ロ)がトルエンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアクリル系ブロック共重合体の製造方法。
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