JP2006219438A - ソラネソールの採取法 - Google Patents

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Abstract

【課題】葉タバコよりソラネソールを抽出するにあたって、遊離脂肪酸とリン脂質の混入を、遊離脂肪はエステル体として、又、リン脂質はミセル体として除去し、効率よく生産する方法を提供する。
【解決手段】抽出溶媒として沸点100℃以下の低級アルコールを使用して、抽出液組成においてソラネソールの融点以上の温度に加温し、酸性条件化で抽出を行えば従来技術では避けられなかった遊離脂肪酸とリン脂質の混入を遊離脂肪酸はエステル体として、またリン脂質はミセル体として除去し、効率よく生産することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、葉タバコ成分であるソラネソールを効率よく取得する方法を提供する。
ソラネソールは、葉タバコ、馬鈴薯、桑の葉等に存在する物質で、医薬品として有用なビタミンK2などの側鎖成分として有用であると共に、それ自身も医薬としての効果が期待される有用な物質である。
従来ソラネソールの採取法としては、葉タバコ等の有機溶媒による抽出エキスを常法により鹸化して得られる不鹸化物からカラムクロマト処理、分子蒸溜(特公 昭48−8639)、チオ尿素(特公 昭47−28800)による包接化あるいはこれらの組合わせによる採取法が知られている。
また、通常抽出溶剤としてアセトン、酢酸エチル、n−ヘキサン、シクロヘキサン等、メタノール、エタノールまたはその組み合わせ(特公 昭56−34572)が使用されている。これらの方法を実施すると、植物体に含まれる遊離の高級脂肪酸等が目的とするソラネソールに混入してくる。
これらを分離するためには、鹸化処理やヘキサン抽出を繰り返して精製を行う必要がある。その結果、ソラネソールの損失は免れず、収率が低い。
抽出溶媒として通常用いられているアセトン、酢酸エチル等の極性溶媒を使用する場合は、ソラネソールと共に大量の脂質成分が抽出され、その結果脂質区分のソラネソールの純度が下がり、極めて不利を免れない。
また、無極性溶媒のn−ヘキサン、シクロヘキサンは植物体乾燥物との親和性が劣るために抽出時の効率が著しく低下する。さらに、レシチン等のリン脂質が抽出物に付随してくるために、鹸化での精製処理が避けられない。
メタノール、エタノールなどの低級アルコールを遊離脂肪酸がエステル化できない条件下、すなわち、アルカリ性または水分の多いタバコ葉を用いる場合にはソラネソール区分に混入してくる遊離脂肪酸を除去する工程が必要となる。
特公 昭48−8639号公報 特公 昭47−28800号公報 特公 昭56−34572号公報
本発明は、上記の方法に関する問題を解決するべく、葉タバコよりソラネソールを抽出するにあたって、遊離脂肪酸とリン脂質の混入を遊離脂肪酸はエステル体として、またリン脂質はミセル体として除去し、効率よく生産することを目的とする。
上記目的を達成する為に、本発明では抽出溶媒として沸点100℃以下の低級アルコールを使用する。
ソラネソールの融点以上の温度に加温し、酸性条件化で抽出を行えば分離しにくい遊離高級脂肪酸等がエステル化され低級アルコールに可溶となり、ソラネソール含量の高い脂質区分が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の方法を用いることにより医薬品等として用いられているソラネソールを鹸化処理、カラムクロマト精製などの煩瑣な精製処理を経ることなく効率的に生産することができる。
抽出溶剤に沸点100℃以下の低級アルコールを用いて、抽出液組成においてソラネソールの融点以上の条件で抽出し、ろ液を冷却すれば目的とするソラネソールが析出する。
その際にソラネソールとともに抽出された遊離脂肪酸は酸性条件化で低級アルコールのエステル体となり低級アルコールに可溶とる。これによってソラネソールと分離することができる。また、葉タバコ成分でアルコール類に可溶な親水性物質はろ液に移行するのでソラネソールの純度を高めることができる。
沸点100℃以下の低級アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノールなどがあげられる。
原料植物体の水分含量は、10%以下が好ましいが、特に5%以下に乾燥すると、遊離脂肪酸のエステル体が生成しやすい。また、葉タバコに含まれるレシチンなどのリン脂質がアルコール類に可溶となり得られるソラネソールの純度が向上するので好適である。
水分含量が10%以上であると、水分とミセルを形成したリン資質がソラネソールと分離不能となるため、脂質区分のソラネソール純度が下がり、目的に適さない。また、遊離脂肪酸のエステル化も水分によって進行を妨げられる。
次に、原料である植物体の粒度は20−100メッシュ程度に調整することが望ましい。それ以上大きいと、抽出に時間がかかり抽出効率が悪くなる。また、それ以下であるとろ過の際の目詰まり、ミセラへの微粉混入或は抽残物よりの抽出溶媒の回収が困難である等の現象がおこり、不適当である。
抽出時のPH管理は遊離脂肪酸がエステル化される酸性条件が望ましい。
望ましくは、PH3.0〜6.5の範囲が好適である。PHが高すぎるとエステル化の効率が悪くなる。また低すぎると植物体成分の酸による分解が起こり期待した効果が得られない。PH調整剤としては、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸が推奨される。
抽出温度は、ソラネソールの融点以上であれば本発明が効果的に実施できる。ソラネソールの融点は40℃であるが、タバコ葉中のソラネソールが融解する温度であれば抽出温度は40℃以下でもよい。一方、温度が高すぎると葉タバコ成分の温度による分解物が生成してくるために、抽出温度は30℃〜60℃の範囲で実施するのが望ましい。
抽出形式は、工業的に行なう場合、連続式、回分式、バッチ式等の方法により行なわれ
るが、特に限定されるものではない。例えば、本発明の方法を半回分式により行なう場合には、以下の如くするのが好ましい。
まず、上記の条件にて乾燥した原料を当該溶媒に浸漬する。この時、1時間前後の浸漬を3回行なうと、固液接触界面が新鮮に保たれ、ソラネソールの収率が高くなる。浸漬の方法としては、原料を攪拌するか或は抽出溶媒を循環させる等の方法が掲げられる。
(実施例1)
水分含量11.2%の乾燥葉たばこを粉砕機にて粉砕して節分し、50メッシュ平均粒径の原料を造る。この原料を減圧真空乾燥で80℃にて1時間乾燥する。水分含量3.7%に乾燥した原料400gを4ロフラスコに採り、1600mlのメタノールを添加して60分間浸漬する。
40℃に加温して硫酸で液のPHを4.5に調整した後、さらに60分攪拌し、残渣をろ過する。同様の操作を更に2度行い、計3回のミセラを20℃に冷却する。析出してくる結晶をろ別して、3.95gの脂質(ソラネソール含量 72.7%)を得た。
(実施例2)
実施例1と同様に調整した原料を4ロフラスコに採り、1600mlのエタノールを添加して添加して60分間浸漬する。
60℃に加温して塩酸で液のPHを4.0に調整した後、さらに120分攪拌し、残渣をろ過する。同様の操作を更に2度行い、計3回の抽出液を5℃に冷却する。析出してくる結晶をデカンテーションによって分別して3.79gの脂質(ソラネソール含量 75.4%)を得た。
(実施例3)
実施例1と同様に調整した原料を4ロフラスコに採り、1600mlのn−ブタノールを添加して60分間浸漬する。
60℃に加温して硫酸で液のPHを5.0に調整した後、さらに180分攪拌し、残渣をろ過する。同様の操作を更に2度行い、計3回の抽出液を−10℃に冷却する。析出してくる結晶をデカンテーションによって分別して3.34gの脂質(ソラネソール含量 77.4%)を得た。
(参考例1)
水分含量11.2%の乾燥葉たばこを粉砕機にて粉砕して節分し、50メッシュ平均粒径の原料を造る。この原料を減圧真空乾燥で80℃にて1時間乾燥する。水分含量3.7%に乾燥した原料400gを4ロフラスコに採り、1600mlのメタノールを添加して60分間浸漬する。
40℃に加温して苛性ソーダで液のPHを8.0に調整した後、60分攪拌し、残渣をろ過する。同様の操作を更に2度行い、計3回のミセラを20℃に冷却する。析出してくる結晶をろ別して、8.64gの脂質(ソラネソール含量3.42%)を得た。
(参考例2)
水分含量13.0%の乾燥葉たばこを粉砕機にて粉砕して節分し、50メッシュ平均粒径の原料を造る。原料400gを4ロフラスコに採り、1600mlのメタノールを添加して60分間浸漬する。
40℃に加温して硫酸で液のPHを4.5に調整した後、さらに60分攪拌し、残渣をろ過する。同様の操作を更に2度行い、計3回のミセラを20℃に冷却する。析出してくる結晶をろ別して、10.5gの脂質(ソラネソール含量 1.88%)を得た。

Claims (3)

  1. 葉タバコを沸点100℃以下の低級アルコールを使用して、酸性条件下でかつ抽出液組成においてソラネソールの融点以上である温度で抽出することを特徴とするソラネソールの採取法。
  2. 沸点100℃以下のアルコールがメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノールである特許請求の範囲第1項記載のソラネソールの採取法。
  3. 酸性条件がPHが3.0から6.5の範囲である特許請求の範囲第1項記載のソラネソールの採取法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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