JP2006219349A - シリカガラス板材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
製造の歩留まりが良く、製造コストが低く、エキシマランプ光の透過性と耐光性に優れた、高品質なシリカガラス板材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
SiOH基を1ppm以上含有する管状の合成シリカガラス体の軸方向にスリットを形成し、該スリットが上面になるように炉内の耐熱性平板上に静置し、加熱変形させることによって平板状のシリカガラス体を得る工程と、前記平板状のシリカガラス体を600〜1200℃の温度で熱処理する工程と、前記平板状のシリカガラス体の外周部の汚染部分を除去する工程と、を有するようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、紫外線を透過する大型の合成シリカガラス板材及びその製造方法に関し、特に半導体やLCD関係のVUV/O洗浄の光源として用いられているキセノンエキシマランプ照射装置の窓材に好適に用いられるシリカガラス板材及びその製造方法に関するものである。
近年、液晶の製造工程において、キセノンエキシマランプが真空紫外(VUV)/O洗浄の光源として用いられている。これは誘電体バリア放電エキシマランプと呼ばれるもので、一般的には大小の石英管で形成された放電空間でエキシマ発光させる構造となっており(管が1本の場合もある)、直管の蛍光灯のような形状で発光する。このランプを多数配置することにより大面積を一括露光できるユニットを形成し、これがエキシマランプ照射装置として産業用に開発されている。キセノンエキシマランプの発光波長は172nmとかなり短波長であるため、一般的に合成シリカガラスが透過用材料として用いられている。近年液晶のサイズも大型化の一途をたどり、それに伴い照射装置も大型化されており、これに使用される合成シリカガラス板透過材も大型のものが要求されている。
一般的に合成シリカガラスは四塩化珪素などを原料として気相反応法によって合成される。これは上記原料を水素・酸素火炎中に導入し、生成したシリカ微粒子を耐熱性ターゲット上に堆積させる方法で、堆積と同時に溶融し透明ガラス体を得る直接法、また、一旦多孔質体(スート)を得た後、電気炉等で加熱・溶融して透明ガラス体を得る間接法(スート法)と呼ばれる2つが代表的な製造方法である。このようにして製造された合成シリカガラスは金属不純物が非常に少ないため紫外線領域まで良好な透過率を示すが、特にキセノンエキシマランプの発光波長である172nmといった極紫外線領域の透過性が要求される材料は、シリカガラス中の水酸基(SiOH基)の少ないタイプが好適とされており、間接法で製造されたシリカガラスが用いられることが多い。
一般的に間接法による合成シリカガラスは、VAD法やOVD法と呼ばれる方法で製造されている。これらの方法で製造されるシリカガラス体の形状は直径100mm程度の円柱、または円筒形状をしており、大型の平板形状のものを得るためには、上記形状のシリカガラス体を加熱成型する必要がある。加熱成型は、通常、上記シリカガラス体を成型用の型内に設置し、高温に加熱し、変形させることにより所定の形状、例えば角柱状に成型し、更に肉薄の板状にスライスすることで平板状のシリカガラス板を得ることができる。
しかし近年LCDの大型化に伴い、エキシマランプ光透過用の平板も1mを超えるサイズのものが要求されており、このような大型のものに対応するためには、非常に大きな角柱成型体を得る必要がある。このような場合、原料となるシリカガラス体を複数個、同時に成型することが必要なため、個々のシリカガラス体が溶着する際に生じる界面で脈理が発生し、光透過材としての特性が悪化することが懸念される。また、一般的に成型の型材としてカーボン材料が用いられるが、これらは消耗部材であり、材料の大型化に伴い、これらの型材も大型のものが必要となり、コスト面で大きな問題となっている。更に、板状シリカガラスへスライス加工する際の材料加工ロスも、材料が大型になればなるほどより大きな切り代とマージンをとる必要があり、損失がかさんでしまう。このように近年の大型平板の要求に対しては、上記成型法はあまり良い製造方法とはいえなくなっている。
大型化に対応した平板の製造方法として、シリカガラス管を開いて平板状シリカガラスを得る方法が特許文献1で提案されている。これは管状シリカ体の軸方向にスリットを形成し、スリットが上面となるように炉内に載置して管が板状になるまで加熱する平板の製造方法である。特許文献1ではシリカガラス管を開いて平板にするための温度条件が規定されており、技術上重要な点として炉内の温度分布を挙げている。また、該特許文献で製造されるシリカガラス平板の用途として、LCD製造用の大型マスク材料や、透明層と不透明層の複数層からなるシリカガラス平板等が挙げられている。
前記特許文献1において特に着目した効果は、一旦製管して開くという工程を経ることで、大型化したマスク材料における有害な脈理生成を抑制することができ、製造コスト面でも有利であることが記載されている。このように管開きによる成型法が板材製造に有利であることが示されているわけだが、近年1mを越えるサイズの大型化が進められているキセノンエキシマランプ光透過用の板材を製造するためには上記の単純な管開き製造方法だけでは物性的に不十分なものしか得られないことがわかってきた。
特開2003−286041号公報
キセノンエキシマランプ用の大型窓材に要求される物性は幾つか挙げられるが、特に重要な物性は、エキシマランプ光の透過性と耐光性である。すなわち、真空紫外領域まで十分な透過率を保持していること、また長期のエキシマランプ光の照射によって透過率の低下が生じないこと、である。更に光学材料として使用するにはランプ照射時の蛍光も少ないことが好ましい。このような光学的な物性を満たした材料を管開き成型法で製造するためには、従来の方法を踏襲するだけでは不十分であり、更に創意工夫が必要であることがわかってきた。
本発明は上述した問題点を考慮してなされたもので、製造の歩留まりが良く、製造コストが低く、エキシマランプ光の透過性と耐光性に優れた、高品質なシリカガラス板材及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のシリカガラス板材の製造方法は、SiOH基を1ppm以上含有する管状の合成シリカガラス体の軸方向にスリットを形成し、該スリットが上面になるように炉内の耐熱性平板上に静置し、加熱変形させることによって平板状のシリカガラス体を得る工程と、前記平板状のシリカガラス体を600〜1200℃の温度で熱処理する工程と、前記平板状のシリカガラス体の外周部の汚染部分を除去する工程と、を有することを特徴とする。
前記管状の合成シリカガラス体がフッ素を含有することが好ましい。
本発明のキセノンエキシマランプ光透過性シリカガラス板材は、本発明方法で製造されるシリカガラス板材であって、254nmの励起光による蛍光がないことを特徴とする。
本発明のシリカガラス板材は、仮想温度が1200℃以下であり、且つ厚さ5mmでの172nm〜190nmの領域における初期透過率が85%以上であることが好適である。また、本発明のシリカガラス板材は、フッ素を50ppm以上5000ppm以下含有することが好ましい。
本発明のシリカガラス板材は、キセノンエキシマランプ光の透過材として特に好適に用いられる。
本発明のシリカガラス板材の製造方法によれば、キセノンエキシマランプ光等の真空紫外光の透過性及び耐光性に優れ、キセノンエキシマランプ照射時に蛍光を生じない、大型のシリカガラス板材を簡単に且つ低コストで製造できる。また、本発明方法で製造された本発明のシリカガラス板材は、172nmにおける初期透過率が高く、長期のキセノンエキシマランプ照射によって透過率の低下も少なく安定しており、更にランプ照射時の黄色い蛍光も観測されない、高品質なシリカガラス板材であり、特に大型のキセノンエキシマランプ照射装置の窓板等に好適に使用できるものである。
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
エキシマランプ光の透過性と耐光性に優れたシリカガラス大型板材を得るために本発明者らは鋭意研究を行い次のような結果を得た。
まずキセノンエキシマランプ光の透過性については、その波長が172nmの真空紫外領域であり、この領域で十分な透過性を保持するものは合成シリカガラスといえども幾つかの種類に限定されている。一般的にキセノンエキシマランプの発光線は160nm〜190nmの領域に渡って比較的ブロードなスペクトルを示すが、シリカガラスの上記領域の透過性に影響を及ぼす要因として、SiOH基量、酸素欠陥、金属不純物等があり、これらの物性値が十分に管理されたシリカガラスを使用することが重要である。
特に金属不純物の含有は上記の紫外線領域の透過率の著しい悪化を引き起こす。各種の金属不純物が透過率低下を引き起こすが、特にナトリウムの含有量を抑えることで高い透過性を保持できることがわかっている。したがって、製造工程でナトリウムによる汚染をできるだけ低減することが重要である。
照射耐性とは、キセノンエキシマランプ光を照射した時に生じる各種の光学的なダメージであり、一般的には透過率の低下や歪の生成などが知られている。特に長期にわたって均一なランプ光照射強度を得るためには、板材の透過率の低下を抑えることが重要である。シリカガラスの透過率低下は、エキシマランプ光照射で生じる欠陥生成に起因するものであり、欠陥生成を抑制するためにシリカガラスのネットワーク構造をより安定なものにしなければいけない。
本発明者らは上記目的を達成するための具体的な手段として、本発明のシリカガラス板材の製造方法を提案するものである。以下、本発明のシリカガラス板材の製造方法の一例について説明する。図1は、本発明のシリカガラス板材の製造方法の一例の手順の大略を示すフローチャートである。
図1に示した如く、まず、管状の合成シリカガラス体を得る(ステップ100)。前記管状のシリカガラス体としては、SiOH基濃度が1ppm以上のものを用いる。前記ステップ100において、管状のシリカガラス体の製造方法は特に限定されないが、間接法で製造することが好ましい。SiOH基量は合成シリカガラスの製造方法に強く依存しており、一般的に直接法と呼ばれる方法で製造されたシリカガラスでは500ppm以上のSiOH基を含有しているため、真空紫外領域の透過性は良くない。これに対して間接法(スート法)と呼ばれる方法で製造された合成シリカガラスのSiOH基量は製造条件によりある程度自由にコントロールができるため、キセノンエキシマランプ用に好適な材料といえる。
SiOH基による吸収に着目した場合、SiOH基が少ないほど良いと考えられる。一般的にスート法では塩素などの脱水剤を用いてSiOH基をほとんど取り除くことが行われている。しかしこのような脱水処理されたシリカガラスでは、強烈な脱水作用に伴って酸素欠乏欠陥(ODC)が生じる場合が多く、この欠陥は163nmにピークを有する強い吸収帯を有するため、172nmの透過率に甚大な影響を及ぼしてしまう。酸素欠乏欠陥はSiOH基濃度を概ね1ppm以上に制御することで抑制することができる。従って、本発明に用いられる管状の合成シリカガラス体のSiOH基濃度は1ppm以上に設定することが望ましい。また上限については、SiOH基自身の吸収を考慮して上限を400ppm程度に抑えておくことが好ましい。
次に、前記管状のシリカガラス体を平板状にするため、管開き成型法による成型工程を行う(ステップ102)。図2及び図3は、ステップ102を原理的に示す概略説明図であり、図2は、管状のシリカガラス体の静置方法、図3は成型後の平板状のシリカガラス体をそれぞれ示す。
図2に示した如く、管状の合成シリカガラス体10の軸方向にスリット12を形成し、このスリット12が上面になるように炉内の耐熱性平板14上に静置する。この時、スリットが正確に真上になるように配置することが重要である。前記スリット12は前記管状のシリカガラス体10の軸方向に切断されていればよく、スリットの形成方法及び加工形状等は特に限定されない。
前記耐熱性平板14の材質等は特に限定されないが、成型後に直接、平板状のシリカガラス体と接触する為、高純度のものを使用することが望ましい。例えば、高純度のカーボン、具体的には灰分20ppm以下程度の高純度グレードのものを用いることが好ましい。また、成型後のシリカガラス体の平面性は、耐熱性平板の平面性に左右されるため、耐熱性平板はあらかじめ平面度の寸法精度が高いものを用意しておくことが重要である。平面精度の高い耐熱性平板を用いることにより、平面精度の高い平板状のシリカガラス体が形成できる。
使用する炉は特に限定されないが、例えば、カーボンを使用した真空加熱炉や通常の大気雰囲気で使用できる加熱炉などが挙げられる。なお、透過率低下を抑制するために、できるだけ金属不純物による汚染が少ない炉を使用することが望ましい。例えば、カーボンが耐熱性平板14等の部材に使用されているタイプの炉では、高純度のカーボン、具体的には灰分20ppm以下程度の高純度グレードのものを用いることが好ましい。成型工程中は非常に高い温度に曝されるため金属不純物が外部からシリカガラス中に進入し易くなるので、できるだけ高純度に保たれた炉内で処理することが必要である。
前述した如く管状のシリカガラス体10を炉内に配置した後、加熱変形させることにより、管状のシリカガラス体10のスリット12より管が開き、図3に示した如く、平板状のシリカガラス体16が得られる。なお、管状のシリカガラス体10は加熱により自重変形させることができるが、必要に応じて、成型装置(例えば、特許文献1記載の成型装置)等を用いてもよい。
加熱成型するときの雰囲気は、真空、窒素等の不活性ガス、大気など、特に限定されるものではないが、耐熱性平板14がカーボンの場合は、不活性ガスや真空の雰囲気が一般的である。
成型工程の温度条件については、処理するシリカガラス体のサイズや肉厚などで最適条件が異なるが、シリカガラスの粘度がまだ十分高い温度、概ね1200℃までは適当な速度で温度を上昇させ、変形が始まる1200℃程度から1500℃程度までは、比較的ゆっくりとした速度で温度を上昇させることが好ましい。このときの温度プログラムをどのように設定するのかは管状のシリカガラス体のサイズや肉厚で多少調整する必要があるが、1200℃〜1500℃の温度範囲は概ね2℃/分程度の昇温速度に設定することが好ましい。
この条件で1500℃程度までの昇温が完了すれば管は耐熱性平板上で大部分開ききっている。場合によっては、管開きが不十分で端部が多少平板から浮いている場合もあるが、これを完全に耐熱性平板に沿った状態まで変形させるためには、約1700℃まで昇温を継続すればよい。このときの昇温は管を開くためではなく、耐熱性平板に密着させるために行うものなので、昇温速度についてはあまり考慮する必要は無く、できるだけ速い昇温速度で加熱することが好ましい。また、外部からの不純物拡散の点でも、高温度に曝される時間が短いほど汚染が少なくなるため、汚染を抑制する効果が期待できる。特にNa金属不純物は合成シリカガラスの紫外線領域の透過性を悪化させることが知られており、できるだけNaによって平板状のシリカガラス体の内部まで汚染されないように、1700℃までの速やかな昇温が望まれる。
前記成型工程後、得られた平板状のシリカガラス体を600℃以上1200℃以下の温度で熱処理する(ステップ104:熱処理工程)。ステップ104により、平板状のシリカガラス体の蛍光を消失させることができ、更に、仮想温度を前記成型工程直後の状態よりも低く設定することができるため、キセノンエキシマランプ照射耐性を改善させることができる。
前記ステップ102により得られた平板状のシリカガラス体の下面は耐熱性平板に接しているため、特に表面部分に金属不純物等による汚染が認められることが多い。また、上面でも炉内の雰囲気からも幾分汚染が生じるため、平板状のシリカガラス体の上下両面の表面近傍はNa等の金属不純物で汚染されていることが多い。また、これらの汚染に伴ってシリカガラス板全体に黄色もしくは緑色の蛍光が生じることが多い。蛍光検査は低圧水銀ランプの254nm輝線を照射することによって目視で検査されるが、一般的に黄色(540nm)や緑(490nm)の蛍光は、汚染源は特定できていないが、何らかの金属不純物によってシリカガラスが汚染されたときに生じるカラーセンターに起因するものと考えられている。不純物の特定はできていないものの、経験上、Cuが混入した場合など、強い黄色や緑色の蛍光が生じることがわかっており、蛍光の原因物質と疑われている。
本発明方法においては、前記成型後の平板状のシリカガラス体を不純物の少ない雰囲気中で熱処理(アニール)をすることで(ステップ104)、これらの蛍光を効果的に消失させることができる。これは蛍光原因になる不純物が外部に拡散し放出されるためと考えている。前記ステップ104において前記雰囲気は、通常大気や窒素などの不活性ガスが選択されるが、特に限定されない。
一般的には不純物を外部に拡散させるためには1200℃以下の温度条件で処理することが好ましい。というのは、温度が高すぎる場合、逆に炉内の雰囲気を高純度に保つことが難しいからである。また、あまり温度が低いと蛍光を消失させる効果が低く、概ね600℃以上の温度が必要である。熱処理時間は、材料の種類、サイズなどによって調整されるが、厚さ10mm程度の平板状のシリカガラス体の場合、1時間以上の熱処理時間が好ましく、12時間以上熱処理することがより好ましい。熱処理時間の上限は特に限定されないが、100時間熱処理すれば十分な効果が得られるため、100時間以下が好ましい。
また、照射によるダメージメカニズムについてはまだよく解明されていない部分も多いが、シリカガラスネットワークが紫外線照射によって変化して何らかの欠陥構造が生成し、これが透過率低下を引き起こすと考えられている。構造欠陥として一般的によく知られているものは、215nmに吸収ピークを持つE’センター、260nmに吸収を持つNBOHCなどが挙げられる。172nmに対して透過率低下を引き起こす欠陥種はまだ良く判明していないものの、シリカガラスネットワーク構造の安定性を増すことによって、透過率に影響を及ぼすダメージ生成を抑制できることがわかっている。
仮想温度を低く設定することにより、シリカガラスネットワークの安定性が増し、エキシマランプ照射による欠陥生成が抑制され、ひいては透過率の安定性を向上させることができる。なお、仮想温度はできるだけ低いほうが好ましいが、あまり低い温度に設定するには長時間の熱処理が必要であり、生産性に対して悪影響を及ぼす。本発明者らの研究により、仮想温度を1200℃以下に設定しておけば、エキシマランプ用途には十分に使用できる耐性の高いものができることがわかった。従って、仮想温度を1200℃以下に設定することが好ましい。
次いで、前記ステップ104により蛍光を除去し、照射耐性の向上を施した前記平板状のシリカガラス体に対し、該平板状のシリカガラス体の外周部の汚染部分を取り除く除去処理工程を行う(ステップ106)。なお、外周部とは平板状のシリカガラス体の上下両面及び側面4面の外表面部分を意味するものである。
前記ステップ104により得られた平板状のシリカガラス体は、耐熱性平板に接触した下面や炉内雰囲気に曝された上面では金属不純物による汚染がある程度の深さまで達しており、また、側面においても汚染が認められる為、この汚染部分の172nm透過率の悪化が懸念されるが、前記ステップ106により該汚染部分を取り除くことにより、透過率の高いシリカガラス板材を作製することができる。
外周部の汚染部分の除去処理方法は特に限定されないが、平面研削板などで汚染部分を加工によって取り去ることが好ましい。除去量はシリカガラス体の外表面部分の汚染状態に応じて決定すればよく特に限定されないが、通常、本発明方法の製造条件の場合、シリカガラス体の上下面の不純物による汚染は表面から約1〜2mm程度にとどまっている為、上面及び下面については、それぞれ表面を1mm以上除去することが好ましい。除去量の上限は特に限定はないが表面から2mm除去すれば十分な効果が得られる為、除去量を2mm以下に設定することが好ましい。また、側面の除去量は、表面から10〜20mmの範囲で取り去ることが好ましい。
前記ステップ106により汚染部分を取り去ることにより、シリカガラス板材のNa濃度を5ppb以内とすることができ、紫外線領域において特に顕著な透過率低下も認められず、厚さ5mmあたりの172nm初期透過率が85%以上のものを安定して製造することができる。
前述した如く、本発明方法によれば、光学的な物性に優れており、キセノンエキシマランプ用の透過材料として好適な大型シリカガラス板材を得ることができる。本発明方法で製造された大型シリカガラス板材は、254nmの励起光(例えば、低圧水銀ランプ照射)による可視の蛍光が実質的に認められず、且つキセノンエキシマランプ光の透過性と耐光性が極めて良好である。更に、本発明方法によれば、厚さ5mmあたりの172nm〜190nmの領域における初期透過率が85%以上を維持しており、加えて、仮想温度が1200℃以下に設定されていることから、長期時間のエキシマランプ照射に対しても安定した透過性を示す大型のシリカガラス板材を得ることができる。
次に、本発明のシリカガラス板材の製造方法の他の例について説明する。本発明方法においては、シリカガラス体にフッ素をドープすることにより、シリカガラスネットワークの構造安定性を増加させ、照射耐性をより向上させることができる。
フッ素が微量にドープされることにより、SiOネットワーク中に存在する不純物の1種であるSiOH基がSi−F基に一部置換されるが、これがネットワークの構造安定性に寄与している。すなわち、SiOネットワーク中にある一定の濃度でフッ素が分布することで、SiOのネットワーク構造自体の緩和を助ける効果が働き、SiO構造の結合角や結合距離がより安定な構造を取りやすくなるため、ネットワーク構造自体が通常の純粋な石英ガラスより安定化すると考えられている。
ドープするフッ素量は特に限定しないが、一般的にあまり多量のフッ素を高温で反応させた場合、強烈な脱水作用によりSiOH基が1ppm未満となり、163nmに酸素欠損による強い吸収バンドが生成することが多い。このバンドはキセノンエキシマランプ波長である172nmに大きな影響を与えるため、酸素欠損の生成は十分に抑制する必要がある。したがって、少なくともSiOH基が1ppm以上残留し、かつ、一定量のフッ素も含有していることが好ましい。フッ素の含有量として最適な値は概ね50ppm〜5000ppmである。これ以下では構造安定化への効果が期待できず、また、これ以上では酸素欠損が生成しやすいためである。
フッ素のドープは製造工程中にどの段階で行っても良く、例えば、管状のシリカガラス体を製造する段階や、得られた管状のシリカガラス体又は平板状のシリカガラス体に対してフッ素を含有する雰囲気中で熱処理することが挙げられるが、管状のシリカガラス体を製造する段階において行うことが好ましい。具体的には、本発明方法の他の例においては、フッ素及びSiOH基を含有する管状の合成シリカガラス体を得た後、前記本発明方法の一例と同様、管開き成型法による平板状のシリカガラス体の成型工程、熱処理工程及び除去処理工程を行うことが好適である。
前記フッ素及びSiOH基を含有する管状の合成シリカガラス体の作製方法は特に限定されないが、珪素化合物の火炎加水分解法によって得られたシリカ微粒子を堆積させた、いわゆる多孔質母材(スート)の段階で、フッ素を含有する雰囲気中で熱処理する方法が一般的である。この時用いるフッ素含有化合物は、特に限定されないが、例えば、SiF、SF、F等が挙げられ、これを不活性ガスに希釈してフッ素含有の雰囲気ガスを得ることができる。処理温度や処理時間はドープするフッ素濃度やスートの大きさ等によって適当に調節されるが、一般的に処理温度は室温〜1000℃、処理時間は1時間以上、といった条件が好適に選択される。
このように、管状の合成シリカガラス体から製造された、フッ素を一定量含有するシリカガラス板材は、特に優れた照射耐性を有し、好適にキセノンエキシマランプ用の透過材料として用いることのできるものである。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
実施例及び比較例で用いる測定値は以下の測定法による。
i)SiOH基の測定
赤外線吸収スペクトル分光光度計(日本分光(株)製IR−700型)にて波長2.7ミクロンのO−H伸縮振動バンドの強度を測定し、下記式(1)より算出。下記式(1)中、Dは波長2.7ミクロンのバンドの吸光度、tはサンプル厚さ(cm)を表す。
Figure 2006219349
ii)フッ素含有量の測定
フッ素イオン電極を用いて定量分析。
iii)真空紫外領域の初期透過率の測定
日本分光(株)製VUV−2000真空紫外吸収分光光度計による測定。スペクトルの測定は厚さ5mm光学両面研磨を施した試料を用いた。
iv)仮想温度(FT)の測定
シリカガラスのラマンスペクトルと仮想温度との関係が調べられており、欠陥線と呼ばれているD(495cm−1)とD(606cm−1)のバンドの面積強度が仮想温度とが関係していることが知られている(非晶質シリカ材料応用ハンドブック、リアライズ社出版、96頁)。この特性を利用して、クエンチングにより強制的に仮想温度を設定したシリカガラスのD及びDバンドの面積強度を測定して検量線を作成し、以後、ラマンスペクトルを測定することによって実試料の仮想温度が測定される。なお、ラマンスペクトル測定は日本分光(株)製のNR−1100ラマン分光光度計を用いて行った。
v)蛍光測定
暗室において、254nmの輝線を発する消費電力18Wの低圧水銀ランプ光をサンプルに5cmの距離より照射し、目視にて蛍光の有無を観察。更に蛍光分光光度計(日立製F−4500)を用いて蛍光を測定。
vi)歪
直交ニコル法による目視観察。
vii)キセノンエキシマランプ照射耐性
厚さ5mmの両面光学研磨サンプルにエネルギー30mWのキセノンエキシマランプ光を1000時間照射し、真空紫外領域の透過率スペクトルを測定して、172nmの透過率変化を算出した。
(実施例1)
四塩化珪素を原料として、スート外付け法により、外径150mm、内径80mm、長さ1200mmの円筒形状の透明シリカガラス体を得た。この円筒形状シリカガラス体を加熱炉中に導入し、連続的に外径を拡張させる加熱変形を施しつつ引き出すことにより、外径200mm、肉厚8mmの管状のシリカガラス体を得た。得られた管状のシリカガラス体のSiOH基濃度は200ppmであり、蛍光測定の結果、特に目立った蛍光は確認されなかった。
該管状のシリカガラス体を長さ800mmに切断し、長手方向に幅3mmのスリットを形成し、該スリットが上面になるように加熱炉内の耐熱性平板上に静置した(図2参照)。なお、管状のシリカガラス体を静置する耐熱性平板は、灰分20ppm以下の高純度グレードのカーボンを用いた。
次いで炉内を真空に保持し、管状のシリカガラス体を板状に開くために加熱した。この時の温度条件を図4に示した。室温から1200℃までは90分で昇温し、1200℃〜1470℃の範囲は一分間に2℃の速度で昇温した。その後、1700℃まで42分で昇温し、1700℃で5分間保持後、冷却した。耐熱性平板上に静置した管状のシリカガラス体は平板に沿ってきれいな平板状に成型されており、約800mm×600mm×8mmの平板状のシリカガラス体が得られた。
得られた平板状のシリカガラス体は耐熱性平板にそって成型されているため良い平面性を有していた。この段階で、254nm低圧水銀ランプを照射して蛍光を観察したところ、ガラス体全体に黄色の蛍光が観察された。次いで、得られた平板状のシリカガラス体を加熱炉中に静置、大気中、1050℃で48時間熱アニール処理を施した。再度、低圧水銀ランプを照射して蛍光を観察したところ、黄色の蛍光は消失しており、特に目立った蛍光は観察されず、蛍光分光光度計による測定においても蛍光は検出されなかった。このシリカガラス体の仮想温度は1020℃、歪量は5nm/cm以下であった。
アニール後のシリカガラス体の側面から各20mm、上下両面から各1.5mm削り、最終的に厚さ5mmの両面光学研磨品を作製した。得られた両面光学研磨品の任意の数箇所からサンプルを切り出し、真空紫外領域の初期透過率を測定したところ、172nmの初期透過率[(表面反射損失を含む出射光強度)÷(入射光強度)%]は87.8%、また、170〜190nmの領域で85%以上の高い透過性を示した。図5に実施例1の透過率スペクトルを示した。
更にキセノンエキシマランプ照射耐性を調べるために、照度30mWのキセノンエキシマランプ光を該サンプルに照射し、172nmの透過率劣化を調べた。図6に172nm初期透過率の変化を示したが、1000時間照射後に172nmの透過率を測定したところ、厚さ5mmサンプルで76%の透過率を示した。
実施例1で作製したシリカガラス板材は、高い初期透過率を有するため効率よく172nmのエキシマランプ光を透過し、また、長時間の照射によっても大きく透過率を低下させること無く比較的安定しており、キセノンエキシマランプ用に好適に用いられるシリカガラス材料である。
(実施例2)
実施例1と同じ方法で外径250mm、肉厚9mm、長さ1500mmの管状のシリカガラス体を得た。該シリカガラス体のSiOH基濃度は200ppm、また低圧水銀ランプ照射の検査でも特に目立った蛍光は確認されなかった。
実施例1と同様の方法及び条件で加熱し、700mm×1500mmの領域でほぼ平板形状となっている厚さ9mmのシリカガラス体を得た。更に実施例1の場合と同様、大気中、1050℃で48時間熱アニール処理を施した。得られた平板状のシリカガラス体には低圧水銀ランプ照射及び蛍光分光光度計の検査の結果、蛍光は検出されなかった。なお、このシリカガラス体の仮想温度は1020℃、歪量も5nm/cm以下であった。実施例1と同様に、アニール後のシリカガラス体の側面から各20mm、上下両面から各2mm削り、最終的に厚さ5mmの両面光学研磨品を作製した。
得られた両面光学研磨品からサンプルを切り出し、実施例1と同様、各測定を行った。172nmの初期透過率は87.7%、また、170〜190nmの領域で85%以上の高い透過性を示した。照度30mWのキセノンエキシマランプ光を1000時間照射した後の172nmの透過率(厚さ5mm)は75%であった。図5に真空紫外領域の透過率スペクトルを、また、図6にキセノンエキシマランプを照射したときの172nmにおける透過率劣化をそれぞれ示した。
実施例2で作製したシリカガラス板材は、高い初期透過率を有するため効率よく172nmのエキシマランプ光を透過し、また、長時間の照射によっても大きく透過率を低下させること無く安定している。また、原料となる管状のシリカガラス体として比較的大きなものを選択することにより、大面積のシリカガラス板材を得ることができ、実施例2で製造されたシリカガラス板材は、特に大型のエキシマランプ照射装置の窓材等に好適に使用できるものである。
(実施例3)
四塩化珪素を原料としたスート外付け法によるシリカガラスの製造方法により、外径260mm、内径100mm、長さ1500mmの円筒状スート母材を作製し、これをフッ素含有雰囲気中で熱処理を施しフッ素をドープした。フッ素ドープの処理条件は、雰囲気ガスは1体積%のSiF/Heの混合ガス、処理温度は300℃、処理時間は10時間である。その後、真空中で透明ガラス化を行い、外径150mm、内径80mm、長さ1200mmの円筒形状の透明シリカガラス体を得た。
この円筒形状シリカガラス体を加熱炉中に導入し、連続的に外径を拡張させる加熱変形を施しつつ引き出すことにより、外径200mm、肉厚9mm、長さ800mmの管状のシリカガラス体を得た。該シリカガラス体のSiOH基濃度は15ppm、フッ素濃度は800ppmであり、低圧水銀ランプ照射の検査でも特に蛍光は確認されなかった。実施例1と同様の方法及び条件で加熱し、500mm×800mmの領域でほぼ平板形状となっている厚さ11mmのシリカガラス体を得た。
該シリカガラス体を大気中、1000℃で48時間熱アニール処理を施した。得られたシリカガラス体には低圧水銀ランプ照射及び蛍光分光光度計の検査による目だった蛍光は観察されなかった。なお、このシリカガラス体の仮想温度は980℃であり、歪量も5nm/cm以下であった。実施例1と同様に、アニール後のシリカガラス体の側面から各20mm、上下両面から各2mm削り、最終的に厚さ5mmの両面光学研磨品を作製した。
得られた両面光学研磨品からサンプルを切り出し、実施例1と同様、各測定を行った。該サンプルの真空紫外領域の透過率測定では、172nmの初期透過率は87.8%、また、170〜190nmの領域で85%以上の高い透過性を示した。更に実施例3のサンプルは160nmの極端波長領域でも75%以上の高透過率を示した。図5に真空紫外領域の透過率スペクトルを示したが、実施例3のサンプルの透過率が特に短波長側まで向上していることがわかる。照射耐性についても実施例1と同様の方法で評価したところ、照度30mWのキセノンエキシマランプ光を1000時間照射した後の172nmは84%(厚さ5mm)であり、非常に良い照射耐性を示した(図6)。
実施例3で作製したシリカガラス板材は160nm程度まで高い透過率を示し、したがって効率よく172nmのエキシマランプ光を透過し、更に、長時間の照射によってもほとんど透過率を低下させること無く安定しているため、特にエキシマランプ照射装置の窓材や透過材等に好適に使用できるものである。
(比較例1)
蛍光除去と仮想温度設定の為の1000℃、48時間の大気中での熱アニール処理を施さなかった以外は、実施例1と同様の方法で両面光学研磨品を作製した。得られた両面光学研磨品からサンプルを切り出し、実施例1と同様、各測定を行った。低圧水銀ランプ照射時の蛍光目視検査では、得られたシリカガラス体全体に非常に強い黄色い蛍光が観察された。シリカガラス体の一部を切り出し、蛍光分光光度計による測定を行ったところ、540nmにピークを持つ強い蛍光バンドが観測された。なお、このシリカガラス体の仮想温度は1250℃であった。
厚さ5mmサンプルでの172nm初期透過率は86.4%とそれほど悪いわけではないが、170〜190nmの領域で若干の吸収が確認された(図5)。実施例1と同様の方法で照度30mWのキセノンエキシマランプを照射して長時間の172nmにおける透過率変化を測定した結果を図6に示したが、照射直後より急激に透過率低下が発生し、1000時間照射後の厚さ5mmサンプルでの初期透過率は59%まで低下した。実施例1と比較してもかなり大きな透過率低下を引き起こしていることが確認された。
これは、仮想温度が高いことに起因しているものと考えられ、熱アニールを省略したことで、SiOネットワーク構造の安定性が低い状態で構造が凍結されたため、紫外線照射に対するダメージが増加したものと考えられる。また、キセノンエキシマランプ照射時の黄色い蛍光も非常に強く、更に歪も10nm/cm以上有しており、キセノンエキシマランプ用の材料としてあまり好ましいものは得られなかった。
(比較例2)
外径200mm、厚さ6mm、長さ800mmの管状のシリカガラス体を用い、アニール処理後の除去処理工程において、平板状のシリカガラス体の上下面から各0.5mm(合計1mm)削り、側面の除去を行わなかった以外は実施例1と同様の方法で厚さ5mmの両面光学研磨品を作製した。得られたシリカガラス板材の仮想温度は1020℃であった。
厚さ5mmでの172nm初期透過率は84.6%であり、実施例1と比較すると若干低い値となった。また170〜200nmでは顕著な透過率低下が認められており、キセノンエキシマランプ光の一部が吸収されることがわかった(図5)。なお、照射耐性については、実施例1の場合とほぼ同等であり、照度30mWのキセノンエキシマランプを1000時間照射した後の172nmにおける初期透過率(厚さ5mm)は72.5%であった(図6)。
比較例2では、アニール後上下面から各0.5mm程度しか研削除去しなかったために、平板状のシリカガラス体の汚染部分が完全に除去されたかったため、紫外線領域、特に170〜190nm領域の透過率を低下させたものと考えられる。透過率の低下量はそれほど顕著ではないものの、キセノンエキシマランプ用の材料としてはあまり好ましいものは得られなかった。
本発明方法の一例の手順の大略を示すフローチャートである。 管開き成型法における管状のシリカガラス体の静置方法の一例を示す概略説明図である。 成型後の平板状のシリカガラス体を示す概略説明図である。 実施例1の成型工程の加熱条件を示すグラフである。 実施例1〜3、比較例1及び2の真空紫外領域の初期透過率スペクトルを示すグラフである。 実施例1〜3、比較例1及び2の30mWのキセノンエキシマランプ照射による172nm透過率の変化を示すグラフである。
符号の説明
10:管状のシリカガラス体、12:スリット、14:耐熱性平板、16:平板状のシリカガラス体。

Claims (6)

  1. SiOH基を1ppm以上含有する管状の合成シリカガラス体の軸方向にスリットを形成し、該スリットが上面になるように炉内の耐熱性平板上に静置し、加熱変形させることによって平板状のシリカガラス体を得る工程と、
    前記平板状のシリカガラス体を600〜1200℃の温度で熱処理する工程と、
    前記平板状のシリカガラス体の外周部の汚染部分を除去する工程と、
    を有することを特徴とするシリカガラス板材の製造方法。
  2. 前記管状の合成シリカガラス体がフッ素を含有することを特徴とする請求項1記載のシリカガラス板材の製造方法。
  3. 254nmの励起光による蛍光がないことを特徴とする請求項1又は2記載の方法で製造されたキセノンエキシマランプ光透過性シリカガラス板材。
  4. 仮想温度が1200℃以下であり、且つ厚さ5mmでの172nm〜190nmの領域における初期透過率が85%以上であることを特徴とする請求項3記載のシリカガラス板材。
  5. フッ素を50ppm以上5000ppm以下含有することを特徴とする請求項3又は4記載のシリカガラス板材。
  6. キセノンエキシマランプ光の透過材として用いることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項記載のシリカガラス板材。
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