JP2006216419A - 燃料電池用膜電極複合体に用いられる内側集電体、および燃料電池用膜電極複合体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、その外周面上に流路を有しており、製造が容易、かつ低コストである内側集電体を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】 上記目的を達成するために、本発明は、チューブ形状の固体電解質膜と、上記固体電解質膜の外周面に形成された外側触媒電極層と、上記固体電解質膜の内周面に形成された内側触媒電極層と、上記内側触媒電極層の内周面に接するように配置された内側集電体とを少なくとも有する燃料電池用膜電極複合体に用いられる内側集電体であって、上記内側集電体が、同一方向に配置された複数本の繊維状導電体の束から構成されており、かつ、上記チューブ形状の固体電解質膜の軸と、上記内側集電体の軸とが同一方向であることを特徴とする内側集電体を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】 上記目的を達成するために、本発明は、チューブ形状の固体電解質膜と、上記固体電解質膜の外周面に形成された外側触媒電極層と、上記固体電解質膜の内周面に形成された内側触媒電極層と、上記内側触媒電極層の内周面に接するように配置された内側集電体とを少なくとも有する燃料電池用膜電極複合体に用いられる内側集電体であって、上記内側集電体が、同一方向に配置された複数本の繊維状導電体の束から構成されており、かつ、上記チューブ形状の固体電解質膜の軸と、上記内側集電体の軸とが同一方向であることを特徴とする内側集電体を提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、燃料電池用膜電極複合体に用いられる内側集電体、およびそれを用いた燃料電池用膜電極複合体に関する。
従来の平板構造の固体高分子電解質型燃料電池(以下、単に燃料電池と称する場合がある。)の最小発電単位である単位セルは、一般に固体電解質膜の両側に触媒電極層が接合されている膜電極複合体を有し、この膜電極複合体の両側にはガス拡散層が配されている。さらに、その外側にはガス流路を備えたセパレータが配されており、ガス拡散層を介して膜電極複合体の触媒電極層へと供給される燃料ガスおよび酸化剤ガスを通流させるとともに、発電により得られた電流を外部に伝える働きをしている。
上記燃料電池の小型化のため、および、単位体積当たりの発電反応面積を大きくするためには、燃料電池の上記構成部材の厚さを薄くする必要がある。しかしながら、このような従来の平板構造の燃料電池においては、各構成部材の厚さをある一定以下の値にすることは、機能面や強度面から好ましくなく、設計限界に近づきつつある。そこで、同軸上に上記膜電極複合体の各層が積層されたチューブ形状または円柱形状の膜電極複合体が開発されている。
例えば、特許文献1には、同軸上に内側から順に、内部電極、触媒層、電解質層、触媒層、および外部電極が設けられた膜電極複合体が開示されており、上記内部電極の外周面および外部電極の内周面には複数の溝からなるガス通路が形成されている。このような膜電極複合体はその径を細く形成することにより、一定の空間に対し密に配置することができるため、単位体積当たりの電極面積を従来のものよりも大幅に増加することができる。しかしながら、細い径の内部電極の外周面および外部電極の内周面に多数の細い溝を形成することは非常に困難であり、コストもかかるため、このような電極を用いることは燃料電池製造コストの増加の一因となるものである。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その外周面上に流路を有しており、製造が容易、かつ低コストである内側集電体を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、チューブ形状の固体電解質膜と、上記固体電解質膜の外周面に形成された外側触媒電極層と、上記固体電解質膜の内周面に形成された内側触媒電極層と、上記内側触媒電極層の内周面に接するように配置された内側集電体とを少なくとも有する燃料電池用膜電極複合体に用いられる内側集電体であって、上記内側集電体が、同一方向に配置された複数本の繊維状導電体の束から構成されており、かつ、上記チューブ形状の固体電解質膜の軸と、上記内側集電体の軸とが同一方向であることを特徴とする内側集電体を提供する。
本発明の内側集電体は、同一方向に配置された複数本の繊維状導電体の束から構成されているため、この内側集電体である上記繊維状集電体の束の外周面は、隣り合う繊維状導電体の外周面により構成された凹凸を有する曲面である。このような、上記凹凸の凹部は発電に必要なガスや生成水を通流させる流路として用いることができ、流路を別途に形成する必要がないため、流路を有する内側集電体を容易に、かつ低コストで製造することが可能になる。
本発明においては、上記内側集電体の外周面が、側面同士が密着するように配置された複数本の上記繊維状導電体から構成されており、上記側面同士が密着するように配置された複数本の上記繊維状導電体が、その内部に気密な空間である内部気密空間を形成することが好ましい。このように形成された内部気密空間は、冷却水等を通流させる流路として用いることができるからである。
また、本発明においては、上記同一方向に配置された複数本の繊維状導電体の束が、ねじられた状態で用いられていることが好ましい。上記繊維状集電体の束をねじることにより、繊維状集電体同士の密着性を向上させることができ、繊維状集電体の束、つまり、内側集電体の強度を向上させることもできるからである。また、上記繊維状集電体の束をねじることにより、その外周面に形成された流路はスパイラル形状になるため、該流路内を通流する流体の流速を増加させることができるからである。
さらに、本発明においては、上記内側集電体の中心部に、上記繊維状集電体と接するように芯材が配置されていることが好ましい。内側集電体の外周面を構成する繊維状集電体に高価な材料を用いた場合でも、中心部に安価な芯材を用いることにより、その機能を低下させることなく内側集電体の材料コストを抑制することができるからである。
また、本発明は、上述した内側集電体が用いられていることを特徴とする燃料電池用膜電極複合体を提供する。容易に、かつ低コストで製造することができる上記内側集電体を用いて燃料電池用膜電極複合体(以下、単に膜電極複合体と称する場合がある。)を構成することにより、燃料電池用膜電極複合体の製造コストを抑制することができる。
本発明の内側集電体は、外周面上に流路を有する内側集電体を容易に、かつ低コストで製造することができるといった効果を奏する。
本発明は、膜電極複合体に用いられる内側集電体、およびそれを用いた膜電極複合体に関するものである。以下、それぞれ分けて説明する。
A.内側集電体
まず、本発明の内側集電体について説明する。
本発明の内側集電体は、チューブ形状の固体電解質膜と、上記固体電解質膜の外周面に形成された外側触媒電極層と、上記固体電解質膜の内周面に形成された内側触媒電極層と、上記内側触媒電極層の内周面に接するように配置された内側集電体とを少なくとも有する燃料電池用膜電極複合体に用いられる内側集電体であって、上記内側集電体が、同一方向に配置された複数本の繊維状導電体の束から構成されており、かつ、上記チューブ形状の固体電解質膜の軸と、上記内側集電体の軸とが同一方向であることを特徴とするものである。
以下、このような本発明の内側集電体について、図を用いて具体的に説明する。
まず、本発明の内側集電体について説明する。
本発明の内側集電体は、チューブ形状の固体電解質膜と、上記固体電解質膜の外周面に形成された外側触媒電極層と、上記固体電解質膜の内周面に形成された内側触媒電極層と、上記内側触媒電極層の内周面に接するように配置された内側集電体とを少なくとも有する燃料電池用膜電極複合体に用いられる内側集電体であって、上記内側集電体が、同一方向に配置された複数本の繊維状導電体の束から構成されており、かつ、上記チューブ形状の固体電解質膜の軸と、上記内側集電体の軸とが同一方向であることを特徴とするものである。
以下、このような本発明の内側集電体について、図を用いて具体的に説明する。
図1は、本発明の内側集電体の一例を示す概略斜視図である。図1に示すように、本発明の内側集電体1は、同一方向に配置された複数本の繊維状集電体2の束から構成されており、上記繊維状集電体2の束は、ねじられた状態で用いられている。内側集電体1の外周面は、隣り合う繊維状集電体2の外周面から構成された凹凸を有する曲面であり、その凹部3は燃料電池の発電に必要なガスや生成水を通流するための流路として用いることができる。また、上記内側集電体1の外周面を構成する繊維状集電体2は、隣り合う繊維状集電体2の側面同士が密着するように配置されているため、その内部には気密な空間である内部気密空間4が形成されている。上記内側集電体1の中心部(内部気密空間4)には、上記繊維状集電体2と接するように芯材5が配置されている。また、芯材5と繊維状集電体2との間には、芯材5を取り囲む気密な空間である芯材周辺部気密空間4´が形成される。
本発明の内側集電体を構成する同一方向に配置された複数本の繊維状導電体の束の外周面は、隣り合う繊維状導電体の外周面により構成された凹凸を有する曲面である。上記凹凸は発電に必要なガスや生成水を通流させる流路として用いることができるため、複数の繊維状集電体の束を形成するという極めて簡単な工程のみにより、流路を別途形成することなく、外周面に流路を有する内側集電体を得ることができ、内側集電体の製造コストを大幅に削減することができる。
以下、このような本発明の内側集電体の構成について詳細に説明する。
以下、このような本発明の内側集電体の構成について詳細に説明する。
1.繊維状集電体
本発明において、上記繊維状集電体を構成する材料は導電性が高く、耐腐食性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、チタン、ステンレス鋼、白金、金、SiO2、B2O3、Nd2O、またはTiC、TiSi2、TiB2等のチタン系合金などの金属等、またはカーボンなどを用いることができ、中でも白金、金、チタン、ステンレス鋼等が好適に用いられる。また、繊維状の導電性材料の表面を、それとは異なる耐腐食性の高い導電性材料で皮膜(メッキ処理等)することにより耐腐食性を向上させて、繊維状集電体として用いることもできる。
本発明において、上記繊維状集電体を構成する材料は導電性が高く、耐腐食性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、チタン、ステンレス鋼、白金、金、SiO2、B2O3、Nd2O、またはTiC、TiSi2、TiB2等のチタン系合金などの金属等、またはカーボンなどを用いることができ、中でも白金、金、チタン、ステンレス鋼等が好適に用いられる。また、繊維状の導電性材料の表面を、それとは異なる耐腐食性の高い導電性材料で皮膜(メッキ処理等)することにより耐腐食性を向上させて、繊維状集電体として用いることもできる。
上記繊維状集電体の形状は繊維状の形状、つまり細い糸状の物質であればよく、繊維状集電体の軸に垂直な断面の形状等は特に限定されるものではない。一般的には、繊維状集電体の軸に垂直な断面の形状が図2(a)に例示するように、円形状のものが用いられる。また、図2(b)および図2(c)に例示するように、繊維状集電体の外周面上に溝として用いられるような凹部を有するような断面形状のものを用いることもできる。
上記繊維状集電体の軸方向の長さは、形成される内側集電体と共に用いられる膜電極複合体の他の部材の長さ等により適宜調整することができる。また、繊維状集電体の外径(上記凹部を有する断面形状の繊維状集電体の場合は最外径)は、構成する内側集電体の外径等により大きく異なるものではあるが、通常は0.1mm〜5mmの範囲内、中でも0.5mm〜3mmの範囲内のものが用いられる。
2.繊維状集電体の束
図3に例示するように、本発明の内側集電体1は、同一方向に配置された複数本の上述したような繊維状集電体2の束から構成されている。本発明において、発電に必要なガスや生成水を通流させる流路として用いる凹部3は、このように構成された内側集電体1の外周面に形成された凹凸の一部である。上記凹部3は、軸に垂直な断面が略円形状(凹凸を有するものを含む)の繊維状集電体2を複数本束にすることにより、自ずと形成されるものである、本発明においては、この凹部3を流路として活用するものである。
なお、図示はしていないが、繊維状集電体の束である内側集電体の軸は、共に用いられるチューブ形状の固体電解質膜の軸(膜電極複合体の軸)と同一方向になるように形成される。
図3に例示するように、本発明の内側集電体1は、同一方向に配置された複数本の上述したような繊維状集電体2の束から構成されている。本発明において、発電に必要なガスや生成水を通流させる流路として用いる凹部3は、このように構成された内側集電体1の外周面に形成された凹凸の一部である。上記凹部3は、軸に垂直な断面が略円形状(凹凸を有するものを含む)の繊維状集電体2を複数本束にすることにより、自ずと形成されるものである、本発明においては、この凹部3を流路として活用するものである。
なお、図示はしていないが、繊維状集電体の束である内側集電体の軸は、共に用いられるチューブ形状の固体電解質膜の軸(膜電極複合体の軸)と同一方向になるように形成される。
このような内側集電体は、共に用いられる内側触媒電極層の内側に、集電が可能な程度に接するように形成される。そのため、内側集電体、つまり繊維状集電体の束の外径は、共に用いられる内側集電体の内径により決定されるものであるが、通常は、0.1mm〜5mmの範囲内、中でも0.5mm〜3mmの範囲内のものが用いられる。また、繊維状集電体の外径により大きく異なるものではあるが、上記範囲内の外径の繊維状集電体の束を形成するために、通常2本〜49本、中でも4本〜19本の繊維状集電体が用いられる。
本発明においては、内側集電体の外周面を構成する繊維状集電体の側面同士が密着するように配置されていることが好ましい。図4に例示するように、隣り合う繊維状集電体2同士を密着させることにより、内側集電体1の中心部に、気密な空間である内部気密空間4を形成することができる。上記内部気密空間4は、その外部とは隔絶された気密な空間であり、流体を通流させても外部に漏れ出ることがないため、流路として用いることができる。例えば、膜電極複合体1を冷却する場合などには、上記内部気密空間4を冷却媒体を通流させる流路として用いることができる。
また、繊維状集電体同士を密着させることにより、繊維状集電体間を移動する電子の抵抗を低減することができるため、集電体としての性能を向上させることもできる。また、上記繊維状集電体同士を密着させることにより、繊維状集電体の束である内側集電体の強度を向上させることもできる。この際、繊維状集電体同士を密着させる方法は特に限定されるものではなく、一般的な方法を用いることができる。例えば、加圧、加熱下で繊維状集電体同士を接触させることによる拡散接合、接着剤による接合などにより密着した状態で接合することができる。
本発明において、上述したような繊維状集電体の束がねじられた状態で内側集電体に用いられていることが好ましい。図1または図4に例示するように、上記繊維状集電体2の束をねじることにより、繊維状集電体2同士の密着性を向上させることができ、繊維状集電体2の束、つまり、内側集電体1の強度を向上させることもできる。また、上述したように、繊維状集電体2同士を密着させることにより、繊維状集電体2の束の集電体としての性能を向上させることもできる。
さらに、上記繊維状集電体2の束をねじることにより、その外周面に形成された凹部3をスパイラル形状にすることができる。そのため、該凹部3を発電に必要なガスや生成水用の流路として用いた場合、流路内を通流するガスの流速を増加させることができ、その流速により生成水を押し流すことができるので、フラッディング防止の効果を得ることができる。
3.芯材
本発明においては、上記内側集電体の中心部に、上記繊維状集電体と接するように芯材が配置されていることが好ましい。燃料電池の発電反応中、上記内側集電体の外周面上を発電に必要なガスや生成水が通流する。そのため、内側集電体の外周面は常にフッ素系の化合物等に曝されている状態であり、高い耐腐食性が要求されるので、内側集電体には導電性が高く、かつ、耐腐食性が高い材料が用いられる。しかしながら、このような材料は通常高価なものであり、内側集電体の材料コストの増加の原因となっている。そこで、図5に例示するように、内側集電体1の外周面のみを上記導電性が高く、かつ、耐腐食性が高い材料で構成し、耐腐食性があまり要求されない内側集電体1の中心部に安価な導電性材料からなる芯材5を配置することにより、内側集電体の機能を低下させることなく材料コストを削減することができる。
本発明においては、上記内側集電体の中心部に、上記繊維状集電体と接するように芯材が配置されていることが好ましい。燃料電池の発電反応中、上記内側集電体の外周面上を発電に必要なガスや生成水が通流する。そのため、内側集電体の外周面は常にフッ素系の化合物等に曝されている状態であり、高い耐腐食性が要求されるので、内側集電体には導電性が高く、かつ、耐腐食性が高い材料が用いられる。しかしながら、このような材料は通常高価なものであり、内側集電体の材料コストの増加の原因となっている。そこで、図5に例示するように、内側集電体1の外周面のみを上記導電性が高く、かつ、耐腐食性が高い材料で構成し、耐腐食性があまり要求されない内側集電体1の中心部に安価な導電性材料からなる芯材5を配置することにより、内側集電体の機能を低下させることなく材料コストを削減することができる。
上記芯材を構成する材料は、導電性が高く、かつ、安価な材料であれば特に限定されるものではない。例えば、銅、アルミ等を用いることができる。
上記芯材の形状は特に限定されるものではなく、上記繊維状集電体と同様な繊維状のものを用いることができる。芯材の軸に垂直な断面の形状も特に限定されるものではなく、上記繊維状集電体と同様の断面形状のものを用いることができる。このような芯材の外径は、内側集電体の外径および繊維状集電体の外径により大きく異なるものではあるが、一般的には0.02mm〜2mmの範囲内、中でも0.1mm〜0.5mmの範囲内のものが用いられる。また、上記芯材の軸方向の長さは、共に用いられる繊維状集電体の長さ、つまり、内側集電体の長さにより適宜調整することができる。
上記芯材の外径と繊維状集電体の外径との関係は特に限定されるものではなく、同じでも異なっていてもよい。例えば、図6(a)に例示するように、同程度の外径を有する繊維状集電体2と芯材5とを用い、上記芯材5の外周面を囲むように繊維状集電体2を配置してもよい。また、図6(b)に例示するように、繊維状集電体2の外径よりも大きな外径を有する芯材5を用い、太い芯材5の外周面を囲むように細い繊維状集電体2を配置してもよい。さらに、図6(c)に例示するように、細い外径を有する複数本の繊維状の材料から芯材5を構成し、該芯材5の外周面を囲むように繊維状集電体2を配置してもよい。
本発明においては、上記芯材と繊維状集電体とが接していることが好ましい。上述したような導電性を有する材料から成る芯材を、芯材の側面と、隣り合う繊維状集電体の側面とが接するように配置することにより、電子は上記芯材と繊維状集電体との間を自由に移動ができるため、芯材を用いた場合でも上記内側集電体の導電性を維持することができるからである。また、繊維状集電体よりも高い導電性を有する材料から成る芯材を用いることにより、内側集電体の導電性を向上させることもできる。
また、図5に例示するように、外周面が密着された繊維状集電体2から構成されている内側集電体1の中心部に上記芯材5を配置する場合、内側集電体1の中心部である内部気密空間4は、芯材5、および上記芯材5と繊維状集電体2との間の空間である芯材周辺部気密空間4´から構成される。この芯材周辺部気密空間4´は、上述した内部気密空間4と同様に、内側集電体1の中心部に冷却水等の流体を通流させる流路として用いることができる。
上記芯材と、繊維状集電体とを密着させる方法は特に限定されるものではなく、上述した繊維状集電体同士を密着させる方法と同様な方法により行うことができる。また、上記内部気密空間に樹脂や接着剤などを流し込んだ後に芯材を組み込むことにより行ってもよい。このような集電体は、先に繊維状集電体により外周面を形成し、その内部に芯材を配置することにより、または、芯材の外周面を囲むように繊維状集電体を配置することにより製造することができる。
B.燃料電池用膜電極複合体
次に、本発明の膜電極複合体について説明する。
本発明の膜電極複合体は、上述したような内側集電体を有することを特徴とするものである。上記「A.内側集電体」に記載された、その外周面上に流路を有しており、製造が容易、かつ低コストである内側集電体を用いて膜電極複合体を構成することにより、膜電極複合体の製造コストを削減することができる。
次に、本発明の膜電極複合体について説明する。
本発明の膜電極複合体は、上述したような内側集電体を有することを特徴とするものである。上記「A.内側集電体」に記載された、その外周面上に流路を有しており、製造が容易、かつ低コストである内側集電体を用いて膜電極複合体を構成することにより、膜電極複合体の製造コストを削減することができる。
本発明の膜電極複合体は、上記「A.内側集電体」に記載された内側集電体が用いられているものであれば、特に限定されるものではなく、チューブ形状(内部の空間に内側集電体が挿入された円柱状を含む。)を有する一般的な膜電極複合体を用いることができる。チューブ形状を有する一般的な膜電極複合体の構成としては、例えば、チューブ形状の固体電解質膜と、上記固体電解質膜の外周面に形成された外側触媒電極層と、上記固体電解質膜の内周面形成された内側触媒電極層とを有するもの等を挙げることができる。本発明においては、上記内側触媒電極層の内周面に接するように上記内側集電体が配置される。この際、必要に応じて、上記外側触媒電極層の外周面に接するように外側集電体を設けてもよい。
上記膜電極複合体に用いられる内側集電体に関しては、上記「A.内側集電体」の記載と同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の膜電極複合体を構成する、内側集電体以外の構成について説明する。
本発明に用いられる固体電解質膜としては、チューブ形状の形態を有し、プロトン伝導性に優れ、かつ電流を流さない材料からなるものであれば特に限定されるものではない。このような固体電解質膜を形成する電解質材料としては、ナフィオン(商品名:Nafion、デュポン株式会社製)などに代表されるようなフッ素系樹脂、アミド系樹脂に代表されるような炭化水素系樹脂等有機系のもの、または、ケイ素酸化物を主成分とするものなどの無機系のもの等を挙げることができる。
上記無機系の電解質材料を用いた固体電解質膜としては、多孔質ガラスをチューブ形状に成形し、そのナノ細孔内の表面を改質して、プロトン導電性を付与したチューブ形状の固体電解質膜や、チューブ形状のリン酸ガラスを応用したもの等を挙げることができる。上記多孔質ガラスを用いたものとしては、例えば多孔質ガラスの細孔内表面のOH基にメルカプトプロピルトリメトキシシランのシランカップリング剤を反応させ、その後にメルカプト基の−SHを酸化することにより、プロトン伝導性を有するスルホン酸基を導入する方法(化学と工業 第57巻 第1号(2004年)p41〜p44)等を挙げることができる。また、リン酸ガラスを応用したものとしては、燃料電池 Vol.3 No.3 2004 p69〜p71に報告された例等を挙げることができる。
また、本発明に用いられる内側触媒電極層、および外側触媒電極層は特に限定されるものではなく、通常の平面構造の膜電極複合体に用いられている材料をチューブ形状に成形したものを用いることが可能である。具体的には、パーフルオロスルホン酸系ポリマー(商品名:Nafion、デュポン株式会社製)等のプロトン伝導材、カーボンブラックやカーボンナノチューブ等の導電性材料、および上記導電性材料に担持された白金等の触媒を含むものである。
本発明に用いられる膜電極複合体の外側の集電の方法は特に限定されるものではなく、通常の膜電極複合体における集電の方法により行うことができる。例えば、触媒電極層としての機能と、集電体としての機能とを併せ持つ部材を、外側触媒電極層および外側集電体として用いてもよい。また、触媒電極層とは別の部材を集電体として用い、上記外側触媒電極層の外側に外側集電体を形成してもよい。この際、各膜電極複合体の外側触媒電極層毎に外側集電体を形成してもよいし、複数本の膜電極複合体の外側触媒電極層に対して1つの外側集電体を形成してもよい。
上記の中でも、本発明の膜電極複合体は、上記外側触媒電極層の外周面に配置された外側集電体を有することが好ましい。触媒電極層とは別の部材である集電体を用い、触媒電極層に導電性の高い集電体を密着させて集電を行うことにより、電子の移動を円滑にし、効率よく集電を行うことができるからである。
上記外側集電体は導電性が高く、膜電極複合体の円柱形状またはチューブ形状の径方向にガスを透過するものであれば特に限定されるものではない。このような外側集電体の形状の例としては、バネ形状のもの、管の壁面部に、その壁面を貫通する孔を多数有する形状や、管の壁面部が網目構造のもの、複数の直線状の導電体が円柱形状またはチューブ形状の軸方向に配置されたもの等を挙げることができ、中でもバネ形状のものが好適に用いられる。また、このような形状の外側集電体を形成する材料としては、例えば、チタン、ステンレス鋼、白金、金、SiO2、B2O3、Nd2O、またはTiC、TiSi2、TiB2等のチタン系合金などの金属等、またはカーボンを挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…内側集電体
2…繊維状集電体
3…凹部
4…内部気密空間
4´…芯材周辺部気密空間
5…芯材
2…繊維状集電体
3…凹部
4…内部気密空間
4´…芯材周辺部気密空間
5…芯材
Claims (5)
- チューブ形状の固体電解質膜と、前記固体電解質膜の外周面に形成された外側触媒電極層と、前記固体電解質膜の内周面に形成された内側触媒電極層と、前記内側触媒電極層の内周面に接するように配置された内側集電体とを少なくとも有する燃料電池用膜電極複合体に用いられる内側集電体であって、
前記内側集電体が、同一方向に配置された複数本の繊維状導電体の束から構成されており、かつ、前記チューブ形状の固体電解質膜の軸と、前記内側集電体の軸とが同一方向であることを特徴とする内側集電体。 - 前記内側集電体の外周面が、側面同士が密着するように配置された複数本の前記繊維状導電体から構成されており、
前記側面同士が密着するように配置された複数本の前記繊維状導電体が、その内部に気密な空間である内部気密空間を形成することを特徴とする請求項1に記載の内側集電体。 - 前記同一方向に配置された複数本の繊維状導電体の束が、ねじられた状態で用いられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内側集電体。
- 前記内側集電体の中心部に、前記繊維状集電体と接するように芯材が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の内側集電体。
- 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の内側集電体が用いられていることを特徴とする燃料電池用膜電極複合体。
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