JP2006215442A - 光検出装置及び光検出装置における制御方法 - Google Patents

光検出装置及び光検出装置における制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光プローブと試料間距離を制御する方法や手段について工夫することにより、伝搬光による広範囲測定において、伝搬光束の集光点を試料の被測定面に対して正確に位置調整して、常に最も高い分解能を実現すること。
【解決手段】伝播光を用いた広範囲測定を行う際に、光プローブ13から射出する伝播光束の焦点位置を検出し、この焦点位置が試料2の被測定面2aとなるように上記光プローブ13と試料2との相対位置を制御する光プローブと試料間距離の制御方法。
【選択図】図1−1

Description

この発明は、ナノオーダの計測・加工を目的とした走査型プローブ顕微鏡に関するものであり、さらに詳細には、伝搬光と近接場光を射出可能な光プローブを装備することにより、通常の伝搬光を利用した広範囲測定と近接場光を利用した高分解能測定の双方を実現することができる光検出装置に関する。
近年、STM(走査型トンネル顕微鏡)、AFM(走査型原子間力顕微鏡)を初めとするSPM(走査型プローブ顕微鏡)技術により、ナノオーダの計測・加工が行われている。このSPMの中にあって、回折限界以下の微小領域での光学的特性を検出することが可能な近接場光学顕微鏡は、バイオテクノロジーなど様々な分野での測定・評価装置として用いられている。また、上記近接場光学顕微鏡の技術を応用した、光記録装置や微細加工装置の研究開発も進められている。
この近接場光学顕微鏡では、回折限界以下の寸法の微細構造体をプローブとして用いて、該プローブ先端部を照明することにより、その近傍に近接場光を発生させる。この状態でプローブを試料面上で走査させることにより、プローブ近傍に局在している近接場光と試料面との電磁気的な相互作用により散乱、あるいは試料面を透過した近接場光を検出することにより、試料面の光学的情報(光強度、スペクトル、偏光等)を得ることができる。
近接場光学顕微鏡では、一般に、コア周囲にクラッドが設けられた光ファイバの一端に先鋭化した上記コアを突出させた突出部を有し、当該突出部に例えばAuやAg等の金属により被覆された光プローブを備え、光の波長を超えた分解能を有する光学像を得ることができる。
また、上記近接場光学顕微鏡により試料の微小領域における物性を測定する場合には、試料表面の光の波長より小さい領域に局在するエバネッセント光を検出して試料の形状を測定する。そして、全反射条件下で試料に光が照射されることにより生じたエバネッセント光を、上述した光プローブにより散乱させ散乱光に変換する。この散乱光は、光プローブが形成されている突出部を通じ光ファイバのコアに導かれ、光ファイバのもう一方の射出端に接続された検出器により検出される。
即ち、この近接場光学顕微鏡は、光プローブにより散乱と検出の双方を行うことができる。
しかし、従来の近接場光学顕微鏡においては、高分解能で測定することができるものの、測定範囲が数十μm程度と非常に狭いというデメリットがある。
近接場光学顕微鏡の分解能は、使用する光プローブの開口径により支配されるため、分解能を変えて物性測定を行う場合には、開口径の異なる低分解能用の光プローブを近接場光学顕微鏡へ別途配設する必要がある。低分解能用の光プローブ(開口径の大きいもの)を使用することにより、測定範囲を広げることが可能であるが、光プローブから射出されるビームは大きい広がりを持つ光であるため、光プローブから射出した光を効率的に検出するためには光プローブを試料面に対し常に近接させていなければならず、光プローブと試料が接触する危険性があり、測定時の走査速度を速くすることができない。そのため、測定範囲を拡大することは事実上難しい。
このような問題点を考慮して、近接場光学顕微鏡に広範囲計測機能を付加した発明が提案されている(特開2000−55818号公報参照)。
また、近年シリコンウエハの欠陥検査等の用途において、先に示した低分解能での測定の後、近接場光を利用した高分解能での測定へ切り替えて、同一試料の測定・検査を継続して行えるようにすることが求められている。このような要求に対して、例えば、上記公開公報に記載されているように、対物レンズによる観察系を含む通常の光学顕微鏡装置において、近接場光検出用の光プローブを組み込んだ構成の欠陥検査装置が提案されている。
しかし、上記公開公報に記載された欠陥検査装置においては、対物レンズによる広範囲測定により特定した物性測定を必要とする微小領域に対して、近接場光検出用の光プローブを位置合わせした上で、近接場光測定(高分解能測定)を実施するものであるが、上述した微小領域への位置合わせは非常に困難であり、長時間を要するものである。
そして、本件出願人の先願に係る特願2003−193680号出願は、広範囲測定と高分解能測定の両機能を一つの光プローブにより実行し得るように提案されており、光プローブの形状を工夫することによって、伝播光によるスポットと近接場光によるスポットを併せ持つことで実現するものである。このことにより、上述の困難な光プローブ位置合わせ工程が不要となるため、測定・検査工程の高速化を実現することができる。
この先願に係る発明においては、光プローブと計測試料表面との距離を、伝播光スポットを使う場合と近接場光スポットを使う場合とで切り替えて制御する必要がある。
近接場光のスポットを用いて測定をする場合には、従来の近接場光学顕微鏡でも行われているように、シアフォース検出によるプローブ追従制御により、光プローブと試料間距離を制御すれば良い。
しかし、上記先願においては、伝搬光により光スポットを形成させて広範囲測定を行う場合の、光プローブと試料間距離を制御する方法や手段については、明記されていない。
特開2000−55818号公報
本発明の課題は、上記問題点に鑑み、光プローブと試料間距離を制御する方法や手段について工夫することにより、伝搬光による広範囲測定において、伝搬光束の集光点を試料の被測定面に対して正確に位置調整して、常に最も高い分解能を実現することである。
上記課題に対する解決手段は、伝播光による広範囲測定において、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出し、この焦点位置が試料の被測定面となるように光プローブと試料間距離を制御することが基本である。
〔解決手段1〕(請求項1に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段1は、伝播光を用いた広範囲測定を行う際に、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出し、この焦点位置が試料の被測定面となるように上記光プローブと試料との相対位置を制御する光プローブと試料間距離の制御方法である。
〔作 用〕
伝播光を用いた広範囲測定を行う際に、光プローブと試料間の距離を毎回(どの光プローブにおいても)一定となるよう位置調整するのではなく、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出して、その焦点位置が試料の被測定面となるように光プローブと試料との相対位置を調整する。
〔実施態様1〕(請求項2に対応)
実施態様1は、解決手段1の制御方法において、光プローブから射出する伝播光束を、該伝播光束の計測試料表面における照射位置に一つの焦点を持つ共焦点光学系を透過させ、その後、上記焦点の共役点に配置したピンホールを通過させ、その通過した光量を検出することにより、上記光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出することである。
〔作 用〕
光プローブから射出した伝播光束は、共焦点光学系を透過した後、ピンホールを通過する。このピンホールは、光プローブを射出した伝播光束の計測試料表面における照射位置と共役点に配置されているため、該ピンホールを通過する光量は、上記伝播光束の焦点位置が計測試料表面に合えば増大し、合わなければ減少するので、上記光量を検出することにより上記伝播光束の焦点位置を検出することができる。
〔実施態様2〕(請求項3に対応)
実施態様2は、解決手段1の制御方法において、光プローブから射出する伝播光束の計測試料表面における光束を遮蔽手段により連続的に遮蔽し、その光量の変化からビームプロファイルを算出することにより、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出することである。
〔作 用〕
光プローブから射出した伝播光束の計測試料表面における光束を遮蔽手段(ナイフエッジ)により連続的に遮蔽し、その光量変化を検出してビームプロファイルを算出する。このビームプロファイルは、遮蔽手段により遮蔽する位置が伝播光束の集光点か否かにより異なるので、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出することができる。
〔実施態様3〕(請求項4に対応)
実施態様3は、上記解決手段1、実施態様1又は実施態様2の制御方法において、伝播光を用いた広範囲測定時の光プローブと試料間距離の制御において、画像撮像手段により光プローブの先端位置を認識することによって、粗調整を行うことである。
〔作 用〕
広範囲測定時におけるプローブの先端位置を画像撮像手段により認識して、高速で概略の位置調整(粗調整)を行い、その後、上記実施態様1又は実施態様2の制御方法により高精度の微調整を行うことができる。
〔解決手段2〕(請求項5に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段2は、光を射出する光源と、
光源から射出された光を伝搬させるコアを有する光ファイバであって、該コアの先端に光を射出する光プローブが形成された光ファイバプローブと、
上記コアを伝搬し、上記光プローブから射出した伝搬光束の焦点位置を検出する焦点位置検出手段と、
上記光ファイバプローブと試料の被測定面との相対位置を近接離間する方向へ移動する移動制御手段と、
上記試料の被測定面からの光束を検出する検出手段と、
を具備する光検出装置である。
〔作 用〕
伝播光を用いた広範囲測定を行う際に、光プローブと試料間の距離を毎回(どの光プローブにおいても)一定となるよう位置調整するのではなく、焦点位置検出手段により伝搬光束の焦点位置を検出して、その焦点位置が試料の被測定面となるように、光プローブと試料との相対位置を移動制御手段により調整することができる。
〔実施態様4〕(請求項6に対応)
実施態様4は、上記解決手段2の光検出装置において、光プローブを射出した伝播光束の計測試料表面における照射位置に、一つの焦点を持つ共焦点光学系と、
上記焦点の共役点に配置したピンホールと、
上記ピンホールを通過した光量を検出する受光素子と、
上記受光素子の受光信号から伝搬光束のデフォーカス量を算出する計算手段と、
を具備することである。
〔作 用〕
光プローブから射出した伝播光束は、共焦点光学系を透過した後、ピンホールを通過する。このピンホールは、光プローブを射出した伝播光束の計測試料表面における照射位置と共役点に配置されているため、該ピンホールを通過する光量は、上記伝播光束の焦点位置が計測試料表面に合えば増大し、合わなければ減少するので、上記光量を検出して計算手段によりデフォーカス量を算出することができる。
〔実施態様5〕(請求項7に対応)
実施態様5は、上記解決手段2の光検出装置において、光プローブを射出した伝播光束の計測試料表面における照射位置において、該伝播光束の一部又は全部を遮蔽する遮蔽手段と、
上記遮蔽手段を伝播光束の光軸と垂直な面上において移動する移動手段と、
上記移動手段により遮蔽状態の変化する伝搬光束を受光する受光素子と、
上記受光素子の受光信号から伝搬光束の強度プロファイルを計算し、該伝搬光束のデフォーカス量を算出する計算手段と、
を具備することである。
〔作 用〕
光プローブから射出した伝播光束の計測試料表面における光束を、移動手段によって移動される遮蔽手段(ナイフエッジ)により連続的に遮蔽して、その光量変化を受光素子により検出し上記伝搬光束の強度プロファイルを計算する。この強度プロファイルは、遮蔽手段により遮蔽する位置が伝播光束の集光点か否かにより異なるので、上記計算手段により伝搬光束のデフォーカス量を算出することができる。
〔実施態様6〕(請求項8に対応)
実施態様6は、上記解決手段2、実施態様4又は実施態様5の光検出装置において、光プローブと試料間距離の粗検出手段として、画像撮像手段を具備することである。
〔作 用〕
広範囲測定時におけるプローブの先端位置を画像撮像手段により認識して、高速で概略の位置調整(粗調整)を行い、その後、上記実施態様4又は実施態様5の光検出装置により高精度の微調整を行うことができる。
本発明の効果を主な請求項毎に整理すると、次ぎのとおりである。
(1) 請求項1及び請求項5に係る発明
光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出して、その焦点位置が試料の被測定面となるように光プローブと試料との相対位置を調整することにより、光プローブ形状の個体差に影響されないで、常に最も高い分解能を実現することが可能である。
(2) 請求項2及び請求項6に係る発明
ピンホールを通過した光量を検出することにより、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出することができるので、光プローブから射出する伝播光束の集光点を計測試料表面に対して正確に位置調整することができる。
(3) 請求項3及び請求項7に係る発明
伝播光束を連続的に遮蔽したときのビームプロファイルを算出することにより、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出することができるので、計測試料表面に光プローブから射出する光束の集光点を正確に位置調整することができる。
(4) 請求項4及び請求項8に係る発明
画像撮像手段による認識に基づいて高速で概略の位置調整(粗調整)を行い、その後、高精度の微調整を行うことにより、光プローブと計測試料表面との距離を効率的に調整することができる。
光プローブと試料間距離を制御する方法や手段について工夫することにより、伝搬光による広範囲測定において、伝搬光束の集光点を試料の被測定面に対して正確に位置調整して、常に最も高い分解能を実現するという目的を、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出し、この焦点位置が試料の被測定面となるように光プローブと試料間距離を制御することにより実現した。
本発明の実施例について、図1−1〜図5を参照しながら説明する。
〔光検出装置の概要と測定過程について〕
最初に、光検出装置1の概要及び測定過程について、図1−1を参照しながら説明する。図1−1は光検出装置の模式図である。
光検出装置1は、例えば、試料の微小領域における光学物性を測定する近接場光学顕微鏡等に適用されるものであり、光を射出する光源11と、この光源11から射出された光の光路中に配置された偏光ビームスプリッタ12と、この偏光ビームスプリッタ12を透過した光の光路中に配置された1/4波長板18と、この1/4波長板18を通過した光を集光して試料2の被測定面2aに照射する光プローブ13と、該被測定面2aからの戻り光を検出する光検出器(検出手段)14とを備えている。
上記光源11は、図示されていない電源装置を介して受給した駆動電源により光を発振する。また、光波長変換部(波長制御手段)17は、該光源11から射出される光の波長を切り替えることが可能であり、後で述べるように波長を変更することによって光スポット径を制御する際に使用することができる。
上記偏光ビームスプリッタ12は、光源11から射出された光を透過させて、試料2の被測定面2aへ導くと共に、該被測定面2aからの戻り光を反射させて光検出器14へ導く働きをする。この偏光ビームスプリッタ12を透過した光は1/4波長板18へ入射される。
上記光源11から射出された直線偏光の光は、1/4波長板18を通過して円偏光となり、上記光プローブ13のコア31へ入射される。また、試料2の被測定面2aで反射して戻ってくる円偏光の光が、再び1/4波長板18を通過した場合には、光源から射出された光の偏光方向と異なる直線偏光となるため、上記偏光ビームスプリッタ12では反射されることになる。
因みに、この偏光ビームスプリッタ12の代替として、通常のビームスプリッタを用いても良い。
上記光プローブ13は、光導波部21と遮光性被覆層33で覆われた突出部22とを備えている。この光導波部21は、コア31の周囲にクラッド32が設けられた光ファイバにて構成される。該コア31及びクラッド32は、それぞれ二酸化シリコン系ガラスから成り、ゲルマニウムやリン等を添加することにより、コア31よりもクラッド32の屈折率が低くなるように組織制御されている。
上記突出部22は、光導波部21の一端においてクラッド32から突出させた円錐形状のコア31から成り、第1テーパ部20a(伝搬光射出部)と第2テーパ部20b(近接場光発生部)にて構成されている。
上記光プローブ13は、プローブ制御部(移動制御手段)15に装着されており、このプローブ制御部15は、例えば3軸アクチュエータ等により構成され、光プローブ13を被測定面2aに対して近接離間させる方向に移動させたり、又は水平方向に走査させる。なお、このプローブ制御部15は、光プローブ13を被測定面2aに対して近接離間する方向に移動させる代わりに、試料2の被測定面2aを光プローブ13に対して近接離間する方向へ移動させても良い。
上記光検出器14は、被測定面2aからの戻り光を受光して光電変換することにより、輝度信号を生成する。この光検出器14により生成された輝度信号を基に作成した画像は、図示されていない表示装置上に表示される。ユーザは、この表示装置上に表示される画像に基づいて、被測定面2aの詳細を測定し観察することができる。
但し、該被測定面2aからの戻り光の検出に関して、試料2が光透過性を有している場合には、光検出器14を光プローブ13に対して、試料2を隔てて対向配置することによって、光を検出する構成にしても良い。
〔光プローブの構成〕
以下、光プローブ13の構成について、図1−2(a)を参照しながら説明する。図1−2(a)は、図1−1における光プローブ13の拡大図である。
コア31内を伝搬する光41(以下、伝搬光という)は、光プローブ13に達した後、この第1テーパ部20aを経て光プローブ外に射出される。ここで、光プローブ13の第1テーパ部20aの表面22aは円錐テーパ形状であり、この表面22aの法線43aと伝搬光の光軸42との成す角θ(以下、傾斜角θという)が、伝搬光41における全反射角未満で、かつ0度より大きい形状である。このことにより、光プローブ13に入射した伝搬光41の大部分が、遮光性被覆層33を透過した後、屈折光として光プローブ13の外部に射出され、この射出された光は光プローブ13の先端から数百nm〜数μm程度離れた位置で集光し、高い光強度を有する光スポットを形成する。
因みに、第1テーパ部20aが図1−2(a)のような円錐テーパ形状を成す光プローブ13の代替として、図1−2(b)に示すような曲面形状を成す第1テーパ部20a’を有する光プローブ13aとしても良い。
光プローブ13の先端から離れた位置において集光し、高い光強度を有する光スポットを形成する現象は、傾斜角θが伝搬光における全反射角未満である場合の固有の現象である。
図2において、第1テーパ部の傾斜角θに対する、光プローブ先端−集光スポット間の距離の推移についてその一例を示している。同図においては、第1テーパ部20aの屈折率が1.53、射出媒質が空気である場合であり、全反射角40°を境にそれを下回る入射角度(傾斜角)において、光プローブ13の先端から数百nm〜数μm程度離れた位置において集光していることを表している。
上記光スポット径は、第1テーパ部20aの根元の径D、傾斜角θ、及び伝搬光41の波長によって制御することができる。
〔伝播光測定における光プローブと試料間距離の制御について〕
次に、上記のような光プローブを備えた光検出装置において、伝播光を用いた広範囲測定をする際の光プローブと試料との距離の制御について説明する。
伝播光を用いて広範囲測定をする場合、試料の被測定面に伝播光が集光していることが測定分解能の面から望ましい。これは、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出する手段を持つことにより、実現することができる。
〔焦点位置検出手段の第1例〕
先ず、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出する手段の第1例の構成について、図3を参照しながら説明する。図3は伝搬光の焦点位置検出手段の第1例の説明図である。
対物レンズ51とカップリングレンズ52から成り、光プローブ13の光軸上で、試料の被測定面に相当する点Aに一つの焦点を持つ共焦点光学系50を備えており、もう一方の焦点位置にピンホール53を設けている。このピンホール53の後方には、計算回路55へ受光信号を出力する受光素子54が設けられており、該計算回路55では受光信号からデフォーカス量が算出される。
ここでは、共焦点光学系50として対物レンズとカップリングレンズを使用しているが、共焦点光学系であれば、これ以外の光学系を適用しても良いことは言うまでもない。
共焦点光学系50において、計測試料表面における光プローブ13からの伝播光が照明する点とピンホール53とが共役関係にあり、計測試料表面において合焦している時、ピンホール53を透過する光量が最大となる。そこで、受光素子54にてピンホール53からの透過光を受光することにより、その光量から計算回路55でデフォーカス量を算出することができる。
〔焦点位置検出手段の第2例〕
次に、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出する手段の第2例の構成について、図4−1〜図4−3を参照しながら説明する。図4−1は伝搬光の焦点位置検出手段の第2例の説明図であり、図4−2は移動(揺動)する遮蔽手段と伝播光スポットとの関係を説明する図であり、図4−3は伝播光束の受光信号微分値のプロファイルを示している。
先ず、伝搬光の焦点位置検出手段について、図4−1を参照しながら説明する。
計測試料表面における光プローブ13からの伝播光が照明する位置において、ナイフエッジ等の遮蔽手段60を設けると共に、この遮蔽手段60を移動(揺動)させるアクチュエータ62を設けて成る。該遮蔽手段60の後方には、計算回路55へ受光信号を出力する受光素子54が設けられており、該計算回路55では受光信号からデフォーカス量が算出される。上記アクチュエータ62としては、例えばPZTなどの圧電アクチュエータやボイスコイルモータなどを使用することができる。
移動(揺動)した際の遮蔽手段60と計測試料表面での伝播光スポット100との位置関係が、図4−2に示されている。遮蔽手段60が図4−2(a),(b),(c)に示されているように移動すると、受光素子54に入射する光量の微分値は図4−2(d)に示すようになり、図4−2(a),(b),(c)におけるそれぞれの状態では、a点、b点、c点の微分値をとることになる。これは伝播光スポットのビームプロファイルであり、デフォーカス特性を顕著に反映する。例えば、図4−1(a)に示したように、伝播光束の焦点位置において遮蔽した際には、その受光信号微分値のプロファイルは図4−3(a)のように鋭く尖る。逆に、図4−1(b)のように焦点位置でない個所で遮蔽した場合には、その受光信号微分値のプロファイルは、図4−3(b)に示すように図4−3(a)と比較してなだらかなプロファイルとなる。
したがって、上記受光信号微分値のプロファイルの頂点の値が最大になるように、又はプロファイルの幅(例えば、半値幅など)が最小になるようにする等の方法によって、焦点位置を検出することができる。
〔粗検出手段〕
上記焦点位置検出手段の第1例又は第2例の構成において、CCDカメラ70などの画像撮像手段を付加する形で設けることについて、図5を参照しながら説明する。図5は、光プローブと試料の位置関係を検出する粗検出手段の説明図である。
CCDカメラ70では、光プローブ13から射出する伝播光の焦点位置を正確に認識することは難しいが、光プローブ13と試料2の位置関係をある程度の精度で認識することができるので、このCCDカメラ70に粗調整の役割をさせることにより、焦点検出と位置調整の補助をすることができる。
その場合図5(a)に示すように、光プローブ13に対して横方向からCCDカメラ70で撮像する方法と、図5(b)に示すように、光プローブ13と試料2を斜めから撮像して、光プローブ13に光を導光した状態で、光プローブ先端の光った点と試料2において反射したその鏡像との距離を認識し、それを1/2にして実際の距離を算出する方法が考えられる。
〔光検出装置による測定過程について〕
次に、以上のような構成から成る光検出装置1における測定過程について、図1−1を参照しながら説明する。
〔伝搬光測定〕
先ず、伝搬光測定(広範囲測定)に関する測定過程について説明する。
光源11から射出された直線偏光成分を有する波長λの光は、偏光ビームスプリッタ12を透過して、1/4波長板18により偏光成分を制御された上で、光プローブ13へ入射される。この光プローブ13に入射された光は、そのままコア31内を伝搬し、該光プローブ13から射出され、光プローブ13の先端から離れた位置において集光し、光スポットを形成する。
ここで、プローブ制御部15により光プローブ13を試料2の被測定面2aに対して近接離間させる方向に移動させ、前述した方法によって、集光により形成された光スポットの位置に被測定面2aの位置を一致させる。
次に、プローブ制御部15により、光プローブ13を被測定面2aに対して水平方向に走査し、その際に、先に説明したように光プローブ13から射出された光が被測定面2aから戻されるが、その戻り光を光検出器14で受光することにより、被測定面2aの詳細な光学物性情報を表示装置(図示を省略)上に表示される画像から得ることができる。
なお、光プローブ13を被測定面2aに対して水平方向に走査する際に、光プローブ13の被測定面2aに対する高さを一定とすることにより、かかる測定中において近接離間方向への制御が不要となる。先に示した光プローブ先端−集光スポット間の距離の長さ(数百nm〜数μm程度)と相俟って、より高速な走査が可能となり、測定時間の大幅な短縮につながる。さらに、従来の近接場光測定時と比較した場合、測定点一点当たりの測定範囲が広いので、同じ測定点数や測定ライン(走査ライン)数によって広範囲の測定を実現することができる。
更に、光プローブ13からの射出光が集光していない場合と比較して、被測定面2aからより多くの戻り光を得ることができ、その結果、S/Nの向上に伴う高コントラストの測定結果を得ることが可能である。
〔近接場光測定〕
次に、近接場光測定(高分解能測定)に関する測定過程について説明する。
光源11から射出された直線偏光成分を有する光は、偏光ビームスプリッタ12を透過し、1/4波長板18により偏光成分を制御された上で、光プローブ13へ入射される。光プローブ13に入射された光はそのままコア31内を伝搬し、光プローブ13の遮光性被覆層33に入射する。このとき、遮光性被覆層33の射出端側にエバネッセント波としての近接場光が滲出する。近接場光が滲出している状態で、プローブ制御部15により、光プローブ13を試料2の被測定面2aに対して近接する方向に移動させる。このとき、光プローブ13の先端と被測定面2aとの距離が、光源から射出される光の波長λの1/4以下となる場合において、光プローブ13から滲出した近接場光が被測定面2a上に照射され、被測定面2a上には近接場光による微小な光スポットが形成される。光スポットを形成した近接場光は、遮光性被覆層33を透過してコア31を経て光検出器14に導かれる。このようにして、被測定面2aの高分解能測定を行うことができる。
は、近接場光学顕微鏡等に適用される光検出装置の模式図である。 は、光プローブを拡大した模式図である。(a)は図1−1における光プローブの拡大図であって、第1テーパ部が円錐テーパ形状のものであり、(b)は第1テーパ部が曲面形状のものである。 は、光プローブの第1テーパ部の傾斜角を変化させたときの、光プローブ先端−集光スポット間の距離の変化について説明する図である。 は、伝搬光の焦点位置を検出する焦点位置検出手段の第1例を説明する模式図である。 は、伝搬光の焦点位置を検出する焦点位置検出手段の第2例を説明する模式図である。(a)は伝播光束を焦点位置において遮蔽する場合を示し、(b)は伝播光束を焦点位置でない個所で遮蔽する場合を示す。 は、移動する遮蔽手段と伝播光スポットとの関係を説明する図である。(a),(b)及び(c)は遮蔽手段と伝播光スポットとの相対位置を示す図であり、(d)は伝播光束の受光信号微分値を説明する図である。 は、伝播光束の受光信号微分値のプロファイルを示しており、(a)は伝播光束の焦点位置において遮蔽した場合、(b)伝播光束の焦点位置でない個所で遮蔽した場合である。 は、光プローブと試料の位置関係をある程度の精度で検出する粗検出手段に関する模式図である。(a)は光プローブに対して横方向から撮像する場合、(b)は光プローブと試料を斜め方向から撮像する場合である。
符号の説明
1‥‥光検出装置 2‥‥試料
2a‥‥試料の被測定面
11‥‥光源 12‥‥偏光ビームスプリッタ
13‥‥光プローブ 14‥‥光検出器(検出手段)
15‥‥プローブ制御部(移動制御手段) 17‥‥光波長変換部(波長制御手段)
18‥‥1/4波長板
20a,20a'‥‥第1テーパ部(伝搬光射出部)
20b‥‥第2テーパ部(近接場光発生部)
21‥‥光導波部 22‥‥突出部
22a‥‥第1テーパ部の表面
31‥‥光導波部のコア 32‥‥光導波部のクラッド
33‥‥遮光性被覆層
41‥‥光(伝搬光) 42‥‥伝搬光の光軸
43a‥‥第1テーパ部の法線 43b‥‥第2テーパ部の法線
50‥‥共焦点光学系 51‥‥対物レンズ
52‥‥カップリングレンズ 53‥‥ピンホール
54‥‥受光素子 55‥‥計算回路
60‥‥遮蔽手段(ナイフエッジ) 61‥‥計算回路
62‥‥移動(揺動)手段(アクチュエータ)
70‥‥画像撮像手段(CCDカメラ)
100‥‥計測試料表面での伝搬光スポット

Claims (8)

  1. 伝播光を用いた広範囲測定を行う際に、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出し、この焦点位置が試料の被測定面となるように上記光プローブと試料との相対位置を制御することを特徴とする光プローブと試料間距離の制御方法。
  2. 上記光プローブから射出する伝播光束を、該伝播光束の計測試料表面における照射位置に一つの焦点を持つ共焦点光学系を透過させ、その後、上記焦点の共役点に配置したピンホールを通過させ、その通過した光量を検出することにより、上記光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の光プローブと試料間距離の制御方法。
  3. 上記光プローブから射出する伝播光束の計測試料表面における光束を遮蔽手段により連続的に遮蔽し、その光量の変化からビームプロファイルを算出することにより、光プローブから射出する伝播光束の焦点位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の光プローブと試料間距離の制御方法。
  4. 伝播光を用いた広範囲測定時の光プローブと試料間距離の制御において、画像撮像手段により光プローブの先端位置を認識することによって、粗調整を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光プローブと試料間距離の制御方法。
  5. 光を射出する光源と、
    光源から射出された光を伝搬させるコアを有する光ファイバであって、該コアの先端に光を射出する光プローブが形成された光ファイバプローブと、
    上記コアを伝搬し、上記光プローブから射出した伝搬光束の焦点位置を検出する焦点位置検出手段と、
    上記光ファイバプローブと試料の被測定面との相対位置を近接離間する方向へ移動する移動制御手段と、
    上記試料の被測定面からの光束を検出する検出手段と、
    を具備することを特徴とする光検出装置。
  6. 上記光プローブを射出した伝播光束の計測試料表面における照射位置に、一つの焦点を持つ共焦点光学系と、
    上記焦点の共役点に配置したピンホールと、
    上記ピンホールを通過した光量を検出する受光素子と、
    上記受光素子の受光信号から伝搬光束のデフォーカス量を算出する計算手段と、
    を具備することを特徴とする請求項5に記載の光検出装置。
  7. 上記光プローブを射出した伝播光束の計測試料表面における照射位置において、該伝播光束の一部又は全部を遮蔽する遮蔽手段と、
    上記遮蔽手段を伝播光束の光軸と垂直な面上において移動する移動手段と、
    上記移動手段により遮蔽状態の変化する伝搬光束を受光する受光素子と、
    上記受光素子の受光信号から伝搬光束の強度プロファイルを計算し、該伝搬光束のデフォーカス量を算出する計算手段と、
    を具備することを特徴とする請求項5に記載の光検出装置。
  8. 上記光プローブと試料間距離の粗検出手段として、画像撮像手段を具備することを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の光検出装置。
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