JP2006212899A - デジタル画像記録システム、記録装置、デジタル画像処理装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 ダイレクトプリント技術等によるデジタル画像記録システムにおいて、被記録材への記録が途中で中断されてしまうことを防止しつつ、バッテリ切れによる記録中断後の再度の記録実行操作を不要にする。
【解決手段】 次の１枚の記録紙Ｐへの記録を完遂可能な電池残量未満にプリンタバッテリ１２１の電池残量が低下した場合には、デジタルカメラ３０２は、未実行のデジタル画像データＢの記録ジョブを未実行ジョブ情報として保持する。インクジェット式記録装置５０の電力が１枚の記録紙Ｐへの記録を完遂可能な状態に回復した時点で、デジタルカメラ３０２は、自己が保持している未実行ジョブ情報がある場合には、その未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する。プリンタバッテリ１２１の電池残量の低下により実行されなかったデジタル画像データに基づく記録が自動再開される。
【選択図】 図５

Description

本発明は、電池を電源として動作するデジタル画像処理装置と、電池を電源として動作し、デジタル画像処理装置から送信されるデジタル画像データに基づいて被記録材へデジタル画像の記録を実行可能な記録装置とを備え、デジタル画像処理装置と記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成されたデジタル画像記録システムに関する。

ケーブルや無線通信等でＤＳＣ（デジタル・スチル・カメラ）等のデジタル画像処理装置をインクジェットプリンタ等の記録装置に直接接続して、ＤＳＣ等から送信するデジタル画像データの被記録材（記録紙）への記録（プリント）を実行するいわゆるダイレクトプリント技術が公知である。パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を介することなくデジタル写真のプリントが手軽に実行できるという利便性があり、このダイレクトプリント技術に対応するインクジェットプリンタやＤＳＣ等の電子機器が広く普及しつつある。

ＤＳＣ等のデジタル画像処理装置は、小型で携帯性に優れたいわゆるモバイル用途向けの電子機器であることから、一般的な使用態様においては、乾電池やリチウムイオン電池パック等で動作するようになっているものがほとんどである。そのため、上述したダイレクトプリント技術等によるデジタル画像記録システムにおいては、記録実行中にＤＳＣ等の電池切れが生じてＤＳＣ等からのデジタル画像データのデータ転送が途中で中断され、被記録材への記録が途中で中断されてしまう可能性がある。

このような課題を解決する従来技術の一例としては、記録装置側でＤＳＣのバッテリ（電池）残量を検出し、検出したＤＳＣ側のバッテリ残量に基づいて被記録材の記録が実行可能か否かを記録装置が判定して警告を発する（例えば、特許文献１を参照）、或いは記録装置が記録実行指示（印刷指示）を受け付けないようにする（例えば、特許文献２を参照）技術が公知である。上記従来技術によれば、ＤＳＣのバッテリ切れによって記録装置における被記録材への記録が途中で中断されてしまうことを防止できる。また、自身の電池残量が少なくなった際には、ユーザに警告を与えるとともに、印刷動作を一定の区切りで停止させて印刷媒体の無駄が生じることが防止される印刷機構付き文書処理装置も公知である（例えば、特許文献３を参照）。

特開平１０−２７１３６８号公報 特開２００２−２３４２３２号公報 特開平７−２０５５２７号公報

上記特許文献１及び２に開示されている従来技術は、ＤＳＣ側のみがバッテリ駆動である場合のみを想定したものである。また、特許文献３に開示されている従来技術は、バッテリ駆動の記録装置（印刷機構付き文書処理装置）単体のみを対象としたものである。
しかしながら近年は、乾電池やリチウムイオン電池パック等、供給可能な電力が有限な電源でも動作するモバイル用途向けの記録装置が急速に普及しつつある。このような、いわゆるモバイル用途向けの記録装置の普及によって、ダイレクトプリント技術等によるデジタル画像記録は、ＡＣコンセント等のない屋外でも行うことが可能になり、その使用範囲が飛躍的に広がることとなった。

そのため、ＤＳＣ等の情報処理装置と記録装置とが情報伝送可能に接続されてダイレクトプリント技術による記録を実行する構成の記録システムにおいて、ＤＳＣ等のデジタル画像処理装置と記録装置との双方が、ともに乾電池やリチウムイオン電池パック等で動作する場合には、デジタル画像処理装置がバッテリ切れになる場合と、記録装置がバッテリ切れになる場合との両方の場合について、被記録材への記録実行途中での記録中断を防止する必要があるという課題が生じる。

また、複数のデジタル画像データの記録を実行する操作をＤＳＣ等の情報処理装置で操作した後、全てのデジタル画像データの記録を終える前に、デジタル画像処理装置がバッテリ切れになると、記録実行操作に基づいてデジタル画像処理装置で生成された記録ジョブが未実行のまま全て消えてしまう。そのため、ユーザは、記録が実行されなかった分のデジタル画像データの記録を実行する操作を再度行わなければならず煩わしいという課題が生じる。

本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、ダイレクトプリント技術等によるデジタル画像記録システムにおいて、被記録材への記録が途中で中断されてしまうことを防止しつつ、バッテリ切れによる記録中断後の再度の記録実行操作を不要にすることにある。

上記課題を達成するため、本発明の第１の態様は、電池を電源として動作するデジタル画像処理装置と、電池を電源として動作し、前記デジタル画像処理装置から送信されるデジタル画像データに基づいて被記録材へデジタル画像の記録を実行可能な記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成されたデジタル画像記録システムであって、前記デジタル画像処理装置又は前記記録装置のいずれか一方の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、以降の被記録材への記録が停止されるとともに未実行の記録ジョブが未実行ジョブ情報として他方に保持され、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で前記デジタル画像処理装置又は前記記録装置のいずれかに保持されている未実行ジョブ情報がある場合には、当該未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブが実行される、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。

デジタル画像処理装置及び記録装置の双方がそれぞれの電池を電源として動作するデジタル画像記録システムにおいては、いずれか一方の装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した状態で、そのまま記録を続行すると、被記録材への記録実行途中で電池切れが生じて、その時点で記録が完遂しないまま中断されてしまう虞がある。そこで、いずれか一方の装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、以降の被記録材への記録を停止する。それによって、被記録材への記録実行途中で電池切れが生じて、被記録材への記録が完遂しないまま中断されてしまうことを防止することができる。

また、いずれか一方の装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した場合には、他方の装置に未実行の記録ジョブを未実行ジョブ情報として保持する。すなわち、ユーザがデジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中からＧＵＩ（グラフィカル・ユーザ・インタフェース）等により所望のデジタル画像データを選択して記録実行操作を行ったが、いずれか一方の装置の電池残量低下により記録が実行されなかった未実行の記録ジョブは、破棄されずに他方の装置に未実行ジョブ情報として保持される。このように、いずれか一方の電池残量低下により未実行の記録ジョブが残ったまま記録が中断されても、電池残量が低下していない他方の装置に未実行の記録ジョブが未実行ジョブ情報として保持されるので、一方側の装置の電池残量が充電等によって回復した後に、その未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録を自動的に再開させることが可能になる。したがって、ダイレクトプリント技術等によるデジタル画像記録システムにおいて、被記録材への記録が途中で中断されてしまうことを防止しつつ、バッテリ切れによる記録中断後の再度の記録実行操作を不要にすることができるという作用効果が得られる。

本発明の第２の態様は、前述した第１の態様において、前記記録装置は、前記記録装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、その旨を前記デジタル画像処理装置へ通知し、前記デジタル画像処理装置は、前記記録装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した旨の通知を前記記録装置から受けた時点で、未実行の記録ジョブを未実行ジョブ情報として保持する、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。

このように、記録装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した場合には、その時点でその旨の通知を記録装置から受けたデジタル画像処理装置が未実行の記録ジョブを未実行ジョブ情報として保持する。それによって、電池残量の低下した記録装置が電源ＯＦＦに至っても電池残量が充電等により回復して電源ＯＮした後、デジタル画像処理装置にて保持している未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録を自動的に再開させることが可能になる。

本発明の第３の態様は、前述した第１の態様又は第２の態様において、前記デジタル画像処理装置は、前記デジタル画像処理装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、未実行の記録ジョブを未実行ジョブ情報として前記記録装置へ送信し、前記記録装置は、前記デジタル画像処理装置から受信した未実行ジョブ情報を保持する、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。

このように、デジタル画像処理装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した場合には、その時点でデジタル画像処理装置が未実行の記録ジョブを未実行ジョブ情報として記録装置へ送信する。そして、記録装置は、デジタル画像処理装置から受信した未実行ジョブ情報を保持する。それによって、電池残量の低下したデジタル画像処理装置が電源ＯＦＦに至っても電池残量が充電等により回復して電源ＯＮした後、記録装置が保持している未実行ジョブ情報をデジタル画像処理装置へ送信すれば、デジタル画像処理装置が未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行して未実行の記録を自動的に再開させることが可能になる。

本発明の第４の態様は、前述した第１の態様〜第３の態様のいずれかにおいて、前記記録装置は、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で未実行ジョブ情報を保持している場合には、保持している未実行ジョブ情報を前記デジタル画像処理装置へ送信し、前記デジタル画像処理装置は、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で未実行ジョブ情報を保持している場合には、保持している未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行し、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上である間に前記記録装置から未実行ジョブ情報を受信した場合には、受信した未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。

このように、自己の電池残量のみならず相手装置側の電池残量も一定量以上になっている状態で、すなわち、デジタル画像記録システムとして一の被記録材への記録を完遂可能な状態で、未実行ジョブ情報の送受信或いは未実行ジョブ情報に基づく記録を実行するので、未実行の記録を自動再開した後に一の被記録材への記録が完遂できずに途中で中断されてしまうことを防止することができる。尚、ここでの一定量以上の電池残量は、少なくとも一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量以上に設定する必要がある。

本発明の第５の態様は、前述した第４の態様において、前記デジタル画像処理装置は、未実行ジョブ情報を保持している旨の通知を前記記録装置から受信した場合には、任意のタイミングで前記記録装置に対して未実行ジョブ情報の送信を要求し、前記記録装置は、保持している未実行ジョブ情報を前記デジタル画像処理装置へ送信する前に、未実行ジョブ情報を保持している旨を前記デジタル画像処理装置へ通知し、前記デジタル画像処理装置からの未実行ジョブ情報の送信要求があった時点で、保持している未実行ジョブ情報を前記デジタル画像処理装置へ送信する、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。

このように、記録装置は、保持している未実行ジョブ情報を送信するに先立って、事前にデジタル画像処理装置へ通知を行い、デジタル画像処理装置から未実行ジョブ情報の送信要求があった時点で、保持している未実行ジョブ情報をデジタル画像処理装置へ送信する。デジタル画像処理装置は、記録装置からの未実行ジョブ情報を保持している旨の通知に対して、任意のタイミング（例えば、自己の電池残量が一定量以上で未実行ジョブ情報を受信可能な状態）で未実行ジョブ情報の送信要求を送信する。それによって、記録装置からデジタル画像処理装置への未実行ジョブ情報の受け渡しを確実に行うことができるので、記録装置から送信された未実行ジョブ情報をデジタル画像処理装置が受信できずに消失してしまう等を確実に防止することができる。

本発明の第６の態様は、前述した第１の態様〜第３の態様のいずれかにおいて、前記記録装置は、前記デジタル画像処理装置からの未実行ジョブ情報の送信要求に対して、未実行ジョブ情報を保持している場合には、保持している未実行ジョブ情報を前記デジタル画像処理装置へ送信し、前記デジタル画像処理装置は、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で、未実行ジョブ情報を保持している場合には、保持している未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行し、未実行ジョブ情報を保持していない場合には、前記記録装置に対して未実行ジョブ情報の送信を要求し、受信した未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。

このように、デジタル画像処理装置は、デジタル画像処理装置及び記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で、保持している未実行ジョブ情報或いは記録装置から受信した未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録を自動再開する。それによって、未実行の記録を自動再開した後に一の被記録材への記録が完遂できずに途中で中断されてしまうことを防止することができる。尚、ここでの一定量以上の電池残量は、少なくとも一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量以上に設定する必要がある。

本発明の第７の態様は、前述した第４の態様〜第６の態様のいずれかにおいて、前記記録装置は、未実行ジョブ情報を保持している旨の通知を前記デジタル画像処理装置から受信した場合には、被記録材へ記録を実行可能な状態であれば、その旨を前記デジタル画像処理装置に対して通知し、前記デジタル画像処理装置は、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で未実行ジョブ情報を保持している場合には、未実行ジョブ情報を保持している旨を前記記録装置へ通知し、前記記録装置からの被記録材へ記録を実行可能な状態である旨の通知があった時点で、保持している未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。

このように、デジタル画像処理装置は、記録装置からの被記録材へ記録を実行可能な状態である旨の通知があった時点で、保持している未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する。それによって、デジタル画像処理装置から記録装置へのデジタル画像データの受け渡しを確実に行うことができるので、デジタル画像処理装置からデジタル画像データを送信したにも関わらず被記録材への記録が実行されない等を確実に防止することができる。

本発明の第８の態様は、前述した第７の態様において、前記記録装置は、未実行ジョブ情報を保持している旨の通知を前記デジタル画像処理装置から受信した場合には、実行可能なジョブ量を前記デジタル画像処理装置に対して通知し、前記デジタル画像処理装置は、前記記録装置から通知された実行可能なジョブ量に応じて未実行の記録ジョブを実行し、残りの未実行の記録ジョブを新たな未実行ジョブ情報として保持する、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。
予め実行可能なジョブ量の通知を行うことによって、記録装置又はデジタル画像処理装置の電池切れにより一の被記録材への記録が完遂できずに記録が中断される虞をより低減させることができる。

本発明の第９の態様は、電池を電源として動作するデジタル画像処理装置と、電池を電源として動作し、前記デジタル画像処理装置から送信されるデジタル画像データに基づいて被記録材へデジタル画像の記録を実行可能な記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成されたデジタル画像記録システムにおける前記記録装置であって、前記デジタル画像処理装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、以降の被記録材への記録を停止するとともに、前記デジタル画像処理装置から送信される未実行の記録ジョブの情報である未実行ジョブ情報を保持し、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で保持している未実行ジョブ情報がある場合には、当該未実行ジョブ情報を前記デジタル画像処理装置へ送信する、ことを特徴とした記録装置である。
本発明の第９の態様に記載の記録装置によれば、当該記録装置を備えたデジタル画像記録システムに、前述した第１の態様に記載の発明と同様の作用効果をもたらすことができる。

本発明の第１０の態様は、電池を電源として動作するデジタル画像処理装置と、電池を電源として動作し、前記デジタル画像処理装置から送信されるデジタル画像データに基づいて被記録材へデジタル画像の記録を実行可能な記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成されたデジタル画像記録システムにおける前記デジタル画像処理装置であって、前記記録装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、未実行の記録ジョブを未実行ジョブ情報として保持し、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で、前記デジタル画像処理装置又は前記記録装置のいずれかに保持されている未実行ジョブ情報がある場合には、当該未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する、ことを特徴としたデジタル画像処理装置である。
本発明の第１０の態様に記載のデジタル画像処理装置によれば、当該デジタル画像処理装置を備えたデジタル画像記録システムに、前述した第１の態様に記載の発明と同様の作用効果をもたらすことができる。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明に係る「記録装置」の一例としてのインクジェット式記録装置の概略構成について説明する。

図１は、本発明に係るインクジェット式記録装置の要部平面図であり、図２はその側面図である。図３は、本発明に係るインクジェット式記録装置と「情報処理装置」とで構成される記録システムの概略のブロック図である。
インクジェット式記録装置５０には、「被記録材」としての記録紙Ｐにインクを噴射して記録を行う記録ヘッド６２を記録紙Ｐに対して主走査方向Ｘに走査させる「主走査駆動手段」として、主走査方向Ｘに移動可能にキャリッジガイド軸５１に軸支されたキャリッジ６１が設けられている。キャリッジ６１には、記録ヘッド６２と後述するＰＷセンサ３４とが搭載されており、ＣＲモータ６３（図３）の回転駆動力が図示していないベルト伝達機構によって伝達されて主走査方向Ｘに往復動する。記録ヘッド６２のヘッド面と対向する位置には、記録ヘッド６２のヘッド面と記録紙Ｐとのギャップを規定するプラテン５２が設けられている。
キャリッジ６１の主走査方向Ｘへの往復動領域の一端側の外側には、公知のキャッピング装置５９が設けられている。記録を実行しない待機状態においては、キャリッジ６１がキャッピング装置５９の上まで移動して停止し、キャッピング装置５９に配設されているキャップＣＰによって記録ヘッド６２のヘッド面が封止される。このキャリッジ６１の停止位置は、ホームポジションＨＰとして規定される。

また、インクジェット式記録装置５０には、記録ヘッド６２を記録紙Ｐに対して副走査方向Ｙに走査させる「副走査駆動手段」として、記録紙Ｐを副走査方向Ｙに搬送する搬送駆動ローラ５３と搬送従動ローラ５４が設けられている。搬送駆動ローラ５３は、ＰＦモータ５８（図３）の回転駆動力が歯車伝達されて回転し、搬送駆動ローラ５３の回転により、記録紙Ｐは副走査方向Ｙに搬送される。搬送従動ローラ５４は、複数設けられており、それぞれ個々に搬送駆動ローラ５３に付勢され、記録紙Ｐが搬送駆動ローラ５３の回転により搬送される際に、記録紙Ｐに接しながら記録紙Ｐの搬送に従動して回転する。搬送駆動ローラ５３の外周面には、高摩擦抵抗を有する皮膜が施されている。搬送従動ローラ５４によって、搬送駆動ローラ５３の外周面に押しつけられた記録紙Ｐは、その外周面の摩擦抵抗によって搬送駆動ローラ５３の外周面に密着し、搬送駆動ローラ５３の回転によって副走査方向に搬送される。インクジェット記録装置５０の「記録実行手段」は、上述した「主走査駆動手段」と「副走査駆動手段」とで構成され、キャリッジ６１とプラテン５２の間に記録紙Ｐを副走査方向Ｙに所定の搬送量で搬送する動作と、記録ヘッド６２を主走査方向Ｘに一往復させる間に記録ヘッド６２から記録紙Ｐにインクを噴射する動作とを交互に繰り返すことによって記録紙Ｐに記録が行われる。

搬送駆動ローラ５３の副走査方向Ｙの上流側には、多数の記録紙Ｐを積重可能な「被記録材積重手段」としての給紙トレイ５７が配設されている。給紙トレイ５７は、例えば普通紙やフォト紙等の記録紙Ｐを給紙（給送）可能な構成となっている。給紙トレイ５７の近傍には、給紙トレイ５７に積重されている記録紙Ｐの最上位の記録紙Ｐを「記録実行手段」へ自動給送する「自動給送手段」としてのＡＳＦ（オート・シート・フィーダー）が設けられている。ＡＳＦは、給紙トレイ５７に設けられた給紙ローラ５７ｂ及び図示してない分離パッドを有する自動給紙機構である。給紙ローラ５７ｂは、給紙トレイ５７の一方側に配置されている。記録紙ガイド５７ａは、記録紙Ｐの幅に合わせて幅方向に摺動可能に給紙トレイ５７に設けられている。そして、ＰＦモータ５８（図３）の回転駆動力が歯車伝達されて回転する給紙ローラ５７ｂの回転駆動力と、分離パッドの摩擦抵抗により、給紙トレイ５７に置かれた記録紙Ｐを給紙する際に、複数の記録紙Ｐが一度に給紙されることなく最上位の記録紙Ｐのみが正確に分離されて一枚ずつ自動給紙されるように構成されている。給紙ローラ５７ｂと搬送駆動ローラ５３との間には、公知の技術による紙検出器３３が配設されている。

一方、記録実行後の記録紙Ｐを排紙する手段として、「排出駆動ローラ」としての排紙駆動ローラ５５と排紙従動ローラ５６とが設けられている。排紙駆動ローラ５５は、ＰＦモータ５８（図３）の回転駆動力が歯車伝達されて回転し、排紙駆動ローラ５５の回転により、記録実行後の記録紙Ｐは副走査方向Ｙに排紙される。排紙従動ローラ５６は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Ｐの記録面に点接触するように鋭角的に尖った歯付きローラになっている。複数の排紙従動ローラ５６は、それぞれ個々に排紙駆動ローラ５５に付勢され、記録紙Ｐが排紙駆動ローラ５５の回転により排紙される際に記録紙Ｐに接して記録紙Ｐの排紙に従動して回転する。
そして、給紙ローラ５７ｂや搬送駆動ローラ５３、及び排紙駆動ローラ５５を回転駆動するＰＦモータ５８（図３）、並びにキャリッジ６１を主走査方向に駆動するＣＲモータ６３（図３）は、後述する記録制御部１００により駆動制御される。また、記録ヘッド６２も同様に、記録制御部１００により駆動制御されて記録紙Ｐの表面にインクを噴射する。インクジェット式記録装置５０は、記録制御部１００によって、キャリッジ６１を主走査方向Ｘへ往復動させながら記録ヘッド６２から記録紙Ｐへインクを噴射する動作と、記録紙Ｐを副走査方向Ｙへ所定の搬送量で搬送する動作とを交互に繰り返しながら記録紙Ｐへの記録が実行される。

引き続き図１〜図３を参照しながらインクジェット式記録装置５０と「情報処理装置」とで構成される記録システム１０、並びに「記録制御装置」としての記録制御部１００について説明する。
記録制御部１００は、ＲＯＭ１０１、ＲＡＭ１０２、ＡＳＩＣ（特定用途向け集積回路）１０３、ＭＰＵ１０４、「不揮発性記憶媒体」としての不揮発性メモリ１０５、ＰＦモータドライバ１０６、ＣＲモータドライバ１０７及びヘッドドライバ１０８を備えている。ＭＰＵ１０４には、ＡＳＩＣ１０３を介して搬送駆動ローラ５３の回転量を検出する「回転量検出手段」としてのロータリエンコーダ３１、キャリッジ６１の移動量を検出する「キャリッジ移動量検出手段」としてのリニアエンコーダ３２、搬送される記録紙Ｐの先端及び後端を検出する紙検出器３３、主走査方向Ｘの記録紙Ｐの端部を検出するためのＰＷセンサ３４、インクジェット式記録装置５０の電源をＯＮ／ＯＦＦするための電源スイッチ３５、「記録実行手段」による記録紙Ｐへの記録開始操作をするための記録操作スイッチ３６、及び「設定入力手段」としての操作パネル３９の出力信号が入力される。

公知のロータリエンコーダ３１は、搬送駆動ローラ５３の回転に連動して回転するロータリスケール３１１と、ロータリスケール３１１の外周に沿って等間隔に形成されているスリットを検出するロータリスケールセンサ３１２とを有している（図２）。搬送駆動ローラ５３の回転に伴い変化するロータリスケールセンサ３１２の出力信号は、ＡＳＩＣ１０３を介してＭＰＵ１０４へ出力される。
公知のリニアエンコーダ３２は、キャリッジ６１の近傍に主走査方向Ｘと略平行に配置されたリニアスケール３２１と、キャリッジ６１に搭載されたリニアスケール３２１に等間隔に形成されているスリットを検出するリニアスケールセンサ３２２とを有している（図２）。キャリッジ６１の主走査方向Ｘの移動量に応じたパルスの周期が移動速度に伴い変化するリニアスケールセンサ３２２の出力信号は、ＡＳＩＣ１０３を介してＭＰＵ１０４へ出力される。

公知の紙検出器３３は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙Ｐの搬送方向（副走査方向Ｙ）にのみ回動し得るよう記録紙Ｐの搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバーを有し、このレバーの先端が記録紙Ｐに押されることでレバーが回動し、それによって記録紙Ｐが検出される構成を成す検出器である（図２）。紙検出器３３は、給紙ローラ５７ｂより給紙された記録紙Ｐの始端位置及び終端位置を検出し、その検出信号は、ＡＳＩＣ１０３を介してＭＰＵ１０４へ出力される。ＰＷセンサ３４は、非接触の光学式センサで構成されており、記録紙Ｐの主走査方向Ｘの端部位置（記録紙Ｐの側端位置）を検出し、その検出信号は、ＡＳＩＣ１０３を介してＭＰＵ１０４へ出力される。紙検出器３３及びＰＷセンサ３４の出力信号に基づいて記録紙Ｐの搬送位置や記録紙Ｐのサイズ等がＭＰＵ１０４において演算される。

記録制御部１００のシステムバスには、ＲＯＭ１０１、ＲＡＭ１０２、ＡＳＩＣ１０３、ＭＰＵ１０４及び不揮発性メモリ１０５が接続されている。ＭＰＵ１０４は、インクジェット式記録装置５０の記録制御を実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行う。ＲＯＭ１０１には、ＭＰＵ１０４によるインクジェット式記録装置５０の制御に必要な記録制御プログラム（ファームウェア）等が格納されており、記録制御プログラムの処理に必要な各種データ等は不揮発性メモリ１０５に記憶されている。ＲＡＭ１０２は、ＭＰＵ１０４の作業領域や記録データ等の格納領域として用いられる。
ＡＳＩＣ１０３は、ＤＣモータであるＰＦモータ５８及びＣＲモータ６３の速度制御、並びに記録ヘッド６２の駆動制御を行う為の制御回路を有している。ＭＰＵ１０４から送られてくる制御命令、ロータリエンコーダ３１の出力信号、及びリニアエンコーダ３２の出力信号に基づいて、ＰＦモータ５８及びＣＲモータ６３の速度制御を行う為の各種演算を行い、その演算結果に基づくモータ制御信号をＰＦモータドライバ１０６及びＣＲモータドライバ１０７へ送出する。また、ＭＰＵ１０４から送出される記録データ等に基づいて、記録ヘッド６２の制御信号を演算生成してヘッドドライバ１０８へ送出して記録ヘッド６２を駆動制御する。

ＡＳＩＣ１０３は、「情報処理装置」としてのパーソナルコンピュータ３０１、デジタルカメラ３０２或いは携帯電話端末３０３等との情報伝送を実現する「情報伝送手段」としてカードＩＦ１１１、ホストＩＦ１１２及びデバイスＩＦ１１３を有している。
カードＩＦ１１１は、「画像データ読込手段」としてのカードスロット２００に挿入される不揮発性メモリカードやＰＣカード等のカードインタフェースを実現する。カードスロット２００にメモリカードが挿入された場合には、メモリカードのデータの読み書きを可能にし、カードスロット２００に赤外線通信インタフェースカードが挿入された場合には、「デジタル画像処理装置」としての携帯電話端末３０３等の赤外線通信機能を有する電子機器との赤外線通信インタフェースを実現する。
ホストＩＦ１１２は、ホスト装置接続用のＵＳＢコネクタ３７に接続されるパーソナルコンピュータ（ＰＣ）３０１等のホスト装置とのＵＳＢインタフェースを実現する。ＵＳＢコネクタ３７は、インクジェット式記録装置５０の背面側に配設されている（図２）。
デバイスＩＦ１１３は、デバイス接続用のＵＳＢコネクタ３８に接続される「デジタル画像処理装置」としてのデジタルカメラ（ＤＳＣ）３０２等のＵＳＢデバイスとのＵＳＢインタフェースを実現する。ＵＳＢコネクタ３８は、デジタルカメラ３０２等のＵＳＢデバイスの着脱が容易に行えるようにインクジェット式記録装置５０の前面側に配設されている（図２）。

つづいて、本発明に係る「デジタル画像記録システム」としての記録システム１０について説明する。

図４は、インクジェット式記録装置５０とデジタルカメラ３０２とで構成される記録システム１０を示した概略の電源系統図である。
「デジタル画像処理装置」としてのデジタルカメラ３０２は、「デジタル画像処理装置用電池」としてのＤＳＣバッテリ１３１を電源として動作するとともに、「外部電源」からの電源供給（ＤＣ５Ｖ）でも動作する。「電池残量検出手段」としてのＤＳＣバッテリ残量検出手段１３２は、ＤＳＣバッテリ１３１の電力残量を検出してＤＳＣ制御部１３０へ出力する。ＤＳＣ外部電源入力検出手段１３３は、外部電源入力の有無を検出してＤＳＣ制御部１３０へ出力する。ＤＳＣバッテリ１３１又は外部電源から供給される電力は、ＤＣモータ等の駆動力源及びＤＳＣ制御部１３０へ供給される。不揮発性メモリ等で構成される画像データ記憶部１３６には、ユーザが撮影したデジタル画像データが格納されている。

画像データ処理部１３５を介して操作部１３７での画像選択操作で選択されたデジタル画像データは、表示部１３８に表示され、記録実行操作により選択されたデジタル画像データがＵＳＢインタフェース１３４を介してインクジェット式記録装置５０へ送信される。インクジェット記録装置５０は、「情報伝送手段」としてのデバイスＩＦ１１３を介してデジタルカメラ３０２と相互に情報伝送可能にＵＳＢ接続されており、デジタルカメラ３０２から送信されたデジタル画像データに基づいて、記録紙Ｐへの記録を実行する。

インクジェット式記録装置５０は、「記録装置用電池」としてのプリンタバッテリ１２１を電源として動作するとともに、「外部電源」からの電源供給（ＤＣ２０Ｖ）でも動作する。「電池残量検出手段」としてのプリンタバッテリ残量検出手段１２２は、プリンタバッテリ１２１の電力残量を検出して記録制御部１００へ出力する。プリンタ外部電源入力検出手段１２３は、外部電源入力の有無を検出して記録制御部１００へ出力する。プリンタバッテリ１２１又は外部電源から供給される電力は、ＰＦモータ５８やＣＲモータ６３等の駆動力源へ供給されるとともに、ＤＣ−ＤＣコンバータ１２４で電圧変換（ＤＣ２０Ｖ→ＤＣ５Ｖ）された電力が記録制御部１００へ供給される。

図５は、インクジェット式記録装置５０とデジタルカメラ３０２との間におけるデジタル画像データのデータ転送手順の第１実施例を示したものである。
ここで、インクジェット式記録装置５０は、外部からの電源供給を受けておらず、プリンタバッテリ１２１からの電力供給のみで動作している状態であり、デジタルカメラ３０２も同様に、外部からの電源供給を受けておらず、ＤＳＣバッテリ１３１からの電力供給のみで動作している状態である。そして、デジタルカメラ３０２の操作部１３７のユーザ操作によってデジタルカメラ３０２内のデジタル画像データＡ及びデジタル画像データＢが選択されて記録紙Ｐへ記録する操作が行われた状態であり、以下同様とする。

デジタルカメラ３０２からインクジェット式記録装置５０へデジタル画像データＡを送信して記録紙Ｐへのデジタル画像Ａの記録が完了した時点で、次の１枚の記録紙Ｐへの記録（デジタル画像データＢに基づく記録）を完遂可能な電池残量未満にプリンタバッテリ１２１の電池残量が低下していた場合には、インクジェット式記録装置５０は、その旨をデジタルカメラ３０２へ通知（電池残量少）してからデジタル画像データＡに基づく記録が完了した旨を通知（記録完了（画像Ａ））する。プリンタバッテリ１２１の電池残量が低下した旨の通知（電池残量少）を受けたデジタルカメラ３０２は、次に記録を実行する予定だった未実行のデジタル画像データＢの記録ジョブを未実行ジョブ情報として保持する。デジタル画像データＡに基づく記録が完了した旨の通知（記録完了（画像Ａ））を受けてもデジタル画像データＢは送信しない。そして、インクジェット式記録装置５０は、デジタルカメラ３０２とのリンクを切断する（リンク切断）。

ユーザによるプリンタバッテリ１２１の充電或いは外部電源供給等によりインクジェット式記録装置５０の電力が１枚の記録紙Ｐへの記録を完遂可能な状態以上に回復していれば、インクジェット式記録装置５０は、デジタルカメラ３０２とのリンクを確立する（リンク再確立）。インクジェット式記録装置５０とデジタルカメラ３０２とが再び相互に情報伝送可能に接続された状態となる。その時点で、デジタルカメラ３０２は、自己が保持している未実行ジョブ情報の有無を確認する。保持している未実行ジョブ情報がある場合には（ＹＥＳ）、その未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する。それによって、プリンタバッテリ１２１の電池残量の低下により実行されなかったデジタル画像データＢに基づく記録紙Ｐへのデジタル画像Ｂの記録が自動再開される。

尚、未実行のデジタル画像データの記録ジョブを未実行ジョブ情報として保持するか否かをユーザに確認してから実行するように構成しても良い。

図６は、インクジェット式記録装置５０とデジタルカメラ３０２との間におけるデジタル画像データのデータ転送手順の第２実施例を示したものである。
デジタルカメラ３０２からインクジェット式記録装置５０へデジタル画像データＡを送信した時点で、次の１枚の記録紙Ｐへの記録（デジタル画像データＢの送信）を完遂可能な電池残量未満にＤＳＣバッテリ１３１の電池残量が低下していた場合には、デジタルカメラ３０２は、その旨をインクジェット式記録装置５０へ通知（電池残量少）する。また、デジタルカメラ３０２は、未実行の記録ジョブ（デジタル画像データＢの記録ジョブ）に基づいて未実行ジョブ情報を生成し、ジョブＵＵＩＤを付加してインクジェット式記録装置５０へ送信する。尚、電池残量少の通知の際に未実行ジョブ情報を付加して同時に送信するようにしても良い。

ＤＳＣバッテリ１３１の電池残量が低下した旨の通知（電池残量少）を受けたインクジェット式記録装置５０は、デジタルカメラ３０２から送信された未実行ジョブ情報を保持し、デジタル画像データＡに基づく記録が完了した旨を通知（記録完了（画像Ａ））する。デジタルカメラ３０２は、デジタル画像データＡに基づく記録が完了した旨の通知（記録完了（画像Ａ））を受けてもデジタル画像データＢは送信せずに、インクジェット式記録装置５０とのリンクを切断する（リンク切断）。

ユーザによるＤＳＣバッテリ１３１の充電或いは外部電源供給等によりデジタルカメラ３０２の電力が１枚の記録紙Ｐへの記録を完遂可能な状態以上に回復していれば、インクジェット式記録装置５０は、デジタルカメラ３０２とのリンクを確立する（リンク再確立）。インクジェット式記録装置５０とデジタルカメラ３０２とが再び相互に情報伝送可能に接続された状態となる。その時点で、デジタルカメラ３０２は、自己が保持している未実行ジョブ情報の有無を確認する。保持している未実行ジョブ情報がある場合には（ＹＥＳ）、その未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行し（図５）、保持している未実行ジョブ情報がない場合には（ＮＯ）、未実行ジョブ情報送信要求をインクジェット式記録装置５０へ送信する（未実行ジョブ情報送信要求）。

インクジェット式記録装置５０は、自己が保持している未実行ジョブ情報がある場合には、デジタルカメラ３０２からの未実行ジョブ情報送信要求に応じて未実行ジョブ情報を送信する（未実行ジョブ情報）。デジタルカメラ３０２は、インクジェット式記録装置５０から送信された未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する。それによって、ＤＳＣバッテリ１３１の電池残量の低下により実行されなかったデジタル画像データＢに基づく記録紙Ｐへのデジタル画像Ｂの記録が自動再開される。尚、インクジェット式記録装置５０が保持している未実行ジョブ情報に基づいて、インクジェット式記録装置５０がデジタルカメラ３０２にデジタル画像データの送信要求をするように構成しても良い。

図７は、インクジェット式記録装置５０とデジタルカメラ３０２との間におけるデジタル画像データのデータ転送手順の第３実施例を示したものである。
デジタルカメラ３０２の電力が回復してインクジェット式記録装置５０とデジタルカメラ３０２とのリンクを再度確立（リンク再確立）するまでの手順は、上記第２実施例と同様である。この時点で、インクジェット式記録装置５０が未実行ジョブ情報を保持している場合には、インクジェット式記録装置５０側からその旨をデジタルカメラ３０２へ通知する（未実行ジョブ情報保持通知）。デジタルカメラ３０２は、インクジェット式記録装置５０からの通知（未実行ジョブ情報保持通知）を受けて、未実行ジョブ情報送信要求をインクジェット式記録装置５０へ送信する（未実行ジョブ情報送信要求）。インクジェット式記録装置５０は、デジタルカメラ３０２からの未実行ジョブ情報送信要求に応じて未実行ジョブ情報を送信する（未実行ジョブ情報）。デジタルカメラ３０２は、インクジェット式記録装置５０から送信された未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する。それによって、ＤＳＣバッテリ１３１の電池残量の低下により実行されなかったデジタル画像データＢに基づく記録紙Ｐへのデジタル画像Ｂの記録が自動再開される。

図８は、ＤＳＣ制御部１３０によるデジタルカメラ３０２の制御手順を示したフローチャートである。
デジタルカメラ３０２の電源ＯＮの後、所定の初期立ち上げ処理手順が実行される（ステップＳ１）。この初期立ち上げ処理手順には、インクジェット式記録装置５０との通信リンク確立等の手順も含まれる。そして、所望のデジタル画像データの記録実行操作がユーザ操作により行われると（ステップＳ２）、インクジェット式記録装置５０との通信リンクが確立されているか否かを判定する（ステップＳ４）。インクジェット式記録装置５０との通信リンクが確立されていない場合には（ステップＳ４でＮｏ）、リンク確立手順を実行してリンクの確立を試みる（ステップＳ３）。

インクジェット式記録装置５０との通信リンクが確立されている場合には（ステップＳ４でＹｅｓ）、つづいて、自己（デジタルカメラ３０２）がＪＯＢリスト（未実行ジョブ情報）を保持（保存）しているか否かを判定する（ステップＳ５）。自己（デジタルカメラ３０２）がＪＯＢリストを保持している場合には（ステップＳ５でＹｅｓ）、ＪＯＢリストに基づいて未実行の記録ジョブを実行した後（ステップＳ６）、さらにユーザが追加選択して記録実行操作をしたデジタル画像データの記録ジョブがあれば、つづけて実行し（ステップＳ７）、当該手順を終了する。

一方、自己（デジタルカメラ３０２）がＪＯＢリストを保持していない場合には（ステップＳ５でＮｏ）、つづいて、インクジェット式記録装置５０からＪＯＢリストを保持している旨の通知があるか否かを判定する（ステップＳ８）。インクジェット式記録装置５０からＪＯＢリストを保持している旨の通知がない場合には（ステップＳ８でＮｏ）、保持しているＪＯＢリストの有無をインクジェット式記録装置５０へ問い合わせて（ステップＳ９：通知要求）、相手（インクジェット式記録装置５０）がＪＯＢリストを保持しているか否かを判定する（ステップＳ１０）。

また、インクジェット式記録装置５０がＪＯＢリストを保持していない旨の通知があった場合には（ステップＳ１０でＮｏ）、デジタルカメラ３０２にもインクジェット式記録装置５０にもＪＯＢリストが保持されていないことになるので、さらにユーザが追加選択して記録実行操作をしたデジタル画像データの記録ジョブがあれば、つづけて実行し（ステップＳ７）、当該手順を終了する。一方、インクジェット式記録装置５０がＪＯＢリストを保持している旨の通知があった場合には（ステップＳ１０でＹｅｓ）、或いは、インクジェット式記録装置５０からＪＯＢリストを保持している旨の通知がある場合には（ステップＳ８でＹｅｓ）、インクジェット式記録装置５０へＪＯＢリストの送信を要求してＪＯＢリストを取得する（ステップＳ１１）。そして、取得したＪＯＢリストに基づいて未実行の記録ジョブを実行した後（ステップＳ６）、さらにユーザが追加選択して記録実行操作をしたデジタル画像データの記録ジョブがあれば、つづけて実行し（ステップＳ７）、当該手順を終了する。

このように、リンク確立後（ステップＳ３でＹｅｓ）にインクジェット式記録装置５０からＪＯＢリストを保持している旨の通知がなかった場合には（ステップＳ８でＮｏ）、デジタルカメラ３０２側からＪＯＢリストを保持しているか否かの通知を要求する（ステップＳ９）。それによって、保持しているＪＯＢリストがある場合に、自発的に通知を行うインクジェット式記録装置５０であっても、デジタルカメラ３０２側からの通知要求を待って通知を行うインクジェット式記録装置５０であっても対応することが可能になる。

尚、ＪＯＢリストを保持している場合（ステップＳ５でＹｅｓ）、或いはインクジェット式記録装置５０からＪＯＢリストを取得した場合（ステップＳ１１）には、ＪＯＢリストに基づいて未実行の記録ジョブを実行（ステップＳ６）する前に、そのＪＯＢリストに基づく記録ジョブを実行するか否かをユーザに確認する手順を設けても良い。

図９は、記録制御部１００によるインクジェット式記録装置５０の制御手順を示したフローチャートである。
インクジェット式記録装置５０の電源ＯＮの後、所定の初期立ち上げ処理手順が実行される（ステップＳ２１）。この初期立ち上げ処理手順には、デジタルカメラ３０２等との通信リンク確立等の手順も含まれる。つづいて、デジタルカメラ３０２との通信リンクが確立されているか否かを判定する（ステップＳ２２）。デジタルカメラ３０２との通信リンクが確立されていない場合には（ステップＳ２２でＮｏ）、リンク確立手順を実行してリンクの確立を試みる（ステップＳ２３）。

デジタルカメラ３０２との通信リンクが確立されている場合には（ステップＳ２２でＹｅｓ）、つづいて、自己（インクジェット式記録装置５０）がＪＯＢリスト（未実行ジョブ情報）を保持（保存）しているか否かを判定する（ステップＳ２４）。自己（インクジェット式記録装置５０）がＪＯＢリストを保持していない場合には（ステップＳ２４でＮｏ）、デジタルカメラ３０２からＪＯＢリストの有無の通知要求があるか否かを判定する（ステップＳ２５）。デジタルカメラ３０２からＪＯＢリストの有無の通知要求がある場合には（ステップＳ２５でＹｅｓ）、保持しているＪＯＢリストは無い旨の通知（応答）をする（ステップＳ２６）。そして、デジタルカメラ３０２からデジタル画像データとともに記録実行要求が送信されてきた時点で、当該デジタル画像データに基づく記録紙Ｐへの記録を実行する（ステップＳ２７）。

一方、自己（インクジェット式記録装置５０）がＪＯＢリストを保持している場合（ステップＳ２４でＹｅｓ）、同様に、デジタルカメラ３０２からＪＯＢリストの有無の通知要求があるか否かを判定する（ステップＳ２８）。デジタルカメラ３０２からＪＯＢリストの有無の通知要求がある場合には（ステップＳ２８でＹｅｓ）、ＪＯＢリストを保持している旨を通知し（ステップＳ２９）、デジタルカメラ３０２から送信要求があった時点で、保持しているＪＯＢリストをデジタルカメラ３０２へ送信する（ステップＳ３０）。デジタルカメラ３０２からＪＯＢリストの有無の通知要求がない場合には（ステップＳ２８でＮｏ）、保持しているＪＯＢリストをそのままデジタルカメラ３０２へ送信する（ステップＳ３０）。

そして、デジタルカメラ３０２へＪＯＢリストを送信（ステップＳ３０）した後、デジタルカメラ３０２からデジタル画像データとともに記録実行要求が送信されてきた時点で、当該デジタル画像データに基づく記録紙Ｐへの記録を実行する（ステップＳ２７）。尚、自己（インクジェット式記録装置５０）がＪＯＢリストを保持している場合には（ステップＳ２４でＹｅｓ）、保持しているＪＯＢリストをそのままダイレクトにデジタルカメラ３０２へ送信する（ステップＳ３０）ようにしても良い。

図１０は、ＪＯＢリスト（未実行ジョブ情報）の一例を模式的に示したものである。

「未実行ジョブ情報」としてのＪＯＢリストは、ユーザの記録実行操作により生成された記録ジョブの一覧であり、記録紙Ｐへの記録が完了する毎に実行済みの記録ジョブは削除され、或いは記録枚数が減算等されて更新される。また、ＪＯＢリストには、前述したジョブＵＵＩＤが付加されている。ジョブＵＵＩＤは、デジタルカメラ３０２とインクジェット式記録装置５０とを特定して未実行の記録ジョブを関連付けるためのユニークなＩＤであり、このユニークなＩＤによって、ＪＯＢリストが作成された際のデジタルカメラ３０２とインクジェット式記録装置５０との対応関係を特定することが可能になる。すなわち、ＪＯＢリストが生成されたときと異なるデジタルカメラ３０２とインクジェット式記録装置５０とが接続された状態で、ＪＯＢリストに基づく記録ジョブが実行されてしまうこと等による不具合を防止することができる。尚、ＪＯＢリストは、ＪＯＢリストに基づいて未実行の記録ジョブを再生できるものであれば、どのようなフォーマットであっても良い。

このようにして、ダイレクトプリント技術等によるデジタル画像の記録システム１０において、記録紙Ｐへの記録が途中で中断されてしまうことを防止しつつ、バッテリ切れによる記録中断後の再度の記録実行操作を不要にすることができる。

尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。

本発明に係るインクジェット式記録装置の概略の平面図。 本発明に係るインクジェット式記録装置の概略の側面図。 本発明に係る記録システムの概略のブロック図。 本発明に係る記録システムの概略の電源系統図。 デジタル画像データのデータ転送手順の第１実施例を示した図。 デジタル画像データのデータ転送手順の第２実施例を示した図。 デジタル画像データのデータ転送手順の第３実施例を示した図。 デジタルカメラ側の制御手順を示したフローチャート。 インクジェット式記録装置側の制御手順を示したフローチャート。 ＪＯＢリスト（未実行ジョブ情報）の一例を模式的に示した図。

符号の説明

１０ 記録システム、５０ インクジェット式記録装置、５１ キャリッジガイド軸、５２ プラテン、５３ 搬送駆動ローラ、５４ 搬送従動ローラ、５５ 排紙駆動ローラ、５６ 排紙従動ローラ、５７ 給紙トレイ、５７ｂ 給紙ローラ、５８ ＰＦモータ、５９ キャッピング装置、６１ キャリッジ、６２ 記録ヘッド、６３ ＣＲモータ、１００ 記録制御部、１０１ ＲＯＭ、１０２ ＲＡＭ、１０３ ＡＳＩＣ、１０４ ＭＰＵ、１０５ 不揮発性メモリ、１０６ ＰＦモータドライバ、１０７ ＣＲモータドライバ、１０８ ヘッドドライバ、２００ カードスロット、３０１ パーソナルコンピュータ、３０２ デジタルカメラ、３０３ 携帯電話端末、Ｐ 記録紙、Ｘ 主走査方向、Ｙ 副走査方向

Claims (10)

1. 電池を電源として動作するデジタル画像処理装置と、電池を電源として動作し、前記デジタル画像処理装置から送信されるデジタル画像データに基づいて被記録材へデジタル画像の記録を実行可能な記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成されたデジタル画像記録システムであって、
   前記デジタル画像処理装置又は前記記録装置のいずれか一方の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、以降の被記録材への記録が停止されるとともに未実行の記録ジョブが未実行ジョブ情報として他方に保持され、
   前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で前記デジタル画像処理装置又は前記記録装置のいずれかに保持されている未実行ジョブ情報がある場合には、当該未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブが実行される、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
2. 請求項１において、前記記録装置は、前記記録装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、その旨を前記デジタル画像処理装置へ通知し、
   前記デジタル画像処理装置は、前記記録装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した旨の通知を前記記録装置から受けた時点で、未実行の記録ジョブを未実行ジョブ情報として保持する、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
3. 請求項１又は２において、前記デジタル画像処理装置は、前記デジタル画像処理装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、未実行の記録ジョブを未実行ジョブ情報として前記記録装置へ送信し、
   前記記録装置は、前記デジタル画像処理装置から受信した未実行ジョブ情報を保持する、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
4. 請求項１〜３のいずれか１項において、前記記録装置は、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で未実行ジョブ情報を保持している場合には、保持している未実行ジョブ情報を前記デジタル画像処理装置へ送信し、
   前記デジタル画像処理装置は、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で未実行ジョブ情報を保持している場合には、保持している未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行し、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上である間に前記記録装置から未実行ジョブ情報を受信した場合には、受信した未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
5. 請求項４において、前記デジタル画像処理装置は、未実行ジョブ情報を保持している旨の通知を前記記録装置から受信した場合には、任意のタイミングで前記記録装置に対して未実行ジョブ情報の送信を要求し、
   前記記録装置は、保持している未実行ジョブ情報を前記デジタル画像処理装置へ送信する前に、未実行ジョブ情報を保持している旨を前記デジタル画像処理装置へ通知し、前記デジタル画像処理装置からの未実行ジョブ情報の送信要求があった時点で、保持している未実行ジョブ情報を前記デジタル画像処理装置へ送信する、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
6. 請求項１〜３のいずれか１項において、前記記録装置は、前記デジタル画像処理装置からの未実行ジョブ情報の送信要求に対して、未実行ジョブ情報を保持している場合には、保持している未実行ジョブ情報を前記デジタル画像処理装置へ送信し、
   前記デジタル画像処理装置は、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で、未実行ジョブ情報を保持している場合には、保持している未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行し、未実行ジョブ情報を保持していない場合には、前記記録装置に対して未実行ジョブ情報の送信を要求し、受信した未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
7. 請求項４〜６のいずれか１項において、前記記録装置は、未実行ジョブ情報を保持している旨の通知を前記デジタル画像処理装置から受信した場合には、被記録材へ記録を実行可能な状態であれば、その旨を前記デジタル画像処理装置に対して通知し、
   前記デジタル画像処理装置は、前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で未実行ジョブ情報を保持している場合には、未実行ジョブ情報を保持している旨を前記記録装置へ通知し、前記記録装置からの被記録材へ記録を実行可能な状態である旨の通知があった時点で、保持している未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
8. 請求項７において、前記記録装置は、未実行ジョブ情報を保持している旨の通知を前記デジタル画像処理装置から受信した場合には、実行可能なジョブ量を前記デジタル画像処理装置に対して通知し、
   前記デジタル画像処理装置は、前記記録装置から通知された実行可能なジョブ量に応じて未実行の記録ジョブを実行し、残りの未実行の記録ジョブを新たな未実行ジョブ情報として保持する、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
9. 電池を電源として動作するデジタル画像処理装置と、電池を電源として動作し、前記デジタル画像処理装置から送信されるデジタル画像データに基づいて被記録材へデジタル画像の記録を実行可能な記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成されたデジタル画像記録システムにおける前記記録装置であって、
   前記デジタル画像処理装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、以降の被記録材への記録を停止するとともに、前記デジタル画像処理装置から送信される未実行の記録ジョブの情報である未実行ジョブ情報を保持し、
   前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で保持している未実行ジョブ情報がある場合には、当該未実行ジョブ情報を前記デジタル画像処理装置へ送信する、ことを特徴とした記録装置。
10. 電池を電源として動作するデジタル画像処理装置と、電池を電源として動作し、前記デジタル画像処理装置から送信されるデジタル画像データに基づいて被記録材へデジタル画像の記録を実行可能な記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成されたデジタル画像記録システムにおける前記デジタル画像処理装置であって、
    前記記録装置の電池残量が一の被記録材への記録を完遂可能な電池残量未満に低下した時点で、未実行の記録ジョブを未実行ジョブ情報として保持し、
    前記デジタル画像処理装置及び前記記録装置の双方の電池残量が一定量以上になった時点で、前記デジタル画像処理装置又は前記記録装置のいずれかに保持されている未実行ジョブ情報がある場合には、当該未実行ジョブ情報に基づいて未実行の記録ジョブを実行する、ことを特徴としたデジタル画像処理装置。

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