JP2006212654A - チル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法 - Google Patents

チル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋳造工程が簡略化でき、冷し金の形状が自由に選べ、溶融金属の注湯によって、高温に曝される鋳型(あるいは中子)の、有機鋳型の特性(崩壊性など)を損なうことなく、鋳型表面の耐熱性を向上させることができ、冷し金の焼着を防止することができるチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法を提供する。
【解決手段】以下の工程を有することを特徴とするチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法。
(a)骨材と第1の有機バインダーによって鋳型素体を成型する工程;
(b)チル鋳鉄カムシャフトの鋳型素体に関して、鋳型背面から冷し金をセットする工程;
(c)上記(b)の鋳型素体に単一形状の冷し金をセットする工程。

Description

本発明は、ムライト、珪砂などの骨材を第1の有機バインダーにより結合した有機鋳型素体を使用し、鋳型素体の背面から冷し金をセットする工程を有するチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法に関する。さらに詳細には、鋳型素体に第2のバインダーを塗布する工程を有するチル鋳鉄カムシャフトの製造方法、得られた鋳型素体を乾燥し、この素体を中子に用いて中空にする鋳鉄チルカムシャフトの鋳造方法に関する。
従来、自動車のカムシャフトには優れた物性と生産性のために鋳鉄チルカムシャフトが使用されている。しかし、注湯時に各部のカム部にチル層(カーバイト)を生成させるため、および、出来るだけ早く注湯するため、水平割が採用されてきた。このため、水平分割鋳型が採用されている。水平分割鋳型に於ける冷し金のセットは、上面よりセットする。カムシャフトの各カムの方向が異なるため、分割面が複雑となり、逆勾配が発生する。このため、水平分割鋳型に使用する冷し金は、各カム部により異なった形状が採用される。また、冷し金をセットする基準は、直接、製品部ではなく、鋳型内にセットする冷し金の底部または側面の間接基準であり、冷し金の形状を自由に選ぶのは困難である。
さらに、最近、自動車の軽量化に伴い、カムシャフトの軽量化のため、中空化が求められている。中空化には中子を使用する。これまでの水平鋳型に中子を使用するには、注湯時に溶融金属による浮力のため、中子が変形する。また、中子から発生するガスが中子のガス抜けを設けてもガスを廃棄するために時間がかかる。細い中子を使用する中空カムシャフトの鋳造には、従来の水平方案は限界がある。中空カムシャフトの鋳造には、中子の耐熱強度と縦方案が理想である。
代表的なカムシャフトの鋳造方法はレジンシェルモールド法が知られている。
しかし、レジンシェルモールド法のうち、ダンプ方式はブロー方式に比較して生産性が低い。一方、骨材にフェノールレジンとポリイソシアネートを適量加え、混合し、造形し、この鋳型にアミンガスを通じて、鋳型を瞬時的に硬化させた後、空気を吹き込んで鋳型中の未反応アミンガスを追い出して有機鋳型を作成する、コールドボックス法も数多く使用されている。
しかしながら、チル鋳鉄カムシャフトの鋳造には冷し金を鋳型内にセットするため、巾木の底部に冷し金をセットする基準が求められ、さらに、鋳型の鋳物砂の使用量が多くなる問題がある。
さらに、中空カムシャフトにおいては、使用する中子は細く、しかも注湯時に高温の溶融金属の流れに耐えることが求められる。有機鋳型は耐熱性が無く、常温強度を上げるべく樹脂量を増加しても、中子が細く耐熱強度は期待できない。むしろ燃焼ガスの発生が多くなる。
本発明は、以下の目的を達成するための鋳物の鋳造方法を提供することを目的とする。
(a)鋳造工程が簡略化できる。
(b)冷し金の形状が自由に選べる。
さらに本発明は、上記に加え以下の目的を達成するための鋳物の鋳造方法を提供することも目的としている。
(c)溶融金属の注湯によって、高温に曝される鋳型(あるいは中子)の有機鋳型の特性(崩壊性など)を損なうことなく、鋳型表面の耐熱性を向上させることができる。
(d)冷し金の焼着を防止することができる。
本発明は、以下(a)〜(c)の工程からなることを特徴とするチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法に関する。
(a)骨材と第1の有機バインダーによって鋳型素体を成型する工程;
(b)チル鋳鉄カムシャフトの鋳型素体に関して、鋳型背面から冷し金をセットする工程;
(c)上記(b)の鋳型素体に単一形状の冷し金をセットする工程。
本発明のチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法は、(d)周期律表4A族または4B族(炭素を除く)と3A族または3B族の金属アルコキシド及びその部分加水分物から選ばれた1種または2種類以上の金属アルコキシド類と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルカリ化合物を含むアルコール溶液からなる第2のバインダーを、上記工程によって成型された鋳型素体に塗布および/または含浸させ、溶融金属を注湯する工程を有することが好ましい。
本発明は、(e)鋳型にキャビティーを左右対称にすることによって単一鋳型で鋳型を構成する工程、
を用いて中空にするチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法であることが好ましい。
本発明はさらに、(f)得られた鋳型素体を乾燥し、この素体を中子に用い、溶融金属を注湯する工程、
を用いて中空にするチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法であることが好ましい。
本発明は、上記に加え、(g)冷し金に第2のバインダーを塗布し、注湯時の焼付きを防止する工程を含むことが好ましい。
本発明においては、骨材がムライト、珪砂、アルミナ、石英、ジルコン、溶融シリカの群から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
また、第1の有機バインダーが、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、及びフラン系樹脂の群から選ばれた少なくとも1種の有機バインダーであることが好ましい。
さらに、本発明には、上記第2のバインダー中にシランカップリング剤が添加されることが好ましい。
本発明のチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法によれば、同一形状の冷し金の使用が可能となり、チル層の制御が容易となる。また、あらゆる角度のカム形状に対応できる。さらに本発明の鋳造方法を中空チル鋳造カムシャフトの鋳造に用いた場合、鋳型にキャビティーを左右対称に配置することにより、単一の鋳型で鋳造鋳型を構成できるため金型または木型は片面で成型できる。さらに、中子を使用する中空カムシャフトの鋳造には中子の変形防止のため、縦方案が望ましいが、本発明では背面から冷し金をセットするため、理想的な鋳造方案が得られる。また、中子素体の表面に第2のバインダーを塗布することにより、耐熱皮膜を形成させ、有機鋳型の鋳造後の崩壊性を損なうことなく、注湯時の中子素体の生型強度並びに熱間強度を増強することができる。
さらに、冷し金の表面に第2のバインダーを塗布することにより、耐熱皮膜を形成させ、冷し金に対する焼着を防止する効果を有する。
(a)工程
(a)工程は、骨材と第1の有機バインダーによって、鋳型素体(中子を含む)を成型する工程である。
ここで、鋳型素体を成型するための骨材としては、特に制限されるものではなく、例えば、珪砂、アルミナ、石英、ジルコン、溶融石英、シリカフラワー、ムライト、合成ムライト、シャモット、合成シャモットなどを挙げることができ、実際の使用に際しては、製造される鋳型素体の用途に応じて、これらの中からその1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。
また、これらの骨材と共に使用される有機バインダー(第1の有機バインダー)としては、例えば、シェルモールド鋳造で用いられるフェノール系樹脂などの熱硬化性樹脂や、自硬性のウレタン系樹脂、フラン系樹脂、フェノール系樹脂などの有機バインダーが挙げられる。
この第1の有機バインダーについても、実際の使用に際しては、製造される鋳物の用途に応じて、これらの中からその1種または2種以上を適宜選択して使用することができる。
これらの第1の有機バインダーの使用量は、骨材に対して、通常2.5重量%以下、好ましくは1重量%以下である。
そして、これら骨材と有機バインダーとにより鋳型素体を成型する方法についても、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を採用することができる。
(b)工程
(b)工程は、冷し金を鋳型素体の背面からセットする工程である。
冷し金を鋳型素体の背面からセットする基準は、製品の見切り面である。
したがって、異なる角度を有するカム部に使用する冷し金は、カム面のチル生成の設計にしたがって自由な形状の冷し金の採用が可能となる。特に同一形状の冷し金の使用が可能となる
冷し金の背部は開放であり、鋳物砂の使用が少なく、注湯後の放熱も早い。
(c)工程
(c)工程は、(b)工程の鋳型素体に単一形状の冷し金をセットする工程であり、自由な形状の冷し金の採用が可能となるものである。
(d)工程
(d)工程は、周期律表4A族または4B族(炭素を除く)と3A族または3B族の金属アルコキシドおよびその部分加水分解物から選ばれた1種または2種類以上の金属アルコキシド類とアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルカリ化合物を含むアルコール溶液からなる第2のバインダーを、上記工程によって成型された鋳型素体(以下、中子を含むものとする)に塗布および/または含浸させ、溶融金属を注湯する工程である。
この工程に用いる第2のバインダーはアルコール溶剤中にバインダー成分として、一般式R(OR)4−mまたはM(OR)(ただし、式中Mは周期律表4A族または炭素以外の4B族の金属を示し、Mは周期律表3A族または3B族の金属を示し、Rは互いに同じかあるいは異なる炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基または炭素数7〜12のアリールオキシアルキル基であり、MがSiの場合にはm=0〜3の整数であって、MがSi以外の場合にはm=0である)で表されるアルコール可溶性の金属アルコキシドおよびその部分加水分解物から選ばれた1種または2種以上の金属アルコキシド類を金属酸化物換算で1〜50重量%と、下記一般式MOR´またはM(OR)2(ただし、式中Mはアルカリ金属を示し、Mはアルカリ土類金属を示し、R´は水素または炭素数1〜6のアルキル基を示す)で表されるアルコール可溶性のアルカリ化合物を金属酸化物換算で1〜16重量%とを含有するものである。
本発明において、第2のバインダー成分を構成する金属アルコキシドは、周期律表4A族または炭素以外の4B族の金属Mまたは周期律表3A族または3B族の金属Mの金属アルコキシドまたはそれらの部分加水分解物である。ここで、金属アルコキシドを形成する金属Mとしては、周期律表4A族金属としてTi、Zrなどを挙げることができ、また、炭素以外の周期律表4B族金属としてSi、Ge、Sn、Pbなどを挙げることができ、そしてMとしては、周期律表3A族金属としてSc、Yなどを挙げることができ、さらに、3B族金属としてB、Al、Gaなどを挙げることができる。
また、上記金属アルコキシドを形成するRは、互いに同じかあるいは異なる炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基または炭素数7〜12のアリールオキシアルキル基である。具体的には、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、s−ブチル基などを、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基などを、さらに、アルコキシアルキル基としては、メトキシエチル基、メトキシイソプロピル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基等を、またアリールオキシアルキル基としては、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、フェノキシプロピル基、フェノキシブチル基、トリロキシメチル基、トリロキシエチル基、トリロキシプロピル基、トリロキシブチル基などを挙げることができる。
そして、このような金属アルコキシドの部分加水分解物としては、それが加水分解率55%以下であってアルコール溶剤に溶解すれば特に制限はなく、直鎖状部分加水分解物であっても、網目状部分加水分解物であっても、また、環状部分加水分解物であってもよい。さらに、これら金属アルコキシドおよびその部分加水分解物からなる金属アルコキシド類は、その1種のみを単独で使用してもよく、また、2種以上の混合物として使用することもできる。
本発明において、上記金属アルコキシド類として最も好ましいものは鋳型砂の成分であり、砂との結合が容易であるという点から、一般式RSi(OR)4−m(ただし、式中Rは互いに同じかあるいは異なる炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシアルキル基または炭素数7〜12のアリールオキシアルキル基であり、mは0〜3の整数である)で表される珪酸エステルおよびアルキル珪酸エステル、ならびにこれらの部分加水分解物から選ばれた1種または2種以上の珪酸エステル類である。
具体的には、テトラアルコキシシランとして、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラプトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、メトキシトリイソプロポキシシラン、ジメトキシジイソプロポキシシラン、メトキシトリプトキシシランなどを挙げることができ、また、アルキルトリアルコキシシランとして、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリプトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシランなどを挙げることができる。
また、ジアルキルジアルコキシシランとして、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジプトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシランなどを挙げることができ、また、トリアルキルアルコキシシランとして、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルイソプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルイソプロポキシシランなどを挙げることができる。
さらに、アリールオキシシランとして、テトラフェノキシシラン、テトラトリロキシシランなどを挙げることができ、また、アルキルアリールオキシシランとして、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、メチルトリトリロキシシランなどを挙げることができる。
さらにまた、アルコキシアルキルシランとして、テトラメトキシメチルシラン、テトラメトキシエチルシラン、テトラメトキシイソプロピルシラン、テトラエトキシメチルシラン、テトラエトキシエチルシラン、テトラエトキシイソプロピルシランなどを挙げることができ、また、アリールオキシアルキルシランとして、テトラフェノキシメチルシラン、テトラフェノキシエチルシラン、テトラフェノキシプロピルシラン、テトラフェノキシイソプロピルシラン、テトラトリロキシエチルシランなどを挙げることができる。
そして、その他の好ましい金属アルコキシド類としては、トリメチルボリン、トリエトキシボリン、テトラブトキシチタン、テトラブトキシジルカン、トリイソプロポキシアルミンなどが挙げられる。
これらの金属アルコキシド類の含有量については、金属酸化物換算(例えば、金属アルコキシド類が珪酸エステル類の場合はSiO換算)で1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%の範囲であるのがよく、1重量%より少ないと、鋳型素体とした際にこの金属アルコキシド類由来の金属酸化物の含有量が不足し、鋳型(中子)取り扱い時のハンドリングに必要な所望の強度(例えば、10kg/cm以上、好ましくは30kg/cm以上)の鋳型素体を得ることができず、一方、50重量%を超えると、溶解度の点からアルカリ化合物の溶解量が0.5重量%未満になり、所望の強度が得られない。
また、他のバインダー成分であるアルカリ化合物については、金属Mとしては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができ、好ましくはナトリウム、カリウムを挙げることができる。また、このアルカリ金属アルコキシドを形成する置換基R´としては、水素またはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの炭素数1〜6のアルキル基、またはフェノキシ基、トリロキシ基、またはアルコキシアルキル基またはアリールオキシアルキル基等を挙げることができる。これらのアルカリ化合物は、その1種のみを単独で用いてもよく、また、2種以上の混合物として用いてもよい。
このアルカリ化合物の含有量については、金属酸化物換算(例えば、アルカリ化合物の金属がナトリウムの場合はNaO換算)で0.5〜16重量%、好ましくは1〜10重量%の範囲である。0.5重量%より少ないと、鋳型素体とした際にこのアルカリ金属アルコキシド由来の金属酸化物の含有量が不足し、所望の強度(例えば、10kg/cm以上、好ましくは30kg/cm以上)の鋳型素体を得ることができず、一方、16重量%を超えると、溶解度の点からSiOの溶解量が1重量%未満になり、所望の強度が得られない。
さらに、上記バインダー成分の金属アルコキシド類およびアルカリ化合物を溶解するアルコール溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、プロビルセロソルブ、プチルセロソルブ、フェニルメチルセロソルブ、フェニルエチルセロソルブなどを挙げることができる。
第2のバインダーの厚さ(乾燥膜厚)は、2〜5mm、好ましくは2〜3mm程度である。5mmを超えると、経済的でなく、また型ばらしが困難である。
本発明の第2のバインダーには、種々の目的で上記以外の添加剤を添加することができ、例えば、含浸性の向上を目的として添加するドデシルスホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコールエチルエーテルなどのアルカリまたは中性の界面活性剤などを挙げることができる。
また、本発明の第2のバインダーには、上記の添加剤以外に、無機質の微粒子(以下、単に「微粒子」ともいう)や、シランカップリング剤を添加することができる。無機質の微粒子としては、フュームドシリカなどのシリカ微粒子やウンモ、その他のセラミックス微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、ワニス、分子量1,500〜10,000程度のポリエチレングリコールなどの有機溶媒を用いて、分散させて用いることが好ましい。この場合、微粒子の固形分濃度は、通常、8〜30重量%程度である。本発明において、第2のバインダー中に上記の微粒子を添加することにより、第2のバインダーを上記工程で得られる鋳型素体の表面層(約2〜3mm程度)にのみ浸透させることができ、また添加した微粒子により、鋳型素体の平滑性が得られる。これらの微粒子の配合量は、第2のバインダー中に、固形分換算で、通常、1〜5重量%程度である。
また、シランカップリング剤としては、アミノシラン、ウレイドシラン、エポキシシランなどが挙げられる。ここで、シランカップリング剤を使用する場合には、該シランカップリング剤を水および/または有機溶剤に溶解または分散させて、これを第2のバインダーに添加して使用することが好ましい。ここで使用される有機溶剤としては、第2のバインダーに用いられるアルコール溶剤などが挙げられる。第2のバインダー中にシランカップリング剤を添加することにより、上記工程で得られる鋳型素体中の第1のバインダーである有機バインダーおよび/または骨材とシランカップリング剤が反応して、第2のバインダーをこの鋳型素体の表面に強固に付着させることができ、鋳型素体の耐熱性を向上させることができる。上記シランカップリング剤の使用量は、第2のバインダー中に、通常、1〜5重量%程度である。
上記工程で得られた鋳型素体に、本発明の第2のバインダーを塗布および/または含浸させる方法については、例えば、鋳型素体を第2のバインダー中に浸漬し、次にこのバインダー中から鋳型素体を引き上げて液切りする「浸漬→液切り」の方法や、この「浸漬→液切り」の後で乾燥してアルコール溶剤を除去する「浸漬→液切り→乾燥」の工程からなる方法、あるいはこの「浸漬→液切り→乾燥」の工程を必要に応じて複数回繰り返す方法や、VRHプロセスのようにして減圧下に鋳型素体に上記バインダーを含浸させる方法や、鋳型素体にシャワー状に上記バインダーを吹きつける方法、鋳型素体表面に、上記バインダーを刷毛などで塗布する方法などを挙げることができる。
(e)工程
(e)工程は、鋳型のキャビティーを左右対称にすることによって単一鋳型で鋳型を構成する工程であり、冷し金の背面からのセットにより、セット部のキャビティー形状に、鋳型素体に見切り面から背部に向かって抜け勾配をつけることができ、鋳造品のカム部の見切り面にバリが発生しないセッティングが可能となるものである。さらに、鋳型が左右対称にできるので、単一型で鋳型が構成でき、生産性を向上させることができる。
(f)工程
(f)工程は、得られた鋳型素体を乾燥し、この素体を中子に用い、溶融金属を注湯する工程である。(f)工程における乾燥は、常温から100℃の温度下で、通常、30〜60分程度行えば良い。(d)工程で得られた鋳型素体を、乾燥したのち、中子あるいは鋳型に用いて、溶融金属を鋳造すると、溶融金属の高熱により、第2のバインダーが瞬時にして溶融してアルカリシリル化して、鋳型素体の表面に耐熱性の皮膜を形成し、1,200℃以上、さらには1,600℃以上の高熱の溶融金属にも耐え得る皮膜を形成することができる。
(g)工程
(g)工程は、冷し金に第2のバインダーを塗布し、注湯時の焼付きを防止する工程である。
以上のように鋳型素体に(b)工程で冷し金を背面からセッティングする鋳型は、冷し金の形状を単一形状とし、中空カムシャフトの鋳造において、Sand/Metalを30%以上軽減できる。さらに、鋳型を単一型で構成することができるため、金型、木型が片面だけでよく、型製作時間が大幅に短縮され、生産性が大幅に向上する。
また(f)工程において溶融金属の注湯により、中子表面に塗布または/含浸した第2のバインダーは、大気中の水分により加水分解し、中子の生強度を増大させる。この中子素体は、200℃以下で第1の有機鋳型と反応し、有機シリカ化合物を生成し、中子素体の表面に耐熱性皮膜を形成し、1,000℃以上の温度で溶融された溶融金属が中子素体に接触し、第2のバインダーが例えば、酸化ナトリウムとシリカが複合溶融塩を形成してトリジマイト結晶化し、熱間強度を有する皮膜を形成する。このため、有機鋳型の崩壊性の損ないことなく、極細の中空形状の鋳造が可能となる。
以下、本発明を、図面を用いてさらに具体的に説明する。
図1は、鋳鉄カムシャフトの鋳造工程に占める本発明の位置を示したものである。
図2は、本発明の工程(b)に於ける実施形態様の説明図である。1.は冷し金の鋳型へのセッティング法を示したものであり、従来法では、冷し金をセットする基準は冷し金の底部または側面の間接基準であるが、本発明では、単一形状の冷し金を用い、製品分割面を基準としてセットすることが可能であることがわかる。
図2の内、2.Bは鋳型背面より冷し金をセッティングされた同一鋳型を組み合わせた鋳型を示し、Aはそれにより鋳造されたカムシャフトを示す。
図3は、本発明の工程(d)に於いた第2のバインダーの効果の説明であり、1.は4種の有機鋳型の熱間抗折強度を調べたもので、第2のバインダーで処理した鋳型のほうが、処理していないものに比べ、優れていることがわかる。
図3の内、2.は、第2のバインダーの高温(900℃以上)に於けるトリジマイト結晶構造を示したものである。
本発明のチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法によれば、鋳造工程が簡略化でき、冷し金の形状が自由に選べ、鋳型(あるいは中空チル鋳鉄カムシャフトに用いた場合は中子)が溶融金属の注湯によって、高温に曝されても、有機鋳型の特性(崩壊性など)を損なうことなく、鋳型表面の耐熱性を向上させることができ、さらに冷し金の焼着を防止することができる。このような本発明の鋳造方法は、自動車のカムシャフトに好適に用いることができる。
本発明の一実施形態様の工程流れ図である。 本発明の工程(b)に於ける実施態様の説明図である。 本発明の工程(d)に於ける第2のバインダーの効果の説明である。

Claims (8)

  1. 以下の工程を有することを特徴とするチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法。
    (a)骨材と第1の有機バインダーによって鋳型素体を成型する工程;
    (b)チル鋳鉄カムシャフトの鋳型素体に関して、鋳型背面から冷し金をセットする工程;
    (c)上記(b)の鋳型素体に単一形状の冷し金をセットする工程。
  2. (d)周期律表4A族または4B族(炭素を除く)と3A族または3B族の金属アルコキシド及びその部分加水分物から選ばれた1種または2種類以上の金属アルコキシド類と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルカリ化合物を含むアルコール溶液からなる第2のバインダーを、上記工程によって成型された鋳型素体に塗布および/または含浸させ、溶融金属を注湯する工程を有する請求項1記載のチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法。
  3. 請求項1または2記載のチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法にさらに、
    (e)鋳型にキャビティーを左右対称にすることによって単一鋳型で鋳型を構成する工程、
    を用いて中空にするチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法。
  4. 請求項1〜3いずれか1項記載のチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法にさらに、
    (f)得られた鋳型素体を乾燥し、この素体を中子に用い、溶融金属を注湯する工程、
    を用いて中空にするチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法。
  5. (g)冷し金に第2のバインダーを塗布し、注湯時の焼付きを防止する工程を含む請求項2〜4いずれか1項記載のチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法。
  6. 骨材がムライト、珪砂、アルミナ、石英、ジルコン、溶融シリカの群から選ばれた少なくとも一種である請求項1〜5いずれか1項記載のチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法。
  7. 第1の有機バインダーが、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂、及びフラン系樹脂の群から選ばれた少なくとも1種の有機バインダーである請求項1〜6いずれか1項記載のチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法。
  8. 第2のバインダー中にシランカップリング剤が添加された請求項2〜7いずれか1項記載のチル鋳鉄カムシャフトの鋳造方法。

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