JP2006212581A - 有機性廃棄物の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 有機性廃棄物20をメタン発酵槽12にてメタン発酵した後に、発生した消化汚泥23を可溶化設備30に供給し、該可溶化設備30にて消化汚泥23のコロイド化工程と液状化工程を順に行い、液状化した可溶化汚泥24を固液分離することなく生物学的脱窒素処理設備13に導入するようにし、好適には前記可溶化設備30では、前記コロイド化工程にて前記消化汚泥23をオゾン酸化によりコロイド化し、前記液状化工程にて前記コロイド化した消化汚泥中にキャビテーションを発生させて液状化する。
【選択図】 図1
Description
一般的なメタン発酵プロセスを図8に示す。まず大径の有機性廃棄物を破砕し、夾雑物を除去した後に、調整槽51にて廃棄物のpH、温度、水量、濃度等をメタン発酵に適した条件に調整し、該調整した廃棄物をメタン発酵槽52にてメタン発酵する。該メタン発酵槽52では、嫌気性微生物の作用により廃棄物中の有機物等が分解され、発生したバイオガスを回収する。回収したバイオガスは脱硫、ガス精製された後に発電等に利用される。一方、前記メタン発酵槽52にて発生した消化汚泥は生物学的脱窒素処理設備53に送給し、ここで硝化、脱窒処理して汚泥中の窒素、BOD等を除去する。そして、処理水の一部は希釈水として前記調整槽51に返送するとともに、他の処理水は固液分離装置54にて固液分離し、分離液は高度処理装置55にて浄化した後に放流される。固液分離装置54にて分離した汚泥は汚泥処理設備56にて処理していた。
そこで、メタン発酵後の消化汚泥を可溶化処理して汚泥発生量を低減する方法が、提案、実用化されている。可溶化処理では、オゾン酸化、加熱、アルカリ添加等の方法によって消化汚泥中の有機物を低分子化し、後段の生物処理での有機物分解率を向上させて汚泥の減容化を図っている。
この方法によれば、メタン発酵後の消化汚泥をオゾン酸化して汚泥中の有機物を可溶化した後に生物処理するため、汚泥の減容化が達成できるとともに処理水性状を向上させることが可能である。
このように、メタン発酵後の消化汚泥中に含有される難分解性物質をオゾン酸化により可溶化し、再びメタン発酵させることでメタン発酵の分解効率を向上させることが可能となる。
特許文献1及び2に記載のように、消化汚泥を可溶化することによりBODが発生するが、生物処理に好適に利用されるBODは液状のBODであり、高濃度の有機物を可溶化しても固体状又はコロイド状のBODが多く残存するため、生物処理では利用し難い。
さらに特許文献2では、メタン発酵後の消化汚泥をオゾン酸化した後に固液分離しているが、オゾン酸化のみでは可溶化汚泥中に固体状又はコロイド状のBODが多く残存し、固液分離が困難であるという問題があった。また、固液分離に用いられる凝集剤を多量に必要とするという問題も有していた。
前記メタン発酵後の消化汚泥を可溶化処理し、
前記可溶化処理が、前記消化汚泥を主体的にコロイド化するコロイド化工程と、該コロイド化した汚泥を主体的に液状化する液状化工程とを備え、該液状化した可溶化汚泥を固液分離することなく生物学的脱窒素処理することを特徴とする。
また本実施例では、前記可溶化処理が、コロイド化工程と液状化工程とを有するため、高濃度の有機性廃棄物であっても高効率処理が可能である。
このように、コロイド化工程にてオゾンにより有機性廃棄物をコロイド性物質まで可溶化し、さらにコロイド化汚泥にキャビテーションを発生させて液状化することで、難分解性の高分子有機物を容易に且つ確実に低分子化させ、可溶化することが可能となる。
このとき、前記液状化工程にて、前記消化汚泥を加圧した後に圧力開放してキャビテーションを発生させることが好ましい。
前記可溶化汚泥は、前記コロイド化工程及び前記液状化工程からなる可溶化処理により、液状のBOD成分が増加している。このため、可溶化汚泥をメタン発酵に返送することで、増加したBOD成分をバイオガスに変換させ、バイオガス生成量を増加させることができる。また、前記可溶化汚泥は、メタン発酵後の消化汚泥よりもアルカリ度が増加する。このため、前記メタン発酵に返送することでメタン発酵によるpH低下を抑制することができ、メタン生成反応を促進することが可能となる。また、メタン発酵前に調整槽を設けている場合には、該調整槽に返送することにより、pH低下の抑制がなされて酸生成反応を促進できる。
さらにまた、前記生物学的脱窒素処理後の処理水及び/又は該処理水を固液分離した汚泥を、前記可溶化処理に返送することを特徴とし、これにより汚泥発生量のさらなる低減が可能となる。
また本実施例では、前記可溶化処理が、コロイド化工程と液状化工程とを有するため、高濃度の有機性廃棄物であっても高効率処理が可能である。
また、オゾン酸化によるコロイド化とキャビテーション発生による液状化とを組み合わせた構成とすることにより、難分解性の高分子有機物を容易に且つ確実に低分子化させ、可溶化することが可能となる。
さらにまた、前記生物学的脱窒素処理後の処理水及び/又は該処理水を固液分離した汚泥分を前記可溶化処理に返送することにより汚泥発生量のさらなる低減が可能となる。
本実施例において処理対象とされる有機性廃棄物は、例えば、生ごみ、食品加工残渣、畜産廃棄物、及び下水処理等の水処理により発生する汚泥などの有機性廃棄物が挙げられるが、特に生ごみ、食品加工残渣等の高濃度の有機性廃棄物の処理に適している。
図1は本発明の実施例1に係る処理システムの概略を示すフロー図、図2は本実施例の可溶化設備の一例を示す概略構成図、図3は本実施例の可溶化設備の具体的な装置構成を示す図、図4はオゾン発生器を示す概略断面図、図5はキャビテーション装置を示す概略構成図、図6は本発明の実施例2に係る処理システムの概略を示すフロー図、図7は本発明の実施例3に係る処理システムの概略を示すフロー図である。
前記調整槽11は、有機性廃棄物20のpH、温度、水量、濃度等をメタン発酵に適した条件に調整する手段、及び撹拌手段等を有し、主として廃棄物中の有機物を加水分解及び酸発酵する酸生成段階が行なわれる。
前記メタン発酵槽12は、槽内に嫌気性微生物が繁殖しており、嫌気性微生物が卓越して繁殖できる環境に温度、pH等の条件が維持されており、主として水素・酢酸生成及びメタン生成からなるメタン生成段階が行なわれ、バイオガス21、消化汚泥23が発生する。メタン発酵にて固液分離機能を有している場合は、上澄み液として消化汚泥22が発生することもある。本実施例では、前記メタン発酵槽12は中温メタン発酵処理槽及び高温発酵処理槽の何れを用いても良く、前記中温メタン発酵処理槽の場合には、槽内温度条件を約30〜40℃に維持し、前記高温発酵処理槽の場合には、槽内温度条件を約50〜60℃とする。
前記固液分離装置14は、生物学的脱窒素処理後の処理水25から処理水26と汚泥27とを分離する装置であり、重力沈降方式、遠心分離方式、、膜分離方式、凝集分離方式、浮上分離方式等が用いられる。
前記高度処理装置15としては凝集分離装置、活性炭吸着塔等が挙げられ、前記固液分離後の処理液が放流水準に満たない場合に設置すると良い。
前記汚泥処理設備16は、固液分離した汚泥27の脱水、乾燥、焼却、堆肥化等を行なう設備である。
前記コロイド化工程30Aでは、消化汚泥中の有機物を可溶化手段により低分子化して主体的にコロイド化を行なう。前記液状化工程30Bは前記コロイド化工程30Aの後に行なわれ、コロイド化した低分子有機物をさらに可溶化手段により主体的に液状化する。
また、これらの可溶化手段に加えて、補助的にばっ気手段を加えることも好適である。
前記オゾン酸化装置30Aは、オゾン発生器130により発生させたオゾンを、前記消化汚泥23が貯留された反応槽内に設置した散気管から噴出させ、消化汚泥と接触させるとともに槽内を撹拌する構成となっている。
前記オゾン酸化装置30Aでは、オゾンの強力な酸化力によって汚泥中の有機物が低分子化し、消化汚泥が主体的にコロイド状となる。勿論このとき、消化汚泥中には部分的に液状部、固体状部も存在する。
前記キャビテーション装置30Bによれば、キャビテーションの発生によりその近傍で局所的な高温、高圧場が形成され、OHラジカルが発生する。OHラジカルは強力な酸化力を有するため、このOHラジカルによって消化汚泥中の固形物、コロイド状物質が低分子化され液状化し、可溶化する。
尚本実施例では、上記したオゾン発生器130、キャビテーション装置30Bの構成に限定されるものではなく、同様の目的を達成できる装置であれば適用可能である。
まず、破砕・分別処理等の前処理を行なった有機性廃棄物20を前記調整槽11に供給し、該調整槽11内にて有機性廃棄物のpH、温度、水量、濃度等をメタン発酵に適した条件に調整し、主として廃棄物中の有機物が加水分解及び酸発酵される酸生成段階を行なう。調整後の有機性廃棄物20はメタン発酵槽12に導入し、該メタン発酵槽12にて嫌気性微生物によりメタン発酵する。
前記メタン発酵槽12にて発生したバイオガス21は、脱硫後に発電設備等に送給し、上澄み液の消化液22が発生する場合は、水処理設備等に送給する。
一方、メタン発酵槽12にて発生した消化汚泥23は可溶化設備30に送給し、該可溶化設備30にて消化汚泥中の汚泥のコロイド化を行なった後、コロイド化した汚泥の液状化を行なう。
このように本実施例によれば、メタン発酵後の消化汚泥に、コロイド化工程と液状化工程からなる可溶化処理を施すことにより、汚泥中の固形物(SS成分)が減少するため、後段の生物学的脱窒素処理以降での汚泥発生量を減少することができる。同時に、減少したSS成分がBODに変換されるため、BOD/N比を高くすることができ、生物学的脱窒素処理でのメタノール等の水素供与体の添加量を低減することができる。
また本実施例では、前記可溶化処理が、コロイド化工程と液状化工程とを有するため、高濃度の有機性廃棄物であっても高効率処理が可能である。
本実施例2は、前記実施例1に記載した構成に加えて、前記可溶化設備30にて生じた可溶化汚泥24の少なくとも一部を前記メタン発酵槽12及び/又は前記調整槽11に返送する可溶化汚泥返送ライン40A、40Bを設けた構成としている。
また、前記可溶化汚泥24は、メタン発酵後の消化汚泥よりもアルカリ度が増加する。このため、前記調整槽11に流入させることで、槽内のpH低下を抑制することができ、調整槽11での酸生成反応を促進できる。また、該調整槽11を経て前記メタン発酵槽12に流入させることにより、同様の理由からメタン生成反応を促進することが可能となる。
本実施例3では、前記実施例1及び2に記載した構成に加えて、前記生物学的脱窒素処理設備14にて生じた処理水25の少なくとも一部及び/又は前記固液分離装置15にて分離した汚泥27の少なくとも一部を返送ライン41を介して前記可溶化装置13に返送する構成としている。このとき、前記処理水25、汚泥27はコロイド化装置13Aに返送することが好ましい。また、前記コロイド化工程にてオゾン酸化を用いる場合には、該オゾン酸化装置に前記処理水25、汚泥27を返送することにより、消化汚泥が好気性側に移行するため、オゾン供給量を削減することができる。
本実施例によれば、汚泥発生量をより一層低減することができる。
12 メタン発酵槽
13 生物学的脱窒素処理設備
20 有機性廃棄物
30 可溶化設備
30A コロイド化工程(オゾン酸化装置)
30B 液状化工程(キャビテーション装置)
30C 貯留槽
40A、40B 可溶化汚泥返送ライン
41 処理水・汚泥返送ライン
130 オゾン発生器
Claims (5)
- 有機性廃棄物をメタン発酵した後に、該メタン発酵後の消化汚泥を生物学的脱窒素処理する有機性廃棄物の処理方法において、
前記メタン発酵後の消化汚泥を可溶化処理し、
前記可溶化処理が、前記消化汚泥を主体的にコロイド化するコロイド化工程と、該コロイド化した汚泥を主体的に液状化する液状化工程とを備え、該液状化した可溶化汚泥を固液分離することなく生物学的脱窒素処理することを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。 - 前記可溶化処理では、前記コロイド化工程にて前記消化汚泥をオゾン酸化によりコロイド化し、前記液状化工程にて前記コロイド化した消化汚泥中にキャビテーションを発生させて液状化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の有機性廃棄物の処理方法。
- 請求項2記載の液状化工程にて、前記消化汚泥を加圧した後に圧力開放することによりキャビテーションを発生させるようにしたことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法。
- 前記可溶化処理後の可溶化汚泥の少なくとも一部を、前記メタン発酵及び/又は該メタン発酵の上流側に返送することを特徴とする請求項1記載の有機性廃棄物の処理方法。
- 前記生物学的脱窒素処理後の処理水及び/又は該処理水を固液分離した汚泥を、前記可溶化処理に返送することを特徴とする請求項1記載の有機性廃棄物の処理方法。
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