JP2006210431A - 誘電体積層構造体の製造方法 - Google Patents

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星児 一▲柳▼
Yasuhiko Inui
靖彦 乾
Atsushi Otsuka
淳 大塚
Manabu Sato
学 佐藤
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Abstract

【課題】 金属層と誘電体層とを備えるコンデンサ構造体を製造するにあたり、焼成時の収縮による反りの発生を抑制して製造品質を向上させることを目的とする。
【解決手段】 まず、PETフィルム6上に塗工された未焼結誘電体シート2、ニッケル箔1、及びPETフィルム7上に塗工された未焼結ニッケルテープ3を各々準備する。そしてこれらを、ニッケル箔1の両面に未焼結誘電体シート2及び未焼結ニッケルテープ3がそれぞれ接するように積層し、熱圧着する。その後、PETフィルム6,7を剥離して焼成前BT/ニッケル三層積層体4を得る。これを焼成すると、BT/ニッケル焼成積層体14が形成される。焼成の際、未焼結誘電体シート2が焼成収縮するが、未焼結ニッケルテープ3も同様に焼成収縮するため、双方の焼成収縮による応力がキャンセルされてニッケル箔1には反りが生じない。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属層と、該金属層に積層される誘電体層とを備えた誘電体積層構造体の製造方法に関する。
殆どの電子機器は高速化するにつれて、発生する電磁波ノイズが高周波帯域で強力になる。特に、CPU等の半導体集積回路素子のデカップリングやスイッチング電源のノイズ対策などには、高容量で低インダクタンスのコンデンサが必要とされる。このような用途に用いられるコンデンサは、一般的にデカップリングコンデンサと呼ばれている。そして、このデカップリングコンデンサを、例えば半導体集積回路素子が搭載されるパッケージ基板内に半導体集積回路素子近傍となるように配置し、半導体集積回路素子の動作に必要な高周波電流をこのデカップリングコンデンサを介して供給することにより、ノイズの低減を図ることが提案されている。
パッケージ基板内へのコンデンサの配置方法としては、例えば、多層化された基板における所定の層に穴をあけてチップコンデンサを埋め込むという方法も考えられるが、そのような方法だとパッケージ基板の大型化を招く。そのため、近年ますます要求される電子機器の小型化を考慮し、金属電極層間に誘電体層を配置してなるコンデンサ構造体をパッケージ基板内の所定の層に埋め込むことで、パッケージ基板全体の大型化を防ぐことが考えられている。
この場合、コンデンサ構造体を構成する誘電体層としては主にチタン酸バリウムやアルミナなど、製造の過程で焼成工程を必要とするものが用いられる。そのため、ビルドアップにより多層パッケージ基板を製造していく工程とは別に、別途、コンデンサ構造体を焼成により製造しておく必要がある。そして、焼成後のコンデンサ構造体を、ビルドアップの過程でパッケージ基板に埋め込むこととなる。
そして、コンデンサ構造体の製造方法としては、例えば、金属箔上に導電性ペーストを付着させて焼成を行った後、次にその上に誘電体ペーストを塗布して焼成を行い、さらに導電性ペーストを塗布して焼成を行う方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−160672号公報
しかしながら、金属箔上に誘電体ペーストが塗布されたものを焼成してコンデンサ構造体を製造しようとすると、焼成時に金属箔に殆ど焼成収縮が起こらないことから、以下のような問題が生じる。即ち、未焼結状態の誘電体ペーストは焼成によって焼成収縮を起こすものの、金属箔は元々緻密であるため焼成収縮がほとんど生じない。そのため、焼成収縮しようとする誘電体ペーストと焼成収縮のほとんどない金属箔との間に生じる応力により、コンデンサ構造体に反りが生じてしまうのである。
このように反りが生じてしまうと、そのままの状態ではそのコンデンサ構造体をパッケージ基板に埋め込むのは困難となる。また、反りが生じている焼成後のコンデンサ構造体を外力によって無理に平面状に戻そうとすると、誘電体層が割れてしまい、品質が大きく低下してしまうおそれがある。
上記特許文献1の製造方法は、厳密にいえば、金属箔と誘電体ペーストとの間に導電性ペーストを介在させているのだが、この導電性ペーストも、誘電体ペーストと程度の差こそあれ焼成によって収縮するため、やはり反り発生の問題は生じる。つまり、導電性ペーストを介在させることは何ら反り問題の解決策にはならない。特に、シート状のコンデンサ構造体の面積が大きいほど、反りの発生は顕著となる。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、金属層と誘電体層とを備えるコンデンサ構造体を製造するにあたり、焼成時の収縮による反りの発生を抑制して製造品質を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明(第1手段)は、主金属層と、該主金属層に積層される誘電体層とを備えた誘電体積層構造体の製造方法であって、前記主金属層を形成する主金属層形成工程と、前記誘電体層となるべき未焼結部材であって焼成時の収縮の程度が前記主金属層よりも大きい未焼結誘電体部を、前記主金属層の一方の面に積層する未焼結誘電体積層工程と、未焼結状態の金属であって焼成時の収縮の程度が前記主金属層よりも大きい未焼結第1金属部を、前記主金属層の他方の面に積層する未焼結第1金属積層工程と、前記各積層工程によって互いに積層された未焼結誘電体部、主金属層、及び未焼結第1金属部を一体に焼成して、前記未焼結誘電体部及び前記未焼結第1金属部を焼結させる焼成工程とを有する。
また、上記課題を解決するためになされた他の発明(第2手段)は、主金属層と、該主金属層に積層される誘電体層とを備えた誘電体積層構造体の製造方法であって、前記主金属層を形成する主金属層形成工程と、前記誘電体層となるべき未焼結部材であって焼成時の収縮の程度が前記主金属層よりも小さい未焼結誘電体部を、前記主金属層の一方の面に積層する未焼結誘電体積層工程と、未焼結状態の金属であって焼成時の収縮の程度が前記主金属層よりも小さい未焼結第1金属部を、前記主金属層の他方の面に積層する未焼結第1金属積層工程と、前記各積層工程によって互いに積層された未焼結誘電体部、主金属層、及び未焼結第1金属部を一体に焼成して、前記未焼結誘電体部及び前記未焼結第1金属部を焼結させる焼成工程とを有する。
この第2手段が上記第1手段と異なるのは、未焼結誘電体部及び未焼結第1金属部のいずれも、焼成による収縮の程度が主金属層よりも小さいことであり、それ以外は第1手段と同じである。つまり、第1手段においては、主金属層と比較して未焼結誘電体部及び未焼結第1金属部の方が相対的に大きく収縮し、逆に、第2手段においては、未焼結誘電体部及び未焼結第1金属部と比較して主金属層の方が相対的に大きく収縮する。未焼結誘電体部が焼成工程により焼結すると前記誘電体層が形成される。
そして、第1手段又は第2手段の製造方法では、主金属層の一方の面に未焼結誘電体部を積層して焼成するにあたり、主金属層のうち未焼結誘電体部が積層されない他方の面にも、未焼結部材として未焼結第1金属部を積層し、この積層体を一体的に焼成するのである。
そうすると、焼成工程において、未焼結誘電体部が焼成収縮すると共に、未焼結第1金属部も焼成収縮するため、両者の焼成収縮による応力が相互に打ち消され、結果として主金属層の変形(反り)が抑制され、延いては誘電体積層構造体全体の反りが抑制されて、製造品質を向上させることが可能となる。
なお、焼成時の収縮の程度とは、実質的に無拘束、即ち、3次元的にほぼ等しく収縮できる状態での焼成によりどの程度収縮したかを示す値であり、例えば、焼成後の寸法を焼成前の寸法で除することにより得られる「収縮比(焼成収縮比)」で表すことができる。またこの場合、収縮比としては、主金属層の面方向の1次元的な寸法の収縮比を表す線収縮比を採用するとよい。このように収縮の程度を収縮比で表す場合は、収縮比が小さいほど収縮の程度が大きいということになり、逆に、収縮比が大きいほど収縮の程度が小さいということになる。
また、誘電体シート等の未焼結誘電体部を形成する未焼結誘電体形成工程を、未焼結誘電体積層工程の前に備えているとよい。この際、本発明の「未焼結誘電体積層工程」は、準備した主金属層の一方の面上に未焼結誘電体シート等の未焼結誘電体部を積層(圧着)する場合の他、準備した未焼結誘電体シート等の未焼結誘電体部上に主金属層を積層(圧着)する場合も含む。
或いは、誘電体ペースト等の未焼結誘電体物を調製する未焼結誘電体調製工程を、未焼結誘電体積層工程の前に備えていてもよい。ここで、本発明の未焼結誘電体積層工程における「積層」とは、予め形成された未焼結誘電体部を積層する場合を含む他、予め形成された未焼結状態の誘電体物を塗布することにより未焼結誘電体部を形成する場合も含む概念である。
また、未焼結金属シート等の未焼結第1金属部を形成する未焼結第1金属形成工程を、未焼結第1金属積層工程の前に備えているとよい。この際、本発明の「未焼結第1金属積層工程」は、準備した主金属層の一方の面上に未焼結金属シート等の未焼結第1金属部を積層(圧着)する場合の他、準備した未焼結金属シート等の未焼結第1金属部上に主金属層を積層(圧着)する場合も含む。
或いは、金属ペースト等の未焼結第1金属部を調製する未焼結第1金属調製工程を、未焼結第1金属積層工程の前に備えていてもよい。ここで、本発明の未焼結第1金属積層工程における「積層」とは、予め形成された未焼結第1金属部を積層する場合を含む他、予め形成された未焼結状態の金属を塗布することにより未焼結第1金属部を形成する場合も含む概念である。
なお、前記未焼結誘電体部としては、例えば、焼成後にセラミックとなるものを用いることができる。
上記主金属層としては、例えば未焼結状態のシート(グリーンシート)であってもよく、その場合も収縮比の差によって反りの発生を抑制することが可能となるが、例えば焼成工程において実質的に収縮しない緻密な金属であってもよい。主金属層が緻密であれば、焼成による収縮はほとんど生じないため、平面寸法精度の高い誘電体積層構造体を製造でき、延いては、この誘電体積層構造体を利用した平面寸法精度の高い電子部品を製造することが可能となる。
なお、ここでいう「実質的に収縮しない」とは、焼結による緻密化に起因した収縮が起こらないことを意味する。そのため、例えば、歪み部分が焼成時の熱により緩和されて寸法が変化することにより結果的に収縮してしまうことなど、焼結による緻密化に起因しない収縮は「実質的に収縮」したものに該当しない。
ところで、未焼結第1金属部が焼成されてなる第1金属層の具体的性質は種々考えられるが、例えば、前記焼成工程の後に、前記主金属層を、該主金属層において前記未焼結第1金属部が前記焼成されてなる第1金属層が積層されている面側からエッチングするエッチング工程を有する場合、前記第1金属層は、前記エッチング工程時に用いるエッチング剤に対して耐エッチング性を有するようなものであるとよい。
ここでいう「耐エッチング性」とは、上記エッチング工程におけるエッチング時に、未焼結第1金属部が焼成されてなる第1金属層が積層されていない部分がその厚さ方向に全て溶解しても、その第1金属層が積層されている部分には主金属層が残るような性質を意味する。即ち、上記レジスト工程においてレジスト(マスク)機能が失われない程度の耐性を意味するものである。
このようにすることで、当該誘電体積層構造体を電子部品として使用する際に、未焼結第1金属部が焼成されてなる第1金属層を、主金属層をエッチングする際のエッチングレジストとして利用することができる。そのため、多少レジストパターンがずれたとしても、その第1金属層の耐エッチング性によりパターンずれの発生を防ぐことができる。
より具体的にいうと、未焼結第1金属部をパターニングされた形状とし、前記焼成工程の後のエッチング工程にて、未焼結第1金属部が焼成されてなる第1金属層側から主金属層をエッチングする場合に、該エッチング工程におけるエッチング剤として主金属層を主にエッチングするエッチング剤を用いることにより、パターン化された第1金属層がレジストとなって、主金属層のパターニングが可能である。
一方、未焼結第1金属部を例えばパターニングされていないシート状態で主金属層に積層した場合、未焼結第1金属部が焼成されてなる第1金属層の性質によっては、後にエッチングする際にエッチングが困難となるおそれがある。即ち、主金属層をその第1金属層が積層されている面側からエッチングする際、第1金属層がパターニングされていない場合は第1金属層も含めてエッチングする必要がある。このとき、第1金属層の性質によっては、同じエッチング剤で第1金属層および主金属層を同時にエッチングできないことが考えられ、その場合、パターニング後にまず第1金属層をエッチングし、続いて、主金属層をエッチングする必要がある。
そこで、例えば、主金属層と第1金属層とが共に同じ金属を主構成成分とするものであってもよい。このようにすれば、主金属層及び第1金属層が同材質であるため、焼成によって両者は一体化され一つの金属層となる。そのため、この一体化された金属層をパターニング(エッチング)する際は、主金属層のみの場合と同じ工程でエッチングすることができ、パターニング工程を簡素化することが可能となる。
ところで、未焼結第1金属部と未焼結誘電体部の双方の焼成収縮により反りの発生を抑制できることは既述の通りだが、例えば、未焼結第1金属部と未焼結誘電体部の厚さが大きく異なると(より詳細には、両者の焼成の程度が大きく異なると)、焼成収縮により主金属層が受ける応力も主金属層の表裏で大きく異なり、反りの抑制効果が小さくなってしまう。
そこで、未焼結第1金属部の焼成後の厚さ(つまり第1金属層の厚さ)をt1、未焼結誘電体部の焼成後の厚さ(つまり誘電体層の厚さ)をt2としたとき、t1及びt2は、次式(1)で表される指標Aが、0.8≦A≦1.2の範囲内となるような値であるとよい。
指標Aは、反りがどの程度発生するかを示すものであり、この指標Aが大きいほど反りも大きくなる。そのため、この指標Aが上述した範囲(0.8≦A≦1.2)に入るようにt1,t2を設定すれば、反りの抑制効果をより高めることができる。なお、ここでいう厚さt1,t2とは、上記積層方向(すなわち主金属層における上記未焼結誘電体部が積層される表面に垂直な方向)の厚さである。また、焼成収縮比とは、既述の通り、焼成後の寸法を焼成前の寸法で除することにより得られる値であり、例えば既述の線収縮比を採用することができる。
ここで、上記第1手段及び第2手段は、更に、前記焼成工程の前に、未焼結状態の金属である未焼結第2金属部を前記未焼結誘電体部上へ積層する未焼結第2金属積層工程を有することが好ましい。
これにより、この誘電体積層構造体は、主金属層を一方の電極、未焼結第2金属部が焼成工程にて焼結することにより形成される第2金属層を他方の電極とし、該各電極間に誘電体層が挟まれてなるコンデンサとして形成される。
つまり、未焼結誘電体部上に未焼結金属を積層して焼成することで、その焼成後の未焼結金属と上記金属層との間に誘電体層が挟まれる形となり、これにより誘電体積層構造体がこれら両金属を電極としたコンデンサ(第1のコンデンサ)として機能するようになる。
ここで、未焼結誘電体形成工程を備える場合は、さらに、その未焼結誘電体形成工程にて形成された誘電体シート等の未焼結誘電体部に貫通孔を形成する誘電体貫通孔形成工程を備え、この誘電体貫通孔形成工程にて貫通孔が形成された未焼結誘電体部が未焼結誘電体積層工程にて主金属層の一方の面に積層されるようにしてもよい。また、未焼結誘電体調製工程を備える場合は、調製された誘電体ペースト等の未焼結誘電体物を未焼結誘電体積層工程にて積層(塗布)する際に、貫通孔が形成されるようにパターニングすることが可能である。
なお、上述した本発明において、主金属層や第1金属部としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、亜鉛、コバルト、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル等の各種金属を一種以上含むものとして形成することができる。ここでいう「一種以上」とは、混合物の他、化合物、合金、固溶体なども含む。
また、誘電体層(未焼結誘電体部が焼結してなるもの)としては、以下の(1)〜(3)に列挙した物質を一種以上含むものとして形成することができる。ここでいう「一種以上」も、上記同様、混合物の他、化合物、合金、固溶体なども含む表現である。
(1)チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタニア、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、等。
(2)アルミナ(酸化アルミニウム)、マグネシア、ジルコニア、シリカ、チタニア、二酸化スズ、希土類の酸化物、カルシア、ストロンチア、窒化珪素、窒化ほう素、窒化アルミニウム、等。
(3)ガラス(例えば、アルミナ−シリカ−アルカリ度類酸化物などからなる)。
このうち、誘電体層を形成する物質として好ましいのは、(1)、(2)、(3)の順である。なお、周知の如く(3)のガラスはセラミックには含まれない。この場合も、誘電体層は焼成後にそれぞれ上記(1)〜(3)に列挙した物質となるものでよく、例えば、水酸化物や炭酸塩を出発原料として用いてもよい。
次に、本発明の好適な実施形態を、以下に述べる各実施例及び各比較例に基づいて説明する。
[実施例1]
まず、コンデンサ構造体の製造方法を説明すると共に、その製造されたコンデンサ構造体の反り量を評価する。なお、本実施例1は、反り量の評価を主目的としているため、厳密には、実際にコンデンサとしてそのまま使用できるものを製造するのではなく、以下に述べるように一つの金属層(電極)の両面に焼成物がベタ(パターニングされていない)状態で積層されたコンデンサ構造体を製造する。実際にコンデンサとして使用できる構造体の製造については、実施例2で後述する。
(1)未焼結誘電体シート用スラリーの調製
平均粒径0.7μmのチタン酸バリウム(BT)粉末(誘電体セラミック粉)、エタノールとトルエンとの混合溶剤(揮発性溶剤)、分散剤、可塑剤、有機バインダとを、樹脂製ポットとジルコニアボールとで混合することにより、未焼結誘電体シート形成用のスラリーを得た。このときの各成分の配合比率は、前記スラリーの粘度が約0.5Pa・sとなるように決定した。なお、ここでいう粘度とは、リオン株式会社製ビスコテスターVT−04型粘度計とNo.1ロータを用い、62.5rpm、25℃の条件で測定した1分値をいう。
(2)未焼結誘電体シートの形成
幅220mmかつ厚さ50μmのPETフィルムを用意し、その上に、上記(1)で調製した未焼結誘電体シート用スラリーを、ドクターブレード法などの汎用の方法により、幅180mm、厚さは所望となるように塗工した。具体的には、本実施例1では未焼結誘電体シートの焼成後の厚さ毎に反り量を評価するようにもしているため、後述する表1に示すように、少なくとも、焼成後のシート厚さ(以下「焼成後厚さ」という)が2,3,5,7[μm]となるような未焼結誘電体シートをそれぞれ形成した。
(3)未焼結ニッケルテープの形成
まず、未焼結ニッケルテープ用原料スラリーを調製した。この調製方法は、チタン酸バリウム粉末に代えて平均粒径0.7μmのニッケル粉(導電性金属粉)を用いること以外は上記(1)の未焼結誘電体シート用スラリーの調製方法と同様である。
そして、調製した未焼結ニッケルテープ用原料スラリーを、上記(2)の未焼結誘電体シート形成方法と同様、ドクターブレード法などの汎用の方法により、幅180mm、厚さは所望となるように、幅220mmかつ厚さ50μmのPETフィルム上に塗工した。このとき、後述する表1に示すように、少なくとも、焼成後厚さが1,2,2.5,3,3.5,4,5,6,7,8,9[μm]となるような未焼結ニッケルテープをそれぞれ形成した。これらはいずれも、後述する(9)の「焼成収縮比の測定」において測定される焼成収縮比が0.82となるものである。
また、これら未焼結ニッケルテープに加え、更に、ニッケル粉の平均粒径と有機バインダの量を調整することで、焼成収縮比の異なる別の未焼結ニッケルテープも形成した。具体的には、後述する焼成収縮比の測定結果が0.78となるものであって、少なくとも、焼成後厚さが4,5,6,7[μm]となるような未焼結ニッケルテープをそれぞれ形成した(表1参照)。
(4)ニッケル箔の準備
圧延法にて製造された厚さ30μm、純度99.5%以上のニッケル箔を準備した。
(5)ニッケル箔、未焼結誘電体シート及び未焼結ニッケルテープの切断
打ち抜き金型等の従来周知の手段を用いて、上記(1)〜(4)の工程により準備されたニッケル箔、PETフィルム上に塗工された未焼結誘電体シート、及び、PETフィルム上に塗工された未焼結ニッケルテープをそれぞれ切断し、所定枚数の150mm角の箔及びシートを得た。
即ち、図1に示すように、PETフィルム6上に塗工された未焼結誘電体シート2、ニッケル箔1、及び、PETフィルム7上に塗工された未焼結ニッケルテープ3がそれぞれ、150mm角の寸法形状で所定枚数得られ、積層体製造の準備が整った(図1;「積層体準備」参照)。
(6)ニッケル箔、未焼結誘電体シート、未焼結ニッケルテープからなる積層体の作製
150mm角の圧着用金型を準備し、PETフィルム7上に塗工された未焼結ニッケルテープ3、ニッケル箔1、及び、PETフィルム6上に塗工された未焼結誘電体シート2を、未焼結誘電体シート2とニッケル箔1、ニッケル箔1と未焼結ニッケルテープ3とが向き合うように(接するように)積層し、上記金型の中に入れた。そして、従来より周知の圧着装置を用いて、100℃、750kgf/cm2の条件にて熱圧着を行った(図1;「積層・熱圧着」参照)。
そして、熱圧着後、得られた積層体をNC切断機などの汎用の切断機にてPETフィルム6,7と共に切断し、その後、上下のPETフィルム6,7を剥離することにより、25mm角の焼成前BT/ニッケル三層積層体4を得た(図1;「PET剥離」参照)。
このとき、未焼結誘電体シート2の焼成後厚さ、ニッケル箔1の厚さ、及び未焼結ニッケルテープ3の焼成後厚さの3者の組み合わせが、後述する表1に示す全ての組み合わせを満たすように、該各組み合わせで積層・熱圧着等を行った。
(7)焼成収縮比測定用未焼結誘電体シート積層体及び未焼結ニッケルテープ積層体の作製
図2に示すように、上記(5)と同様の工程により得られる、PETフィルム6上に塗工された未焼結誘電体シート2であってその厚さが15μmのものを2枚準備し、未焼結誘電体シート2同士が向き合うように(接するように)積層して圧着用金型の中に入れ、100℃、750kgf/cm2の条件にて熱圧着を行った。そして、熱圧着後、NC切断機などの汎用の切断機にてPETフィルム6と共に切断し、その後上下のPETフィルム6を剥離することにより、25mm角の未焼結誘電体シート積層体21を得た(図2;「積層体準備」〜「PET剥離」参照)。
また、図3に示すように、上記(5)と同様の工程により得られる、PETフィルム7上に塗工された未焼結ニッケルテープ3であってその厚さが15μmのものを2枚準備し、上述した未焼結誘電体シート積層体21の作成手順と同様の手順で積層・熱圧着および切断等を行った。そして、上下のPETフィルム7を剥離することで、25mm角の未焼結ニッケルテープ積層体31を得た(図3;「積層体準備」〜「PET剥離」参照)。
(8)脱脂及び焼成
上記(6)及び(7)で得られた焼成前BT/ニッケル三層積層体4、未焼結誘電体シート積層体21、及び未焼結ニッケルテープ積層体31を、各々、大気中250℃で10時間脱脂した後、窒素、水素、水蒸気の混合気体からなる雰囲気中、1260℃にて2時間焼成を行った。これにより各積層体における未焼結誘電体シート、未焼結ニッケルテープが焼結し、コンデンサ構造体(本発明の誘電体積層構造体)としての、誘電体層(チタン酸バリウム)12及びニッケル層5からなるBT/ニッケル焼成積層体14(図1参照)と、誘電体焼成収縮比測定用サンプル22(図2参照)と、ニッケル焼成収縮比測定用サンプル32(図3参照)とを得た。
図1に示したBT/ニッケル焼成積層体14の構成からわかるように、焼成前に未焼結状態で積層されていた未焼結ニッケルテープ3は、ニッケル箔1と主構成成分が同じ(本例ではニッケル)であるため、焼成によってニッケル箔1と一体化して一つのニッケル層5を構成する。即ち、図1では、BT/ニッケル焼成積層体14におけるニッケル層5が、ニッケル箔1と第2ニッケル層13(未焼結ニッケルテープ3が焼結したもの)が一体化したものであることを明示的に示している。
なお、誘電体焼成収縮比測定用サンプル22(図2参照)と、ニッケル焼成収縮比測定用サンプル32(図3参照)の作製条件(特に熱圧着や焼成)は、反り量評価の精度向上、あるいは反りの発生を抑制させる精度を向上させるために、ニッケル箔1を用いること以外はBT/ニッケル焼成積層体14の作製条件と同一とした。
(9)焼成収縮比の測定
まず、上記(8)で得られた誘電体焼成収縮比測定用サンプル22とニッケル焼成収縮比測定用サンプル32について、それぞれ、焼成前後の寸法(平面上での寸法)を元に焼成収縮比を測定した。その結果、表1に示すように、誘電体焼成収縮比測定用サンプル22の焼成収縮比、すなわち表1の「誘電体焼成収縮比」は0.84であり、ニッケル焼成収縮比測定用サンプル32の焼成収縮比は、上記(3)でも述べたように、0.82と0.78の二種類であった。
つまり、本実施例1では、ニッケル箔1は固体金属(緻密な金属)であるが故に焼成による収縮が生じない(収縮比が1である)のに対し、このニッケル箔1の表裏各面に積層される未焼結誘電体シート2及び未焼結ニッケルテープ3は、いずれも、ニッケル箔1の焼成収縮比よりも小さい(つまり収縮の程度が大きい)。また、未焼結誘電体シート2と未焼結ニッケルテープ3とを比較すると、両者の焼成収縮比はは非常に近接した値となっており、両者の焼成収縮の程度がほぼ同等であることがわかる。
(10)反り量の測定及び反り指標Aの算出
次に、(8)で得られたBT/ニッケル焼成積層体14の反り量を、株式会社ニコン製NEXIVを用いて測定した。詳しくは、縦横5mm間隔で25点(5行×5列)のz座標を測定し、最小二乗法により決定された仮想平面に垂直な方向において、最下点から最上点までの距離を反り量と定義した。
このような定義の元で測定したBT/ニッケル焼成積層体14の反り量を、表1(最右列)に示す。表1に示すように、ニッケル箔1の表裏各面に積層される各未焼結部材(未焼結誘電体シート2及び未焼結ニッケルテープ3)の焼成後厚さの差が大きいほど、反り量も大きくなっている。
ただし、両者の焼成後厚さが共に同じ5μmの場合を比較すると、未焼結ニッケルテープとして焼成収縮比が0.78のものを使用した場合よりも0.82を使用した場合の方が反り量が小さくなっている。具体的には、前者(焼成収縮比0.78)の反り量が−0.33mmであるのに対し、後者(焼成収縮比0.82)の反り量は0.21となっている。これは、後者の方が未焼結誘電体シートの焼成収縮比(0.84)により近いからであるといえる。
ところで、表1中の「A値」は、反り量の度合いを表す数値(反り指標)であり、本実施例1では、下記式(2)で定義されるものである(焼成後厚さt0,t1,t2については図1も参照)。
この反り指標Aが1に近いほど反り量が小さくなる。特に、表1中のA値の欄に丸印を付した組み合わせは、いずれも、ニッケル箔1両面の各未焼結部材の焼成後厚さが等しいか或いはわずかな差であって反り指標Aが1又は1近傍の値となっており、実際の反り量は1mm以下となっている。より詳しくいえば、表1で丸印を付した組み合わせの反り指標Aは、0.80≦A≦1.2の範囲内にある。逆にいえば、反り指標Aが上記範囲内に入るように上記式(2)の各パラメータを決めれば、焼成による収縮を抑え、反り量が少なく品質の高い焼成積層体(コンデンサ構造体)を得ることができるということである。
但し、未焼結誘電体シート2あるいは未焼結ニッケルテープ3の厚さが厚すぎると(例えば焼成後厚さが10μm以上)、たとえ反り指標Aが上記範囲内にあっても、焼成収縮による応力が大きくなる。そのため、表1には示さないものの、焼成後厚さを10μmとした場合は平面方向の焼成収縮に対して耐えられなくなり、しわが導入されてしまった。また、未焼結部材を厚くすると共にニッケル箔1の厚さも厚く(例えば100μmに)した場合、しわは形成されなかったものの、誘電体層にクラックが発生してしまった。
そのため、ニッケル箔に積層される各層の焼成後厚さt1,t2は、上記式(2)を満たすことに加え、それぞれ、t1・β1/β0≦7[μm]、t2・β2/β0≦7[μm]をも満たすような範囲内で選ぶことが望ましい。また、ニッケル箔1の厚さt0は50μm以下とするのが望ましい。
なお、上記実施例1において、ニッケル箔1(図1参照)は本発明の主金属層に相当し、未焼結誘電体シート2は本発明の未焼結誘電体部に相当し、未焼結ニッケルテープ3は本発明の未焼結第1金属部に相当する。
また、上記実施例1において、(4)で準備したニッケル箔1を(5)で150mm角に切断してニッケル箔1(図1参照)を得る工程が本発明の主金属層形成工程に相当し、(6)で未焼結誘電体シート2,ニッケル箔1,及び未焼結ニッケルテープ3を順に接するように積層する工程が本発明の未焼結誘電体積層工程及び未焼結第1金属積層工程に相当し、(8)で焼成前BT/ニッケル三層積層体4を焼成する工程が本発明の焼成工程に相当する。
[比較例1]
次に、比較例1の製造方法を述べると共に、その反り量について評価する。
本比較例1は、ニッケル箔の一方の面上に未焼結誘電体シートを積層しただけの従来構成(即ち、ニッケル箔の他方の面には何も積層しない構成)を焼成して二層積層構造体を製造するものである。つまり、上記実施例1で詳述した製造方法において、ニッケル箔1の他方の面に積層する未焼結ニッケルテープ3に関わる工程(調製・積層・焼成)を省略することで、本比較例1の二層積層構造体を製造することができる。そのため、本比較例1の詳細な製造工程については説明を省略し、その概略だけを述べる。
すなわち、本比較例1は、まず実施例1の(1)〜(4)と同じ方法でニッケル箔及びPETフィルム上に塗工された未焼結誘電体シートを準備し、この両者を上記(5)と同様に150mm角の箔及びシートに切断した。これにより、PETフィルム6上に塗工された未焼結誘電体シート2及びニッケル箔1(図1参照)が得られた。
そして、実施例1の(6)と同様の方法で、ニッケル箔1と、PETフィルム6上に塗工された未焼結誘電体シート2とを、未焼結誘電体シート2とニッケル箔1とが向き合うように(接するように)積層して熱圧着し、その後切断・PETフィルムの剥離を行って、ニッケル箔1の片面に未焼結誘電体シート2が積層された焼成前二層積層体(図1に示した焼成前BT/ニッケル三層積層体4から未焼結ニッケルテープ3を取り除いた状態)を得た。なお、本比較例1における未焼結誘電体シート2は、焼成後厚さが2,5[μm]の二種類の厚さとなるように形成した。
このようにして得られた焼成前二層積層体に対し、実施例1の(8)と同様にして脱脂及び焼成を行うことにより、ニッケル箔1及び誘電体層12からなる二層積層構造体(図1に示したBT/ニッケル焼成積層体14から第2ニッケル層13を取り除いた状態)を得た。
上記方法で製造した本比較例1の二層積層構造体について、実施例1の(10)と同様の方法で反り量を測定すると共に、反り指標Aを算出した。その結果は、表1において「比較例1」として示した通りである。
表1に示す如く、ニッケル箔1上に未焼結誘電体シート2を積層して焼成した本比較例1では、反り量が「測定不可」とあるように、いずれも反りが大きすぎて端部が90°以上曲がった状態(カールしたような状態)となった。
これとは対照的に、本発明が適用された上記実施例1では、既述の通り、ニッケル箔1に対して未焼結誘電体シート2の積層面とは反対側の面にも未焼結ニッケルテープ3を積層し、ニッケル箔1の両面に未焼結部材が積層された状態で焼成することにより、結果として得られるBT/ニッケル焼成積層体14の反り量は大幅に低減されている。
このように、実施例1と比較例1とを比較することで、ニッケル箔1の片面に未焼結誘電体シート2を積層するだけでなく、更に他方の面にも未焼成状態の金属を積層することで、反り量が大幅に低減されるという結果が得られた。
[比較例2]
次に、比較例2の製造方法を図4及び図5に基づいて説明すると共に、その反り量について評価する。
(1)未焼結誘電体シート及びニッケル箔の準備
本比較例2は、既述の特許文献1に記載された技術に倣って焼成積層体を製造するものであり、上記実施例1における工程(1),(2),(5)と同様の方法を用いて未焼結誘電体シート45をPETフィルム44上に形成すると共に(図5;「BTシート準備」参照)、上記実施例1の工程(4),(5)と同様の方法を用いて厚さ30μm、純度99.5%のニッケル箔41を準備した(図4)。いずれも、150mm角の寸法形状である。
(2)未焼結ニッケルテープ用原料スラリーの調製
上記実施例1における工程(3)と同じように、平均粒径0.7μmのニッケル粉(導電性金属粉)、エタノールとトルエンとの混合溶剤(揮発性溶剤)、分散剤、可塑剤、有機バインダとを、樹脂製ポットとジルコニアボールとで混合することにより、未焼結ニッケルテープ用原料スラリーを得た。このときの各成分の配合比率は、前記スラリーの粘度が約0.5Pa・sとなるように決定した。
(3)未焼結ニッケルテープの形成
上記実施例1における工程(3)と同じように、幅220mmかつ厚さ50μmのPETフィルム42を用意し、その上に、ドクターブレード法などの汎用の方法により、前記スラリーを幅180mm、厚さは所望となるように塗工することで、未焼結ニッケルテープ43を得た(図4)。これも、150mm角の寸法形状である。これにより、本比較例2の積層体を製造する準備が整った。
(4)ニッケル箔、未焼結ニッケルテープ、未焼結誘電体シートからなる積層体の作製
150mm角の圧着用金型を準備し、図4に示すように、ニッケル箔41と、PETフィルム42上に塗工された未焼結ニッケルテープ43を、未焼結ニッケルテープ43とニッケル箔41とが向き合うように(接するように)積層して上記金型の中に入れた。そして、周知の圧着装置を用いて、80℃、200kgf/cm2の条件にて仮積層・熱圧着を行った(図4;「仮積層」参照)。そして、金型から取り出した仮積層体を略室温まで冷却した後、不要になったPETフィルム42を剥離して、ニッケル仮積層体51を得た(図4;「PET剥離」参照)。
次いで、図5に示すように、上記のニッケル仮積層体51と、PETフィルム44上に塗工された未焼結誘電体シート45を、未焼結ニッケルテープ43と未焼結誘電体シート45とが向き合うように(接するように)積層して上記金型の中に入れ、100℃、750kgf/cm2の条件にて熱圧着を行い、ニッケル/BT仮積層体52を得た(図5;「積層・熱圧着」参照)。
(5)脱脂及び焼成
上記(4)で得られたニッケル/BT仮積層体52を、NC切断機などの汎用の切断機にて、PETフィルム44と共に切断し、そのPETフィルム44を剥離することにより、25mm角の焼成前積層体を作製した(図5;「PET剥離」参照)。
そして、この焼成前積層体を大気中250℃で10時間脱脂した後、窒素、水素、水蒸気の混合気体からなる雰囲気中、1260℃にて2時間焼成を行うことにより、比較用焼成積層体53を得た(図5;「焼成」参照)。
(6)反り量の測定及び反り指標Aの算出
次に、上記(5)で得られた比較用焼成積層体53の反り量を、株式会社ニコン製NEXIVを用いて、上記実施例1の工程(10)と同様に測定した。また、上述した数式(2)を用いて反り指標Aも算出した。このようにして得られた比較用焼成積層体53の反り量及び反り指標Aを表1の最下行に示す。
表1からも明らかなように、ニッケル箔41の片面のみに未焼成シート(未焼結ニッケルテープ43及び未焼結誘電体シート45)を積層して焼成した本比較例2は、既述の比較例1と同様、測定不可となるほどの大きな反りが生じた。このことからも、本発明が適用された上記実施例1における反り抑制効果の大きさは明らかとなった。
[実施例2]
次に、本発明が適用されたコンデンサ内蔵基板の製造方法について説明する。なお、本実施例2では、コンデンサを作製する一方で基板の作製も行い、基板作製過程でコンデンサを基板に埋め込むこととなる。そこで、コンデンサの製造工程及びそれを基板に内蔵する工程以外は、周知の基板製造プロセス(ビルドアップによる配線基板製造プロセス)と同様であるため、詳細説明を省略する。
(1)ニッケル箔、未焼結ニッケルテープ、及び未焼結誘電体シートの準備
上記実施例1と同様の方法を用いて、焼成後厚さが3μmとなるようにPETフィルム64上に塗工された未焼結誘電体シート62、PETフィルム65上に塗工され、焼成後厚さが3μmとなるようにされた未焼結ニッケルテープ63、PETフィルム66上に塗工され、焼成後厚さが6μmとなるようにされた未焼結ニッケルテープ67、及び、厚さ30μmのニッケル箔61を準備した(図6;「積層体準備」参照)。
なお、これらは後述する図7(「PET剥離」参照)に示すように、焼成後厚さが6μmとなるような未焼結ニッケルテープ67、厚さ30μmのニッケル箔61、焼成後厚さが3μmとなるような未焼結誘電体シート72(62)、焼成後厚さが3μmとなるような未焼結ニッケルテープ63の順に並ぶ積層体となる。そして、これらの厚さは、焼成後の反りがほとんど生じないように選択されたものである。
本実施例2の積層体に対する反り指標Aを定義する場合、上記実施例1の数式(2)において、t1は未焼結ニッケルテープ67の焼成後厚さに相当し、β1はその未焼結ニッケルテープ67の焼成収縮比に相当する。また、β2は、未焼結誘電体シート62とこれに積層される未焼結ニッケルテープ63の単独での焼成収縮比をそれぞれβd、βmとしたとき、次式(3)で与えられるものとする。
β2=3/(3+3)×βm+3/(3+3)×βd ・・・ (3)
なお、β1(未焼結ニッケルテープ67の焼成収縮比)としては、未焼結ニッケルテープ67を所定の厚さにシート化したものを、後述する工程(5)での条件と同一の条件により脱脂・焼成することにより求められる値を用いる。
(2)ニッケル箔、未焼結誘電体シート及び未焼結ニッケルテープの切断とガイド穴の形成
ガイド穴を同時に形成できる打ち抜き金型を用いて、上記工程(1)で準備されたニッケル箔61、PETフィルム64上に塗工された未焼結誘電体シート62、PETフィルム65上に塗工された未焼結ニッケルテープ63(焼成後厚さ3μm)、及びPETフィルム66上に塗工された未焼結ニッケルテープ67(焼成後厚さ6μm)をそれぞれ切断し、150mm角の箔、シート、及び、テープを得た。
(3)未焼結誘電体シート及び未焼結ニッケルテープへの貫通孔の形成
上記工程(2)により得られた、焼成後厚さが3μmとなるようにPETフィルム64上に塗工された未焼結誘電体シート62の所定の位置を、CO2レーザーにより、PETフィルム64ごと貫通させて貫通孔91,92を形成した。この貫通孔91,92は、後に一方の金属層から電極を引き出すためのビアホールとなるものである。これにより、貫通孔91,92が形成されたPETフィルム74と、同じく貫通孔91,92が形成された未焼結誘電体シート72とからなる積層体が形成された(図6;「貫通孔の形成」参照)。
同様に、焼成後厚さが3μmとなるようにPETフィルム65上に塗工された未焼結ニッケルテープ63の所定の位置にも、図示は省略するものの、貫通孔を形成した。この貫通孔は、後述する工程(7)において、基板に対する位置合わせのためのアライメントマークとなるものである。従って、未焼結誘電体シート62(72)に形成された貫通孔91,92の位置とは異なる。なお、未焼結誘電体シート62(72)へ形成する貫通孔は、実際には二つの貫通孔91,92だけでなく複数形成されるが、本実施例2では説明の簡略化のため二つだけ図示している。
(4)コンデンサ用未焼結積層体の作製
ガイドピンで位置合わせできる汎用の仮積層機を用いて、まず、焼成後厚さが6μmとなるようにPETフィルム66上に塗工された未焼結ニッケルテープ67とニッケル箔61とを、両者が向かい合うようにして、80℃、200kgf/cm2の条件にて仮積層した。次に、その仮積層した積層体の上に、上記工程(3)により得られた、貫通孔91,92の形成された焼成後厚さ3μmの未焼結誘電体シート72を、ニッケル箔61と未焼結誘電体シート72とが向かい合うようにして、80℃、200kgf/cm2の条件にて仮積層した(図6;「仮積層」参照)。
なお、未焼結誘電体シート72のビアホールとなるべく貫通孔91,92の形成は、本工程(4)の後に行うこともできる。即ち、ニッケル箔61はCO2レーザーを反射するため、本工程(4)で得られた積層体であっても、CO2レーザーを用いて未焼結誘電体シート72にのみ貫通孔91,92を形成することができるのである。
そして、未焼結誘電体シート72が塗工されていたPETフィルム74をその未焼結誘電体シート72から剥離した後(図6;「PET剥離」参照)、図7に示すように、焼成後厚さが3μmとなるようにPETフィルム65上に塗工された未焼結ニッケルテープ63を、その未焼結ニッケルテープ63と未焼結誘電体シート72とが向かい合うようにして仮積層した。このようにして得られた仮積層体を、150mm角の圧着用金型に入れ、100℃、750kgf/cm2の条件にて熱圧着した(図7;「仮積層・熱圧着」参照)。
そして、得られた積層体を、NC切断機などの汎用の切断機にて、PETフィルム65,66と共に切断し、その後、これら二つのPETフィルム65,66を共に剥離することにより、15mm角の積層体を作製した(図7;「PET剥離」参照)。
これにより、ニッケル箔61の一方の面には未焼結誘電体シート72及び未焼結ニッケルテープ63(いずれも焼成後厚さが3μm)が順に積層され、他方の面には未焼結ニッケルテープ67(焼成後厚さが6μm)が積層された状態となる。すなわち、本実施例2でも、ニッケル箔61の表裏両面に未焼結部材が積層されるのである。
なお、本実施例2では、未焼結ニッケルテープ63にて形成される層はパターンを有さないため、工程的に容易となるテープ状の未焼結テープを用いているが、この層をパターン形成する必要がある場合は、未焼結ニッケルテープ63に代えて、例えばニッケルペーストを用いたスクリーン印刷などによって未焼結ニッケルを塗布するのが好ましい。
また、本実施例2では、ニッケル箔61の一方の面に積層する未焼結誘電体として、シート状の未焼結誘電体シート72を積層するようにしたが、これはあくまでも一例であって、誘電体ペーストの印刷を行うようにしてもよい。
(5)脱脂及び焼成
このようにして得られた積層体を、大気中250℃で10時間脱脂した後、窒素、水素、水蒸気の混合気体からなる雰囲気中、1260℃にて2時間焼成を行うことにより、コンデンサ用焼成積層体88を得た(図7;「焼成」参照)。これが、後に基板内に内蔵される(埋め込まれる)コンデンサとなるのである。
即ち、焼成後、ニッケル層85、焼成後厚さ3μmの誘電体層82、焼成後厚さ3μmの第2ニッケル層83は、それぞれ、コンデンサを構成する一方の電極(例えば上部電極)、誘電体層、他方の電極(例えば下部電極)となる。
なお、ニッケル層85は、詳細には、焼成前にニッケル箔61と未焼結ニッケルテープ67とが積層されていたものが、焼成により未焼結ニッケルテープ67が焼結して第1ニッケル層84となることにより、この第1ニッケル層84がニッケル箔61と一体化して一つのニッケル層85を形成するようになったものである。
(6)コア基板の準備
次に、図8に示すようにコア基板100を準備した。コンデンサへの配線とは直接関連しないため図示は省略するが、コア基板100には、周知のオーガニック基板製造プロセスにて形成されたスルーホール導体と、表面には所望の銅配線パターンとを備えている。このコア基板100上に、表面配線パターンを形成する銅の粗化を行った後、厚さ50μmの樹脂絶縁層102となるドライフィルムを積層した(図8;「コア基材準備」参照)。
(7)コンデンサ用焼成積層体の積層
上記樹脂絶縁層102上に、加熱機構付きのマウンターなどを用い、厚さ3μmのニッケル層83が接着されるように、上記工程(5)で形成されたコンデンサ用焼成積層体88を所定の位置に積層し、その後、仮キュアを行った(図8;「コンデンサ積層」参照)。
(8)コンデンサ用焼成積層体上部電極のパターニング
通常のフォトリソグラフィ工程によりニッケル層85のパターニングを行い、エッチング処理(ニッケル層85における該当領域を溶解)することで、上部電極(ニッケル層)95と下部電極(ニッケル層)83とが絶縁されたコンデンサ110を得た(図8;「パターニング」参照)。エッチング剤としては、塩化鉄水溶液を用いた。
なお、このパターニング工程において、上部電極95と下部電極83とは、積層体端部側面において短絡する可能性があるため、上部電極95の外周部を、端部97から100μm程度、同時に除去(エッチング等)した。また、ニッケル層85のうち、エッチング後も下部電極83と導通している下部導通電極96は、電気的には下部電極83の一部として機能する。
この後、図示は省略するものの、樹脂絶縁層102上にビアホールを形成した後、この樹脂絶縁層102の粗化を行い、本キュアを行った後、銅メッキによりビア電極を含む配線パターンを形成した。
(9)コンデンサへの導通ビア電極の形成
上記樹脂絶縁層102の表面配線パターンを形成する銅の粗化を行った後、この樹脂絶縁層102上に、厚さ50μmの樹脂絶縁層(ドライフィルム)104を積層(ラミネート)した(図9;「樹脂ラミネート」参照)。
その後、周知のプロセスにて、所定箇所にビアホールを形成した後、樹脂層の粗化を行い、本キュアを行った。そして、銅メッキによりビア電極106を含む配線パターン105を形成した(図9;「メッキビア形成」参照)。
(10)後工程
その後は、周知のプロセスにて、必要に応じた層数だけ順次ビルドアップしていくことにより、コンデンサ110が内蔵されたコンデンサ内蔵基板を完成させた。
(11)コンデンサ内蔵基板の構成例
上述した本実施例2の工程により製造されるコンデンサ内蔵基板のより具体的な構成例を、図10に示す。図10に示すコンデンサ内蔵基板120は、ガラスエポキシ等からなるコア基材121の片面側にビルドアップ層122を形成し、他方の面側にビルドアップ層123を形成してなるものである。一方のビルドアップ層122は、同じくエポキシ樹脂等からなる5層の樹脂絶縁層126,127,128,129,130を備えており、他方のビルドアップ層123は、同じくエポキシ樹脂等からなる2層の樹脂絶縁層131,132を備えている。
一方のビルドアップ層122における各樹脂絶縁層126,127,128,129,130の界面には、銅からなる導体層135,136,137,138,139が形成されており、他方のビルドアップ層123における各樹脂絶縁層131,132の界面にも、銅からなる導体層140,141が形成されている。コア基材121には、表裏の導体層135,140間を導通させるための、内部に樹脂が充填されたスルーホール導体145,146,147,148,149,150が形成されている。
なお、最上層の絶縁樹脂層126はソルダレジストである。また、裏面のビルドアップ層123における最外層部に形成される導体層141は、電子部品等のハンダ付け用ランドとして、或いは、図示しない他の基板に搭載するためのピン付け用パッドとして用いられる。
また、最上層の絶縁樹脂層126には、この樹脂絶縁層126とその下の樹脂絶縁層127との間に形成される導体層139と電気的に接続されたハンダバンプ162、163,164,165,166,167が複数設けられている。このハンダバンプは、当該コンデンサ内蔵基板120に搭載される半導体チップとの電気的接続端子としての役目を果たす。さらに、各樹脂絶縁層には、層間を電気的に接続するビア導体153,154,155,156,157,158,159,160,161等が形成されている。
そして、図10のコンデンサ内蔵基板120では、ビルドアップ層122における第一層(樹脂絶縁層130)と第二層(樹脂絶縁層129)との間には、上述した工程(1)〜(10)と同様の工程にて内蔵されたコンデンサ168が配置されている。
本実施例では、具体的には、下部電極175と、上部電極173、174とが、相互に電気的に絶縁され、双方の間に誘電体層171が介在することにより、コンデンサとして機能するように構成されている。なお、図10のコンデンサ内蔵基板120においては、上部電極173,174側から樹脂絶縁層130にコンデンサ168を埋め込むことも可能である。
なお、本実施例2において、ニッケル箔61(図6参照)は本発明の主金属層に相当し、未焼結誘電体シート72は本発明の未焼結誘電体部に相当し、焼成後厚さ6μmの未焼結ニッケルテープ67は本発明の未焼結第1金属部に相当し、焼成後厚さ3μmの未焼結ニッケルテープ63は本発明(請求項7)における未焼結第2金属部に相当する。また、図7に示すコンデンサ用焼成積層体88における第2ニッケル層83は、本発明の第2金属層に相当する。
また、本実施例2において、(1)で準備したニッケル箔を(2)で150mm角に切断してニッケル箔61を得る工程が本発明の金属層形成工程に相当し、(4)でニッケル箔61上に未焼結誘電体シート72を積層する工程が本発明の未焼結誘電体積層工程に相当し、同じく(4)で未焼結ニッケルテープ63を未焼結誘電体シート72に積層する工程が本発明の未焼結第2金属積層工程に相当し、同じく(4)でニッケル箔61の他方の面に未焼結ニッケルテープ(焼成後厚さ6μm)67を形成する工程が本発明の未焼結第1金属積層工程に相当する。
以上述べた本実施形態によれば、ニッケル箔に未焼結誘電体シートを積層して焼成するにあたり、ニッケル箔のうち未焼結誘電体シートが積層されない面にも、未焼結部材として未焼結金属(上記実施形態では未焼結ニッケルテープ)を積層し、この積層体を一体的に焼成している。そのため、焼成工程において、未焼結誘電体シートが焼成収縮すると共に、未焼結ニッケルテープも焼成収縮するため、両者の焼成収縮による応力が相互にうち消され、結果としてニッケル箔の変形(反り)が抑制され、延いてはコンデンサ構造体全体の反りが抑制されて、製造品質を向上させることが可能となる。
また、上記式(2)で表される反り指標Aが所定の範囲(例えば0.80≦A≦1.2)に入るように各焼成後厚さt1,t2を定めることで、反り量をより抑えることが可能となる。特に、本実施形態では、未焼結誘電体シートの焼成収縮比よりも未焼結ニッケルテープの焼成収縮比の方が若干ではあるが小さい(つまり収縮の程度が若干大きい)ため、両者を同じ厚さにするとわずかながら誘電体側に凸となるような反りが発生した。そのため、両者の厚さを調整してこの焼成収縮比の差分をキャンセルすることで、反りを完全になくすことが可能である。
さらに、本実施形態では、主金属層として、焼成収縮しない緻密な金属であるニッケル箔を用いたため、平面寸法精度の高い誘電体積層構造体(実施例2ではコンデンサ用焼成積層体88)を製造でき、延いては、この誘電体積層構造体を利用した平面寸法精度の高い電子部品(実施例2ではコンデンサ110)を製造することが可能となる。
また、主金属層であるニッケル箔に直接積層する未焼結金属として、このニッケル箔と主構成金属成分が同じである未焼結ニッケルテープを用いたため、焼成によって両者は一体化され一つの金属層となる。そのため、この一体化された金属層をパターニング(エッチング)する際は、主金属層のみの場合と同じ工程でエッチングすることができ、パターニング工程を簡素化することが可能となる。
[変形例]
上記各実施例では、主金属層たるニッケル箔の表裏両面のうち一方の面には未焼結誘電体シートを積層し、他方の面には、ニッケル箔と同じ金属である未焼結ニッケルテープを積層するようにしたが、この他方の面に積層する未焼結金属は必ずしも主金属層(ここではニッケル)と同じ金属とする必要はなく、異なる金属を主構成成分としたものであってもよい。
例えば、上記実施例2では、図7(「PET剥離」参照)に示した積層体のようにニッケル箔61の他方の面に未焼結ニッケルテープ67を積層したが、この未焼結ニッケルテープ67に代えて、図11に示すように、未焼結白金(Pt)201をスクリーン印刷等によりパターン化された状態で塗布するようにしてもよい。この未焼結白金201が塗布されて形成された未焼結積層体210を焼成することにより、未焼結白金201が焼結して白金層211となったコンデンサ用焼成積層体220が得られる。
そして、その焼成時には、ニッケル箔61の表裏両面に積層された未焼結部材がいずれも焼成収縮するため、双方の焼成収縮による応力がキャンセルされてコンデンサ用焼成積層体220にはほとんど反りが生じない。
このようにして形成されたコンデンサ用焼成積層体220を、コンデンサ用内蔵基板に内蔵するコンデンサとして用いる際は、図12に示すように、樹脂絶縁層102がラミネートされたコア基板100に対し、樹脂絶縁層102における所定の位置にこのコンデンサ用焼成積層体220を積層することとなる。
そして、上記実施例2において焼成後のニッケル層85をパターニング(図8参照)したのと同じようにコンデンサ用焼成積層体220におけるニッケル箔61をパターニングするわけだが、ここでは、ニッケル箔61上に積層されている白金層211がエッチング用マスクとして機能する。即ち、白金はニッケル箔61をエッチングする際に用いるエッチング剤に対して耐エッチング性を有するものであるため、コンデンサ用焼成積層体220をそのままその上面(白金層211側)からエッチングすれば、白金層211は溶解せずにニッケル箔61における白金の積層されていない領域が溶解し、図12に示すようなパターン化されたニッケル層231を有するコンデンサ230が得られるのである。
なお、ニッケル箔61の他方の面に積層する未焼結金属として上述した白金を用いるのはあくまでも一例であって、その他の未焼結金属をパターン化された状態で積層してもよい。但し、ニッケル箔61をエッチングする際のエッチング剤に対して耐エッチング性のない金属を積層する場合は、エッチングする際に、別途マスキング工程が必要となる。
また、未焼結白金をパターン化された状態で印刷するようにしたのもあくまでも一例であって、必ずしもパターン化された状態で印刷(積層)する必要はない。但しその場合、ニッケル箔61をエッチングする際にはまず白金層をエッチングし、その後にニッケル箔61をエッチングする必要があり、エッチング工程が複雑化する。そのため、エッチング工程の簡素化のためには、予めパターン化された状態で未焼結白金を積層するのが好ましい。
BT/ニッケル焼成積層体の製造工程を示す説明図である。 誘電体焼成収縮比測定用サンプルの製造工程を示す説明図である。 ニッケル焼成収縮比測定用サンプルの製造工程を示す説明図である。 比較用焼成積層体の製造工程(前半)を示す説明図である。 比較用焼成積層体の製造工程(後半)を示す説明図である。 コンデンサ用焼成積層体の製造工程(前半)を示す説明図である。 コンデンサ用焼成積層体の製造工程(後半)を示す説明図である。 コンデンサ内蔵基板の製造工程(前半)を示す説明図である。 コンデンサ内蔵基板の製造工程(後半)を示す説明図である。 コンデンサ内蔵基板全体の一例を示す断面図である。 コンデンサ用焼成積層体の製造工程の変形例を示す説明図である。 コンデンサ内蔵基板の製造工程の変形例を示す説明図である。
符号の説明
1,61…ニッケル箔、2,62,72…未焼結誘電体シート、3,63,67…未焼結ニッケルテープ、4…焼成前BT/ニッケル三層積層体、5、85、231…ニッケル層、6,7,64,65,66,74…PETフィルム、12,82…誘電体層、13,83…第2ニッケル層、14…BT/ニッケル焼成積層体、84…第1ニッケル層、88,220…コンデンサ用焼成積層体、91,92…貫通孔、95…上部電極、96…下部導通電極、97…端部、100,121…コア基板、102,126〜131…樹脂絶縁層、110,230…コンデンサ、120…コンデンサ内蔵基板、122,123…ビルドアップ層、135〜141…導体層、168…コンデンサ、171…誘電体層、173…上部電極、175…下部電極、201…未焼結白金、210…未焼結積層体、211…白金層

Claims (7)

  1. 主金属層と、該主金属層に積層される誘電体層とを備えた誘電体積層構造体の製造方法であって、
    前記主金属層を形成する主金属層形成工程と、
    前記誘電体層となるべき未焼結部材であって焼成時の収縮の程度が前記主金属層よりも大きい未焼結誘電体部を、前記主金属層の一方の面に積層する未焼結誘電体積層工程と、
    未焼結状態の金属であって焼成時の収縮の程度が前記主金属層よりも大きい未焼結第1金属部を、前記主金属層の他方の面に積層する未焼結第1金属積層工程と、
    前記各積層工程によって互いに積層された未焼結誘電体部、主金属層、及び未焼結第1金属部を一体に焼成して、前記未焼結誘電体部及び前記未焼結第1金属部を焼結させる焼成工程と
    を有することを特徴とする誘電体積層構造体の製造方法。
  2. 主金属層と、該主金属層に積層される誘電体層とを備えた誘電体積層構造体の製造方法であって、
    前記主金属層を形成する主金属層形成工程と、
    前記誘電体層となるべき未焼結部材であって焼成時の収縮の程度が前記主金属層よりも小さい未焼結誘電体部を、前記主金属層の一方の面に積層する未焼結誘電体積層工程と、
    未焼結状態の金属であって焼成時の収縮の程度が前記主金属層よりも小さい未焼結第1金属部を、前記主金属層の他方の面に積層する未焼結第1金属積層工程と、
    前記各積層工程によって互いに積層された未焼結誘電体部、主金属層、及び未焼結第1金属部を一体に焼成して、前記未焼結誘電体部及び前記未焼結第1金属部を焼結させる焼成工程と
    を有することを特徴とする誘電体積層構造体の製造方法。
  3. 請求項1記載の誘電体積層構造体の製造方法であって、
    前記主金属層は、前記焼成工程において実質的に収縮しない金属であることを特徴とする誘電体積層構造体の製造方法。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の誘電体積層構造体の製造方法であって、
    前記焼成工程の後、前記主金属層を、該主金属層において前記未焼結第1金属部が前記焼成されてなる第1金属層が積層されている面側からエッチングするエッチング工程を有し、
    前記第1金属層は、前記エッチング工程時に用いるエッチング剤に対して耐エッチング性を有するものである
    ことを特徴とする誘電体積層構造体の製造方法。
  5. 請求項1〜3いずれかに記載の誘電体積層構造体の製造方法であって、
    前記主金属層と、前記未焼結第1金属部が前記焼成されてなる第1金属層とは、共に同じ金属を主構成成分としていることを特徴とする誘電体積層構造体の製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれかに記載の誘電体積層構造体の製造方法であって、
    前記未焼結第1金属部の前記焼成後の厚さをt1、前記未焼結誘電体部の前記焼成後の厚さをt2としたとき、前記t1及び前記t2は、次式(1)で表される指標Aが、0.8≦A≦1.2の範囲内となるような値である
    ことを特徴とする誘電体積層構造体の製造方法。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の誘電体積層構造体の製造方法であって、
    前記焼成工程の前に、未焼結状態の金属である未焼結第2金属部を前記未焼結誘電体部上へ積層する未焼結第2金属積層工程を有し、
    前記誘電体積層構造体は、前記主金属層を一方の電極、前記未焼結第2金属部が前記焼成工程にて焼結することにより形成される第2金属層を他方の電極とし、該各電極間に前記誘電体層が挟まれてなるコンデンサである
    ことを特徴とする誘電体積層構造体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110136959A (zh) * 2018-02-08 2019-08-16 三星电机株式会社 电容器组件及制造该电容器组件的方法

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