JP2006210027A - 燃料電池とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)第1の拡散層部分(外周部)13a、の密度は第2の拡散層部分(内周部)13b、の密度以上である燃料電池。(2)第1の拡散層部分が第2の拡散層部分より高い面圧で圧縮される。(3)第1の拡散層部分の厚みが第2の拡散層部分の厚みより大である。(4)第1のセパレータ部分18aは第2のセパレータ部分18bよりも拡散層側に突出している。(5)膜−電極アッセンブリの厚みに応じて異なる条件にて拡散層13、16をMEA12に圧着する燃料電池の製造方法。(6)条件が圧力である。(7)条件が温度である。(8)条件が時間である。(9)条件が拡散層の材料または撥水剤の量である。
【選択図】図5
Description
一般に電極(触媒層)の平面形状は、電解質膜より一回り小さくされている(たとえば、特開2004−119065号公報)。この種のMEAでは、MEAはその端縁に沿った部位で膜のみの厚みとなって、それより内側の、膜とその両面に触媒層がある部分に比べて、厚みが薄い。このMEAに従来の手法で拡散層を圧着すると、図10に示すように、触媒層12(15)の端縁に電解質膜11と拡散層13(16)の間に空間1ができ、その近傍の拡散層の密度が局所的に薄くなる。
(1) 膜−電極アッセンブリに拡散層を接合した膜−電極−拡散層アッセンブリと、該膜−電極−拡散層アッセンブリを挟む一対のセパレータとを備えた燃料電池であって、膜−電極アッセンブリは互いに厚みが異なる第1の部分と第2の部分を有し第1の部分の厚みは第2の部分の厚みより小であり、拡散層は膜−電極アッセンブリの第1の部分に接合される第1の拡散層部分と膜−電極アッセンブリの第2の部分に接合される第2の拡散層部分とを有し第1の拡散層部分の密度は第2の拡散層部分の密度以上である燃料電池。
(2) 膜−電極アッセンブリの第1の部分は膜のみからなる部分であり、膜−電極アッセンブリの第2の部分は膜と電極触媒層を含む部分である(1)記載の燃料電池。
(3) 拡散層が膜−電極アッセンブリにホットプレスされる際に、第1の拡散層部分が第2の拡散層部分より高い面圧で圧縮され圧縮率が上げられている(1)記載の燃料電池。
(4) 膜−電極−拡散層アッセンブリが一対のセパレータで挟まれる前の、第1の拡散層部分の密度と第2の拡散層部分の密度が同じ状態では、第1の拡散層部分の厚みが第2の拡散層部分の厚みより大である(1)記載の燃料電池。
(5) セパレータは膜−電極アッセンブリの第1の部分に対応する第1のセパレータ部分と膜−電極アッセンブリの第2の部分に対応する第2のセパレータ部分とを有し第1のセパレータ部分は第2のセパレータ部分よりも拡散層側に突出している(1)記載の燃料電池。
(6) 膜−電極アッセンブリは互いに厚みが異なる第1の部分と第2の部分を有し第1の部分の厚みは第2の部分の厚みより小である膜−電極アッセンブリに、膜−電極アッセンブリの第1の部分に接合される第1の拡散層部分と膜−電極アッセンブリの第2の部分に接合される第2の拡散層部分とを有する拡散層を接合して膜−電極−拡散層アッセンブリを形成する工程を有する燃料電池の製造方法であって、膜−電極アッセンブリの厚みに応じて異なる条件にて拡散層を膜−電極アッセンブリに圧着する燃料電池の製造方法。
(7) 膜−電極アッセンブリの第1の部分は膜のみからなる部分であり、膜−電極アッセンブリの第2の部分は膜と電極触媒層を含む部分である(6)記載の燃料電池の製造方法。
(8) 前記条件は圧力であり、第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より高い圧力にて膜−電極アッセンブリに圧着する(6)記載の燃料電池の製造方法。
(9) 前記条件は温度であり、第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より高い温度にて膜−電極アッセンブリに圧着する(6)記載の燃料電池の製造方法。
(10) 前記条件は時間であり、第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より長時間膜−電極アッセンブリに圧着する(6)記載の燃料電池の製造方法。
(11) 前記長時間が再プレスの時間を含む(10)記載の燃料電池の製造方法。
(12) 前記条件は拡散層の材料および撥水剤の何れか少なくとも一方の量であり、第1の拡散層部分の材料および撥水剤の何れか少なくとも一方の量を第2の拡散層部分の材料および撥水剤の何れか少なくとも一方の量より増やして拡散層を膜−電極アッセンブリに圧着する(6)記載の燃料電池の製造方法。
(13) 膜−電極−拡散層アッセンブリを形成する工程と、膜−電極アッセンブリの第1の部分に対応する第1のセパレータ部分と膜−電極アッセンブリの第2の部分に対応する第2のセパレータ部分とを有する一対のセパレータにて膜−電極−拡散層アッセンブリを挟んでセルを形成する工程と、を有する燃料電池の製造方法であって、セパレータの第1のセパレータ部分を第2のセパレータ部分よりも拡散層側に突出させておくことにより、一対のセパレータで膜−電極−拡散層アッセンブリを挟んだ時に第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より強く圧縮して第1の拡散層部分の密度を第2の拡散層部分の密度以上にする(6)記載の燃料電池の製造方法。
(14) 膜−電極−拡散層アッセンブリを形成する工程と、一対のセパレータにて膜−電極−拡散層アッセンブリを挟んでセルを形成する工程と、を有する燃料電池の製造方法であって、一対のセパレータで膜−電極−拡散層アッセンブリを挟む前は第1の拡散層部分の厚みを第2の拡散層部分の厚みより大にしておくことにより、一対のセパレータで膜−電極−拡散層アッセンブリを挟んだ時に第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より強く圧縮して第1の拡散層部分の密度を第2の拡散層部分の密度以上にする(6)記載の燃料電池の製造方法。
上記(3)の燃料電池によれば、拡散層が膜−電極アッセンブリにホットプレスされる際に、第1の拡散層部分が第2の拡散層部分より高い面圧で圧縮され圧縮率が上げられているので、触媒層端縁の空間が小さくなるとともに第1の拡散層部分の密度が高くなり、触媒層端縁の空間および触媒層端縁の第1の拡散層部分に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜の耐久性が向上する。
上記(4)の燃料電池によれば、膜−電極−拡散層アッセンブリが一対のセパレータで挟まれる前の、第1の拡散層部分の密度と第2の拡散層部分の密度が同じ状態では、第1の拡散層部分の厚みが第2の拡散層部分の厚みより大であるので、一対のセパレータで挟まれた際に、第1の拡散層部分の厚みが圧縮される。その結果、触媒層端縁の空間が小さくなるとともに第1の拡散層部分の密度が高くなり、触媒層端縁の空間および触媒層端縁の第1の拡散層部分に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜の耐久性が向上する。
上記(5)の燃料電池によれば、第1のセパレータ部分は第2のセパレータ部分よりも拡散層側に突出しているので、一対のセパレータで挟まれた際に、第1の拡散層部分の厚みが圧縮される。その結果、触媒層端縁の空間が小さくなるとともに第1の拡散層部分の密度が高くなり、触媒層端縁の空間および触媒層端縁の第1の拡散層部分に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜の耐久性が向上する。
上記(8)の燃料電池の製造方法によれば、第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より高い圧力にて膜−電極アッセンブリに圧着するので、触媒層端縁の空間を小さくするか、または、第1の拡散層部分の密度を高くすることができる。その結果、触媒層端縁の第1の拡散層部分に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜の耐久性が向上する。
上記(9)の燃料電池の製造方法によれば、第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より高い温度にて膜−電極アッセンブリに圧着するので、第1の拡散層部分をそのほとんど全域で膜に密着させるとともに溶着でき、触媒層端縁の空間を小さくすることができる。その結果、触媒層端縁の空間に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜の耐久性が向上する。第2の拡散層部分を高温で圧着しないため、膜の変質と発電性能低下は発生しない。
上記(10)の燃料電池の製造方法によれば、第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より長時間膜−電極アッセンブリに圧着するので、第1の拡散層部分をそのほとんど全域で膜に密着させるとともに溶着でき、触媒層端縁の空間を小さくすることができる。その結果、触媒層端縁の空間に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜の耐久性が向上する。
上記(11)の燃料電池の製造方法によれば、長時間が再プレスの時間を含み、第1の拡散層部分を条件を変えて再プレスすることにより、第1の拡散層部分をそのほとんど全域で膜に密着させるとともに溶着でき、触媒層端縁の空間を小さくすることができる。その結果、触媒層端縁の空間に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜の耐久性が向上する。発電領域に対応する第2の拡散層部分は長時間プレスせずガス拡散性、電極へのガス供給性を良好なままとする。
上記(12)の燃料電池の製造方法によれば、第1の拡散層部分の材料および撥水剤の何れか少なくとも一方の量を第2の拡散層部分の材料および撥水剤の何れか少なくとも一方の量より増やして拡散層を膜−電極アッセンブリに圧着するので、第1の拡散層部分の密度を第2の拡散層部分の密度に比べて高くすることができる。その結果、触媒層端縁の第1の拡散層部分に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜の耐久性が向上する。
上記(13)の燃料電池の製造方法によれば、セパレータの第1のセパレータ部分を第2のセパレータ部分よりも拡散層側に突出させておくので、一対のセパレータで膜−電極−拡散層アッセンブリを挟んだ時に第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より強く圧縮して第1の拡散層部分の密度を第2の拡散層部分の密度以上にするとともに、触媒層端縁の空間を縮小することができる。その結果、触媒層端縁の第1の拡散層部分および空間に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜の耐久性が向上する。
上記(14)の燃料電池の製造方法によれば、一対のセパレータで膜−電極−拡散層アッセンブリを挟む前は第1の拡散層部分の厚みを第2の拡散層部分の厚みより大にしておくので、一対のセパレータで膜−電極−拡散層アッセンブリを挟んだ時に第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より強く圧縮して第1の拡散層部分の密度を第2の拡散層部分の密度以上にするとともに、触媒層端縁の空間を縮小することができる。その結果、触媒層端縁の第1の拡散層部分および空間に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜の耐久性が向上する。
〔燃料電池の一般構成〕
本発明の燃料電池セパレータが組み付けられる燃料電池10は、低温型燃料電池であり、たとえば、固体高分子電解質型燃料電池10である。該燃料電池10は、たとえば燃料電池自動車に搭載される。ただし、自動車以外に用いられてもよい。
図7〜図9に示すように、固体高分子電解質型燃料電池10は、膜−電極アッセンブリ12(MEA:Membrane-Electrode Assembly )とセパレータ18とを重ねたものからなる。
また、セパレータ18には、外周部に、燃料ガス流路27に燃料ガスを供給、排出するための燃料ガスマニホールド30、酸化ガス流路28に酸化ガスを供給、排出するための酸化ガスマニホールド31、冷媒流路26に冷媒を供給、排出するための冷媒マニホールド29が形成されている。
アノード側:H2 →2H+ +2e-
カソード側:2H+ +2e- +(1/2)O2 →H2 O
これを抑制するための、本発明の燃料電池10と、燃料電池10の製造方法は、以下の通りである。
図4〜6に示すように、燃料電池10は、膜−電極アッセンブリ12が互いに厚みが異なる第1の部分12aと第2の部分12bを有し第1の部分12aの厚みは第2の部分の厚み12bより小であり、拡散層13、16は膜−電極アッセンブリ12の第1の部分12aに接合(圧着)される第1の拡散層部分13a、16aと膜−電極アッセンブリ12の第2の部分12bに接合される第2の拡散層部分13b、16bとを有する。
第1の拡散層部分13a、16aの密度は第2の拡散層部分13b、16bの密度以上である。また、触媒層14、17の端縁に沿って、第1の拡散層部分13a、16aと膜11との間に形成される空間2は、空間2に対応する従来の空間1に比べて小さいか、あるいは空間2が形成されていない。
膜−電極アッセンブリ12の電極触媒層14、17は膜の一面に形成されたアノード触媒層14と膜の他面に形成されたカソード触媒層17を含み、カソード触媒層17の縁がアノード触媒層14の縁とセル面内方向において同じ位置に位置する。ただし、カソード触媒層17の縁がアノード触媒層14の縁よりセル面内において内側に位置していてもよい。
第1の拡散層部分13a、16aの密度を第2の拡散層部分13b、16bの密度以上とする構成は以下の実施例1〜3の何れかによる。
本発明の実施例1では、図4に示すように、拡散層13、16が膜−電極アッセンブリ12にホットプレスされる際に拡散層13、16の外周部である第1の部分13a、16aに拡散層13、16の内周部である第2の部分13b、16bより高い面圧をかけることにより、拡散層13、16の第1の部分13a、16aの圧縮率を拡散層13、16の第2の部分13b、16bの圧縮率より上げ、第1の拡散層部分13a、16aの密度を第2の拡散層部分13b、16bの密度以上とする。
本発明の実施例2では、図5に示すように、膜−電極−拡散層アッセンブリ15が一対のセパレータ18で挟まれる前の、第1の拡散層部分13aの密度と第2の拡散層部分16bの密度が同じ状態では、第1の拡散層部分13aの厚みが第2の拡散層部分16bの厚みより大とする。こうすることによって、膜−電極−拡散層アッセンブリ15が一対のセパレータ18で挟まれた後には、第1の拡散層部分13a、16aがセパレータ18で圧縮されて、第1の拡散層部分13a、16aの密度は第2の拡散層部分13b、16bの密度以上となる。
本発明の実施例3では、図6に示すように、セパレータ18が膜−電極アッセンブリ12の第1の部分12aに対応する第1のセパレータ部分18aと膜−電極アッセンブリ12の第2の部分12bに対応する第2のセパレータ部分18bとを有し、第1のセパレータ部分18aは第2のセパレータ部分18bよりも拡散層13、16側に突出している。こうすることによって、膜−電極−拡散層アッセンブリ15が一対のセパレータ18で挟まれた後には、第1の拡散層部分13a、16aがセパレータ18の第1の部分18aで圧縮されて、第1の拡散層部分13a、16aの密度は第2の拡散層部分13b、16bの密度以上となる。実施例1と実施例3の違いは、実施例3では、第1の拡散層部分13aの密度と第2の拡散層部分16bの密度が同じ状態では、第1の拡散層部分13aの厚みが第2の拡散層部分16bの厚みより大であるのに対し、実施例1では、第1の拡散層部分13aの密度と第2の拡散層部分16bの密度が同じ状態では、第1の拡散層部分13aの厚みと第2の拡散層部分16bの厚みとが同じであってもよく、ホットプレスの際に拡散層13、16の第1の部分13a、16aの面圧を上げて圧縮率を高くした点である。
第1の拡散層部分13a、16aの密度が第2の拡散層部分13b、16bの密度より高いので、触媒層12、15端縁の第1の拡散層部分13a、16aに生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質(過酸化水素、ラジカル)も溜まりにくく、電解質膜11の耐久性が向上する。
本発明の実施例1の燃料電池では、拡散層13、16が膜−電極アッセンブリ12にホットプレスされる際に、第1の拡散層部分13a、16aが第2の拡散層部分13b、16bより高い面圧で圧縮され圧縮率が上げられているので、触媒層端縁の空間2が小さくなるとともに第1の拡散層部分13a、16aの密度が高くなり、触媒層端縁の空間2および触媒層端縁の第1の拡散層部分13a、16aに生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質(過酸化水素、およびそれと共存するラジカル)も溜まりにくく、膜11の耐久性が向上する。
本発明の実施例2の燃料電池では、膜−電極−拡散層アッセンブリ15が一対のセパレータ18で挟まれる前の、第1の拡散層部分13a、16aの密度と第2の拡散層部分13b、16bの密度が同じ状態では、第1の拡散層部分13a、16aの厚みが第2の拡散層部分13b、16bの厚みより大とされた場合は、膜−電極−拡散層アッセンブリ15が一対のセパレータ18で挟まれた際に、第1の拡散層部分13a、16aの厚みが圧縮される。その結果、触媒層14、17端縁の空間2が小さくなるとともに、第1の拡散層部分13a、16aの密度が高くなり、触媒層端縁の空間2および触媒層端縁の第1の拡散層部分13a、16aに生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜11の耐久性が向上する。
本発明の実施例2の燃料電池では、第1のセパレータ部分18aが第2のセパレータ部分18bよりも拡散層13、16側に突出しているので、一対のセパレータ18で挟まれた際に、第1の拡散層部分13a、16aの厚みが縮小され、第1の拡散層部分13a、16aが圧縮される。その結果、触媒層端縁の空間2が小さくなる(あるいは、なくなる)とともに第1の拡散層部分13a、16aの密度が高くなり、触媒層端縁の空間2および触媒層端縁の第1の拡散層部分13a、16aに生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質(過酸化水素、およびそれと共存するラジカル)も空間2または第1の拡散層部分13a、16aに溜まりにくく、膜11の耐久性が向上する。
本発明の燃料電池10の製造方法は、膜−電極アッセンブリ12は互いに厚みが異なる第1の部分12aと第2の部分12bを有し第1の部分12aの厚みは第2の部分12bの厚みより小である膜−電極アッセンブリ12に、膜−電極アッセンブリの第1の部分に圧着される第1の拡散層部分13a、16aと膜−電極アッセンブリの第2の部分12bに接合される第2の拡散層部分13b、16bとを有する拡散層13、16を接合して膜−電極−拡散層アッセンブリ15を形成する工程を有する燃料電池の製造方法であって、膜−電極アッセンブリ12の厚みに応じて異なる条件にて拡散層13、16を膜−電極アッセンブリ12に圧着する方法からなる。
第1の拡散層部分13a、16aの密度は第2の拡散層部分13b、16bの密度以上である。また、触媒層14、17の端縁に沿って、第1の拡散層部分13a、16aと膜11との間に形成される空間2は、空間2に対応する従来の空間1に比べて小さいか、あるいは空間2が形成されていない。
膜−電極アッセンブリ12の電極触媒層14、17は膜の一面に形成されたアノード触媒層14と膜の他面に形成されたカソード触媒層17を含み、カソード触媒層17の縁がアノード触媒層14の縁とセル面内方向において同じ位置に位置する。ただし、カソード触媒層17の縁がアノード触媒層14の縁よりセル面内において内側に位置していてもよい。
膜−電極アッセンブリ12の厚みに応じて異なる条件にて拡散層13、16を膜−電極アッセンブリ12に圧着する方法は以下の方法の実施例1〜3の何れかによる。
本発明の製造方法の実施例1は第1、第2、第3の方法を含む。
本発明の製造方法の実施例1の第1の方法では、図1に示すように、膜−電極アッセンブリ12の厚みに応じて異なる条件が圧力であり、第1の拡散層部分13a、16aを第2の拡散層部分13b、16bより高い圧力にて膜−電極アッセンブリ12に圧着する。図1では、同一工程内で、プレス機50の、触媒端部を接合する部位の高さを変更する。プレス機50の、膜−電極アッセンブリ12の第1の部分12aを押す第1の部分50aと、膜−電極アッセンブリ12の第2の部分12bを押す第2の部分50bとの高さを変え、第1の部分50aが第2の部分50bより膜−電極アッセンブリ12側に突出するようにする。このプレス機50を用いてプレスすることにより、第1の拡散層部分13a、16aの密度を第2の拡散層部分13b、16bの密度以上にする。
温度と圧力を同時にかけてもよい。すなわち、本発明の実施例1の第1の方法と第2の方法とを同時に実行してもよい。
長時間の圧着は再プレスの時間を含んでもよい。図3は、第1の拡散層部分13a、16aを第2の拡散層部分13b、16bを一体型で押圧した後、第1の拡散層部分13a、16aのみを再プレス型50aで再プレスする場合を示している。第1の拡散層部分13a、16aを第2の拡散層部分13b、16bより長時間膜−電極アッセンブリ12に圧着することにより、第1の拡散層部分13a、16aの密度を第2の拡散層部分13b、16bの密度以上にする。
本発明の製造方法の実施例1の第4の方法と本発明の方法の実施例3との違いは、実施例3ではMEGAの段階で第1の部分と第2の部分とが異なり、セパレータで挟まれてスタックの荷重がかかることにより第1の部分と第2の部分とが同じ厚さになるのに対し、本発明の製造方法の実施例1の第4の方法では、MEGAの段階では第1の部分と第2の部分とが同じ厚さであり、プレス機でプレスされて第1の部分と第2の部分とが同じ厚さになることである。
本発明の実施例2の製造方法は、図5に示すように、膜−電極−拡散層アッセンブリ15を形成する工程と、膜−電極アッセンブリの第1の部分に対応する第1のセパレータ部分18aと膜−電極アッセンブリの第2の部分に対応する第2のセパレータ部分18bとを有する一対のセパレータ18にて膜−電極−拡散層アッセンブリ15を挟んでセル10を形成する工程と、を有する燃料電池の製造方法であって、セパレータ18の第1のセパレータ部分18aを第2のセパレータ部分18bよりも拡散層13、16側に突出させておくことにより、一対のセパレータ18で膜−電極−拡散層アッセンブリ15を挟んだ時に第1の拡散層部分13a、16aを第2の拡散層部分13b、16bより強く圧縮して第1の拡散層部分13a、16aの密度を第2の拡散層部分13b、16bの密度以上とする方法からなる。実施例2ではセパレータ18にリブ(第1のセパレータ部分18aで拡散層13、16側に突出させた部分)を形成しておいてリブで第1の拡散層部分13a、16aを強く圧縮する。
本発明の実施例3の製造方法は、図6に示すように、膜−電極−拡散層アッセンブリ15を形成する工程と、一対のセパレータ18にて膜−電極−拡散層アッセンブリ15を挟んでセル10を形成する工程と、を有する燃料電池の製造方法であって、一対のセパレータ18で膜−電極−拡散層アッセンブリ15を挟む前は第1の拡散層部分13a、16aの厚みを第2の拡散層部分13b、16bの厚みより大にしておくことにより、一対のセパレータ18で膜−電極−拡散層アッセンブリ15を挟んだ時に第1の拡散層部分13a、16aを第2の拡散層部分13b、16bより強く圧縮して第1の拡散層部分13a、16aの密度を第2の拡散層部分13b、16bの密度以上とする方法からなる。本発明の実施例3の製造方法では、一対のセパレータ18で膜−電極−拡散層アッセンブリ15を挟み、セル10を積層してスタック化する時にスタック締結荷重をかけて第1の拡散層部分13a、16aを第2の拡散層部分13b、16bより強く圧縮する(プレス機で第1の拡散層部分13a、16aを圧縮するのではない)。
本発明の燃料電池の製造方法では、膜−電極アッセンブリ12の厚みに応じて異なる条件にて拡散層13、16を膜−電極アッセンブリ12に圧着するので、第1の拡散層部分13a、16aの圧着条件を第2の拡散層部分13b、16bの圧着条件より厳しくすることにより、触媒層14、17端縁の空間2を小さくするか、または、第1の拡散層部分13a、16aの密度を高くすることができる。その結果、触媒層端縁の第1の拡散層部分13a、16aに生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜11の耐久性が向上する。
本発明の実施例1の第1の方法では、第1の拡散層部分13a、16aを第2の拡散層部分13b、16bより高い圧力にて膜−電極アッセンブリ12に圧着するので、触媒層14、17の端縁の空間2を小さくするか、または、第1の拡散層部分13a、16aの密度を高くすることができる。その結果、触媒層端縁の第1の拡散層部分13a、16aに生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜11の耐久性が向上する。
本発明の実施例2の方法では、セパレータ18の第1のセパレータ部分18aを第2のセパレータ部分18bよりも拡散層13、16側に突出させておくので、一対のセパレータ18で膜−電極−拡散層アッセンブリ15を挟んでスタック締結荷重をかけた時に第1の拡散層部分13a、16aを第2の拡散層部分13b、16bより強く圧縮して第1の拡散層部分13a、16aの密度を第2の拡散層部分13b、16bの密度以上とするとともに、触媒層端縁の空間2を縮小することができる。その結果、触媒層端縁の第1の拡散層部分13a、16aおよび空間2に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜11の耐久性が向上する。
本発明の実施例3の方法では、一対のセパレータ18で膜−電極−拡散層アッセンブリ15を挟む前は第1の拡散層部分13a、16aの厚みを第2の拡散層部分13b、16bの厚みより大にしておくので、セル化、スタック化時に、一対のセパレータ18で膜−電極−拡散層アッセンブリ15を挟んだ時に第1の拡散層部分13a、16aを第2の拡散層部分13b、16bより強く圧縮して第1の拡散層部分13a、16aの密度を第2の拡散層部分13b、16bの密度以上とするとともに、触媒層端縁の空間2を縮小することができる。その結果、触媒層端縁の第1の拡散層部分13a、16aおよび空間2に生成水が溜まりにくく、膜攻撃物質も溜まりにくく、膜11の耐久性が向上する。
11 電解質膜
12 膜−電極アッセンブリ(MEA)
12a 第1の部分
12b 第2の部分
13 拡散層
13a 第1の拡散層部分
13b 第2の拡散層部分
14 電極(アノード、燃料極)
15 膜−電極−拡散層アッセンブリ(MEGA)
16 拡散層
16a 第1の拡散層部分
16b 第2の拡散層部分
17 電極(カソード、空気極)
18 セパレータ
18a 第1のセパレータ部分
18b 第2のセパレータ部分
19 モジュール
20 ターミナル
21 インシュレータ
22 エンドプレート
23 スタック
24 締結部材(テンションプレート)
25 ボルト
26 冷媒流路
27 燃料ガス流路
28 酸化ガス流路
29 冷媒マニホールド
30 燃料ガスマニホールド
31 酸化ガスマニホールド
32 冷媒側シール材(たとえば、ゴムガスケット)
33 ガス側シール材(たとえば、接着剤)
50 プレス機
50a プレス機の第1の部分
50b プレス機の第2の部分
Claims (14)
- 膜−電極アッセンブリに拡散層を接合した膜−電極−拡散層アッセンブリと、該膜−電極−拡散層アッセンブリを挟む一対のセパレータとを備えた燃料電池であって、膜−電極アッセンブリは互いに厚みが異なる第1の部分と第2の部分を有し第1の部分の厚みは第2の部分の厚みより小であり、拡散層は膜−電極アッセンブリの第1の部分に接合される第1の拡散層部分と膜−電極アッセンブリの第2の部分に接合される第2の拡散層部分とを有し第1の拡散層部分の密度は第2の拡散層部分の密度以上である燃料電池。
- 膜−電極アッセンブリの第1の部分は膜のみからなる部分であり、膜−電極アッセンブリの第2の部分は膜と電極触媒層を含む部分である請求項1記載の燃料電池。
- 拡散層が膜−電極アッセンブリにホットプレスされる際に、第1の拡散層部分が第2の拡散層部分より高い面圧で圧縮され圧縮率が上げられている請求項1記載の燃料電池。
- 膜−電極−拡散層アッセンブリが一対のセパレータで挟まれる前の、第1の拡散層部分の密度と第2の拡散層部分の密度が同じ状態では、第1の拡散層部分の厚みが第2の拡散層部分の厚みより大である請求項1記載の燃料電池。
- セパレータは膜−電極アッセンブリの第1の部分に対応する第1のセパレータ部分と膜−電極アッセンブリの第2の部分に対応する第2のセパレータ部分とを有し第1のセパレータ部分は第2のセパレータ部分よりも拡散層側に突出している請求項1記載の燃料電池。
- 膜−電極アッセンブリは互いに厚みが異なる第1の部分と第2の部分を有し第1の部分の厚みは第2の部分の厚みより小である膜−電極アッセンブリに、膜−電極アッセンブリの第1の部分に接合される第1の拡散層部分と膜−電極アッセンブリの第2の部分に接合される第2の拡散層部分とを有する拡散層を接合して膜−電極−拡散層アッセンブリを形成する工程を有する燃料電池の製造方法であって、膜−電極アッセンブリの厚みに応じて異なる条件にて拡散層を膜−電極アッセンブリに圧着する燃料電池の製造方法。
- 膜−電極アッセンブリの第1の部分は膜のみからなる部分であり、膜−電極アッセンブリの第2の部分は膜と電極触媒層を含む部分である請求項6記載の燃料電池の製造方法。
- 前記条件は圧力であり、第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より高い圧力にて膜−電極アッセンブリに圧着する請求項6記載の燃料電池の製造方法。
- 前記条件は温度であり、第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より高い温度にて膜−電極アッセンブリに圧着する請求項6記載の燃料電池の製造方法。
- 前記条件は時間であり、第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より長時間膜−電極アッセンブリに圧着する請求項6記載の燃料電池の製造方法。
- 前記長時間が再プレスの時間を含む請求項10記載の燃料電池の製造方法。
- 前記条件は拡散層の材料および撥水剤の何れか少なくとも一方の量であり、第1の拡散層部分の材料および撥水剤の何れか少なくとも一方の量を第2の拡散層部分の材料および撥水剤の何れか少なくとも一方の量より増やして拡散層を膜−電極アッセンブリに圧着する請求項6記載の燃料電池の製造方法。
- 膜−電極−拡散層アッセンブリを形成する工程と、膜−電極アッセンブリの第1の部分に対応する第1のセパレータ部分と膜−電極アッセンブリの第2の部分に対応する第2のセパレータ部分とを有する一対のセパレータにて膜−電極−拡散層アッセンブリを挟んでセルを形成する工程と、を有する燃料電池の製造方法であって、セパレータの第1のセパレータ部分を第2のセパレータ部分よりも拡散層側に突出させておくことにより、一対のセパレータで膜−電極−拡散層アッセンブリを挟んだ時に第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より強く圧縮して第1の拡散層部分の密度を第2の拡散層部分の密度以上にする請求項6記載の燃料電池の製造方法。
- 膜−電極−拡散層アッセンブリを形成する工程と、一対のセパレータにて膜−電極−拡散層アッセンブリを挟んでセルを形成する工程と、を有する燃料電池の製造方法であって、一対のセパレータで膜−電極−拡散層アッセンブリを挟む前は第1の拡散層部分の厚みを第2の拡散層部分の厚みより大にしておくことにより、一対のセパレータで膜−電極−拡散層アッセンブリを挟んだ時に第1の拡散層部分を第2の拡散層部分より強く圧縮して第1の拡散層部分の密度を第2の拡散層部分の密度以上にする請求項6記載の燃料電池の製造方法。
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