JP2006208715A - 転写状態シミュレーション方法、プログラム、記録媒体、及び画像形成装置 - Google Patents

転写状態シミュレーション方法、プログラム、記録媒体、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 一つの被転写媒体に複数種類の現像剤を重ねて転写する場合にも各現像剤の転写状態を正確にシミュレーションすること。
【解決手段】 用紙Pと感光体ドラム3Mとの間にイエロートナーTY,マゼンタトナーTMが重なって存在する場合、空隙が3種類存在する。すなわち、用紙Pの表面とイエロートナーTYとの間の空隙g1 、イエロートナーTYとマゼンタトナーTMとの間の空隙g2 、及び、マゼンタトナーTMと感光体ドラム3Mの表面との間の空隙g3 が存在する。この場合、空隙g1 ,g2 ,g3 に対応する電界E1 ,E2 ,E3 を計算し、各空隙における電荷移動(放電)を推定した上で、各トナーTに作用する静電気力を計算し、各トナーTの移動方向を推定する。
【選択図】 図12

Description

本発明は、電子写真方式で画像を形成する画像形成装置における現像剤の転写状態をシミュレーションする転写状態シミュレーション方法、並びに、その転写状態シミュレーション方法を適用したプログラム、記録媒体、及び画像形成装置に関する。
従来より、感光体等の像担持体を備え、その像担持体の表面にトナー等の現像剤によって形成された像を、中間転写ベルトまたは用紙等の被転写媒体に転写することによって画像を形成する画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置では、像担持体から被転写媒体への現像剤の転写状態を正確にシミュレーションすることが、鮮明な画像を形成する上で極めて重要となる。
そこで、トナーに加わる静電気力(静電力)を電界解析によって求め、その静電気力が感光体の回転に応じて順次変化する状態を計算して、上記転写状態をシミュレーションする試みがなされている(例えば、非特許文献1,特許文献1参照)。
伊藤朋之,川本広行著,「電子写真のローラ転写プロセスシミュレーション」,「日本機械学会文集(C編)」,1999年9月,65巻637号,p.81−88 特開2003−162156号公報
ところが、例えばタンデム型のカラープリンタのように、一つの被転写媒体に複数種類の現像剤を重ねて転写する場合のシミュレーションについては、未だ充分な研究がなされていない。また、上記非特許文献1及び特許文献1のように、時々刻々と変化する感光体の回転状態に応じて上記静電気力の変化を順次計算する処理は極めて重く、詳細かつ正確なシミュレーションを困難にしている。
そこで、本発明は、一つの被転写媒体に複数種類の現像剤を重ねて転写する場合にも各現像剤の転写状態を正確にシミュレーションすること、若しくは、現像剤に作用する静電気力の変化の計算処理を簡略化して、現像剤の転写状態を詳細かつ正確にシミュレーション可能にすること、を目的としてなされた。
上記目的を達するためになされた本発明は、帯電した現像剤によって形成された像を担持する像担持体を複数備え、該各像担持体に担持された上記現像剤を、被転写媒体に静電的に転写して画像を形成する画像形成装置に対し、上記像担持体に担持された現像剤の転写状態をシミュレーションする転写状態シミュレーション方法であって、少なくとも一つの上記像担持体、その像担持体に担持される上記現像剤、及び上記被転写媒体の初期の帯電状態を設定する帯電状態設定処理と、該帯電状態設定処理により設定された上記帯電状態に基づき、上記像担持体に担持された現像剤が上記被転写媒体に転写される際の、上記像担持体,上記現像剤,上記被転写媒体の間で生じる電荷移動を推定する電荷移動推定処理と、該電荷移動推定処理により推定された電荷移動の後に上記現像剤に作用する静電気力を推定する静電気力推定処理と、該静電気力推定処理により推定された静電気力に基づき、上記現像剤の転写状態を推定する転写状態推定処理と、を備え、上記現像剤が、複数の上記像担持体により上記被転写媒体に重ねて転写される場合は、上記電荷移動推定処理では、上記重ねて転写される現像剤同士の間で生じる電荷移動も推定することを特徴としている。
このように構成された本発明では、本発明では、帯電状態設定処理により、複数備えられた像担持体のうちの少なくとも一つの像担持体、その像担持体に担持される現像剤、及び、被転写媒体の初期の帯電状態が設定される。すると、その帯電状態設定処理により設定された上記帯電状態に基づき、電荷移動推定処理により、上記像担持体に担持された現像剤が被転写媒体に転写される際の、像担持体,現像剤,被転写媒体の間で生じる電荷移動が推定される。そして、その電荷移動推定処理により推定された電荷移動の後に上記現像剤に作用する静電気力が静電気力推定処理により推定され、その静電気力推定処理により推定された静電気力に基づき、転写状態推定処理にて、上記現像剤の転写状態が推定される。
また、本発明では、上記現像剤が、複数の上記像担持体により上記被転写媒体に重ねて転写される場合は、上記電荷移動推定処理では、上記重ねて転写される現像剤同士の間で生じる電荷移動も推定される。このため、本発明では、現像剤に作用する静電気力を極めて正確に推定することができ、一つの被転写媒体に複数種類の現像剤を重ねて転写する場合にも各現像剤の転写状態を正確にシミュレーションすることができる。
なお、上記帯電状態設定処理では、少なくとも二つの上記像担持体、その各像担持体にそれぞれ担持される上記各現像剤、及び上記被転写媒体の初期の帯電状態を設定し、上記二つの像担持体のうち、先に転写がなされる第1の像担持体に担持された第1の現像剤に関する上記電荷移動推定処理では、上記帯電状態設定処理により設定された上記第1の像担持体、上記第1の現像剤、及び上記被転写媒体の帯電状態に基づき上記電荷移動を推定し、上記二つの像担持体のうち、後から転写がなされる第2の像担持体に担持された第2の現像剤に関する上記電荷移動推定処理では、上記帯電状態設定処理により設定された上記第2の像担持体、上記第2の現像剤、及び上記被転写媒体の帯電状態、並びに、上記第1の現像剤に関する電荷移動推定処理により推定された電荷移動後の上記第1の現像剤の帯電状態に基づき、上記電荷移動を推定してもよい。この場合、第1の現像剤と第2の現像剤との間で生じる電荷移動を一層正確に推定することができ、各現像剤の転写状態を一層正確にシミュレーションすることができる。
また、上記電荷移動推定処理では、上記被転写媒体に対向する前の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線と、上記被転写媒体に対向している上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線と、上記被転写媒体に対向した後の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線とからなる3本の電気力線に沿った電荷移動を推定してもよい。この場合、電荷移動を時系列に沿って連続的に推定する場合に比べて処理が簡略化でき、しかも、電荷移動の全体像を反映した正確なシミュレーションが行える。従って、この場合、処理を簡略化することができ、延いては、現像剤の転写状態の詳細かつ正確なシミュレーションも可能となる。
また、本発明は、帯電した現像剤によって形成された像を担持する像担持体を備え、該像担持体に担持された上記現像剤を、被転写媒体に静電的に転写して画像を形成する画像形成装置に対し、上記現像剤の転写状態をシミュレーションする転写状態シミュレーション方法であって、上記像担持体、上記現像剤、及び上記被転写媒体の初期の帯電状態を設定する帯電状態設定処理と、該帯電状態設定処理により設定された上記各帯電状態に基づき、上記像担持体に担持された現像剤が上記被転写媒体に転写される際の、上記像担持体,上記現像剤,上記被転写媒体の間で生じる電荷移動を推定する電荷移動推定処理と、該電荷移動推定処理により推定された電荷移動後に上記現像剤に作用する静電気力を推定する静電気力推定処理と、該静電気力推定処理により推定された静電気力に基づき、上記現像剤の転写状態を推定する転写状態推定処理と、を備え、上記電荷移動推定処理では、上記被転写媒体に対向する前の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線と、上記被転写媒体に対向している上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線と、上記被転写媒体に対向した後の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線とからなる3本の電気力線に沿った電荷移動を推定することを特徴とするものであってもよい。
このように構成された本発明では、本発明では、帯電状態設定処理により、像担持体、現像剤、及び、被転写媒体の初期の帯電状態が設定される。すると、その帯電状態設定処理により設定された各帯電状態に基づき、電荷移動推定処理により、像担持体に担持された現像剤が被転写媒体に転写される際の、像担持体,現像剤,被転写媒体の間で生じる電荷移動が推定される。そして、その電荷移動推定処理により推定された電荷移動の後に上記現像剤に作用する静電気力が静電気力推定処理により推定され、その静電気力推定処理により推定された静電気力に基づき、転写状態推定処理にて、上記現像剤の転写状態が推定される。
また、本発明では、上記電荷移動推定処理にて、上記被転写媒体に対向する前の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線と、上記被転写媒体に対向している上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線と、上記被転写媒体に対向した後の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線とからなる3本の電気力線に沿った電荷移動が推定される。このため、本発明では、電荷移動を時系列に沿って連続的に推定する場合に比べて処理が簡略化でき、しかも、電荷移動の全体像を反映した正確なシミュレーションが行える。従って、本発明では、処理を簡略化することができ、延いては、現像剤の転写状態の詳細かつ正確なシミュレーションも可能となる。
なお、上記各発明は、上記電気力線の長さを特に限定するものではないが、上記被転写媒体に対向する前の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線の長さ、及び、上記被転写媒体に対向した後の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線の長さは、いずれも87.64μmを上回るようにしてもよい。
パッシェンの法則によれば、空隙のギャップが87.64μmを超えると、それ以上ギャップが広がってもパッシェン電圧をギャップの長さで割った放電限界電界(本発明では像担持体と被転写媒体との間で放電、すなわち電荷移動が起こる電界に相当)はあまり変化しない。そこで、上記電気力線の長さをいずれも87.64μmを上回るようにすれば、電荷移動の全体像を一層良好に反映した正確なシミュレーションが行えるといった更なる効果が生じる。
また、本発明のプログラムは上記いずれかに記載の上記電荷移動推定処理及び上記転写状態推定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであることを特徴としている。このため、本発明のプログラムをコンピュータに実行させれば、上記いずれかの発明の転写状態シミュレーション方法を容易に実施することができる。
また、本発明の記録媒体は、上記発明のプログラムが、コンピュータによって読み取り可能に記録されたことを特徴としている。このため、本発明の記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに実行させれば、上記いずれかの発明の転写状態シミュレーション方法を容易に実施することができる。
更に、本発明の画像形成装置は、帯電した現像剤によって形成された像を担持する複数の像担持体と、該各像担持体毎に設けられ、対応する上記像担持体に担持させるべき上記現像剤を保持する複数の現像剤保持手段と、被転写媒体を帯電させることにより、上記各像担持体に担持された上記現像剤を上記被転写媒体に静電的に転写させる帯電手段と、該帯電手段による上記被転写媒体の帯電状態を制御する制御手段と、を備えた画像形成装置であって、上記制御手段が、上記いずれかに記載の転写状態シミュレーション方法により上記現像剤の転写状態をシミュレーションするシミュレーション手段と、該シミュレーション手段によりシミュレーションされた上記現像剤の転写状態に基づき、上記帯電手段による上記被転写媒体の帯電状態を制御する帯電状態制御手段と、を備えたことを特徴としている。
このように構成された本発明の画像形成装置では、像担持体毎に設けられた現像剤保持手段は、対応する像担持体に担持させるべき現像剤を保持する。また、帯電手段は、被転写媒体を帯電させることによって各像担持体に担持された現像剤を被転写媒体に静電的に転写させ、制御手段はその帯電手段による被転写媒体の帯電状態を制御する。
そして、本発明では、制御手段に備えられたシミュレーション手段が上記いずれかの転写状態シミュレーション方法により現像剤の転写状態をシミュレーションし、同じく制御手段に備えられた帯電状態制御手段は、そのシミュレーション手段によりシミュレーションされた上記現像剤の転写状態に基づき、上記帯電手段による被転写媒体の帯電状態を制御する。このため、本発明では、シミュレーション手段により現像材の転写状態を上記のように正確にシミュレーションし、それに基づいて被転写媒体の帯電状態を制御することができる。従って、本発明では、現像材を被転写媒体に良好に転写することができ、延いては正確かつ鮮明な画像を形成することができる。
なお、本発明の画像形成装置において、上記各現像剤保持手段にそれぞれ添付され、上記各現像剤の帯電特性を指示する指示手段と、該各指示手段が指示する上記各帯電特性をそれぞれ読み取る読取手段と、を更に備え、上記シミュレーション手段が、上記読取手段が読み取った上記各帯電特性に基づき、上記現像剤の転写状態をシミュレーションしてもよい。この場合、現像材保持手段に添付された指示手段が指示する帯電特性を読取手段で読み取り、その読み取った帯電特性に基づいて上記シミュレーションを自動的に行うことができるといった更なる効果が生じる。また、この場合、上記指示手段がICタグであり、上記読取手段がICタグリーダであってもよい。
以下に本発明の実施例について、図面を参照して説明する。図1は、本発明が適用された画像形成装置としてのカラーレーザプリンタ(以下、単にプリンタという)1の内部構成を表す概略断面図である。
図1に例示するプリンタ1は、トナー像形成部4と、用紙搬送ベルト6と、定着部8と、給紙部9と、スタッカー12と、制御部10とを備え、被転写媒体としての用紙Pに、外部から入力される画像データに応じた4色の画像を形成する。
そして、トナー像形成部4は、4個の現像ユニット51Y,51M,51C,51Bと、これらの現像ユニット51Y,51M,51C,51Bに貯留されたイエロートナーTY、マゼンタトナーTM、シアントナーTC、及びブラックトナーTB(いずれも現像剤に相当:図2参照)による4つのトナー像形成工程毎に、像担持体としての感光体ドラム3と、その感光体ドラム3を一様に帯電させる帯電器31と、該帯電後の感光体ドラム3の表面をレーザ光で露光して画像データに応じた静電潜像を形成するスキャナユニット41とを備えている。なお、スキャナユニット41は、大部分の図示が省略されており、最終的にレーザ光が出射される部分のみが図示されている。
以下、各構成要素の構成について詳しく説明する。なお、以下の説明において、色毎に区別する必要のある場合は各部の符号にY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),B(ブラック)の添え字を付し、区別する必要のない場合は添え字を省略する。
トナー像形成部4の感光体ドラム3は、略円筒形状の部材で構成され、4つがほぼ等間隔に水平方向に並んで、回動可能に配設されている。なお、感光体ドラム3の略円筒形状の部材は、例えば、アルミニウム製の基材上に、正帯電性の感光層が形成されたものが用いられる。そして、このアルミニウム製の基材は、プリンタ1のグランドラインに接地されている。
また、帯電器31は、いわゆるスコロトロン型の帯電器であり、感光体ドラム3に対向して、その幅方向に延設される帯電ワイヤ32と、この帯電ワイヤ32を納めて感光体ドラム3側を開放したシールドケース33とで構成され、この帯電ワイヤ32に高電圧を印加することにより、感光体ドラム3の表面を正極性(例えば+700V)に帯電させる。また、シールドケース33は、上記感光体ドラム3側の開放部にグリッドを設けた構造となっており、このグリッドに規定の電圧を印加することにより感光体ドラム3の表面がほぼグリッド電圧と同電位に帯電される。
スキャナユニット41は、各感光体ドラム3に、感光体ドラム3の回転方向の帯電器31より下流側に配設され、外部より入力される画像データの1色分に応じたレーザー光を光源から出射し、ポリゴンモータにより回転駆動されるポリゴンミラーの鏡面などによりレーザー光を走査して、感光体ドラム3の表面へ照射する。
なお、スキャナユニット41により、画像データに応じたレーザー光が感光体ドラム3の表面に照射されると、照射された部分の表面電位が低下(+150〜+200V)することにより、感光体ドラム3の表面には、静電潜像が形成される。
また、現像ユニット51Y,51M,51C,51Bはそれぞれ、各色のトナーTY,TM,TC,TBを収納する現像ユニットケース55に現像ローラ52を備えた構成を有し、感光体ドラム3の回転方向に対してスキャナユニット41より下流側で現像ローラ52が感光体ドラム3に接するように配設される。そして、各現像ユニット51は、トナーTを「+」(正極性)に帯電させ、均一な薄層として感光体ドラム3へ供給して、現像ローラ52と感光体ドラム3との接触部において、感光体ドラム3上に形成された「+」(正極性)の静電潜像に対して、「+」(正極性)に帯電したトナーTを反転現像方式で担持させて上記静電潜像を現像する。
なお、現像ローラ52は、導電性シリコーンゴムなどを基材として円柱状に構成され、表面にフッ素を含有した樹脂、または、ゴム材のコート層が形成されている。また、現像ユニットケース55に収納されるトナーTは、正帯電性の非磁性1成分トナーであり、現像ユニット51Y,51M,51C,51Bに応じて、それぞれイエロートナーTY、マゼンタトナーTM、シアントナーTC、及びブラックトナーTBが収容されている。
また、給紙部9は、装置の最下部に設けられており、用紙Pを収容する収容トレイ91と、用紙Pを送り出すピックアップローラ92とから構成されている。そして、収容トレイ91に収容された用紙Pは、ピックアップローラ92により、給紙部9から1枚ずつ取り出され、搬送ローラ98,レジストローラ99を介して用紙搬送ベルト6に送られる。
用紙搬送ベルト6は、感光体ドラム3の幅より狭く、用紙Pを上面に担持した状態で、その用紙Pと一体に走行するように無端状に構成され、駆動ローラ62と従動ローラ63との間に架け渡されている。また、各感光体ドラム3と対向する位置の近傍には、用紙搬送ベルト6を挟んで転写ローラ61がそれぞれ設けられている。そして、用紙搬送ベルト6は、駆動ローラ62の回動により、感光体ドラム3と対向する側の表面が、図1に示すように、図中右方向から図中左方向へ移動して、レジストローラ99から送られて来る用紙Pを、感光体ドラム3との間へ順番に搬送して定着部8へ送る。また、用紙搬送ベルト6の駆動ローラ62で折り返した面には、クリーニングブラシ105が設けられている。
また、転写ローラ61は、負電圧の電流源112により転写ローラ61と感光体ドラム3との間にトナーTの帯電極性と逆極性の転写バイアス(例えば−10〜−15μA)が印加されて、感光体ドラム3上に形成されたトナー像を用紙搬送ベルト6により搬送される用紙Pに転写するように構成されている。なお、図1では、電流源112は上記転写バイアスを0V,定電圧の2種類に切り換え可能なように記載されているが、これは、便宜上そのように図示したものであって、実際には更に多段階に電圧を制御可能に構成されている。更に、現像ローラ52と転写ローラ61との間には、感光体ドラム3の表面に担持されたトナー量を検出するためのトナー量センサ113が設けられている。
また、クリーニングブラシ105は、用紙搬送ベルト6の幅方向に延びた略円筒部材の周囲にブラシが設けられた構成で、用紙搬送ベルト6を挟んで対向する位置に設けられた電極ローラ104との間で所定の電位差が印加されて、用紙搬送ベルト6に接触しながら回転するように配設される。また、クリーニングブラシ105には、クリーニングブラシ105に付着したトナーTをクリーニングブラシ105から除去する廃トナー除去器106と、クリーニングブラシ105から除去されたトナーTを貯留しておく貯留ボックス107が設けられている。
また、定着部8は、加熱ローラ81と、加圧ローラ82とから構成され、トナー像が転写された用紙Pを、加熱ローラ81及び加圧ローラ82によって狭持搬送しながら加熱及び加圧することにより、トナー像を用紙Pに定着させる。
また、プリンタ1の上面にはスタッカー12が形成されている。このスタッカー12は、定着部8の排紙側に設けられており、定着部8から排出される用紙Pを収容する。また、制御部10は、周知のCPUを用いた制御装置などにより構成され、プリンタ1の動作全般の制御を行う。
ところで、4個の感光体ドラム3は、いずれも、感光体ドラム3が用紙搬送ベルト6から離間する上方向に移動可能に保持され、4個の感光体ドラム3に対して跨るように設けられた移動部材72により位置決めされている。なお、移動部材72は、4個の感光体ドラム3に跨る長さの板状部材で構成され、図1における左右方向に移動可能に保持されている。また、移動部材72には、左右方向に延びる略クランク形状の4個の誘導穴72aが設けられていて、この誘導穴72aのそれぞれに各感光体ドラム3の長手方向側面に設けられた軸3aが嵌め込まれる。
そして、移動部材72には、回転力を左右方向の力に換えるリンク73を介して、モータ74が設けられ、制御部10からの指令信号に応じてモータ74が回転することにより、移動部材72が右、または、左方向に移動する。このように、移動部材72が左方向に移動すると、誘導穴72aが左方向へ移動する際に、各感光体ドラム3の軸3aが、誘導穴72aの略クランク形状に沿って上方向に移動するため、感光体ドラム3が用紙搬送ベルト6から離間する状態となる。逆に、移動部材72が右方向の位置にあると、感光体ドラム3は用紙搬送ベルト6に接触する状態となる。通常は、感光体ドラム3が用紙搬送ベルト6に接触した状態で画像形成がなされる。
以上のような構成の本実施の形態におけるプリンタ1での、用紙Pへの画像形成の動作は次のようになる。
先ず、給紙部9からピックアップローラ92により用紙Pが1枚供給され、搬送ローラ98,レジストローラ99を介して用紙搬送ベルト6へ送られる。次に、図1中一番右側の感光体ドラム3Yの表面が、帯電器31により一様に帯電され、スキャナユニット41により、イエロー色用の外部から入力された画像データに対応して露光されて、上記のように静電潜像が形成される。次に、この感光体ドラム3Yの表面に現像ユニット51Yにおいて正極性に帯電されたイエロートナーTYが供給され、現像が行われる。そして、このようにして形成されたトナー像は、用紙搬送ベルト6により搬送される用紙Pの表面上に、転写バイアスが印加された転写ローラ61により転写される。
次に、用紙Pが、マゼンタトナーTM、シアントナーTC、及びブラックトナーTB用それぞれの感光体ドラム3と対向する位置へ順番に搬送され、イエロートナーTYと同様の手順で、トナー像が感光体ドラム3の表面に形成されて、転写ローラ61により用紙Pに重ね合わせて転写される。最後に、用紙P上に形成された4色のトナー像は、定着部8において用紙P上に定着され、スタッカー12上に排出される。
ところが、この種の画像形成装置では、各色のトナーTY,TM,TC,TBを用紙Pに重ねていく際、次のような課題が生じていた。図2は、その課題を表す説明図である。なお、図2以降の図面では、説明の便宜上、左側から感光体ドラム3Y,3M,3C,3Bの順に配設した図面、すなわち、図1を裏側から見た状態に対応する図面を使用する。
図2(A)に示すように、感光体ドラム3Y,3M,3Cにより、用紙PにトナーTY,TM,TCを順次重ねていく場合、イエロートナーTYの帯電量が高いと、トナーTM,TCの転写率が悪化することがある。
また、図2(B)に示すように、感光体ドラム3Mにはトナー像が形成されない場合は、イエロートナーTYが感光体ドラム3Mのニップ部を通過する際にその帯電量が高まり、シアントナーTCの転写率が悪化することがある。
更に、図2(C)に示すように、感光体ドラム3Cにはトナー像が形成されない場合、感光体ドラム3Y,3MからイエロートナーTY,マゼンタトナーTMが順次転写され、それらの帯電量が高まっていると、例えばマゼンタトナーTMが感光体ドラム3Cに逆転写されることもある。
従って、プリンタ1などの画像形成装置において、或いは、画像形成装置の設計段階において、トナーTの転写状態を正確にシミュレーションすることは極めて重要となる。また、そのようなシミュレーション結果を踏まえて各色のトナーTの転写状態を向上させる方法としては、トナーTの帯電性の改善など、種々の方法が考えられるが、比較的容易に制御可能な方法として例えば転写電流の制御が考えられる。
図3に示すように、転写ローラ61Yに通電される転写電流をi1 ,用紙Pの搬送速度をv,用紙幅をLとすると、感光体ドラム3Yのニップ部における用紙Pの単位面積当りの電荷(転写電荷)σ1 は、σ1 =i1 /vLで表される。感光体ドラム3Mのニップ部まで、用紙Pはこの帯電量に維持されると推定することができ、感光体ドラム3Mのニップ部で新たに印加される単位面積当りの電荷σ2 は、σ2 =i2 /vLで表される(但し、i2 は転写ローラ61Mに通電される転写電流)。感光体ドラム3Mのニップ部から感光体ドラム3Cのニップ部までは、用紙Pの帯電量はσ1+σ2に維持されるものと推定することができる。
用紙Pの帯電量は、トナーTの転写状態に密接に関連する。従って、転写電流の変化に伴って各色のトナーTの転写状態がどのように変化するかをシミュレーションすることにより、転写電流を制御して各色のトナーTの転写率を向上させることが可能になる。以下、このような転写状態のシミュレーション方法について説明する。
本実施の形態のシミュレーション方法を実行するための転写状態シミュレーション処理のプログラムは、図4に示すパーソナルコンピュータ200のハードディスク装置(HDD)214に格納されている。パーソナルコンピュータ200は、このハードディスク装置214の他、CPU211,ROM212,RAM213を備えた本体210に、ディスプレ220、キーボード230、マウス240等が接続された一般的な構成を有している。
図5は、この転写状態シミュレーション処理を実行するに当たり、キーボード230等を介して入力された入力パラメータの一例を表している。パーソナルコンピュータ200は、このような入力パラメータに基づき、以下に示す転写状態シミュレーション処理を実行する。なお、入力パラメータは、以下の処理の実行中に必要に応じて入力してもよい。この場合、入力パラメータの入力が必要となった時点で、パーソナルコンピュータ200は待機状態となって必要な入力パラメータの入力を促すメッセージを表示し、必要な入力パラメータが入力されると処理を続行する。すなわち、例えば各トナーの帯電状態を最初に全て入力する必要はなく、1色目に対するシミュレーションを行った後で、2色目のトナーの帯電状態を入力してもよい。
図6は、パーソナルコンピュータ200にて実行される転写状態シミュレーション処理を表すフローチャートである。なお、前述のように、感光体ドラム3はグランドラインに接地されているため、以下の処理では感光体ドラム3の電位を常に0Vに設定するものとする。
処理が開始されると、先ずS1にて(Sはステップを表す:以下同様)、設定した転写電流値レンジから最初の転写電流が設定される。設定した転写電流値レンジとは、図5の入力パラメータにおけるバイアス電荷の項目に設定されており、既定値の0μAからmaxとして設定された−45.0μAまでの範囲である。この場合、最初の転写電流としては0μAが設定される。なお、バイアス電荷の項目にminの値が設定されている場合は、そのminの値が最初の転写電流として設定される。
続くS2では、1色目(プリンタ1の場合はイエロー)のトナー入力パラメータが設定される。この処理の詳細を、図7に示す。図7に示すように、この処理では、先ず、S21にて、入力パラメータにおけるトナー帯電量、トナー帯電量標準偏差、トナー量が読み込まれ、その値がRAM213に設定される。例えば、1色目がイエローである場合は、図5の入力パラメータにおける@Yellowの項目に設定された値が読み込まれる。
続いて、S22では、設定されたトナー帯電量の標準偏差(すなわち帯電量のばらつき)に従って、正規分布する帯電量を持ったトナーモデルが設定サンプル数作成される。続くS23では、設定されたトナー位置の分布に従い、正規分布する位置データがサンプル数分のトナーモデルに設定され、処理は図6のS3へ移行する。
S3では、ニップ前,ニップ中,ニップ後の電荷移動の計算及びトナー移動の計算がなされる。ここで、本実施の形態では、トナーTに作用する電界を、図8に示すように電気力線(図8に点線で表示)に沿って1次元化して考える。従って、ニップ前,ニップ中,ニップ後のギャップの長さは、その電気力線の長さとなる。
また、この場合、ニップ前及びニップ後のギャップの長さは、少なくとも87.64μmを上回ることが望ましい。これは、次のような理由による。すなわち、パッシェンの法則によれば、放電が発生する限界電圧としてのパッシェン電圧Vp は、次式によって計算され、パッシェン電圧を空隙のギャップで割った放電限界電界は図9に示すような変化となる。
このため、上記式の3行目の等式が適用される87.64μmよりギャップの長さgが大きいと、図9に示すように、ギャップの長さ(空隙)が変化しても放電限界電界はあまり変化しなくなる。従って、ニップ前,ニップ後のギャップの長さを87.64μmに設定し、ニップ中の場合と合わせて電荷移動を計算することにより、3本の電気力線に沿った電荷移動を推定するだけの簡単な処理によって電荷移動の全体像を良好に反映したシミュレーションが可能となる。
図10は、このS3の処理の詳細を表すフローチャートである。この処理では、先ずS31にて、図5の入力パラメータにおける@Spaceのinの項目に基づき、ニップ前のギャップが設定される。本実施の形態では、ニップ前のギャップ(上記in)及びニップ後のギャップ(@Spaceのout)を、共に5mmに設定した。
続くS32では、電荷移動の計算がなされる。このS32の処理の詳細を、図11に示す。図11に示すように、この処理では、先ずS321にて各空隙の電位差が計算される。すなわち、各空隙の電界がガウスの定理、E=σ/ε0 により計算され、それに基づいて各空隙の電位差が計算される。なお、この空隙の計算(S321)は、トナーTが1層の場合は比較的単純であるが、2層以上の場合は次のように複雑になる。
例えば、図12に例示するように、用紙Pと感光体ドラム3Mとの間にイエロートナーTY,マゼンタトナーTMが重なって存在する場合、空隙が3種類存在する。すなわち、用紙Pの表面とイエロートナーTYとの間の空隙g1 、イエロートナーTYとマゼンタトナーTMとの間の空隙g2 、及び、マゼンタトナーTMと感光体ドラム3Mの表面との間の空隙g3 が存在する。この場合、S321では、空隙g1 ,g2 ,g3 に対応する電界E1 ,E2 ,E3 が、次式によって計算され、電位差が計算されるのである。
E1=σp/ε0 E2=(σp+σy)/ε0 E3=(σp+σy+σm)/ε0
但し、σp は用紙Pの単位面積当りの電荷、σy はイエロートナーTYの単位面積当りの電荷、σm はマゼンタトナーTMの単位面積当りの電荷である。また、σy 等は前述のS2等の結果に応じて計算され、σp は、前述のσ=i/vL等の式によって転写電流に応じて計算される。
マゼンタトナーTMが存在しない場合は、空隙g2 ,g3 を合わせた空隙g23に対して電界E23=(σp+σy)/ε0 が計算され、トナーTが全く存在しない場合は、空隙g1 ,g2 ,g3 を合わせた空隙gに対して電界E123=σp/ε0 が計算される。更に、3色以上のトナーTが重なる場合は更に複雑な計算がなされるが、上記と同様の手法によって導くことができるので、ここでは説明を省略する。
図11に戻って、S321に続くS322では、電位差がパッシェン電圧を超えている空隙がないか否か判断される。パッシェン電圧を超えている空隙がある場合は(S322:N)、S323にて、電位差のパッシェン電圧に対する超過分が最大な空隙について、パッシェン電圧になるように電荷が移動される。S323の処理が上記超過分が最大な空隙についてなされた後は、再びS322によりパッシェン電圧を超えている空隙がないか判断され、そのような空隙がなくなるまでS322,S323の処理が繰り返された後(S322:Y)、処理は図10のS33へ移行する。
S33及びそれに続くS34では、S31,S32と同様の計算がニップ中の空隙に対してなされ、続くS35では、各トナーTに働く静電気力が計算される。例えば、図12に示した例の場合、イエロートナーTYが用紙Pの方向にdy移動したときのエネルギ変化分dWは次式で表される。
従って、この場合、イエロートナーTYに用紙Pの方向に作用する静電気力fy は次式で表される。
同様に、図12に示した例の場合、マゼンタトナーTMが用紙Pの方向にdy移動したときのエネルギ変化分dWは次式で表される。
従って、この場合、マゼンタトナーTMに用紙Pの方向に作用する静電気力fは次式で表される。
なお、上記各式において、S=1とおけば単位面積当りのエネルギまたは力を計算することができる。こうして、S35にて静電気力が計算されると、続くS36では、その静電気力に基づき、トナーTを用紙P側または感光体ドラム3側に仮想的に移動させる処理がなされる。更に、続くS37,S38では、S31,S32と同様の計算がニップ後の空隙に対してなされ、処理は図6のS4へ移行する。
S4では、上記のように計算された1色目のトナーTの帯電量(上記電荷移動後の帯電量)が設定される。続くS5では、S2と同様に2色目のトナーTに対する入力パラメータの設定がなされ、S4にて設定された1色目のトナーTの電荷移動後の帯電量とS5における設定結果とに基づいて、図10,図11に示した前述の処理がS6にて実行される。そして、その処理によって計算された電荷移動後の1色目,2色目のトナーTの帯電量が、S7にて更に設定される。
続くS8では、S2と同様に3色目のトナーTに対する入力パラメータの設定がなされ、S7にて設定された1色目,2色目のトナーTの電荷移動後の帯電量とS8における設定結果とに基づいて、図10,図11に示した前述の処理がS9にて実行される。そして、その処理によって計算された電荷移動後の1色目,2色目,3色目のトナーTの帯電量が、S10にて更に設定される。
更に続くS11では、S2と同様に4色目のトナーTに対する入力パラメータの設定がなされ、S10にて設定された1色目,2色目,3色目のトナーTの電荷移動後の帯電量とS11における設定結果とに基づいて、図10,図11に示した前述の処理がS12にて実行される。
以上のS2〜S12の処理により、最初の転写電流に対する計算処理が終了し、続くS15では、転写電流の更新がなされる。すなわち、図5の入力パラメータにおけるバイアス電荷の項目のnbiasに設定された刻み数で転写電流値レンジを割った値だけ転写電流を増加させる。続くS16では、転写電流レンジの全ての範囲に対して上記処理が終了したか否かを判断し、否の場合は、S15にて更新された転写電流に対してS2〜S15の処理が実行される。
そして、全電流範囲に対して上記処理が終了した場合は(S16:Y)、処理は続くS17へ移行する。S17では、各トナーTの、各転写電流毎の帯電量、静電気力、用紙P側へ移動したトナーTの数、感光体ドラム3(OPC)側へ移動(または残留)したトナーTの数、トナーTの位置などのデータが出力(例えばディスプレイ220に表示)され、処理が終了する。なお、このS17にて出力すべきデータは、図5の入力パラメータの結果表示の項目を適宜設定することにより、所望のデータを出力させることができる。
図13(A)は、イエロートナーTYにマゼンタトナーTMを重ねて転写する場合のシミュレーションにおいて、感光体ドラム3Mのニップ部における各トナーTの帯電量を転写電流毎に表したグラフである。また、図13(B)は、同条件のシミュレーションにおいて、感光体ドラム3Mのニップ部において各トナーTに作用する静電気力を転写電流毎に表したグラフである。各グラフにおいて、イエロートナーTYに対する計算結果はYで示す領域に分布し、マゼンタトナーTMに対する計算結果はMで示す領域に分布した。
これら二つのグラフより、転写電流の絶対値が大き過ぎるとマゼンタトナーTMが負に帯電し、その転写率が低下することが分かる。また、転写電流の最適値は、−10〜−20μAの辺りにあることが分かる。このように、本実施の形態の転写状態シミュレーション処理では、重ねて転写されるトナーT同士の間で生じる電荷移動も考慮してシミュレーションを行っているため、トナーTの転写状態を極めて正確にシミュレーションすることができる。
次に、上記転写状態シミュレーション処理を、プリンタ1の制御部10による制御に応用した例を説明する。本例では、図5の入力パラメータにおける@Yellow等の項目の代わりに、図1に仮想線で示したように、現像ユニットケース55にその中に収納されたトナーTの帯電量等の情報を表すICタグ310Y〜310Bが添付され、本体側にはそのICタグを読み取るICタグリーダ320Y〜320Bが設けられている。
図14は、この例における制御系の構成を表すブロック図である。図14に示すように、制御部10はCPU10a,ROM10b,RAM10cを備えたマイクロコンピュータとして構成されている。また、この制御部10には、前述のICタグリーダ320Y〜320B及びトナー量センサ113(4個接続されているが1個のみ図示)、並びに、電流源112によって印加される電圧を調整することにより転写電流を制御する転写電流制御部330などが接続されている。なお、制御部10には、この他、感光体ドラム3を始めとする各部を駆動するメインモータ340を始め、各種センサ及びアクチュエータが接続されているが、本発明には直接関係がないのでそれらの構成の説明を省略する。
図15は、この制御部10で、ROM10bに記録されたプログラムに基づいて実行される転写電流制御処理を表すフローチャートである。図15に示すように、この処理では、先ずS51にて、ICタグ310Y〜310Bに書き込まれた各トナーTの帯電特性等が、ICタグリーダ320Y〜320Bを介して読み取られる。続くS53では、トナー量センサ113が検出したトナー量が読み込まれる。なお、このトナー量の読み込みは、用紙Pの搬送に伴って各色のトナー像が感光体ドラム3Y,3M,3C,3Bに順次形成される毎に随時実行される。
続くS55では、S51,S53で得られた情報に基づいて前述の転写状態シミュレーション処理が実行され、各種転写電流に対するトナーTの帯電状態及び転写特性が算出される。すなわち、前述のS2,S5,S8,またはS11の処理を、S51及びS53にて情報を取得する処理に置き換えることによって、上記転写状態シミュレーション処理が1色毎に実行されるのである。続くS57では、このS55の算出結果を受けて、そのトナーTを転写する際に適切な転写電流が設定される。
続くS59では、S53〜S57の処理が4色全てに対して実行されたか否が判断され、否の場合はS53へ移行して次の色に対するS53〜S57の処理が実行され、4色全てに対してS53〜S57の処理が実行されると(S59:Y)、処理が終了する。
このような制御を行った場合、上記転写状態シミュレーション処理を介して決定された最適な転写電流によってトナーTの転写がなされるので、トナーTを用紙Pに良好に転写することができ、延いては、正確かつ鮮明な画像を形成することができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、上記実施の形態において、感光体ドラム3が像担持体に、現像ユニットケース55が現像剤保持手段に、転写ローラ61が帯電手段に、制御部10が制御手段に、ICタグ310が指示手段に、ICタグリーダ320が読取手段に、それぞれ相当する。また、上記説明では、感光体ドラム3Yが第1の像担持体に、イエロートナーTYが第1の現像剤に、感光体ドラム3Mが第2の像担持体に、マゼンタトナーTMが第2の現像剤に、それぞれ相当する。更に、パーソナルコンピュータ200の処理のうち、S2,S5,S8,S11,及びS321の処理が帯電状態設定処理に、S323の処理が電荷移動推定処理に、S35の処理が静電気力推定処理に、S36の処理が転写状態推定処理に、それぞれ相当する処理であり、制御部10の処理のうち、S51〜S55がシミュレーション手段に、S57が帯電状態制御手段に、それぞれ相当する処理である。
また、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。例えば、4色全部に対してシミュレーションを行わなくてもよく、例えば、イエローとマゼンタの2色に対してのみシミュレーションを行ってもよい。また、本発明におけるニップ前,ニップ中,ニップ後の3本の電気力線に沿って電荷移動を推定する構成は、モノクロプリンタにも応用可能である。
更に、像担持体はベルトであってもよい。また、本発明は、いわゆる中間転写ベルトを備えた画像形成装置にも適用することができ、感光体(ベルトであってもドラムであってもよい)を像担持体としたときは中間転写ベルトが被転写媒体に、中間転写ベルトを像担持体としたときは用紙等の被記録媒体が被転写媒体に、それぞれ相当する。
また更に、前述の各種処理をパーソナルコンピュータ,マイクロコンピュータ等に実行させるためのプログラムは、ハードディスク装置の他、ROM等の素子,フレキシブルディスク,コンパクトディスク,インターネット上のウェブサーバ等の各種記録媒体に記録することができることはいうまでもない。また、上記実施の形態では、用紙PやトナーTの電荷移動前における帯電状態(すなわち初期の帯電状態)の計算をある程度プログラム上で行うと共に感光体ドラム3の電位を0Vに自動設定しているが、これらの帯電状態は全てキーボード230またはプリンタ1の操作パネル(図示せず)から入力して設定してもよい。すなわち、本発明のプログラムには、帯電状態設定処理を構成するコマンドが全く含まれなくてもよい。
本発明を適用したカラーレーザプリンタの内部構成を表す概略断面図である。 この種のプリンタで生じていた課題を表す説明図である。 転写電流と用紙の帯電量との関係を表す説明図である。 実施の形態の転写状態シミュレーション処理を行うパーソナルコンピュータの構成を表す説明図である。 その転写状態シミュレーション処理で使用される入力パラメータの一例を表す説明図である。 その転写状態シミュレーション処理を表すフローチャートである。 その処理のうちのトナー入力パラメータ設定ルーチンを表すフローチャートである。 上記処理のうちのニップ前、中、後の電荷移動,トナー移動計算ルーチンが実行される電気力線を表す説明図である。 ギャップの長さと放電限界電界との関係を表す説明図である。 上記処理のうちのニップ前、中、後の電荷移動,トナー移動計算ルーチンを表すフローチャートである。 そのルーチンのうちの電荷の移動計算ルーチンを表すフローチャートである。 トナーが重なって転写される場合の空隙を表す説明図である。 上記処理によるシミュレーション結果の一例を表す説明図である。 上記カラーレーザプリンタの制御系の構成を表す説明図である。 その制御系で実行される転写電流制御処理を表すフローチャートである。
符号の説明
1…カラーレーザプリンタ 3…感光体ドラム 6…用紙搬送ベルト
8…定着部 9…給紙部 10…制御部 31…帯電器
41…スキャナユニット 51…現像ユニット 52…現像ローラ
55…現像ユニットケース 61…転写ローラ 113…トナー量センサ
200…パーソナルコンピュータ 214…ハードディスク装置 310…ICタグ
320…ICタグリーダ 330…転写電流制御部 P…用紙 T…トナー

Claims (10)

  1. 帯電した現像剤によって形成された像を担持する像担持体を複数備え、該各像担持体に担持された上記現像剤を、被転写媒体に静電的に転写して画像を形成する画像形成装置に対し、上記像担持体に担持された現像剤の転写状態をシミュレーションする転写状態シミュレーション方法であって、
    少なくとも一つの上記像担持体、その像担持体に担持される上記現像剤、及び上記被転写媒体の初期の帯電状態を設定する帯電状態設定処理と、
    該帯電状態設定処理により設定された上記帯電状態に基づき、上記像担持体に担持された現像剤が上記被転写媒体に転写される際の、上記像担持体,上記現像剤,上記被転写媒体の間で生じる電荷移動を推定する電荷移動推定処理と、
    該電荷移動推定処理により推定された電荷移動の後に上記現像剤に作用する静電気力を推定する静電気力推定処理と、
    該静電気力推定処理により推定された静電気力に基づき、上記現像剤の転写状態を推定する転写状態推定処理と、
    を備え、
    上記現像剤が、複数の上記像担持体により上記被転写媒体に重ねて転写される場合は、上記電荷移動推定処理では、上記重ねて転写される現像剤同士の間で生じる電荷移動も推定することを特徴とする転写状態シミュレーション方法。
  2. 上記帯電状態設定処理では、少なくとも二つの上記像担持体、その各像担持体にそれぞれ担持される上記各現像剤、及び上記被転写媒体の初期の帯電状態を設定し、
    上記二つの像担持体のうち、先に転写がなされる第1の像担持体に担持された第1の現像剤に関する上記電荷移動推定処理では、上記帯電状態設定処理により設定された上記第1の像担持体、上記第1の現像剤、及び上記被転写媒体の帯電状態に基づき上記電荷移動を推定し、
    上記二つの像担持体のうち、後から転写がなされる第2の像担持体に担持された第2の現像剤に関する上記電荷移動推定処理では、上記帯電状態設定処理により設定された上記第2の像担持体、上記第2の現像剤、及び上記被転写媒体の帯電状態、並びに、上記第1の現像剤に関する電荷移動推定処理により推定された電荷移動後の上記第1の現像剤の帯電状態に基づき、上記電荷移動を推定することを特徴とする請求項1記載の転写状態シミュレーション方法。
  3. 上記電荷移動推定処理では、上記被転写媒体に対向する前の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線と、上記被転写媒体に対向している上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線と、上記被転写媒体に対向した後の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線とからなる3本の電気力線に沿った電荷移動を推定することを特徴とする請求項1または2記載の転写状態シミュレーション方法。
  4. 帯電した現像剤によって形成された像を担持する像担持体を備え、該像担持体に担持された上記現像剤を、被転写媒体に静電的に転写して画像を形成する画像形成装置に対し、上記現像剤の転写状態をシミュレーションする転写状態シミュレーション方法であって、
    上記像担持体、上記現像剤、及び上記被転写媒体の初期の帯電状態を設定する帯電状態設定処理と、
    該帯電状態設定処理により設定された上記各帯電状態に基づき、上記像担持体に担持された現像剤が上記被転写媒体に転写される際の、上記像担持体,上記現像剤,上記被転写媒体の間で生じる電荷移動を推定する電荷移動推定処理と、
    該電荷移動推定処理により推定された電荷移動後に上記現像剤に作用する静電気力を推定する静電気力推定処理と、
    該静電気力推定処理により推定された静電気力に基づき、上記現像剤の転写状態を推定する転写状態推定処理と、
    を備え、
    上記電荷移動推定処理では、上記被転写媒体に対向する前の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線と、上記被転写媒体に対向している上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線と、上記被転写媒体に対向した後の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線とからなる3本の電気力線に沿った電荷移動を推定することを特徴とする転写状態シミュレーション方法。
  5. 上記被転写媒体に対向する前の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線の長さ、及び、上記被転写媒体に対向した後の上記像担持体表面から上記被転写媒体に到る電気力線の長さが、いずれも87.64μmを上回ることを特徴とする請求項3または4記載の転写状態シミュレーション方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の上記電荷移動推定処理及び上記転写状態推定処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  7. 請求項6記載のプログラムが、コンピュータによって読み取り可能に記録されたことを特徴とする記録媒体。
  8. 帯電した現像剤によって形成された像を担持する複数の像担持体と、
    該各像担持体毎に設けられ、対応する上記像担持体に担持させるべき上記現像剤を保持する複数の現像剤保持手段と、
    被転写媒体を帯電させることにより、上記各像担持体に担持された上記現像剤を上記被転写媒体に静電的に転写させる帯電手段と、
    該帯電手段による上記被転写媒体の帯電状態を制御する制御手段と、
    を備えた画像形成装置であって、
    上記制御手段が、
    請求項1〜5のいずれかに記載の転写状態シミュレーション方法により上記現像剤の転写状態をシミュレーションするシミュレーション手段と、
    該シミュレーション手段によりシミュレーションされた上記現像剤の転写状態に基づき、上記帯電手段による上記被転写媒体の帯電状態を制御する帯電状態制御手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  9. 上記各現像剤保持手段にそれぞれ添付され、上記各現像剤の帯電特性を指示する指示手段と、
    該各指示手段が指示する上記各帯電特性をそれぞれ読み取る読取手段と、
    を更に備え、
    上記シミュレーション手段が、上記読取手段が読み取った上記各帯電特性に基づき、上記現像剤の転写状態をシミュレーションすることを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
  10. 上記指示手段がICタグであり、
    上記読取手段がICタグリーダであることを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
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