JP2006208602A - 感光性組成物 - Google Patents

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Yusuke Hatanaka
優介 畠中
Kotaro Watanabe
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Abstract

【課題】 現像ラチチュードが広く、微小面積画像の再現性に優れた、赤外線レーザ用感応性のポジ型感光性組成物を提供する。
【解決手段】 (A)スルホニウム塩、(B)赤外線吸収剤、及び、(C)アルカリ可溶性樹脂を含有し、該(A)スルホニウム塩の還元電位Xと該(B)赤外線吸収剤の励起状態の酸化電位Yとが、X−Y≧0.10(eV)であることを特徴とする。(A)スルホニウム塩は、還元電位が−1.30eV以上であり、(B)赤外線吸収剤は励起状態の酸化電位が−1.30eV以下である化合物が好ましく用いられる。
【選択図】 なし

Description

本発明は主に、赤外線露光によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が変化するポジ型の平版印刷版の記録層として用いられる感光性組成物に関し、詳細にはコンピュータ等のデジタル信号に基づいて赤外線レーザ光を走査することにより直接製版できる、いわゆるダイレクト製版可能なポジ型平版印刷版の記録層に有用な感光性組成物に関する。
近年におけるレーザの発展は目ざましく、特に、近赤外線から赤外線領域に発光領域を持つ固体レーザや半導体レーザでは、高出力・小型化が進んでいる。したがって、コンピュータ等のディジタルデータから直接製版する際の露光光源として、これらのレーザは非常に有用である。
このような赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザを露光光源として使用する赤外線レーザ用ポジ型平版印刷版は、支持体上に、アルカリ水溶液可溶性のバインダー樹脂と、光を吸収し熱を発生するIR染料等とを必須成分とする画像形成材料を記録層として有するものであり、記録層を構成する感光性組成物あるいは画像形成材料として、種々のものが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。このような画像形成材料の画像形成機構としては、画像記録材料中のIR染料等が、前記バインダー樹脂との相互作用により、該バインダー樹脂の溶解性を実質的に低下させる溶解阻止剤として働くため、非露光部(画像部)では、アルカリ現像液に対する耐溶解性を有する。一方、赤外線レーザを露光して書き込みを行うと、露光部(非画像部)では、IR染料等が光を吸収して熱を発生するため、IR染料等と前記バインダー樹脂との相互作用が低下されるか、又は、解除され、露光部(非画像部)のみがアルカリ現像液に溶解し、画像が形成される。しかしながら、このような赤外線レーザ用ポジ型画像形成材料は、様々な使用条件における未露光部(画像部)の現像液に対する耐溶解性と、露光部(非画像部)の溶解性との間の差が未だ十分とは言えず、使用条件による現像安定性(現像ラチチュード)が低く、現像液の濃度変動にによる現像過剰や現像不良が起きやすいという問題があった。特に、小面積の網点、細線などでは、この影響を受けやすく、微小面積画像やハイライト部の画像再現性が不十分であり、さらなる改良が望まれていた。
国際公開第97/39894号パンフレット 特開平11−44956号公報 特開平11−218914号公報
本発明の目的は、上記従来の技術の問題点を飛躍的に改良し、現像ラチチュードが広く、微小面積画像の再現性に優れた、赤外線レーザ用感応性のポジ型感光性組成物を提供することである。
本発明者は鋭意研究の結果、感光性組成物に赤外線吸収剤との特定の組み合わせにおいて、高分解性を発現しうるオニウム塩を含有させることで上記課題目的が達成される条件を見出した。
即ち、本発明の感光性組成物は、(A)スルホニウム塩、(B)赤外線吸収剤、及び、(C)アルカリ可溶性樹脂を含有し、該(A)スルホニウム塩の還元電位Xと該(B)赤外線吸収剤の励起状態の酸化電位Yとが、X−Y≧0.10(eV)であることを特徴とする。
ここで用いられる(A)スルホニウム塩としては、還元電位が−1.30eV以上であるものが好ましく、また、(B)赤外線吸収剤としては、励起状態の酸化電位が−1.30eV以下であるものが効果の観点から好ましい。
このようなに、特定の酸化還元電位差を有する(A)スルホニウム塩と(B)赤外線吸収剤とを組み合わせることで、(A)スルホニウム塩の分解性が向上し、例えば、赤外線レーザ照射後のスルホニウム塩は5%以上、さらに好ましくは10%以上分解することになり、現像ラチチュードの向上に有用であると考えられる。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推測される。(A)スルホニウム塩は(C)アルカリ可溶性樹脂と高い相互作用を形成し、未露光部では現像液に対する高い溶解抑制効果を発現するとともに、露光部では、(B)赤外線吸収剤の発熱による相互作用の解除作用に加え、(A)スルホニウム塩が高分解率で分解し、酸が発生すること、及び、(A)スルホニウム塩と(C)アルカリ可溶性樹脂との相互作用が消失することで、相互作用の解除効果が促進され、速やかに画像記録層が溶解する。このため、未露光部と露光部のアルカリ現像液に対する溶解性の差(ディスクリミネーション)が飛躍的に広がり、高感度化、及び、現像ラチチュード拡大の効果が発現すると思われる。
また、本発明におけるスルホニウム塩の分解は、赤外線吸収剤から発せられる熱ではなく、主として、赤外線レーザ露光により生じる電子移動によるものと推測され、このため、前記相互作用の解除効果はレーザ光照射部にのみに精度高く発現され、熱の移動による解除作用において生じる、所望されない領域への熱伝導による相互作用解除効果の拡散が抑制され、網点・細線などの小面積画像をより忠実に再現することにより、ハイライト部の画像再現性が向上したと考えられる。
本発明によれば、現像ラチチュードが広く、微小面積画像の再現性に優れたポジ型感光性組成物を得ることができる。本発明の感光性組成物は、、赤外線レーザ感応性のポジ型平版印刷版原版の記録層として有用である。
本発明の感光性組成物は、(A)スルホニウム塩、(B)赤外線吸収剤、及び、(C)アルカリ可溶性樹脂を含有し、該(A)スルホニウム塩の還元電位Xと該(B)赤外線吸収剤の励起状態の酸化電位Yとが、X−Y≧0.10(eV)であることを特徴とする。 以下に、各成分について順次説明する。
〔(A)スルホニウム塩〕
本発明に係る(A)スルホニウム塩は、共存する(B)赤外線吸収剤との間に「(A)スルホニウム塩の還元電位Xと該(B)赤外線吸収剤の励起状態の酸化電位Yとが、X−Y≧0.10(eV)である」という関係が成り立つものであれば特に制限はないが、還元電位が−1.30eV以下のものが、現像ラチチュード拡大、及び、ハイライト部の画像再現性向上などの効果の観点から好ましく、−1.20eV以下であるものがさらに好ましく、−1.10eV以下のものがより好ましい。
本発明に好適に用いられる(A)スルホニウム塩としては、より具体的には、下記一般式(II)で表される構造を有するスルホニウム塩が挙げられる。
以下に、本発明に用いられる好ましい(A)スルホニウム塩の構造を示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2006208602
式(II)中、R21、R22及びR23は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。
21、R22及びR23で表される炭化水素基に導入される好ましい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、または炭素原子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられる。
(Z21-は強酸残基を示す。そのような強酸残基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物、無機酸化合物等の残基が挙げられる。このような強酸残基を形成しうる化合物は、pKa<5である化合物が好ましい。適当な無機強酸残基は、ハロゲン化物アニオン、HSO4 -、及びハロゲン含有錯アニオン、例えば、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアーセネート、およびヘキサフルオロアンチモネートである。好ましくは、フッ素原子を含む無機酸化合物が挙げられる。フッ素原子を含む無機酸化合物の具体例としては、例えば、テトラフルオロホウ酸、テトラフルオロアルミン酸、テトラフルオロ鉄酸、テトラフルオロガリウム酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロヒ素酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、ヘキサフルオロケイ素酸、ヘキサフルオロニッケル酸、ヘキサフルオロチタン酸、ヘキサフルオロジルコン酸等が挙げられ、中でも、ヘキサフルオロリン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロアンチモン酸等が好ましい。
本発明における(A)スルホニウム塩の還元電位は、サイクリックボルタンメトリー法により測定した値を用いているが、構造により還元電位が文献上明確な場合には、その値を用いてもよい。
上記(Z21-で表される残基を構成するスルホン酸化合物の具体例としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ノナンスルホン酸、デカンスルホン酸、ウンデカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、トリデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、ペンタデカンスルホン酸、ヘキサデカンスルホン酸、ヘプタデカンスルホン酸、オクタデカンスルホン酸、ノナデカンスルホン酸、イコサンスルホン酸、ヘンイコサンスルホン酸、ドコサンスルホン酸、トリコサンスルホン酸、テトラコンサンスルホン酸等のアルキルスルホン酸、例えば、フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、クロロメタンスルホン酸、ジクロロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ブロモメタンスルホン酸、ジブロモメタンスルホン酸、トリブロモメタンスルホン酸、ヨードメタンスルホン酸、ジヨードメタンスルホン酸、トリヨードメタンスルホン酸、フルオロエタンスルホン酸、ジフルオロエタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、クロロエタンスルホン酸、ジクロロエタンスルホン酸、トリクロロエタンスルホン酸、ペンタクロロエタンスルホン酸、トリブロモエタンスルホン酸、ペンタブロモエタンスルホン酸、トリヨードエタンスルホン酸、ぺンタヨードエタンスルホン酸、フルオロプロパンスルホン酸、トリフルオロプロパンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、クロロプロパンスルホン酸、トリクロロプロパンスルホン酸、ヘプタクロロプロパンスルホン酸、ブロモプロパンスルホン酸、トリブロモプロパンスルホン酸、ヘプタブロモプロパンスルホン酸、トリヨードプロパンスルホン酸、ヘプタヨードプロパンスルホン酸、トリフルオロブタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、トリクロロブタンスルホン酸、ノナクロロブタンスルホン酸、トリブロモブタンスルホン酸、ノナブロモブタンスルホン酸、トリヨードブタンスルホン酸、ノナヨードブタンスルホン酸、
トリフルオロペンタンスルホン酸、パーフルオロペンタンスルホン酸、トリクロロペンタンスルホン酸、パークロロペンタンスルホン酸、トリブロモペンタンスルホン酸、パーブロモペンタンスルホン酸、トリヨードペンタンスルホン酸、パーヨードペンタンスルホン酸、トリフルオロヘキサンスルホン酸、パーフルオロヘキサンスルホン酸、トリクロロヘキサンスルホン酸、パークロロヘキサンスルホン酸、パーブロモヘキサンスルホン酸、パーヨードヘキサンスルホン酸、トリフルオロヘプタンスルホン酸、パーフルオロヘプタンスルホン酸、トリクロロヘプタンスルホン酸、パークロロヘプタンスルホン酸、パーブロモヘプタンスルホン酸、パーヨードヘプタンスルホン酸、トリフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、トリクロロオクタンスルホン酸、パークロロオクタンスルホン酸、パーブロモオクタンスルホン酸、パーヨードオクタンスルホン酸、トリフルオロノナンスルホン酸、パーフルオロノナンスルホン酸、トリクロロノナンスルホン酸、パークロロノナンスルホン酸、パーブロモノテンスルホン酸、パーヨードノナンスルホン酸、トリフルオロデカンスルホン酸、パーフルオロデカンスルホン酸、トリクロロデカンスルホン酸、パークロロデカンスルホン酸、パーブロモデカンスルホン酸、パーヨードデカンスルホン酸、トリフルオロウンデカンスルホン酸、パーフルオロウンデカンスルホン酸、トリクロロウンデカンスルホン酸、パークロロウンデカンスルホン酸、パーブロモウンデカンスルホン酸、パーヨードウンデカンスルホン酸、トリフルオロドデカンスルホン酸、パーフルオロドデカンスルホン酸、トリクロロドデカンスルホン酸、パークロロドデカンスルホン酸、パーブロモドデカンスルホン酸、パーヨードドデカンスルホン酸、トリフルオロトリデカンスルホン酸、パーフルオロトリデカンスルホン酸、トリクロロトリデカンスルホン酸、パークロロトリデカンスルホン酸、パーブロモトリデカンスルホン酸、パーヨードトリデカンスルホン酸、
トリフルオロテトラデカンスルホン酸、パーフルオロテトラデカンスルホン酸、トリクロロテトラデカンスルホン酸、パークロロテトラデカンスルホン酸、パーブロモテトラデカンスルホン酸、パーヨードテトラデカンスルホン酸、トリフルオロペンタデカンスルホン酸、パーフルオロペンタデカンスルホン酸、トリクロロペンタデカンスルホン酸、パークロロペンタデカンスルホン酸、パーブロモペンタデカンスルホン酸、パーヨードペンタデカンスルホン酸、パーフルオロヘキサデカンスルホン酸、パークロロヘキサデカンスルホン酸、パーブロモヘキサデカンスルホン酸、パーヨードヘキサデカンスルホン酸、パーフルオロヘプタデカンスルホン酸、パークロロヘプタデカンスルホン酸、パーブロモヘプタデカンスルホン酸、パーヨードヘプタデカンスルホン酸、パーフルオロオクタデカンスルホン酸、パークロロオクタデカンスルホン酸、パーブロモオクタデカンスルホン酸、パーヨードオクタデカンスルホン酸、パーフルオロノナデカンスルホン酸、パークロロノナデカンスルホン酸、パーブロモノナデカンスルホン酸、パーヨードノナデカンスルホン酸、パーフルオロイコサンスルホン酸、パークロロイコサンスルホン酸、パーブロモイコサンスルホン酸、パーヨードイコサンスルホン酸、パーフルオロヘンイコサンスルホン酸、パークロロヘンイコサンスルホン酸、パーブロモヘンイコサンスルホン酸、パーヨードヘンイコサンスルホン酸、パーフルオロドコサンスルホン酸、パークロロドコサンスルホン酸、パーブロモドコサンスルホン酸、パーヨードドコサンスルホン酸、パーフルオロトリコサンスルホン酸、パークロロトリコサンスルホン酸、パーブロモトリコサンスルホン酸、パーヨードトリコサンスルホン酸、パーフルオロテトラコンサンスルホン酸、パークロロテトラコンサンスルホン酸、パーブロモテトラコンサンスルホン酸、パーヨードテトラコンサンスルホン酸等のハロアルキルスルホン酸、
シクロペンタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸等のシクロアルキルスルホン酸、例えば、2−フルオロシクロペンタンスルホン酸、2−クロロシクロペンタンスルホン酸、2−ブロモシクロペンタンスルホン酸、2−ヨードシクロペンタンスルホン酸、3−フルオロシクロペンタンスルホン酸、3−クロロシクロペンタンスルホン酸、3−ブロモシクロペンタンスルホン酸、3−ヨードシクロペンタンスルホン酸、3,4−ジフルオロシクロペンタンスルホン酸、3,4−ジクロロシクロペンタンスルホン酸、3,4−ジブロモシクロペンタンスルホン酸、3,4−ジヨードシクロペンタンスルホン酸、4−フルオロシクロヘキサンスルホン酸、4−クロロシクロヘキサンスルホン酸、4−ブロモシクロヘキサンスルホン酸、4−ヨードシクロヘキサンスルホン酸、2,4−ジフルオロシクロヘキサンスルホン酸、2,4−ジクロロシクロヘキサンスルホン酸、2,4−ジブロモシクロヘキサンスルホン酸、2,4−ジヨードシクロヘキサンスルホン酸、2,4,6−トリフルオロシクロヘキサンスルホン酸、2,4,6−トリクロロシクロヘキサンスルホン酸、2,4,6−トリブロモシクロヘキサンスルホン酸、2,4,6−トリヨードシクロヘキサンスルホン酸、テトラフルオロシクロヘキサンスルホン酸、テトラクロロシクロヘキサンスルホン酸、テトラブロモシクロヘキサンスルホン酸、テトラヨードシクロヘキサンスルホン酸等のハロゲン化シクロアルキルスルホン酸、
ベンゼンスルホン酸、ナンタレンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、フェナントレンスルホン酸、ピレンスルホン酸等の芳香族スルホン酸、例えば、2−フルオロベンゼンスルホン酸、3−フルオロベンゼンスルホン酸、4−フルオロベンゼンスルホン酸、2−クロロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ブロモべンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、4−ブロモベンゼンスルホン酸、2−ヨードベンゼンスルホン酸、4−ヨードベンゼンスルホン酸、2,4−ジフルオロベンゼンスルホン酸、2,6−ジフルオロベンゼンスルホン酸、2,4−ジクロロベンゼンスルホン酸、2,6−ジクロロベンゼンスルホン酸、2,4−ジブロモベンゼンスルホン酸、2,6−ジブロモベンゼンスルホン酸、2,4−ジヨードベンゼンスルホン酸、2,6−ジヨードベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリフルオロベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリフルオロベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリクロロベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリブロモベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリブロモベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリヨードベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヨードベンゼンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、ペンタクロロベンゼンスルホン酸、ペンタブロモベンゼンスルホン酸、ペンタヨードベンゼンスルホン酸、フルオロナフタレンスルホン酸、クロロナフタレンスルホン酸、ブロモナフタレンスルホン酸、ヨードナフタレンスルホン酸、フルオロアントラセンスルホン酸、クロロアントラセンスルホン酸、ブロモアントラセンスルホン酸、ヨードアントンセンスルホン酸等のハロゲン化芳香族スルホン酸、
p−トルエンスルホン酸、4−イソプロピルベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(トリメチル)ベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(イソプロピル)ベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリス(トリメチル)ベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリス(イソプロピル)ベンゼンスルホン酸等のアルキル芳香族スルホン酸、例えば、2−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸、2−トリクロロメチルベンゼンスルホン酸、2−トリブロモメチルベンゼンスルホン酸、2−トリヨードメチルベンゼンスルホン酸、3−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸、3−トリクロロメチルベンゼンスルホン酸、3−トリブロモメチルベンゼンスルホン酸、3−トリヨードメチルベンゼンスルホン酸、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホン酸、4−トリクロロメチルベンゼンスルホン酸、4−トリブロモメチルベンゼンスルホン酸、4−トリヨードメチルベンゼンスルホン酸、2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸、2,6−ビス(トリクロロメチル)ベンゼンスルホン酸、2,6−ビス(トリブロモメチル)ベンゼンスルホン酸、2,6−ビス(トリヨードメチル)ベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(トリクロロメチル)ベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(トリブロモメチル)ベンゼンスルホン酸、3,5−ビス(トリヨードメチル)ベンゼンスルホン酸等のハロゲン化アルキル芳香族スルホン酸、例えば、ベンジルスルホン酸、フェネチルスルホン酸、フェニルプロピルスルホン酸、フェニルブチルスルホン酸、フェニルペンチルスルホン酸、フェニルヘキシルスルホン酸、フェニルヘプチルスルホン酸、フェニルオクチルスルホン酸、フェニルノニルスルホン酸等の芳香脂肪族スルホン酸、
4−フルオロフェニルメチルスルホン酸、4−クロロフェニルメチルスルホン酸、4−ブロモフェニルメチルスルホン酸、4−ヨードフェニルメチルスルホン酸、テトラフルオロフェニルメチルスルホン酸、テトラクロロフェニルメチルスルホン酸、テトラブロモフェニルメチルスルホン酸、テトラヨードフェニルメチルスルホン酸、4−フルオロフェニルエチルスルホン酸、4−クロロフェニルエチルスルホン酸、4−ブロモフェニルエチルスルホン酸、4−ヨードフェニルエチルスルホン酸、4−フルオロフェニルプロピルスルホン酸、4−クロロフェニルプロピルスルホン酸、4−ブロモフェニルプロピルスルホン酸、4−ヨードフェニルプロピルスルホン酸、4−フルオロフェニルブチルスルホン酸、4−クロロフェニルブチルスルホン酸、4−ブロモフェニルブチルスルホン酸、4−ヨードフェニルブチルスルホン酸等のハロゲン化芳香脂肪族スルホン酸、例えば、カンファースルホン酸、アダマンタンカルボン酸等の脂環式スルホン酸等が挙げられる。
中でも、入手性、製造適性の面から、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸が特に好ましい。
上記(Z21-表される残基を構成するカルボン酸化合物の具体例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸等の脂肪族不飽和カルボン酸、例えば、フルオロ酢酸、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、ジフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、ジブロモ酢酸、ジヨード酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸、トリヨード酢酸、2−フルオロプロピオン酸、2−クロロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、2−ヨードプロピオン酸、トリフルオロプロピオン酸、トリクロロプロピオン酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ペンタクロロプロピオン酸、ペンタブロモプロピオン酸、ペンタヨードプロピオン酸、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(トリクロロメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(トリブロモメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(トリヨードメチル)プロピオン酸、トリフルオロ酪酸、トリクロロ酪酸、ペンタフルオロ酪酸、ヘプタクロロ酪酸、ヘプタフルオロ酪酸、ヘプタブロモ酪酸、ヘプタヨード酪酸、ヘプタフルオロイソ酪酸、ヘプタクロロイソ酪酸、ヘプタブロモイソ酪酸、ヘプタヨードイソ路酸、トリフルオロ吉草酸、5H−パーフルオロ吉草酸、5H−パークロロ吉草酸、5H−パーブロモ吉草酸、5H−パーヨード吉草酸、ノナフルオロ吉草酸、ノナクロロ吉草酸、ノナブロモ吉草酸、ノナヨード吉草酸、トリフルオロヘキサン酸、トリクロロヘキサン酸、パーフルオロヘキサン酸、パークロロヘキサン酸、パーブロモヘキサン酸、パーヨードヘキサン酸、7−クロロドデカフルオロヘプタン酸、7−クロロドデカクロロヘプタン酸、7−クロロドデカブロモヘプタン酸、7−クロロドデカヨードヘプタン酸、トリフルオロヘプタン酸、トリクロロヘプタン酸、7H−パーフルオロヘプタン酸、7H−パークロロヘプタン酸、7H−パーブロモヘプタン酸、7H−パーヨードヘプタン酸、
トリフルオロオクタン酸、トリクロロオクタン酸、ペンタデカフルオロオクタン酸、ペンタデカクロロオクタン酸、ペンタデカブロモオクタン酸、ペンタデカヨードオクタン酸、トリフルオロノナン酸、トリクロロノナン酸、9H−ヘキサデカフルオロノナン酸、9H−ヘキサデカクロロノナン酸、9H−ヘキサデカブロモノナン酸、9H−ヘキサデカヨードノナン酸、パーフルオロノナン酸、パークロロノナン酸、パーブロモノナン酸、パーヨードノナン酸、トリフルオロデカン酸、トリクロロデカン酸、ノナデカフルオロデカン酸、ノナデカクロロデカン酸、ノナデカブロモデカン酸、ノナデカヨードデカン酸、トリフルオロウンデカン酸、トリクロロウンデカン酸、パーフルオロウンデカン酸、パークロロウンデカン酸、パーブロモヴンデカン酸、パーヨードウンデカン酸、トリフルオロドデカン酸、トリクロロドデカン酸、パーフルオロドデカン酸、パークロロドデカン酸、パーブロモドデカン酸、パーヨードドデカン酸、トリフルオロトリデカン酸、トリクロロトリデカン酸、パーフルオロトリデカン酸、パークロロトリデカン酸、パーブロモトリデカン酸.パーヨードトリデカン酸、トリフルオロテトラデカン酸、トリクロロテトラデカン酸、パーフルオロテトラデカン酸、パークロロテトラデカン酸、パーブロモテトラデカン酸、パーヨードテトラデカン酸、トリフルオロペンタデカン酸、トリクロロペンタデカン酸、パーフルオロペンタデカン酸、パークロロペンタデカン酸、パーブロモペンタデカン酸、パーヨードペンタデカン酸、パーフルオロヘキサデカン酸、パークロロヘキサデカン酸、パーブロモヘキサデカン酸、パーヨードヘキサデカン酸、パーフルオロヘプタデカン酸、パークロロヘプタデカン酸、パーブロモヘプタデカン酸、パーヨードヘプタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸、パークロロオクタデカン酸、パーブロモオクタデカン酸、パーヨードオクタデカン酸、パーフルオロノナデカン酸、パークロロノナデカン酸、パーブロモノナデカン酸、パーヨードノナデカン酸、パーフルオロイコサン酸、パークロロイコサン酸、パーブロモイコサン酸、パーヨードイコサン酸、パーフルオロヘンイコサン酸、パークロロヘンイコサン酸、パーブロモヘンイコサン酸、パーヨードヘンイコサン酸、パーフルオロドコサン酸、パークロロドコサン酸、パーブロモドコサン酸、パーヨードドコサン酸、パーフルオロトリコサン酸、パークロロトリコサン酸、パーブロモトリコサン酸、パーヨードトリコサン酸等のハロゲン化飽和脂肪酸カルボン酸、
グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、3−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸等のヒドロキシ脂肪族カルボン酸、例えば、3−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−(トリクロロメチル)プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−(トリブロモメチル)プロピオン酸、3−ヒドロキシ−2−(トリヨードメチル)プロピオン酸、2−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチル)酪酸、2−ヒドロキシ−2−(トリクロロメチル)路酸、2−ヒドロキシ−2−(トリブロモメチル)酪酸、2−ヒドロキシ−2−(トリヨードメチル)酪酸等のハロゲン化ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、例えば、シクロヘキサンカルボン酸、樟脳酸、アダマンタン酸等の脂環式カルボン酸、例えば、4−フルオロシクロヘキサンカルボン酸、4−クロロシクロヘキサンカルボン酸、4−ブロモシクロヘキサンカルボン酸、4−ヨードシクロヘキサンカルボン酸、ペンタフルオロシクロヘキサンカルボン酸、ペンタクロロシクロヘキサンカルボン酸、ペンタブロモシクロヘキサンカルボン酸、ペンタヨードシクロヘキサンカルボン酸、4−(トリフルオロメチル)シクロヘキサンカルボン酸、4−(トリクロロメチル)シクロヘキサンカルボン酸、4−(トリブロモメチル)シクロヘキサンカルボン酸、4−(トリヨードメチル)シクロへキサンカルボン酸等のハロゲン化脂環式カルボン酸、
安息香酸、ナフトエ酸、アントラセンカルボン酸、ピレンカルボン酸、ピリレンカルボン酸、ベンタフェンカルボン酸等の芳香族カルボン酸、例えば、フルオロ安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、ヨード安息香酸、ジフルオロ安息香酸、ジクロロ安息香酸、ジブロモ安息香酸、ジヨード安息香酸、トリフルオロ安息香酸、トリクロロ安息香酸、トリブロモ安息香酸、トリヨード安息香酸、テトラフルオロ安息香酸、テトラクロロ安息香酸、テトラブロモ安息香酸、テトラヨード安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、ペンタクロロ安息香酸、ペンタブロモ安息香酸、ベンタヨード安息香酸、フルオロナフトエ酸、クロロナフトエ酸、ブロモナフトエ酸、ヨードナフトエ酸、パーフルオロナフトエ酸、パークロロナフトエ酸、パーブロモナフトエ酸、パーヨードナフトエ酸、フルオロアントラセンカルボン酸、クロロアントラセンカルボン酸、ブロモアントンセンカルボン酸、ヨードアントラセンカルボン酸、パーフルオロアントラセンカルボン酸、パークロロアントラセン力ルボン酸、パーブロモアントラセンカルボン酸、パーヨードアントラセンカルボン酸等のハロゲン化芳香族カルボン酸、ベンゾイル蟻酸、
トルイル酸、2,4,6−トリ(イソプロピル)安息香酸等のアルキル芳香族カルボン酸、例えば、2−トリフルオロメチル安息香酸、2−トリクロロメチル安息番酸、2−トリブロモメチル安息香酸、2−トリヨードメチル安息香酸、3−トリフルオロメチル安息香酸、3−トリクロロメチル安息香酸、3−トリブロモメチル安息香酸、3−トリヨードメチル安息香酸、4−トリフルオロメチル安息香酸、4−トリクロロメチル安息香酸、4−トリブロモメチル安息香酸、4−トリヨードメチル安息香酸、2−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)安息香酸、2−クロロ−4−(トリクロロメチル)安息香酸、2−ブロモ−4−(トリブロモメチル)安息香酸、2,3,4−トリフルオロ−6−(トリフルオロメチル)安息香酸、2,3,4−トリクロロ−6−(トリクロロメチル)安息香酸、2,3,4−トリブロモ−6−(トリブロモメチル)安息香酸、2,3,4−トリヨード−6−(トリヨードメチル)安息香酸、2−ヨード−4−(トリヨードメチル)安息香酸、2,4−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸、2,4−ビス(トリクロロメチル)安息香酸、2,4−ビス(トリブロモメチル)安息香酸、2,4−ビス(トリヨードメチル)安息香酸、2,6−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸、2,6−ビス(トリクロロメチル)安息香酸、2,6−ビス(トリブロモメチル)安息香酸、2,6−ビス(トリヨードメチル)安息香酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)安息香酸、3,5−ビス(トリクロロメチル)安息香酸、3,5−ビス(トリブロモメチル)安息香酸、3,5−ビス(トリヨードメチル)安息香酸、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)安息香酸、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)安息香酸、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)安息香酸、2,4,6−トリス(トリヨードメチル)安息香酸、2−クロロ−6−フルオロ−3−メチル安息香酸、トリフルオロメチルナフトエ酸、トリクロロメチルナフトエ酸、トリブロモメチルナフトエ酸、トリヨードメチルナフトエ酸、
ビス(トリフルオロメチル)ナフトエ酸、ビス(トリクロロメチル)ナフトエ酸、ビス(トリブロモメチル)ナフトエ酸、ビス(トリヨードメチル)ナフトエ酸、トリス(トリフルオロメチル)ナフトエ酸、トリス(トリクロロメチル)ナフトエ酸、トリス(トリブロモメチル)ナフトエ酸、トリス(トリヨードメチル)ナフトエ酸、トリフルオロメチルアントンセンカルボン酸、トリクロロメチルアントンセンカルボン酸、トリブロモメチルアントラセンカルボン酸、トリヨードメチルアントラセンカルボン酸等のハロアルキル芳香族カルボン酸、例えば、アニス酸、ベルトラム酸、o−ベルトラム酸等のアルコキシ芳香族カルボン酸、例えば、4−トリフルオロメトキシ安息香酸、4−トリクロロメトキシ安息香酸、4−トリブロモメトキシ安息香酸、4−トリヨードメトキシ安息香酸、4−ペンタフルオロエトキシ安息香酸、4−ペンタクロロエトキシ安息香酸、4−ペンタブロモエトキシ安息香酸、4−ベンタヨードエトキシ安息香酸、3,4−ビス(トリフルオロメトキシ)安息香酸、3,4−ビス(トリクロロメトキシ)安息香酸、3,4−ビス(トリブロモメトキシ)安息香酸、3,4−ビス(トリヨードメトキシ)安息香酸、2,5−ビス(2,2,2−トリフルオロエトキシ)安息香酸、2,5−ビス(2,2,2−トリクロロエトキシ)安息香酸、2,5−ビス(2,2,2−トリブロモエトキシ)安息香酸、2,5−ビス(2,2,2−トリヨードエトキシ)安息香酸等のハロアルコキシ芳香族カルボン酸、例えば、サリチル酸、o−ピロカテク酸、α−レゾルシル酸、ゲンチジン酸、α−レゾルシル酸、プロトカテク酸、α−レゾルシル酸、没食子酸等のヒドロキシ芳香族カルボン酸、例えば、バニリン酸、イソバニリン酸等のヒドロキシアルコキシ芳香族カルボン酸、例えば、トリニトロ安息香酸等のエトロ芳香族カルボン酸、例えば、アントラニル酸等のアミノ芳香族カルボン酸、例えば、α−トルイル酸、ヒドロ桂皮酸、ヒドロアトロパ酸、3−フェニルプロピオン酸、4−フェニル酪酸、5−フェニルペンタン酸、6−フェニルヘキサン酸、7−フェニルヘプタン酸、6−(2−ナフチル)ヘキサン酸等の芳香脂肪族カルボン酸、例えば、ホモゲンチジン酸等のヒドロキシ芳香脂肪族カルボン酸、例えば、マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸、トロパ酸、アトログリセリン酸等の方香族ヒドロキシアルキルカルボン酸、例えば、2−ホルミル酢酸、アセト酢酸、3−ベンゾイルプロピオン酸等、4−ホルミル酪酸、3−オキソ吉草酸、5−オキソ吉草酸、3,5−ジオキソ吉草酸、6−ホルミルヘキサンカルボン酸、2−オキソ−1−シクロヘキサンカルボン酸、4−(2−オキソブチル)安息香酸、p−(3−ホルミルプロピル)安息香酸、4−ホルミルフェニル酢酸、β−オキソシクロヘキサンプロピオン酸、ピルビン酸等のオキソカルボン酸が挙げられる。
中でも、ベンゾイル蟻酸、酢酸、安息香酸が特に好ましい。
本発明において好適に用いることのできる一般式(II)で示される(A)スルホニウム塩の具体例を、その構造と還元電位とともに以下に挙げるが、本発明はこれに制限されるものではない。
Figure 2006208602
本発明の感光性組成物中、(A)スルホニウム塩の含有量は、固形分換算で、1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%の範囲であることがより好ましい。
〔(B)赤外線吸収剤〕
本発明に係る(B)特定赤外線吸収剤は、700nm以上、好ましくは750〜1200nmの赤外域に光吸収域を有し、この範囲の波長域の光により、光/熱変換能を発現する物質、具体的には、上記波長域の光を吸収し熱を発生する種々の染料または顔料であって、共存する(A)スルホニウム塩との間に「(A)スルホニウム塩の還元電位Xと該(B)赤外線吸収剤の励起状態の酸化電位Yとが、X−Y≧0.10(eV)である」という関係が成り立つものであれば特に制限なく用いることができる。
この観点から選択された本発明に係る(B)赤外線吸収剤は、前記の吸収域を有する染料、顔料の中でも、励起状態の酸化電位が−1.30eV以下であるものが好ましく、−1.35eV以下であるものがさらに好ましく、−1.40eV以下のものがより好ましい。
本発明における励起状態の酸化電位はサイクリックボルタンメトリー法により測定した値を用いているが、化合物の構造などにより励起状態の酸化電位が文献上明確な場合には、その値を用いてもよい。
本発明で使用される(B)赤外線吸収剤の例〔(I−1)〜(I−3)〕を以下に示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、下記赤外線吸収剤の励起状態における酸化電位は、(1−1):−1.35eV、(I−3):−1.45eV、(I−3):−1.48eVである。
Figure 2006208602
これらの(B)赤外線吸収剤である顔料もしくは染料は、本発明の感光性組成物を構成する全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは0.1〜10質量%の割合で添加することができる。顔料もしくは染料の添加量が0.01質量%未満であると感度が低くなる傾向がある。また、50質量%を越えて配合すると、配合量の増加にしたがって感光性組成物を塗布して記録層を形成する場合、被膜の均一性や耐久性に好ましくない影響を与えるおそれがでてくる。
なお、本発明においては、前記特定の酸化還元電位差を有する(A)スルホニウム塩及び(B)赤外線吸収剤を組み合わせて用いることが必要である。このような組み合わせを選択することで、本発明の効果に関与する(A)スルホニウム塩の分解率が向上し、本発明の優れた効果を達成できる。このとき、(A)スルホニウム塩の分解率は5%以上となり、好ましい態様においては、10%以上となる。公知のオニウム塩の分解率が3〜5%であることを考慮すれば、本発明の構成によりオニウム塩の分解性が改良されていることがわかる。なお、感光性組成物中の(A)スルホニウム塩の分解率は、液体クロマトグラフィーにより、露光前後における(A)スルホニウム塩を定量し、該定量値の比率により測定することができる。
〔(C)アルカリ可溶性樹脂〕
本発明に用いうる(C)アルカリ可溶性樹脂にはは、特に制限はなく、ポジ型感光性組成物に用いられている公知のアルカリ可溶性樹脂を適宜選択して用いることができるが、好ましい例としてはノボラック樹脂を挙げることができる。
具体的には、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−、m−/p−混合、m−/o−混合およびo−/p−混合のいずれでもよい。)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのノボラック樹脂としては、重量平均分子量は1,500以上、数平均分子量が300以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が3,000〜300,000で、数平均分子量が500〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。
ノボラック樹脂以外に好適に用いられるアルカリ可溶性樹脂例としては、下記(1)〜(5)に挙げる酸性基を高分子の主鎖及び/又は側鎖中に有するものが挙げられる。
(1)スルホンアミド基
(2)活性イミド基
(3)カルボン酸基
(4)スルホン酸基
(5)リン酸基
(1)スルホンアミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スルホンアミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、窒素原子に少なくとも一つの水素原子が結合したスルホンアミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物が挙げられる。中でも、アクリロイル基、アリル基、またはビニロキシ基と、置換あるいはモノ置換アミノスルホニル基または置換スルホニルイミノ基と、を分子内に有する低分子化合物が好ましく、例えば、下記一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2006208602
〔式中、X1、X2は、それぞれ独立に−O−または−NR7を表す。R1、R4は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R2、R5、R9、R12、及び、R16は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。R3、R7、及び、R13は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。また、R6、R17は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基を表す。R8、R10、R14は、それぞれ独立に水素原子又は−CH3を表す。R11、R15は、それぞれ独立に単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基又はアラルキレン基を表す。Y1、Y2は、それぞれ独立に単結合又はCOを表す。〕
一般式(i)〜一般式(v)で表される化合物のうち、本発明の感光性組成物に用いられる樹脂組成物では、特に、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(2)活性イミド基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、活性イミド基を有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分として構成される重合体を挙げることができる。上記のような化合物としては、下記構造式で表される活性イミド基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物を挙げることができる。
Figure 2006208602
具体的には、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等を好適に使用することができる。
(3)カルボン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
(4)スルホン酸基を有するアルカリ可溶性高分子としては、例えば、スルホン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成単位とする重合体を挙げることができる。
(5)リン酸基を有するアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、リン酸基と、重合可能な不飽和基と、を分子内にそれぞれ1以上有する化合物に由来する最小構成単位を主要構成成分とする重合体を挙げることができる。
本発明の感光性組成物に用いられるアルカリ可溶性樹脂を構成する、前記(1)〜(5)より選ばれる酸性基を有する最小構成単位は、特に1種類のみである必要はなく、同一の酸性基を有する最小構成単位を2種以上、または異なる酸性基を有する最小構成単位を2種以上共重合させたものを用いることもできる。
前記共重合体は、共重合させる(1)〜(5)より選ばれる酸性基を有する化合物が共重合体中に10モル%以上含まれているものが好ましく、20モル%以上含まれているものがより好ましい。10モル%未満であると、現像ラチチュードを十分に向上させることができない傾向がある。
前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、スルホンアミド基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーと共重合させるモノマー成分としては、例えば、下記(m1)〜(m12)に挙げるモノマーを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
(m1)2−ヒドロキシエチルアクリレート又は2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸エステル類。
(m2)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルアクリレート、等のアルキルアクリレート。
(m3)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、グリシジルメタクリレート、等のアルキルメタクリレート。
(m4)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド等のアクリルアミド若しくはメタクリルアミド。
(m5)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類。
(m6)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類。
(m7)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類。
(m8)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類。
(m9)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類。
(m10)N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等。
(m11)マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等の不飽和イミド。
(m12)アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸。
本発明における(C)アルカリ可溶性樹脂としては、前記フェノール性水酸基を有する重合性モノマー、又は活性イミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体が好ましく、特にm−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等の、スルホンアミド基を有する重合性モノマーの単独重合体或いは共重合体のものが好ましい。また重量平均分子量は2,000以上、数平均分子量が500以上のものが好ましい。更に好ましくは、重量平均分子量が5,000〜300,000で、数平均分子量が800〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。また、本発明においてアルカリ可溶性樹脂がフェノールホルムアルデヒド樹脂、クレゾールアルデヒド樹脂等の樹脂である場合には、重量平均分子量が500〜20,000であり、数平均分子量が200〜10,000のものが好ましい。
これら(C)アルカリ可溶性樹脂は、それぞれ1種類或いは2種類以上を組合せて使用してもよく、本発明の感光性組成物全固形分中、30〜99質量%、好ましくは40〜95質量%、特に好ましくは50〜90質量%の添加量で用いられる。アルカリ可溶性樹脂の添加量が30質量%未満であるとこの感光性組成物を平版印刷版原版の記録層として用いた場合の耐久性が悪化する懸念があり、また、99質量%を超えると感度、耐久性の両面で好ましくない。
〔その他の成分〕
本発明の感光性組成物には、更に必要に応じて、種々の添加剤を添加することができる。
例えば、本発明の効果を損なわない範囲において、前記(A)スルホニウム塩との間で特定の酸化還元電位差を有する選択された(B)赤外線吸収剤以外の、以下に記載する公知の赤外線吸収剤〔(A)スルホニウム塩との間に特定の酸化還元電位差を有しない一般的な赤外線吸収剤〕も、併用することができる。
〔公知の赤外線吸収剤〕
染料としては、市販の染料、例えば「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体、オキソノール染料、ジイモニウム染料、アミニウム染料、クロコニウム染料等の染料が挙げられる。
好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクアリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。
また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。さらに、下記一般式(a)〜一般式(e)で示される染料が光熱変換効率に優れるため好ましく、特に下記一般式(a)で示されるシアニン色素は、本発明に係る感光性組成物で使用した場合に、アルカリ溶解性樹脂との高い相互作用を与え、且つ、安定性、経済性に優れるため最も好ましい。
Figure 2006208602
一般式(a)中、X1は、水素原子、ハロゲン原子、−NPh2、X2−L1又は以下に示す基を表す。ここで、X2は酸素原子又は、硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、ヘテロ原子を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。なお、ここでヘテロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Seを示す。
Figure 2006208602
前記式中、Xa-は、後述するZa-と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキル基、アリ−ル基、置換又は無置換のアミノ基、ハロゲン原子より選択される置換基を表す。R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。記録層塗布液の保存安定性から、R1及びR2は、炭素原子数2個以上の炭化水素基であることが好ましく、さらに、R1とR2とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成していることが特に好ましい。
Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。また、好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられる。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。好ましい置換基としては、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R5、R6、R7及びR8は、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。原料の入手性から、好ましくは水素原子である。また、Za-は、対アニオンを示す。ただし、R1〜R8のいずれかにスルホ基が置換されている場合は、Za-は必要ない。好ましいZa-は、記録層塗布液の保存安定性から、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、及びスルホン酸イオンであり、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、及びアリールスルホン酸イオンである。
本発明において、用いることのできる一般式(a)で示されるシアニン色素の具体例としては、以下に例示するものの他、特開2001−133969明細書の段落番号[0017]〜[0019]、特開2002−40638明細書の段落番号[0012]〜[0038]、特開2002−23360明細書の段落番号[0012]〜[0023]に記載されたものを挙げることができる。
Figure 2006208602
前記一般式(b)中、Lは共役炭素原子数7以上のメチン鎖を表し、該メチン鎖は置換基を有していてもよく、置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。Zb+は対カチオンを示す。好ましい対カチオンとしては、アンモニウム、ヨ−ドニウム、スルホニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、アルカリ金属カチオン(Na+、K+、Li+)などが挙げられる。R9〜R14及びR15〜R20は互いに独立に水素原子又はハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基から選択される置換基、或いは、これらを2つ若しくは3つ組合せた置換基を表し、互いに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、前記一般式(b)中、Lが共役炭素原子数7のメチン鎖を表すもの、及び、R9〜R14及びR15〜R20がすべて水素原子を表すものが入手の容易性と効果の観点から好ましい。
本発明において、好適に用いることのできる一般式(b)で示される染料の具体例としては、以下に例示するものを挙げることができる。
Figure 2006208602
前記一般式(c)中、Y3及びY4は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、セレン原子、又はテルル原子を表す。Mは、共役炭素数5以上のメチン鎖を表す。R21〜R24及びR25〜R28は、それぞれ同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、又はアミノ基を表す。また、式中Za-は対アニオンを表し、前記一般式(a)におけるZa-と同義である。
Figure 2006208602
前記一般式(d)中、R29ないしR31は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を示す。R33及びR34は各々独立に、アルキル基、置換オキシ基、又はハロゲン原子を示す。n及びmは各々独立に0ないし4の整数を示す。R29とR30、又はR31とR32はそれぞれ結合して環を形成してもよく、またR29及び/又はR30はR33と、またR31及び/又はR32はR34と結合して環を形成しても良く、さらに、R33或いはR34が複数存在する場合に、R33同士あるいはR34同士は互いに結合して環を形成してもよい。X2及びX3は各々独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、X2及びX3の少なくとも一方は水素原子又はアルキル基を示す。Qは置換基を有していてもよいトリメチン基又はペンタメチン基であり、2価の有機基とともに環構造を形成してもよい。Zc-は対アニオンを示し、前記一般式(a)におけるZa-と同義である。
Figure 2006208602
前記一般式(e)中、R35〜R50はそれぞれ独立に、置換基を有してもよい水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、水酸基、カルボニル基、チオ基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシ基、アミノ基、オニウム塩構造を示す。Mは2つの水素原子若しくは金属原子、ハロメタル基、オキシメタル基を示すが、そこに含まれる金属原子としては、周期律表のIA、IIA、IIIB、IVB族原子、第一、第二、第三周期の遷移金属、ランタノイド元素が挙げられ、中でも、銅、マグネシウム、鉄、亜鉛、コバルト、アルミニウム、チタン、バナジウムが好ましい。
前記顔料としては、市販の顔料またはカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)および「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
前記顔料の種類としては、例えば、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラックを用いることができる。
これらの顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤、エポキシ化合物、ポリイソシアネート)を顔料表面に結合させる方法等が挙げられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると感光層の均一性の点で好ましくない。
顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライタ−、パ−ルミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
このような公知の赤外線吸収剤の含有量は、(A)スルホニウム塩との関連において選択された特定の(B)赤外線吸収剤に対して50質量%以下であることが効果の観点から好ましく、また、このような公知の赤外線吸収剤と(B)特定赤外線吸収剤との総量が感光性組成物全固形分中0.01〜50質量%の範囲とすることが好ましい。
また、感光性組成物により形成された被膜のアルカリ現像液に対する溶解性を調節する目的で、(C)アルカリ可溶性樹脂の現像液への溶解阻止機能を向上させるいわゆる溶解抑止剤を添加することが好ましい。このような機能を有する化合物としては、前記本発明に係る特定の(A)スルホニウム塩以外のオニウム塩、芳香族スルホン化合物、芳香族スルホン酸エステル化合物、多官能アミン化合物等などが挙げられ、中でも、オニウム塩、o−キノンジアジド化合物、スルホン酸アルキルエステル等の熱分解性であり、分解しない状態ではアルカリ可溶性樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質を併用することが、画像部の現像液への溶解阻止性の向上を図る点で好ましい。
本発明において併用しうる(B)赤外線吸収剤との関連において選択された特定の(A)スルホニウム塩以外のオニウム塩として、好適なものとしては、例えばS.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、特開平5−158230号公報に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3−140140号の明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4,491,628号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull.,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同3,902,114号、同5,041,358号、同4,491,628号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等があげられる。
これらのオニウム塩の中でも、溶解阻止能や熱分解性の観点から、ジアゾニウム塩及び4級アンモニウム塩が特に好ましい。特に、ジアゾニウム塩としては、特開平5−158230号公報に記載の一般式(I)で示されるジアゾニウム塩や特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)で示されるジアゾニウム塩が好ましく、可視光領域の吸収波長が小さい特開平11−143064号公報に記載の一般式(1)で示されるジアゾニウム塩が最も好ましい。また4級アンモニウム塩としては、特開2002−229186号公報に記載された化学式〔化5〕〔化6〕中の(1)〜(10)に示される4級アンモニウム塩が好ましい。
このようなオニウム塩の対イオンとしては、四フッ化ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸、5−ニトロ−o−トルエンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2−ニトロベンゼンスルホン酸、3−クロロベンゼンスルホン酸、3−ブロモベンゼンスルホン酸、2−フルオロカプリルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、1−ナフトール−5−スルホン酸、2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイル−ベンゼンスルホン酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に六フッ化リン酸、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸や2,5−ジメチルベンゼンスルホン酸のごときアルキル芳香族スルホン酸が好適である。
好適なキノンジアジド類としてはo−キノンジアジド化合物を挙げることができる。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物は、少なくとも1個のo−キノンジアジド基を有する化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を増すものであり、種々の構造の化合物を用いることができる。つまり、o−キノンジアジドは熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うことと、o−キノンジアジド自身がアルカリ可溶性の物質に変化することの両方の効果により感材系の溶解性を助ける。本発明に用いられるo−キノンジアジド化合物としては、例えば、J.コーサー著「ライト−センシティブ・システムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339〜352頁に記載の化合物が使用できるが、特に種々の芳香族ポリヒドロキシ化合物あるいは芳香族アミノ化合物と反応させたo−キノンジアジドのスルホン酸エステル又はスルホン酸アミドが好適である。また、特公昭43−28403号公報に記載されているようなベンゾキノン(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,120号及び同第3,188,210号に記載されているベンゾキノン−(1,2)−ジアジドスルホン酸クロライド又はナフトキノン−(1,2)−ジアジド−5−スルホン酸クロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステルも好適に使用される。
さらにナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとフェノールホルムアルデヒド樹脂あるいはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、ナフトキノン−(1,2)−ジアジド−4−スルホン酸クロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使用される。その他の有用なo−キノンジアジド化合物としては、数多くの特許に報告され知られている。例えば特開昭47−5303号、特開昭48−63802号、特開昭48−63803号、特開昭48−96575号、特開昭49−38701号、特開昭48−13354号、特公昭41−11222号、特公昭45−9610号、特公昭49−17481号、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの各明細書中に記載されているものをあげることができる。
分解性溶解抑止剤である特定の(A)スルホニウム塩以外のオニウム塩、及び/または、o−キノンジアジド化合物の添加量は、好ましくは記録層の全固形分に対し、1〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%、特に好ましくは1〜2質量%の範囲である。これらの化合物は単一で使用できるが、数種の混合物として使用してもよい。
o−キノンジアジド化合物以外の添加剤の添加量は、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.1〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1.5質量%である。本発明に係る添加剤と結着剤は、同一層へ含有させることが好ましい。
また、分解性を有さない溶解抑止剤を併用してもよく、好ましい溶解抑止剤としては、特開平10−268512号公報に詳細に記載されているスルホン酸エステル、燐酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族ジスルホン、カルボン酸無水物、芳香族ケトン、芳香族アルデヒド、芳香族アミン、芳香族エーテル等、同じく特開平11−190903号公報に詳細に記載されているラクトン骨格、N,N−ジアリールアミド骨格、ジアリールメチルイミノ骨格を有し着色剤を兼ねた酸発色性色素、同じく特開2000−105454号公報に詳細に記載されている非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
また、他の添加剤としては、感度を向上させる目的で、環状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を併用することができる。
環状酸無水物としては米国特許第4,115,128号明細書に記載されている無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドオキシ−4−テトラヒドロ無水フタル酸、テトラクロル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル無水マレイン酸、α−フェニル無水マレイン酸、無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが使用できる。フェノール類としては、ビスフェノールA、p−ニトロフェノール、p−エトキシフェノール、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”−トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4”−テトラヒドロキシ−3,5,3’,5’−テトラメチルトリフェニルメタンなどが挙げられる。更に、有機酸類としては、特開昭60−88942号、特開平2−96755号公報などに記載されている、スルホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸類、ホスホン酸類、リン酸エステル類、及びカルボン酸類などが挙げられる。
上記の環状酸無水物、フェノール類、及び有機酸類の記録層中に占める割合は、0.05〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%である。
また、これら以外にも、エポキシ化合物、ビニルエーテル類、更には特開平8−276558号公報に記載のヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物及び本発明者らが先に提案した特開平11−160860号公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有する架橋性化合物等を目的に応じて適宜添加することができる。
本発明の感光性組成物は、赤外線レーザ対応ポジ型平版印刷版原版の記録層に有用であるのは先に述べたとおりである、このような態様で用いる場合には、後述する界面活性剤、画像着色剤、および可塑剤などを好適にポジ型記録層の添加剤として使用することができる。以下、本発明の感光性組成物を平版印刷版原版の記録層に適用した場合に好ましい併用成分について述べる。
ポジ型記録層には、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼き出し剤や、画像着色剤としての染料や顔料を加えることができる。
焼き出し剤としては、露光による加熱によって酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩を形成し得る有機染料の組合せを代表として挙げることができる。具体的には、特開昭50−36209号、同53−8128号の各公報に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53−36223号、同54−74728号、同60−3626号、同61−143748号、同61−151644号及び同63−58440号の各公報に記載されているトリハロメチル化合物と塩形成性有機染料の組合せを挙げることができる。かかるトリハロメチル化合物としては、オキサゾール系化合物とトリアジン系化合物とがあり、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き出し画像を与える。
画像の着色剤としては、前述の塩形成性有機染料以外に他の染料を用いることができる。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料として油溶性染料と塩基性染料を挙げることができる。具体的にはオイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)などを挙げることができる。また、特開昭62−293247号公報に記載されている染料は特に好ましい。これらの染料は、記録層全固形分に対し、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜3質量%の割合で記録層中に添加することができる。
更に、本発明の感光性組成物には必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタリル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリル酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられる。
本発明の感光性組成物は、赤外線レーザ露光により、アルカリ現像液に対する溶解性が向上し、未露光部では被膜が残存し、露光部では被膜が溶解するという機構を利用した種々の分野に応用可能であり、例えば、画像記録材料、カラープルーフ等に適用することができるが、なかでも、平版印刷版原版の記録層として用いた場合にその効果が著しいといえる。以下、その応用例について詳細に説明する。
〔平版印刷版原版〕
本発明の感光性組成物を平版印刷版原版の記録層として用いる場合には、適当な親水性支持体の表面に該感光性組成物からなる被膜(画像記録層)を形成すればよい。
〔相構成〕
本発明の感光性組成物を用いた平版印刷版原版の画像記録層の形態は特に制限されず、例えば、単層構造、相分離構造、及び重層構造のいずれでも用いることができる。
単層型記録層としては、例えば特開平7−285275号公報、国際公開97/39894号パンフレット記載の感光層、相分離型記録層としては、例えば特開平11−44956号公報記載の感光層、重層型記録層としては、例えば特開平11−218914号公報、米国特許第6352812B1号、米国特許第6352811B1号、米国特許第6358669B1号、米国特許第6534238B1号、欧州特許第864420B1号明細書記載の感光層として用いることができるが、これらに限定されない。
(塗布溶剤及び塗布方法)
本発明の感光性組成物は、溶媒に溶かし適当な支持体上に塗布することにより画像記録層を製造することができる。また、目的に応じて、後述する保護層、樹脂中間層、バックコート層なども同様にして形成することができる。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン等をあげることができるがこれに限定されるものではない。これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
また塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般に、乾燥後の塗膜量(複数の層を有する場合その合計量)が0.5〜5.0mg/m2となる量が好ましく、0.6〜2.0mg/m2となる量がより好ましい。
感光性組成物塗布液を塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。塗布量が少なくなるにつれて、見かけの感度は大になるが、感光膜の皮膜特性は低下する。
〔平版印刷版原版の作製〕
(支持体)
本発明の感光性組成物を用いた平版印刷版原版に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、必要な強度、可撓性などの物性を満たすものであれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフイルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフイルム等が挙げられる。
本発明に適用し得る支持体としては、ポリエステルフイルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であるアルミニウム板は特に好ましい。好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしくは蒸着されたプラスチックフイルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は総量で10質量%以下であることが好ましい。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。
このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来公知の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組合せた方法も利用することができる。この様に粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理及び中和処理された後、所望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが一般的には電解質の濃度が1〜80質量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2より少ないと耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。陽極酸化処理を施された後、アルミニウム表面は必要により親水化処理が施される。本発明に使用される親水化処理としては、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、第3,280,734号及び第3,902,734号に開示されているようなアルカリ金属シリケート(例えばケイ酸ナトリウム水溶液)法がある。この方法においては、支持体がケイ酸ナトリウム水溶液で浸漬処理されるか又は電解処理される。他に特公昭36−22063号公報に開示されているフッ化ジルコン酸カリウム及び米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号、同第4,689,272号に開示されているようなポリビニルホスホン酸で処理する方法などが用いられる。
(下塗層)
本発明に係る平版印刷版原版は、支持体上に先述したような感光性組成物からなる画像記録層をを設けたものであるが、必要に応じて支持体と該画像記録層との間に下塗層を設けることができる。この下塗層を設けることで、支持体と画像記録層との間に存在する下塗層が断熱層として機能し、赤外線レーザの露光により発生した熱が支持体に拡散せず、効率よく使用されることから、高感度化が図れるという利点を有する。また、本発明に係る画像記録層は、この下塗層を設ける際にも、露光面或いはその近傍に位置するため、赤外線レーザに対する感度は良好に維持される。
なお、未露光部においては、アルカリ現像液に対して非浸透性である記録層自体が下塗層の保護層として機能するために、現像安定性が良好になるとともにディスクリミネーションに優れた画像が形成され、且つ、経時的な安定性も確保されるものと考えられ、露光部においては、溶解抑制能が解除された記録層の成分が速やかに現像液に溶解、分散し、さらには、支持体に隣接して存在するこの下塗層自体がアルカリ可溶性高分子からなるものであるため、現像液に対する溶解性が良好で、例えば、活性の低下した現像液などを用いた場合でも、残膜などが発生することなく速やかに溶解し、現像性の向上にも寄与し、この下塗層は有用であると考えられる。
下塗層成分としては種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有してもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸及びエチレンジホスホン酸などの有機ホスホン酸、置換基を有してもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸及びグリセロリン酸などの有機リン酸、置換基を有してもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸及びグリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸、グリシンやβ−アラニンなどのアミノ酸類、及びトリエタノールアミンの塩酸塩などのヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等から選ばれるが、2種以上混合して用いてもよい。
さらに下記式(1)で示される構造単位を有する有機高分子化合物群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む下塗層も好ましい。
Figure 2006208602
11は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を表し、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、−OR14、−COOR15、−CONHR16、−COR17若しくは−CNを表すか、又はR12及びR13が結合して環を形成してもよく、R14〜R17はそれぞれ独立してアルキル基又はアリール基を表し、Xは水素原子、金属原子、NR18192021を表し、R18〜R21はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基若しくは置換アリール基を表すか、又はR18及びR19が結合して環を形成してもよく、mは1〜3の整数を表す。
また、本発明における好適な下塗層成分として、特開2000−241962号公報に記載の酸基を有する構成成分とオニウム基を有する構成成分とを有する高分子化合物を挙げることができる。具体的には、酸基を有するモノマーとオニウム基を有するモノマーの共重合体が挙げられる。酸基として好ましいのは酸解離指数(pKa)が7以上の酸基であり、より好ましくは−COOH、−SO3H、−OSO3H、−PO32、−OPO32、−CONHSO2−、または−SO2NHSO2−であり、特に好ましくは−COOHである。酸基を有するモノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、上記酸基を有するスチレンなどが挙げられる。オニウム塩として好ましいのは、周期表V族あるいは第VI族の原子からなるオニウム基であり、より好ましくは窒素原子、リン原子あるいは硫黄原子から成るオニウム塩であり、特に好ましくは窒素原子から成るオニウム塩である。オニウム塩を有するモノマーの具体例としては、側鎖にアンモニウム基を有するメタクリレート、メタクリルアミド、第4級アンモニウム基などのオニウム基を含む置換基などのオニウム基を含む置換基を有するスチレン等が挙げられる。
さらに、特開2000−108538号公報、特願2002−257484号公報、特願2003−78699号公報、等に記載されているような化合物についても、必要に応じて用いることができる。
これらの下塗層は次のような方法で設けることができる。即ち、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布、乾燥して設ける方法と、水又はメタノール、エタノール、メチルエチルケトンなどの有機溶剤もしくはそれらの混合溶剤に上記の有機化合物を溶解させた溶液に、アルミニウム板を浸漬して上記化合物を吸着させ、その後水などによって洗浄、乾燥して下塗層を設ける方法である。前者の方法では、上記の有機化合物の0.005〜10質量%の濃度の溶液を種々の方法で塗布できる。また後者の方法では、溶液の濃度は0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜5質量%であり、浸漬温度は20〜90℃、好ましくは25〜50℃であり、浸漬時間は0.1秒〜20分、好ましくは2秒〜1分である。これに用いる溶液は、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化カリウムなどの塩基性物質や、塩酸、リン酸などの酸性物質によりpH1〜12の範囲に調整することもできる。また、画像記録材料の調子再現性改良のために黄色染料を添加することもできる。下塗層の被覆量は、2〜200mg/m2が適当であり、好ましくは5〜100mg/m2である。上記の被覆量が2mg/m2よりも少ないと十分な耐刷性能が得られない。また、200mg/m2より大きくても同様である。
本発明の感光性組成物は熱により画像形成される。即ち、本発明の感光性組成物からなる画像記録層は、加熱により局所的にアルカリ現像液に対する溶解性が向上するため、具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光により画像記録可能であるが、先に述べたように、本発明においては、(B)赤外線吸収剤との関連において選択された特定の(A)スルホニウム塩に係る電子移動による分解が画像形成機構に重要な役割を果たすため、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
レーザの出力は100mW以上が好ましく、露光時間を短縮するため、マルチビームレーザデバイスを用いることが好ましい。また、1画素あたりの露光時間は20μ秒以内であることが好ましく、記録材料に照射されるエネルギーは10〜500mJ/cm2であることが好ましい。
本発明の感光性組成物に適用することのできる現像液は、pHが9.0〜14.0の範囲、好ましくは12.0〜13.5の範囲にある現像液である。現像液(以下、補充液も含めて現像液と呼ぶ)には、従来公知のアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ塩が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記のアルカリ水溶液の内、本発明による効果が発揮される現像液は、一つは塩基としてケイ酸アルカリを含有した、又は塩基にケイ素化合物を混ぜてケイ酸アルカリとしたものを含有した、所謂「シリケート現像液」と呼ばれるpH12以上の水溶液で、もう一つのより好ましい現像液は、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖(緩衝作用を有する有機化合物)と塩基とを含有したいわゆる「ノンシリケート現像液」である。
前者においては、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に〔SiO2〕/〔M2O〕のモル比で表す)と濃度によって現像性の調節が可能であり、例えば、特開昭54−62004号公報に開示されているような、SiO2/Na2Oのモル比が1.0〜1.5(即ち〔SiO2〕/〔Na2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の含有量が1〜4質量%のケイ酸ナトリウムの水溶液や、特公昭57−7427号公報に記載されているような、〔SiO2〕/〔M〕が0.5〜0.75(即ち〔SiO2〕/〔M2O〕が1.0〜1.5)であって、SiO2の濃度が1〜4質量%であり、かつ該現像液がその中に存在する全アルカリ金属のグラム原子を基準にして少なくとも20%のカリウムを含有している、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液が好適に用いられる。
また、ケイ酸アルカリを含有せず、非還元糖と塩基とを含有したいわゆる「ノンシリケート現像液」が、本発明の感光性組成物を用いた平版印刷版の現像に適用するのには一層好ましい。この現像液を用いて、平版印刷版の現像処理を行うと、感光層の表面を劣化させることがなく、かつ感光層の着肉性を良好な状態に維持することができる。また、平版印刷版材料は、一般には現像ラチチュードが狭く、現像液pHによる画線幅等の変化が大きいが、ノンシリケート現像液にはpHの変動を抑える緩衝性を有する非還元糖が含まれているため、シリケートを含む現像処理液を用いた場合に比べて有利である。更に、非還元糖は、シリケートに比べて液活性度を制御するための電導度センサーやpHセンサー等を汚染し難いため、この点でも、ノンシリケート現像液は有利である。また、ディスクリミネーション向上効果が顕著である。これは、本発明において重要な現像液との接触(浸透)がマイルドとなり、露光部及び未露光部の差が出やすくなっているためと推定される。
前記非還元糖とは、遊離のアルデヒド基やケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体、及び糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類され、何れも本発明において好適に用いることができる。なお、本発明においては、特開平8−305039号公報に記載された非還元糖を好適に使用することができる。
前記トレハロース型少糖類としては、例えば、サッカロース、トレハロース等が挙げられる。前記配糖体としては、例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体等が挙げられる。前記糖アルコールとしては、例えば、D,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシット、アロズルシット等が挙げられる。更に、二糖類のマルトースに水素添加したマルチトール、オリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)等が好適に挙げられる。これらの非還元糖の中でも、トレハロース型少糖類、糖アルコールが好ましく、その中でも、D−ソルビット、サッカロース、還元水あめ、等が適度なpH領域に緩衝作用があり、低価格である点で好ましい。
これらの非還元糖は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。前記非還元糖の前記ノンシリケート現像液中における含有量としては、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると十分な緩衝作用が得られなくなる傾向があり、30質量%を越えると高濃縮化し難く、また原価も高くなる傾向がある。
また、前記非還元糖と組み合わせて用いられる塩基としては、従来公知のアルカリ剤、例えば、無機アルカリ剤、有機アルカリ剤等が挙げられる。無機アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸二アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸アンモニウム等が挙げられる。
有機アルカリ剤としては、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジン等が挙げられる。
前記塩基は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの塩基の中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。また、本発明においては、前記ノンシリケート現像液として、非還元糖と塩基との併用に代えて、非還元糖のアルカリ金属塩を主成分としたものを用いることもできる。
また、前記ノンシリケート現像液に、前記非還元糖以外の弱酸と強塩基とからなるアルカリ性緩衝液を併用することができる。前記弱酸としては、解離定数(pKa)が10.0〜13.2のものが好ましく、例えば、Pergmon Press 社発行のIonization Constants of Organic Acidsin Aqueous Solution 等に記載されているものから選択できる。
具体的には、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノ−ル−1、トリフルオロエタノール、トリクロロエタノール等のアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド(、ピリジン−4−アルデヒド(等のアルデヒド類、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、カテコール、没食子酸、スルホサリチル酸、3,4−ジヒドロキシスルホン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール、o−、m−,p−クレゾール、レゾルソノール等のフェノール性水酸基を有する化合物、アセトキシム、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム、ジメチルグリオキシム、エタンジアミドジオキシム、アセトフェノンオキシム等のオキシム類、アデノシン、イノシン、グアニン、シトシン、ヒポキサンチン、キサンチン等の核酸関連物質、その他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸、ベンズイミダゾール、バルビツル酸等が好適に挙げられる。
前記現像液及び補充液には、現像性の促進や抑制、現像カスの分散または、印刷版画像部の親インキ性を高める目的で、必要に応じて、種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。前記界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が好ましい。更に、前記現像液及び補充液には、必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤等を加えることができる。
前記現像液及び補充液を用いて現像処理された感光性組成物は、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。前記感光性組成物を印刷版として使用する場合の後処理としては、これらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
更に自動現像機を用いて現像する場合には、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換する事なく、多量のPS版を処理できることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。現像液及び補充液には現像性の促進や抑制、現像カスの分散及び印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々の界面活性剤や有機溶剤を添加できる。
好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系及び両性界面活性剤があげられる。更に現像液及び補充液には必要に応じて、ハイドロキノン、レゾルシン、亜硫酸、亜硫酸水素酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩等の還元剤、更に有機カルボン酸、消泡剤、硬水軟化剤を加えることもできる。
上記現像液及び補充液を用いて現像処理された印刷版は水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂化液で後処理される。本発明に係る印刷版原版の後処理としては、これらの処理を種々組合せて用いることができる。
近年、製版・印刷業界では製版作業の合理化及び標準化のため、印刷版用の自動現像機が広く用いられている。この自動現像機は、一般に現像部と後処理部からなり、印刷版を搬送する装置と各処理液槽及びスプレー装置からなり、露光済みの印刷版を水平に搬送しながら、ポンプで汲み上げた各処理液をスプレーノズルから吹き付けて現像処理するものである。また、最近は処理液が満たされた処理液槽中に液中ガイドロールなどによって印刷版を浸漬搬送させて処理する方法も知られている。このような自動処理においては、各処理液に処理量や稼働時間等に応じて補充液を補充しながら処理することができる。また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
本発明に係る感光性組成物を用いた平版印刷版においては、画像露光し、現像し、水洗及び/又はリンス及び/又はガム引きして得られた平版印刷版に不必要な画像部(例えば原画フイルムのフイルムエッジ跡など)がある場合には、その不必要な画像部の消去が行なわれる。このような消去は、例えば特公平2−13293号公報に記載されているような消去液を不必要画像部に塗布し、そのまま所定の時間放置したのちに水洗することにより行う方法が好ましいが、特開平59−174842号公報に記載されているようなオプティカルファイバーで導かれた活性光線を不必要画像部に照射したのち現像する方法も利用できる。
以上のようにして得られた平版印刷版は所望により不感脂化ガムを塗布したのち、印刷工程に供することができるが、より一層の高耐刷力平版印刷版としたい場合には、所望によりバーニング処理が施される。
平版印刷版をバーニングする場合には、バーニング前に特公昭61−2518号、同55−28062号、特開昭62−31859号、同61−159655号の各公報に記載されているような整面液で処理することが好ましい。
その方法としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿にて、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバット中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーターによる塗布などが適用される。また、塗布した後でスキージ、あるいは、スキージローラーで、その塗布量を均一にすることは、より好ましい結果を与える。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥質量)が適当である。整面液が塗布された平版印刷版は必要であれば乾燥された後、バーニングプロセッサー(たとえば富士写真フイルム(株)より販売されているバーニングプロセッサー:「BP−1300」)などで高温に加熱される。この場合の加熱温度及び時間は、画像を形成している成分の種類にもよるが、180〜300℃の範囲で1〜20分の範囲が好ましい。
バーニング処理された平版印刷版は、必要に応じて適宜、水洗、ガム引きなどの従来より行なわれている処理を施こすことができるが水溶性高分子化合物等を含有する整面液が使用された場合にはガム引きなどのいわゆる不感脂化処理を省略することができる。この様な処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機等にかけられ、多数枚の印刷に用いられる。
以下、本発明を実施例に従って説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜3、比較例1、2〕
〔支持体の作製〕
厚さ0.3mmのJIS−A−1050アルミニウム板を用いて、下記に示す工程を経て処理することで支持体を作製した。
(a)機械的粗面化処理
比重1.12の研磨剤(ケイ砂)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は8μm、最大粒径は50μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
(b)アルカリエッチング処理
上記で得られたアルミニウム板に温度70℃のNaOH水溶液(濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%)をスプレーしてエッチング処理を行い、アルミニウム板を6g/m2溶解した。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(c)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(d)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル)、温度50℃であった。交流電源波形は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、DUTY比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助陽極にはフェライトを用いた。使用した電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(e)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.20g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(f)デスマット処理
温度30℃の硝酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
(g)電気化学的粗面化処理
60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/リットル水溶液(アルミニウムイオンを5g/リットル含む)、温度35℃であった。交流電源波形は矩形波であり、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽はラジアルセルタイプのものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dm2であった。
その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(h)アルカリエッチング処理
アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(i)デスマット処理
温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
(j)陽極酸化処理
電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度は43℃であった。その後、井水を用いてスプレーによる水洗を行った。
電流密度はともに約30A/dm2であった。最終的な酸化皮膜量は2.7g/m2であった。
<支持体A>
上記(a)〜(j)の各工程を順に行い(e)工程におけるエッチング量は3.4g/m2となるようにして支持体Aを作製した。
<支持体B>
上記工程のうち(g)(h)(i)の工程を省略した以外は各工程を順に行い支持体Bを作製した。
<支持体C>
上記工程のうち(a)及び(g)(h)(i)の工程を省略した以外は各工程を順に行い支持体Cを作製した。
<支持体D>
上記工程のうち(a)及び(d)(e)(f)の工程を省略した以外は各工程を順に行い、(g)工程における電気量の総和が450C/dm2となるようにして支持体Dを作製した。
上記によって得られた支持体A、B、C、Dには、引き続き下記の親水処理、下塗り処理を行った。
(k)アルカリ金属ケイ酸塩処理
陽極酸化処理により得られたアルミニウム支持体を温度30℃の3号ケイ酸ソーダの1質量%水溶液の処理層中へ、10秒間、浸せきすることでアルカリ金属ケイ酸塩処理(シリケート処理)を行った。その後、井水を用いたスプレーによる水洗を行った。その際のシリケート付着量は3.6mg/m2であった。
<支持体E>
厚さ0.24mmのアルミニウム板を水酸化ナトリウム水溶液にて脱脂し、これを20%塩酸浴中で、電解研磨処理して中心線平均粗さ(Ra)0.5μmの砂目板を得た。ついで、この砂目板を、20%硫酸浴中、電流密度2A/dm2で陽極酸化処理して、2.7g/m2の酸化皮膜を形成した後、水洗し、乾燥させて、アルミニウム支持体Eを得た。
〔下塗り処理〕
上記のようにして得られたアルカリ金属ケイ酸塩処理後のアルミニウム支持体上に、下記組成の下塗り液を塗布し、80℃で15秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は15mg/m2であった。
(下塗り液)
・下記高分子化合物(IあるいはII) 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
Figure 2006208602
(感光層の形成)
次に、上記で得られた下塗層付き支持体に、下記組成の下層用塗布液Aを、ワイヤーバーで塗布したのち、140℃の乾燥オーブンで50秒間乾燥して塗布量を0.85g/m2とした。
得られた下層付き支持体に、下記組成の最上層用塗布液Bをワイヤーバーで塗布した。塗布後140℃60秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.07g/m2として実施例1〜3、及び比較例1、2のポジ型平版印刷版原版を得た。
<下層用塗布液A>
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル(モル比36:34:30、重量平均分子量50,000) 2.13g
・シアニン染料P(下記構造) 0.134g
・ビス−p−ヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.19g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・2−メトキシ−4−(N−フェニルアミノ)
ベンゼンジアゾニウム・ヘキサフルオロホスフェート 0.032g
・エチルバイオレット6−ナフタレンスルホン酸 0.078g
・フッ素系界面活性剤
(メガファックF−780、大日本インキ化学工業(株)製) 0.023g
・γ−ブチロラクトン 13.16g
・メチルエチルケトン 25.39g
・1−メトキシ−2−プロパノール 12.95g
<最上層用塗布液B>
・表1記載のスルホニウム塩 0.08g
・m−クレゾール/p−クレゾールノボラック樹脂
(モル比60:40、重量平均分子量5,000) 0.341g
・表1記載の赤外線吸収剤 0.019g
・メチルエチルケトン 2.63g
・1−メトキシ−2−プロパノール 5.27g
〔実施例4〜6、比較例3、4〕
実施例1〜3と同様の方法で得られた下塗り層付き支持体に、下記組成の塗布液Cをワイヤーバーで塗布した。塗布後140℃60秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.80g/m2として実施例4〜6、及び比較例3、4のポジ型平版印刷版原版を得た。
<塗布液C>
・表1記載のスルホニウム塩 0.100g
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル(モル比36:34:30、重量平均分子量50,000) 0.75g
・m−クレゾール/p−クレゾールノボラック樹脂
(モル比60:40、重量平均分子量5,000) 0.25g
・p−トルエンスルホン酸 0.003g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.03g
・表1記載の赤外線吸収剤 0.017g
・ビクトリアピュアブルー(BOHの対アニオンを
1−ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料) 0.015g
・γ−ブチルラクトン 10g
・メチルエチルケトン 10g
・1−メトキシ−2−プロパノール 1g
〔実施例7〜9、比較例5、6〕
実施例1〜3と同様の方法で得られた下塗り層付き支持体に、下記組成の塗布液Dをワイヤーバーで塗布した。塗布後150℃100秒間の乾燥を行い、総塗布量を1.40g/m2として実施例7〜9、及び比較例5、6のポジ型平版印刷版原版を得た。
<塗布液D>
・表1記載のスルホニウム塩 0.100g
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル(モル比36:34:30、重量平均分子量50,000) 2.072g
・表1記載の赤外線吸収剤 0.052g
・エチルバイオレット6−ナフタレンスルホン酸 0.078g
・メチルエチルケトン 25.30g
Figure 2006208602
なお、前記表1に記載のスルホニウム塩のうち、(S−1)〜(S−5)は下記(B)赤外線吸収剤との間に本発明に規定する関係を有する(A)スルホニウム塩の説明において挙げた本発明に係る例示化合物であり、(S−A)は、前記(B)赤外線吸収剤との間の酸化還元電位差が本発明の範囲外である、以下に示す比較スルホニウム塩である。また、表1に記載の赤外線吸収剤のうち、(I−1)〜(I−3)は、(B)赤外線吸収剤の説明において挙げた本発明において好ましく用いられる例示化合物であり、(P)は使用される(A)スルホニウム塩との間の酸化還元電位差が本発明の範囲外である、以下に示す比較赤外線吸収剤である。前記表1において(B)赤外線吸収剤の「酸化電位」の欄に記載されている値は、「赤外線吸収剤の励起状態における酸化電位」を示すものである。
Figure 2006208602
Figure 2006208602
〔平版印刷版原版の評価〕
次に、実施例1〜9、及び、比較例1〜6のポジ型平版印刷版原版の性能評価を行った。なお、評価試験は上記感光層塗布後25℃で14日間保存したものについて行った。
(酸化/還元電位の測定)
実施例、比較例に用いたスルホニウム塩の還元電位及び赤外線吸収剤の酸化電位を、以下に示すサイクリックボルタンメトリー法により求めた。
過塩素酸テトラエチルアンモニウムの0.1Mアセトニトリル溶液を調製し、該アセトニトリル溶液10mlに対し、電位を測定する試料であるスルホニウム塩又は赤外線吸収剤を1×10-5mol添加し、測定サンプルを調製した。
スルホニウム塩の還元電位は、上記サンプルのサイクリックボルタングラムを作成することで求めた。
赤外線吸収剤の励起状態の酸化電位は、上記サンプルのサイクリックボルタングラムを作成し、得られた酸化電位と、電子吸収スペクトルと蛍光スペクトルから求めた、エネルギーギャップとの差からもとめた。それぞれの酸化/還元電位と酸化還元電位差とを前記表1に併記した。
(現像ラチチュード、ハイライト画像再現性の評価)
得られた実施例1〜9、比較例1〜6のポジ型平版印刷版原版をCreo社製Trendsetter800にて、ビーム強度10.0W、ドラム回転速度250rpmの条件でテストパターンの画像状に描き込み(露光)を行った。
次に、富士写真フイルム(株)製現像液DT−2Rの水希釈(1:9)にて、電導度が37mS/cmになるまで炭酸ガスを吹き込んだ液及び富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1の水希釈(1:1)液を仕込んだ富士写真フイルム(株)製PSプロセッサーLP−940HIIを用い、液温を30度に保って現像時間12秒で現像した。その後、現像液にDT−2Rの水希釈(1:9)液を適量加え、電導度を39mS/cmに調整し、先ほどと同じくテストパターンを画像状に描き込んだ平版印刷版原版を現像した。更に電導度を2mS/cmずつ上げ、画像の現像による膜減りが顕著に観察されるまでこの作業を続けた。
これら現像後の実施例及び比較例の版において、各電導度で現像した版を、現像不良の非画像部残膜に起因する汚れや着色がないかを50倍のルーペで確認し、良好に現像が行えた現像液の電導度を決定した。次に、現像膜減りが起こらない電導度、具体的には、現像前のベタ部の画像濃度をGRETAG反射濃度計D196(GretagMacbeth社製)で測定して、この画像濃度から0.10以上少ない画像濃度となるベタ部が形成された現像液の電導度を決定した。
良好に現像が行えた現像液の電導度と現像膜減りが起こらない限界の電導度の幅を現像ラチチュードとした。結果を表1に示す。
また、ハイライト画像に関しては、上記テストパターン画像の中の2400dpi/1×1pix部を50倍ルーペで網点の欠けがないかを確認し、正確に再現しているものを○、網点の欠けがみられたものを×とした。結果を前記表1に示す。
以上、表1に明らかなように、(A)スルホニウム塩と(B)赤外線吸収剤との間で酸化還元電位差が特定の範囲にある組み合わせを用いた実施例1〜9によれば、現像ラチチュードが広く、ハイライト部の画像再現性に優れた感光性組成物を提供することができる。

Claims (2)

  1. (A)スルホニウム塩、(B)赤外線吸収剤、及び、(C)アルカリ可溶性樹脂を含有し、該(A)スルホニウム塩の還元電位Xと該(B)赤外線吸収剤の励起状態の酸化電位Yとが、X−Y≧0.10(eV)であることを特徴とする感光性組成物。
  2. 前記(A)スルホニウム塩の還元電位が−1.30eV以上であり、且つ、(B)赤外線吸収剤の励起状態における酸化電位が−1.30eV以上であることを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
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