JP2006207642A - 転がり軸受用保持器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 回転特性および耐久性を向上できる転がり軸受用保持器を提供する。
【解決手段】 本発明の保持器は、転動体を転動自在に保持するための複数のポケット孔11bが周方向に間隔をおいて設けられる保持器基体11と、保持器基体11の表面における少なくとも案内摺接面に被覆形成された被膜層12とを備える。保持器基体11は、炭素繊維強化材料をもって構成される。被膜層12は、耐摩耗性無機粉末材料が配合されたフッ素系樹脂をもって構成される。
【選択図】 図1

Description

この発明は、転がり軸受における玉やころなどの転動体を保持するための転がり軸受用保持器に関する。
図2に示すように、アンギュラ玉軸受などの軸受においては、内輪(1)及び外輪(2)間に転動自在に配置される複数の玉(3)が、保持器(5)によって保持されている。この保持器(5)は、環状部材(5a)に玉保持用の複数の円形ポケット孔(5b)が周方向に所定間隔おきに形成された構成を有しており、従来より、高力黄銅や特殊鋼を揉み抜き加工して得られるものが多く用いられている。
一方、近年の転がり軸受においては、高温、衝撃、腐食などの特殊環境下での使用が求められる場合があるが、上記の黄銅や特殊鋼製の保持器においては、特殊環境下での使用には不向きであり、軽量化を図ることも困難である。
そこで、下記特許文献1には、特殊環境下での耐久性に優れ、かつ軽量化にも適した炭素繊維強化材料からなる軸受用保持器が提案されている。
この軸受用保持器は、強化繊維をマトリックス樹脂に含浸させたシート状のプリプレグを、マンドレルに積層状態に巻き付けて長尺な筒状部材を形成し、その筒状部材を輪切り加工して、短尺筒状(環状)の保持器用部材を製作する。そしてその環状部材に、周方向に沿って複数のポケット孔を機械加工によって形成し、これにより保持器を得るものである。
特開2000−154826号(請求項1)
しかしながら、上記特許文献1に示す軸受用保持器は、炭素繊維強化材料からなるものであるため、保持器表面に強化繊維が露出することにより、不具合が生じる恐れがある。例えば、機械加工されたポケット孔内周面に強化繊維の切断面が露出される場合があり、その状態で軸受に組み込んで使用した際には、ポケット孔に収容される転動体が、ポケット孔内周面に露出する強化繊維の切断面に接触するため、転動体がスムーズに転動せず、良好な回転特性を得ることが困難であるという問題があった。さらに転動体が強化繊維の切断面に接触すると、繊維が切断されて脱落し、繊維カス(ダスト)として軸受内に残存して巻き込まれ、外輪、内輪のレース面や、転動体の表面が傷付いて劣化、磨耗してしまうなど、十分な耐久性が得られないという問題があった。
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、軸受に組み込んだ際に良好な回転特性を得ることができるとともに、耐久性を向上させることができる転がり軸受用保持器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者は、炭素繊維強化材料からなる転がり軸受用保持器に関し、綿密な実験及び研究を行った。例えば炭素繊維強化材料からなる保持器(保持器基体)に、ニッケルメッキなどによるメッキ層を形成して、そのメッキ層によって強化繊維の切断面を覆うことにより、強化繊維の切断面が露出するのを防止するという構成について検討した。ところがこの構成においては、メッキ層の保持器基体に対する密着性が不十分であり、軸受に組み込んで使用した際に、メッキ層が簡単に剥離して脱落してまい、良好な回転特性や十分な耐久性を得ることは困難であった。
引き続き本発明者は、綿密な実験及び研究を行った結果、上記目的を達成可能な最適な構成を見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は以下の構成を要旨としている。
[1] 転動体を転動自在に保持するための複数のポケット孔が周方向に間隔をおいて設けられる保持器基体と、
前記保持器基体の表面に被覆形成された被膜層とを備え、
前記保持器基体は、炭素繊維強化材料をもって構成されるとともに、
前記被膜層は、耐摩耗性無機粉末材料が配合されたフッ素系樹脂をもって構成されることを特徴とした転がり軸受用保持器。
[1a] 前記保持器基体のポケット孔内周面に前記被覆層が形成される前項1に記載の転がり軸受用保持器。
[1b] 前記保持器基体の表面における案内摺接面に前記被覆層が形成される前項1に記載の転がり軸受用保持器。
[1c] 前記保持器基体の表面全域に前記被覆層が形成される前項1に記載の転がり軸受用保持器。
[2] 前記耐摩耗性無機粉末材料は、セラミックスをもって構成される請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
[3] 前記炭素繊維強化材料は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)または炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)をもって構成される請求項1または2に記載の転がり軸受用保持器。
[4] 前記炭素繊維強化材料は、繊維方向を一方向に揃えた強化繊維にマトリックス樹脂が含浸されたシート状の複数枚の一方向プリプレグが、繊維方向を交差させつつ積層されることによって形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の転がり軸受用保持器。
発明[1]の転がり軸受用保持器によれば、炭素繊維強化材料からなる保持器基体の表面に、無機粉末入りフッ素系樹脂による被覆層を形成するものであるため、保持器基材の表面に露出する強化繊維を被覆層により被覆することができ、強化繊維の露出による不具合を防止することができる。例えば保持器基体におけるポケット孔内周面に露出する強化繊維の切断面が被覆層によって被覆することができるため、軸受に組み付けられた際に、ポケット孔内に収容される転動体は、被覆層に摺接することにより、強化繊維の切断面に接触することがなく、繊維の脱落を防止できて、脱落繊維による軸受の劣化や磨耗を防止できるので、耐久性を向上させることができる。
しかも、被覆層にフッ素樹脂を配合しているため、被覆層と転動体との摺動性に優れ、良好な回転特性を得ることができる。さらに被覆層は保持器基体の表面に十分に密着し、被覆層が脱落するなどの不具合を確実に防止することができ、十分な耐久性を得ることができる。
発明[2][3]の転がり軸受用保持器によれば、上記の効果をより確実に得ることができる。
発明[4]の転がり軸受用保持器によれば、保持器基体の強度を向上させることができ、ひいては保持器全体の強度および耐久性をより一層向上させることができる。
図1はこの発明の実施形態であるアンギュラ玉軸受用保持器(10)をその一部を切り欠いて示す斜視図である。同図に示すようにこの保持器(10)は、保持器基体(11)と、基体(11)の表面に被覆形成された被覆層(12)とを備えている。
保持器基体(11)は、炭素繊維強化材料をもって構成されている。さらに保持器基体(11)は、短尺円筒形状(保持器用環状部材11a)に、周方向に沿って所定間隔おきに複数の円形ポケット孔(11b)が形成されることによって構成されている。
ここで炭素繊維強化材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)や、CFRPを焼成して黒鉛化した炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)を好適に使用することができる。これらの材料のうち、加工性や生産性を考慮すると、CFRPを用いるのが好ましく、また耐熱性などを考慮すると、C/Cコンポジットを用いるのが好ましい。
保持器基体(11)の製作方法としては、シートワインディング法が好んで用いられる。すなわち炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維などの強化繊維をその繊維方向を一方向に揃えた状態で、マトリックス樹脂として、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂(高分子材料)を含浸させて、シート状の一方向プリプレグを準備する。
そしてこのプリプレグを、円柱状のマンドレル(内型)に積層状態に複数枚巻き付けて、加圧硬化させて成形した後、マンドレルを抜き取って、長尺な円筒部材を製作する。
なおプリプレグを積層状態に巻き付ける際には、繊維方向を交差させつつ積層するのが良い。すなわちこのようにクロス配向させることによって、保持器基体(11)の強度を向上させることができ、耐久性や耐衝撃性をより一層向上させることができる。
次に上記長尺な円筒部材を輪切りにして、炭素繊維強化材料からなる短尺な円筒部材(保持器用環状部材11a)を製作する。
続いてこの環状部材(11a)に対し、周方向に沿って所定間隔おきに複数の円形ポケット孔(11b)を機械加工によって形成し、これにより保持器基体(11)を製作する。
次にこの保持器基体(11)の表面に被覆層(12)を形成する。この被覆層(12)を構成する被覆層材料は、耐摩耗性無機粉末材料が分散状態に配合されたフッ素系樹脂をもって構成されている。
ここで、フッ素系樹脂に含まれるフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)などが挙げられ、これらの中からなる選ばれる少なくとも1種を好適に用いることができる。中でもPTFE、PFA、FEPが摺動性、耐食性、加工性に優れているという点で好ましい。
またフッ素樹脂は、被覆層中に良好に分散させるために、平均粒径が0.1〜5μmのもの、好ましくは0.5〜2μmのものを用いるのが良い。換言すれば粒径が大き過ぎたり、小さ過ぎたりする場合には、フッ素樹脂を被膜層中に十分に分散させることができず、摺動性、耐食性などが低下する恐れがある。
なお被膜層材料におけるフッ素樹脂の含有量は、10〜80重量%に設定するのが好ましい。
耐摩耗性無機粉末材料としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化亜鉛、酸化カルシウムなどの酸化物系無機物、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化アルミニウム、ホウ化チタン、窒化チタン、炭化チタンなどの非酸化物系無機物が挙げられる。
中でも耐摩耗性、耐熱性に優れているという点からセラミックスを用いるのが好ましい。セラミックスとして具体的には、酸化アルミニウム、酸化ベリリウム、酸化セリウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ケイ素、酸化タンタル、酸化タリウム、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、これらの複合酸化物、ホウ化アルミニウム、ホウ化バリウム、ホウ化カルシウム、ホウ化セリウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化ランタン、ホウ化ストロンチウム、ホウ化イットリウム、窒化アルミニウム、窒化クロム、窒化ケイ素、窒化チタン、炭化ホウ素、炭化クロム、炭化ハフニウム、炭化モリブデン、炭化ケイ素、炭化タンタル、炭化タリウム、炭化タングステン、炭化イットリウム、および炭化ジルコニウムの中から選択される少なくとも1種のものを挙げることができる。好ましくは、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化ケイ素などの酸化物を用いるが良く、より好ましくは、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化鉄などを用いるのが良い。
また耐摩耗性無機粉末材料は、被覆層中に良好に分散させるために、平均粒径が0.1〜5μmのもの、好ましくは0.5〜2μmのものを用いるのが良い。換言すれば粒径が大き過ぎたり、小さ過ぎたりする場合には、無機粉末材料を被覆層中に十分に分散させることができず、強度や耐久性などが低下する恐れがある。
さらに被膜層材料における無機粉末材料の含有量は、10〜60重量%に設定するのが好ましい。
被膜層材料には、必要に応じてバインダーを配合するのが良い。配合するバインダーとしては、例えばポリアミドイミド、ポリフェニルスルフィド、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。なお被覆層材料として具体的には、大阪ガスケミカル株式会社製の商品名「フルセラコート」を好適に用いることができる。
また被膜層の厚さは、5〜100μmに設定するのが好ましく、特に炭素繊維強化複合材料製の保持器基体(11)との密着性を考慮すると、10〜30μmに設定するのが一層好ましい。
さらに被覆層(12)は、2層以上の多層構造に形成するようにしても良い。この場合例えば上層(表面層)側には、転動体との摺動性を高めるために、フッ素樹脂の含有量を耐摩耗性無機粉末材料に対し多く配合した被覆層材料を用いるとともに、下層(基体密着層)側には、基体(11)との密着性を高めるために、耐摩耗性無機粉末材料の含有量をフッ素樹脂に対し多く配合した被覆層材料を用いるのが好ましい。
また本発明において、被覆層(12)は、必ずしも保持器基体(11)の表面全域に形成する必要はなく、保持器基体(11)の表面のうち少なくとも案内摺接面に被覆層を形成するようにすれば良い。例えば本実施形態のようにポケット孔により転動体を案内するものでは少なくともポケット孔内周面に被覆層を形成すれば良く、さらに外輪案内の場合には、少なくとも保持器の外輪との接触面に被覆層を形成すれば良く、内輪案内の場合には、少なくとも保持器の内輪との接触面に被覆層を形成するようにすれば良い。
本実施形態において、上記被覆層材料を保持器基体(11)の表面に積層する方法としては、以下の方法が好適に採用される。
まず保持器基体(11)の脱脂処理を行って、基体(11)の表面に付着する加工油などを除去する。
続いて被覆層材料の密着性を向上させるために、保持器基体(11)の表面を粗面化して凹凸状態に調整する。この粗面化を行うには、ショットブラスト法を用いることにより、低コストで、基体表面を均一な凹凸面に形成することができる。
次にプライマー(下塗り剤)を塗布するとともに、そのプライマーの種類に応じて、乾燥・焼成処理を行う。
その後、耐摩耗性無機粉末材料入りのフッ素系樹脂(被覆層材料)を保持器基体(11)の表面に塗布する。この塗布処理を行うには、フッ素樹脂と、セラミックスなどの無機粉末材料と、必要に応じて配合されるバインダー樹脂とを溶媒にて混合調整した塗装材料(塗料)を、基体表面に塗布するのが一般的である。
被覆層材料用の溶媒としては、塗料中の固形成分を均一に分散させることができ、かつ後述の加熱安定処理後に揮散し得る溶媒を好適に用いることができる。例えばトルエン、ベンゼン、キシレン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコール、エタノール、メタノール、n−メチルピロリドン、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
なお被覆層(12)を複数層に形成する場合には、最上層塗料の溶媒として、トルエン、アセトン、エタノール、水などを用いることが好ましい。さらに水溶液の場合には、界面活性剤を添加しても良い。
このような塗料を基体表面に塗布する際の塗布方法としては、例えば刷毛塗り法、スプレーコート法、浸漬法などを用いることができ、中でもスプレーコート法を用いることにより、被覆層を基体表面の全域にわたって均一に形成することができ、膜質を向上させることができる。
被覆層用の塗料を塗布した後は、加熱乾燥させて被覆層材料を基体表面に安定状態に付着させて被覆層(12)を形成するものである。この加熱安定化処理においては通常、加熱温度を300〜400℃に設定するものであるが、基体(11)のマトリックス樹脂として、エポキシ樹脂を用いる場合には、マトリックス樹脂の有害な熱変形を防止するために、加熱温度を200℃以下に設定するのが良い。
こうして得られた軸受用保持器(10)は、炭素繊維強化材料からなる保持器基体(11)の表面に、無機粉末入りフッ素系樹脂による被覆層(12)を形成するものであるため、保持器基体(11)におけるポケット孔内周面に露出する強化繊維の切断面が、被覆層(12)によって被覆される。このため軸受に組み付けられた際に、ポケット孔(11b)内に収容される転動体は、被覆層(12)に摺接することにより、強化繊維の切断面に接触することがなく、繊維の脱落を防止できて、脱落繊維による軸受の劣化や磨耗を防止できるので、耐久性を向上させることができる。
しかも本実施形態においては、被覆層(12)にフッ素樹脂を配合しているため、被覆層(12)と転動体との摺動性に優れる。このため転動体がスムーズに転動し、良好な回転特性を得ることができる。
さらに本実施形態においては、被覆層(12)にセラミックスなどの無機粉末材料が分散状態に含有されているため、被覆層(12)が保持器基体(11)の表面に十分に密着し、被覆層(12)が脱落するなどの不具合を確実に防止することができ、十分な耐久性を得ることができる。
次に本発明の優位性を客観的に示す実験例について説明する(表1参照)。
Figure 2006207642
<実験例1>
軸受内径が50mmのアンギュラ玉軸受(#7210)に組み込めるサイズで、以下の構成の軸受用保持器を準備した。
すなわちシートワインディング法で得られたCFRP製の円筒部材を輪切りにして、保持器用環状部材を得、その環状部材に機械加工によりポケット孔を形成して、保持器基体を製作した。さらにその保持器基体に対し、上記の脱脂処理、粗面化処理、プライマー塗布処理を行った後、表1に示すようにセラミックス入りフッ素系樹脂(大阪ガスケミカル株式会社製の商品名「フルセラコート」)による被覆層を形成し、保持器を得た。
この保持器を組み込んだ上記のアンギュラ玉軸受に対し、潤滑材として極少量のグリース(潤滑材)を封入し、ラジアル負荷とアキシャル負荷とをかけた状態で、回転試験を行い、保持器の磨耗状況および軸受外輪の昇温状況を評価した。
<実験例2>
上表1に示すように軸受用保持器として、上記と同様のCFRP製保持器基体に、ニッケルによるメッキ層を形成して保持器を得た。この保持器を上記と同様に軸受に組み込んで、同様の評価を行った。
<実験例3>
上表1に示すように軸受用保持器として、上記と同様のCFRP製保持器基体を、そのままの状態で(被覆層などを形成せずに)保持器とした。この保持器を上記と同様に軸受に組み込んで、同様の評価を行った。
<実験例4>
上表1に示すようにガラス繊維25重量%含有の66ナイロンからなるガラス繊維強化プラスチック製の軸受用保持器を製作した。この保持器を上記と同様に軸受に組み込んで、同様の評価を行った。
<実験例5>
上表1に示すように鋼板のプレス加工によって得られる鋼板製の軸受用保持器を準備した。この保持器を上記と同様に軸受に組み込んで、同様の評価を行った。
<評価結果>
上表1に示すように本発明に関連した実験例1のものでは、軸受温度の上昇が少なく90℃付近で安定しており、昇温状況が良好なものであった。さらに保持器の内径面、ポケット内周面の磨耗がほとんど認められず、摺動性及び耐摩耗性に優れているものであった。
実験例2のものは、軸受温度が160℃付近まで上昇して、鋼球(転動体)にテンパーカラーが付いており、昇温状況が好ましくないものであった。さらにニッケルによるメッキ層が剥離して、炭素繊維の脱落を防止することができなかった。
実験例3のものは、昇温状況において、上記実験例3と同様な結果が得られた。また保持器のポケット内にクラックが発生していた。
また今回の回転試験のように潤滑剤の封入量が少量の場合には、従来より多く使用される実験例4、5のものは昇温状況において好ましい結果が得られなかった。例えば実験例4のものは、軸受温度が120℃付近まで上昇して、保持器の一部に損傷が認められた。さらに実験例5のものでは、僅か5分余りで急激に温度が上昇して白煙を生じて破損してしまった。
この発明の実施形態であるアンギュラ玉軸受用の保持器をその一部を切り欠いて示す斜視図である。 アンギュラ玉軸受を示す断面図である。
符号の説明
10…保持器
11…保持器基体
11a…保持器用環状部材
11b…ポケット孔
12…被覆層

Claims (4)

  1. 転動体を転動自在に保持するための複数のポケット孔が周方向に間隔をおいて設けられる保持器基体と、
    前記保持器基体の表面に被覆形成された被膜層とを備え、
    前記保持器基体は、炭素繊維強化材料をもって構成されるとともに、
    前記被膜層は、耐摩耗性無機粉末材料が配合されたフッ素系樹脂をもって構成されることを特徴とした転がり軸受用保持器。
  2. 前記耐摩耗性無機粉末材料は、セラミックスをもって構成される請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
  3. 前記炭素繊維強化材料は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)または炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)をもって構成される請求項1または2に記載の転がり軸受用保持器。
  4. 前記炭素繊維強化材料は、繊維方向を一方向に揃えた強化繊維にマトリックス樹脂が含浸されたシート状の複数枚の一方向プリプレグが、繊維方向を交差させつつ積層されることによって形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の転がり軸受用保持器。
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