JP2006205644A - 織布または不織布付き合成板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 リグノセルロース系材料に接着剤としてポリブチレンサクシネート系樹脂を混合して作製されたプリフォーム(2a)に、織布または不織布(4)を載せ加熱加圧する。
【選択図】 図3
Description
しかし、石油由来の素材を用いて成形された合成板は焼却すると二酸化炭素が発生し地球全体としての二酸化炭素量を増加させ、またフェノール樹脂は遊離フェノールやホルムアルデヒドが含まれるため人体に悪影響をおよぼすおそれがあった。
これは、植物由来の材料のみで成形されているため、焼却することで二酸化炭素が排出されても、その排出相当量は植物の成長時に吸収されており、全体としてみれば二酸化炭素量が変化しないので、環境面で優れている。また、人体に影響を与えるような物質はほとんど含まれていない。
一方、合成板には車両の内装部材や建築部材として使用する際に、合成板表面に接着剤を介して織布または不織布(以下、不織布等ともいう)を貼り合わせる場合がある(特許文献2参照)。
一般には、不織布等を合成板に貼り合わせる際には、アセトン、トルエンやn−ヘキサン等の有機溶剤に溶かしたクロロプレンゴム系の溶剤型接着剤等を合成板に塗布して貼り合わせを行っている。
また、ポリ乳酸樹脂を接着剤として用いる場合、ポリ乳酸樹脂は柔軟性に劣り、もろく、また使用時に加水分解、生分解してしまう等取り扱い難いという問題があった。
また、貼り合わせに用いるクロロプレンゴム系の溶剤型接着剤等は含有するアセトン、トルエンやn−ヘキサン等の有機溶剤のために、車両や家屋に使用するには人体に悪影響をおよぼす可能性があるという問題もあった。
環境や人体への負担を軽減するとともに、不織布の貼り合わせ作業を簡素化しつつ、十分な柔軟性と強度を持ち合わせた織布または不織布付き合成板を提供することにある。
これより、植物由来であるリグノセルロース系材料と、例えば、さとうきび、とうもろこし、サツマイモ等の植物からグルコースの発酵によって生成可能であり柔軟性を有するポリブチレンサクシネート系樹脂とを混合させた合成板の成形とともに織布または不織布の貼り合わせが行なわれる。
これより、本来、加水分解性、生分解性を有しているポリブチレンサクシネート系樹脂に加水分解、生分解を抑制する処理が施される。
請求項3の織布または不織布付き合成板では、前記処理により、50℃、90%RH、の環境下に480時間置かれた後の引張り破断伸びが初期値の80%以上であることを特徴としている。
請求項4の織布または不織布付き合成板では、前記リグノセルロース系材料は蒸煮処理及び爆砕処理のいずれか一方が施されたものであることを特徴としている。
また、リグノセルロース系材料に蒸煮・爆砕処理が行なわれることで、水分を含んで軟化している材料から成形することができる。
さらに、蒸煮・爆砕処理は高温・高圧で施されるため、リグノセルロース系材料に含有される虫やカビ・細菌などを殺虫・殺菌する。
これより、植物由来であるリグノセルロース系材料を骨格とし、ポリブチレンサクシネート系樹脂を適した混合比率で配合させた合成板に織布または不織布の貼り合わせが行なわれる。
さらに、ポリブチレンサクシネート系樹脂が接着剤の役割と不織布等の接着剤としての役割を果たすので合成板の強度を向上させることができる上、合成板の成形と不織布等の貼り合わせを同一行程で行うことができるので、不織布等の貼り合わせ作業を簡素化することができる。
請求項2の織布または不織布付き合成板によれば、耐加水分解性、耐生分解性を得ることで、車両の内装部材や建築材料に適応させることができる。
請求項4の織布または不織布付き合成板によれば、蒸煮・爆砕処理により木質系や草木系の繊維がほぐしやすくなり、接着剤としてのポリブチレンサクシネート系樹脂が十分に混合され、合成板の接着力及び不織布等の接着力を向上させることができる。
さらに、蒸煮・爆砕処理の殺虫・殺菌作用により防腐性、耐久性を向上させることができる。
請求項5の織布または不織布付き合成板によれば、リグノセルロース系材料を骨格とし、ポリブチレンサクシネート系樹脂の接着力により十分な強度をもった合成板を得ることができ、またポリブチレンサクシネート系樹脂が不織布等の接着剤としての十分に役割を果たすので、十分な強度を持ち合わせた織布または不織布付き合成板を提供することができる。
図1を参照すると、本発明に係る織布または不織布付き合成板の斜視断面図が示されている。
図1に示すように、不織布付き合成板1は、合成板2の上に不織布4が貼り合わされている。
リグノセルロース系材料は例えば木材、竹、ケナフ等の木質系や草木系の植物由来の素材の繊維状、粉末状のものが使用される。または、当該リグノセルロース系材料に蒸煮及び爆砕のいずれか一方の処理を施したものが使用される。このように蒸煮・爆砕処理が施されると木質系や草木系の繊維がほぐしやすくなる。
さらに、蒸煮・爆砕処理は高温・高圧で施されるため、リグノセルロース系材料に含有される虫やカビ・細菌などを殺虫・殺菌し防腐性、耐久性が向上する。
その他にも、リグノセルロース系材料が蒸煮・爆砕処理が施されている場合は、ヘミセルロースやリグニンが分解されて生成された樹脂成分によりリグノセルロース系材料自体を予めボード化してからポリブチレンサクシネート系樹脂を表面に散布し、不織布等を貼り合わせてもよい。
図2を参照すると本発明に係る織布または不織布付き合成板のプリフォーム作製時の構成を示す斜視図が示されており、図3を参照すると本発明に係る織布または不織布付き合成板の加熱加圧時の構成を示す斜視図が示されている。以下、図2、3に基づき説明する。
当該金型10にリグノセルロース系材料とポリブチレンサクシネート系樹脂を混合したものを均等に充填する。
これらを油圧プレス装置に金型10ごと設置し所定時間加圧して、プリフォーム2aを作製する。このときの圧力は、プリフォーム2aが本加圧まで形状を保持できる程度であればよい。
そして、図3に示すように、ステンレス板6上のプリフォーム2aの上に不織布4を配設し、不織布4よりさらに上方にテフロン(R)シート12、ステンレス板14を順に配設する。また、プリフォーム2aの両側に若干の間隔を置いて角材状のステンレス製スペーサ16をプリフォーム2aと平行に配設する。
このように、本発明に係る織布または不織布付き合成板では、合成板2をリグノセルロース系材料及びポリブチレンサクシネート系樹脂から成形し、不織布4の貼り合わせについてもポリブチレンサクシネート系樹脂を接着剤として利用することから、焼却等による二酸化炭素量の増加を防止し、人体への負担も軽減することができる。
したがって、環境や人体への負担を軽減するとともに、不織布等の貼り合わせ作業を簡素化しつつ、十分な柔軟性と強度を持ち合わせた織布または不織布付き合成板を作製することができる。
リグノセルロース系材料として、爆砕処理(爆砕条件:圧力9気圧、温度180℃、時間20分)を行った竹繊維(200mm長さ)を使用した。
当該竹繊維120gに、末端封鎖処理を施した粉末状のポリブチレンサクシネート系樹脂(三菱化学製「GS Pla」、グレード:AZ71T、2mmメッシュ)40gを混合して、これを上記の例のように金型に充填し、油圧プレス装置により0.77MPaの加圧を5分間行いプリフォーム2aを作製した。
そして、当該プリフォーム2aの上にPET不織布を載せ、両側に厚さ4mmのスペーサを配設し、予め上型、下型を160℃に加熱してある別の油圧プレス装置に配設して26kNの加熱加圧(19×19cmのプリフォームに対して)を6分間行い不織布付き合成板を成形した。
リグノセルロース系材料として、爆砕処理(爆砕条件:圧力9気圧、温度180℃、時間20分)を行った竹繊維(200mm長さ)を使用した。
当該竹繊維90gに、末端封鎖処理を施した繊維状のポリブチレンサクシネート系樹脂(三菱化学製「GS Pla」、グレード:AZ71T、5デニール、5mm)70gを混合して、これを上記の例のように金型に充填し、油圧プレス装置により0.77MPaの加圧を5分間行いプリフォーム2aを作製した。
そして、当該プリフォーム2aの上にPET不織布を載せ、両側に厚さ6mmのスペーサを配設し、予め上型、下型を140℃に加熱してある別の油圧プレス装置に配設して26kNの加熱加圧(19×19cmのプリフォームに対して)を6分間行い不織布付き合成板を成形した。
リグノセルロース系材料として、蒸煮処理(蒸煮条件:温度200℃、時間20分)を行ったブナ木粉(2mmメッシュパス材)を使用した。
当該ブナ木粉120gに、末端封鎖処理を施した粉末状のポリブチレンサクシネート系樹脂(三菱化学製「GS Pla」、グレード:AZ71T、2mmメッシュ)40gを混合して、これを上記の例のように金型に充填し、油圧プレス装置により0.77MPaの加圧を5分間行いプリフォーム2aを作製した。
そして、当該プリフォーム2aの上にPET不織布を載せ、両側に厚さ4mmのスペーサを配設し、予め上型、下型を180℃に加熱してある別の油圧プレス装置に配設して106kNの加熱加圧(19×19cmのプリフォームに対して)を10分間行い不織布付き合成板を成形した。
公知の合成板(木材チップにフェノール樹脂を混合させ成形した合成板)に、クロロプレンゴム系の溶剤型接着剤を塗布した。
そして、接着剤を塗布した面にPET不織布を載せ、0.1MPaで24時間加圧して接着した。
上記実施例1乃至3及び比較例の不織布付き合成板をそれぞれ物性測定用試験片に切断(例えば曲げ試験片:148mm×50mm×3.65mm、吸水率試験片:50mm×50mm×3.65mm)し、不織布との接着性、TVOCとアルデヒドの分析、三次元成形性、吸水率、曲げ強さの各試験を行った。その結果を図4に示した。
実施例1乃至3は比較例よりもTVOCとアルデヒドが低く、人体に与える影響が少ないことが分かる。
実施例1乃至3は三次元成形性が良好であるのに対し、比較例は不良である。これより、実施例1乃至3は形を自由に成形することが可能であるといえる。さらに、実施例1乃至3は比較例よりもボードの吸水率が十分低く、また曲げ強さが高いことから車両の内装部材や建築材料に適している。
以上で本発明に係る織布または不織布付き合成板の実施形態についての説明を終えるが、実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では合成板2に不織布を貼り合わせているが、織布でも構わない。
さらに、上記実施形態では、リグノセルロース系材料(竹繊維・ブナ木粉)とポリブチレンサクシネート系樹脂との混合重量比は、
リグノセルロース系材料/ポリブチレンサクシネート系樹脂=120/40(実施例1、3)
リグノセルロース系材料/ポリブチレンサクシネート系樹脂=90/70(実施例2)
としているが、混合重量比は、
リグノセルロース系材料/ポリブチレンサクシネート系樹脂=100/5〜100/300
としておけば、リグノセルロース系材料を骨格とし、ポリブチレンサクシネート系樹脂の接着力により十分に強度をもった合成板を得ることができ、またポリブチレンサクシネート系樹脂が不織布等の接着剤として十分に役割を果たすので、十分な強度を持ち合わせた織布または不織布付き合成板を提供することができる。また、上記実施例では、リグノセルロース系材料として爆砕または蒸煮した材料を適用した例を示したが、本発明は何らこれに限定されるものではなく、リグノセルロース系材料として例えば一般の竹繊維やケナフや麻などを適用しても良い。
2 合成板
2a プリフォーム
4 不織布
6、14 ステンレス板
8、12 テフロン(R)シート
10 金型
10a 枠部材
16 スペーサ
Claims (5)
- リグノセルロース系材料に接着剤としてポリブチレンサクシネート系樹脂を混合して成形された合成板と、
該合成板の成形とともに加熱加圧されて該合成板と貼り合わされた織布または不織布と
を備えることを特徴とする織布または不織布付き合成板。 - 前記ポリブチレンサクシネート系樹脂は加水分解性、生分解性を抑制する処理が施されたことを特徴とする請求項1記載の織布または不織布付き合成板。
- 前記処理により、50℃、90%RH、の環境下に480時間置かれた後の引張り破断伸びが初期値の80%以上であることを特徴とする請求項2記載の織布または不織布付き合成板。
- 前記リグノセルロース系材料は蒸煮処理及び爆砕処理のいずれか一方が施されたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の織布または不織布付き合成板。
- 前記リグノセルロース系材料とポリブチレンサクシネート系樹脂の混合重量比は、
リグノセルロース系材料/ポリブチレンサクシネート系樹脂=100/5〜100/300
であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の織布または不織布付き合成板。
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