JP2006205003A - 耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜及びその製造方法 - Google Patents

耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜及びその製造方法 Download PDF

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伸治 田原
Shinichi Jizo
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Abstract

【課題】中空糸膜の製膜性や初期の物性が低下しにくく、工業的な方法で製造可能であって、耐塩素性が良好な耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン中空糸膜の細孔内表面に、少なくともオレフィン及び水酸基含有モノマーの共重合体を付着させてなり、5000ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に室温でpH調整無しの状態で浸漬し、1000時間経過時に、引張強度及び破断伸び率の初期値に対する保持率が何れも60%以上である耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン中空糸膜を後処理して耐塩素性の向上させた耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜及びその製造方法に関し、特に、次亜塩素酸ナトリウムなどの遊離塩素を生成する殺菌剤を含む液体を処理する用途や、当該液体で膜洗浄を行う用途に有用である。
ポリプロピレンやポリエチレンを用いた中空糸膜は、溶融延伸によって製膜されるため比較的安価で、製膜性に優れているため、分離膜として医療や飲料水などの分離精製用途に広く用いられている。
しかし、ポリオレフィンは殺菌剤として使用される次亜塩素酸ナトリウムへの耐性が低く、経時的な機械的強度の低下が大きく、耐久性に課題があった。特に膜の引張強度と伸び率は膜交換の基準の目安として初期値に対する保持率が60%とするのが一般的であり、これ未満になると設計運転条件に対する機械的強度が不足し、膜破損の危険性が高くなる。
このようなポリエチレン樹脂の耐塩素性向上に関わる検討としては、塩素ガス劣化抑制剤として、ベンゾトリアゾール系化合物などを樹脂中に添加して含有させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、ポリエチレン樹脂繊維の表面に銀を被覆し、更にヨウ素で改質して表面にヨウ素含有化合物を生成させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、何れの方法も分離膜とは形態が異なるフィルム(無孔構造)や繊維を製造するための技術であるため、固液分離を目的としたポリエチレン中空糸膜のように微多孔構造を有する樹脂に対しては、その適用が困難である。例えば、塩素ガス劣化抑制剤を樹脂に添加すると、中空糸膜の製膜性や物性が低下するなどの問題がある。また、中空糸膜の細孔内部まで銀被膜を形成することは、工業的(実用的)な方法では通常困難である。
特開平5−65372号公報 特開2000−234262号公報
そこで、本発明の目的は、中空糸膜の製膜性や初期の物性が低下しにくく、工業的な方法で製造可能であって、耐塩素性が良好な耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜、及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、ポリオレフィン中空糸膜の改質について鋭意研究したところ、中空糸膜の細孔内表面に特定の改質用樹脂を付着させるという非常に簡便な方法でポリオレフィン中空糸膜の耐塩素性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜は、ポリオレフィン中空糸膜の細孔内表面に、少なくともオレフィン及び水酸基含有モノマーの共重合体を付着させてなり、5000ppmの次亜塩素酸水溶液に室温でpH調整無しの状態で浸漬し、1000時間経過時に、引張強度及び破断伸び率の初期値に対する保持率が何れも60%以上であることを特徴とする。本発明における物性値等は、具体的には実施例に記載の方法で測定される値である。
本発明の耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜によると、少なくともオレフィン及び水酸基含有モノマーの共重合体を細孔内表面に付着させているため、上記の浸漬試験で引張強度及び破断伸び率の初期値に対する保持率を60%以上とすることができ、耐塩素性が良好なポリオレフィン中空糸膜となる。また、中空糸膜の細孔内表面に改質用樹脂を付着させるという非常に簡便な方法であるため、中空糸膜の製膜性や初期の物性が低下しにくく、工業的な方法で製造可能となる。かかる共重合体の付着によって、耐塩素性が向上する理由の詳細は明らかでないが、共重合体が有する水酸基によって、遊離塩素による分解反応が抑制されるためと推測される。
上記において、前記共重合体の付着量が、中空糸膜総重量の6〜20重量%であることが好ましい。このような付着量であると、耐塩素性を十分向上させられると共に、細孔の閉塞などによる問題も生じにくくなる。
また、前記ポリオレフィン中空糸膜が、溶融延伸法または熱誘起相分離法で製膜されたポリエチレン中空糸膜であることが好ましい。これらの製膜法で得られるポリエチレン中空糸膜は、生産性が高くコスト的に有利となり、分離膜としての性能も良好であり、改質後の膜性能が良好なものが得られ易い。
一方、本発明の耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜の製造方法は、少なくともオレフィン及び水酸基含有モノマーの共重合体を水とアルコールとを含む混合溶媒に溶解した溶液を、ポリオレフィン中空糸膜の細孔内に含浸させた状態で、凝固浴に浸漬して前記共重合体を凝固させた後、乾燥させることを特徴とする。
本発明の製造方法によると、共重合体を予め液中で凝固(湿式相分離)させるため、共重合体の溶液を直接乾燥する方法に比べて、熱による膜の変形を避ける事ができ、中空糸膜の製膜性や初期の物性が低下しにくく、非常に簡易で工業的な方法で製造可能となる。
上記において、浸漬時間(h)=−13.6×溶液濃度(重量%)+16.1の式で求められる時間以上、ポリオレフィン中空糸膜を前記溶液に浸漬させて、前記溶液の含浸を行うと共に、乾燥後に前記共重合体の付着量を中空糸膜総重量の6〜20重量%とすることが好ましい。浸漬時間を上記条件で行うことにより、浸漬法によっても細孔内部に溶液を十分置換・含浸させることができ、乾燥後に適度な付着量を得る事ができる。
あるいは、通水時間(分)=−13.9×溶液濃度(重量%)+15.9の式で求められる時間以上、ポリオレフィン中空糸膜に前記溶液を加圧しながら通水して、前記溶液の含浸を行うと共に、乾燥後に前記共重合体の付着量を中空糸膜総重量の6〜20重量%とすることが好ましい。通水時間を上記条件で行うことにより、より短時間で通水法によって細孔内部に溶液を十分置換・含浸させることができ、乾燥後に適度な付着量を得る事ができる。
また、前記溶液が、前記共重合体としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を0.1〜3.0重量%含むものであることが好ましい。このような濃度の溶液を用いると、細孔の閉塞を抑制しながら十分な付着量が得られ易くなる。
本発明の耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜は、ポリオレフィン中空糸膜の細孔内表面に、少なくともオレフィン及び水酸基含有モノマーの共重合体を付着させたものである。そして、本発明の中空糸膜は、5000ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に室温でpH調整無しの状態で浸漬し、1000時間経過時に、引張強度及び破断伸び率の初期値に対する保持率が何れも60%以上である。
ポリオレフィン中空糸膜としては、膜素材が低分子量ポリエチレン、高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンや、これらを主成分とする共重合体である中空糸膜が挙げられる。ポリオレフィン中空糸膜は、架橋構造を有するものであってもよい。
ポリオレフィン中空糸膜は、溶融延伸法または熱誘起相分離法で製膜されたものが好ましく、特に、溶融延伸法または熱誘起相分離法で製膜されたポリエチレン中空糸膜が好ましい。その他、非溶媒誘起相分離法や溶融相転法などで製膜されたポリオレフィン中空糸膜などが挙げられる。
溶融延伸法とは、中空糸を溶融紡糸しながら延伸開孔を行う方法であり、各種のポリエチレン中空糸膜等が市販されている。熱誘起相分離法とは、中空糸膜を溶液紡糸する際に熱によって相分離を生じさせて多孔質構造を形成する方法であり、冷却用の凝固浴を用いる方法などが、よく知られている。
ポリオレフィン中空糸膜は、電子顕微鏡観察より0.05〜3.0μmの平均孔径を有しているものが好ましく、0.1〜1μmの平均孔径を有しているものがより好ましい。この範囲より小さいと、改質後に細孔の閉塞が生じ易くなる傾向があり、この範囲より大きいと、耐塩素性の改善効果が相対的に低くなる傾向がある。
膜の空孔率は、30〜85%を有するものが好ましく、50〜85%がより好ましい。これより低いと細孔の閉塞が生じ易く、これを超えると、膜自身の強度が低いものとなる。
付着させる共重合体は、少なくともオレフィン及び水酸基含有モノマーを共重合させたものであり、他のモノマー成分として、両者以外のビニル化合物を含有していてもよい。共重合のタイプは、ランダム、ブロック、交互共重合など、何れでもよい。
共重合体の共重合比としては、オレフィンの比率が25mol%から50mol%が好ましく、25〜35mol%がより好ましい。また、水酸基含有モノマーの比率が50mol%から75mol%が好ましく、65〜75mol%がより好ましい。
モノマー成分であるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。また、水酸基含有モノマーとしては、ビニルアルコール、アリルアルコール等が挙げられる。なかでも、エチレンとビニルアルコールの組合せが好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体としては、エチレン比率が25mol%から50mol%であるポリビニルアルコールとの共重合体がより好ましく25〜35mol%がより適している。
本発明では、前記共重合体の付着量が、中空糸膜総重量の6〜20重量%であることが好ましく、6.5〜10重量%がより好ましい。6重量%未満では、耐塩素性が不十分となる傾向があり、20重量%を超えると細孔の閉塞などによる問題が生じる傾向がある。
共重合体を細孔内表面に付着させる方法としては、共重合体の溶液を塗布または含浸させた後、直接乾燥する方法や、共重合体となるモノマーを細孔内で重合する方法などでもよいが、本発明の製造方法を利用するのが好ましい。
即ち、本発明の製造方法は、少なくともオレフィン及び水酸基含有モノマーの共重合体を水とアルコールとを含む混合溶媒に溶解した溶液を、ポリオレフィン中空糸膜の細孔内に含浸させた状態で、凝固浴に浸漬して前記共重合体を凝固させた後、乾燥させる方法である。
混合溶媒に含まれるアルコールとしては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブチルアルコールなどが挙げられるが、安全性や工業性の観点から、イソプロピルアルコールが好ましい。
水とイソプロピルアルコール等の混合溶媒は、水の配合比が40〜60重量%の範囲で選ばれ45〜55重量%が溶解性、保存性の点でより適している。
溶液の作製は、例えば、水とアルコールの混合溶媒を50〜60℃に加熱し激しく撹拌しながら共重合体を溶解する。共重合体の濃度としては0.1重量%から3重量%が好ましく、濃度が薄すぎると付着量が不足し、濃度が高すぎると微細孔の閉塞を招く。このため特に濃度0.3〜1.0重量%が好ましい。
中空糸膜に共重合体の溶液を含浸させる方法として、以下の方法が挙げられる。
1つ目は溶液を細孔内に加圧通水する方法である。条件としては、圧力のみの調整で全量ろ過で行われ、圧力0.5〜1kgf/cmが好ましく、処理時間に関しては使用する濃度によってかわり、通水時間(分)=−13.9×溶液濃度(重量%)+15.9の式で求められる時間以上、ポリオレフィン中空糸膜に前記溶液を加圧しながら通水処理するのが好ましい。
本方法では、通水方向は外表面から内表面側、反対に内表面側から外表面側の何れでもよく、中空糸膜束の形態により選ばれる。中空糸膜は、例えば数本から数万本束ねられ、両端または膜がU字で1端を開孔状態で注型樹脂にて固定されている。両端固定の場合は一方端面から膜中空部側に溶液を通水し、その際に反対側端面を開孔状態として空気抜きを行い、その後この端面を閉孔状態として加圧通水する。またさらに加圧通水する端面を変えて同様な操作をすることも出来る。中空糸膜がU字で1つに束ねられている場合は、膜の外表面側から通水することが望ましい。
中空糸膜内をエアーブローする条件は、中空部と微細孔に余剰に付着している共重合体溶液を除去するために0.5〜2kgf/cmの加圧空気を用い、両端固定されている場合には、まず中空内部の溶液を除去するために加圧端面とは反対側の端面を開孔状態で行い、その後この反対側端面を閉孔状態として加圧する。
2つ目は溶液に浸漬する方法である。中空糸膜を束の状態または紡糸後連続的に浸漬させる方法が挙げられる。処理時間に関しては、使用する濃度によってかわり、浸漬時間(h)=−13.6×溶液濃度(重量%)+16.1の式で求められる時間以上、浸漬処理すればよい。共重合体溶液への浸漬後は湿潤状態で凝固浴に浸漬し乾燥させる。
浸漬方法の場合には、膜内の空気が抜けきれず共重合体溶液の進入を妨げる場合が有るため注意が必要である。このため、中空糸膜が濡れ易い液体を用いて毛細管現象で液体を細孔内に浸透・含浸させ、この液体を共重合体溶液で置換する方法が有効である。これに用いる液体として、水とイソプロピルアルコール等の混合溶媒が好ましい。
含浸後に浸漬する凝固浴は、共重合体を沈殿あるいは凝固させる溶媒であれば何れでもよく、水を用いることが最も好ましい。凝固浴の温度は、室温付近が好ましいが、凝固の際に冷却や加温を行えるようにしてもよい。
また、膜に付着させる共重合体の量は、前記した共重合体の付着量が目安となる。共重合体の付着量は、処理時間や処理濃度などによって調整することができる。
共重合体の付着量の測定は、付着後の中空糸膜の乾燥重量を測定し、次にこの膜をイソプロピルアルコールの50重量%水溶液に漬け、70℃以上で6時間以上共重合体を抽出する。その後、新しいイソプロピルアルコール50重量%水溶液ですすぎ、この膜を乾燥させ重量を測定する。この共重合体の抽出前後の重量差を共重合体付着量とする。そして共重合体付着量と抽出後の膜乾燥重量の比(%)を共重合体の付着率(%)とした。
中空糸膜の乾燥は、乾燥時の収縮や融解を考慮して、40〜70℃で行うのが好ましい。
本発明の耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜は、下水の除濁、河川水、かん水、海水の逆浸透膜による脱塩プロセスの前処理などに用いることが出来、これまでより高い次亜塩素酸ナトリウム濃度で洗浄出来、汚れ性の向上した精密ろ過用中空糸膜を提供できる。
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
(中空糸膜の引張強度・破断伸び率)
島津製作所製オートグラフ(SHIMADZU AGS−J)を用いて、湿潤状態の50mm長の膜を引張速度100mm/分の条件にて延伸し、破断した時の応力と伸びを測定した。
(耐塩素性)
5000ppmの濃度で、室温(25℃)、pH調整無しの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に、中空糸膜を浸漬静置し、表1等に示す時間(50〜1000時間)経過後に取り出し、引張強度などを測定した。
(中空糸膜の引張強度および破断伸び率の保持率)
任意の時間毎に測定した塩素浸漬膜の引張強度と伸び率の初期値に対する割合(%)を計算した。
(EVOH付着率)
得られたEVOHを付着させた膜を乾燥し、乾燥重量を測定する。次にこの膜をイソプロピルアルコールの50重量%水溶液に漬け、70℃以上で6時間以上EVOHを抽出する。その後、新しいイソプロピルアルコール50重量%水溶液ですすぎ、この膜を乾燥させ重量を測定する。このEVOH抽出前後の重量差をEVOH付着量とし、EVOH付着量と抽出後の膜乾燥重量の比(%)をEVOH付着率(%)とし測定した。
(実施例1)
外径0.9mm、内径0.6mm、SEM観察による平均孔径0.2μmの溶融延伸法で製膜されたポリエチレン中空糸膜を用い、以下の方法で処理をおこなった。
まず、水50重量%とイソプロピルアルコール50重量%の混合溶媒を50℃に加温し、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体、クラレ社製、エバールF101)を1重量%となるように溶解して溶液を調製した。ついで、ポリエチレン中空糸膜を1000本を束ねその両端を開孔状態でエポキシ樹脂にて注型固定した。調製した溶液が室温まで冷えた状態で圧力タンクに移し、圧力タンクと作製した膜束の注型端面の片方とを接続し、残る端面にはバルブを接続する。圧力タンクに1kgf/cmで加圧し、膜の中空部に溶液を通水する。その際に反対端面のバルブを開けておき、中空部の空気を抜く。空気が抜けた後にバルブを閉め2分間通水(細孔内への含浸)する。通水を終了し膜束を水による凝固浴に浸漬して、イソプロピルアルコールが十分洗浄できるまで浸漬を続ける。その後、凝固浴から膜束を出し40℃で乾燥する。
上記方法で処理された膜を束より任意にサンプリングし、5000ppmに調整された次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬し、膜の引張強度、伸び率を測定した。2分通水の場合のEVOH付着率は6.53重量%であった。
なお、通水時間(分)=−13.9×溶液濃度(重量%)+15.9の式で求められる時間は、溶液濃度1重量%の場合2分となり、実施例1の条件では2分であるため、十分な通水時間となる。
(比較例1)
上記のポリエチレン中空糸膜を未処理で使用して(EVOH付着率は0重量%)、5000ppmに調整された次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬し、膜の引張強度、伸び率を測定した。
(比較例2)
通水時間を30秒としたこと以外は実施例1と同様に処理を行った後、5000ppmに調整された次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬し、膜の引張強度、伸び率を測定した。30秒通水の場合のEVOH付着率は5.8重量%であった。この条件では、通水時間(分)=−13.9×溶液濃度(重量%)+15.9の式で求められる時間が2分となり、比較例2の条件では30秒であるため、不十分な通水時間となる。
以上の結果を表1に示す。
Figure 2006205003
表1の結果が示すように、未処理膜(比較例1)は、1000時間経過後の引張強度と伸び率が初期値の半分以下になった。2分間通水処理した実施例1では、引張強度と伸び率が60%以上の保持率を示した。30秒間通水処理した比較例2では、無処理に対して保持率は高くなったが、引張強度と伸び率で60%以上を保持することは出来なかった。
(実施例2)
実施例1と同じ中空糸膜を同じ1重量%EVOH溶液に25℃で3時間浸漬(細孔内への含浸)する。引き上げた中空糸膜を含浸状態のままで、水による凝固浴に浸漬して、イソプロピルアルコールが十分洗浄できるまで浸漬を続ける。その後、凝固浴から中空糸膜を出し、40℃で乾燥する。処理された膜を任意にサンプリングし、5000ppmに調整された次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬し、膜の引張強度、伸び率を測定した。3時間の浸漬の場合のEVOH付着率は7.0重量%であった。
なお、浸漬時間(h)=−13.6×溶液濃度(重量%)+16.1の式で求められる時間は、溶液濃度1重量%の場合2.5時間となり、実施例2の条件では3時間であるため、十分な浸漬時間となる。
(比較例3)
浸漬時間を1時間としたこと以外は実施例2と同様に処理を行った後、5000ppmに調整された次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬し、膜の引張強度、伸び率を測定した。
時間浸漬の場合のEVOH付着率は3重量%であった。この条件では、浸漬時間(h)=−13.6×溶液濃度(重量%)+16.1の式の式で求められる時間が2.5時間となり、比較例3の条件では1時間であるため、不十分な浸漬時間となる。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2006205003
表2の結果が示すように、未処理膜(比較例1)は、1000時間経過後の引張強度と伸び率が初期値の半分以下になった。3時間浸漬処理した実施例2では、引張強度と伸び率が60%以上の保持率を示した。1時間浸漬処理した比較例3では、無処理に対して保持率は高くなったが、引張強度と伸び率で60%以上を保持することは出来なかった。
(比較例4)
実施例1に示される方法で、0.3重量%EVOH溶液を作製し、実施例1と同様な方法で2分間EVOH溶液を通水し、その後、同様な処理を施し、次亜塩素酸ナトリウム溶液に浸漬し、膜の引張強度、伸び率を測定した。2分通水の場合のEVOH付着率は5.3重量%であった。なお、通水時間(分)=−13.9×溶液濃度(重量%)+15.9の式で求められる時間は、溶液濃度0.3重量%の場合、11.7分となり、比較例4の条件では2分のため、不十分な通水時間となる。
以上の結果を表3に示す。
Figure 2006205003
表3の結果が示すように、0.3重量%EVOH溶液を使用する場合、実施例1と同じ2分間通水処理した場合でも、通水時間が不十分となり、引張強度と伸び率で60%以上を保持することは出来なかった。

Claims (7)

  1. ポリオレフィン中空糸膜の細孔内表面に、少なくともオレフィン及び水酸基含有モノマーの共重合体を付着させてなり、5000ppmの次亜塩素酸ナトリウム水溶液に室温でpH調整無しの状態で浸漬し、1000時間経過時に、引張強度及び破断伸び率の初期値に対する保持率が何れも60%以上である耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜。
  2. 前記共重合体の付着量が、中空糸膜総重量の6〜20重量%である請求項1記載の耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜。
  3. 前記ポリオレフィン中空糸膜が、溶融延伸法または熱誘起相分離法で製膜されたポリエチレン中空糸膜である請求項1又は2に記載の耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜。
  4. 少なくともオレフィン及び水酸基含有モノマーの共重合体を水とアルコールとを含む混合溶媒に溶解した溶液を、ポリオレフィン中空糸膜の細孔内に含浸させた状態で、凝固浴に浸漬して前記共重合体を凝固させた後、乾燥させる耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜の製造方法。
  5. 浸漬時間(h)=−13.6×溶液濃度(重量%)+16.1の式で求められる時間以上、ポリオレフィン中空糸膜を前記溶液に浸漬させて、前記溶液の含浸を行うと共に、乾燥後に前記共重合体の付着量を中空糸膜総重量の6〜20重量%とする請求項4に記載の耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜の製造方法。
  6. 通水時間(分)=−13.9×溶液濃度(重量%)+15.9の式で求められる時間以上、ポリオレフィン中空糸膜に前記溶液を加圧しながら通水して、前記溶液の含浸を行うと共に、乾燥後に前記共重合体の付着量を中空糸膜総重量の6〜20重量%とする請求項4に記載の耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜の製造方法。
  7. 前記溶液が、前記共重合体としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を0.1〜3.0重量%含むものである請求項4〜6いずれかに記載の耐塩素性ポリオレフィン中空糸膜の製造方法。
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