JP2006204673A - 紙おむつ - Google Patents

Abstract

【課題】腹部、臀部および脚周りにおけるフィット性を向上させ、漏れおよび装着ズレを防止する。
【解決手段】背側Ｂのウエスト端部Ｗを除く本体部分Ｔに多数の背側弾性伸縮部材２１，２２が伸張状態で固定されるとともに、腹側Ｆの本体部分Ｔに多数の腹側弾性伸縮部材２３が伸張状態で固定された紙おむつにおいて、股間側の一部の背側弾性伸縮部材２２は、本体部分Ｔにおいて幅方向両側縁部から幅方向中央に向かい、かつ幅方向中央に近づくにつれて縦方向股間４側に近づくように延在する斜め配置部分を有しており、全ての腹側弾性伸縮部材２３は、本体部分Ｔにおいて幅方向両側縁部から幅方向に沿って直線状に延在するように構成する。
【選択図】図１

Description

本発明は、ウエスト端部を除く本体部分に弾性伸縮部材を有する紙おむつに関するものである。

近年汎用されている紙おむつ、特に一対の脚開口部および腰開口部が予め形成されたパンツ型紙おむつでは、身体へのフィット性（形状適合性）を高めるために、適所に糸ゴム等の弾性伸縮部材を伸張状態で固定し、その収縮力を予め作用させておくことによって伸縮性を付与している。

例えば、本出願人は、下腹部および臀部におけるフィット性を高めるために、ウエスト端部のみならずその下側の本体部分においても周方向に沿って弾性伸縮部材を設けることを提案している（特許文献１参照）。また、脚開口部の縁に沿って弾性伸縮部材を配置することも提案している。

しかしながら、この従来の紙おむつでは依然としてフィット性に改善の余地があり、装着ズレが発生する、あるいは漏れが発生するといった問題点がある。
特開２００２−１７２１３９号公報

そこで、本発明の主たる課題は腹部、臀部および脚周りにおけるフィット性を向上させ、漏れおよび装着ズレを防止することにある。

上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
＜請求項１記載の発明＞
背側のウエスト端部を除く本体部分に単数または複数の背側弾性伸縮部材が伸張状態で固定されるとともに、腹側のウエスト端部を除く本体部分に単数または複数の腹側弾性伸縮部材が伸張状態で固定された紙おむつであって、
全てまたは一部の前記背側弾性伸縮部材は、前記背側の本体部分において幅方向両側縁部から幅方向中央に向かい、かつ幅方向中央に近づくにつれて縦方向股間側に近づくように延在する斜め配置部分を有しており、
全ての前記腹側弾性伸縮部材は、前記腹側の本体部分において幅方向両側縁部から幅方向に沿って直線状に延在している、
ことを特徴とする紙おむつ。

（作用効果）
本発明者らは、上記従来品における弾性伸縮部材の配置とフィット性等との関係について鋭意研究していた。そもそも、不十分なフィット性の原因は弾性伸縮部材の配置のみに起因するものではなく、また従来品においても一見十分にフィットしているように見えるため、原因の究明は予想外に困難であった。

しかし、詳細に研究した結果、従来のものは、身体におけるおむつ装着部分の前面形状および後面形状における質の相違を見落としていた。つまり、身体におけるおむつ装着部分の前面においては、上部に下腹部の膨らみがあり、その下側に略平坦な部分があり、両者の境界は略幅方向に沿って延在するのに対して、身体におけるおむつ装着部分の後面においては、上部に略平坦な部分があり、下部に臀部の膨らみがあり、臀部の膨らみの頂部から下端まで略１／４球状の曲面が存在している。よって、従来品のように、背側及び腹側の弾性伸縮部材が略対称的な方向・配置となっていれば、背側および腹側のいずれか一方におけるフィット性は不十分となる。そこで、本発明者らは、上記身体形状を考慮して弾性伸縮部材の配置を種々検討したが、静的なフィット性の高い配置は容易に発見できるものの、動的なフィット性が高いもの、換言すれば動きに対してもフィット性が低下しないものについては配置から予測できるものではなかった。

本発明は、このような研究の成果としてなされたものであり、特徴的には、腹側弾性伸縮部材については幅方向両側縁部から幅方向に沿って直線状に延在させるのに対して、背側弾性伸縮部材については（複数ある場合はその少なくとも一部のものについては）幅方向中央に近づくにつれて縦方向股間側に近づくように延在する斜め配置部分を有するようにしたものである。

前述のとおり、身体におけるおむつ装着部分の前面においてはウエストから股間までの起伏変化は幅方向に略一様であるため、腹側弾性伸縮部材が幅方向に沿って直線状に延在していると、下腹部の膨らみ、その下側の略平坦な部分、および両者の境界のいずれにも、高いフィット性を示す。これに対して、腹側弾性伸縮部材が背側弾性伸縮部材と同様の斜め部分を有している場合、おむつを穿かせて直の状態ではフィット性が悪くないにもかかわらず、その後の動きには対応できずに、ズレを生じフィット性が低下する。特に弾性伸縮部材の収縮力の縦方向成分がおむつのズレ落ちを促進させてしまうものと考えられる。

一方、身体におけるおむつ装着部分の後面においては、臀部の頂部以下の起伏変化は幅方向に略一様とみなせるものではなく、どちらかといえば略１／４球面とみなせるものである。この場合に、背側弾性伸縮部材が斜め配置部分を有すると、その斜め方向の収縮力が臀部の曲面に沿って包むように作用する。また、臀部の下側の脚付け根部分では脚周りが弧状をなしており、本発明の斜め方向の収縮力はこの脚周りに沿って作用する。よって、背側においても、高いフィット性が発揮される。これに対して、背側弾性伸縮部材が腹側弾性伸縮部材と同様に幅方向に沿うものである場合、おむつを穿かせて直の状態ではフィット性が悪くないにもかかわらず、その後の動きには対応できずに、臀部がはみ出る等のズレを生じフィット性が低下する。特に弾性伸縮部材の収縮力の周方向成分が脚周りを幅方向中央側に移動させ、臀部がはみ出てしまうものと考えられる。

そして、ここで留意すべきは、動的なフィット性までも考慮する場合、腹側弾性伸縮部材の収縮力と背側弾性伸縮部材の収縮力とがおむつの側縁を介して互いに影響し合う関係にあることであり、一方のフィット性が低いと、他方の配置が崩れて全体としてのフィット性が低下することである。いま、例えば、本発明と同様の斜め部分を有する背側弾性伸縮部材を備えている場合において、腹側部分のフィット性が低い場合を考える。この場合、腹側弾性伸縮部材を有する部分は肌から浮いて動き易くなっており、その動きはおむつ両側縁部を移動させる結果、背側弾性伸縮部材の斜め部分の傾斜が変化し、背側におけるフィット性も低下する。これに対して本発明では、前述のとおり、腹側および背側におけるフィット性がともに高いことによって、従来品からは予測できるレベルを超えた漏れ防止効果が発揮される。

＜請求項２記載の発明＞
前記背側弾性伸縮部材が縦方向に間隔をあけて３本以上設けられるとともに、隣り合う背側弾性伸縮部材の斜め配置部分における最大縦方向間隔が、股間側に近いほど広くされている、請求項１記載の紙おむつ。

（作用効果）
このような配置形態とすることにより、背側弾性伸縮部材がより臀部の曲面に沿った収縮力を発揮し、より高いフィット性がもたらされる。

＜請求項３記載の発明＞
前記背側弾性伸縮部材の斜め配置部分は、股間から最も遠い位置と股間に最も近い位置との間の縦方向距離が、背側部分の縦方向長さの１／５０〜１／２倍とされている、請求項１記載の紙おむつ。

（作用効果）
背側弾性伸縮部材の斜め配置部分がこの程度の縦方向範囲にわたって設けられていると、上記本発明の作用効果を発揮する上で特に好ましい。

＜請求項４記載の発明＞
前記背側弾性伸縮部材の斜め配置部分は、直線状をなすか、あるいは幅方向中央に近づくにつれて傾きが減少するような曲線状をなしている、請求項１〜３のいずれか１項に記載の紙おむつ。

（作用効果）
背側弾性伸縮部材の斜め配置部分は、直線状をなしていても良いが、特に幅方向中央に近づくにつれて傾きが減少するような曲線状をなしていると、臀部の曲面に対する高いフィット性がもたらされるため好ましい。

＜請求項５記載の発明＞
幅方向中間部に縦方向に沿って吸収体が設けられるとともに、前記吸収体と重なる部分において背側弾性伸縮部材および腹側弾性伸縮部材が切断されているか、または背側弾性伸縮部材および腹側弾性伸縮部材が設けられていない、請求項１〜４のいずれか１項に記載の紙おむつ。

（作用効果）
この場合、吸収体と重なる部分に収縮力が作用しないため、見栄えがすっきりとするとともに、吸収体の収縮・変形による吸収能力阻害を防止できる。

＜請求項６記載の発明＞
背側弾性伸縮部材および腹側弾性伸縮部材が切断されている部分の幅、または背側弾性伸縮部材および腹側弾性伸縮部材が設けられていない部分の幅が、縦方向股間側に近づくほど狭く構成されている、請求項５記載の紙おむつ。

（作用効果）
股間側では、吸収体は両足に挟まれる。このため、吸収体は股間側ほど幅方向に収縮され、吸収能力が阻害され易くなる。そこで、本項記載のように構成することで、股間側ほど弾性力を強くし、吸収体をより強く引っ張って広げることができ、もって股間側における吸収能力阻害を防止できるようになる。

＜請求項７記載の発明＞
前記背側弾性伸縮部材および腹側弾性伸縮部材として、太さが１００〜１０００ｄｔｅｘの糸ゴムが背側および腹側のそれぞれに１０〜３０本設けられている、請求項１〜６のいずれか１項に記載の紙おむつ。

（作用効果）
背側弾性伸縮部材の斜め配置部分がこの程度の縦方向範囲にわたって設けられていると、上記本発明の作用効果を発揮する上で特に好ましい。

以上のとおり、本発明によれば、臀部および脚周りにおけるフィット性が向上し、漏れおよび装着ズレを効果的に防止できる等の利点がもたらされる。

以下、本発明の実施の形態について、パンツ型使い捨ておむつの例により詳説する。
（第１の実施形態）
主に図１によって、本発明の部位や方向に関する用語説明をしつつ、図２〜図５によって、第１の実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつについて説明する。第１の実施形態に係るパンツ型使い捨ておむつは、図１〜図５示されるように、おむつの外形をなす外形シート１と、この外形シート１内面に固定され、股下４を中心として縦方向（前後方向）に延在する吸収主体１０とを主体として構成されている。

外形シート１は２枚または３枚以上の通気・撥水性の不織布を積層固定してなり、この外形シート１と吸収主体１０とを重ね合わせた後の製造工程の最終段階で、腹側（前身頃）Ｆおよび背側（後身頃）Ｂを胴回り部の両側部の縦方向全体において超音波シールや熱溶融などの手段により接合する（この接合部を符号３０としてある）ことにより、図５に示されているように上端に腰開口部ＷＯが形成され、左右下部に一対の脚開口部ＬＯが形成される。

ここで、本発明における「縦方向」とは、腹側と背側とを結ぶ方向を意味し、「周方向」とは縦方向と直交する方向を意味し、幅方向とは製品の左右方向を意味する。「ウエスト端部」Ｗとは、腰開口部ＷＯの縁から所定の縦方向長さ範囲の全体領域を意味する。このウエスト端部Ｗよりも股間側の部分が「本体部分」Ｔとなり、この本体部分Ｔは、ウエスト端部Ｗの下縁から脚開口部ＬＯの上端に至る長さ範囲の全体領域として定まる「腰下部」Ｕと、脚開口部ＬＯを形成する長さ範囲の全体領域として定まる「股部」Ｌとに分けて考えることができる。この点からも判るように、本体部分の幅方向両側縁部は、脚開口部ＬＯの縁部を含む。これらの縦方向の長さは、製品のサイズや種類によって適宜定めれば良いが、ウエスト端部Ｗは１５〜４０ｍｍ、腰下部Ｕは６５〜１２０ｍｍ、股部Ｌは１００〜４００ｍｍである。

本実施形態の吸収主体１０は、図３に示すように、着用者の肌に直接触れる長方形の透液性トップシート１１と、吸収コア１３を主体とし、必要に応じてその上下面全体がクレープ紙１４により包まれてなる吸収体ＡＢと、この吸収体ＡＢの裏面において両側縁近傍まで達する不透液性バックシート１２とを有するものとなっている。透液性トップシート１１は、吸収体ＡＢの両側縁を周り込んで裏面に達し、不透液性バックシート１２に重ねられており、これらの各要素はホットメルト接着剤により接着一体化されている。図中＊で示しているのが接着部分である。体液の平面方向の拡散性を向上させる等の吸収制御を目的として、必要に応じて、図示のように透液性トップシート１１とクレープ紙１４との間に、セカンドシート１１Ｓを介在させることができる。この吸収主体１０は、ほぼ裏面全体を外形シート１に対して、ホットメルト接着剤等により接着し一体化することができる。

吸収主体１０の両側部には、使用面側に突出する脚周り起立カフスＣ，Ｃがそれぞれ形成されている。この起立カフスＣは、実質的に幅方向に連続する起立シート４０に、弾性伸縮部材、たとえば糸ゴムからなる一本のまたは図示のように複数本の弾性伸縮部材５０，５０…が伸張状態で固定されてなるものであり、弾性伸縮部材の収縮力により起立するように構成されている。

より詳細には、起立カフスＣは、起立シート４０を２重にして形成され、起立シート４０間に弾性伸縮部材５０，５０…をホットメルト接着剤などにより固着した状態で包んで形成されたものである。二重の起立シート４０の内面は、吸収体ＡＢ及び不透液性バックシート１２の裏面側に回り込んでホットメルト接着剤などにより固着されている。よって、二重の起立シート４０のこの固着始端は、起立カフスＣの起立端をなしており、この起立端より先端側は、製品本体に固定されていない自由部分をなしている。ただし、この自由部分の長手方向前後端部は、折り畳まれた状態で物品に、具体的には透液性トップシート１１外面に固定される。この固定はホットメルト接着剤などにより固定することができる。また、弾性伸縮部材５０，５０…は、少なくとも１本が自由部分にあることを基本形態とするが、特にその弾性伸縮部材５０は自由部分の先端部にあることが好ましく、さらに、図示のように、根元側にも弾性伸縮部材５０を有することが好ましく、また先端部には、図示のように複数本有するのがさらに望ましい。かくして構成された起立カフスＣ，Ｃでは、各弾性伸縮部材５０，５０…の収縮力が作用するので、製品の前後端部はそのままで、脚周り部分では各弾性伸縮部材５０，５０…の収縮力により起立するようになる。

トップシート１１やセカンドシート１１Ｓ、バックシート１２、起立シート４０等の部材は不織布により形成することができる。不織布としては、天然繊維、合成繊維のいずれを用いてもよい。天然繊維の例としては、綿、セルロース（木材パルプ）、羊毛、絹等が挙げられる。また合成繊維としては、ポリプロピレン（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）、ナイロン、ポリエステル（ＰＥＴ）、アクリル等が挙げられ、またＰＥ／ＰＰ混合不織布、ＰＥ／ＰＥＴ混合不織布、また、上記素材を適宜組み合わせたバイコンポーネント繊維（混合繊維） も用いることができる。また、これらの繊維性素材から不織布を製造する方法としては、公知の方法を適宜用いることができ、例えば、ケミカルボンド、サーマルボンド、スパンレース等のいずれの方法を用いてもよく、また合成繊維等では、スパンボンド法、メルトブロー法、またこれらと上記の接着方法の組み合わせ等、いずれの方法を用いて製造してもよい。

バックシート１２や起立シート４０を不織布により形成する場合、疎水性または撥水性の高い素材で製造することが望ましく、また、その不織布には疎水性または撥水性を高くする加工を施すことができる。本実施形態の起立シート４０のように二重に形成されたシートでは、間に不透液性フィルムシートを挟むことにより不透液性とすることもできる。これらバックシート１２や起立シート４０は、通気もしくは蒸気透過性を有しているのも好ましい。また、バックシート１２や起立シート４０は、不織布により形成しなくても良く、この場合、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムにより形成することもできる。

他方、おむつを身体腰周りに締め付けるために、腹側Ｆ及び背側Ｂのウエスト端部Ｗには、腰開口部ＷＯの縁と平行に間隔を置いてウエスト弾性伸縮部材２０Ｆ，２０Ｂが伸長状態で固定されている。この固定は、ホットメルト接着剤等を用いて行うことができる。また、ウエスト弾性伸縮部材２０Ｆ，２０Ｂは、概略的に図４に示すように、外形シート１の不織布間１Ａ、１Ｂ間に設けるのが好ましいが、外形シート１が一枚である場合等、必要に応じて外形シート１の内面または外面に固定することができる。ウエスト弾性伸縮部材２０Ｆ，２０Ｂの間隔および本数は適宜定めることができるが、例えば間隔としては４〜８ｍｍ程度、より望ましくは４〜７ｍｍ、本数としては４〜１０本程度が好ましい。またウエスト弾性伸縮部材２０Ｆ，２０Ｂとしては、伸張応力が１５０％伸長時において１０〜１００ｇｆの範囲、特に１０〜５０ｇｆの範囲のものが好適に使用される。ウエスト弾性伸縮部材２０Ｆ，２０Ｂに糸ゴムを用いる場合、その太さとしては１００〜１０００ｄｔｅｘとするのが望ましい。

また、背側のウエスト端部Ｗを除く本体部分Ｔに多数の背側弾性伸縮部材２１，２２が伸張状態で固定されるとともに、腹側のウエスト端部Ｗを除く本体部分Ｔにも、多数の腹側弾性伸縮部材２３が伸張状態で固定されている。この固定は、ホットメルト接着剤等を用いて行うことができる。また、腹側および背側弾性伸縮部材２１〜２３は、ウエスト弾性伸縮部材２０Ｆ，２０Ｂと同様に、外形シート１の不織布間１Ａ、１Ｂ間に設けるのが好ましいが、外形シート１が一枚である場合等、必要に応じて外形シート１の内面または外面に固定することができる。

背側及び腹側弾性伸縮部材２１〜２３の間隔および本数は適宜定めることができるが、例えば間隔としては２０ｍｍ以下、より望ましくは５．０ｍｍ以下であり、本数としては平行に１０〜３０本程度が好ましい。この背側及び腹側弾性伸縮部材２１〜２３の相互間隔は、ウエスト弾性伸縮部材２０Ｆ，２０Ｂ…の間隔に対して同じか、あるいはそれよりも短くするのが望ましい。また、背側及び腹側弾性伸縮部材２１〜２３は、本体部分Ｔの６０％以上、望ましくは７０％以上、より好ましくは９０％以上の縦方向範囲にわたって存在することが望ましい。

また、背側及び腹側弾性伸縮部材２１〜２３としては、ウエスト弾性伸縮部材２０Ｆ，２０Ｂよりも伸張応力または断面外径が小さいか、あるいは実質的に同一のものとすることができる。具体的には、背側及び腹側弾性伸縮部材２１〜２３の伸張応力は、１５０％伸長時において４〜１７ｇｆの範囲、特に５〜１０ｇｆの範囲内にあるのが望ましい。背側及び腹側弾性伸縮部材２１〜２３として糸ゴムを用いる場合、太さが１００〜１０００ｄｔｅｘ以下、特に３００〜７００ｄｔｅｘのものが好適である。

そして第１の実施形態では、腰下部Ｕに端部を有する背側弾性伸縮部材２１は、幅方向両側縁部間にわたり幅方向に沿って直線状に延在しているものの、股部Ｌに端部を有する背側弾性伸縮部材２２は、幅方向両側縁部間にわたって延在するとともに、両側縁部から幅方向中央に向かい、かつ幅方向中央に近づくにつれて股間４側に近づくように斜めに延在している。これに対して、腹側弾性伸縮部材２３は、その全てが腹側の本体部分Ｔにおいて幅方向両側縁部間にわたり幅方向に沿って直線状に延在している。

かくして構成された紙おむつでは、前述のとおり、腹部、臀部および脚周りにおいて高いフィット性が発揮され、漏れや装着ズレが効果的に防止される。

なお、第１の実施形態の紙おむつでは、背側弾性伸縮部材２２の斜め配置部分が、側縁部から直線状に延在する部分２２ｓと、股間側に膨らむ円弧曲線状をなす幅方向中間部分２２ｃとを有しているため、幅方向中央に収縮力が集中し難く、攣れ難い。しかし、本発明はこの配置に限定されるものではない。

また、第１の実施形態の紙おむつでは、隣り合う背側弾性伸縮部材２２の斜め配置部分における最大縦方向間隔ｙ１が股間４側に近いほど広くされているため、より臀部の曲面に沿った収縮力が発揮され、より高いフィット性がもたらされるようになっている。しかし、本発明では、最大縦方向間隔ｙ１は任意に定めることができ、等間隔となるように構成したり、股間側に近づくにつれて狭くしたりすることもできる。

また、本発明の背側弾性伸縮部材２２の斜め配置部分の縦方向範囲は適宜定めることができるが、通常の場合、股間４から最も遠い位置と股間４に最も近い位置との間の縦方向距離ｙ２が、背側部分Ｂの縦方向長さの１／５０〜１／２倍とされていると、本発明の作用効果を発揮する上で特に好ましい。

また、図示形態では、背側弾性伸縮部材のうち股間側の一部のもの２２のみが斜め配置部分を有しているが、全てが斜め配置部分を有していても良い。図示形態の背側弾性伸縮部材２１，２２は、腰下部Ｕ及び股部Ｌの両方に設けられているが、いずれか一方にのみ設けられていても良く、その場合、その一部または全部が斜め配置部分を有していれば良い。また、腹側弾性伸縮部材２３についても、その全てが幅方向に沿って直線状に延在する限り、腰下部Ｕ及び股部Ｌのいずれか一方にのみ設けることができる。

（第２の実施形態）
第２の実施形態は、図６に示すように、斜め配置部分を有する背側弾性伸縮部材２２を設けるために、幅方向中央に近づくにつれて傾きが減少するような円弧曲線状に背側弾性伸縮部材２２を配置した点以外は、第１の実施の形態と同様のものである。背側弾性伸縮部材２２の斜め配置部分は、第１の実施形態のように直線状をなしていても良いが、第２の実施形態のように曲線状をなしていることで、より臀部の曲面に沿った収縮力が発揮され、より高いフィット性がもたらされる。特に、図示形態のように、背側弾性伸縮部材２２の一部は臀部を横切るが、他の一部の股間４側の背側弾性伸縮部材２２が臀部の膨らみを回り込むような曲線状をなしていると、顕著にフィット性に優れるため好ましい。

（第３の実施形態）
第３の実施形態は、図７に示すように、斜め配置部分を有する背側弾性伸縮部材２２が、側縁部から中央に向かって所定長さ、例えば製品幅の１／１０以下の長さまでの部分２２ｓにおいて幅方向に沿って延在し、幅方向中間部２２ｃでは幅方向中央に近づくにつれて縦方向股間側に近づくように斜め直線状に延在しているものである。このことからも判るように、本発明の斜め配置部分を有する背側弾性伸縮部材２２は、幅方向に沿う部分を有していても良い。

また、第３の実施形態は、図７に示すように、斜め配置部分における幅方向中間部２２ｃが直線状部分のみからなり、股間４側に鋭角的に膨らむ配置形状を有している。本発明の斜め配置部分を有する背側弾性伸縮部材２２は、このような形状に配置することもできる。なお、その他は、第１の実施形態と同様であるため説明を省略する。

（第４の実施形態）
第４の実施形態は、図８に示すように、吸収体ＡＢと重なる部分において背側および腹側弾性伸縮部材２１〜２３が設けられていない形態である。これと同様の効果を奏するものとして、図示しないが、吸収体ＡＢと重なる部分において背側弾性伸縮部材２１，２２および腹側弾性伸縮部材２３が切断されている形態も提案される。この切断方法については、特開２００２‐１７８４２８号公報に示されるように、幅方向に所定の間隔で多数箇所切断しても良く、また一箇所だけ切断しても良い。

このように、吸収体ＡＢと重なる部分において弾性伸縮部材２１〜２３が不連続になっていると、吸収体ＡＢに対して作用する収縮力が弱くなる或いは無くなり、吸収体ＡＢが収縮することによる吸収阻害が発生し難くなる。

または背側および腹側弾性伸縮部材２１〜２３が設けられていない部分の幅ｘ（切断部分も同じ）は適宜定めることができるが、図示のように、縦方向股間側に近づくほど狭くなるように構成されていると、股間側ほど弾性力が強くなり、吸収体の収縮が防止される。よって、股間側における吸収能力阻害を防止できるようになる。

また、図示形態と異なり、背側および腹側弾性伸縮部材２１〜２３のいずれか一方のみ、弾性伸縮部材２１〜２３を不連続にしたり、背側または腹側弾性伸縮部材２１〜２３の一部のみを不連続にしたり、これらを組み合わせて背側および腹側のいずれか一方の一部の弾性伸縮部材のみ不連続にしたりする等、適宜の変更が可能である。

（弾性伸縮部材について）
上記の弾性伸縮部材としては、天然ゴムや合成ゴムなどの材質のほか、ウレタンなどの弾性材料からなるものを用いることができる。また弾性伸縮部材の形状としては、糸もしくはひも状のものの他、細帯状や、これよりも幅広のフィルムまたはシート状のものも使用できる。フィルムとしては無孔フィルムや孔開きフィルム、さらにシートとしては網目状のシートなどを適宜選択できる。

（その他）
上記各実施形態において示した構成は、本発明の範囲内において、その一部または全部を他の実施形態に組み合わせることができる。

本発明は、パンツ型紙おむつに好適であるが、これに限られず、本発明の弾性伸縮部材を有するものであれば、おむつ使用時（装着時）に背側の左右両側部を腹側の左右両側部に持ち込み、これらをテープファスナー（粘着剤テープファスナー及びメカニカルファスナー等を含む）により接合するタイプのいわゆるテープ止着型紙おむつ（特開２００３−１８０７４６号公報等）にも適用できる。

第１の実施形態の使用面側からの展開状態平面図である。 第１の実施形態の外面側からの展開状態平面図である。 そのIII‐III線矢視図である。 外形シート構造の断面図である。 第１の実施の形態製品の斜視図である。 第２の実施形態の外面側からの展開状態平面図である。 第３の実施形態の外面側からの展開状態平面図である。 第４の実施形態の外面側からの展開状態平面図である。

符号の説明

１…外形シート、４…股下、１０…吸収主体、１２…バックシート、１３…吸収コア、ＡＢ…吸収体、Ｃ…バリヤーカフス、２０Ｆ，２０Ｂ…ウエスト弾性伸縮部材、２１，２２…背側弾性伸縮部材、２３…腹側弾性伸縮部材、Ｔ…本体部分、Ｕ…腰下部、Ｌ…股部、Ｗ…ウエスト端部、ＷＯ…腰開口部、ＬＯ…脚開口部。

Claims (7)

1. 背側のウエスト端部を除く本体部分に単数または複数の背側弾性伸縮部材が伸張状態で固定されるとともに、腹側のウエスト端部を除く本体部分に単数または複数の腹側弾性伸縮部材が伸張状態で固定された紙おむつであって、
   全てまたは一部の前記背側弾性伸縮部材は、前記背側の本体部分において幅方向両側縁部から幅方向中央に向かい、かつ幅方向中央に近づくにつれて縦方向股間側に近づくように延在する斜め配置部分を有しており、
   全ての前記腹側弾性伸縮部材は、前記腹側の本体部分において幅方向両側縁部から幅方向に沿って直線状に延在している、
   ことを特徴とする紙おむつ。
2. 前記背側弾性伸縮部材が縦方向に間隔をあけて３本以上設けられるとともに、隣り合う背側弾性伸縮部材の斜め配置部分における最大縦方向間隔が、股間側に近いほど広くされている、請求項１記載の紙おむつ。
3. 前記背側弾性伸縮部材の斜め配置部分は、股間から最も遠い位置と股間に最も近い位置との間の縦方向距離が、背側部分の縦方向長さの１／５０〜１／２倍とされている、請求項１記載の紙おむつ。
4. 前記背側弾性伸縮部材の斜め配置部分は、直線状をなすか、あるいは幅方向中央に近づくにつれて傾きが減少するような曲線状をなしている、請求項１〜３のいずれか１項に記載の紙おむつ。
5. 幅方向中間部に縦方向に沿って吸収体が設けられるとともに、前記吸収体と重なる部分において背側弾性伸縮部材および腹側弾性伸縮部材が切断されているか、または設けられていない、請求項１〜４のいずれか１項に記載の紙おむつ。
6. 背側弾性伸縮部材および腹側弾性伸縮部材が切断されている部分の幅、または背側弾性伸縮部材および腹側弾性伸縮部材が設けられていない部分の幅が、縦方向股間側に近づくほど狭く構成されている、請求項５記載の紙おむつ。
7. 前記背側弾性伸縮部材および腹側弾性伸縮部材として、太さが１００〜１０００ｄｔｅｘの糸ゴムが背側および腹側のそれぞれに１０〜３０本設けられている、請求項１〜６のいずれか１項に記載の紙おむつ。

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