JP2006198769A - 多層シート及び電子部品搬送用容器並びにカバーテープ - Google Patents

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Abstract

【課題】静電気によるピックアップミスや張り付き等による実装不良が起こらない多層シート及びそれを成形して得られる電子部品搬送用容器並びにカバーテープを提供する。
【解決手段】少なくとも3層以上からなる多層シートであって、その層構成の中間に位置する中間層の表面抵抗値が10〜1011Ω/□である導電層を有する事を特徴とする帯電防止性に優れた多層シート及びそれを成形して得られる電子部品搬送用容器並びにカバーテープ。

Description

本発明は、帯電防止性に優れた多層シート及び電子部品搬送用容器並びにカバーテープに関するものである。
近年、電子部品の小型化や高性能化がますます進んでいる。部品の小型化に伴い、静電気によるピックアップミスや張り付き等による実装不良の問題が増えてきている。従来はその対策として、特許文献1に示されるように電子部品搬送用容器の表面に導電層を設け、静電気の発生を押えていた。しかしながら、最近では、表面抵抗値を下げるだけでは、静電気関連の問題を解決出来ない事例が増えてきている。電子部品は、キャリアテープに挿入し、蓋材であるカバーテープでシール後、搬送される際に電子部品とキャリアテープ、カバーテープとの摩擦で帯電してしまう。特に小型の電子部品において、この帯電により、カバーテープを剥離した際に電子部品がカバーテープに張り付いたり、電子部品がキャリアテープに張り付いたり、電子部品がキャリアテープから飛び出したりといった問題が起き、実装不良の原因となっている。そこで、静電気によるピックアップミスや張り付き等による実装不良が起こらない電子部品搬送用容器並びにカバーテープが求められている。
特開2001−334611号公報
本発明は、静電気によるピックアップミスや張り付き等による実装不良が起こらない多層シート及びそれを成形して得られる電子部品搬送用容器並びにカバーテープを提供する事にある。
本発明は、
(1)少なくとも3層以上からなる多層シートであって、その層構成の中間に位置する中間層の表面抵抗値が10〜1011Ω/□である導電層を有する事を特徴とする多層シート、
(2)前記多層シートの引張降伏点強度がMD、TD方向共に30MPa以上であって、MIT耐折試験による耐折強度がMD、TD方向共に50回以上である(1)項に記載の多層シート、
(3)前記多層シートの片面又は両面の表面抵抗値が10〜1011Ω/□である(1)又は(2)項に記載の多層シート、
(4)(1)〜(3)項のいずれかに記載の多層シートを成形してなる電子部品搬送用容器、
(5)(1)項に記載の多層シートからなる、電子部品搬送容器用カバーテープ、
である。
本発明に従うと、得られた多層シートは、静電気によるピックアップミスや張り付き等による実装不良が起こらない電子部品搬送用容器並びにカバーテープを提供できる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、静電気によるピックアップミスや張り付き等による実装不良が起こらない、少なくとも3層以上からなる多層シートであって、その層構成の中間に位置する中間層に表面抵抗値が10〜1011Ω/□である導電層を有する事を特徴とする多層シート及びそれを成形して得られる電子部品搬送用容器並びにカバーテープである。
表面抵抗値とは、導電性を有する中間層を単層で押出し、又は、任意の基材表面に塗布した場合の表面抵抗値の事である。中間層の表面抵抗値が下限値未満になると、表面抵抗値が低すぎて、外部で発生した電気を通電し、電子部品を破壊する可能性があるため好ましくない。上限値を超えると、表面抵抗値が高すぎて静電気の抑制にほとんど効果がない。
以下に静電気抑制の原理を示す。もし、シート上面が(+)電荷に帯電したとすると、反対の下面は誘導帯電により(−)電荷に帯電する。電気力線は(+)電荷に始まり(−)電荷で終わるので、この場合、電気力線は上面から下面の方向となる。このシートの内部に体積抵抗値が10〜1011Ω/□である導電層があると、導電層の中はある程度自由に電子が動くことが出来るので、この電荷の偏りを打ち消す方向に電荷が偏る。つまり、導電層の上面に(−)電荷、下面に(+)電荷となり、電気力線は下面から上面となる。導電層内の電気力線はシート全体の電気力線の方向と反対向きなので、シート全体の電気力線と打ち消しあって、電気力線の強さを減少させる。これらの効果により、中間層に表面抵抗値が10〜1011Ω/□である導電層があると、静電気の発生を押えることが出来る。
従来のシートの表面に導電層を有し、発生した静電気を拡散させる方法では、シート表面の静電気は拡散できるが、内部の体積抵抗値が高いため、シート内部が帯電した場合静電気の発生が押えられない。また、帯電防止剤を樹脂に練り込んで表面にブリードさせる方法では以下(a)〜(d)のような問題がある。
(a)帯電防止剤と樹脂の相性がある。
(b)表面にブリードした帯電防止剤が摩擦等により一旦落ちると、帯電防止の再現まで時間がかかる。
(c)ブリードした帯電防止剤が電子部品を汚染する。
(d)一般に帯電防止剤は湿度が低いと効果がない。
しかしながら本発明では、シート表面に導電処理をしなくても静電誘導によりシート全体の静電気の発生を押える事ができるといった利点がある。
これらの原理により静電気の発生を押えることが出来るので、表面抵抗値が10〜1011Ω/□である導電層をシート内部に有していれば良く、導電層の種類については特に規定しなが、導電性の発生に湿度の影響を受けにくい、導電性カーボン、金属系微粒子、導電性高分子等が好ましい。
本発明を用いることにより、静電気によるピックアップミスや張り付き等による実装不良が起こらない、多層シート及びそれを成形して得られる電子部品搬送用容器並びにカバーテープを提供する事ができる。
本発明で用いられる多層シートの表裏面には、表裏面で発生した静電気を拡散させるため、多層シートの表裏面に導電処理を施しても良い。この場合もやはり、導電性の発生に湿度の影響を受けにくい、導電性カーボン、金属系微粒子、導電性高分子等が好ましい。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これは単なる例示であり、本発明はこれにより限定されるものではない。
<実施例1>
表面抵抗値が10Ω/□である導電性HIPS(大日精化(株)製 ネオコンD443)を中間層に、その両外層にABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製 サンタックMT−81)を用い、フィードブロック方式の2種3層の押出機で、層厚み比率がABS/導電HIPS/ABS=45/10/45である厚み0.2mmのシートを得た。
<実施例2>
厚み0.1mmの透明HIPS樹脂(PSジャパン(株)製 SX100)に透明導電塗料(大日精化(株)製 ネオコンコート567)を膜厚1μで塗布後(塗布面の表面抵抗値10Ω/□)、塗布面が中間層になるように厚み0.1mmの透明HIPS樹脂(PSジャパン(株)製 SX100)を熱プレスし、厚み0.2mmのシートを得た。
<比較例1>
ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製 MT−81)を用い、厚み0.2mmの単層シートを得た。
<比較例2>
透明HIPS樹脂(PSジャパン(株)製 SX100)を用い、厚み0.2mmの単層シートを得た。
表1に、キャリアテープに対する電子部品の貼り付きに関する評価を示した結果を示した。評価方法を以下に示す。シートを8mm幅にスリットし、幅0.90mm*長1.70mm*深0.90mmのポケットを有するキャリアテープに成形した。このキャリアテープに幅0.82mm*長1.65mm*深0.82mmの電子部品を12個挿入した後、蓋材であるカバーテープ(住友ベークライト製 CSL−Z7302)をシールした。電子部品封入後のキャリアテープをイオナイザーで除電し、キャリアテープを下にして600rpmで5分間(3000回)振動させた。その後カバーテープを剥離し、キャリアテープを電子部品が入っている面が下になるようにひっくり返した。これらの作業を5回行い、全ての電子部品が落ちるものを○、キャリアテープに貼り付いて落ちない電子部品があるものを×とした。
本発明を用いることにより、静電気によるピックアップミスや張り付き等による実装不良が起こらない多層シート及びにそれを成形して得られる電子部品搬送用容器並びにカバーテープを提供する事ができる。

Claims (5)

  1. 少なくとも3層以上からなる多層シートであって、その層構成の中間に位置する中間層の表面抵抗値が10〜1011Ω/□である導電層を有する事を特徴とする多層シート。
  2. 前記多層シートの引張降伏点強度がMD、TD方向共に30MPa以上であって、MIT耐折試験による耐折強度がMD、TD方向共に50回以上である請求項1に記載の多層シート。
  3. 前記多層シートの片面又は両面の表面抵抗値が10〜1011Ω/□である請求項1又は2に記載の多層シート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の多層シートを成形してなる電子部品搬送用容器。
  5. 請求項1に記載の多層シートからなる、電子部品搬送容器用カバーテープ。
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JP2014031197A (ja) * 2012-08-03 2014-02-20 Asahi Kasei Chemicals Corp カバーテープ、カバーテープの製造方法及び電子部品梱包体

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