JP2006196522A - 発光ダイオード - Google Patents

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玄太 小泉
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Abstract

【課題】 2回のエピタキシャル成長を行うことなく、表面電極に対向する領域外に電流注入領域を絞り込む層を容易に半導体基板表面上に形成することができる低コストで高歩留で高光出力が得られる発光ダイオードの構造を提供することにある。
【解決手段】 半導体基板1の上に少なくともクラッド層6と活性層5を含む半導体層を形成し、表面電極9と裏面電極10の間に電圧を印加することによって所定の方向に流れる電流を前記半導体層に注入して前記活性層5から光を出射させる発光ダイオードにおいて、前記半導体基板表面の前記表面電極9と対向する領域にイオン注入層2を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、発光ダイオードに関し、特に外部光取り出し効率の高い発光ダイオードに関するものである。
図3はメサ分離型GaAlAs系発光ダイオードの構成を示したものである。n型GaAsの半導体基板1の上にn型GaAsのバッファ層3、n型GaAlAsクラッド層4、p型GaAlAsの活性層5、p型GaAlAsクラッド層6及びp型GaAsの電極コンタクト層7を順にエピタキシャル成長させ、このウェハの最上部と半導体基板1にそれぞれp型の表面電極9とn型の裏面電極10を形成し、さらに半導体結晶層表面をガラス保護膜8で覆うことにより発光ダイオードが構成される。
この構成において、順方向に電流が流れると、裏面電極10からクラッド層4を介して活性層5への電子の注入が行われ、かつ表面電極9からクラッド層6を介して活性層5には正孔の注入が行われ、活性層5内で電子と正孔が再結合することになり、その結果光が発生し、上面から光が取り出される。
図3(a)は光取り出し領域の中心に表面電極を配置した中心電極型構造であり、(b)は光取り出し領域の周辺部に表面電極を配置した周辺電極型構造である。一般的に(a)の中心電極型構造は(b)の周辺電極型構造と比較して電流分散に優れ高光出力が得やすいが、設計上発光面積が小の場合は光取り出し領域内での電極被覆率が大となる為、光出力が低下し易い。
一般的に標準的な発光ダイオードは(a)の中心電極型構造が多く、LEDプリンターのプリンターヘッドの光源として使用される高密度発光ダイオードアレイの場合は、1発光ダイオード(ドット)のサイズが微小になる為、(b)の周辺電極型構造になる場合が多い。
これらの従来の発光ダイオードによると取り出される光出力効率の点で問題を有している。この構成の発光ダイオードにおいては、表面電極9と裏面電極10が、バッファ層3〜電極コンタクト層7を介して対向配置されている関係より、電流密度は表面電極9の直下の領域が最も高くなる。従ってこれに伴い光出力も表面電極9の直下の領域で最も高くなるが、この領域から出力される光の大部分は上部に位置した表面電極9によって反射されることとなり、外部には取り出すことが出来ず、発光ダイオード本来の光出力が得られない。
この影響は特に1発光ダイオードあたりの面積が非常に小となる高密度タイプの発光ダイオードアレイには大きい。
その為、従来はこの問題の対策として、図4(a)(b)に示すように、半導体基板1の表面の表面電極9に対向する領域に、逆導電層11となるp型GaAs層パターンを形成することにより電流注入領域を絞り、表面電極9直下に電流が集中しにくくすることにより、活性層全体の電流密度の均一化を行い、高出力化を計ってきた。
しかしながら、上記方法の場合、基板上にまずp型GaAs逆導電層11をエピタキシャル成長した後、p型GaAs逆導電層11のパターンの加工を行い、再度エピタキシャル成長を行うというように、2回エピタキシャル成長を行わなくてはならない為、スループットの低下に繋がり、製作コストが大幅に増大する。
かつ、2回目のエピタキシャル成長の際のp型GaAs逆導電層11のパターンの段差の影響によるエピタキシャル層の膜厚の均一性への悪影響、及びp型GaAs逆導電層11のパターンのエッチング加工の際に発生する結晶層表面の酸化、汚れ付着により、所望の特性を得ることが非常に困難となり、歩留が低下し易い。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、2回のエピタキシャル成長を行うことなく、表面電極に対向する領域外に電流注入領域を絞り込む層を容易に半導体基板表面上に形成することができる低コストで高歩留で高光出力が得られる発光ダイオードの構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、次のように構成したものである。
請求項1の発明に係る発光ダイオードは、半導体基板の上に少なくともクラッド層と活性層を含む半導体層を形成し、表面電極と裏面電極の間に電圧を印加することによって所定の方向に流れる電流を前記半導体層に注入して前記活性層から光を出射させる発光ダイオードにおいて、前記半導体基板表面の前記表面電極と対向する領域にイオン注入層を設けたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1項記載の発光ダイオードにおいて、前記半導体基板がGaAs基板であり、前記半導体層がGaAsバッファ層、GaAlAsクラッド層、GaAlAs活性層及びGaAs電極コンタクト層を含み、前記イオン注入層のイオンがArイオンであることを特徴とする。
本発明によれば、表面電極に対向する半導体基板表面層に、Arイオンを注入したイオン注入層を設けたことにより、イオン注入層による非晶質の領域が生まれることで高抵抗層が生まれ、電流が流れなくなることにより、表面電極直下に電流密度が集中すること無く、電流密度が活性層内で均等になり、外部光取り出し効率の高い発光ダイオードを構成することができる。
また本発明によれば、従来のように2回エピタキシャル成長を行う必要がなく、替わりにスループットの高いイオン注入技術を用いることにより製作コストの大幅削減も可能であり、かつ従来の2回のエピタキシャル成長による半導体結晶層の均一性の低下という問題も発生しないことより高い歩留が得られる。
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
次に本発明によるメサ分離方式の中心電極型発光ダイオードの実施の形態を説明する。
これは、半導体基板の上に少なくともクラッド層と活性層を含む半導体層を形成し、表面電極と裏面電極の間に電圧を印加することによって所定方向に流れる電流を前記半導体層に注入して前記活性層から光を出射させる発光ダイオードにおいて、半導体基板表面の表面電極に対向する領域にイオン注入技術を用い、Arイオンを注入した層を設けた発光ダイオードの構造例である。
図1(a)において、まずn型GaAs半導体基板1の表面における所定の部分領域、つまり後に形成される表面電極9に対向する領域に、選択的に、イオン注入法によりArイオンを注入し、Arイオン注入層2を形成する。イオン注入には中電流イオン注入装置を使用し、ドーズ量は7.0×1012cm-2とし、加速電圧は150kevとした。
なお、このイオン注入層2は、後に形成される表面電極9に対向する位置になるよう設計している。また使用するイオン注入装置は約100枚/時間の処理能力を有する非常に生産性の高い設備である。注入イオン種としては、分子量大のArが、結晶へのダメージを与えやすい点で最適である。
次にn型GaAs半導体基板1上に、n型GaAsのバッファ層3、AlAs混晶比が0.5〜0.6のn型GaAlAsクラッド層4、p型GaAlAs活性層5、AlAs混晶比が0.5〜0.6のp型GaAlAsクラッド層6及びp型GaAs電極コンタクト層7をエピタキシャル成長する(図1(b))。本実施例のエピタキシャル成長法としてMOVPE法(有機金属気相成長法)を使用した。
次に、メサ分離後、半導体層表面を覆うガラス保護膜を8を形成した後p型の表面電極9を形成し、基板裏面にはn型の裏面電極10を形成する(図1(c))。
なお、p型の表面電極9の材料としてはAuZn/Ni/Auを使用し、n型の裏面電極10の材料としてはAuGe/Ni/Auを使用した。
以上の構成の発光ダイオードによれば、表面電極9、裏面電極10間に電圧を印加した場合、半導体基板1からの電子は、Arイオンが注入されたArイオン注入層2の領域においては非晶質または結晶欠陥が多数発生している為、非常に高抵抗領域であるために流れず、Arイオン注入層2の領域外より電子は注入されることとなり、表面電極9直下に電流密度が集中することがない。
この結果、活性層5内では従来のように表面電極9直下に発光が集中することがなくなり、広い範囲での発光が生じるため、従来よりも外部光取り出し効率の高い発光ダイオードを構成することができる。
図2は、図1と同様に、メサ分離方式の周辺電極型発光ダイオードの実施の形態を示したものである。図1(c)と同様に、半導体基板1表面の表面電極9に対向する領域に高抵抗となるArイオン注入層2を形成したことにより、外部光取り出し効率の高い発光ダイオードを構成することができる。
なお、本発明ではArイオン注入層2の形成を選択イオン注入法で形成したが、全面イオン注入法を用い、イオン注入後不要なイオン注入層をエッチングにより除去する手段も可能である。ただし、前述したように選択エッチングによるパターン段差、及びエッチング時に生じる結晶層表面の酸化により、エピタキシャル成長が安定せず、高い歩留を得ることはできない。特に発光ダイオードアレイのように1チップ内の発光ドットの光出力、電気特性の均一性が重視される素子については非常に作製が困難となる。
本発明の実施形態に係るGaAlAs系発光ダイオードの成長工程を示す図である。 本発明の他の実施形態に係るGaAlAs系発光ダイオードの構成を示す断面図である。 従来のGaAlAs系発光ダイオードの構成を示したものであり、(a)は中心電極型構造の断面図、(b)は周辺電極型構造の断面図である。 従来の他のGaAlAs系発光ダイオードの構成を示したものであり、(a)は中心電極型構造の断面図、(b)は周辺電極型構造の断面図である。
符号の説明
1 半導体基板(n型GaAs)
2 Arイオン注入層
3 バッファ層(n型GaAs)
4 クラッド層(n型GaAlAs)
5 活性層(p型GaAlAs)
6 クラッド層(p型GaAlAs)
7 電極コンタクト層(p型GaAs)
8 ガラス保護膜
9 表面電極(p型)
10 裏面電極(n型)
11 逆導電層(p型GaAs)

Claims (2)

  1. 半導体基板の上に少なくともクラッド層と活性層を含む半導体層を形成し、表面電極と裏面電極の間に電圧を印加することによって所定の方向に流れる電流を前記半導体層に注入して前記活性層から光を出射させる発光ダイオードにおいて、
    前記半導体基板表面の前記表面電極と対向する領域にイオン注入層を設けたことを特徴とする発光ダイオード。
  2. 前記半導体基板がGaAs基板であり、前記半導体層がGaAsバッファ層、GaAlAsクラッド層、GaAlAs活性層及びGaAs電極コンタクト層を含み、前記イオン注入層のイオンがArイオンであることを特徴とする請求項1項記載の発光ダイオード。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023142148A1 (en) * 2022-01-31 2023-08-03 Jade Bird Display (Shanghai) Company Micro led structure and micro display panel

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