JP2006194131A - 高圧燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】 金属基盤の厚みを増すことなくリード線を外部へ引き出した部分の気密性を高めることができる高圧燃料噴射弁を提供することを課題とする。
【解決手段】 高圧燃料噴射弁(1)は、内部(3a)にニードル弁駆動手段を備えると共に高圧燃料が充填される筒状のインジェクタケース(3)を有する。このインジェクタケース(3)の基端側開口部へは金属基盤(4)が装着される。この金属基盤(4)にはリード線挿入孔(5)が形成され、このリード線挿入孔(5)にニードル弁駆動手段に接続するリード線(6)を挿通して外部へ引き出しハーメチックシールを施してある。このような金属基盤(4)の外周壁(4b)とインジェクタケース(3)の内周壁(3b)との間には隙間(9)が形成されている。この隙間(9)に高圧燃料が流入し、その圧力によりハーメチックシールの耐圧強度が向上する。
【選択図】 図3
【解決手段】 高圧燃料噴射弁(1)は、内部(3a)にニードル弁駆動手段を備えると共に高圧燃料が充填される筒状のインジェクタケース(3)を有する。このインジェクタケース(3)の基端側開口部へは金属基盤(4)が装着される。この金属基盤(4)にはリード線挿入孔(5)が形成され、このリード線挿入孔(5)にニードル弁駆動手段に接続するリード線(6)を挿通して外部へ引き出しハーメチックシールを施してある。このような金属基盤(4)の外周壁(4b)とインジェクタケース(3)の内周壁(3b)との間には隙間(9)が形成されている。この隙間(9)に高圧燃料が流入し、その圧力によりハーメチックシールの耐圧強度が向上する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、ニードル弁駆動手段に接続するリード線をインジェクタケースの外部へ引き出すためのリード線挿入孔にハーメチックシールを施した高圧燃料噴射弁に関する。
従来、燃料噴射弁内の高圧燃料中に配線されるソレノイド駆動用リード線を外部に取出すために、図12に示したような耐圧性気密端子50を備えた燃料噴射弁が提案されている。すなわち、耐圧性気密端子50は、金属基盤51に形成された円筒状のリード線挿入孔内52にリード線挿入孔52の中心軸線に沿うようにリード線53を配設するとともに、リード線53周りのリード線挿入孔52に粉末ガラスを充填し、このガラス粉末を焼成して絶縁封止ガラス54とすることによってリード線をハーメチックシールして構成している。(非特許文献1)。
燃料噴射弁には種々の形式のものがあるが、ニードル弁を駆動するソレノイドを二層に備えたいわゆるダブルソレノイド形式の燃料噴射弁ではその構造上、燃料噴射弁内の高圧燃料中にリード線を配線しなければならないことが多い。
トヨタ技術公開集、発行番号14838、発行日2003年6月20日
トヨタ技術公開集、発行番号14838、発行日2003年6月20日
しかしながら前記従来のハーメチックシールでは、以下のような問題があった。従来のハーメチックシールは耐圧性気密端子として用いることができる圧力が真空(差圧0.1MPa)〜数MPa程度であるところ、実際の燃料噴射弁での使用圧力は数10MPaあるいは100MPaを超えることもある。従って、従来のハーメチックシールではこのような超高圧環境下における耐圧強度を保証することは困難であり、燃料噴射弁使用環境ではハーメチックシールが抜け落ちる等、燃料漏れが発生するおそれがあり問題であった。
以上のようなハーメチックシールは金属基盤と絶縁封止ガラスの熱膨張係数差を利用して気密性を確保しているため金属基盤の締め付け方向(径方向)の肉圧が耐圧性能に寄与する。このため、従来の要求耐圧が数MPa程度のハーメチックシールを用いた耐圧性気密端子では、絶縁封止ガラス径に対し金属基盤の外径(絶縁封止ガラス締め付け方向の厚み)が1.5〜1.7倍程度となっていたが、100MPaを超えるような高圧環境下で用いるためには金属基盤の外径をさらに厚くしなければならない。
ところが、実際には形状等の制約、搭載性の問題から金属基盤の厚みをあまり厚くすることもできず、むしろ、燃料噴射弁の軽量小型化の要請に応えるためには金属基盤は薄肉化が望まれる。
そこで、本発明は、金属基盤の厚みを増すことなくリード線を外部へ引き出した部分の気密性を高めることができる高圧燃料噴射弁を提供することを課題とする。
かかる課題を達成するための、本発明の高圧燃料噴射弁は、内部にニードル弁駆動手段を備えると共に高圧燃料が充填される筒状のインジェクタケースと、当該インジェクタケースの基端側開口部へ装着されると共にリード線挿入孔が形成され、当該リード線挿入孔に前記ニードル弁駆動手段に接続するリード線を挿通して外部へ引き出しハーメチックシールを施した金属基盤とを有し、前記ハーメチックシールの近傍に前記インジェクタケース内の高圧燃料が流入する隙間が形成されたことを特徴とする(請求項1)。
ここで、前記隙間は前記インジェクタケースの内周壁と前記金属基盤の外周面との間に形成された構成とすることができ(請求項2)、また、前記隙間は前記金属基盤の前記リード線挿入孔の周囲に設けられた構成とすることもできる(請求項3)。
要は、ハーメチックシールをさらに締めつけるように金属基盤にインジェクタケース内の高圧燃料の圧力が作用する構成となっていればよい。
本発明によれば、リード線を外部へ引き出しハーメチックシールを施した金属基盤とを有し、ハーメチックシールの近傍に前記インジェクタケース内の高圧燃料が流入する隙間を形成したので、高圧燃料の圧力による金属基盤の締め付け力を向上させてハーメチックシールの耐圧強度の向上を図ることができ、高圧環境下でもハーメチックシールの不良が生じることのない高圧燃料噴射弁を構成することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
図1は、本発明の高圧燃料噴射弁1の断面図である。また、図2は図1中、円Aで囲んだ部分の拡大図であり、さらに、図3は図2中、円Bで囲んだ部分の拡大図である。高圧燃料噴射弁1は、内部にニードル弁2とこのニードル弁2を軸方向に移動させるニードル弁駆動手段を備える筒状のインジェクタケース3を有している。このインジェクタケース3の内部3aには高圧燃料が充填されることとなる。なお、高圧燃料噴射弁1は、ニードル弁駆動手段として二層のソレノイドをインジェクタケース3の内部3aに内装しているが、説明の都合上、図中では省略している。
インジェクタケース3の基端側には金属基盤4が装着される。この金属基盤4には、リード線挿入孔5が形成され、このリード線挿入孔5にそれぞれリード線6が挿通されており、このリード線挿入孔5に絶縁封止ガラス7を充填してハーメチックシールを施している。リード線6はインジェクタケース3の内部3aのニードル弁駆動手段に接続されている。
このような金属基盤4は先端側の小径部分4aをインジェクタケース3の基端部の内側へ嵌め込んで、図中、矢示8で示した部分を溶接してインジェクタケース3と一体化している。ここで、金属基盤4の小径部分4aは、図3に示すようにインジェクタケース3の内周壁3bと金属基盤4の外周面4bとの間に隙間9が形成される径となっている。この隙間9にはインジェクタケース3内に充填される高圧燃料が流入する。
このような構成とすれば、金属基盤4の厚み(金属基盤4の小径部分4a)を増すことなくハーメチックシールの耐圧強度を向上させることができる。
ここで、このような金属基盤4周辺の圧力状態につき、ハーメチックシールを施した従来の金属基盤51における圧力状態と比較しつつ説明する。
従来の金属基盤51は、外周面51aはインジェクタケースの内周面と密着した状態でインジェクタケースと一体化されるため、インジェクタケース内に充填された高圧燃料による圧力は図4に示すような状態で金属基盤51及びハーメチックシールを形成する絶縁封止ガラス54に作用する。すなわち、金属基盤51の外周面51aには高圧燃料による圧力は作用しない。
これに対し、本実施例における金属基盤4では、隙間9が形成されていることから図5に示すように矢示10aで示した高圧燃料による圧力が金属基盤4(小径部分4a)の外周面4bにも作用する。ここで、金属基盤4にはリード線挿入孔5内に矢示10bで示したように外側に向かい、リード線挿入孔5を広げるような圧力も作用するが、リード線挿入孔5の内周壁の面積よりも金属基盤4の外周壁4bの面積が広いため、作用する力の大きさとしては内側へ向かう力が大きくなる。このため、金属基盤4は絶縁封止ガラス7を締めつける力が増大し、ハーメチックシールの耐圧強度が向上する。
次に、本発明の効果につき、図6に示すようなテストピース11を用いた耐圧性能の評価結果を示しつつ説明する。テストピース11は、本実施例の金属基盤4又は従来の金属基盤51に相当するものであり、その直径を10mmとし、絶縁封止ガラス7(リード線挿入孔5)の直径を1.0mm、絶縁封止ガラス7の長さを1.8mmとした。また、図6中、Aで示した部分の寸法を2〜5mmの間で種々変更して、すなわち、実際の高圧燃料噴射弁1における金属基盤4の肉厚に相当する部分を0.5mm〜2.0mmの間で種々変更して耐圧性能の比較を行った(肉厚:0.5mm、1.0mm、2.0mm、4.5mmの4種)。なお、隙間9は1mmとした。従って、隙間9まで含めた直径は、図中、A+2と表記した。このようなテストピース11は、天地を入れ換えることにより従来のハーメチックシールの状態(比較例:金属基盤の外周は常圧)、本実施例のハーメチックシールの状態(金属基盤の外周は高圧)を再現できるようになっている。
テストピース11は、図7や図8に示すように治具12にセットして試験を行う。治具12は下部部材12aと上部部材12bとに上下に二分割できるようになっており、下部部材12aの凹部12a1にテストピース11をセットしてボルト15で締め付け、矢示13のように圧力を付加する。このとき、テストピース11の周囲にはOリング14を装着しておく。なお、図7は、隙間9を設けた側から圧力を付加するようにしたもので本実施例のハーメチックシールの状態を再現するものである。一方、図8は、図7の状態からテストピース11を上下入れ換えてセットしたもので従来のハーメチックシールの状態を再現するもの(比較例)である。
評価試験は、雰囲気常温の場合と、雰囲気高温(140℃)の場合について行った。ここで、雰囲気高温の場合として140℃を選定したのは、エンジン周辺の部品の耐熱保証温度を考慮したものである。
以上のような条件で行った評価結果を図9、図10を参照しつつ説明する。図9は、雰囲気常温で行ったものであり、図10は、雰囲気140℃で行ったものである。
まず、図9に示した雰囲気常温で行った場合であるが、比較例としてあげたである従来のハーメチックシールの状態(テストピース11すなわち金属基盤51の外周が常温)では、肉厚を増せば、それに伴って高い耐圧強度を確保することができる。ここで、ハーメチックシールを高圧燃料噴射弁1に用いる場合、安全率等を考慮すると210MPa程度の耐圧強度は確保したいところであるが、比較例においてこのような高い耐圧強度を確保するためには肉厚を4.5mm程度にまで引き上げなければならないことになる。これでは高圧燃料噴射弁1の小型軽量化を達成するのは困難である。
一方、本実施例のハーメチックシールの状態(テストピース11すなわち金属基盤4の外周が高圧)では、耐圧強度220MPa程度までの評価に止めたが、肉厚にかかわらず一様に目標圧力を上回る220MPa以上の耐圧強度を得ることができた。これは、肉厚が0.5mmであっても十分な耐圧強度を確保することができることを示しており、高圧燃料噴射弁1の小型軽量化の可能性を示すものである。
次に、図10に示した雰囲気140℃で行った場合であるが、比較例としてあげたである従来のハーメチックシールの状態(テストピース11すなわち金属基盤51の外周が常温)では、雰囲気常温の場合と同様に、肉厚を増せばそれに伴って高い耐圧強度を確保することができる。但し、雰囲気常温の場合と比較して全般的に耐圧強度は低めである。これは、雰囲気温度が高ければ熱膨張差による締め付け力が低下するため、これにより耐圧強度が低下したと考えられる。
一方、本実施例のハーメチックシールの状態(テストピース11すなわち金属基盤4の外周が高圧)では、雰囲気140℃であるにもかかわらず、どの肉厚でも雰囲気常温の場合と同様の耐圧強度(220MPa以上)を確保することができている。従って、本実施例の高圧燃料噴射弁1を実際にエンジンに装着した場合であっても十分な耐圧強度を確保できると考えられる。また、その際、肉厚を0.5mmまで低下させたとしても同程度の耐圧強度を確保できるものと考えられる。
次に、実施例2について図11を参照しつつ説明する。この実施例2が実施例1と異なる点は、以下の如くである。すなわち、実施例1では、図3に示すようにインジェクタケース3の内周壁3bと金属基盤4の外周面4bとの間に隙間9が形成され、この隙間9にインジェクタケース3内に充填される高圧燃料が流入する構成となっているのに対し、実施例2では、図11に示したように、インジェクタケース3の内周壁3bと金属基盤4の外周面4bとは当接しており、隙間9は、絶縁封止ガラス7を充填した金属基盤4のリード線挿入孔5の周囲に設けられ、この隙間9にインジェクタケース3内に充填される高圧燃料が流入する構成となっている。
このような構成としても、金属基盤4の厚み(金属基盤4の小径部分4a)を増すことなくハーメチックシールの耐圧強度を向上させることができる。
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。例えば、前記実施例では、インジェクタケース3と金属基盤4との接合は溶接により行っているが、両者を螺合させることもできる。この場合であってもインジェクタケース3の内周壁(3b)と金属基盤4の外周壁4bとの間に隙間9を形成するようにする。
1 高圧燃料噴射弁
2 ニードル弁
3 インジェクタケース
3b 内周壁
4、51 金属基盤
4a 小径部分
4b 外周壁
5、52 リード線挿入孔
6、53 リード線
7、54 絶縁封止ガラス
9 隙間
11 テストピース
12 治具
2 ニードル弁
3 インジェクタケース
3b 内周壁
4、51 金属基盤
4a 小径部分
4b 外周壁
5、52 リード線挿入孔
6、53 リード線
7、54 絶縁封止ガラス
9 隙間
11 テストピース
12 治具
Claims (3)
- 内部にニードル弁駆動手段を備えると共に高圧燃料が充填される筒状のインジェクタケースと、
当該インジェクタケースの基端側開口部へ装着されると共にリード線挿入孔が形成され、当該リード線挿入孔に前記ニードル弁駆動手段に接続するリード線を挿通して外部へ引き出しハーメチックシールを施した金属基盤とを有し、
前記ハーメチックシールの近傍に前記インジェクタケース内の高圧燃料が流入する隙間が形成されたことを特徴とする高圧燃料噴射弁。 - 前記隙間は前記インジェクタケースの内周壁と前記金属基盤の外周面との間に形成されたことを特徴とする請求項1記載の高圧燃料噴射弁。
- 前記隙間は前記金属基盤の前記リード線挿入孔の周囲に設けられたことを特徴とする請求項1記載の高圧燃料噴射弁。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005005480A JP2006194131A (ja) | 2005-01-12 | 2005-01-12 | 高圧燃料噴射弁 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005005480A JP2006194131A (ja) | 2005-01-12 | 2005-01-12 | 高圧燃料噴射弁 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=36800415
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005005480A Pending JP2006194131A (ja) | 2005-01-12 | 2005-01-12 | 高圧燃料噴射弁 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006194131A (ja) |
-
2005
- 2005-01-12 JP JP2005005480A patent/JP2006194131A/ja active Pending
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