JP2006194093A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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健治 櫻井
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亮 冨松
Yasushi Nojima
泰 野嶋
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Abstract

【課題】 三元触媒の温度を低下させることなく、三元触媒におけるHSの発生を抑制する。
【解決手段】 三元触媒23を排気通路24内に具備する。三元触媒から流出する排気ガスを三元触媒上流の排気通路へ導入する排気導入手段31,32,33,34を具備し、三元触媒の内部雰囲気がHSが発生する状態になったとき或いはHSが発生する状態になると予想されたときに、排気導入手段によって三元触媒から流出する排気ガスを三元触媒上流の排気通路22へ導入する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
内燃機関の燃焼室から排出される排気ガス中の一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、および、炭化水素(HC)を浄化するための三元触媒が知られている。この三元触媒は、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比であるときに、CO、NOx、および、HCを高い浄化率で同時に浄化することができる。そして、このような三元触媒において、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチになると、排気ガス中の硫黄成分が排気ガス中の還元成分(例えば、HCや水素(H))によって還元されて硫化水素(HS)が発生することも知られている(なお、水素は、例えば、CO+HO→CO+Hで表されるいわゆる水性ガス反応や、CH+HO→CO+3Hで表されるいわゆる水蒸気改質反応によって生成される)。
このようにHSが三元触媒において発生することは、特許文献1にも記載されている。そして、HSは悪臭成分であることから、三元触媒においてHSを発生させないようにすることが好ましい。そこで、特許文献1では、三元触媒に流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチとなって、HSが発生する可能性があるときに、三元触媒に空気を供給することによって、三元触媒の内部雰囲気を理論空燃比よりもリーンなものとし、HSの発生を抑制するようにしている。
実開平2−067022号公報 実開昭63−171610号公報 実開昭63−042821号公報 実開昭63−045449号公報 特開平1−227814号公報 特公平7−78365号公報
ところが、特許文献1に記載の発明によると、三元触媒に供給された空気によって該三元触媒の温度が低下し、これにより、三元触媒の浄化能力も低下してしまう。
そこで、本発明の目的は、三元触媒の温度を低下させることなく、三元触媒におけるHSの発生を抑制することにある。
上記課題を解決するために、1番目の発明では、三元触媒を排気通路内に具備する内燃機関の排気浄化装置において、三元触媒から流出する排気ガスを三元触媒上流の排気通路へ導入する排気導入手段を具備し、三元触媒の内部雰囲気がHSが発生する状態になったとき或いはHSが発生する状態になると予想されたときに、上記排気導入手段によって三元触媒から流出する排気ガスを三元触媒上流の排気通路へ導入する。
2番目の発明では、1番目の発明において、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときに排気ガス中の酸素を保持し且つ流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比または理論空燃比よりもリッチとなると保持している酸素を放出する酸素保持・放出手段を上記三元触媒上流の排気通路内に具備する。
3番目の発明では、1番目の発明において、上記三元触媒上流の排気通路内に追加の三元触媒をさらに具備し、上記排気導入手段が該追加の三元触媒上流の排気通路へ排気ガスを導入する。
4番目の発明では、1番目の発明において、上記三元触媒上流の排気通路内に追加の三元触媒をさらに具備し、上記排気導入手段がこれら三元触媒間の排気通路へ排気ガスを導入すると共に上記追加の三元触媒上流の排気通路へも排気ガスを導入する。
5番目の発明では、3または4番目の発明において、流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときに排気ガス中の酸素を吸蔵し且つ流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比または理論空燃比よりもリッチとなると吸蔵している酸素を放出する酸素保持・放出手段を上記追加の三元触媒上流の排気通路内または上記三元触媒間の排気通路内に具備する。
本発明によれば、三元触媒の内部雰囲気がHSが発生する状態になったとき或いはHSが発生する状態になると予想されたときに、排気導入手段によって三元触媒から流出する排気ガスが三元触媒上流の排気通路へ導入される。これによれば、三元触媒には、そこから流出した排気ガスが供給されることになる。ここで、排気ガス中のCOやHC等の還元成分は三元触媒において浄化されていることから、三元触媒から流出する排気ガス中には、還元成分が含まれていないか或いはほとんど含まれていない。また、三元触媒から流出する排気ガス中には、少なからず、酸素が含まれている。したがって、三元触媒から流出する排気ガスを該三元触媒に導入することによって、三元触媒の内部雰囲気が酸化雰囲気となり、これにより、三元触媒でのHSの発生が抑制される。そして、排気ガスの温度は比較的高いことから、三元触媒から流出した排気ガスを該三元触媒に導入することによる三元触媒の温度が低下することはなく、或いは、低下したとしてもその低下の程度は許容できる程度に小さい。
さらに、三元触媒から流出した排気ガス中にCOやNOxやHCが含まれている場合には、三元触媒から流出して該三元触媒に導入された排気ガス中の少なくともCOやHCは、三元触媒において浄化されることになる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態の排気浄化装置を備えた内燃機関の全体図である。図1において、1は内燃機関の本体、2はシリンダブロック、3はピストン、4はシリンダヘッド、5は燃焼室、6は吸気弁、7は吸気ポート、8は排気弁、9は排気ポート、10は点火栓、11は燃料噴射弁をそれぞれ示している。吸気ポート7は、吸気管13を介してサージタンク14に接続されている。また、サージタンク14は吸気管15を介してエアフローメータ16に接続されている。また、吸気管15内には、ステップモータ17によって駆動せしめられるスロットル弁18が配置されている。
一方、排気ポート9は、排気マニホルド19を介して三元触媒(以下「上流側三元触媒」という)20を内蔵したケーシング21に接続されている。また、ケーシング21は、排気管22を介して三元触媒(以下「下流側三元触媒」という)23を内蔵したケーシング24に接続されている。また、排気管19からサージタンク14まで排気循環通路26が延びている。排気循環通路26には、サージタンク14へ導入され、最終的には、燃焼室5内に導入される排気ガスの流量を制御するための排気循環制御弁27が配置されている。
また、上流側三元触媒20上流の排気マニホルド19には、排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ28が取り付けられている。また、上流側三元触媒20の下流であって下流側三元触媒23の上流の排気管22にも、排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ29が取り付けられている。さらに、下流側三元触媒23の下流の排気管25にも、排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ30が配置されている。
また、下流側三元触媒23の下流の排気管25から上流側三元触媒20と下流側三元触媒23との間の排気管22まで、排気導入通路31が延びている。排気導入通路31には、ポンプ32が配置されている。また、ポンプ32の下流側の排気導入通路31には、そこを通る排気ガスの流量を制御するための制御弁33が配置されており、ポンプ32の上流側の排気導入通路32にも、そこを流れる排気ガスの流量を制御するための制御弁34が配置されている。
ポンプ32を作動すると共に両制御弁33,34を開弁すると、下流側三元触媒23から流出した排気ガスの少なくとも一部が排気導入通路31を介して排気管22内に導入され、結果的に、下流側三元触媒23に導入される。以下の説明では、排気導入通路31を介して下流側三元触媒23に導入される排気ガスを「循環ガス」ともいう。
次に、上流側三元触媒20および下流側三元触媒23の作用について説明する。これら三元触媒20,23は、その温度が或る温度(いわゆる、活性温度)以上であって、且つ、図2に示したように、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍の領域X内にあるときに、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)、および、炭化水素(HC)を同時に高い浄化率にて浄化する。一方、これら三元触媒20,23は、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときには、排気ガス中の酸素を吸収或いは吸蔵することによって保持し、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチであるときには、吸収した酸素を放出する酸素保持・放出能力を有する。この酸素保持・放出能力が正常に機能する限り流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであってもリッチであっても、これら三元触媒20,23内の雰囲気の空燃比がほぼ理論空燃比近傍に維持されるので、排気ガス中のNOx、CO、HCが同時に高い浄化率で浄化される。
次に、空燃比センサ28,29,30について説明する。これら空燃比センサ28,29,30は、図3に示したように、排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときには、略0Vの電圧を出力し、理論空燃比よりもリッチであるときには、略1Vの電圧を出力する。そして、出力電圧は、排気ガスの空燃比が理論空燃比近傍にある領域において急激に変化して、理論空燃比に相当する基準電圧VR(≒0.5)を横切る。すなわち、これら空燃比センサ28,29,30は、排気ガスの空燃比が理論空燃比に対してリーンであるかリッチであるかに応じて異なる一定の電圧を出力する。
次に、本実施形態に従った下流側三元触媒23における硫化水素(HS)の発生を抑制する制御について説明する。上述したように、三元触媒の内部雰囲気が還元雰囲気になると、排気ガス中の硫黄成分が還元されてHSが発生してしまう。そこで、本実施形態では、下流側三元触媒23の内部雰囲気が還元雰囲気になって下流側三元触媒23の内部がHSを発生させてしまう状態になったとき、或いは、HSを発生させてしまう状態になると予想されたとき、ポンプ32を作動すると共に両制御弁33,34を開弁させることによって、下流側三元触媒23から流出した排気ガスの少なくとも一部を排気導入通路31を介して排気管22に導入し、結果として、下流側三元触媒23に導入する。
ここで、下流側三元触媒23から流出する排気ガス中のCOやHC等の還元成分は、少なくとも、下流側三元触媒23において浄化されているので、循環ガス中には、還元成分は含まれていないか或いはほとんど含まれていない。このため、上述したように、循環ガスを下流側三元触媒23に導入することにより、下流側三元触媒23の内部雰囲気が酸化雰囲気となり、或いは、少なくとも、還元雰囲気の度合が低下する。このため、下流側三元触媒23でのHSの発生が抑制されることになる。
また、本実施形態によれば、下流側三元触媒23から流出する排気ガスの少なくとも一部が下流側三元触媒23をもう一度通されることになるので、排気ガス中の各成分に対する本実施形態の排気浄化装置の浄化率が向上することになる。また、下流側三元触媒23においてHSが発生してしまったとしても、下流側三元触媒23から流出する排気ガスの一部は下流側三元触媒23に導入され、ここで、下流側三元触媒23の内部雰囲気は酸化雰囲気になっているので、下流側三元触媒23において発生してしまったHSの一部は下流側三元触媒23に再び戻されることで酸化されて、悪臭とはならない硫黄酸化物(SOx)になる。
また、下流側三元触媒23におけるHSの発生を抑制するために下流側三元触媒23に導入されるガスが下流側三元触媒23において浄化された排気ガスであることから、仮に、排気導入通路から排気ガスが漏れたとしても問題はない。
なお、下流側三元触媒23の内部雰囲気が還元雰囲気となって下流側三元触媒23の内部がHSを発生させてしまう状態となったと判定されるのは、例えば、燃料噴射弁11から噴射される燃料の量(以下「燃料噴射量」という)が増量せしめられて燃焼室5にて理論空燃比よりもリッチな空燃比で燃焼が行われて所定時間(この所定時間は、燃焼室5から排出された排気ガスが下流側三元触媒23に到達するのにかかる時間に相当する)が経過したときや、下流側三元触媒23下流に配置されている空燃比センサ30によって、理論空燃比よりもリッチな空燃比が検出されたときや、下流側三元触媒23上流に配置されている空燃比センサ28,29によって、理論空燃比よりもリッチな空燃比が検出されてから所定時間(この所定時間は、排気ガスが各空燃比センサ28,29を通過してから下流側三元触媒23に到達するのにかかる時間に相当する)が経過したときである。
また、下流側三元触媒23の内部雰囲気が還元雰囲気となって下流側三元触媒23の内部がHSを発生させてしまう状態になると予想されるのは、例えば、燃料噴射量が増量せしめられて燃焼室5にて理論空燃比よりもリッチな空燃比で燃焼が行われたときや、下流側三元触媒23上流に配置されている空燃比センサ28,29によって、理論空燃比よりもリッチな空燃比が検出されたときである。
また、燃料噴射量が増量せしめられて燃焼室5にて理論空燃比よりもリッチな空燃比で燃焼が行われたために、下流側三元触媒23の内部雰囲気が還元雰囲気になるときには、当然のことながら、上流側三元触媒20の内部雰囲気も還元雰囲気になる。したがって、このとき、上流側三元触媒20においても硫化水素(HS)が発生することになる。しかしながら、このとき、上流側三元触媒20で発生したHSは、内部雰囲気が酸化雰囲気となっている下流側三元触媒23に流入し、ここで、酸化されて硫黄酸化物(SOx)となる。
また、第1実施形態のように、上流側三元触媒20が配置されている場合、燃料噴射量が増量せしめられて燃焼室5にて理論空燃比よりもリッチな空燃比で燃焼が行われたとき、排気ガス中のHCは上流側三元触媒20において浄化されることになる。したがって、第1実施形態のように、上流側三元触媒20が配置されている場合において、燃料噴射量が増量せしめられて燃焼室5にて理論空燃比よりもリッチな空燃比で燃焼が行われたために下流側三元触媒23の内部雰囲気が還元雰囲気になる場合とは、排気ガス中のHCの一部しか上流側三元触媒20において浄化されない場合を意味する。
また、循環ガスを下流側三元触媒23に導入するときの各制御弁33,34の開度は、下流側三元触媒23の内部雰囲気を所望の雰囲気にするために下流側三元触媒23に導入する必要のある循環ガスの量に応じて設定すればよい。
もちろん、本実施形態では、循環ガスを下流側三元触媒23に導入しなくても、下流側三元触媒23の内部雰囲気が還元雰囲気にはならないと判断されたときには、ポンプ23の作動を停止すると共に両制御弁33,34を閉弁する。このように、循環ガスを下流側三元触媒23に導入しなくても、下流側三元触媒23の内部雰囲気が還元雰囲気にならないと判断されるのは、例えば、燃料噴射量が通常の量とされて燃焼室5にて理論空燃比或いは理論空燃比よりもリーンな空燃比で燃焼が行われてから所定時間(この所定時間は、燃焼室5から排出された排気ガスが下流側三元触媒23に到達するのにかかる時間に相当する)が経過したときや、排気管22への排気導入通路31の導入口31Aよりも上流に配置されている空燃比センサ28,29によって、理論空燃比よりもリーンな空燃比が検出されてから所定時間(この所定時間は、排気ガスが各空燃比センサ28,29を通過してから下流側三元触媒23に到達するのにかかる時間に相当する)が経過したときである。
また、通常(例えば、排気ガスの空燃比が理論空燃比となるように、燃料噴射量が制御されているとき)、燃焼室5から排出される排気ガスの空燃比は、極めて短い周期で理論空燃比よりもリッチとなったりリーンとなったりする。このとき、極めて短い周期で、下流側三元触媒23の内部雰囲気が還元雰囲気になることが考えられるが、この場合、下流側三元触媒23の内部雰囲気が還元雰囲気になっている時間が極めて短く、その直後に、下流側三元触媒23の内部雰囲気は酸化雰囲気になる。したがって、燃焼室5から排出される排気ガスの空燃比が極めて短い周期で理論空燃比よりもリッチとなったりリーンとなったりしているときには、下流側三元触媒23においてHSが発生する可能性は極めて低い。
そこで、上述した実施形態では、燃焼室5から排出される排気ガスの空燃比が極めて短い周期で理論空燃比よりもリッチとなったりリーンとなったりしているときには、下流側三元触媒23の内部がHSを発生させる状態になったと判定せず、或いは、HSを発生させる状態になると判定しない。したがって、上述した実施形態において、循環ガスを下流側三元触媒23に導入するのは、下流側三元触媒23の内部が或る時間に亘ってHSを発生させる状態になっているとき、或いは、或る時間に亘ってHSを発生させる状態になると予想されたときである。
図4は、第1実施形態に従って循環ガスを下流側三元触媒23に導入する制御を行った場合の一例をタイムチャートで示したものである。図4において、(A)は燃焼室5内の空燃比を示し、(B)は下流側三元触媒23内部の空燃比を示し、(C)はポンプ32の作動状態を示し、(D)は制御弁33の開閉弁状態を示し、(E)は制御弁34の開閉弁状態を示している。
図4に示した例では、時刻T0以前は、(A)に示されているように、燃焼室5内の空燃比は理論空燃比に維持されており、したがって、(B)に示されているように、下流側三元触媒23内部の空燃比も理論空燃比に維持されている。このため、時刻T0以前は、下流側三元触媒23に循環ガスを導入する必要はないので、(C)に示されているように、ポンプ32の作動は停止(OFF)されており、(D)および(E)に示されているように、各制御弁33,34は閉弁されている。
一方、時刻T0になると、燃焼室5内の空燃比は理論空燃比よりもリッチにされる。このとき、図4に示した例では、ポンプ32を作動(ON)すると共に、各制御弁33,34を開弁する。これにより、下流側三元触媒23内部の空燃比が理論空燃比よりもリーンとなり、斯くして、下流側三元触媒23においてHSが発生することが抑制される。
そして、図4に示した例では、時刻T1になると、燃焼室5内の空燃比は理論空燃比に戻される。そして、時刻T1から一定時間が経過した時刻T2、すなわち、燃焼室5内の空燃比が理論空燃比に戻された後に排出された排気ガスが下流側三元触媒23に到達すると予想される時刻T2において、ポンプ32の作動を停止し、各制御弁33,34を全閉とする。
図5は、第1実施形態に従って循環ガスを下流側三元触媒23に導入するか否かを制御するルーチンの一例を示している。図5のルーチンでは、まず、ステップ10において、燃料噴射量が通常の量(ここでの通常の量は、燃焼室5において理論空燃比で燃焼が行われる量に相当する)よりも増量せしめられた履歴があるか否か、すなわち、燃焼室5において理論空燃比よりもリッチな空燃比で燃焼が行われた履歴があるか否かが判別される。ここで、燃料噴射量が通常の量よりも増量せしめられた履歴があると判別されたときには、ステップ11において、フューエルカット(F/C)(すなわち、燃料噴射弁11からの燃料噴射を停止することであって、これは、例えば、減速時に燃焼室での失火を抑制するために行われるものである)が禁止されているか否かが判別される。
ここで、F/Cが禁止されていると判別されたときには、ステップ12において、下流側三元触媒23下流に配置されている空燃比センサ30の出力電圧VDが基準電圧VRよりも大きい(VD>VR)か否か、すなわち、下流側三元触媒23から流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリッチであるか否かが判別される。ここで、VD>VRであると判別されたときには、ステップ13において、ポンプ32が作動され、ステップ14において、両制御弁33,34が開弁せしめられる。
そして、ステップ15において、VD≦VRであるか否か、すなわち、下流側三元触媒23から流出する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるか否かが判別される。ここで、VD≦VRであると判別されたときには、ステップ16において、ポンプ32の作動が停止され、ステップ17において、両制御弁33,34が全閉とされる。しかしながら、ステップ15において、VD>VRであると判別されたとき、すなわち、下流側三元触媒23から流出する排気ガスの空燃比が未だに理論空燃比よりもリッチであると判別されたときには、ステップ13に戻って、ポンプ32が作動され(実際には、ポンプ32の作動状態が維持され)、次いで、ステップ14において、両制御弁33,34が開弁せしめられる(実際には、両制御弁33,34の開弁状態が維持される)。すなわち、ステップ15において、VD≦VRであると判別されるまで、ステップ13からステップ15が繰り返し実行される。
なお、ステップ10において、燃料噴射量が通常の量よりも増量された履歴がないと判別されたとき、或いは、ステップ11において、F/Cが禁止されていないと判別されたとき、或いは、ステップ12において、VD≦VRであると判別されたときには、そのまま、ルーチンが終了せしめられる。この場合には、ポンプ32は作動されず、両制御弁33,34は全閉のままである。
次に、本発明の第2の実施形態の排気浄化装置について説明する。図6に、第2実施形態の排気浄化装置を備えた内燃機関が示されている。本実施形態では、第1実施形態の排気浄化装置の構成に加えて、制御弁34から上流側三元触媒20上流の排気マニホルド19まで第2の排気導入通路35が延びている。そして、この第2の排気導入通路35には、そこを通る排気ガスの流量を制御するための制御弁36が配置されている。
本実施形態に従った下流側三元触媒23における硫化水素(HS)の発生を抑制する制御は、以下の通りである。すなわち、下流側三元触媒23の内部雰囲気が還元雰囲気になって下流側三元触媒23の内部がHSを発生させてしまう状態になったとき、或いは、HSを発生させてしまう状態になると予想されたとき、ポンプ32を作動すると共に全制御弁33,34,36を開弁させ、下流側三元触媒23から流出した排気ガスの少なくとも一部を排気導入通路31を介して排気管22に導入すると共に、下流側三元触媒23から流出した排気ガスの少なくとも一部を排気導入通路31および第2の排気導入通路35を介して上流側三元触媒20上流の排気マニホルド19に導入する。
これによれば、下流側三元触媒23の内部雰囲気が酸化雰囲気となり、或いは、還元雰囲気の度合が低下するため、下流側三元触媒23でのHSの発生が抑制される。また、本実施形態によれば、上流側三元触媒20の内部雰囲気も酸化雰囲気となり、或いは、還元雰囲気の度合が小さくなるため、上流側三元触媒20でのHSの発生も抑制される。また、本実施形態によれば、下流側三元触媒23から流出する排気ガスの少なくとも一部が下流側三元触媒23をもう一度通され、また、別の一部が上流側三元触媒20および下流側三元触媒23をもう一度通されることになるので、排気ガス中の各成分に対する本実施形態の排気浄化装置の浄化率が向上することになる。
なお、循環ガスを下流側三元触媒23および上流側三元触媒20に導入するときの各制御弁33,34,36の開度は、下流側三元触媒23および上流側三元触媒20の内部雰囲気を所望の雰囲気にするために排気導入通路31および第2の排気導入通路35を介して下流側三元触媒23および上流側三元触媒20に導入する必要のある循環ガスの量に応じて設定すればよい。
また、上述した実施形態は、下流側三元触媒23から流出した排気ガスを下流側三元触媒23および上流側三元触媒20の両方に循環させることを前提としたものであるが、状況に応じて、下流側三元触媒23から流出した排気ガスを下流側三元触媒23にのみ導入したり、上流側三元触媒20にのみ導入したりしてもよい。もちろん、下流側三元触媒23から流出した排気ガスを上流側三元触媒20にのみ導入した場合であっても、結果的には、上流側三元触媒20に導入された循環ガスは、下流側三元触媒23にも導入されることになる。
図7は、第2実施形態に従って循環ガスを上流側三元触媒20および下流側三元触媒23に導入するか否かを制御するルーチンの一例を示している。図7のルーチンでは、まず、ステップ20において、燃料噴射量が通常の量(ここでの通常の量も、燃焼室5において理論空燃比で燃焼が行われる量に相当する)よりも増量せしめられた履歴があるか否かが判別される。ここで、燃料噴射量が通常の量よりも増量せしめられた履歴があると判別されたときには、ステップ21において、フューエルカット(F/C)が禁止されているか否かが判別される。
ここで、F/Cが禁止されていると判別されたときには、ステップ22において、下流側三元触媒23下流に配置されている空燃比センサ30の出力電圧VDが基準電圧VRよりも大きい(VD>VR)か否かが判別される。ここで、VD>VRであると判別されたときには、ステップ23において、ポンプ32が作動され、ステップ24において、全制御弁33,34,36が開弁せしめられる。
そして、ステップ25において、VD≦VRであるか否かが判別される。ここで、VD≦VRであると判別されたときには、ステップ26において、ポンプ32の作動が停止され、ステップ27において、全制御弁33,34,36が全閉とされる。しかしながら、ステップ25において、VD>VRであると判別されたときには、ステップ23に戻って、ポンプ32が作動され(実際には、ポンプ32の作動状態が維持され)、次いで、ステップ24において、全制御弁33,34,36が開弁せしめられる(実際には、全制御弁33,34,36の開弁状態が維持される)。すなわち、ステップ25において、VD≦VRであると判別されるまで、ステップ23からステップ25が繰り返し実行される。
なお、ステップ20において、燃料噴射量が通常の量よりも増量された履歴がないと判別されたとき、或いは、ステップ21において、F/Cが禁止されていないと判別されたとき、或いは、ステップ22において、VD≦VRであると判別されたときには、そのまま、ルーチンが終了せしめられる。この場合には、ポンプ32は作動されず、全制御弁33,34,36は全閉のままである。
次に、本発明の第3の実施形態の排気浄化装置について説明する。図8に、第3実施形態の排気浄化装置を備えた内燃機関が示されている。本実施形態では、第1実施形態の排気浄化装置の構成に加えて、上流側三元触媒20と下流側三元触媒23との間の排気管22内に、酸素保持・放出材37が配置されている。この酸素保持・放出材37は、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときに、排気ガス中の酸素を吸収或いは吸蔵することによって保持し、そこに流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比または理論空燃比よりもリッチになると、保持している酸素を放出する酸素保持・放出能を有している。
酸素保持・放出材37は、例えば、セリア(Ce)を主成分とした触媒からなる。こうしたセリアを主成分とした触媒としては、例えば、セリア(Ce)からなる基材に、保持している酸素を放出する(或いは、脱離させる)のに必要な貴金属(例えば、白金(Pt))を基材にコーティングしたものが挙げられる。また、こうしたセリアを主成分とした触媒に、硝酸バリウム(Ba(NO)を添加し、酸素保持・放出材37の酸素保持・放出能を向上させてもよい。また、セリアを主成分とした触媒に、ジルコニウム(Zr)および希土類(例えば、プラセオジム(Pr)やランタン(La))の少なくとも一方を添加し、酸素保持・放出材37の酸素保持・放出能を向上させてもよい。
或いは、酸素保持・放出材37として、チタン(Ti)またはバナジウム(V)を主成分としたものを挙げることもできる。
第3実施形態の排気浄化装置によれば、下流側三元触媒23における硫化水素(HS)の発生を抑制する制御を第1実施形態のものと同様に行ったとき、酸素保持・放出材37からは酸素が放出され、この酸素が下流側三元触媒23に流入する。このため、下流側三元触媒23の内部雰囲気がより確実に酸化雰囲気となり、或いは、還元雰囲気の度合がより大きく低下するため、下流側三元触媒23でのHSの発生がより良く抑制される。
なお、第2実施形態の排気浄化装置において、上流側三元触媒20と下流側三元触媒23との間の排気管22内に、上述した酸素保持・放出材37を配置してもよい。
第1実施形態の排気浄化装置を備えた内燃機関の全体図である。 空燃比に対する三元触媒の浄化率を示した図である。 空燃比に対する空燃比センサの出力特性を示した図である。 第1実施形態に従って循環ガス導入制御が行われた場合の一例のタイムチャートを示した図である。 第1実施形態に従った循環ガス導入制御ルーチンを示した図である。 第2実施形態の排気浄化装置を備えた内燃機関の全体図である。 第2実施形態に従った循環ガス導入制御ルーチンを示した図である。 第3実施形態の排気浄化装置を備えた内燃機関の全体図である。
符号の説明
1 機関本体
5 燃焼室
10 点火栓
11 燃料噴射弁
19 排気マニホルド
20,23 三元触媒
22,25 排気管
31 排気導入通路
32 ポンプ
33,34 制御弁

Claims (5)

  1. 三元触媒を排気通路内に具備する内燃機関の排気浄化装置において、三元触媒から流出する排気ガスを三元触媒上流の排気通路へ導入する排気導入手段を具備し、三元触媒の内部雰囲気がHSが発生する状態になったとき或いはHSが発生する状態になると予想されたときに、上記排気導入手段によって三元触媒から流出する排気ガスを三元触媒上流の排気通路へ導入することを特徴とする排気浄化装置。
  2. 流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときに排気ガス中の酸素を保持し且つ流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比または理論空燃比よりもリッチとなると保持している酸素を放出する酸素保持・放出手段を上記三元触媒上流の排気通路内に具備することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  3. 上記三元触媒上流の排気通路内に追加の三元触媒をさらに具備し、上記排気導入手段が該追加の三元触媒上流の排気通路へ排気ガスを導入することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  4. 上記三元触媒上流の排気通路内に追加の三元触媒をさらに具備し、上記排気導入手段がこれら三元触媒間の排気通路へ排気ガスを導入すると共に上記追加の三元触媒上流の排気通路へも排気ガスを導入することを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
  5. 流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比よりもリーンであるときに排気ガス中の酸素を吸蔵し且つ流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比または理論空燃比よりもリッチとなると吸蔵している酸素を放出する酸素保持・放出手段を上記追加の三元触媒上流の排気通路内または上記三元触媒間の排気通路内に具備することを特徴とする請求項3または4に記載の排気浄化装置。
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