JP2006193826A - 高融点金属系粉末の製造方法およびターゲット材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 使用済みの高融点金属系ターゲット材を、削出し処理してダライ粉とし、該ダライ粉を粉砕処理して微粉末とした後、さらに真空または還元雰囲気で熱処理をする高融点金属系粉末の製造方法である。また、使用済みの高融点金属系ターゲット材を、削出し処理してダライ粉とし、該ダライ粉を真空または還元雰囲気で熱処理をした後、さらに粉砕処理して微粉末とする高融点金属系粉末の製造方法である。
【選択図】 図2
Description
上述の状況において、現在、使用済みのターゲット材を再利用する方法が検討されている。例えば、使用済みのターゲット材を、溶液に溶かして化学的に分離して金属粉末に再生する化学的湿式分離方法や、電子ビーム溶解により精錬して高純度化したインゴットを作製する方法が提案されているが、化学的方法はコストが高いという問題があり、また、電子ビーム溶解によって溶解インゴットを作製する方法では、インゴットの加工が困難なため産業的に適用するのが困難であるという問題がある。その他に、使用済みのターゲット材を粉砕し、得られた粉末を熱プラズマに通すことで、球状化及び高純度化して微粉末とする粉末原料の作製方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、本発明は、使用済みの高融点金属系ターゲット材を、削出し処理してダライ粉とし、該ダライ粉を還元性雰囲気で熱処理をした後、さらに粉砕処理して微粉末とする高融点金属系粉末の製造方法である。
また、好ましくは、前記のダライ粉の粉砕処理は、衝撃粉砕である高融点金属系粉末の製造方法である。
また、好ましくは、前記の還元性雰囲気の熱処理は、水素含有雰囲気である高融点金属系粉末の製造方法である。
また、好ましくは、前記の還元性雰囲気の熱処理は、100Pa以下の減圧雰囲気である高融点金属系粉末の製造方法である。
また、好ましくは、前記粉砕処理により平均粒径で20〜1000μmの微粉末とする高融点金属系粉末の製造方法である。
また、好ましくは、高融点金属が、純Moである高融点金属系粉末の製造方法である。
また、本発明は、上記の製造方法で得られた高融点金属系粉末を焼結するターゲット材の製造方法である。
本発明者等の検討によれば、室温で延性が殆ど認められない組成系である高融点金属系の材料から、削出し処理によって強制的に機械的応力を付与してダライ粉を作製すると、ダライ粉に局所的にマイクロクラックを導入することが可能であることを知見した。これは、室温での延性に乏しい組成系において、削出しにより短時間の強制的な応力を付与することによって本来の延性を超えたために、局所的にマイクロクラックが発生したものと推測される。そして、このダライ粉へ導入される局所的なマイクロクラックの存在が、粉砕の困難な高密度の高融点金属系のバルク体から容易に微粉末を得ることを可能とするのである。
本発明においては、まず、使用済みの高融点金属系ターゲット材を削出し処理してダライ粉を作製する。削出し処理によりダライ粉を作製するのは、上述の通り、ダライ粉にマイクロクラックを導入して粉砕性を高めるためである。
本発明者等が、削出しによるダライ粉とダライ粉中のマイクロクラックの発生との相関関係を調査したところ、ダライ粉を2mm超程度の厚みとするとダライ粉の両端にマイクロクラックの存在は確認できるが、その厚さを貫通しておらず途中からクラックが閉じて一体化する傾向が顕著になるため、その後の粉砕が困難となることがある。さらに、フライス等での削出しにおいては、削出し時の抵抗が大きくなり設備的にも好ましくない。また、ダライ粉を30μmに満たない厚みとするとダライ粉中にマイクロクラックを充分に導入することが可能となるが、ダライ粉を作製する効率が悪い上に、フレーク状になってしまい粉砕性が低下することがある。よって、ダライ粉の粉砕性を考慮すると、ダライ粉の厚みは30μm〜2mm程度とすることが望ましい。
ダライ粉の粉砕方法としては、ボールミル、振動ミル、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマーミル、インパクトミル等が利用でき、特に限定するものではないが、得られる微粉末を平均粒径で20〜1000μmとできる方法であることが望ましい。
なお、この酸素を低減する熱処理は、ダライ粉あるいは微粉末の成分組成によって好適な条件を設定するのが望ましい。例えば、成分組成がMoあるいはW等の場合には、還元媒体として優れた効果を有する水素を導入した還元性雰囲気とすることが望ましい。また、Nb、Ti等が水素を吸蔵する傾向があり水素を導入した雰囲気とすることが望ましくないMoTi合金やMoNb合金等の場合には、100Pa以下の減圧雰囲気で還元作用により酸素を低減する方法が好ましい。ダライ粉あるいは微粉末の表面に付着した酸素量にもよるが、一般的なロータリーポンプによる吸引力以上は確保した方が酸素除去を効率的に行うことが出来る。
また、微粉末を還元性雰囲気で熱処理を行った場合に、温度条件によっては、微粉末同士が軽く結合する場合があるため、熱処理後に結合した微粉末を解砕して微粉末としたり、さらにこの微粉末を解砕前の熱処理よりも低温で熱処理を施して酸素低減を行ってもよい。
この洗浄工程としては、40℃以上の湯、アセトン、エタノール等が利用できるが安全性と上記不純物の除去をより促進させるため、温水洗浄を行った後、アルカリ性工業用水溶性クリーナー、および純水によりリンスする方法がより望ましい。
なお、削出しの際に、作業性の効率を考慮して切削油を使用する場合があるが、このような場合には切削油の除去をするために、特に、炭化水素系溶剤を使用してダライ粉の洗浄を行うことが望ましい。この炭化水素系溶剤としては、環境側面や火災爆発のリスクを考慮してパラフィン系やナフテン系の「第3石油類」が望ましい。
使用済みのMoターゲット材を、切削油を塗布しながら超硬WC製のチップを使用したフライスにより削出し処理して厚み約50μmのダライ粉を採取した。このMoダライ粉の外観を模式的に示した図を図1に、光学顕微鏡によるミクロ組織の写真を図2に示す。図2からは、削出しによるMoダライ粉の粒界に沿ってマイクロクラックが入っていることが分かる。
その後、採取したMoダライ粉に付着する切削油を遠心分離機により除去し、炭化水素系溶剤に浸漬させて揺動や超音波を併用して洗浄し乾燥させた。なお、このMoダライ粉に付着する油分を油分濃度計により測定したところ、洗浄乾燥後の油分は1mg/50g以下であった。
続いて、このMo微粉末を炉内の水素圧力を0.115MPaとした還元性雰囲気で、1200℃で2時間保持する熱処理を行い、粉砕処理時に導入された酸素等の不純物を除去する処理を行った。
実施例1と同様の分析測定方法により、使用済みのMoターゲット材、切削油の付着した削出し処理後のMoダライ粉、洗浄乾燥後のMoダライ粉、還元性雰囲気による熱処理後のMoダライ粉および粉砕処理後のMo微粉末の不純物量を分析測定した結果を表2に示す。
Claims (9)
- 使用済みの高融点金属系ターゲット材を、削出し処理してダライ粉とし、該ダライ粉を粉砕処理して微粉末とした後、さらに還元性雰囲気で熱処理をすることを特徴とする高融点金属系粉末の製造方法。
- 使用済みの高融点金属系ターゲット材を、削出し処理してダライ粉とし、該ダライ粉を還元性雰囲気で熱処理をした後、さらに粉砕処理して微粉末とすることを特徴とする高融点金属系粉末の製造方法。
- 前記の削出し処理は、フライスを使用することを特徴とする請求項1または2に記載の高融点金属系粉末の製造方法。
- 前記のダライ粉の粉砕処理は、衝撃粉砕であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の高融点金属系粉末の製造方法。
- 前記の還元性雰囲気の熱処理は、水素含有雰囲気であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の高融点金属系粉末の製造方法。
- 前記の還元性雰囲気の熱処理は、100Pa以下の減圧雰囲気であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の高融点金属系粉末の製造方法。
- 前記粉砕処理により平均粒径で20〜1000μmの微粉末とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の高融点金属系粉末の製造方法。
- 高融点金属が、純Moであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の高融点金属系粉末の製造方法。
- 請求項1乃至8のいずれかに記載の高融点金属系粉末の製造方法により得られる高融点金属系粉末を焼結することを特徴とするターゲット材の製造方法。
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