JP2006193383A - セラミックス基複合材料及びその製造方法 - Google Patents

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利光 林
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直樹 是枝
Takeshi Nakamura
武志 中村
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Abstract

【課題】 少量の冷却ガスによって効率的に冷却することができるセラミックス基複合材料を提供する。
【解決手段】 X方向に延在する複数のXセラミック繊維束及びY方向に延在する複数のYセラミック繊維束によって形成された2次元織物をZ方向に複数積層することで得られる積層体が各上記2次元織物における上記Xセラミック繊維束と上記Yセラミック繊維束とで囲まれた領域を通過するZセラミック繊維束23によって締め付けられた3次元織物と、該3次元織物に付着形成されるセラミックマトリックス層3と、を有するセラミックス基複合材料であって、上記セラミックマトリックス層3に、差圧が生じる使用環境下において上記Zセラミック繊維束23の延在方向に沿って冷却ガスがトランスピレーションするリークパスが多数存在する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、セラミックス基複合材料及びその製造方法に関するものである。
近年、ロケットエンジンの部品やガスタービンのタービンブレードのような高温環境に晒される部材を形成する材料として、セラミックス基複合材料(Ceramic Matrix Composite:以下CMCと略す)が注目されている。
このCMC材料は、セラミック繊維束からなるセラミック織物にセラミックマトリックス層が付着形成されることによって構成される材料であり、耐熱性に優れ、かつ、金属材料によって形成される材料と比較して軽量であるというメリットを有している。
ところが、現状においては、いくらCMC材料であってもロケットエンジンの部品やガスタービンのタービンブレードの形成材料として求められる耐熱性能が充分であるとは言えず、長時間の使用においてはCMC材料が損傷してしまう。このため、CMC材料を用いた部材を使用する場合であっても、当該部材を冷却ガスによって冷却することによって、CMC材料からなる部材の損傷を防止している。
特開平2000−26170号公報 特開2002−234777号公報 特開平7−208104号公報
ところで、一般的に、CMC材料からなる部材を冷却ガスによって冷却する場合には、部材に複数の貫通孔を形成し、高圧側から低圧側に冷却ガスを流すことによって部材を冷却するフィルム冷却が行われている(特許文献2参照)。具体的には、貫通孔を通過した冷却ガスが部材の表層を流れることによって部材が冷却されている。
しかしながら、このようなフィルム冷却は、部材の表面に冷却ガスを流すことによって部材を冷却する方法であるため、部材の内部まで冷却するためには、多くの冷却ガスを用いる必要が生じる。冷却ガスは、部材の表層を流れた後はその周囲に拡散するため、部材の周辺環境を変化させる。よって、CMC材料によって形成された部材を用いる装置(ロケットエンジンやガスタービン)の機能が低下する恐れがある。
一方、特許文献3には、部材そのものを多孔質のセラミック材料によって形成し、部材から冷却ガスを滲み出させる、すなわち冷却ガスが部材自体を透過することによって部材を内部から冷却する方法(トランスピレーション冷却)が開示されている。この技術によれば、部材に貫通孔を形成するフィルム冷却と比較して少量の冷却ガスによって効率的に部材を冷却することができるものの、部材自体が多孔質のセラミック材料によって形成されているため、CMC材料によって形成された部材と比較して強度の面で不利となる。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、少量の冷却ガスによって効率的に冷却することができるセラミックス基複合材料とその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、セラミックス基複合材料に係る第1の手段として、X方向に延在する複数のXセラミック繊維束及びY方向に延在する複数のYセラミック繊維束によって形成された2次元織物をZ方向に複数積層することで得られる積層体が各前記2次元織物における前記Xセラミック繊維束と前記Yセラミック繊維束とで囲まれた領域を通過するZセラミック繊維束によって締め付けられた3次元織物と、該3次元織物に付着形成されるセラミックマトリックス層と、を有するセラミックス基複合材料であって、前記セラミックマトリックス層の強度を要する箇所である他部品との接合箇所が相対的に気孔率が低されることによって密に付着形成されており、前記セラミックマトリックス層の冷却を要する箇所が差圧環境下において前記Zセラミック繊維束の延在方向に沿って冷却ガスがトランスピレーションするリークパスが前記強度を要する箇所よりも多数存在するように相対的に気孔率が高くされることによって粗に形成されており、前記セラミックマトリックス層が機械加工による冷却ガス通路を持たないという構成を採用する。
セラミックス基複合材料に係る第2の手段として、上記第1の手段において、前記セラミックマトリクス層の気孔率が、前記強度を要する箇所において20%より低く、前記冷却を要する箇所において20〜35%であるという構成を採用する。
セラミックス基複合材料に係る第3の手段として、上記第1または第2の手段において、同一方向に延在する前記セラミック繊維束中心間距離である織りピッチが2〜4mmであるという構成を採用する。

セラミックス基複合材料に係る第4の手段として、上記第1〜第3いずれかの手段において、前記セラミックマトリックス層の表面上に、前記冷却ガスをトランスピレーションするリークパスを有するコーティング層が形成されているという構成を採用する。
セラミックス基複合材料の製造方法に係る第1の手段として、X方向に延在する複数のXセラミック繊維束及びY方向に延在する複数のYセラミック繊維束によって形成された2次元織物をZ方向に複数積層することで得られる積層体が各前記2次元織物における前記Xセラミック繊維束と前記Yセラミック繊維束とで囲まれた領域を通過するZセラミック繊維束によって締め付けられた3次元織物と、該3次元織物に付着形成されるセラミックマトリックス層と、を有するセラミックス基複合材料の製造方法であって、強度を要する箇所である他部品との接合箇所を相対的に気孔率を低くすることによって密に付着形成し、冷却を要する箇所を差圧環境下において前記Zセラミック繊維束の延在方向に沿って冷却ガスがトランスピレーションするリークパスが前記強度を要する箇所によりも多数存在するように相対的に気孔率を高くすることによって粗に付着形成する前記セラミックマトリックス層形成工程を有するという構成を採用する。
セラミックス基複合材料の製造方法に係る第2の手段として、上記第1の手段において、前記セラミックマトリクス層の気孔率を、前記強度を要する箇所において20%より低くし、前記冷却を要する箇所において20〜35%とするという構成を採用する。
セラミックス基複合材料の製造方法に係る第3の手段として、上記第1または第2の手段において、同一方向に延在する前記セラミック繊維束中心間距離である織りピッチを2〜4mmとするという構成を採用する。

セラミックス基複合材料の製造方法に係る第4の手段として、上記第1〜第3いずれかの手段において、前記セラミックマトリックス層の表面上に、前記冷却ガスをトランスピレーションするリークパスを有するコーティング層を形成する工程を含むという構成を採用する。
本発明のセラミックス基複合材料によれば、セラミックマトリックス層の冷却を要する箇所に、差圧環境下においてZセラミック繊維束の延在方向に沿って冷却ガスがトランスピレーションするリークパスが多数存在している。このため、セラミックス基複合材料をトランスピレーション冷却することが可能となり、少量の冷却ガスによって効率的に冷却することが可能となる。
また、本発明のセラミックス基複合材料の製造方法によれば、冷却を要する箇所において差圧環境下において上記Zセラミック繊維束の延在方向に沿って冷却ガスがトランスピレーションするリークパスが多数存在するようにセラミックマトリックス層が形成される。このため、少量の冷却ガスによって効率的に冷却することが可能なセラミックス基複合材料を製造することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るセラミックス基複合材料及びその製造方法の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本実施形態のセラミックス基複合材料(以下CMC材料と称する)1の断面を模式的に示した図である。
この図に示すように、本実施形態のCMC材料1は、セラミック繊維束からなるセラミック織物2と、当該セラミック織物2に付着形成されるセラミックマトリックス層3とを備えて構成されている。
セラミック織物2は、X方向に延在する複数のX糸21(Xセラミック繊維束)及びY方向に延在する複数のY糸22(Yセラミック繊維束)によって形成された2次元織物24をZ方向に複数積層することによって得られた積層体がZ糸23(Zセラミック繊維束)によって締め付けられた3次元織物として構成されている。なお、図1においては、1つの2次元織物24に含まれるX糸21が1本しか図示されていないが、実際は、紙面垂直方向に複数配置されている。また、図1においては、Z糸23も1本しか図示されていないが、実際は、紙面垂直方向に複数配置されている。そして、Z糸23は、図1に示すように、各2次元織物24におけるX糸21とY糸22とで囲まれた領域Aを通過して配置されている。
セラミックマトリックス層3は、セラミックスからなるマトリックス層であり、各糸21〜23の隙間を埋めるように各糸21〜23に付着形成されている。なお、図示はしていないが、セラミックマトリックス層3は、セラミック織物2に直接付着形成されるCVIマトリックス層と当該CVIマトリックス層を介してセラミック織物2に対して付着形成されるPIPマトリックス層とを備えて構成されている。CVIマトリックス層は、CVI処理(Chemical Vapor Infiltration:気相含浸法)によって形成されるマトリックス層であり、セラミック織物2に対して密着性が高く密度が高いことを特徴とするマトリックス層である。また、PIPマトリックス層は、PIP処理(Polymer Impregnaion and Pyrolysis:液相含浸法)によって形成されるマトリックス層であり、CVIマトリックス層よりも短時間で形成できることを特徴とするマトリックス層である。
そして、図2の拡大図に示すように、本実施形態のCMC材料1においては、セラミックマトリックス層3に、差圧環境下において高圧側から低圧側に向けてZ糸23に沿って気体(冷却ガス)がトランスピレーションするリークパス31が多数存在している。
このように構成された本実施形態のCMC材料1によれば、セラミックマトリックス層3にリークパス31が多数存在しているため、差圧環境下に配置された場合には、高圧側から低圧側に向けて気体がトランスピレーションする。すなわち、CMC材料1自体を気体が透過するため、気体が冷却ガスである場合には、上述のフィルム冷却と比較して効率的にCMC材料1が冷却される(トランスピレーション冷却)。これは、フィルム冷却がCMC材料の表層部のみを冷却する方法であるのに対し、トランスピレーション冷却がCMC材料の内部から冷却する方法であるため、冷却ガスとCMC材料の接触面積が増加し、伝熱効率が向上するためである。
したがって、本実施形態のCMC材料1によれば、フィルム冷却と同様の温度にCMC材料1を冷却する場合には、より少ない冷却ガス流量で冷却が可能となり、周辺環境の変化を抑止することが可能となる。

また、本実施形態のCMC材料1においては、CMC材料1が部材を形成するための材料として用いられた場合に、当該部材が他部品と接続される箇所のセラミックマトリックス層3が相対的に密に形成されており、その他の箇所のセラミックマトリックス層3が相対的に粗に形成されている。すなわち、強度を要する箇所のセラミックマトリックス層3が密に形成されており、その他の冷却を要する箇所のセラミックマトリックス層3が粗に形成されている。このため、本実施形態のCMC材料1においては、強度を要する箇所(他部品と接続される箇所)よりも冷却を要する箇所の方に多数のリークパス31が存在している。
このような本実施形態のCMC材料1によれば、CMC材料1によって形成された部材と他部品との接続を強固なものとでき、かつ、少ない冷却ガス流量でCMC材料1によって形成された部材が冷却される。
なお、本実施形態のCMC材料1においては、強度を要する箇所のセラミックマトリックス層3の気孔率が20%より低く、冷却を要する箇所のセラミックマトリックス層3の気孔率が20〜35%であることが好ましい。また、同一方向に延在するセラミック繊維束中心間距離である織りピッチが2〜4mmであることが好ましい。
以下にその理由について説明する。
図3は、本実施形態のセラミックマトリックス層3の気孔率と無次元化応力との関係を示したグラフである。なお、ここで言う無次元化応力とは、所定の気孔率のセラミックマトリックス層3が損傷した応力値を気孔率が20%以下の(5〜15%程度)セラミックマトリックスが損傷する応力値で割った値である。また、図3のグラフにおいて、点で示す値は、所定の気孔率のセラミックマトリックス層3の無次元化応力を実際に計測した値であり、グラフAは、点で示す値を平均化したグラフである。
この図3に示すように、セラミックマトリックス層3の気孔率が35%以上の場合には、無次元化応力の値が0.5以下となる。このため、気孔率35%以上の場合には、セラミックマトリックス層3の強度が、CMC材料1を加工して部材を形成する際の現実的な強度として充分でなくなるため好ましくない。したがって、セラミックマトリックス層3の気孔率は35%以下であることが好ましい。
また、セラミックマトリックス層3の気孔率が20%の場合には、無次元化応力が約1.0となる。CMC材料の強度は、セラミックマトリックス層3の気孔率が20%以上で低下し始めるため、強度の要する箇所においては、セラミックマトリックス層3の気孔率が20%より低いことが好ましい。しかしながら、セラミックマトリックス層3の気孔率が低くなればなるほど、セラミックマトリックス層3の密度が増加し、冷却ガスをトランピレーションさせる場合の差圧を大きくする必要が生じる。したがって、より少ない差圧で必要な量の冷却ガスをトランスピレーションさせるために、冷却を要する箇所においてはセラミックマトリックス層3の気孔率は20%以上であることが好ましい。
以上のことから、本実施形態のCMC材料1においては、セラミックマトリックス層3の気孔率が強度を要求される箇所で20%以内であり、冷却を要求される箇所では20〜35%であることが好ましいと分かる。
図4は、同一方向に延在するセラミック繊維束中心間距離である織りピッチとX−Y面におけるリークパスの面積割合との関係を示したグラフである。
この図に示すように、織りピッチが2mmより狭い場合には、リークパスの面積割合は0となり、織りピッチが4mmより広い場合には、リークパスの面積割合は0.06に近づく。
リークパスの面積割合が0であるということは、冷却ガスがトランスピレーションしないことと等しいため、CMC材料1の効率的な冷却が行えない。
また、従来のフィルム冷却方式における貫通孔の面積割合は、約0.06であるため、織りピッチが4mm以上の場合には、フィルム冷却方式と同様の冷却ガスが周囲に拡散されることとなり周囲環境の変化を招く恐れが生じる。
したがって、本実施形態のCMC材料1においては、織りピッチが2〜4mmであることが好ましいと分かる。
図5は、本実施形態のCMC材料1における織りピッチを2mmとした場合と、4mmとした場合との気体のトランピレーション量を計測した結果を示すグラフである。セラミックマトリックス層3の気孔率は20〜35%の範囲とした。横軸が差圧を示し、縦軸が供試体単位面積当たりの空気染み出し流量(トランピレーション量)を示している。なお、図5において、グラフBが織りピッチを2mmとした場合であり、グラフCが織りピッチを4mmとした場合である。本計測結果では、織りピッチが4mmの供試体では織物形状が乱れたこと等により、織りピッチ2mmの場合とピッチ4mmの場合の結果が逆転しているが、この図に示すように、織りピッチが2mmである場合と4mmである場合のいずれの場合であっても、気体がCMC材料1をトランピレーションすることが確認できた。
また、織りピッチが2mmのCMC材料1と織りピッチが4mmのCMC材料1との各々に対して、セラミックマトリックス層3の気孔率が20〜35%としてトランピレーション冷却を行いながら200回の熱サイクル(室温〜1200℃)に晒したところ、図6に示すように、いずれの場合であっても、CMC材料1の無次元化残存曲げ強度の低下は検出されなかった。一方、セラミックマトリックス層3の気孔率が20%以下として、トランピレーション冷却を行わずに200回の熱サイクルに晒したところ、いずれの場合であっても、図6に示すように、CMC材料1の無次元化残存曲げ強度の低下が検出された。このことから、トランピレーション冷却によって、CMC材料1の損傷を防止することができることが分かった。なお、図6においては、織りピッチが2mmでトランピレーション冷却ありの場合をグラフDで示し、織りピッチが4mmでトランピレーション冷却ありの場合をグラフEで示し、織りピッチが2mmでトランピレーション冷却なしの場合をグラフFで示し、織りピッチが4mmでトランピレーション冷却なしの場合をグラフGで示している。
次に、上述のように構成された本実施形態のCMC材料1の製造方法について、図7のフローチャートを参照して説明する。
図7に示すように、本実施形態のCMC材料1の製造方法は、繊維製造工程(ステップS1)、織り工程(ステップS2)、デサイズ工程(ステップS3)、CVI処理工程(ステップS4)、PIP処理工程(ステップS5)、機械加工工程(ステップS6)、及び最終CVI処理工程(ステップS7)を有している。
繊維製造工程(ステップS1)と織り工程(ステップS2)では、セラミック繊維束を用いてセラミック織物2を成形する。織り工程(ステップS2)で成形する形状は、本実施形態のCMC材料1を形成する部材の形状に合わされる。また、デサイズ工程(ステップS3)では、セラミック繊維束上に被覆された余分なポリマーを除去する。
CVI処理工程(ステップS4)は、いわゆるCVI処理によってセラミック織物2にCVIマトリックス層を直接付着形成する工程である。具体的には、炉内に専用冶具で固定されたセラミック織物2を加熱し、減圧雰囲気にて例えばメチルトリクロロシランを流入させることによってセラミック織物2にCVIマトリックス層を直接付着形成させる。そして、本CVI処理工程(ステップS4)は、CVIマトリックス層が所定量付着形成されるまで繰り返される。
なお、本CVI処理工程(ステップS4)の前に、セラミック織物2の表層にカーボンまたはBN等のコーティング層を形成する工程を行っても良い。このようにセラミック織物2の表層にカーボンまたはBN等のコーティング層を形成することによって、セラミック繊維束のじん性を強化することができる。そして、当該コーティング層の厚さは、0.1〜1.0μm程度であることが好ましい。
PIP処理工程(ステップS5)は、いわゆるPIP処理によってPIPマトリックス層を上述のCVIマトリックス層を介してセラミック織物2に付着形成する工程である。具体的には、例えばキシレンの中にポリカルボシランが溶解したポリカルボシラン溶液や、ポリビニルシランあるいはポリメタロカルボシラン等の有機珪素ポリマーをセラミック織物2に含浸させ、その後焼成することによってPIPマトリックス層を形成する。そして、本PIP処理工程(ステップS5)は、PIPマトリックス層が所定量付着形成されるまで繰り返される。
なお、本実施形態のCMC材料1の製造方法においては、本発明のセラミックマトリックス層を形成する工程が、上述のCVI処理工程(ステップS4)及びPIP処理工程(ステップS5)から構成されている。そして、CVI処理工程(ステップS4)及びPIP処理工程(ステップS5)の繰り返し回数を調整することによって、セラミックマトリックス層3の気孔率が変化する。このため、この繰り返し回数を好適な回数に調整することによって、Z糸23の延在方向に沿って冷却ガスがトランスピレーションするリークパスが複数存在するセラミックマトリックス層3を形成することができる。
そして、機械加工工程(ステップS6)において、セラミックマトリックス層3が形成されたCMC材料1を加工することによって、CMC材料1が最終製品の形状に加工される。具体的には、ダイヤモンド砥石等を用いてCMC材料1が加工される。
また、機械加工後に必要に応じて最終CVI処理工程(ステップS7)を実施する。このような最終CVI処理工程を行うことによって、セラミックマトリックス層3の表面上に、冷却ガスをトランスピレーションするリークパスを有するコーティング層(不図示)を形成することができる。よって、CMC材料1を腐食等の劣化から守ることが可能となる。なお、上記コーディング層は、ムライト等によって形成することができる。
なお、本実施形態のCMC材料1は、図1におけるZ方向に冷却ガスがトランスピレーションする構成とされているため、CMC材料1によって部材を形成する際には、当然のことながら、図1におけるZ方向が高圧側から低圧側、あるいは低圧側から高圧側に向くようにCMC材料1が形成される。
また、本実施形態のCMC材料1を用いて形成される部材の具体例としては、ロケットエンジンの部品、ガスタービンのタービンブレード、ガスタービンのシュラウド等が挙げられる。本実施形態のCMC材料1によれば、CMC材料1がトランスピレーション冷却によって冷却されるため、従来のフィルム冷却の場合と比較して、より少ない冷却ガス流量で冷却される。このため、周辺環境の変化を抑止することが可能となる。したがって、ロケットエンジンやガスタービンの性能劣化を抑止することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係るセラミックス基複合材料及びその製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
本発明の一実施形態であるCMC材料の断面を模式的に示した図である。 本発明の一実施形態であるCMC材料の断面の部分拡大図である。 本実施形態のセラミックマトリックス層3の気孔率と無次元化応力との関係を示したグラフである。 同一方向に延在するセラミック繊維束同士のピッチとX−Y面におけるリークパスの面積割合との関係を示したグラフである。 セラミック繊維束同士のピッチを2mmとした場合と、4mmとした場合との気体のトランスピレーション量を計測した結果を示すグラフである。 本発明の一実施形態であるCMC材料を熱サイクルに晒した場合の強度変化を示すグラフである。 本発明の一実施形態であるCMC材料の製造方法を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1……CMC材料(セラミックス基複合材料)
2……セラミック織物(3次元織物)
21……X糸(Xセラミック繊維束)
22……Y糸(Yセラミック繊維束)
23……Z糸(Zセラミック繊維束)
24……2次元織物
3……セラミックマトリックス層
31……リークパス

Claims (8)

  1. X方向に延在する複数のXセラミック繊維束及びY方向に延在する複数のYセラミック繊維束によって形成された2次元織物をZ方向に複数積層することで得られる積層体が各前記2次元織物における前記Xセラミック繊維束と前記Yセラミック繊維束とで囲まれた領域を通過するZセラミック繊維束によって締め付けられた3次元織物と、該3次元織物に付着形成されるセラミックマトリックス層と、を有するセラミックス基複合材料であって、
    前記セラミックマトリックス層の強度を要する箇所である他部品との接合箇所が相対的に気孔率が低されることによって密に付着形成されており、前記セラミックマトリックス層の冷却を要する箇所が差圧環境下において前記Zセラミック繊維束の延在方向に沿って冷却ガスがトランスピレーションするリークパスが前記強度を要する箇所よりも多数存在するように相対的に気孔率が高くされることによって粗に形成されており、前記セラミックマトリックス層が機械加工による冷却ガス通路を持たないことを特徴とするセラミックス基複合材料。
  2. 前記セラミックマトリクス層の気孔率が、前記強度を要する箇所において20%より低く、前記冷却を要する箇所において20〜35%であることを特徴とする請求項1記載のセラミックス基複合材料。
  3. 同一方向に延在する前記セラミック繊維束中心間距離である織りピッチが2〜4mmであることを特徴とする請求項1または2記載のセラミックス基複合材料。
  4. 前記セラミックマトリックス層の表面上に、前記冷却ガスをトランスピレーションするリークパスを有するコーティング層が形成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のセラミックス基複合材料。
  5. X方向に延在する複数のXセラミック繊維束及びY方向に延在する複数のYセラミック繊維束によって形成された2次元織物をZ方向に複数積層することで得られる積層体が各前記2次元織物における前記Xセラミック繊維束と前記Yセラミック繊維束とで囲まれた領域を通過するZセラミック繊維束によって締め付けられた3次元織物と、該3次元織物に付着形成されるセラミックマトリックス層と、を有するセラミックス基複合材料の製造方法であって、
    強度を要する箇所である他部品との接合箇所を相対的に気孔率を低くすることによって密に付着形成し、冷却を要する箇所を差圧環境下において前記Zセラミック繊維束の延在方向に沿って冷却ガスがトランスピレーションするリークパスが前記強度を要する箇所によりも多数存在するように相対的に気孔率を高くすることによって粗に付着形成する前記セラミックマトリックス層形成工程を有することを特徴とするセラミックス基複合材料の製造方法。
  6. 前記セラミックマトリクス層の気孔率を、前記強度を要する箇所において20%より低くし、前記冷却を要する箇所において20〜35%とすることを特徴とする請求項5記載のセラミックス基複合材料の製造方法。
  7. 同一方向に延在する前記セラミック繊維束中心間距離である織りピッチを2〜4mmとすることを特徴とする請求項5または6記載のセラミックス基複合材料の製造方法。
  8. 前記セラミックマトリックス層の表面上に、前記冷却ガスをトランスピレーションするリークパスを有するコーティング層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項5〜7いずれかに記載のセラミックス基複合材料の製造方法。
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