JPH11117704A - ガスタービン部品およびその製造方法 - Google Patents

ガスタービン部品およびその製造方法

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JPH11117704A
JPH11117704A JP9278961A JP27896197A JPH11117704A JP H11117704 A JPH11117704 A JP H11117704A JP 9278961 A JP9278961 A JP 9278961A JP 27896197 A JP27896197 A JP 27896197A JP H11117704 A JPH11117704 A JP H11117704A
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gas turbine
ceramic
turbine component
cooling
temperature
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Hiroshige Itou
洋茂 伊藤
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ガスタービン部品自体を内部および外表面を冷
却媒体により冷却することにより、冷却性能を高めてセ
ラミック複合材に発生する応力を低減させるとともに、
ガスタービン部品外面にコーティングを施すことによ
り、さらにガスタービン部品自体の使用温度を低下させ
て、材料の耐熱温度以上の高温ガス環境中で強度、靭
性、耐酸化性および耐腐食性などの耐環境性を高めた信
頼性の高いガスタービン部品およびその製造方法を提供
する。 【解決手段】セラミック基材とセラミック長繊維とを組
み合わせたセラミック複合材を用いたガスタービン部品
であって、ガスタービン部品の内部に冷却通路を有し、
前記冷却通路がガスタービン部品の内部から外表面に繋
がり、前記冷却通路に冷却媒体を流すことにより、ガス
タービン部品の内部および外表面とから冷却することを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温で長時間使用
される部品であるガスタービン部品に係り、特にセラミ
ックスを適用したガスタービン部品およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ターボ機械としてのガスタービンを組み
込んだガスタービン発電プラントは、一般的に図11に
示すように構成され、ガスタービン1と同軸に設けられ
た圧縮機2の駆動によって圧縮された吐出空気を燃焼器
3に案内して、燃焼器3のライナー4の部分で燃料と共
に燃焼させる。燃焼による高温の燃焼ガスはトランジッ
ションピース5および静翼6を経て動翼7に案内され、
この動翼6を回転駆動させてガスタービン1の仕事をさ
せるようになっている。
【0003】従来、この種のガスタービンでは、タービ
ン入口ガス温度を上昇させるとタービン熱効率が上昇す
ることから、タービン入口温度を上昇させるために、ガ
スタービン部品の材料として耐熱性超合金を使用してい
た。このような耐熱性超合金よりさらに耐熱性に優れる
セラミック材料をガスタービン部品に適用しようとする
試みがなされ、例えば特開昭59−119001号公報
や特開昭59−160001号公報に記載されている技
術などが知られている。
【0004】特開昭59−119001号公報には、金
属性芯金とセラミックスリーブとを組み合わせた方式を
用いたセラミック動翼が提案されており、セラミック材
料が圧縮荷重には強いが、引張荷重には弱いという特性
の欠点を克服している。
【0005】図12は、組み合わせ方式のセラミック動
翼の一例を示したものである。
【0006】図12(a)はセラミック動翼の側面図、
図12(b)はセラミック動翼の断面図である。図12
(b)に示すように、高温ガスに曝される羽根通路部外
表面をセラミックスリーブ8により被覆し、その内側が
金属性の芯金9となっている。このようなセラミック動
翼では、芯金9がロータに植え込まれる構造となってお
り、運転中にセラミックスリーブ8に発生する遠心力は
芯金9で受け止められ、セラミックスリーブ8には圧縮
荷重のみが発生する。引張荷重は芯金9の有効部および
植え込み部で発生するが、この部分はガス温度に比べ温
度は低く、金属材料で十分使用に耐え得る構造となって
いる。このように高温となる羽根通路部にセラミックス
を使用し、比較的温度が低く高引張応力の発生する羽根
植込部に金属材料を使用して、両材料の長所を生かす構
造としている。
【0007】また、セラミックスと金属材料との両材料
より構成されたセラミック動翼の構造に改良を加えるこ
とにより、セラミック動翼を効果的に冷却して、ガスタ
ービンの効率を向上させたターボ機械の動翼構造が、特
開平2−140402号公報に提案されている。
【0008】ところで、セラミック材料は耐熱性は優れ
ているものの、脆いという欠点を有しており、小さな傷
に対しても極めて脆弱であり、また熱的、機械的衝撃に
対しても弱い。このため羽根植込部と有効部とをセラミ
ック材料で一体形成するガスタービン翼も提案されてい
るが、応力集中部での応力軽減法や金属との接触部にお
ける過大応力の克服といった点でまだ実用化に至ってい
ないのが現状である。
【0009】近年、セラミックスの脆いという欠点を克
服する手段としてセラミック繊維による複合化技術が開
発され、この中でも長繊維セラミック複合材料が超高温
耐熱高靭性材料の主流として注目されている。特に炭化
珪素繊維を用いたセラミック複合材は最も実用化が進ん
でいる。炭化珪素繊維は軽量で、高弾性率を有し高温大
気中でも高強度を保持できるなどの優れた特徴があり、
この繊維を炭化珪素セラミックスと複合化した材料は高
温大気中で30時間暴露後の曲げ強度も、1000℃ま
で強度低下がなく、良好な耐熱性を示している。また高
温加熱後、直ちに水中に投下する熱衝撃繰り返し試験に
おいても、1000℃でも変化がない。一般にセラミッ
クスは熱衝撃に弱く水中投下により破壊してしまうが、
本繊維セラミック複合材は耐熱衝撃性にも優れている
(市川宏“ニカロン繊維強化セラミックスの成形加工と
その特性”工業材料、第38巻、第5号、69貢)。
【0010】そこで、長繊維セラミックを用いて、冷却
性能と強度とを有するトランスピレーション翼が特開平
7−208104号公報に提案されている。
【0011】しかし、長繊維セラミック複合材は高靭性
を有しているが、負荷時、材料基材に亀裂が生じる強度
は基材本来の強度に比べて低く、強度的には不十分な状
態にある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】組み合わせ方式のセラ
ミック動翼においては、ガスタービンの効率を高めるた
めガス温度を高めると、燃焼ガスにより直接加熱される
セラミックスの温度は高くなる。
【0013】図13は代表的なセラミック材料の温度と
強度との関係を示す図である。
【0014】図13において実線で示す常圧焼結窒化珪
素(Si)では1000℃、破線で示す反応焼結
炭化珪素(RB−SiC)では1400℃、また一点鎖
線で示す焼結炭化珪素(焼結SiC)では1500℃で
それぞれ強度が急激に低下してしまう。このように高温
強度が金属に比べて高いセラミックスでも、その材料の
有する耐熱温度以上では強度が急激に低下してしまうこ
とがわかる。
【0015】また、燃焼ガス温度を上昇させると部材に
発生する応力は、それが主に熱に起因する応力であるた
め、応力が急激に増大することになる。
【0016】図14は、動翼スリーブの熱伸び差応力の
発生状況を説明する図である。
【0017】図14は、具体的には起動時に発生する金
属芯金の頭部キャップ部分との熱伸び差により発生する
応力の分布図を示しているが、ガス温度が低い場合には
十分に許容される応力も、ガス温度の上昇により熱伸び
差応力が許容応力を越えてしまう。また熱伸び差を軽減
する構造においても、実際のガスタービンでは長時間に
対する信頼性を維持する必要がある。
【0018】図15は静翼後縁部における熱応力の発生
を示す図である。
【0019】図15に示すように、急激に燃焼ガスを遮
断するトリップ時においては、セラミック静翼の後縁部
が急冷されるため、周りの部分との冷却速度の差によっ
て、過大な引張応力が発生し、セラミック静翼実現への
大きな障害になっている。
【0020】さらに、セラミックスを高温ガスタービン
部品に適用する場合には、燃焼ガス温度の上昇により、
セラミック材料自体が酸化および腐食されて表面が損傷
してしまうという問題が生じる。酸化は表面層にのみ酸
化層を形成するだけでなく、酸素が表面下の基材まで拡
散して内部の材料をも酸化してしまうため、強度が大き
く低下してしまう。特に、多孔質の材料では内部の気孔
から酸素が拡散し、内部から酸化が進行する。このよう
に、セラミック材料をその耐熱温度以上で使用する場合
には、高温の燃焼ガスによる熱応力、使用環境下での酸
化および腐食などの種々の問題が生じてしまう。このた
め実際の材料適用においては、その応力が許容応力に対
して十分小さいことを維持し続ける方法を確立すること
が重要な課題である。
【0021】また、長繊維セラミック複合材を高温ガス
タービン部品に適用する場合には、高温の燃焼ガスに曝
されるために、セラミック繊維と基材との複合効果を十
分に発揮できないという問題が生じる。セラミック繊維
と基材との密着強度が変化し、密着強度が高くなる場合
には引き抜け効果が全く生じなかったり、逆に密着強度
が低くなる場合にはセラミック繊維の複合効果としての
高靭性が全く生じなくなってしまう。長繊維セラミック
複合材は、靭性についてはモノリシック材より高いが、
高温強度および耐酸化性はモノリシック材と同等または
それ以下であるという欠点を有する。そのため、長繊維
セラミック複合材を高温ガスタービン部品材料として使
用する際、材料の耐熱温度以上のガス環境中で強度、靭
性および耐環境性を低下させることなく適用するかが大
きな課題となる。また、耐熱温度の低い材料について
も、いかに耐熱温度より高いガス中で使用するかがセラ
ミック複合材の適用範囲を広げる上での重大な課題であ
る。
【0022】本発明は上記のような課題を解決するため
になされたものであり、ガスタービン部品自体を内部お
よび外表面とから冷却媒体により冷却することにより、
冷却性能を高めてセラミック複合材に発生する応力を低
減させるとともに、ガスタービン部品外表面にコーティ
ングを施すことにより、さらにガスタービン部品自体の
使用温度を低下させて、材料の耐熱温度以上の高温ガス
環境中で強度、靭性、耐酸化性および耐腐食性などの耐
環境性を高めた信頼性の高いガスタービン部品を提供す
る。
【0023】また、セラミック長繊維の有する優れた特
性を維持しながら、セラミック繊維と基材との複合効果
を高めた製造方法を開発することにより、従来よりもさ
らに冷却性能に優れ、材料の耐熱温度以上の高温ガス環
境中で強度、靭性、耐酸化性および耐腐食性などの耐環
境性を高めたガスタービン部品の製造方法を提供する。
【0024】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のガスター
ビン部品は、セラミック基材とセラミック長繊維とを組
み合わせたセラミック複合材を用いたガスタービン部品
であって、ガスタービン部品の内部に冷却通路を有し、
前記冷却通路がガスタービン部品の内部から外表面に繋
がり、前記冷却通路に冷却媒体を流すことにより、ガス
タービン部品の内部および外表面とから冷却することを
特徴とする。
【0025】本発明において、セラミック複合材により
構成されたガスタービン部品に冷却通路を設け、そこに
冷却媒体を通すことによりガスタービン部品の内部から
材料自体を冷却することが可能である。また、一部の冷
却媒体をガスタービン部品の内部より流出させて、外表
面の高温燃焼ガス環境と接する部分に冷却媒体を通す。
これにより、ガスタービン部品の材料が直接燃焼ガスに
接触して加熱されないため冷却効率が高められ、従来の
燃焼ガス温度以下で使用することが可能である。
【0026】従来において、ガスタービン部品を無冷却
でセラミック材料を用いる場合には、セラミック材料は
燃焼ガス温度に近い温度での使用となるために、高温度
使用環境下で酸化、腐食等の表面損傷を受けていた。ま
た、材料を温度制御していないために、起動時には高温
燃焼ガスが直接材料に接触し、停止時には冷却空気が高
温度の材料を急激に冷やすことになり、過大な熱応力が
発生していた。
【0027】そこで本発明のように、冷却空気等の冷却
媒体によりガスタービン部品を冷却することにより、材
料の表面温度が低下して酸化および腐食等の損傷を大幅
に低下させることができるとともに、外部環境温度との
急激な変化を和らげることにより、熱応力を低下させる
ことができる。
【0028】図16は冷却流量と熱応力および効率の関
係を説明する図である。
【0029】図16に示すように、冷却空気などの冷却
媒体でガスタービン部品を冷却することにより、冷却空
気が増加するに従いガスタービンの効率も低下するが、
起動停止時に発生する熱応力を大幅に低下させることが
可能である。
【0030】本発明においては、耐熱温度の低い材料を
用いた場合にも上記のような冷却方法により冷却効率を
高めることにより、より高温度の燃焼ガス中での使用が
可能となる。なお、僅かな冷却媒体の流量によっても冷
却効果を得ることが可能である。
【0031】請求項2記載のガスタービン部品は、請求
項1記載のガスタービン部品において、冷却通路はガス
タービン部品の内部に設けられた冷却孔と前記冷却孔か
らガスタービン部品の外表面に連結する吹き出し孔とか
ら構成され、もしくは、冷却通路が通気性材料の有する
気孔のみから構成されていることを特徴とする。
【0032】本発明において、冷却通路は冷却孔と吹き
出し孔と有する形態と冷却通路が通気性材料の有する気
孔のみの形態とがあるが、どちらの形態においてもガス
タービン部品を効率良く冷却することができる。
【0033】本発明において、ガスタービン部品の冷却
通路が通気性材料の有する気孔のみである場合には、気
孔に冷却媒体を流すことによりガスタービン部品の内部
を冷却することができるとともに、冷却媒体を気孔から
滲み出すように外表面から流出させて、ガスタービン部
品の外表面に冷却媒体の膜を形成することにより、燃焼
ガスによるガスタービン部品の温度上昇を緩和させるこ
とが可能である。
【0034】請求項3記載のガスタービン部品は、請求
項1記載のガスタービン部品において、ガスタービン部
品の表面に、アルミナ(Al)もしくはジルコニ
ア(Zr0)から成る遮熱コーティングを設けたこと
を特徴とする。
【0035】本発明において、ガスタービン部品の表面
に耐環境性に優れた材料をコーティングすることによ
り、材料表面の耐酸化性および耐腐食性を高め部品全体
の劣化を防止して、ガスタービン部品の長期信頼性を維
持することが可能である。
【0036】遮熱コーティング材としは、アルミナおよ
びジルコニアなどが優れており、コーティング方法とし
ては、CVD法(化学蒸着法:chemical vapor deposit
ion)、PVD法(物理蒸着法:physical vapor deposit
ion)、プラズマレイ法およびレーザ法等を用いることが
できる。上記遮熱コーティング材は酸素の拡散係数が低
いため、材料中を酸素が通りにくく、また高温で非常に
安定した材料であるため、それ自体の耐酸化性、耐腐食
性が高いなどの特性を持つ。一方において、窒化珪素お
よび炭化珪素は、単純な酸化に対しては強い耐久性を有
しているが、燃焼ガス中に不純物が含まれている環境に
おいては表面に反応物が堆積したり、表面酸化が進みお
おきく強度低下することがある。その要因として、ま
ず、表面の酸化層の化学的性質が変化して、酸素の拡散
性が増すこと、次に気泡が形成し、保護膜的な表面の酸
化皮膜を壊して、酸素を通りやすくする、そして、表面
層の粘性が低下し、高速のガス流により取り除かれ、常
に新しい表面が露出する、最後に、セラミックスの溶解
した成分がセラミックスの溶剤として作用するなどが挙
げられる。従って、アルミナおよびジルコニアなどから
成る遮熱コーティングを施すことにより部品表面に酸
化、腐食を加速させる要因をつくらないため、同一温度
で使用した場合でも耐環境性が大きく向上し、また長時
間の高温ガス環境中での使用に対しても安定して劣化が
ほとんどないため、長期信頼性が大きく向上することに
なる。
【0037】また本発明において、材料表面に形成した
遮熱コーティングは、熱抵抗体として作用するため、コ
ーティング部分で温度差を設けることができる。さら
に、ガスタービン部品の外表面に沿って冷却媒体を流出
させているため、表面に冷却膜を形成し、この部分にお
いても伝熱抵抗を利用して、低温の環境を実現できる。
従って、遮熱コーティングと冷却膜とにより、高温ガス
温度と比較して十分温度を低下させた環境でガスタービ
ン部品を使用することが可能である。
【0038】請求項4記載のガスタービン部品は、請求
項1記載のガスタービン部品において、セラミック長繊
維として炭化珪素繊維を用い、セラミック基材として炭
化珪素(SiC)、窒化珪素(Si)、アルミナ
(Al)、ムライト(2Al・2Si
)、ジルコニア(Zr0)もしくはガラスセラミ
ックス(Si0)を用い、適用するガス温度に応じて
セラミック基材を選定することを特徴とする。
【0039】本発明において、セラミック基材として高
温強度の高い炭化珪素あるいは窒化珪素を用いることが
できるが、また高温強度の低いアルミナ、ムライト、ジ
ルコニアあるいはガラスセラミックス等においても、十
分な冷却性能を得られるために適用するガス温度を考慮
しセラミック基材として用いることができる。
【0040】請求項5記載のガスタービン部品は、請求
項1記載のガスタービン部品において、セラミック基材
に分散させてセラミック基材細部を複合化させる第2相
材として炭化珪素もしくはジルコニアのセラミック短繊
維および微粒子を用いることを特徴とする。
【0041】本発明において、セラミック基材に第2相
材を分散させることにより、セラミック基材の強度およ
び靭性を高めセラミック基材細部を複合化させることが
でき、冷却通路からの破損を防止することができ、また
冷却通路の加工を容易にすることが可能である。なお、
冷却通路の加工を容易にするため、冷却通路を設ける部
分の材料を他の部分と異なる材料を用いることによって
も同様な効果を得ることが可能である。
【0042】請求項6記載のガスタービン部品は、請求
項1〜5記載のガスタービン部品において、セラミック
基材に複合化させるセラミック長繊維、セラミック短繊
維および微粒子の表面に窒化ボロンまたは炭化珪素をコ
ーティングすることにより形成されることを特徴とす
る。
【0043】本発明において、セラミック基材に複合化
させる材料にコーティングを施すことにより、セラミッ
ク基材との複合効果を十分発揮することが可能であり、
また冷却通路加工を容易にすることが可能である。冷却
通路を設ける部分の材料にモノリシックセラミックスも
しくはセラミック基材とセラミック繊維との密着度を高
める材料を適用することにより、当該部の損傷許容性は
低下するが材料の均一性が高まり、また剛性が高くなり
冷却通路の加工が容易になるとともに、冷却通路の剛性
とそれ以外の部分の損傷許容性を兼ね備えたガスタービ
ン部品を実現することができる。
【0044】請求項7記載のガスタービン部品は、請求
項1〜6記載のガスタービン部品において、セラミック
複合材の耐熱温度以上の高温ガスを用いてガスタービン
を運用することを特徴とする。
【0045】本発明において、ガスタービン部品を効率
良く冷却することができるため、セラミック複合材の耐
熱温度以上の高温ガスを用いることが可能である。
【0046】請求項8記載のガスタービン部品の製造方
法は、請求項1〜7記載のガスタービン部品の製造方法
において、ガスタービン部品における冷却通路の一部ま
たは全てを製造時または機械加工により冷却通路を形成
することを特徴とする。
【0047】本発明において、ガスタービン部品におけ
る冷却通路は材料の焼成後加工する必要はなく、製造段
階で冷却通路を設けることが可能である。また、冷却媒
体が流出する部分の気孔率を高めることにより、冷却媒
体が気孔をぬって滲み出すようにしても冷却通路として
の効果を得ることが可能である。
【0048】請求項9記載のガスタービン部品の製造方
法は、請求項8記載のガスタービン部品の製造方法にお
いて、炭化珪素もしくはアルミナのセラミック基材をセ
ラミック長繊維プリフォームに充填する方法として、溶
融状態の金属、炭素およびセラミックスとを低温で反応
焼成させて製造することを特徴とする。
【0049】本発明における反応焼結法によれば、通常
のセラミックスの焼結温度までは温度を上昇させる必要
はなく、低温で成形することができるために、コーティ
ングを施したセラミック長繊維等に損傷なくガスタービ
ン部品を製造することが可能である。
【0050】請求項10記載のガスタービン部品の製造
方法は、請求項8記載のガスタービン部品の製造方法に
おいて、炭化珪素もしくは窒化珪素のセラミック基材を
セラミック長繊維プリフォームに充填する方法として、
有機ポリマーによる合成法を用い、緻密化が必要な部分
にはポリマー含浸を数回繰り返し、あるいはガス相から
の成形(CVI法)を併用し、またガスタービン部品の
内部から外表面につながる微細な冷却通路には、気孔を
大きく残すことにより冷却通路を形成することを特徴と
する。
【0051】本発明の有機ポリマーによる合成法におい
ても、比較的低温で成形することができるため、コーテ
ィングを施したセラミック長繊維等に損傷を与えること
なくガスタービン部品を製造することが可能である。
【0052】また、本発明の方法によれば、焼成中の重
量減少や体積収縮が大きく、内部に気孔が生じ易い。こ
のため、緻密化が必要な部分にはポリマー含浸を数回繰
り返したり、ガス相からの成形(CVI法)を併用する
ことで緻密化させたガスタービン部品を得ることができ
る。一方において、ガスタービン部品の外表面につなが
る微細冷却孔の部分は、逆に気孔を大きく残すことが必
要である。気孔を大きく残すことにより、冷却媒体が気
孔を通じて外部に滲み出すように流出するため、冷却通
路を加工する必要がなくなる。
【0053】請求項11記載のガスタービン部品の製造
方法は、請求項8記載のガスタービン部品の製造方法に
おいて、ガラスセラミックスもしくはアルミナのセラミ
ック基材をセラミック長繊維プリフォームに充填する方
法として、スラリー含浸法を用いることを特徴とする。
【0054】本発明におけるスラリー含浸法によれば、
ガラスセラミックスをセラミック基材にした場合、ガラ
スの軟化点以上の温度で行うと、セラミック基材の流動
化が容易であり、ガスタービン部品の緻密化を促進する
ことが可能である。また、アルミナをセラミック基材に
した場合には、軟化現象による緻密化がガラスセラミッ
スほど期待できないため、ホットプレスを行う際には高
温高圧条件とすることにより、ガスタービン部品の緻密
化を促進することが可能である。
【0055】また、スラリー含浸法で用いるスラリーに
は、通常、有機バインダー、セラミック基材形成のため
のセラミック粉末、含浸性向上のためのキャリアー溶剤
および濡れ性向上のための界面活性剤が含まれている
が、これらの有機バインダーおよび界面活性剤を完全に
分散輝散させた後に焼結を行うことが大切である。
【0056】請求項12記載のガスタービン部品の製造
方法は、請求項8〜11記載のガスタービン部品の製造
方法において、第2相材であるセラミック短繊維および
微粒子の含有率を靭性、強度が最も高くなる割合でセラ
ミック基材に分散させることを特徴とする。
【0057】本発明において、セラミック短繊維および
微粒子の含有率が低い場合には、十分な複合効果を得る
ことができず、高含有率では、基材の緻密化が難しくな
り、靭性および強度などの力学的特性も低下してしま
う。このため、強度および靭性が最も高くなるセラミッ
ク短繊維および微粒子含有率があり、これらに相当する
体積率のセラミック短繊維および微粒子を添加すること
により、目的とする基材強度および靭性を有するガスタ
ービン部品を得ることが可能である。
【0058】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照して説明する。
【0059】第1実施形態(図1〜8;実施例1〜3) 本実施形態は動翼に関するものであり、セラミック基材
とセラミック長繊維とを組み合わせたセラミック複合材
を用いた動翼である。動翼の内部には、冷却通路を有
し、前記冷却通路が動翼の内部から外表面に繋がり、前
記冷却通路に冷却媒体を流すことにより、動翼の内部お
よび外表面とから冷却する。
【0060】また、冷却通路はガスタービン部品の内部
に設けられた冷却孔と前記冷却孔からガスタービン部品
の外表面に連結する吹き出し孔とから構成されている。
【0061】図1は、本発明により製造された動翼の断
面を示す図である。
【0062】図1に示すように、動翼10は、セラミッ
ク複合材11のみで構成されている。本動翼10におい
て、動翼10の高温ガスが通る有効部の中心部分に空気
等の冷却媒体を流す冷却孔12を複数個設けた。冷却孔
12は、動翼の植え込み部に設けられた冷却孔(図示せ
ず)とつながり、前記冷却孔(図示せず)はさらにホイ
ールに設けられた冷却孔(図示せず)と連結している。
そして、羽根有効部の前縁部と後縁部とには外表面につ
ながる微細な吹き出し孔13が設けられ、この吹き出し
孔13から冷却媒体が外部に流出するようになってい
る。また、動翼の外表面にはガスの高熱が直接動翼に伝
わらないように1mm以下の厚さの遮熱コーティング1
4が施されている。
【0063】実施例1(図2) 本実施例においては、溶融状態の金属とセラミックス間
の反応を利用した反応焼結法を用いた。
【0064】図2は反応焼結法による製造方法を示す図
である。
【0065】図2に示すように、まずセラミック長繊維
を製作し、これにコーティングを行い長繊維コーティン
グを得て、この長繊維コーティングを平織り等の方法に
より織って長繊維プリフォームを作成した。図1に示す
冷却孔12を長繊維プリフォームの段階で形成した。
【0066】その後、長繊維プリフォームに金属Siと
炭素との混合体を含浸させ、またSiCの微細粒子や短
繊維を添加し、さらにMoを添加して均一に混合した。
その後、約1400℃程度の高温で反応焼結させ炭化珪
素のセラミック複合材を形成し、反応焼結後のセラミッ
ク複合材に図1に示す微細な吹き出し孔13を機械加工
で設け、動翼を得た。
【0067】本実施例の反応焼結法によれば、通常のセ
ラミックスの焼結温度までは温度を上昇させず、低温で
成形することができるために、長繊維コーティング等に
損傷なく動翼等のガスタービン部品を製造することが可
能である。
【0068】実施例2(図3) 本実施例においては、有機ポリマーからの合成法を用
い、有機ポリマーとしてポリカルボシランを用いた。
【0069】図3は、有機ポリマーからの合成法による
製造方法を示す図である。
【0070】図3に示すように、まずセラミック長繊維
を製作し、これにコーティングを行い長繊維コーティン
グを得て、この長繊維コーティングを平織り等の方法に
より織って長繊維プリフォームを作成した。図1に示す
冷却孔12を長繊維プリフォームの段階で形成した。
【0071】有機ポリマーに金属Siと炭素との混合体
を含浸させ、またSiCの微細粒子や短繊維を添加した
後混合を行い、適当な溶媒に溶かした。そして、焼成温
度を約1000℃として成形焼成を行った。また、ガス
タービン部品の緻密化が必要な部分には、ポリマー含浸
を数回繰り返し、併用してガス相からの成形(CVI
法)を施した。さらに、ガスタービン部品の外表面につ
ながる吹き出し孔の部分は、気孔を大きく残した。
【0072】本実施例の製造方法によれば、比較的低温
で成形することができるために、長繊維コーティング等
に損傷なく動翼等のガスタービン部品を製造することが
可能である。
【0073】実施例3(図4) 本実施例においては、スラリー含浸法を用いた。
【0074】スラリー含浸法は、セラミック基材がガラ
スセラミックスおよびアルミナの場合に適用する方法で
ある。
【0075】図4は、スラリー含浸法による製造方法を
示す図である。
【0076】図4に示すように、まずセラミック長繊維
を製作し、これにコーティングを行い長繊維コーティン
グを得て、この長繊維コーティングをテープ状としてテ
ープ状織物とした。テープ状織物をスラリー中に導入し
て、ガラスセラミックスを含浸させた。その後ドラムで
巻き取り、ドラム上のプリプレグを乾燥し、切断を行っ
た後、積層を行った。ホットプレスで焼結を行った後、
冷却通路を機械加工で設けた。なお、本実施例において
長繊維コーティングをテープ状としてテープ状織物とし
たが、長繊維コーティングを繊維状ストランドあるいは
シート状としても良い。
【0077】本実施形態によれば、以下のことが判明し
た。
【0078】図5は、本発明におけるガスタービン部品
の温度分布を説明する図である。
【0079】図5に示すように、ガスタービン部品の温
度分布は、図1に示す冷却孔12に冷却媒体を通してい
るため最も温度が低く、次にセラミック複合材11、遮
熱コーティング14、そして冷却膜の順に温度が上昇
し、高温燃焼ガスにおいて最も温度が高いという分布を
示している。
【0080】また本実施形態によれば、動翼10表面よ
り冷却媒体を動翼面に沿って流出させることにより動翼
面には冷却膜が形成され、この冷却膜部分の伝熱抵抗が
大きいために高温燃焼ガス温度に比べ約400℃低下さ
せることが可能である。また、遮熱コーティング14
は、高温燃焼ガスが直接翼材料と接触して酸化および腐
食を防止し、また熱抵抗体としも作用するために、遮熱
コーティング14部分は冷却膜部分と比較して200℃
低下させることができる。すなわち、動翼10の材料は
高温燃焼ガスの温度よりも約600℃低い温度で使用す
ることが可能となる。
【0081】上記の冷却媒体による冷却作用について、
図6〜8を用いて説明する。
【0082】図6は、代表的な冷却方式を示す図であ
り、(a)は対流冷却方式、(b)は膜冷却(フィルム
冷却)方式、(c)は滲み出し冷却方式の冷却方式を示
している。
【0083】図6(a)に示すように、対流冷却方式は
動翼の内面に沿って冷却媒体を流して翼の内部および表
面温度を下げる方式である。図6(b)に示すように膜
冷却(フィルム冷却)方式は、翼の内面から翼表面を覆
うように冷却孔から吹き出した冷却媒体が断熱膜を形成
して高温ガスから翼表面への熱伝達を減らして翼表面温
度を低く保つ方式である。図6(c)に示すように滲み
出し冷却は、翼内部から多孔質の翼を通じて冷却媒体を
滲み出させ、対流冷却効果と膜冷却効果の組み合わせに
より冷却媒体の所要量を最少にできる方式であり、本実
施形態では、気孔率を高めた材料を用いた実施例で適用
している。
【0084】図7は、上記冷却方式における高温燃焼ガ
ス流量に対する冷却流量比と冷却効率との関係を示す図
である。
【0085】図7に示すように、冷却流量比が非常に低
い場合には対流冷却方式が冷却効率が良いために適用さ
れるが、低流量で高い冷却効果を上げるためには、全面
フィルム冷却方式もしくは滲み出し冷却方式を適用する
必要がある。
【0086】図8は、動翼における前縁部の冷却媒体の
流れを示す図である。
【0087】図8に示すように、ホィールの冷却孔(図
示せず)から流れてきた冷却媒体は、冷却孔12を通っ
て動翼10の前縁部に達する。この時、冷却媒体は対流
冷却により翼内部から動翼10を冷却する。また、冷却
媒体は冷却孔12と動翼10の前縁部外表面に連結する
微細な吹き出し孔13を通り翼表面に吹き出されるが、
高温ガス流が直接当たる前縁部材の前面部15では吹き
出された冷却媒体が翼面に沿って左右に分かれて流れ、
その後流側では、高温燃焼ガス流と翼面との間に入るよ
うにして冷却媒体の断熱膜16を形成して流れる。
【0088】以上のことから、本実施形態によれば、ガ
ス温度に対して最大で600℃程度低い温度でセラミッ
ク材料を使用することができる。また、1400℃が耐
熱温度である炭化珪素を用いた複合材料は最大2000
℃のガス温度で、1200℃耐熱の窒化珪素複合材料は
1800℃のガス温度で、1000℃耐熱のアルミナお
よびガラスセラミックス等は1600℃のガス温度での
使用が可能となる。
【0089】第2実施形態(図9〜10) 本実施形態においては、セラミック基材に分散させる第
2相材の効果を説明する。
【0090】また本実施形態においては、第1実施形態
における製造方法を用いることにより、セラミック基材
に分散させるセラミック短繊維と微粒子との含有率を種
々変化させ、強度および靭性を調査した。
【0091】図9は、セラミック基材に第2相材として
分散させるセラミック短繊維や微粒子の含有率と靭性お
よび強度との関係を示すグラフである。
【0092】図9に示すように、第2相材の含有率が低
い場合には十分な複合効果が得られず、また高含有率で
はセラミック基材の緻密化が難しくなり、靭性および強
度などの力学的特性が低下する。図9から明らかなよう
に、強度および靭性がピークとなるセラミック短繊維お
よび微粒子含有率があり、ピーク値に相当する体積率の
セラミック短繊維と微粒子とを添加すれば、目的とする
セラミック基材強度と靭性とを有するガスタービン部品
の材料を得ることができる。
【0093】第2相材によるセラミック基材の高靭性化
は以下のように行われる。
【0094】まず第1に、セラミック基材に生じたき裂
先端の偏向が挙げられる。
【0095】セラミック基材中に第2相材が存在するこ
とにより、内部応力の不均一性や界面とき裂との相互作
用に起因してき裂が進行方向を変える。その結果、破面
の表面積が増加するとともに、き裂先端の開口モードが
混合モードになる。すなわち材料全体がモードIの負荷
状態であっても、き裂先端ではモードII、モードIIIの
状態が生じるため、き裂先端での応力拡大係数が減少す
る。これがき裂先端の偏向による高靭性化機構である。
【0096】次に、セラミック短繊維の場合には繊維架
橋に起因する応力遮蔽による高靭性化が挙げられる。高
靭性化機構は、セラミック短繊維の破断に先行してセラ
ミック基材が破壊することによってセラミック短繊維が
き裂面を架橋し、き裂を閉じようとする力が発生するこ
とにより生じる。この現象は、特にセラミック短繊維の
弾性率がセラミック基材よりも高い場合に顕著である。
そして、主としてセラミック短繊維が応力を支えること
によりセラミック基材への応力伝達が減少し、セラミッ
ク基材中のき裂先端の応力拡大係数が小さくなり、見か
け上の靭性が向上する。
【0097】さらに、セラミック短繊維の引き抜けによ
りエネルギーが散逸することにより高靭性化が図られ
る。き裂面を架橋するセラミック短繊維が引き抜ける場
合、前述のような応力遮蔽の効果に加えて、セラミック
短繊維とセラミック基材間の滑り運動に伴う摩擦力によ
って不可逆なエネルギーが散逸する。従って、き裂を進
展させるために外部から過剰なエネルギーが必要とな
り、高靭性化が達成される。
【0098】一方、第2相材によるセラミック基材の強
度化は以下のようである。
【0099】材料基材の強度は、第2相材とセラミック
基材との界面での特性に影響される。第2相材とセラミ
ック基材との結合が強すぎる場合には、セラミック基材
に発生したき裂が方向を変えることなく第2相材を容易
に切断し、逆に結合が緩すぎる場合には、基材中のき裂
が進展するに従い容易に引き抜けて、非線形変形領域で
の高強度化が望めない。このため、第2相材とセラミッ
ク基材との界面における適度な接着強度が必要であり、
これを可能にする方法として、窒化ボロン等によるコー
ティングを行っている。
【0100】第2相材として、ZrOを用いた場合に
は他の材料とは異なった方法により、材料に靭性の増大
を与える。セラミック基材に生じたき裂の先端が第2相
材にかかることにより引張応力が負荷されるが、この応
力の作用により結晶の変態が誘起される。結晶変態の際
に材料が体積膨張し、この部分でき裂が停止し易いた
め、見かけ上靭性が大きく向上することになる。また、
ZrOは線膨張係数が10×10−6/℃と炭化珪素
に比べて2倍以上であるため、動翼のセラミックスリー
ブ上端の芯金と接触する部分に適用すれば、従来の材料
に比べて発生する熱伸び差応力を低く押さえることがで
きる。
【0101】以上から明らかなように、本実施形態にお
いては、複合材としてセラミック長繊維の他にセラミッ
ク短繊維や微粒子を第2相材として複合しているため、
複合材の多重効果により、セラミック基材自体の強度、
靭性を上昇させることができる。この強度の向上は製造
時や熱処理時に達成されるものであり、従来複合材に比
べて材料にき裂が全く生じない範囲の負荷領域を増大さ
せることによって、より厳しい条件での使用が可能とな
る。また、材料全体のヤング率の向上すなわち高剛性が
図られるため、ガスタービン翼に適用した場合には外部
からの負荷に対しても過大に変形することなく、本来の
機能を維持して使用することができる。また、セラミッ
ク基材に分散させる第2相材は、強度および靭性面の向
上ばかりでなく、材料の物理特性の改善にも貢献し、金
属部品との接触部での熱伸び差応力や過渡的熱応力の軽
減を材料の熱特性を改善できる。
【0102】さらに、材料の最大強度自体が従来材に比
べて上昇しているため、異物衝突による衝撃的損傷など
の予想外の負荷に対しても、従来材以上に損傷許容性を
示すため、ガスタービン部品の信頼性を従来以上に向上
させることができる。
【0103】第3実施形態(図10) 本実施形態においては、冷却媒体を使用しない無冷却の
場合と冷却媒体を使用し冷却する場合とを比較して、ガ
ス温度と効率との関係を説明する。
【0104】図10は、ガス温度と効率との関係を示す
図である。
【0105】図10に示すように、冷却媒体を使用しな
い無冷却の場合には、燃焼ガス温度の上昇とともに効率
は上昇する。しかし超高温のガス温度においては、冷却
で使用できる材料は存在し得ないため、セラミック複合
材の耐熱温度以上においては仮想的な曲線を示してい
る。
【0106】冷却条件としてガス温度を最適使用温度と
すると、効率は無冷却時よりも冷却媒体を作用させた分
だけが低下するが、ガス温度が上昇するとともに効率も
上昇し、最高効率を示すことになる。逆にガス温度をさ
らに高めると、冷却媒体流量が急激に増加するため、逆
に効率が低下することになる。そのため、効率が最大と
なる最適ガス温度が存在することになる。なお、それぞ
れの適用材料に対して、各々最適な冷却条件が存在する
ため、最適な冷却条件として使用することにより無冷却
時よりも高い効率で使用できる。具体的には、1400
℃が耐熱温度である炭化珪素を用いた複合材料は最大2
000℃のガス温度で、1200℃耐熱の窒化珪素複合
材料は1800℃のガス温度で、1000℃耐熱のアル
ミナおよびガラスセラミックス等は1600℃のガス温
度での使用が可能となる。
【0107】またセラミック複合材を無冷却時と同一の
温度で使用した場合でも、ガスタービン部品表面に遮熱
コーティングを施しているため、従来の使用方法と異な
り、ガス環境が直接材料に接触せず、遮熱コーティング
が外部環境を遮断して、材料の酸化と腐食を防ぐ働きを
する。
【0108】その他の実施形態 その他の実施形態としては、前述したセラミックスリー
ブと金属芯金とを組み合わせた動翼に適用する場合であ
り、スリーブと金属芯金間に冷却媒体を流すとともに、
翼全縁部のスリーブより冷却媒体を噴出して外表面の断
熱性を向上させることによって、上記実施形態と同様に
ガス温度を向上させたガスタービン部品を適用すること
ができる。
【0109】また、本発明はガスタービンの動翼および
静翼ばかりでなく、最も高温となる燃焼器やトランジッ
ションピース等の全ての高温部品に適用することができ
る。
【0110】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明によるガ
スタービン部品およびその製造方法によれば、ガスター
ビン部品自体の使用温度を低下させて、材料の耐熱温度
以上の高温ガス環境中で強度、靭性、耐酸化性および耐
腐食性などの耐環境性を高め、ガスタービン部品の信頼
性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態における動翼の横断面図。
【図2】第1実施形態における反応焼結法による製造方
法を示す流れ図。
【図3】第1実施形態における有機ポリマーからの合成
法による製造方法を示す流れ図。
【図4】第1実施形態におけるスラリー含浸法による製
造方法を示す流れ図。
【図5】第1実施形態におけるガスタービン部品の温度
分布を説明する特性図。
【図6】(a)〜(c)は、第1実施形態における代表
的な冷却方式を示す概略斜視図。
【図7】第1実施形態における高温燃焼ガス流量に対す
る冷却流量比と冷却効率との関係を示す特性図。
【図8】第1実施形態における動翼前縁部の冷却媒体の
流れを示す説明図。
【図9】第2実施形態におけるセラミック基材に分散さ
せる第2相材の含有率と靭性および強度との関係を示す
図。
【図10】第3実施形態におけるガス温度と効率との関
係を示す特性図。
【図11】従来におけるガスタービン発電プラントを示
す断面図。
【図12】従来における組み合わせ方式のセラミック動
翼の一例を示し、(a)は縦断面図、(b)は横断面
図。
【図13】代表的なセラミック材料の温度と強度との関
係を示す特性図。
【図14】従来における動翼スリーブの熱伸び差応力の
発生状況を説明する概略斜視図。
【図15】従来における静翼後縁部における熱応力の発
生を示す概略斜視図。
【図16】従来における冷却流量と熱応力および効率の
関係を示す特性図。
【符号の説明】
10 動翼 11 セラミック複合材 12 冷却孔 13 吹き出し孔 14 遮熱コーティング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02C 7/00 C04B 35/80 Z

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック基材とセラミック長繊維とを
    組み合わせたセラミック複合材を用いたガスタービン部
    品であって、ガスタービン部品の内部に冷却通路を有
    し、前記冷却通路がガスタービン部品の内部から外表面
    に繋がり、前記冷却通路に冷却媒体を流すことにより、
    ガスタービン部品の内部および外表面とから冷却するこ
    とを特徴とするガスタービン部品。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のガスタービン部品におい
    て、冷却通路はガスタービン部品の内部に設けられた冷
    却孔と前記冷却孔からガスタービン部品の外表面に連結
    する吹き出し孔とから構成され、もしくは、冷却通路が
    通気性材料の有する気孔のみから構成されていることを
    特徴とするガスタービン部品。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のガスタービン部品におい
    て、ガスタービン部品の表面に、アルミナ(Al
    )もしくはジルコニア(Zr0)から成る遮熱
    コーティングを設けたことを特徴とするガスタービン部
    品。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のガスタービン部品におい
    て、セラミック長繊維として炭化珪素繊維を用い、セラ
    ミック基材として炭化珪素(SiC)、窒化珪素(Si
    )、アルミナ(Al)、ムライト(2Al
    ・2Si0)、ジルコニア(Zr0)もしく
    はガラスセラミックス(Si0)を用い、適用するガ
    ス温度に応じてセラミック基材を選定することを特徴と
    するガスタービン部品。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のガスタービン部品におい
    て、セラミック基材に分散させてセラミック基材細部を
    複合化させる第2相材としてセラミック短繊維および微
    粒子を用いることを特徴とするガスタービン部品。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載のガスタービン部品に
    おいて、セラミック基材に複合化させるセラミック長繊
    維、セラミック短繊維および微粒子の表面に窒化ボロン
    または炭化珪素をコーティングすることにより形成され
    ることを特徴とするガスタービン部品。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6記載のガスタービン部品に
    おいて、セラミック複合材の耐熱温度以上の高温ガスを
    用いてガスタービンを運用することを特徴とするガスタ
    ービン部品。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7記載のガスタービン部品の
    製造方法において、ガスタービン部品における冷却通路
    の一部または全てを製造時または機械加工により冷却通
    路を形成することを特徴とするガスタービン部品の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のガスタービン部品の製造
    方法において、炭化珪素もしくはアルミナのセラミック
    基材をセラミック長繊維プリフォームに充填する方法と
    して、溶融状態の金属、炭素およびセラミックスとを低
    温で反応焼成させて製造することを特徴とするガスター
    ビン部品の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8記載のガスタービン部品の製
    造方法において、炭化珪素もしくは窒化珪素のセラミッ
    ク基材をセラミック長繊維プリフォームに充填する方法
    として、有機ポリマーによる合成法を用い、緻密化が必
    要な部分にはポリマー含浸を数回繰り返し、あるいはガ
    ス相からの成形(CVI法)を併用し、またガスタービ
    ン部品の内部から外表面につながる微細な冷却通路に
    は、気孔を大きく残すことにより冷却通路を形成するこ
    とを特徴とするガスタービン部品の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項8記載のガスタービン部品の製
    造方法において、ガラスセラミックスもしくはアルミナ
    のセラミック基材をセラミック長繊維プリフォームに充
    填する方法として、スラリー含浸法を用いることを特徴
    とするガスタービン部品の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項8〜11記載のガスタービン部
    品の製造方法において、第2相材であるセラミック短繊
    維および微粒子の含有率を靭性、強度が最も高くなる割
    合でセラミック基材に分散させることを特徴とするガス
    タービン部品の製造方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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