JP2006192795A - 更生タイヤの作製方法 - Google Patents

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【課題】残溝深さの測定精度を高め、バフ済み台タイヤの外周面を一定品質に保つ。
【解決手段】使用済みタイヤTのトレッド面Taをバフし、新たなトレッドゴムGをバフ面に載せて加硫することで更生タイヤT”を作製する方法において、使用済みタイヤTのトレッド面Taに沿ってレーザ変位センサ17をタイヤ幅方向に走査してトレッド面Taのプロファイルデータを計測し、プロファイルデータをコンピュータ14に取り込む工程と、コンピュータ14でプロファイルデータに対して移動平均処理を行うことで平滑化された補正データを作成する工程と、コンピュータ14で補正データを用いトレッド面Taの複数の残溝のうち最深部Pにおけるタイヤ外径を抽出する工程と、最深部Pにおけるタイヤ外径以下になるように使用済みタイヤTのトレッド面Taをバフし、外周面が平滑な台タイヤT’を形成する工程とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、更生タイヤの作製方法に関し、詳しくは、使用済みタイヤのトレッド面をバフ(切削)し、新たなトレッドゴムをバフ面に載せて加硫し更生タイヤを作製する方法において、バフ精度を高めるものに関する。
使用済みタイヤのリサイクル方法として、再生ゴムや熱資源として利用する他に、更生タイヤとして再利用する方法が注目されている。更生タイヤは、主にトラック・バス用タイヤの分野で利用されており、摩耗により溝の深さが法定残溝深さに達した使用済みタイヤのトレッド面をバフし、新たなトレッドゴムを貼り付けて再加硫することで適法なタイヤ機能を復活させたものをいう。
特開平5−200911号公報では、使用済みタイヤのトレッド部のゴム質を除去する更生タイヤ用バフ装置が開示されている。該装置によれば、縦置き状態に位置決め支持された使用済みタイヤを水平軸線回りに回転させながら、使用済みタイヤのトレッド面に沿ってタイヤ幅方向に回転するバフ回転体を移動させることで、トレッド面を均一に削り取りバフ済みの台タイヤを形成する構成としている。
バフ装置で使用済みタイヤのトレッド面をバフする際には、タイヤ径方向の削り量(バフ量)が浅すぎると、溝跡が残存して台タイヤの外周面が均一に形成されず、更生タイヤの品質が低下する問題がある。一方、バフ量が深すぎると、台タイヤの肉厚が薄くなり使用済みタイヤのゴム再利用率が低下する問題がある。
したがって、バフ作業を行う前に、使用済みタイヤのトレッド面に残存している複数の溝について、手作業でディプスゲージを用いて残溝深さを目視で計測し、数ヶ所の残溝深さのうち最大値を示した最深部におけるタイヤ外径が台タイヤの外径となるようにバフ量を設定している。
しかしながら、使用済みタイヤの残溝深さの測定を手作業で行うと、計測ミスが発生して精度良い台タイヤを形成できないという問題がある。また、数ヶ所のサンプリング点を選ぶ際の基準が無いため、サンプリング点以外の溝に最深部が存在した場合には台タイヤの外周面に溝跡が残ってしまい、測定データ値に一定の品質を保つことができないという問題がある。
特開平5−200911号公報
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、残溝深さの測定精度を高めると共に、バフ済み台タイヤの外周面を一定品質に保つことを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、使用済みタイヤのトレッド面をバフし、新たなトレッドゴムをバフ面に載せて加硫することで更生タイヤを作製する方法において、
前記使用済みタイヤのトレッド面に沿って非接触変位センサをタイヤ幅方向に走査してトレッド面のプロファイルデータを計測し、該プロファイルデータをコンピュータに取り込む工程と、
前記コンピュータで前記プロファイルデータに対して移動平均処理を行うことで平滑化された補正データを作成する工程と、
前記コンピュータで前記補正データを用い前記トレッド面の複数の残溝のうち最深部におけるタイヤ外径を抽出する工程と、
前記最深部におけるタイヤ外径以下になるように前記使用済みタイヤのトレッド面をバフし、外周面が平滑な台タイヤを形成する工程とを備えていることを特徴とする更生タイヤの作製方法を提供している。
前記方法とすると、使用済みタイヤのトレッド面の凹凸に関して非接触変位センサを用いてプロファイルデータを取得しているので、従来の手作業と違って測定ミスを無くすことができ、残溝深さの測定精度を高めることが可能となる。また、トレッド面に沿って非接触変位センサを走査しているので、タイヤ幅方向の全ての残溝深さを漏れなく調べることができ、バフ後の台タイヤの外周面に溝跡が残るのを確実に防止することができる。
さらに、使用済みタイヤの残溝のうち最深部におけるタイヤ外径は、生データであるプロファイルデータに対して移動平均処理を施した補正データを用いて算出しているので、ノイズが除去され正確な値を求めることができる。
前記移動平均処理は、前記プロファイルデータのある一点の補正値を算出する際に、該一点を含む両側をサンプリングした複数点の高低値のうち少なくとも最大値と最小値をサンプリング点から除外し、該サンプリング点の高低値の和をサンプリング数で割り算することで該一点の補正値としていると好ましい。
前記方法とすると、サンプリングされた複数点の生データのうち最大値と最小値はノイズである可能性が高いので、少なくとも最大値と最小値を除外して平均計算を行うことで、移動平均によるデータ補正の精度を向上させることが可能となる。
なお、除外する点は最大値と最小値だけでなく、最大値から順にn番目(nは自然数)に大きい値までの全てと、最小値から順にn番目に小さい値までの全てとを除外するようにしても好適である。この際、nの値はサンプリング数の値に応じて適宜決定するとよい。
前記コンピュータにより前記最深部におけるタイヤ外径にπを乗じた値を台タイヤの周長として算出する工程を備えていると好ましい。
前記方法とすると、台タイヤの周長を計算で求めることができ、バフ後の台タイヤの周長を作業者がメジャー等で測定した実測値と比較することで、台タイヤの品質チェックを行うことが可能となる。
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、使用済みタイヤのトレッド面に沿って非接触変位センサを走査して凹凸のプロファイルデータを取得しているので、測定ミスが無くなり残溝深さの測定精度が高まると共に、タイヤ幅方向の全ての溝深さが漏れなく調べられ、台タイヤの外周面を一定品質に保つことができる。
さらに、生データに対して移動平均処理を施して補正データを作成する際に、サンプリングされた複数点の生データのうち少なくとも最大値と最小値を除外して平均計算を行うことで、的確にノイズ除去されて測定精度が向上する。
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は残溝測定システム10を示し、使用済みタイヤTのトレッド面の幅方向に沿って非接触で残溝深さを計測する残溝計測器11と、使用済みタイヤTの中心を支持する支持軸12と、残溝計測器11を制御するコンピュータ14とを備えている。
残溝計測器11は、使用済みタイヤTの上方において水平方向に配置固定された水平支持材15と、水平支持材15の一面側に水平方向に付設されたガイドレール16と、ガイドレール16上に水平方向に移動可能に取り付けられたレーザ変位センサ17(非接触変位センサ)とを備えている。水平支持材15の上面側の所定の位置には左から順に、左側原点近接スイッチSW1、測定開始近接スイッチSW2、測定終了近接スイッチSW3、右側原点近接スイッチSW4を取り付けており、レーザ変位センサ17が各スイッチSW1〜SW4に近接するのを検知可能としている。また、レーザ変位センサ18はエンコーダ20を介してケーブル18でコンピュータ14と接続していると共に、各近接スイッチSW1〜SW4はケーブル19でコンピュータ14に接続している。
次に、更生タイヤの作成手順を図2に基づいて説明する。
まず、トレッド面Taがレーザ照射方向と直交するように使用済みタイヤTを支持軸12に取り付けると共に、レーザ変位センサ17を図1中の左側に移動させて左側原点近接スイッチSW1に検出された位置で停止させる。
次いで、コンピュータ14からの指令でレーザ変位センサ17を所定の速度で右側に移動させ、測定開始近接SW2に検出された位置からタイヤTのトレッド面Taの凹凸プロファイルをスキャン開始する(S1)。なお、レーザ変位センサ17のサンプリング周波数とレーザ変位センサ17の移動速度に関しては、タイヤ幅方向に0.05mm毎に1パルスの検出幅となるように適宜設定している。
コンピュータ14には、レーザ変位センサ17からレーザ光LSが衝突するタイヤ表面までの距離L2(プロファイル値)が電圧値として取り込まれる(S2)。レーザ変位センサ17が測定終了近接スイッチSW3に検出された時点でデータ取り込みを停止し、右側原点近接スイッチSW4に検出された時点でレーザ変位センサ17の移動が停止する。そして、コンピュータ14に取り込まれた電圧値は所定の換算式により距離L2に変換される。
次いで、コンピュータ14は、予め作業者がタイヤ中心からレーザ変位センサ17までの距離L1を測定して入力された値に基づき、タイヤ外径DをD=(L1−L2)*2の式で算出する。(タイヤ半径R=L1−L2)
このようにして、図4に示すように、使用済みタイヤTのトレッド面Taのタイヤ幅方向における各スキャン点でのタイヤ外径Dのデータがコンピュータ14のディスプレイ画面に出力される。
使用済みタイヤTの表面にはキズやヘコミ等があり、図4に示す生データにはノイズが含まれているので、次に、生データのノイズ除去を行う移動平均処理を実行する(S3)。
詳細には、図5(A)はレーザ変位センサ17からコンピュータ14に取り込まれたレーザ変位センサ17からタイヤ表面までの距離L2の生データを示している。図5(B)に示すように、例えば、スキャンNo.12の点について平均化計算を行う場合には、No.12の点を中心とした上下両側の11点ずつを生データからサンプリングして計23点を降順(あるいは昇順)にソートする。この23点から値の大きい順に上から6点をカットすると共に、値の小さい順に下から6点をカットする。そして、残った中間の11点の値の和をサンプリング数11で割り算して得られた平均値438をNo.12における補正値とする。
同様にして、スキャンNo.13の点について平均化計算を行う場合には、図5(C)に示すように、No.13の点を中心とした上下両側の11点ずつを生データからサンプリングして計23点を降順(あるいは昇順)にソートする。この23点から値の大きい順に上から6点をカットすると共に、値の小さい順に下から6点をカットする。そして、残った中間の11点の値の和をサンプリング数11で割り算して得られた平均値438をNo.13における補正値とする。
以下、これを繰り返すことでL2の補正データが得られ、前述したD=(L1−L2)*2の式により、図6に示すようなタイヤ外径Dについて平滑化された補正データが得られる。
次に、複数の残溝のうち最深部におけるタイヤ外径(最小タイヤ外径)を特定する(S4)。詳しくは、図7に示すように、スキャン数が3000点あり、例えば、点イを判定対象とした場合は、前後250点ずつの値を調べ、判定ポイントの点イから250点前方まで隣接する点間の傾斜が減少傾向であり、且つ、点イから250点後方まで隣接する点間の傾斜が増加傾向である場合に点イを最小タイヤ外径を決定する溝底点として採用する。
詳しくは、(1)m点目データ>m−1点目データ(m=2〜250の整数)の関係をm=2〜250の全てにおいて満たせば、点イから250点前方まで隣接する点間の傾斜が減少傾向であると判定する。(2)また、n点目データ<n+1点目データ(n=250〜499)の関係をn=250〜499の全てにおいて満たせば、点イから250点後方まで隣接する点間の傾斜が増加傾向であると判定する。
前記(1)(2)の両方を満たせば、点イを溝底点として点イにおけるタイヤ外径を溝底外径としてコンピュータ14内のメモリに記憶する。
次いで、判定ポイントを順次、点イから後方に1点ずつずらしながら、前記(1)(2)と同様の判定を繰り返し、スキャン数−250点(3000−250=2750)目となる点エになった時点で処理を終了する。そして、メモリに記憶したそれぞれの溝底点を比較して、最もタイヤ外径が小さくなる溝底外径を有する点を最深部Pとし、最深部Pの溝底外径を最小タイヤ外径と決定する。なお、前記(1)(2)の条件を満たさなかった場合には、処理中の判定ポイントに関して処理を中断し、次の点に判定ポイントを変更して処理を進めるようにしている。
また、使用済みタイヤTを90°回転させて前述した同様の手順により、別断面における最深部Pを求め、その2回測定したうちからより深い溝の方の最深部Pを最小タイヤ外径に採用しても好適である。
次いで、前記で求めた最小タイヤ外径がバフ後のタイヤ外径となるようにバフ量Bを設定し、公知のバフ装置で使用済みタイヤTのトレッド面Taを切削し、図8(A)に示すような外周面Ta’(バフ面)に溝の無い台タイヤT’を形成する(S5)。
次に、台タイヤT’の外周面の周長検査を行う(S6)。
最深部Pにおけるタイヤ外径をDとすると、コンピュータ14により周長はD・πで計算されてコンピュータ14のディスプレイ画面に出力される。一方、作業者がバフ後の台タイヤT’の外周面にメジャー等を当てがって手作業で周長を測定する。この際、精度向上のために2回測定して周長の長い方を採用する。そして、コンピュータ14で算出した計算値と手作業で測定した実測値とを比較して、バフ処理の精度が十分であるか品質チェックを行う。
次いで、品質チェックに問題が無かった場合は、図8(B)に示すように、新規のトレッドゴムGを台タイヤT’の外周面Ta’に貼り付けて再加硫することで更生タイヤT”が作製される。
以上によれば、使用済みタイヤTのトレッド面Taに沿ってレーザ変位センサ17を走査してタイヤ表面の凹凸のプロファイルデータを取得しているので、従来の手作業に比べて測定ミスが無くなり残溝深さの測定精度が高まる。また、タイヤ幅方向の全ての溝深さをレーザ変位センサ17で調べているので、測定漏れが無く台タイヤT’の外周面Ta’を一定品質に保つことができる。したがって、ユニフォミティの良好な更生タイヤT”を作製することができる。
また、生データに対して移動平均処理を施してノイズ除去をした補正データを用いタイヤの残溝深さを求めているので測定精度が向上する。その際、本発明の特徴的事項として、サンプリングされる23点の生データのうち上下6点ずつを除外して中間値である11点を使用して平均計算を行っているので補正の精度がより向上する。
即ち、生データを平滑化する補正処理を行わないと、レーザ変位センサ17の移動速度が速すぎる場合には、取得される生データにノイズが多くなり、採用できるデータ数が少なくなる問題があるが、前記の工夫された移動平均による補正を行うことで、スキャン数の全てをデータとして採用することができる。よって、レーザ変位センサ17の移動速度も速めることができ、センサ17の測定速度の制限も無くすことができる。
本発明の実施形態の残溝測定システムを示す概略図である。 更生タイヤの作製工程の一部を示すフロー図である。 タイヤの要部拡大図である。 補正前のタイヤ外径とスキャン数との関係を示すグラフである。 (A)は補正前の生データを示す図面、(B)はNo.12の移動平均値の算出を示す図面、(C)はNo.13の移動平均値の算出を示す図面である。 補正後のタイヤ外径とスキャン数との関係を示すグラフである。 タイヤ表面のスキャン点を示す図面である。 (A)は台タイヤを示す要部断面図、(B)は更生タイヤを示す要部断面図である。
符号の説明
10 残溝測定システム
11 残溝測定装置
12 支持軸
14 コンピュータ
15 水平支持材
16 ガイドレール
17 レーザ変位センサ
20 エンコーダ
B バフ量
D タイヤ外径
P 最深部
T 使用済みタイヤ
T’ 台タイヤ
T” 更生タイヤ

Claims (3)

  1. 使用済みタイヤのトレッド面をバフし、新たなトレッドゴムをバフ面に載せて加硫することで更生タイヤを作製する方法において、
    前記使用済みタイヤのトレッド面に沿って非接触変位センサをタイヤ幅方向に走査してトレッド面のプロファイルデータを計測し、該プロファイルデータをコンピュータに取り込む工程と、
    前記コンピュータで前記プロファイルデータに対して移動平均処理を行うことで平滑化された補正データを作成する工程と、
    前記コンピュータで前記補正データを用い前記トレッド面の複数の残溝のうち最深部におけるタイヤ外径を抽出する工程と、
    前記最深部におけるタイヤ外径以下になるように前記使用済みタイヤのトレッド面をバフし、外周面が平滑な台タイヤを形成する工程とを備えていることを特徴とする更生タイヤの作製方法。
  2. 前記移動平均処理は、前記プロファイルデータのある一点の補正値を算出する際に、該一点を含む両側をサンプリングした複数点のプロファイル値のうち少なくとも最大値と最小値をサンプリング点から除外し、該サンプリング点のプロファイル値の和をサンプリング数で割り算することで該一点の補正値としている請求項1に記載の更生タイヤの作製方法。
  3. 前記コンピュータにより前記最深部におけるタイヤ外径にπを乗じた値を台タイヤの周長として算出する工程を備えている請求項1または請求項2に記載の更生タイヤの作製方法。
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