JP2006192446A - ピニオンシャフトの製造方法 - Google Patents

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一雄 鵜飼
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Abstract

【課題】早期のパンチ折損を防止しつつ深穴をも冷間鍛造により作成することのできるピニオンシャフトを製造方法を提供する。
【解決手段】深穴2の大径部2aおよび中径部2bが形成された中間素材60を第2ダイ10,11のキャビティ13,14にセットすると、中間素材60の外周部63の欠肉空間形成部65とキャビティ13,14の内周面13a,14aとの間に欠肉空間S1が形成される。中間素材60の一端61に第3パンチ12を押し込むことにより、小径部2cを形成するとともに、欠肉空間形成部65を張り出させて欠肉空間S1を埋める。
【選択図】 図4

Description

本発明は、例えばステアリング装置に用いられるピニオンシャフトの製造方法に関する。
ラックアンドピニオン式のステアリング装置では、ステアリングホイールに連なる入力軸と出力軸としてのピニオンシャフトをトーションバーを介して同軸上に連結している。 そのピニオンシャフトの一端には、深穴が形成されている。その深穴は、入力軸の一端が相対回転可能に挿入される大径部と、この大径部の底に形成される小径部とを含んでいる。その小径部には、入力軸を挿通するトーションバーの一端が挿入される。
一方、中空の軸部材を冷間鍛造により作成する方法が提供されている(例えば特許文献1参照)。
特開平8−52530号公報
仮に、冷間鍛造を上記のピニオンシャフトの製造に適用すると仮定した場合、深穴としての小径部をパンチの押し込みにより形成するときに、パンチの負荷が過大となり、パンチが早期に傷んで、小径部の精度が悪くなることが予想される。また、パンチが早期に折損するおそれがあり、製造コストが高くなる。一方、上記の深穴の小径部を切削加工により形成することも考えられるが、この場合にも、製造コストが高くなる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、早期のパンチ折損を防止しつつ深穴をも冷間鍛造で形成することのできる安価なピニオンシャフトの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、一端に有底の深穴を有するピニオンシャフトを冷間鍛造を用いて作成する、ピニオンシャフトの製造方法であって、外周部を含み、その外周部に、ダイにセットされたときにダイのキャビティの内周面との間に欠肉空間を形成することのできる欠肉空間形成部を有する中間素材を作成する工程と、上記中間素材の一端にパンチを押し込むことにより、上記深穴を形成しつつ中間素材の外周部の欠肉空間形成部を張り出させて上記欠肉空間を埋める工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明では、ダイにセットされた中間素材の欠肉空間形成部とダイのキャビティの内面との間に欠肉空間が設けられるので、パンチを押し込んで中間素材の一端に深穴を形成するときに、上記の欠肉空間形成部が欠肉空間を埋めるようにして張り出す。すなわち中間素材の肉を外側へ逃がすことができるので、パンチにかかる負荷を格段に軽減することができる。したがって、早期のパンチ折損を防止することができる。深穴を切削加工ではなく、冷間鍛造により形成することが実質的に可能となり、製造コストを安くすることができる。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
本ピニオンシャフトの製造方法は、図1(a)に示されるような、一端1aに有底の深穴2を有するピニオンシャフト1を製造するための方法である。
ピニオンシャフト1の深穴2は同軸上に配置された大径部2a、中径部2bおよび小径部2cを含み、この順で中心にいくほど深くなっている。また、ピニオンシャフト1の外周部3は、ピニオンシャフト1の一端1aから他端1bに向かうにしたがって、大径部3a、第1中径部3b、第2中径部3cおよび小径部3dを有している。大径部3aと第1中径部3bとの間に円錐テーパ面状の接続部3eが形成されている。また、第2中径部3cにピニオン歯3fが形成されている。
図1(b)は、ピニオンシャフト1の製造用中間体としての最終素材100を示している。この最終素材100に、ピニオン歯3fを歯切りカッタで加工することによりピニオンシャフト1が製作される。
本製造方法では、図3に示すような第1の鍛造工程により、図2(a)示す中間素材60を得た後、その中間素材60を図4(a)および(b)に示すような第2の鍛造工程により、図2(b)に示すような最終素材100を得る。
具体的には、第1の鍛造工程では、図3に示すように、一対のダイ4,5によりプリフォーム素材50を鍛圧するとともに、プリフォーム素材50の一端51に、深穴2の大径部2aを形成するための第1パンチ6および深穴2の中径部2bを形成するための第2パンチ7をこの順で順次に押し込むことにより、図2(a)に示すように、一端61に上記深穴2の大径部2aおよび中径部2bが形成され、且つ外周部63に後述する欠肉空間形成部65が形成された中間素材60を作成する。
一対の第1ダイ4,5はそれぞれキャビティ8,9を有している。キャビティ8,9の内周面8a,9aにより中間素材60の外周部63が形成される。
この中間素材60の外周部63において、製品であるピニオンシャフト1の大径部3aに相当する大径部63aとピニオンシャフト1の第1中径部3bに相当する第1中径部63bとの接続部分において、欠肉空間形成部65が形成されている。
次いで、図4(a)および(b)を参照して、第2の鍛造工程においては、一対の第2ダイ10,11と、深穴2の小径部2cを形成するための第3パンチ12が用いられる。 図4(a)に示すように、上記の中間素材60を一対の第2ダイ10,11のキャビティ13,14内にセットすると、第2ダイ10,11のキャビティ13,14の内周面13a,14aと中間素材60の外周部63の欠肉空間形成部65との間に、欠肉空間S1が形成される。
そして、図4(b)に示すように、中間素材60の一端61の中径部2bの底に第3パンチ12を押し込むことにより、深穴2の小径部2cを形成するとともに、外周部63の欠肉空間形成部65を張り出させて上記の欠肉空間S1を埋める。この第2の鍛造工程を経て得られた最終素材100に、カッタ等を用いてピニオン歯3fが形成されてピニオンシャフト1の製品が完成する。
本実施の形態によれば、第2の鍛造工程の第2ダイ10,11に供給される中間素材60には、当該中間素材60が第2ダイ10,11にセットされたときに、第2ダイ10,11のキャビティ13,14の内周面13a,14aとの間に欠肉空間S1が生ずるような形状が与えられている。すなわち、中間素材60の外周面63に、上記欠肉空間S1を形成するための欠肉空間形成部65が設けられている。
したがって、第2の鍛造工程において、第3パンチ12を押し込んで、深穴2の小径部2cを形成するときに、第3パンチ12にかかる負荷を格段に軽減することができる。したがって、早期のパンチ折損を防止することができる。その結果、深穴2を切削加工ではなく、冷間鍛造により形成することが実質的に可能となり、製造コストを安くすることができる。
(a)は本発明の一実施の形態の製造方法により製造されたピニオンシャフトの一部破断側面図であり、(b)はピニオンシャフトの最終素材の一部破断側面図である。 (a)は中間素材の要部の一部破断側面図であり、(b)は最終素材の要部の一部破断側面図である。 図3は第1の鍛造工程を示す金型構造の断面図である。 (a)および(b)は第2の鍛造工程での金型構造の断面図である。
符号の説明
1…ピニオンシャフト、1a…一端、1b…他端、2…深穴、2a…大径部、2b…中径部、2c…小径部、3…外周部、3a…大径部、3b…第1中径部、3c…第2中径部、3d…小径部、4,5…第1ダイ、6…第1パンチ、7…第2パンチ、8,9…キャビティ、8a,9a…内周面、10,11…第2ダイ、12…第3パンチ、13,14…キャビティ、13a,14a…内周面、50…プリフォーム素材、51…一端、60…中間素材、61…一端、63…外周部、63a…大径部、63b…第1中径部、65…欠肉空間形成部、S1…欠肉空間、100…最終素材

Claims (1)

  1. 一端に有底の深穴を有するピニオンシャフトを冷間鍛造を用いて作成する、ピニオンシャフトの製造方法であって、
    外周部を含み、その外周部に、ダイにセットされたときにダイのキャビティの内周面との間に欠肉空間を形成することのできる欠肉空間形成部を有する中間素材を作成する工程と、
    上記中間素材の一端にパンチを押し込むことにより、上記深穴を形成しつつ中間素材の外周部の欠肉空間形成部を張り出させて上記欠肉空間を埋める工程とを含むことを特徴とするピニオンシャフトの製造方法。
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