JP2002096137A - ヘリカルピニオンギアとその製造方法及び製造装置 - Google Patents

ヘリカルピニオンギアとその製造方法及び製造装置

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JP2002096137A
JP2002096137A JP2000283045A JP2000283045A JP2002096137A JP 2002096137 A JP2002096137 A JP 2002096137A JP 2000283045 A JP2000283045 A JP 2000283045A JP 2000283045 A JP2000283045 A JP 2000283045A JP 2002096137 A JP2002096137 A JP 2002096137A
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pinion gear
helical pinion
mold
helical
columnar portion
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JP2000283045A
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Kiyoshi Okubo
潔 大久保
Yasushi Watanabe
靖 渡辺
Naoki Hara
直樹 原
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘリカルピニオンギアを製造するに当たり、
その柱状部の外周面および内周面の異形形状と、ヘリカ
ルピニオンギア部とを1回の(つまり、加工途中の素材
を取り外すことなく)塑性成形にて加工できるようにす
ることを課題とするものである。 【解決手段】 ヘリカルピニオンギア部2Aを成形する
ためその内面にこのヘリカルピニオンギア部2Aに対応
する形状を備えた下型10と、下型10の上部にはテー
パ部121を備えた外ホルダー12と、柱状部外周面を
成形するために突起113が内側に向かって設けられて
おり、その外側にはテーパ部121に対応するテーパを
備えた複数に分割された分割ダイス11と、を備えてお
り、下型10によって素材にヘリカルピニオンギア部2
Aが成形されたあと、これに続き、分割ダイス11のそ
れぞれがテーパ部121に案内されて内方に進むことに
より素材外周に溝が成形される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ヘリカルピニオ
ンギア及びそのヘリカルピニオンギアを製造する方法な
らびに製造装置に関し、特に軸線方向への素材の圧入に
よって冷間鍛造されるヘリカルピニオンギア及びその鍛
造による製造方法ならびに製造装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ヘリカルギアの一種であるステアリング
用のヘリカルピニオンギア及びそのヘリカルピニオンギ
アを製造する装置ならびに方法の一例が特開平7−30
8729号公報及び特開平9−308940号公報に記
載されている。
【0003】これらの公報に記載されて発明が対象とす
るヘリカルピニオンギアは、全体として円筒状をなすと
ともに外周面に螺旋方向に傾斜した歯が形成され、その
歯の一端側にテーパ部を介して円筒部が形成された構造
である。これらのヘリカルピニオンギアを切削加工によ
って製造するとすれば、工程数が多くなるうえに、加工
機が高価なものとなるから、結局、コスト高になる不都
合があり、また転造によれば、奇数歯の場合に加工荷重
の変動が生じ、これが原因となって歯型の精度が低下す
る不都合がある。
【0004】また、パワーステアリング用のヘリカルピ
ニオンギアの場合には、入力軸との連結部のスプライン
が、このヘリカルピニオンギアと入力軸側との間の所定
角度の相対回転を許容するとともに、その角度以上の回
転は規制する、いわゆるフェイルセーフを構成してお
り、機械加工により製造する場合には、ピニオンギア部
の加工とスプラインの加工とが別々に行われるため、ラ
ックとの噛み合いの中立位置とフェイルセーフの中立位
置との位相が完全に一致しない場合があった。
【0005】そこで特開平9−308940号公報で
は、円筒状のダイスに素材を軸線方向に圧入することに
より、ヘリカルピニオンギアを冷間鍛造することとし、
前記円筒部の内面にはスプラインの形状を、また、同時
にヘリカルピニオンギアの形状を成形する方法を採用し
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ヘリカルピニオンギア
部はダイスから抜き取られるとき、相対的に回転させな
がら引き抜く必要がある。ところが、ヘリカルピニオン
ギア部と一体の柱状部(従来例における円筒部)の外周
面に溝や突起のような引っ掛かりがある場合、この部分
で回転することができず、結局、鍛造したヘリカルピニ
オンギア全体も抜き取ることができない。
【0007】このため、前記柱状部の外周面は円状にし
ておかなければならず、この外周面に溝や突起をギア部
と同時に鍛造加工することは不可能であった。なお、柱
状部の内周面は、パンチにて加工されるが、鍛造完了後
ワークを取り出すときには、すでにパンチはワークから
離れており接触していない状態であるから、内周面にス
プラインなどの異形形状を成形することは可能である。
【0008】図3は、操舵装置に使用されるヘリカルピ
ニオンギアの完成品の一例を示す一部断面図である。こ
のような形状の場合、柱状部6の頭部3の外周面および
内周面にそれぞれ凹溝5及び4歯のスプライン(十字
溝)4があるため、上に述べた理由から従来の方法では
ヘリカルピニオンギアの成形と同時に加工することは不
可能であった。
【0009】また、ヘリカルピニオンギア部2と柱状部
6を別工程にして冷間鍛造を行うという方法も試みられ
てはいるが、操舵装置に使用されるヘリカルピニオンギ
アでは、外周面の凹溝と内周面の十字溝の位相の関係が
厳密に要求されるとともに、これらとヘリカルピニオン
ギア部2との位相の関係をも厳密に要求されているが、
上記のような別工程化することによって工程間で発生す
る位相の誤差を防止することが困難であるため、実質的
にこの別工程化による方法が広く採用されるところまで
は至っておらず、切削加工に頼っているのが現状であ
る。
【0010】本発明は、上記問題に鑑み、ヘリカルピニ
オンギアを製造するに当たり、その柱状部の外周面およ
び内周面の異形形状と、ヘリカルピニオンギア部とを1
回の(つまり、加工途中の素材を取り外すことなく)塑
性成形にて加工できるようにする方法、装置及びこれに
よるヘリカルピニオンギアを提供することを課題とする
ものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下の手段に
より解決される。すなわち、第1番目の発明の解決手段
は、軸に対して傾斜した複数の歯を有し、操向車輪に連
動するヘリカルピニオンギア部と、このヘリカルピニオ
ンギア部の歯先円の径よりも大きい外径を有し、入力軸
側に連結される連結部を持つ柱状部であって、その外周
に軸線方向に1個又は複数の突起又は溝が形成された柱
状部と、を備えたヘリカルピニオンギアにおいて、上記
ヘリカルピニオンギア部と上記突起又は溝とは同時に鍛
造成形されたものである。
【0012】第2番目の発明の解決手段は、軸に対して
傾斜した複数の歯を有し、操向車輪に連動するヘリカル
ピニオンギア部と、このヘリカルピニオンギア部の歯先
円の径よりも大きい外径を有し、入力軸側に連結される
連結部を持つ柱状部であって、その外周に軸線方向に1
個又は複数の溝又は突起が形成された柱状部と、を備え
たヘリカルピニオンギアの製造方法において、上記ヘリ
カルピニオンギア部を成形するための金型と、これとは
別体にて構成された上記柱状部外周面を成形するための
金型であって、上記軸線方向の溝又は突起に対応する凸
条又は溝が内側に向かって設けられた複数の分割金型と
が用いられ、上記ヘリカルピニオンギア部を成形するた
めの金型による上記ヘリカルピニオンギア部の成形と、
径方向に縮んだ上記分割金型による上記軸線方向の溝又
は突起の成形が実質的に同時に行われるものである。
【0013】第3番目の発明の解決手段は、軸に対して
傾斜した複数の歯を有し、操向車輪に連動するヘリカル
ピニオンギア部と、このヘリカルピニオンギア部の歯先
円の径よりも大きい外径を有し、入力軸側に連結される
連結部を持つ柱状部であって、その外周に軸線方向に1
個又は複数の溝又は突起が形成された柱状部と、を備え
たヘリカルピニオンギアのための製造装置であって、こ
の製造装置は、上記ヘリカルピニオンギア部を成形する
ための金型と、これとは別体にて構成された上記柱状部
外周面を成形するための金型であって、上記軸線方向の
溝又は突起に対応する凸条又は溝が内側に向かって設け
られた複数の分割金型と、を備えており、上記ヘリカル
ピニオンギア部を成形するための金型による上記ヘリカ
ルピニオンギア部を成形するための駆動と、径方向に縮
んだ上記分割金型による上記軸線方向の溝又は突起を成
形するための駆動が実質的に同時に行われるものであ
る。
【0014】第4番目の発明の解決手段は、軸に対して
傾斜した複数の歯を有し、操向車輪に連動するヘリカル
ピニオンギア部と、このヘリカルピニオンギア部の歯先
円の径よりも大きい外径を有し、入力軸側に連結される
連結部を持つ柱状部であって、その外周に軸線方向に1
個又は複数の溝又は突起が形成された柱状部と、を備え
たヘリカルピニオンギアのための製造装置であって、こ
の製造装置は、上記ヘリカルピニオンギア部を成形する
ためその内面にこのヘリカルピニオンギア部に対応する
形状を備えた第1の金型と、上記第1の金型の上部にあ
り、これから遠ざかるにつれて径が拡大するテーパ部を
備えた外ホルダーと、上記柱状部外周面を成形するため
に上記軸線方向の溝又は突起に対応する凸条又は溝が内
側に向かって設けられており、その外側には上記テーパ
部に対応するテーパを備えた複数に分割された第2の金
型と、を備えており、上記第1の金型によって素材にヘ
リカルピニオンギア部が成形され、上記テーパ部に案内
されて内方に進んだ上記第2の金型により素材外周に上
記溝又は突起が成形されるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
適な実施の形態について説明する。既に見たように、図
3は、本発明の対象となるステアリング用のヘリカルピ
ニオンギア1の完成形状を示す一部断面図である。この
図において、(a)は(b)のA−A線に沿う部分縦断
面図であり、(b)は(a)の右側面図である。
【0016】ステアリング用のヘリカルピニオンギア1
は、図3(a)に示すように左寄り側にヘリカルピニオ
ンギア部2が設けられ、その反対側には、ヘリカルピニ
オンギア部2の歯先円より大きい外径を有し、入力軸側
に連結される連結部を持つ柱状部6が設けられている。
柱状部6の端部(右側)には、頭部3が略円筒状に構成
されている。この頭部3には図3(b)に示すように内
面には十字型断面の十字溝4が、外周面には4個所の浅
い凹溝5が形成されている。十字溝4と凹溝5との位相
は互いに一定の角度だけずれている。なお、この実施の
形態では、凹溝5は溝として説明してあるが、溝ではな
く突起であってもよく、その場合、以下の説明において
も凹溝を突起と置き換えて考えることができるので、こ
の場合の説明は省略する。
【0017】この十字溝4と凹溝5は柱状部6の頭部3
のみに設けられ、頭部3とヘリカルピニオンギア部2と
の間は中実の段付の円柱で連結されている。既述のよう
にヘリカルピニオンギア部2と十字溝4および凹溝5の
同心度および位相関係は、組立時の性能を保証するため
に、お互い厳密な精度が要求されている。このヘリカル
ピニオンギア1はSCr材あるいはSCM材が用いら
れ、浸炭焼入れが施されて、硬度を高くして使用され
る。
【0018】図2は、図3のヘリカルピニオンギア1を
得る前の段階のヘリカルピニオンギア1A(数字符号に
続く「A」は、他の符号と同様に本発明によって開示す
る鍛造過程を経た後のものを意味する。)を示す部分断
面図であり、(a)は(b)のA−A線に沿う部分縦断
面図、(b)は(a)の右側面図である。図2(a)の
左側にはヘリカルピニオンギア部2Aが設けられ、その
反対側の柱状部6Aの右端にある頭部3Aは略円筒状に
なっている。
【0019】この頭部3Aは、図2(b)に示すよう
に、内面には十字溝4Aが、外周面には4個所の浅い凹
溝5Aが、十字溝4Aの位相とずれた角度で設けられて
おり、図3に示すものと同一になるように鍛造形状を設
定される。頭部3Aとヘリカルピニオンギア部2Aとの
間は中実の段のない円柱で連結されている。ヘリカルピ
ニオンギア1Aの形状は、段部等を切削して最終仕上が
りのヘリカルピニオンギア1へと加工するものであるか
ら、ヘリカルピニオンギア部2Aと十字溝4Aおよび凹
溝5Aの同心度および位相関係は精度よく成形されてい
なくてはならない。
【0020】以下に、このような構成を持つヘリカルピ
ニオンギア1Aの製造工程及び製造装置を説明する。
【0021】図1は、図2に示す鍛造品(ヘリカルピニ
オンギア1A)を作るための素材ブランク7を示す斜視
図であり、素材ブランク7は、このような単純な形状の
円柱から、以下の図4から図10までに示す本発明の製
造方法及び製造装置によって、一回の冷間鍛造により、
図2に示される形状のヘリカルピニオンギア1Aに成形
される。
【0022】なお、素材ブランク7の外径は、完成品よ
り僅かに小さい程度、つまり、完成品の外周の凹溝分を
差し引いた寸法に略設定される。また、凹溝5、5Aで
はなく、突起を柱状部6、6Aにつける場合は、素材ブ
ランク7の外径と完成品の柱状部6、6Aの外径とはほ
ぼ同じ寸法でよい。
【0023】図4は加工前の状態で、素材ブランク7が
金型内に供給された状態を示す製造装置の断面図、図6
は加工完了の状態であって、製造装置から加工完了した
鍛造品(ヘリカルピニオンギア1A)が取り出されてい
ない状態を示す製造装置の断面図、図8は鍛造品の頭部
3A及び柱状部6Aが分割ダイスから開放された状態を
示す製造装置の断面図、図10は鍛造品が型内から取り
出される状態を示す製造装置の断面図、をそれぞれ示し
ている。また、図5、図7、及び図9は、図4、図6及
び図8のそれぞれにおける分割ダイスと素材ブランクの
関係を示すA−A断面図である。
【0024】この製造装置は、上部ユニットUUと下部
ユニットLUから構成される。下部ユニットLUは、下
ホルダー18、下受圧板14、下型10、分割ダイス1
1、外ホルダー12、下取付板16を備えている。下型
10の内面にはヘリカルピニオンギア部2Aに対応する
凹凸の捩じれた歯型部101が彫られており、内面上部
にはテーパ部102が形成されている。このテーパ部1
02の大径は後述の分割ダイス11の内面が収縮したと
きの内径と一致するように設定されている。図示の下型
10は、単一のリング状のものとして表されているが、
強度を補うため2重あるいは3重のリングを焼き嵌めし
たものとすることができる。
【0025】下型10の上方には分割ダイス11が下型
と軸芯を同一に保つ状態で取り付けられている。この分
割ダイス11は外側にテーパ部111と段部112を備
えており、テーパ部111は外ホルダー12のテーパ部
121と合致する角度になっている。
【0026】分割ダイス11の内面は、最も縮径したと
きに、ヘリカルピニオンギア1A(鍛造品)の柱状部6
Aとほぼ等しい径寸法に設定されており、その内面の一
部に、図5に示すように内側に向かってと飛び出した低
い凸条の突起113が軸方向の所定位置部分に設けられ
ている。この突起113は、鍛造後のヘリカルピニオン
ギア1Aの頭部3Aにある凹溝5Aに相当する形状に設
定されている。
【0027】分割ダイス11の段部112には下スプリ
ング13が下型10と分割ダイス11を引き離す方向に
付勢されて配置されており、分割ダイス11は常に上方
への力を受けている。また、図示はしないが、スプリン
グ等により分割ダイス11の各セグメントには広がり勝
手の力を与えられている。
【0028】下受圧板14には、上記歯型部101に連
続する孔が設けられており、この内部にノックアウトピ
ン15が内面に入り込む形で上下動可能に配置されてい
る。
【0029】分割ダイス11の上方は、分割ダイス11
の上昇を阻止する形で下取付板16が配置され、下取付
板16はボルト17により下ホルダー18に下受圧板1
4、下型10、外ホルダー12を締め付ける方向に力を
与えてこれらを固定するようになっている。下ホルダー
18はプレスのベッド(図示せず)に図示しない取付手
段により取り付けられることにより下部ユニットLUが
固定される。
【0030】一方、上方には、昇降自在なプレスのラム
(図示せず)に上部ユニットUUが取り付けられてい
る。上部ユニットUUは、上ホルダー21、上受圧板2
2、上型20、押さえ型23、上取付板24を備えてい
る。上ホルダー21には上受圧板22を介し上型20が
上取付板24とボルト25により固定されている。
【0031】上型20の先端部201は凸条の十字形状
になっており、これは先述の十字溝4Aの形状と合致す
る形状となっている。上型20の先端寄り部には、円柱
状の胴部202があり、その外径は分割ダイス11の縮
径した状態の内径とわずかな隙間をもって嵌まり合う寸
法となっている。胴部202の外側に嵌まり合う状態で
押さえ型23が軸方向に摺動可能に取り付けられてい
る。押さえ型23はスプリング27により下向きに力が
作用するように取り付けられ、ボルト26により軸方向
の動きを制限されている。スプリング27のばねの強さ
は下スプリング13の強さより強く設定されている。
【0032】上型20は下型10および分割ダイス11
と軸芯を一致させてセットされ、同時に、上型20と下
型10及び分割ダイス11の3つの位相は厳密に指定さ
れた位相関係を保つよう取り付けられている(図示せ
ず)。
【0033】このように設定された金型により、素材ブ
ランク7が鍛造される。まず、上部ユニットUUが上昇
する(図4は上昇した状態)と、上型20は上昇し、分
割ダイス11が下スプリング13の作用により上方に持
ち上げられると分割ダイス11は外ホルダー12のテー
パ部121に沿って径方向に広がる。
【0034】この広がった空間に素材ブランク7が図4
にハッチングで示したような状態で投入される。素材ブ
ランク7は分割ダイス11が閉じた状態の寸法より小さ
目にその外径を設定してあるから、充分余裕を持って分
割ダイス11の中に収納できる。このとき、素材ブラン
ク7の下端は下型10の上端のテーパ部102の大径よ
りやや小さい径になっているので、テーパ大径側近辺に
接触して安定する。
【0035】素材ブランク7が投入されたら、プレスを
起動することにより、ラムが下降し、上部ユニットごと
上型20が下降する。これに伴い、押さえ型23も下降
して、押さえ型23の下端面231が分割ダイス11の
上端面114に接触し、下スプリング13を押し下げて
(下スプリング13よりスプリング27の方が強いた
め)、分割ダイス11は下方に押し下げられる。
【0036】分割ダイス11が下方に動くと外ホルダー
12のテーパ部121に沿って分割ダイス11は縮径
し、下型10の上端面103にぶつかって停止する。こ
の時分割ダイス11の縮径は完了しており、これ以上の
ラムの動きに対しては、スプリング27が縮むことによ
り吸収する。
【0037】分割ダイス11の縮径が完了したのち、プ
レスは更に下降し上型20が素材ブランク7の端面を押
して下型10に押し込んでゆき、下型10のテーパ部1
02及び歯型部101の形状が素材ブランクに転写、成
形される。
【0038】一方、分割ダイス11の近辺の材料は据え
込まれて外側に張り出し、突起113に素材ブランク7
の外径がぶつかり転写されて凹溝5Aの形状が成形され
る。同時に上型20の先端部201が素材ブランク7の
端面から突入し、この形状が転写されて頭部内面の十字
溝4Aが成形される。なお、以上では、ヘリカルピニオ
ンギア部2Aと頭部3Aの十字溝4A並びに凹溝5Aの
成形が明確な順序に従って行われるかのごとく説明され
ているが、これは単に説明を理解しやすくするためであ
って、これらの成形に明確な順序があるわけではなく、
実質的に同時、つまりプレスのワンストロークでこれら
の加工が終了する点に意味がある。そして、この説明と
異なる順序で成形が行われるとしても本発明の本質に関
わるものではない。すなわち、ヘリカルピニオンギア部
2Aと頭部3Aの十字溝4A並びに凹溝5Aは実質的に
同時に成形される。同時成形によってこれらの相互の位
相は金型の位相が正確に反映されるため、位相誤差の少
ない鍛造品のヘリカルピニオンギア1Aを得ることがで
きる。
【0039】また、上型20の胴部202と分割ダイス
11の内径とは加工中に嵌め合い状態を保つように設定
されているため、鍛造品(ヘリカルピニオンギア1A)
の頭部3Aに成形された十字溝4Aと凹溝5Aの同心度
は良好なものが得られる。
【0040】また、ヘリカルピニオンギア部2Aと凹溝
5Aの同心度は下型10と分割ダイス11の同心度によ
り決まり、型の製作やセット状態が正確であれば、同心
誤差の少ない鍛造品(ヘリカルピニオンギア1A)を得
ることができる。
【0041】鍛造が完了するとラムは上昇し、それに伴
って上型20が上昇し、上型20の上昇に遅れて押さえ
型23が上昇する。押さえ型23が上昇し、分割ダイス
11の押さえが無くなると、下スプリング13の作用に
より、分割ダイス11が上昇し、外ホルダー12のテー
パ部121に沿って分割ダイス11は径方向に広がる。
これにより、鍛造が完了したヘリカルピニオンギア1A
と分割ダイス11の接触がなくなり両者は完全に離れ
る。この状態を図8に示す。
【0042】なお、ヘリカルピニオンギア1Aと分割ダ
イス11および外ホルダー12が密着し互いに突っ張っ
て固着するような場合には、下スプリングの力だけでは
弱いので、次述のノックアウトピンの作用を利用して、
分割ダイス11を持ち上げるようにする。ノックアウト
ピン15を作用させると鍛造(ヘリカルピニオンギア1
A)は持ち上げられる。この時分割ダイス11もヘリカ
ルピニオンギア1Aと一緒に持ち上げられるため、分割
ダイス11がわずかに持ち上げられれば外ホルダー12
のテーパ部から分割ダイス11が開放され固着がなくな
るので、下スプリング13の力のみで分割ダイス11を
持ち上げることが可能になる。
【0043】さらに図10に示すようにノックアウトピ
ン15が更に上昇し、ヘリカルピニオンギア1Aの下端
を押し出すことにより、ヘリカルピニオンギア1Aは、
ヘリカルピニオンギア部2Aのリード角に合わせて、回
転しながら下型10から抜け出る。
【0044】ヘリカルピニオンギア部2Aが完全に抜け
出て、図10においてヘリカルピニオンギア1Aが下側
にある状態になると、ヘリカルピニオンギア1Aはフリ
ーになるため手または冶具により上方に動かして、図1
0でヘリカルピニオンギア1Aが上側にある状態で示す
ように型内から取り出すことができる。
【0045】その後工程で鍛造品(ヘリカルピニオンギ
ア1A)は機械加工を施されて図3の形状になり、さら
に熱処理、研削を施して図3に示すような製品すなわ
ち、ヘリカルピニオンギア1になり、パワーステアリン
グユニットに組み込まれる。
【0046】この実施例では、ヘリカルピニオンギア1
Aの頭部の凹溝及び十字溝は、これに代えてスプライン
やセレーションなどの形状とすることも可能であり、ま
た、金型の分割についても分割ダイスの下方の部分を下
型と一体にし、上部(つまり、突起113がある部分)
のみ拡径させる構造とすることも可能である。
【0047】
【発明の効果】以上に述べたとおりであるから、本発明
によれば、柱状部外周に凹溝又は突起を持つヘリカルピ
ニオンギアを1回の、つまり、加工途中の素材を取り外
すことなく成形することができるので、ヘリカルピニオ
ンギア部と柱状部外周の凹溝又は突起との位相を高精度
に成形することができ、また、これにより工程を減らす
ことができるので、ヘリカルピニオンギア製造のコスト
をより低下させることが可能になるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2に示す鍛造品(ヘリカルピニオンギア1
A)を作るための素材ブランク7を示す斜視図である。
【図2】図3のヘリカルピニオンギア1を得る前の段階
のヘリカルピニオンギア1Aを示す部分断面図である。
【図3】操舵装置に使用されるヘリカルピニオンギアの
完成品の一例を示す一部断面図である。
【図4】加工前の状態で、素材ブランク7が金型内に供
給された状態を示す製造装置の断面図である。
【図5】図4における分割ダイスと素材ブランクの関係
を示すA−A断面図である。
【図6】加工完了の状態であって、製造装置から加工完
了した鍛造品(ヘリカルピニオンギア1A)が取り出さ
れていない状態を示す製造装置の断面図である。
【図7】図6における分割ダイスと素材ブランクの関係
を示すA−A断面図である。
【図8】鍛造品(ヘリカルピニオンギア1A)の頭部3
A及び柱状部6Aが分割ダイスから開放された状態を示
す製造装置の断面図である。
【図9】図8における分割ダイスと素材ブランクの関係
を示すA−A断面図である。
【図10】鍛造品(ヘリカルピニオンギア1A)が型内
から取り出される状態を示す製造装置の断面図である。
【符号の説明】
1 ステアリング用ヘリカルピニオンギア 1A ヘリカルピニオンギア(鍛造直後) 2、2A ヘリカルピニオンギア部 3、3A 頭部 4、4A 十字溝 5、5A 凹溝 6、6A 柱状部 7 素材ブランク 10 下型 11 分割ダイス 12 外ホルダー 13 下スプリング 14 下受圧板 15 ノックアウトピン 16 下取付板 17、25、26 ボルト 18 下ホルダー 20 上型 21 上ホルダー 22 上受圧板 23 押さえ型 24 上取付板 27 スプリング 101 歯型部 102、111、121 テーパ部 103、114 上端面 112 段部 113 突起 201 先端部 202 胴部 231 下端面 LU 下部ユニット UU 上部ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 直樹 群馬県前橋市総社町一丁目8番1号 日本 精工株式会社内 Fターム(参考) 4E087 AA08 AA10 CA14 CA22 CB03 EC13 EC18 EC41 EE02 HA04

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸に対して傾斜した複数の歯を有し、操
    向車輪に連動するヘリカルピニオンギア部と、 このヘリカルピニオンギア部の歯先円の径よりも大きい
    外径を有し、入力軸側に連結される連結部を持つ柱状部
    であって、その外周に軸線方向に1個又は複数の突起又
    は溝が形成された柱状部と、を備えたヘリカルピニオン
    ギアにおいて、 上記ヘリカルピニオンギア部と上記突起又は溝とは同時
    に鍛造成形されたものであることを特徴とするヘリカル
    ピニオンギア。
  2. 【請求項2】 軸に対して傾斜した複数の歯を有し、操
    向車輪に連動するヘリカルピニオンギア部と、このヘリ
    カルピニオンギア部の歯先円の径よりも大きい外径を有
    し、入力軸側に連結される連結部を持つ柱状部であっ
    て、その外周に軸線方向に1個又は複数の溝又は突起が
    形成された柱状部と、を備えたヘリカルピニオンギアの
    製造方法において、 上記ヘリカルピニオンギア部を成形するための金型と、
    これとは別体にて構成された上記柱状部外周面を成形す
    るための金型であって、上記軸線方向の溝又は突起に対
    応する凸条又は溝が内側に向かって設けられた複数の分
    割金型とが用いられ、上記ヘリカルピニオンギア部を成
    形するための金型による上記ヘリカルピニオンギア部の
    成形と、径方向に縮んだ上記分割金型とによる上記軸線
    方向の溝又は突起の成形とが実質的に同時に行われるこ
    とを特徴とするヘリカルピニオンギアの製造方法。
  3. 【請求項3】 軸に対して傾斜した複数の歯を有し、操
    向車輪に連動するヘリカルピニオンギア部と、このヘリ
    カルピニオンギア部の歯先円の径よりも大きい外径を有
    し、入力軸側に連結される連結部を持つ柱状部であっ
    て、その外周に軸線方向に1個又は複数の溝又は突起が
    形成された柱状部と、を備えたヘリカルピニオンギアの
    ための製造装置であって、この製造装置は、 上記ヘリカルピニオンギア部を成形するための金型と、 これとは別体にて構成された上記柱状部外周面を成形す
    るための金型であって、上記軸線方向の溝又は突起に対
    応する凸条又は溝が内側に向かって設けられた複数の分
    割金型とを備えており、 上記ヘリカルピニオンギア部を成形するための金型によ
    る上記ヘリカルピニオンギア部を成形するための駆動
    と、径方向に縮んだ上記分割金型による上記軸線方向の
    溝又は突起を成形するための駆動が実質的に同時に行わ
    れることを特徴とするヘリカルピニオンギアのための製
    造装置。
  4. 【請求項4】 軸に対して傾斜した複数の歯を有し、操
    向車輪に連動するヘリカルピニオンギア部と、このヘリ
    カルピニオンギア部の歯先円の径よりも大きい外径を有
    し、入力軸側に連結される連結部を持つ柱状部であっ
    て、その外周に軸線方向に1個又は複数の溝又は突起が
    形成された柱状部と、を備えたヘリカルピニオンギアの
    ための製造装置であって、この製造装置は、 上記ヘリカルピニオンギア部を成形するためその内面に
    このヘリカルピニオンギア部に対応する形状を備えた第
    1の金型と、 上記第1の金型の上部にあり、これから遠ざかるにつれ
    て径が拡大するテーパ部を備えた外ホルダーと、 上記柱状部外周面を成形するために上記軸線方向の溝又
    は突起に対応する凸条又は溝が内側に向かって設けられ
    ており、その外側には上記テーパ部に対応するテーパを
    備えた複数に分割された第2の金型と、を備えており、 上記第1の金型によって素材にヘリカルピニオンギア部
    が成形され、上記テーパ部に案内されて内方に進んだ上
    記第2の金型のそれぞれにより素材外周に上記溝又は突
    起が成形されることを特徴とするヘリカルピニオンギア
    のための製造装置。
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