JP2006191831A - 培養装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 培養室内の滅菌を容易に実施可能な培養装置の提供を目的とする。
【解決手段】 培養装置1は、耐圧容器によって構成される外筒10と内筒11との間にジャケット室12が形成され、内筒11の内部に培養室13が形成されたものである。培養装置1は、連通管20の中途に設けられた遮断弁21を開くことにより、ジャケット室12と培養室13とを連通させることができる。培養装置1は、遮断弁21を閉じた状態でヒーター24を作動させ、ジャケット室12に導入された熱媒体を加熱することにより培養室13内を加熱し、培養運転を行うことができる。また、培養装置1は、遮断弁21を開いた状態でヒーター24を作動させることにより、ジャケット室12内に貯留された熱媒体を気化させて培養室13に導入し、培養室13や培養室13内に配されたラック30等を蒸気滅菌することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は培養装置に関するものであり、特に培養室内を蒸気滅菌できる培養装置に関する。
従来より、下記特許文献1や特許文献2に開示されているような培養装置が細胞培養や組織培養の試験や研究等のために使用されている。従来技術の培養試験装置等は、培地や培養液と試料をシャーレやフラスコ等の試験容器に入れたものを収容する培養室を有し、当該培養室内の温度や雰囲気ガス濃度等の条件を培養に適した条件に調整可能な構成とされている。
従来技術の培養装置の多くは、培養室内を清浄に維持するために培養室内に配されたラック等の収容物を取り出して殺菌や滅菌可能な構成にすると共に、培養室の内壁面をアルコール等の薬剤を用いるなどして洗浄可能な構成とされている。
特開2002−361101号公報 特開2003−325160号公報
上記したように、従来技術の培養装置において培養室内を清浄に維持するためには、ラック等のような培養室内に配された器具や機器類を取り出したり、培養室内をアルコール等で洗浄するといったような作業を行う必要があった。そのため、従来技術の培養装置では、培養室内を清浄に維持するのに手間や時間がかかってしまうという問題があった。
また、近年の再生医療等の技術進歩に伴い、培養室内の清浄度をさらに高レベルに維持したいという要望がある。かかる要望を満足するためには、培養室内に蒸気を導入して蒸気滅菌することが望ましい。しかし、培養室内を蒸気滅菌するには、大型の滅菌装置や培養室内の圧力制御手段を別途用意したり、培養室に対して滅菌装置を接続せねばならず、装置構成が複雑になったり、一連の作業が煩雑にならざるを得ないという問題があった。
培養室に対して別途滅菌装置を接続して滅菌する場合は、蒸気を培養室内に導入するための蒸気導入制御を別途行わねばならない。そのため、従来技術の培養装置は、蒸気滅菌を行おうとすると手間が大幅に増幅してしまい、滅菌に要する時間も長くならざるを得ないという問題があった。
かかる知見に基づき、本発明は、培養室内の滅菌を容易に実施可能な培養装置の提供を目的とする。
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、外装容器と、当該外装容器内に配された内装容器と、当該内装容器内に形成され、試料を収容可能な培養室と、前記外装容器と内装容器との間に形成され、熱媒体を貯留可能なジャケット室と、前記培養室内に雰囲気ガスを供給可能なガス供給手段と、前記ジャケット室内に配され、当該ジャケット室内に貯留された熱媒体を加熱可能な加熱手段と、前記培養室とジャケット室とを連通する連通手段と、当該連通手段の中途に設けられ、前記培養室とジャケット室とを遮断可能な遮断手段とを有し、前記培養室とジャケット室とを遮断した状態において前記ジャケット室内に貯留された熱媒体を加熱することにより培養室内を加熱する培養運転と、前記培養室とジャケット室とを連通させた状態において前記ジャケット室内に貯留された熱媒体を気化させ、連通手段を介して気化した熱媒体を培養室内に導入する滅菌運転とを行えることを特徴とする培養装置である。
本発明の培養装置は、ジャケット室内において熱媒体を加熱して気化させると共に、培養室とジャケット室とを連通させることにより熱媒体を培養室内に導入し、培養室や培養室内に配された器具類の滅菌を行うことができる。そのため、本発明の培養装置は、従来技術の培養装置のように別途蒸気発生装置や蒸気を導入、排出するための装置類の着脱や、これらの装置類の動作制御を行ったり、培養室内の圧力制御を行うといったような煩雑な作業を伴うことなく滅菌作業を容易に行える。
また、本発明の培養装置は、培養室を構成する内装容器と外装容器との間に形成されたジャケット室において熱媒体を気化させた蒸気を連通手段を介して培養室に導入するものである。そのため、本発明の培養装置では、蒸気の発生源であるジャケット室と培養室との経路を最小限に抑制でき、ジャケット室で発生した蒸気を高温状態を維持したまま培養室内に導入することができる。
さらに、本発明の培養装置は、培養室に隣接するジャケット室において熱媒体を加熱して蒸気を発生させるものであるため、蒸気を発生させるべく熱媒体を加熱すると内装部材や培養室がある程度高温になる。そのため、本発明の培養装置は、滅菌運転を行うためにジャケット室から導入された蒸気が高温状態を維持したまま培養室内の各所に行き渡る。従って、本発明の培養装置は、培養室や培養室内に配された器具類等をムラ無く滅菌することができる。
本発明の培養装置は、従来技術の培養装置において蒸気滅菌を行う場合のように別途蒸気発生装置をはじめとする機器類を接続する必要がないため、培養室を閉じたまま滅菌運転を完了することが可能である。すなわち、本発明の培養装置は、滅菌運転を培養装置内の閉空間内で実施することができる。従って、本発明の培養装置では、滅菌作業に伴うコンタミネーションが起こりにくい。
また、上記請求項1に記載の培養装置は、外装容器が耐圧容器であることが望ましい(請求項2)。
かかる構成によれば、ジャケット室内において高温高圧の蒸気を発生させ、この蒸気を培養室内に導入して培養室や培養室内に配された機器類を滅菌することができる。
また、本発明の培養装置は、連通手段を介してジャケット室と培養室とを連通させることにより、ジャケット室と培養室とを同圧に調整することができる。そのため、本発明の培養装置のように外装容器を耐圧容器とすれば、内装容器を耐圧構造としなくても高温高圧の蒸気を発生させることができる。
上記したように、本発明の培養装置は、内装容器を耐圧構造とする必要がなく、内装容器をシンプルな構成とすることができる。そのため、本発明の培養装置は、培養運転や滅菌運転時に内装容器の構造や構成に基づく培養室内の温度ムラ等が発生しにくい。
請求項3に記載の発明は、滅菌運転の完了後に、培養室内に残存している気体よりも湿度の低い乾燥気体を導入する乾燥運転を実施可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の培養装置である。
かかる構成によれば、滅菌運転後に培養室や培養室内に配された機器類を乾燥させることができ、培養室内における結露の発生やコンタミネーションの発生の可能性を最小限に抑制できる。
ここで、培養装置は、通常培養室内に培地や培養液と試料を収容した容器を置くためのラック等の器具や機器類が収容されている。そのため、これらの器具や機器を収容したままで滅菌運転を行うと、器具や機器類の表面に残存した蒸気が冷却され、結露を起こす可能性がある。
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項4に記載の発明は、培養室内に器具及び/又は機器が配されており、当該器具及び/又は機器に向けて乾燥気体を吹き込む乾燥気体導入手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の培養装置である。
かかる構成によれば、滅菌運転後に培養室内に配された器具や機器類の表面が結露するのを確実に防止できる。
また同様の知見に基づいて提供される請求項5に記載の発明は、培養室内に器具及び/又は機器が配されており、当該器具及び/又は機器が培養室に対して回転可能なものであり、前記器具及び/又は機器が、培養室内に乾燥気体を吹き込む乾燥気体導入手段に対向する位置に配されており、乾燥運転中に前記器具及び/又は機器が回転することを特徴とする請求項3に記載の培養装置である。
かかる構成によれば、培養室内に配された器具や機器類に対して乾燥気体をムラ無く吹き付けて乾燥させることができ、滅菌運転後の結露やコンタミネーションの発生を確実に防止することができる。
ここで、上記した培養装置では、滅菌運転を行うと内装容器や培養室内が高温になるため、内装容器や培養室を自然冷却により冷却する構成とすると、培養室の室温が次の培養運転を行える温度になるまでに相当の時間を要する可能性が高い。
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項6に記載の発明は、滅菌運転の完了後に、ジャケット室内に熱媒体を供給して内装容器を冷却し、培養室内の温度を所定の培養温度に調整する温調運転を実施可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の培養装置である。
かかる構成によれば、培養室や内装容器を培養運転を実施可能な温度まで素早く冷却することができ、滅菌運転が完了してから次の培養運転までに要する時間を最小限に抑制することができる。
請求項7に記載の発明は、外装容器および内装容器が円筒形であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の培養装置である。
かかる構成によれば、培養運転時や滅菌運転時に内装容器や培養室をムラ無く加熱することができる。また、上記した構成によれば、外装容器や内装容器の耐圧特性が高い培養装置を提供できる。
本発明によれば、培養室内の滅菌を容易かつ確実に実施可能な培養装置を提供できる。
続いて、本発明の一実施形態である培養装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において上下左右の位置関係は、図1に示す姿勢を基準として説明する。
図1において、1は本実施形態の培養装置である。培養装置1は、図1に示すように外筒10(外装容器)と、外筒10の内側に配された内筒11(内装容器)とによって構成された2重構造の本体部を有する。
外筒10は、いわゆる耐圧容器によって構成されており、内圧が121℃の温度条件下でゲージ圧で0.2MP程度まで上昇し、115℃の温度条件下で0.17MP程度まで上昇しても十分な耐圧特性を示す構造とされている。内筒11は、外筒10と軸心位置が略一致しており、内筒11の全周にわたって外筒10の内周面との間隔が略均一となっている。外筒10と内筒11との間に形成される空間は、ジャケット室12として機能し、内筒11の内部空間は培養室13として機能する。
外筒10の底部側には、ジャケット室12と連通した出入管15が接続されている。出入管15は、ジャケット室12に対して熱媒体(本実施形態では水)を出し入れするための熱媒体出入手段としての機能と、乾燥した気体を導入するための乾燥気体導入手段としての機能も発揮するものであり、中途に出入弁16が設けられている。また、外筒10と出入管15との接続部と、出入弁16との中間位置には、清浄で乾燥した窒素ガスや空気等のガス(図示せず)の供給源に接続されたガス導入管17(乾燥気体導入手段)が接続されている。ガス導入管17の中途には、ガス導入弁18が設けられている。
図1に示すように培養装置1を設置した状態において、外筒10の上下方向中間部分であってラック30に対向する位置には、連通管20(連通手段)が接続されている。連通管20は、ジャケット室12と内筒11内に形成された培養室13とを連通する配管であり、中途に遮断弁21(遮断手段)が設けられている。培養装置1は、遮断弁21を開くことによりジャケット室12内に存在する蒸気やガスを培養室13内に導入することができる。
ジャケット室12は、外筒10の内周面と内筒11の外周面とによって囲まれた空間であり、内筒11の外周を全周にわたって略均等に包囲している。ジャケット室12は、外筒10の底部(図1において下方側)に接続された出入管15を介して熱媒体や窒素ガス等のガスを導入可能な構成とされている。
ジャケット室12内には、ヒーター24(加熱手段)が設置されている。ヒーター24は、主としてジャケット室12内に存在している熱媒体を加熱するために使用されるものである。培養装置1は、ジャケット室12内に存在する熱媒体を加熱することにより内筒11およびこの内部に形成された培養室13を加熱したり、ジャケット室12内に蒸気を発生させることができる。
ジャケット室12の底部側および頂部側には、底部側液位センサ22および頂部側液位センサ23が設けられている。底部側液位センサ22および頂部側液位センサ23は、それぞれジャケット室12内における熱媒体の有無を検知するものである。また、ジャケット室12の頂部側には、ジャケット温度センサ25が設けられている。底部側液位センサ22、頂部側液位センサ23およびジャケット温度センサ25は、それぞれ後述する制御手段55に対して電気的に接続されている。
培養室13は、内筒11によって囲まれており、培地や培養液と試料Sが入ったシャーレやフラスコ等の容器Hを収容可能な空間である。培養室13内には、試料Sの入った容器Hを置くためのラック(試料設置手段)30が設置されている。ラック30は、図1に示すように正面視が略八角形の金属製の棚である。ラック30は、外筒10の頂部側から差し込まれたモータ31の回転軸32に接続され、内筒11の頂部側から吊り下げられている。ラック30は、モータ31を起動することにより回転軸32を中心にして培養室13内で回転可能な構成となっている。
培養室13には、上記したジャケット室12に接続された連通管20の一端側が接続されている。そのため、培養室13は、連通管20の中途に設けられた遮断弁21を開くと、ジャケット室12と連通する。連通管20は、培養室13に対して上下方向略中央部近傍であって、培養室13内に配されたラック30の側方に対向した位置に接続されている。
培養室13には、外筒10の外側から所定の雰囲気ガス(本実施形態では二酸化炭素)を導入するための雰囲気ガス導入管33(ガス導入手段)が接続されている。雰囲気ガス導入管33の中途には、雰囲気ガス導入弁35が設けられている。また、培養室13には、内部の雰囲気温度を検知するための培養温度センサ36と、培養室13内の雰囲気ガス濃度を検知するためのガス濃度検知手段37とが設けられている。ガス濃度検知手段37は、培養室13内のガスを外部に設けられたガスセンサ38に向けて排出するためのガス排出管40と、ガスセンサ38に供給されたガスを培養室13に戻すガス戻し管41とを有する。ガス排出管40の中途には、除湿手段43が設けられており、ガス戻し管41の中途には循環ポンプ45が設けられている。
培養室13の底部側には、加湿手段50が設けられている。本実施形態において、加湿手段50は、加湿媒体である水を溜めておくことができ、培養室13内に配された試料Sが乾燥しない程度の湿度(95%程度)に維持するために設けられている。培養室13の底部側には、排出管51が接続されている。排出管51は、加湿手段50に溜まった加湿媒体(水)や、培養室13内に存在する蒸気、ガス等を培養装置1の外部に排出するためのものであり、中途に排出弁52が設けられている。
培養装置1は、制御手段55を具備している。制御手段55は、底部側液位センサ22、頂部側液位センサ23やジャケット温度センサ25、培養温度センサ36、ガスセンサ38等のセンサ類と電気的に接続されている。制御手段55は、前記したセンサ類から受信した検知信号に基づき、ジャケット室12に設置されたヒーター24やモータ31、循環ポンプ45等の機器類の動作や、出入弁16、ガス導入弁18、遮断弁21、雰囲気ガス導入弁35、排出弁52等の弁の開閉を制御する。
続いて、本実施形態の培養装置1の動作について図面を参照しながら詳細に説明する。培養装置1は、制御手段55により各部の動作を制御することにより、培養室13の内部雰囲気を培養室13内に収容されている試料Sの培養に適した条件に維持する培養運転を行うと共に、培養室13等を蒸気滅菌する滅菌運転や、滅菌運転後に培養室13内を乾燥させる乾燥運転、培養室13内の温度を滅菌運転前の状態に戻す温調運転を行うことができる。
さらに具体的に説明すると、培養装置1が培養運転を行う場合は、出入弁16を開いた状態にすると共に、ガス導入弁18や遮断弁21を閉じた状態にして、外部に設けられた熱媒体の供給源からジャケット室12内に熱媒体を導入し、図2にハッチングで示すようにジャケット室12を熱媒体で満たす。制御手段55は、頂部側液位センサ23の検知信号に基づいてジャケット室12内が熱媒体で満たされたものと判断すると、出入弁16を閉止する。制御手段55は、ヒーター24を起動し、ジャケット室12内に導入された熱媒体を加熱する。
上記したように、内筒11およびこの内部に形成された培養室13は、ジャケット室12およびこの内部に満たされた熱媒体によって包囲されている。そのため、ヒーター24によってジャケット室12内の熱媒体が加熱されると、内筒11および培養室13が全周にわたって略均等に加熱され、培養室13の雰囲気温度がムラ無く上昇していく。
制御手段55は、培養室13内のラック30近傍に設置された培養温度センサ36の検知温度が試料Sの培養に適した温度(以下、必要に応じて培養設定温度と称す)になるようにヒーター24の出力やヒーター24への通電量を制御する。
また、制御手段55は、培養運転中に断続的あるいは連続的にガス濃度検知手段37を作動させて培養室13内の二酸化炭素(雰囲気ガス)の濃度を監視している。制御手段55は、培養室13内の二酸化炭素濃度に基づいて雰囲気ガス導入弁35の開度調整を行い、培養室13内の二酸化炭素濃度を調整する。
培養装置1が滅菌運転を行う場合、制御手段55は、出入弁16を開いてジャケット室12に溜められている熱媒体の大部分を排出する。制御手段55は、培養装置1の底部側に設けられた底部側液位センサ22の検知信号に基づき、図3にハッチングで示すように、ジャケット室12内の熱媒体の液位が底部側近傍まで到達したことを確認すると、出入弁16を閉じ、熱媒体の排出を停止する。すなわち、制御手段55は、ジャケット室12内の熱媒体の液位を調整することにより、ジャケット室12内に熱媒体が蒸発可能な空間を形成する。
その後、制御手段55は、ヒーター24を動作させてジャケット室12内に残存している熱媒体を加熱して蒸発させると共に、遮断弁21を開き、ジャケット室12と培養室13とを連通させる。これにより、ヒーター24によって加熱され、蒸気になった熱媒体は、ジャケット室12に充満すると共に、連結管20を介して培養室13内に吹き込まれ、培養室13や培養室13内に配されたラック30等が滅菌される。
上記したようにして培養室13やラック30等の滅菌が完了すると、制御手段55は、乾燥運転を行う。さらに具体的には、培養装置1が乾燥運転を行う場合、制御手段55は、出入弁16と排出弁52とを開き、ジャケット室12や培養室13内に残存している熱媒体を排出する。熱媒体の排出が完了すると、制御手段55は、出入弁16を閉じると共にガス導入弁18を開き、ガス導入管17を介して窒素ガスや清浄で乾燥した空気等のガス(乾燥ガス)をジャケット室12内に導入する。
制御手段55は、ヒーター24を起動してガス導入管17を介して導入された乾燥ガスを加熱する。これにより、加熱された乾燥ガスが、ジャケット室12および連結管20を介して培養室13内に導入され、培養室13内の乾燥が促進される。
また、制御手段55は、モーター31を起動し、培養室13内に配されたラック30を回転させる。これにより、培養室13内に導入された乾燥ガスによって滅菌運転時にラック30に付着した熱媒体が吹き飛ばされやすくなり、ラック30をスムーズに乾燥させることができる。
培養装置1は、乾燥運転が完了すると、温調運転に移行する。すなわち、上記したように、滅菌運転や乾燥運転では、高温の熱媒体や乾燥ガスが培養室13内に導入されるため、培養室13の雰囲気温度が、試料の培養に適した培養温度よりも大幅に高温になっている可能性が高い。そのため、培養装置1は、乾燥運転が完了した後、自然冷却により冷却すると培養室13の内部雰囲気温度が培養温度に下がるまでに相当の時間がかかるおそれがある。
そこで、本実施形態の培養装置1では、乾燥運転が完了すると、ガス導入弁18および遮断弁21を閉じると共に、出入弁16を開いて外部の熱媒体供給源からジャケット室12に低温の熱媒体を導入し、内筒11およびこの内部に形成された培養室13の冷却を促進する。培養室13の内部雰囲気温度が培養温度まで下がると、培養装置1は、培養運転が可能な状態になる。
上記したように、本実施形態の培養装置1は、ジャケット室12に熱媒体をある程度溜めた状態でヒーター24を作動させ、遮断弁21を開くだけで培養室13や、ラック30等のような培養室13内に配された器具や機器類を滅菌することができる。従って、培養装置1は、滅菌作業に要する手間が少なく、容易かつ迅速に培養室13やラック30等を滅菌することができる。また、培養装置1は、内部の温度制御を行うだけで滅菌運転時の圧力制御を行え、別途圧力制御を行う必要がない。
また、培養装置1は、従来技術の培養装置において蒸気滅菌を行う場合のように、滅菌運転後に蒸気発生装置等の機器類や配管等を取り外すといったような作業を行う必要がなく、滅菌運転後、培養室13に試料Sを入れるまで培養室13を培養装置1の外部から遮断した状態に維持しておくことができる。すなわち、培養装置1は、滅菌運転を培養装置1内の閉空間内で実施することができる。そのため、培養装置1は、滅菌運転を完了してから培養室13に試料Sをセットするまでの間、培養室13やラック30等を清浄な状態に維持しておくことができる。従って、培養装置1は、滅菌運転の完了から次回の培養運転までの間にコンタミネーションが起こる可能性が極めて低い。
また、培養装置1は、滅菌運転時に、ジャケット室12内に配されたヒーター24を作動させると、熱媒体が加熱されて気化すると共に、内筒11やこの内部に形成された培養室13が加熱される。さらに、培養装置1は、ジャケット室12において発生した蒸気を隣接する培養室13に導入するものであるため、連通管20によって構成される蒸気流路の長さを最小限に抑制でき、連通管20を通過することによる蒸気の冷却が殆ど起こらない。そのため、培養装置1は、培養室13内に導入された蒸気が高温のまま隅々まで行き渡り、培養室13やラック30等の機器や機具類をムラ無く滅菌することができる。
培養装置1は、滅菌運転時に遮断弁21を開き、ジャケット室12と培養室13とを連通させた状態で蒸気を発生させるものであり、ジャケット室12と培養室13とが同圧になるため、内筒11を肉厚にしたり補強するといったような耐圧構造とする必要がない。そのため、培養装置1は、内筒11の伝熱がよく、培養室13への伝熱ムラも起こりにくい。
上記したように、本実施形態の培養装置1は、滅菌運転後にジャケット室12内にガス導入管17を介して窒素ガスや清浄で乾燥した空気等の乾燥ガスを導入する乾燥運転を行うことにより、培養室13やラック30を乾燥させることができる。そのため、培養装置1は、滅菌運転後に培養室13やラック30等が結露したり、コンタミネーションを起こす可能性が極めて低い。
培養装置1は、乾燥運転を行うと培養室13内に連通管20を介して乾燥ガスが吹き込まれ、ラック30が乾燥ガスに晒される。さらに、培養装置1は、乾燥運転時にラック30が回転するため、ラック30全体が殆どムラ無く乾燥ガスに晒される。従って、培養装置1は、ラック30がムラ無く乾燥され、結露やコンタミネーションが起こりにくい。
なお、上記実施形態では、連通管20をラック30に対向する位置に配し、乾燥ガスをラック30に向けて吹き付けることが可能な構成を例示したが、連通管20をラック30から離れた位置に配し、乾燥ガスをラック30に直接吹き付けない構成としたり、連通管20を分岐して培養室13内の他の部位や他の器具類に乾燥ガスを吹き付け可能な構成としてもよい。また、上記実施形態では、連通管20を介して培養室13に乾燥ガスを導入する構成を例示したが、乾燥ガス導入用に別の配管を設けた構成としてもよい。すなわち、培養装置1は、連通管20をジャケット室12において発生した蒸気を培養室13内に導入するための連通手段としての機能と、乾燥ガスを導入するための乾燥気体導入手段としての機能とを兼ね備えたものであったが、乾燥気体導入手段として別途の配管を設けた構成であってもよい。
上記実施形態では、ラック30を回転可能な構成にした例を例示したが、例えばラック30を回転不可能な構成としたり、培養室13内に配された他の機器や器具も回転可能な構成としてもよい。
上記したように、培養装置1は、乾燥運転が完了した後にジャケット室12に低温の熱媒体を導入して内筒11や培養室13の冷却を促進する温調運転を行う。そのため、培養装置1は、滅菌運転後内筒11や培養室13が培養運転に適した温度になるまでに要する時間が短い。
なお、上記実施形態の培養装置1は、滅菌運転後に内筒11や培養室13の温度にかかわらず温調運転を行う構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば滅菌運転後に内筒11や培養室13の温度を検知し、この検知温度が所定温度よりも高いことを条件として温調運転を行う構成としてもよい。
培養装置1は、外筒10や内筒11が共に円筒形であり、同心位置に配置されている。そのため、培養装置1は、ジャケット室12から培養室13への伝熱がムラ無く行われると共に、外筒10や内筒11の耐圧強度が高い。
上記実施形態では、培養装置1の底部側にのみヒーター24を配した構成を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば内筒11を取り囲むようにヒーター24を配した構成としてもよい。かかる構成によれば、ジャケット室12に導入された熱媒体や内筒11、培養室13をより一層ムラ無く加熱できる。
上記実施形態では、ジャケット室12に導入される熱媒体として水を採用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の液体を熱媒体として貯留した構成としてもよい。また、上記実施形態では、培養運転中にジャケット室12に熱媒体を介して内筒11および培養室13を加熱する構成を例示したが、ヒーター24を作動させることにより内筒11を直接加熱する構成としたり、ヒーター24によってジャケット室12に存在する空気等を加熱して内筒11を間接的に加熱する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、培養運転を行う場合と滅菌運転行う場合とで熱媒体が同一(上記実施形態では水)であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば滅菌運転を行う場合にジャケット室12に残存している熱媒体を殺菌能力のあるものに置換したり、殺菌能力のある熱媒体を混合する構成としてもよい。
本発明の一実施形態である培養装置の装置構成を概念的に示す概略図である。 図1に示す培養装置が培養運転を行う際の状態を概念的に示す概略図である。 図1に示す培養装置が滅菌運転を行う際の状態を概念的に示す概略図である。
符号の説明
1 培養装置
10 外筒(外装容器)
11 内筒(内装容器)
12 ジャケット室
13 培養室
15 出入管(熱媒体出入手段、乾燥気体導入手段)
17 ガス導入管(乾燥気体導入手段)
20 連通管(連通手段、乾燥気体導入手段)
21 遮断弁(遮断手段)
24 ヒーター(加熱手段)
30 ラック
32 回転軸
33 雰囲気ガス導入管(ガス供給手段)

Claims (7)

  1. 外装容器と、当該外装容器内に配された内装容器と、当該内装容器内に形成され、試料を収容可能な培養室と、前記外装容器と内装容器との間に形成され、熱媒体を貯留可能なジャケット室と、前記培養室内に雰囲気ガスを供給可能なガス供給手段と、前記ジャケット室内に配され、当該ジャケット室内に貯留された熱媒体を加熱可能な加熱手段と、前記培養室とジャケット室とを連通する連通手段と、当該連通手段の中途に設けられ、前記培養室とジャケット室とを遮断可能な遮断手段とを有し、
    前記培養室とジャケット室とを遮断した状態において前記ジャケット室内に貯留された熱媒体を加熱することにより培養室内を加熱する培養運転と、
    前記培養室とジャケット室とを連通させた状態において前記ジャケット室内に貯留された熱媒体を気化させ、連通手段を介して気化した熱媒体を培養室内に導入する滅菌運転とを行えることを特徴とする培養装置。
  2. 外装容器が耐圧容器であることを特徴とする請求項1に記載の培養装置。
  3. 滅菌運転の完了後に、培養室内に残存している気体よりも湿度の低い乾燥気体を導入する乾燥運転を実施可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の培養装置。
  4. 培養室内に器具及び/又は機器が配されており、
    当該器具及び/又は機器に向けて乾燥気体を吹き込む乾燥気体導入手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の培養装置。
  5. 培養室内に器具及び/又は機器が配されており、当該器具及び/又は機器が培養室に対して回転可能なものであり、
    前記器具及び/又は機器は、培養室内に乾燥気体を吹き込む乾燥気体導入手段に対向する位置に配されており、
    乾燥運転中に前記器具及び/又は機器が回転することを特徴とする請求項3に記載の培養装置。
  6. 滅菌運転の完了後に、ジャケット室内に熱媒体を供給して内装容器を冷却し、培養室内の温度を所定の培養温度に調整する温調運転を実施可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の培養装置。
  7. 外装容器および内装容器が円筒形であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の培養装置。
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