JP4447013B2 - 滅菌室を加湿する装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、加湿オゾンを滅菌剤として用いる滅菌処理において滅菌室を加湿する方法などの加湿方法に関する。
滅菌とは、ウィルス、細菌、真菌、または他の微生物を、それらが増殖状態であれ、休眠胞子状態であれ、すべて駆除することである。従来の、医療器具の滅菌処理では、高温(蒸気装置や乾熱装置など)や有毒化学薬品(エチレンオキサイド(EtO)ガスなど)が用いられてきた。オートクレーブによる蒸気滅菌は、古くからある滅菌方法である。この方法は、時間がかからず、費用効率が高い。しかしながら、オートクレーブを用いると、熱に弱い器具は壊れる。そこで、医療にはますます熱に弱い器具(関節鏡や内視鏡など)が用いられていることから、他のタイプの滅菌(特に低温滅菌)が必要とされている。
熱に弱い器具の低温滅菌には、エチレンオキサイドを用いることが可能である。しかしながら、国の安全衛生機関などでは、エチレンオキサイドに発がん性や神経毒性があると考えられるようになってきた。また、エチレンオキサイドは引火性の問題があるため、通常は、クロロフルオロカーボン(CFC)と組み合わせて用いられるが、CFC自体も現在では有害とされている。さらに、エチレンオキサイドによる滅菌には14〜36時間かかる。
より効率的で、より安全で、より安価な滅菌剤として、オゾン(O)がある。オゾン(特に加湿オゾン)は滅菌ガスである。オゾンは、酸素(特に医療グレードの酸素)から容易に発生させることが可能である。酸素は、病院環境では、通常は壁または天井の酸素源から、あるいは移動しながらであればポータブル「J形」酸素シリンダから簡単に使用可能である。オゾンは、工業においては、製紙用パルプの漂白、飲料水の処理、排水や食品の滅菌などに、酸化剤として広く用いられている。浄水用滅菌ガスに必要なオゾンの量(濃度)は少なく、一般に40mg/l(ミリグラム毎リットル)未満である。しかしながら、オゾンが微生物に対する効果的な滅菌剤であるためには、臨界的な湿度での、より高い濃度が必要である。つまり、高濃度のオゾンガスを、湿度の臨海値で使用しなければならない。オゾンの滅菌効率は、相対湿度が上がるにつれ、急激に高くなる。オゾンを微生物の防護殻に浸透させるためには、相対湿度を高くしなければならない。また、水蒸気の存在は、有機物質のオゾン反応を加速する。相対湿度が十分であれば、オゾンによる滅菌包装の浸透がさらに助長される。
オゾンによる滅菌は、EtOによる滅菌より効率的で時間がかからず、ユーザは習慣をほとんど変える必要がない。さらに、オゾンベースの処理は、滅菌パウチや硬質容器などの現行の包装との併用が可能である。
オゾン滅菌の場合、滅菌した器具を空気にさらしたり、冷却したりすることはほとんど不要であり、滅菌後にすぐ使用することが可能である。これにより、病院では、高価な医療機器の在庫を維持するコストを低減することが可能である。オゾン滅菌には、ほかにも多くの利点がある。オゾン滅菌では、有毒廃棄物が発生せず、危険なガスシリンダの取り扱いが不要であり、環境や人体への脅威が生じない。ステンレス鋼の器具と熱に弱い器具とを同時に処理することが可能であり、それらの処理のために滅菌器を2つ用意する必要がない。
米国特許第3719017号明細書では、滅菌対象物を入れて密封したプラスチック袋の容器内でオゾンガスと非常に細かい霧との混合物を用いることが開示されている。この方法では、プラスチック袋を排気して、オゾンガスと非常に細かい霧との混合物を再充填することを繰り返す。袋内の空気が抜かれ、オゾンと霧との加圧混合物で置換される。袋内の圧力が大幅に低下すると、加圧混合物内の水の粒子が破裂して霧が形成される。しかしながら、このシステムは、十分な滅菌に必要な高い相対湿度(少なくとも85%の相対湿度)を与えるだけの高密度の水蒸気を発生させることができない。
米国特許第5069880号明細書では、85%の相対湿度を与えることが可能な装置が示されている。この装置では、オゾンガスの含水量を高めるために、オゾンを水槽にくぐらせて泡にする。湿度85%のオゾンは、微生物をほとんど死滅させることが可能であるが、北米の規格で規定されている「最悪の事態」には適合していない。さらに、この装置は、85%を超える程度の湿度を与えることができない。また、滅菌室の加湿中にオゾンを注入すると、オゾンと滅菌対象器具との接触時間が長くなり、器具に酸化のダメージを与える可能性がある。
米国食品医薬品局やカナダ保健省などの機関が設定した北米規格に適合するためには、少なくとも90%(95%±5%)程度の相対湿度が必要である。
水は、大気圧(1013ミリバールまたは760トル)の下では100℃で蒸発する。したがって、様々な先行特許(米国特許第5266275号、第5334355号、および第5334622号明細書(Faddisら)を参照)において、水を沸点より高温まで加熱して蒸発させ、その蒸気を、オゾン発生器で発生させたオゾン含有ガスに注入する滅菌システムが教示されている。この蒸気は120℃まで加熱される。したがって、オゾン含有ガスに注入された直後の蒸気は、100℃に近い温度を有する。しかしながら、オゾンの分解は、20〜300℃の範囲では温度とともに指数関数的に増えるので、120℃付近の温度で水蒸気を注入すると、オゾンの分解が早く進みすぎる。結果として、オゾン発生器で発生させたガスの有効オゾン濃度が低下するため、各滅菌サイクルにおいて、処理時間を大幅に長くし、より多くのオゾンガスを発生させることが必要になる。したがって、少なくとも90%を超える相対湿度でのオゾン滅菌のために、より効率的かつ効果的な滅菌装置が必要である。
参照により開示に含まれる米国特許出願第10/005786号明細書(2001年11月8日出願。この出願は、1999年5月12日に出願されて現在は放棄されている米国特許出願第09/310695号の一部継続出願である)では、これらの問題に対処するために、減圧によって水の沸点を滅菌室内の温度より低くする方法が示されている。したがって、この出願の教示は、効果的な滅菌処理を提供する。
この先行出願で教示されているように、有効な滅菌をより確実に行うためには、滅菌サイクルを少なくとも1回繰り返すことが好ましい。その滅菌サイクルは、滅菌室に滅菌対象物(医療器具など)を入れた後、滅菌対象物に加湿オゾン滅菌剤を暴露することと、その滅菌剤を除去することとを含む。したがって、このサイクルを繰り返すことは、滅菌対象物に加湿オゾン滅菌剤を再度暴露することと、その滅菌剤を除去することとを含む。
しかしながら、前述のように、オゾンによる滅菌を確実に行うためには、湿度を少なくとも90%(95%±5%)にしなければならない。そのような高い湿度水準をむらなく達成するのは困難であることがわかっている。滅菌室は、水蒸気源(例えば補水タンク)と連通している。前述の米国特許出願第10/005786号明細書で教示されているように、減圧は、補水タンク内の水の蒸発を引き起こす。しかしながら、この蒸発は補水タンクの冷却につながる。また、滅菌室内の水蒸気が凝縮すると、滅菌室の温度が上がりやすくなる。
滅菌室の温度が少しでも上がると、目標の湿度に到達するために必要な水蒸気の量が増える。処理を迅速化するためには、大きな熱エネルギーの入力が必要であり、例えば補水タンクを極端に加熱することが必要である。この熱エネルギーは、最終的には滅菌室に達し、結果として、滅菌室内の温度が上がり、所与の相対湿度のために必要な水蒸気の量が増える。このように、完璧な滅菌を確実に行うためには、高い相対湿度をむらなく厳密に達成しなければならないが、これは困難な課題である。
段階的な複数のステップ(段階)を踏んで加湿を行うことにより、相対湿度の特定の値、特に、オゾン滅菌に必要であるような高い相対湿度の値に、むらなく厳密に到達できることがわかった。
本発明の一態様は、段階的な複数のステップを踏んで相対湿度を上げることにより、閉じた空間の相対湿度を第1の相対湿度から目標相対湿度まで上げる方法を提供する。
本発明の別の態様は、滅菌室内の雰囲気を目標相対湿度まで加湿する方法を提供し、この方法は、a)滅菌室の雰囲気温度Tと同じかそれより高い温度Tで、一定量の水を補水タンクに用意するステップと、b)補水タンク温度Tで水の沸点を下回る値まで滅菌室内を減圧するステップと、c)補水タンクと滅菌室とを流体連通状態にして、温度T において補水タンク内の水を滅菌室内の減圧された圧力に、あらかじめ選択された暴露時間で暴露させて、補水タンク内の水が沸騰し、水蒸気が滅菌室に入るようにし、あらかじめ選択された時間の後に流体連通状態を解除するステップと、少なくともステップb)およびc)を複数回繰り返すこととを含み、目標湿度に到達するまで、ステップb)およびc)を繰り返すたびに滅菌室内の相対湿度が次第に高くなるように、水の量と暴露時間とのうち少なくとも一方を制御する。
本発明の別の態様は、閉じた空間を目標相対湿度まで加湿する方法を提供し、この方法は複数の加湿段階S,..., を含み、xは1からnまでの整数であり、各xは個々の段階を表し、前記段階のそれぞれは、対応する水蒸気圧h,...,hを有し、 は、目標相対湿度に対応する水蒸気圧を表し、各段階Sは、a)閉じた空間に水蒸気源から水蒸気を供給して、閉じた空間内の水蒸気圧を、少なくとも前記段階Sに対応する値hまで上げるステップと、b)予測される均一化時間の間、水蒸気源と閉じた空間とを切り離すステップと、c)閉じた空間内が前記水蒸気圧hに達するまでステップa)およびb)を繰り返すステップとを含む。
本発明の別の態様は、加湿オゾンを用いる滅菌装置を提供し、この装置は、滅菌室と、オゾンを加湿する水蒸気源を提供するために、動作中に水を保持する補水タンクと、補水タンクと滅菌室との間で流体連通状態にある導管と、その導管を開閉する、導管内の弁と、滅菌室の温度を制御する、第1の加熱手段と、補水タンクの温度を制御する、第2の加熱手段と、滅菌室の温度を監視する、第1の温度感知手段と、補水タンクの温度を監視する、第2の温度感知手段と、滅菌室内の圧力を監視する圧力感知手段と、滅菌室内を減圧する真空手段と、第1および第2の温度感知手段と、圧力感知手段とからの情報に応答して、第1および第2の加熱手段を制御するプロセッサとを備え、このプロセッサは、複数の段階を踏んで滅菌室を加湿するようにプログラムされている。
以下では、加湿オゾンを用いるオゾン滅菌処理に関して本発明を説明する。しかしながら、本発明による加湿プロセスは、厳密な加湿を必要とする任意のプロセスに適用可能であることを理解されよう。
滅菌処理の場合は、加湿される空間が滅菌室である。
加湿オゾン滅菌処理における段階的な加湿の好ましい適用では、プロセスは通常、負荷である滅菌対象器具を滅菌室に入れるステップや、オゾンを滅菌室に注入するステップなどの他のステップをさらに含むであろう。
以下の説明では、圧力の単位として、ミリバール、トル、気圧、1/4トルなど、様々な単位を用いる。1気圧は、760トルであり、1013ミリバールである。
滅菌室に残っているオゾンおよび湿気を滅菌室から除去する好ましい方法に、1つまたは複数の換気サイクルを追加することが可能である。
以下、あくまで例示として、添付図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
水蒸気源は、加湿器室内または加湿器ユニット内の補水タンクであることが好ましい。水蒸気源(補水タンクの水)の温度をTで表すことにする。加湿される空間(滅菌室)の温度をTで表すことにする。滅菌室および補水タンクのそれぞれに対して加熱手段が少なくとも1つずつあることが好ましい。そのような加熱手段を、第1および第2の加熱手段と呼ぶことにする。補水タンクの水の温度は、滅菌室の温度と同じか、それより高いこと、すなわち、T≧Tであることが好ましい。その温度差をΔT(デルタT)で表すことにする。すなわち、T−T=ΔTであり、したがって、ΔT≧0である。温度差ΔTは、0〜10℃であることが好ましく、0〜7℃であることがより好ましく、0〜3℃であることが特に好ましい。補水タンクの温度をより高く保つことにより、水蒸気の蒸発が促進され、その水蒸気の滅菌室への流れが促進され、補水タンク内の再凝縮によって滅菌室の湿気が失われることが抑えられる。
加湿の完了、すなわち、目標相対湿度の達成に必要な段階の数は、大きく変動する。多数の段階を用いることが可能である。段階数をどう選択するかは、使用機器の精度や、所望の相対湿度を厳密に達成する能力を低下させない範囲で可能な限り短時間で加湿を完了することを優先するかどうかに依存する。したがって、利便性から言えば、加湿は、50段階未満で達成されることが好ましく、3〜30回、あるいは5〜27回で達成されることがより好ましい。
現時点での好ましい実施形態では、(後述の表1に示す)27段階に相当する情報でプロセッサをプログラムする。ただし、最後の10〜15段階は、滅菌室温度Tが、好ましい温度を超えて上昇するケース(したがって、同じ値の相対湿度を達成するために、より高い水蒸気圧を必要とするケース)に含まれ、常に必要とは限らない。同様に、状況次第で、第1段階で目標相対湿度の60%まで、さらには80%までを達成することが可能な場合があり、その場合は(後述の表1に示した)27段階のうちの(好ましい実施形態では、112×1/4トルの水蒸気圧に相当するであろう)最初の数段階、好ましくは5段階までを第1の単一段階にまとめることが可能である。第1段階で約80×1/4トルの水蒸気圧に達することが好ましい。
短すぎる時間または少なすぎる段階数で進めようとすると、滅菌室で凝縮が起こりやすくなり、それによって滅菌室温度が上がりやすくなり、温度が上がると、目標相対湿度を達成するために、より多量の水蒸気が必要になる。そのような好ましくないシーケンスでは、制御不能になり、目標相対湿度に到達できない可能性がある。したがって、目標相対湿度に到達するためには、少なくとも5〜10段階、好ましくは10段階以上で進めることが好ましい。
システムを安定させるためには、後のほうの段階でより多くの注意を払う必要がある。したがって、少なくとも最後の10段階、好ましくは最後の5段階、特に好ましくは最後の3段階を、滅菌室で達成される水蒸気圧の増加が段階ごとに小幅、例えば0.1〜5トル、好ましくは0.1〜3トル、特に好ましくは0.25〜1トルになるように進めることが好ましい。好ましい実施形態では、最後の10段階以上での圧力の各増分が約0.5〜1トルである。
したがって、加湿は、段階的な段階(好ましくは完全に離散的な段階)を踏んで進めるべきである。そして、所与の段階で、(例えば、滅菌室を排気し、弁を開けて補水タンクと滅菌室とを流体連通状態にすることによって)補水タンク内を減圧すると、補水タンク内の水の沸点がその水の実温度を下回り、水が沸騰し、水蒸気が形成され、その水蒸気が滅菌室に流れていくことが可能になる。この蒸発によって、補水タンクの温度が下がる。そこで、補水タンクを加熱して、温度Tを滅菌室温度Tまで戻すか、Tより上げる必要がある。この再加熱の間は、滅菌室と補水タンクとをつなぐ導管の弁を閉じることが好ましい。つまり、この再加熱は、次の段階の準備になる。このように弁を閉じることによって、滅菌室温度、または好ましくは補水タンク温度を調整してTをT以上の好ましい値に戻すのに十分な時間だけ、補水タンクすなわち水蒸気源と滅菌室とを切り離す。
各段階をよりよく制御するために、補水タンク内の水の温度を監視する温度感知手段を設けることが好ましい。さらに、滅菌室温度を監視する温度感知手段も設けることが好ましい。そこで、滅菌室温度感知手段を第1の温度感知手段と呼び、補水タンク温度感知手段を第2の温度感知手段または温度感知装置と呼ぶことにする。好適な装置の1つが、Omega Temperatureから市販されているクラスBタイプセンサのような抵抗温度依存センサ(RTD)である。このタイプの装置は、分解能が100度、標準偏差が0.00385、許容誤差が0.3度であり、約±0.15度以内の精度で温度を測定することが可能である。温度感知手段は、温度データがプロセッサに送られることが可能であるように、プロセッサ、コンピュータ、またはプログラマブルロジックコントローラに接続されることが好ましい。RTDが温度の測定値をプロセッサに伝え、プロセッサがそれに応じて、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)の比例積分微分(PID)機能を用いて加熱を調節することが可能である。加熱手段は、プロセッサによって制御されるように接続される。そこで、滅菌室内の圧力を監視する圧力感知手段をさらに設け、これもプロセッサに接続することにより、加湿段階を自動化することが可能である。プロセッサは、温度、圧力、および時間の目標値の表によってプログラムされ、その表に基づいてプリプログラムされたシーケンスに従って加湿を進めるよう命令されることが可能である。
前述のように、滅菌室内で凝縮が起こると、滅菌室温度が上がりやすくなり、加湿を制御できなくなるリスクが生じる。したがって、滅菌室内の水蒸気が凝縮するリスクを低減するように、また好ましくは、滅菌室内で凝縮がほとんど起こらないように、段階数と対応する水蒸気圧値とを選択する。
加湿オゾン滅菌処理における段階的な加湿の好ましい適用では、プロセスは通常、他のステップ、例えば負荷である滅菌対象器具を滅菌室に入れるステップや、オゾンを滅菌室に注入するステップなどをさらに含むであろう。
図1および2に見られるように、プロセスは、一部を第2の滅菌サイクルで繰り返すことが可能な、6つまたは7つの基本的なステップを含むと見なされることが可能である。
図1は、本発明による滅菌処理の概略を表したものであり、処理の各ステップをシーケンスとして示している。図2は、本発明による処理を別の形で表したものである。図2は、各ステップを圧力の関数として示すことによって処理を表している。図2の縦軸は圧力であり、縦軸の上端が大気圧を表し、縦軸の下端がゼロ気圧(又は完全な真空)を表している。横軸は、左から右に向かって処理のステップのシーケンスを表しており、経過時間に対応しているが、あくまで説明を目的としたものであって、必ずしも正確な尺度で示されているわけではない。
本発明は主に加湿ステップに関係しているので、他の処理ステップの詳細は、好ましい特徴の、本発明の最も広い態様に対して本質的でない範疇に入るものであることを理解されよう。
図1および2に示すように、滅菌の前に、ステップ100Aに示されるような調整ステップがあることが好ましい。このステップを事前調整ステップと呼ぶことにする。このステップでは、滅菌対象物を滅菌室に入れた後、滅菌室を密閉する。
一般には、約25〜40℃の範囲の目標温度で滅菌を行うのが好ましく、約30〜36℃の範囲であればより好ましく、30℃前後、例えば、30.8℃が特に好ましい。滅菌室の壁は、この滅菌温度前後に保たれることが好ましい。これは通常の室温より高いので、パルスを連続させる形で、滅菌室を外気で満たすことと排気することとを連続的に行うことが好ましい。このパルス動作によって、滅菌室内の状態を安定させやすくなり、任意の負荷(滅菌対象器具)を好ましい滅菌室温度に到達させやすくなる。これは、図2では、100Aとして示されている、グラフの左側部分のピークと谷の連続で表される。この部分が事前調整ステップである。ピークは、大気圧近辺の圧力を表しており、したがって、少なくとも部分的に、滅菌室を外気で満たしていることを表している。谷は、滅菌室の減圧または排気を表している。通常の室温は18〜22℃前後なので、目標温度の例えば30℃に到達させるには、空気を加熱しなければならない。滅菌室の壁を加熱することが好ましい。したがって、滅菌室で一定量の空気を出し入れするパルス動作によって、空気の温度と負荷(滅菌室内の滅菌対象器具)の温度とが30℃前後の目標滅菌室温度に近づく。一般に、この事前調整ステップの各排気パルスにおいて滅菌室を排気するために行われる減圧の範囲は、約350〜450トルであることが好ましく、約250トルであればより好ましい。外気負荷は7〜16回パルス動作することが好ましく、10回がより好ましい。しかしながら、そのようなパルスの数は、負荷である外気を十分な温度に到達させるために、増やしたり減らしたりすることが可能である。
事前調整ステップでは、ガスとして任意の不活性ガスを用いることが可能である。ガスの選択は、コストによって、または後続の滅菌ステップの滅菌剤への干渉の有無によって決定される。後のほうのステップでは、空気を用いないことが好ましい。これは、空気に含まれる窒素が、オゾンの強力な酸化能力の結果として窒素酸化物などの有害物質を形成する可能性があるためである。そのような窒素酸化物は、水蒸気とともに微量の硝酸を形成する可能性があり、それによって、金属部分などの滅菌対象物の一部にダメージを与える可能性がある。しかしながら、この事前調整ステップでは空気を用いることが可能であり、酸素を用いることが好ましい。
次のステップは真空ステップであり、図1および2では101として示される。このステップでは、滅菌室のガス状内容物を排気する。可能な限り多くのガス状内容物を除去するために、一般には約5〜0.5トルの範囲の深い真空を用いることが好ましく、約2.5〜0.5トルであればより好ましく、1.25トル未満であればさらに好ましい。この圧力をかける時間としては、約30秒〜5分の範囲が好ましく、特に、滅菌対象物に容器やパウチも含まれる可能性を考慮すると、滅菌室内の圧力を安定させるためには約1分がより好ましい。
次のステップは加湿ステップであり、図1および2では102として示される。このステップでは、滅菌に必要な湿気を滅菌室に与える。補水タンクの水が蒸発し、水蒸気となって滅菌室に取り入れられる。これは、相対湿度が目標値以上になるまで続けられる。滅菌中の相対湿度は少なくとも90%を超えていることが好ましく、95%以上であればさらに好ましい。目標湿度に到達した後、条件を維持して、滅菌室全体と滅菌室内の滅菌対象物との状態を安定させ、平衡状態にすることが好ましい。条件を維持する時間は約10〜50分の範囲であることが好ましく、少なくとも30分であることがより好ましい。
相対湿度は、パーセンテージであって、所与の温度において理論的に可能な最大水蒸気に対するパーセンテージとして現在の水蒸気を表す。したがって、相対湿度100%は、所与の温度での水蒸気圧の理論的最大値を表す。暖かい空気は冷たい空気より多くの水を保持できるので、100%の相対湿度を保つためには、温度が上がった場合に水蒸気を増やす必要がある。
加湿ステップまたは加湿フェーズは、段階的なステップすなわち段階的増量によって達成される複雑なプロセスである。加湿手段すなわち加湿器は、加湿用水蒸気を与えるための、好ましくは補水タンクとして含まれる水源を含む。一実施形態では、水源は、当該処理条件下で必要な相対湿度を与えるのに十分な既知の量の水(125リットルの滅菌室を用いる処理では、500ミリリットル以下が好ましく、特に約300ミリリットル±10ミリリットルが好ましい)が入っているシリンダによって与えられる。
補水タンクの水は、滅菌室の温度以上の温度まで加熱されることが好ましい。補水タンクの温度が滅菌室の温度より低い場合は、加湿を進めると、目標相対湿度に到達していなくても、補水タンクの水がそれ以上蒸発しないポイントに到達してしまう。したがって、補水タンクの温度のほうが低いことは、蒸発ではなく凝縮を促す「コールドスポット」として作用する。
補水タンクすなわち水源は、導管によって、滅菌室と流体連通状態にある。この導管を水蒸気拡散器とも呼ぶことにする。この導管は、「オフ」の位置で滅菌室と水源との間の流体連通状態を切り離したり、「オン」の位置で再接続したりすることが可能な弁を含むことが好ましい。この導管すなわち水蒸気拡散器はさらに、滅菌室の温度より高い温度に保たれることが好ましい。さらに、所望の温度を保つための適切な加熱調節が行われるように、水蒸気拡散器の温度が前述のRTDセンサなどのセンサによって監視され、その温度の測定情報がプロセッサに送られることが好ましい。水蒸気拡散器の温度は、水源の温度より約3℃(±0.5℃)高く保たれることが好ましい。
これはすなわち、加湿ステップにおいては水源の温度も通常は滅菌室の温度より高く保たれていることから、多くの場合、水蒸気拡散器は、滅菌室より7〜8℃ほど高い温度になることを意味する。
加湿段階を開始する前に、滅菌室の平均温度に相当する温度まで水源を加熱する。前述のように、好ましい滅菌室温度は30.8℃前後である。
HS(加湿ステップ)の直前に、滅菌室に真空を適用して、滅菌室内を、好ましくは約5/4トルまで減圧する。この圧力では、水の沸点は−15℃である。したがって、水源(補水タンク)の温度が好ましい滅菌室温度である30.8℃以上の場合は、水蒸気拡散器の弁を開くと、水源と滅菌室とが流体連通状態になり、補水タンクの水が蒸発して滅菌室に入り込む。
前述したように、特定の相対湿度値、特に効率的なオゾン滅菌のために好ましい(場合によって必須でもある)90%以上の高い値をむらなく厳密に達成するためには、克服すべき多くの難題がある。
弁を開けることによって、温度が例えば30.8℃である補水タンクに滅菌室の例えば5/4トルの低圧を暴露させると、水がただちに蒸発し、その水蒸気が滅菌室に入り込む。ただし、蒸発には冷却効果があり、それによって水源の温度も下がる。
実際には、加湿ステップの開始時に弁を開くと水蒸気が滅菌室に入り込むが、滅菌室に入り込む水蒸気の量は、高い相対湿度、特に、オゾン滅菌の場合に必要な、90%以上の相対湿度を発生させるには不十分である。さらに、実際には、滅菌室は「コールドスポット」を有する。これらは、滅菌室内において、温度が平均滅菌室温度より低いか、目標温度より低い場所である。そのような「コールドスポット」は、滅菌室内にある負荷(滅菌対象の医療器具)の、目標湿度に到達していないと考えられる部品によって与えられるか、(例えば、滅菌室の構造を支持する支持部材であって、直接加熱することができず、他の滅菌室部分から間接的にのみ加熱される部材などの)滅菌室自体の構造的制約によって与えられる可能性がある。そのような「コールドスポット」は、ある程度の凝縮を引き起こす可能性がある。滅菌室内で凝縮が起こると、(凝縮の過程で放射される熱エネルギーのために)滅菌室の温度が上がりやすくなる。滅菌室温度が上がると、所望の相対湿度に到達するために必要な水蒸気の量が増える。さらに、システムによっては、滅菌室に冷却手段がまったく設けられていない場合があり、その場合は、温度を好ましい目標温度値まで急速に下げることが不可能である。さらに、「コールドスポット」での凝縮によって引き起こされる問題のような何らかの問題がある場合には、所望の水蒸気量を得ようとして水源を単純に加熱し続けると、それらの問題を悪化させがちである。
本発明によれば、加湿を、段階的ないくつかのステップで進めることが好ましい。これらのステップを、列S,S,S...Sと表すことにする。nはステップ数である。そして、この列の中間のステップをSで表すことにする。xは、1とnの間のステップ番号である。各ステップには、対応する水蒸気圧h ,h,...hがある。これらは、対応する段階における目標水蒸気圧値を表す。したがって、中間ステップSに対応する水蒸気圧値はhである。
滅菌室の温度と滅菌室内の水蒸気圧との両方がわかっていれば、相対湿度を計算することが可能である。温度30.8℃において、相対湿度が100%であれば、水蒸気圧は34トルである。
前述のように、水源の温度は、滅菌室温度より高く保たれることが好ましい。この温度差(水源と滅菌室との間の温度差)を、ΔT(デルタT)で表すことにする。さらに、この温度差を、個々の加湿段階のそれぞれに従って選択することが好ましい。したがって、例えば、この温度差を、早い段階ではより大きく、あとの段階ではより小さくなるように選択したり、その逆になるように選択したりすることが可能である。実際には、加湿を最適制御するために、それぞれが同じ番号の加湿段階に対応する、適切な温度差の系列dt,dt,...,dtを選択する。したがって、中間段階Sは、関連付けられたΔT値であるΔTを有する。水を加熱しすぎて滅菌室温度が過度に上昇することのないように、後のほうの加湿段階になるほど、温度差を小さくしていくことが望ましい。
好ましい加湿ステップは、個々の段階を多く有することが可能である。次の表1は、27個の可能な段階と、それぞれに対応する圧力および温度差の値とを示す。
Figure 0004447013
上の表1では、左側の列が個々の加湿段階の番号を示し、中央の列がその段階に関連付けられた水蒸気圧を示し(表中の圧力の単位は1/4トル)、右側の列が、その個々の加湿段階における好ましい温度差、すなわち、滅菌室と水源との温度差を示している(表1中の温度の単位は摂氏百分の1度)。
システムの構成要素によって測定される滅菌室の温度や圧力などの個々の状況に応じてパラメータを自動的に制御できるように、この値の表がプロセッサ(コンピュータなど、例えば、PLC)にプログラムされる。
表1を詳細に見ると、加湿ステップの開始時には、水源の温度が滅菌室の温度とほぼ同じであり、滅菌室は排気されたばかりである(少なくとも5/4トルの圧力まで排気されていることが好ましい)。すなわち、段階1は、対応する水蒸気圧が0であり、温度差(デルタT)が0である。そこで弁を開けると、水源から水が蒸発し、水蒸気となって滅菌室に入り込む。弁を閉じ、水源を、滅菌室温度より75/100℃高い温度まで加熱する。次に弁を再度開く。これは加湿段階2である。滅菌室内の圧力が80×1/4トル(表1に示すように、段階2に対応する圧力)に達したら、弁を閉じ、水源を、滅菌室温度より125/100度高い温度まで加熱する。次に段階3として、対応する圧力が100×1/4トルに達するまで弁を開く。
滅菌室の相対湿度が目標相対湿度以上と計算されるまで、すべての段階を通してこの処理を繰り返す。
前述のように、滅菌室温度が30.8℃の場合、100%の相対湿度は、34トルの水蒸気圧によって表される。ただし、処理の間に、滅菌室温度が好ましい温度を超えてしまい、同じ相対湿度値を達成するためにより高い水蒸気圧が必要になる場合がある。滅菌室温度は、常に監視されており、その値がプロセッサに伝えられる。プロセッサは、(実際の滅菌室温度に対する)滅菌室内の水蒸気圧が目標相対湿度に対応するまで、加湿段階をSからSへ、SからSへと繰り返し続ける。
したがって、プロセッサにプログラムされる表1は、滅菌室温度が好ましい温度を大きく超えた場合でも目標相対湿度に確実に到達するための十分な情報をプロセッサが有するように、十分な数の加湿ステップと、それぞれに対応する圧力および温度の情報とを含む。
また、適正な加湿を確実に行うことをさらに後押しするために、最小限の時間で加湿ステップを実行することが好ましい。
目標湿度には、10〜31分以内に到達することが好ましい。そこで、水蒸気圧の設定値(滅菌室温度が30.8℃の場合は34トル±0.25トル)に到達したときに、10分から1時間の間、好ましくは少なくとも約31分の間、「加湿安定状態」があることが可能である。この加湿安定状態の間は、水蒸気拡散器内で凝縮が起こらないように水蒸気拡散器を37℃に保ち、(実際には、加湿安定状態の間に滅菌室温度が上がる可能性があるので)目標相対湿度を保つために必要に応じて水蒸気を追加できるように弁を開いたままにする。
最短加湿時間は、50分であることが好ましい。19分未満で最小限の水蒸気圧に達した場合は、全体の加湿時間が少なくとも50分になるように、「加湿安定状態」を、好ましい31分を超えて延長する。これに対し、19分より長くかかって最小限の水蒸気圧に達した場合でも、「加湿安定状態」を31分保ち、全体の加湿ステップが最短でも50分より長く続くようにする。
滅菌室の温度は常に監視される。この温度の測定には、前述のRTDセンサなどの装置を用いることが可能である。滅菌室温度の測定は、間接的に行われることが好ましい。滅菌室内のガスの質量が非常に小さいので、直接測定は正確な測定にならない。そこで、滅菌室の後壁、上壁、および底壁の温度測定値の平均をとることによって滅菌室温度を取得する。
したがって、TAV=[T+T+T]/3
ただし、TAV=平均滅菌室温度
=後壁の温度
=上壁の温度
およびT=底壁の温度
温度制御についてまとめると、以下のようになる。
滅菌剤が加湿フェーズに含まれない間:水蒸気拡散器温度の設定値は37℃±0.5℃。加湿器ヒーターの設定値は[平均滅菌室温度]。滅菌室ドアヒーターの設定値は[平均滅菌室温度]。
加湿フェーズの間:加湿器ヒーターの設定値は[平均滅菌室温度]+[デルタT]カーブ。水蒸気拡散器温度の設定値は[TRTD加湿器]+[3℃±0.5℃]。滅菌室ドアヒーターの設定値は[平均滅菌室温度]。
[デルタT]カーブの値は、表1から取得される値である。
そこで、熱慣性と呼ばれるものがある。すなわち、システムに加えられた熱エネルギー、例えば、水源に加えられた熱が、システム全体あるいはせめてシステムの外周に拡散するまでには時間を要する。
図4は、段階的なステップによる加湿の進行状況を示す。縦軸は、滅菌室の圧力である(単位は1/4トル)。横軸は時間である。好ましい滅菌室温度である30.8℃での目標水蒸気圧は、約136×1/4トル(34トル)である。この圧力に達した後、「加湿安定状態」の間、水源と滅菌室とが流体連通状態であるように、弁を開いたままにする。図では、目標水蒸気圧の136×1/4トルが、水蒸気の設定値として示されている。この設定値に到達した後、図に示すように、「加湿安定状態」を31分間保つ。さらに、この図によれば、加湿安定状態の最後の5〜10分には圧力のさらなる増加がほどんどなく、滅菌室内の状態が安定していることがわかる。
加湿ステップの次は、図1および2のステップ103にて示されるオゾン注入ステップである。オゾンは、オゾン発生器で発生させる。十分な量のオゾンが滅菌室に注入されるように、オゾン発生器で発生させるオゾンを監視することが好ましい。したがって、加湿ステップの最後でオゾンが必要になるときまでに十分なオゾンが発生しているように、加湿ステップの最後より前にオゾン発生器を作動させることが好ましい。滅菌室が約125リットルの場合は、通常の温度および圧力(NTP)において160〜200mg/Lのオゾンを発生器から発生させることが好ましい。使用済みオゾンおよび不要なオゾンは、汚染を避けるために、(酸素に変換することによって)触媒作用で破壊されてから大気中に放出されることが好ましい。
好適なオゾン発生器は、発生器内において約10,000Vp−p(ボルトピークツーピーク)の適切な高周波電圧で生成された電界に向けて送り出された酸素(好ましくは、医療グレードの超乾燥酸素)からオゾンを発生させる。この高電圧は、発生器のセル内で、酸素をオゾンに変換するコロナ放電を起こすことを可能にする。オゾンは熱に弱いので、オゾン発生を最適化するために、オゾン発生器を2〜4℃前後で動作させ続けることが好ましい。準備ができたら、加湿された滅菌室にオゾンを注入する。オゾンの注入は、滅菌室内のオゾン濃度が約45〜100mg/Lの範囲に達するまで行うのが好ましく、約85mg/L NTPに達するまで行うのがより好ましい。この濃度であれば、高い湿度との組み合わせで、滅菌を達成するのに十分であると見なされる。
次のステップは加湿オゾン暴露ステップであり、図1および2では104として示される。このステップでは、前のステップまでで達成されたオゾンおよび湿気のレベルを、十分なレベルの滅菌を達成するのに十分な時間だけ維持する。時間は5分〜1時間が必要と考えられるが、15分が好ましい。このステップで、第1の滅菌サイクルが完了する。滅菌の確実性を最大化するために、好ましくは少なくともステップ101、102、103、および104の繰り返しを含む、少なくとも第2の滅菌サイクルで滅菌を繰り返すことが好ましい。
次のステップは再調整ステップであり、図1および2では105として示される。このステップの目的は、凝縮した水があれば除去することである。このステップでは、凝縮した水をすべて、またはほぼすべて除去することが好ましく、水蒸気をすべて、またはほぼすべて除去することが好ましい。除去する水の量は、重量比で、滅菌室内のすべての水の約75〜100%であることが好ましく、約80〜100%であることがより好ましい。したがって、このステップを、凝縮した水を除去する排出ステップと見なすことが可能である。さらに、滅菌室の温度を、目標温度、例えば好ましい温度である30.8℃に再安定化することが好ましい。この排出ステップに用いるガス状ビヒクルは、滅菌処理に関しては不活性であるガスが好ましい。例えば、窒素などのガスのように、ガスの種類によっては、オゾンとの接触によって好ましくない酸化物が形成される可能性があるので、そうしたガスは避けることが好ましい。このステップは、オゾンを使用した滅菌サイクルに続くステップなので、空気の使用を避けることが好ましい。空気は窒素の含有率が高いからである。このステップに好ましいガスは酸素、特に、医療グレードの乾燥酸素である。酸素は、病院のように、本発明の滅菌処理が普通に行われる環境では、常に容易に使用可能である。再調整ステップは、滅菌室から湿気とオゾンとを除去する真空ステップを含むか、真空ステップの後であることが好ましい。好ましくは約20〜5トルの範囲の真空、より好ましくは10トル未満の真空を適用することが好ましい。環境上の理由から、滅菌室から除去したガス状内容物を触媒に通し、含まれているオゾンをすべて酸素に変換する。滅菌室内の滅菌対象物(特にパウチや容器を含む対象物)の中のガス状内容物を滅菌室の他の部分と平衡させることを可能にして除去を最適化するために、ある程度の時間、好ましくは2〜3分にわたって低い圧力、例えば好ましい圧力である10トルを保つことが好ましい。次に、医療グレードの酸素を滅菌室に注入する。すべての凝縮物の除去を最適化するために、この再調整ステップは、真空ステップと酸素注入ステップとの少なくとも1回の繰り返しを含むことが好ましい。
この、凝縮した水を除去するステップを後暴露ステップと呼ぶ場合もある。それは、このステップが、少なくとも第1の滅菌サイクルとそれによる加湿オゾン滅菌剤の暴露の後に行われるからである。しかしながら、調整ステップまたは再調整ステップと呼ぶほうがふさわしいであろう(再調整ステップと呼ぶのは、好ましいプロセスでは、それが第1の調整ステップでない可能性があり、その場合は、滅菌室内の状態を、滅菌開始時の状態を少なくとも近似する状態に戻すことが予定されているからである)。
すべての滅菌サイクルが完了したら、図1および2で107として示される換気ステップを実行する。このステップの目的は、滅菌室を開いて滅菌済み対象物を取り出す前に、オゾンと水蒸気とを除去することである。
滅菌の効果を減じることなく、いくつかのステップの順番を変更することが可能であることは、当業者であれば容易に理解されよう。いくつかのステップは同時実行が可能であるが、前述のように順序よく実行することが好ましい。
本発明の方法での使用に好適なオゾン滅菌装置を、図3に概略的に例示する。オゾン発生器22を含むオゾン発生ユニットにおいて、医療グレードの酸素に電界をかける。これによって酸素の一部がオゾンに変換される。このオゾンを、医療機器を滅菌する加湿滅菌室10に送る。次に、このオゾンを、オゾン変換ユニット52で酸素に再変換する。滅菌サイクルの最後に残っているのは、酸素と清浄な水蒸気だけである。
このオゾン滅菌装置は、内部を密閉して真空にすることが可能な加熱滅菌室10を含む。密閉は、選択的な開閉が可能なアクセスドア12を用いて行う。滅菌室内にアクセスする場合は開け、閉じると滅菌室が密閉される。オゾン滅菌装置はさらに、オゾン含有ガスを滅菌室に供給するオゾン発生器22と、水蒸気を滅菌室に供給する加湿器設備30と、真空ポンプ40(好適なポンプはAnestiwata製ドライスクロール真空ポンプ)とを含む。真空ポンプ40は、滅菌ガスの浸透を高めることと、滅菌室内の温度より低い温度で水を沸騰させることを可能にすることとに十分な真空を滅菌室10に適用するために用いられる。好ましい実施形態における真空ポンプ40は、滅菌室内の水の沸点を滅菌室内の温度より低くするのに十分な真空を滅菌室内で発生させることが可能である。好ましいオゾン滅菌装置においては、真空ポンプは、0.1ミリバールの真空を発生させることが可能である。オゾン発生器22で発生したオゾンは、オゾン含有ガスが滅菌室10を通った後に送られるか、オゾン発生器22から弁29bを経由して直接送られる先のオゾン変換ユニット52で破壊される。オゾン配管回路は、オゾン変換触媒(TSO3製DEST25など)を含む。オゾン変換ユニット52は、オゾンガスが外気中に漏れないように、真空ポンプ40の前または後に直列に接続される。好ましい触媒におけるオゾン分解物質はカロライトである。経済的および実用上の理由から、滅菌室10から排出されるオゾンを分解するために触媒を用いることが好ましい。触媒は、接触したオゾンを分解して酸素に変換する。その際、一定量の熱が発生する。この種の触媒とその製造元については、オゾン発生器の分野の当業者にはよく知られているので、本明細書での詳しい説明は不要である。さらに、滅菌ガスに含まれるオゾンを破壊する他の手段も、当業者には自明である。例えば、あらかじめ選択された時間だけ、ガスを、オゾン分解が加速する温度、例えば、300℃に加熱することが可能である。
加湿器設備30は、外気から密閉されていて、導管および蒸気吸気弁34とを介して滅菌室10に接続された加湿器室32(TSO3製HUM0.5など)を含む。加湿器室32には、十分高い水位を確保する水位コントロール(図示せず)が設けられる。加湿器室32には、接続された飲料水供給または精製水供給から水が直接供給される。水は、フィルタ33、圧力調整器35、および入力弁36を経て加湿器室32に供給される。加湿器室32で発生した水蒸気は、蒸気吸気弁34を経て滅菌室10に入り込む。
オゾン発生ユニットは、コロナ放電タイプのオゾン発生器22(TSO3製OZ、model14aなど)を含む。このタイプは、当業者にはよく知られているとおり、冷却されると、オゾン分解速度が遅くなる。オゾン滅菌処理において高い致死率を達成するためには、滅菌室のオゾン濃度が48〜96mg/l、好ましくは50〜90mg/lになるだけのオゾンを滅菌室に供給しなければならない。これらの濃度では、オゾン発生に伴い、熱の形で発散されるエネルギーが比較的多い。一般に、供給される電気エネルギーの約95%が熱に変換され、わずか5%がオゾンの発生に用いられる。熱によりオゾンから酸素への逆変換が加速するので、オゾン発生器22を冷却して、可能な限り迅速に熱を除去しなければならない。オゾン滅菌装置内のオゾン発生器は、冷却水再循環による間接冷却システムか、冷却用冷凍ユニットによる直接冷却システムによって、3〜6℃の比較的低い温度に保たれる。冷却システム60は、3〜6℃の温度に保たれることが好ましい。好ましい実施形態では、オゾン発生器22によって発生したオゾン含有ガスの温度が、20〜35℃、好ましくは30℃前後の周囲温度になるように、冷却システムを4℃に保つ。したがって、加湿および滅菌のために滅菌室に入り込むオゾン含有ガスの温度は、20〜35℃の外気温度に保たれる。これは、オゾン分解が最小限に抑えられ、滅菌処理の効率が向上することを意味する。
オゾン発生ユニットへは、医療クォリティまたは医療グレードの酸素を供給することが好ましい。オゾン滅菌装置は、病院によくある、壁の酸素引き出し口、酸素シリンダ、または他の任意の、必要な品質および流量を供給できる酸素源に接続されることが可能である。オゾン発生器22への酸素供給は、フィルタ23、圧力調整器24、流量メータ25、および酸素遮断弁26を経て行われる。オゾン発生器は、安全圧力スイッチ27によって、酸素の過圧力から保護される。オゾン発生器22によって発生したオゾン/酸素混合物は、ニードル弁28と混合供給ソレノイド弁29aとによって滅菌室10に送られる。この混合物は、バイパスソレノイド弁29bを経てオゾン変換ユニット52に直接供給されることも可能である。125リットルの体積の滅菌室を含む好ましい実施形態では、圧力調整器24が、酸素入力の流量を約1.5リットル毎分に制御することが好ましい。ただし、オゾン発生器22のメーカーおよび型式や滅菌室のサイズに応じて他の流量も可能であることは、当業者には自明であろう。
本発明による装置は、新しい水を用いない閉鎖循環冷却システムを含むことが好ましい。
滅菌室10内の真空は、真空ポンプ40により、オゾン変換ユニット52と滅菌室排水弁44とを経て実現される。
(運用)
前述のように、好ましい滅菌方法は、図1のフローチャートに示す、以下の概略ステップを含む。滅菌対象の医療器具を、病院環境で一般的に使用されている滅菌包装容器またはパウチに入れて密封し、滅菌室に入れる。滅菌室のドアを閉じてロックし、滅菌室に真空を適用することによって事前調整フェーズを開始する。滅菌室の内容物を加湿するために、滅菌室に水蒸気を入れる。オゾンと酸素の混合物を滅菌室に送り、あらかじめ選択した処理時間の間、滅菌室の密閉を保つ。滅菌サイクルを繰り返す前に、再調整ステップを実行して、凝縮した水を除去する。次に、真空適用ステップとオゾン供給ステップとを少なくとも1回繰り返す。滅菌室10に残っているすべてのオゾンを除去するために、滅菌サイクルの完了後、換気フェーズを開始する。換気フェーズの完了後、ドアのロックを解除し、処理済みの滅菌対象物を滅菌室から取り出す。
滅菌サイクルを開始する前に、加湿器室32を、滅菌サイクル全体に必要な量を十分にまかなう水位まで、水で満たす。これは、水入力弁36を一時的に開けることによって行われる。このとき以外の滅菌サイクルでは、弁36を閉じたままにする。滅菌サイクルの最初のフェーズでは、吸気弁18、酸素遮断弁26、混合供給弁29a、および混合バイパス弁29b(任意選択)を閉じ、蒸気吸気弁34および滅菌室排水弁44を開く。滅菌室10を、約0.1ミリバールの真空圧力まで排気する。滅菌室内の絶対気圧が60ミリバールを下回ったら、水蒸気吸気弁34を閉じる。圧力が約1.0ミリバールになったら、滅菌室排水弁44を閉じ、水蒸気吸気弁34を開いて、加湿器室32内の圧力を、滅菌室内の真空圧力まで下げる。これによって加湿器室内の水が沸騰して蒸発し、水蒸気となって滅菌室10に入り込む。加湿時間が終了する少し前(通常は、加湿時間が終了する約2〜6分前)に、オゾン発生器を起動する。オゾン発生器から出る酸素/オゾン混合物の流れを、オゾン混合供給弁29によって制御する。オゾン滅菌装置はさらに、真空耐性があって、1〜12リットル毎分の範囲で流量を調整できるニードル弁28を含むことが好ましい。オゾン発生器は、任意機能として、加湿時間の開始と同時に起動されることが可能である。これを達成するには、遮断弁26と混合バイパス弁29bとを用いる。遮断弁26を開いて、酸素をオゾン発生器に入れる。オゾン発生器で発生したオゾン/酸素混合物を、混合バイパス弁29bと真空ポンプ40とを介して、オゾン変換ユニット52へ直接案内する。加湿時間の後、混合供給弁29aを開き、混合バイパス弁29bを閉じて、酸素/オゾン混合物を滅菌室に案内する。滅菌室10内のオゾン濃度が85mg/lになるまで、酸素/オゾン混合物を滅菌室10に入れる。このステップに必要な時間は、混合物内のオゾンガスの流量および濃度に依存する(重量比で10〜12%が好ましい)。この時点で、混合供給弁29aを閉じて、滅菌室を密閉し、加湿されたオゾン/酸素ガス混合物を真空下の滅菌室に保持する。
滅菌室が加湿滅菌ガス(酸素とオゾンのガス混合物)で満たされたら、オゾン発生器22を停止させ、酸素遮断弁26を閉じ、オゾンを滅菌対象物と接触させ続ける。接触させる時間は、滅菌室の体積が125リットル(4立方フィート)の場合で約15分である。この段階では、滅菌室はまだ、約670ミリバールの部分的真空状態にある。任意選択の第2のステップで、酸素を充填ガスとして用いて、圧力を約900ミリバール程度まで上げる。この圧力水準を約20分間維持する。滅菌時間の後、真空を再適用する。ここでも圧力は約1.0ミリバールが好ましい。圧力が0.1ミリバールに達したら、加湿フェーズを再開し、その後に、酸素/オゾン滅菌ガス混合物を新しく注入する。その後、滅菌時間に入る。約1.0ミリバールの真空の適用、滅菌ガスの注入、加湿時間、および滅菌時間からなるサイクルを繰り返すことが可能であり、器具の完全な滅菌を達成できるように繰り返し滅菌サイクル(ミニサイクル)の回数を選択することが可能である。任意の連続する2つの滅菌サイクルの間に、前述のように、再調整ステップを実行して、凝縮した水を滅菌室から除去することが好ましい。125リットル(4立方フィート)の滅菌室を含む実験的設置で用いた繰り返しサイクルの回数は、2回であった。この設置は、FDA(SAL10−6)のSecurity Assurance Level規格に準拠したものである。
滅菌完了後(連続するすべての滅菌サイクルの後)、滅菌室10に残ったオゾンおよび湿気をすべて除去するために、換気フェーズを実行する。換気フェーズを開始するのは、最後の滅菌サイクルが終了してからである。滅菌室排水弁44を開き、約13ミリバールになるまで真空を適用する。加湿器内に残っているオゾンを排気するために、圧力が60ミリバールに達したら蒸気吸気弁34を閉じる。真空の圧力が13ミリバールになったら、滅菌室排水弁44を閉じ、吸気弁21を開いて酸素を滅菌室10に取り込む。外気の圧力に達したら、吸気弁21を閉じ、滅菌室排水弁44を開いて、圧力が13ミリバールに達するまで真空を再適用する。次に、換気サイクルを2回繰り返す。最後のサイクルの後、外気の圧力に達したら、滅菌室のドア機構を起動して、滅菌室の内容物へのアクセスを可能にする。換気フェーズには機能が2つある。第1は、アクセスドアを開く前に、滅菌室内のオゾン残留物をすべて除去することであり、第2は、処理済みの滅菌対象物が乾燥しているようにすることであり、これは、真空圧力を適用した際の蒸発によって達成される。
滅菌室10から排気されたオゾン含有ガスは、オゾン変換ユニット52のオゾン分解触媒を通ってから、外気中に排出される。これは、滅菌ガス内のオゾンが完全に分解されるようにするためである。オゾン発生器22は、滅菌サイクル中の2つの部分でのみ用いられる。それは、(任意選択の弁29aおよび29bを用いて)オゾン発生器22を起動するときと、滅菌室10を排気するときである。オゾン発生器22の起動フェーズの間に、混合バイパス弁29bを開いてオゾンを触媒に案内する。オゾン発生器22の起動フェーズが完了したら、バイパス弁29bを閉じる。滅菌室10の排気中に、滅菌室排水弁44を開いて、オゾン含有滅菌排ガスを触媒に案内する。滅菌室10の排気が完了したら、滅菌室排水弁44を閉じる。オゾンの循環は、真空ポンプ40によって確実に行われる。真空ポンプ40は、すべての繰り返しサイクルを含む滅菌サイクル全体を通して動作している。オゾン分解触媒が真空ポンプの上流に配置されていれば、触媒物質を汚染しないようにカロライトを可能な限り乾燥した状態に保つことがさらに確実に行われる。真空ポンプ40が滅菌処理の全体を通して作動しているので、カロライトは、オゾンの分解に用いられていない場合でも、減圧下にさらされる。これによって、滅菌室の排気中にカロライトに吸収されていた可能性のある、触媒に含まれていた水が強制的に蒸発させられる。オゾン分解触媒が真空ポンプの下流に配置されている場合は、触媒を加熱してカロライトを十分乾燥した状態に保つことが好ましい。
前述のシステムのように、本発明の方法での使用に好適なシステムは、滅菌サイクルの全体を通して相対湿度を90%、好ましくは95%±5%以上程度に保つことが可能である。
加湿フェーズにおける水の蒸発に必要なエネルギーは、様々なエネルギー源から取得される。すなわち、そのエネルギーは、加湿器ユニットおよび滅菌室の構造物と、滅菌対象物とから取得される。このことは、滅菌室およびその内容物のさらなる冷却に寄与する。実際、20℃では水は絶対圧力23.3ミリバールまでで沸騰し、35℃では水は絶対圧力56.3ミリバールまでで沸騰する。滅菌室の真空は、水の沸点温度が滅菌室内の温度を下回る圧力に調整されることが好ましい。その沸点温度は、周辺の構造物やガスから得られるエネルギーによっては、加湿器室内の水が蒸発する前に凍結するほどに低くなりすぎる可能性がある。加湿器も、蒸発の過程で、凝縮したものが加湿器の外部表面に凍りつく温度まで冷却される可能性がある。これを避けるには、加湿器ユニットの外装と加湿器室内の水とが室温、好ましくは滅菌室の温度以上に保たれるよう、加湿器の外部表面を十分に加熱する。これは、当業者には自明であると考えられる加熱設備(図示せず)によって達成される。
加湿機ユニット内で発生した水蒸気によって、滅菌室内の相対湿度が上がる。加湿フェーズは、包装パウチおよび容器に収容された医療器具を取り巻くガスの相対湿度が最低でも95%±5%、好ましくは100%に達するまで続ける。滅菌室の体積が約125リットルの場合、水蒸気の流入により、滅菌室内の圧力が約53ミリバールまで上がる。
外気温度において、加湿された滅菌室に酸素/オゾン含有滅菌ガスを注入する。125リットルの滅菌室を有する滅菌装置を最適動作させるには、滅菌室の1回の充填のために少なくとも全部で10,000mg前後のオゾンを取得するために、約160〜200mg/lのオゾンを含む、約1〜6リットル毎分、より好ましくは1.5〜2リットル毎分の範囲のオゾン流を発生させることが可能なシステムを用いることが好ましい。
以上の具体的に説明した実施形態に対して、本発明の範囲から逸脱することなく改変や修正を行うことが可能であり、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
本発明による方法のフロー図である。 本発明による方法の各ステップのシーケンスを、時間に対する圧力のプロットで示したグラフである。 本発明の方法での使用に好適な装置の概略図である。 本発明による加湿ステップの進行状況を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 滅菌室内の雰囲気を目標相対湿度まで加湿する方法であって、
    a)前記滅菌室の雰囲気の温度Tと同じかそれより高い温度Tで、一定量の水を補水タンクに用意するステップと、
    b)前記補水タンク温度Tで水の沸点を下回る値まで前記滅菌室内を減圧するステップと、
    c)前記補水タンクと前記滅菌室とを導管を介して流体連通状態にして、温度Tにおいて前記補水タンク内の水を前記滅菌室内の前記減圧された圧力に、あらかじめ選択された暴露時間で暴露させて、前記補水タンク内の水が沸騰し、水蒸気が前記滅菌室に入るようにし、前記あらかじめ選択された前記暴露時間の後に前記流体連通状態を解除するステップと、
    少なくともステップb)およびc)を複数回繰り返すステップとを含み、前記目標湿度に到達するまで、繰り返しのたびに前記滅菌室内の相対湿度が次第に高くなるように、前記水の量と前記暴露時間とのうち少なくとも一方を制御し、各ステップc)の後に、前記滅菌室の雰囲気の温度T と同じかそれより高い温度T となるように、補水タンクの水を加熱して温度T に調節するのに十分な時間だけ前記導管が閉じられ、前記滅菌室の雰囲気の温度T を実質的に一定に維持するために、式ΔT=T −T で定義される温度差ΔTを各ステップc)で制御することを特徴とする方法。
  2. 密閉された空間を目標相対湿度まで加湿する方法であって、複数の加湿段階S,...,Sを含み、ここにおいてxは1からnまでの整数であり、各xは個々の段階を表し、前記段階のそれぞれが、対応する水蒸気圧h,...,hを有し、hが前記目標相対湿度に対応する前記水蒸気圧を表し、前記段階Sのそれぞれが、
    a)前記密閉された空間に水蒸気源から水蒸気を供給して、前記密閉された空間内の水蒸気圧を、少なくとも前記段階Sに対応する値hまで上げるステップと、
    b)あらかじめ選択された均一化時間の間、前記水蒸気源と前記密閉された空間とを切り離すステップと、
    c)前記空間内が前記水蒸気圧hに達するまでステップa)およびb)を繰り返すステップとを含み、
    前記水蒸気源が補水タンクであり、前記水蒸気源の温度がT であり、前記密閉された空間の温度がT であり、方程式T −T =ΔTで表され、T がT と同じかそれより高い温度であるためΔT ≧0を意味するときに、
    前記ステップb)が、ΔT を実現するためにTs又はTcを調整するのに十分な時間だけ密閉された空間から水蒸気源を切り離すステップと、温度T を実質的に一定に維持するために、温度差ΔTを制御するステップを備えることを特徴とする方法。
  3. 加湿オゾンを用いる滅菌装置であって、
    滅菌室と、
    前記オゾンを加湿する水蒸気源を提供するために、動作中に水を保持する補水タンクと、
    前記補水タンクと前記滅菌室との間で流体連通状態にある導管と、
    前記導管を開閉する、前記導管内の弁と、
    前記滅菌室の温度を制御する、第1の加熱手段と、
    前記補水タンクの温度を制御する、第2の加熱手段と、
    前記滅菌室の温度を監視する、第1の温度感知手段と、
    前記補水タンクの温度を監視する、第2の温度感知手段と、
    前記滅菌室内の圧力を監視する圧力感知手段と、
    前記滅菌室内を減圧する真空手段と、
    前記第1および第2の温度感知手段と、前記圧力感知手段とからの情報に応答して、前記第1および第2の加熱手段を制御するプロセッサとを備え、
    前記プロセッサが、複数の段階を踏んで前記滅菌室を加湿するように、及び、前記滅菌室の温度を実質的に一定に維持するために、第1の加熱手段と第2の加熱手段との間で異なる温度に制御するようにプログラムされていることを特徴とする滅菌装置。
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