JP2006190163A - 駆動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置の重量を増加させることなく移動台の振動を防止する直動装置の駆動制御装置を提供する。
【解決手段】駆動制御装置が、移動台を移動させるモータのモータ駆動部と、モータ駆動部に入力する入力信号から所定の周波数成分を除去するフィルタ部とを備え、フィルタ部が除去する周波数成分の設定周波数を、移動台に負荷される負荷重量に応じた機械系の固有振動数に合わせて設定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、位置決め装置等に設けられる移動台を直線的に移動させる直動装置のモータを駆動する駆動制御装置に関する。
従来の直動装置を用いた位置決め装置は、中央部に開口部を設けたX軸移動台の両端部にリニアガイド装置からなる案内機構を設け、その一方の案内機構にボールねじ装置からなる直動機構を併設し、直動機構をモータにより駆動してX軸移動台をX軸方向に移動可能に構成し、同様の構成のX軸移動台に直交するY軸移動台を重ねて配置し、それぞれの開口部にステージの連結部材を係合して装置の小型化および軽量化を図っている(例えば、特許文献1参照。)。
また、同様の構成の位置決め装置の直動機構の両側に近接して案内機構を設け、直動機構とは反対側の案内機構より拘束力を高めて位置決め装置の水平方向の剛性を向上させ、これによる機械系の固有振動数の増加により移動台の移動に伴う振動を防止して位置決め精度を向上させているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
特開2002−158274号公報(第4頁段落0024−段落0032、第1図) 特開2004−223647号公報(第3頁段落0008−段落0011、第1図)
しかしながら、上述した特許文献2の技術においては、構造により装置の剛性を高めて機械系の固有振動数を増加させ、移動台の振動を防止して位置決め精度を向上させることができるという利点を有しているが、特許文献1に対してリニアガイド装置等の案内機構を追加して固有振動数を高めるようにしているため、装置の重量が増加してしまうという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、装置の重量を増加させることなく移動台の振動を防止する手段を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、移動台を移動させるモータのモータ駆動部と、該モータ駆動部に入力する入力信号から所定の周波数成分を除去するフィルタ部とを備え、前記フィルタ部が除去する周波数成分の設定周波数を、前記移動台に負荷される負荷重量に応じた機械系の固有振動数に合わせたことを特徴とする。
これにより、本発明は、モータの回転により励起される装置の機械系の振動から固有振動数付近の周波数成分を除くことが可能になり、装置の重量を増加させることなく装置の共振を防止することができるという効果が得られる。
以下に、図面を参照して本発明による駆動制御装置の実施例について説明する。
図1は実施例の直動装置を示す説明図である。
図1において、1は直動装置である。
直動装置1は、ワークを設置するステージ等に取付ける移動台2と、該移動台2を往復動自在に移動させるボールねじ装置等の直動機構3、該直動機構3を駆動するACサーボモータ等のモータ4および該モータ4へ電力を供給する駆動制御装置5等により構成されている。
駆動制御装置5は、外部からデジタル信号で与えられる駆動指令とモータ4に設けられたエンコーダやレゾルバ等の位置信号検出器6からのフィードバック信号とを突き合わせてその偏差を出力するカウンタ7、該カウンタ7からの入力信号から所定の周波数成分を除去して出力するデジタルフィルタの機能を有するフィルタ部9、該フィルタ部9により所定の周波数成分を除去された入力信号によりモータ4を駆動する電力を供給するモータ駆動部10およびフィルタ部9が除去する周波数成分の設定値、つまり設定周波数Fsを設定するフィルタ周波数設定部11等により構成される。
フィルタ周波数設定部11は、フィルタ周波数設定部11内の各部を制御してフィルタ部9の設定周波数Fsを設定するフィルタ周波数設定処理等を実行する制御部12、該制御部12が実行するプログラムやそれに用いるフィルタ部9の設定周波数Fsを演算するための設定係数等の各種のデータを格納すると共に制御部12による処理結果等が格納される記憶部13および係員等が負荷重量等を入力するためのキーボード等を有する入力部14等を備えている。
本実施例の設定周波数Fs(単位:Hz)は次式に示すフィルタ周波数設定関数により演算される。
Fs=Ca+Cb・W ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
ここに、Ca、Cbは設定係数、Wは負荷荷重(単位:kg、移動台2に取付けられるステージやワーク等の重量をいう。)である。
上記の設定係数Ca、Cbは図2に示す装置の機械系の固有振動特性グラフにより求められる。
この固有振動特性グラフは、本実施例の直動装置1を設置した装置を稼動させ、移動台2の負荷重量を変化させて測定した装置の固有振動数に基づいて作成される。
例えば、移動台2に12kgの負荷重量を負荷してフィルタ部9をフィルタとして機能させずに装置を稼動させると、図3に示す周波数特性曲線が得られる。
図3(a)は対数で示した周波数に対する直動装置1を設置した装置のゲインの周波数特性、図3(b)はそのときの位相の周波数特性である。図3(a)に示すゲインの周波数特性には250Hz付近にAで示したピークとなる周波数成分が存在し、これが直動装置1を設置した装置の機械系の固有振動数である。
この固有振動数をそのときの負荷重量に対応させて図2に示す固有振動特性グラフにプロットすると、図2に○印を付して示したポイントが得られる。同様にして負荷荷重を変化させて測定された固有振動数をそのときの負荷重量に対応させてプロットしたのが図2に示す固有振動特性グラフである。
このようにして作成した固有振動特性グラフは、負荷荷重の増加に対して固有振動数が直線的に減少するグラフとなり、その負荷荷重0kgのときの縦軸との切片が設定係数Caであり、その直線の傾きが設定係数Cbである。
本実施例の設定係数Caは図2に示すようにCa=280、設定係数Cb=−3.09であり、これらの設定係数がフィルタ周波数設定部11の記憶部13に格納されている。
なお、設定係数Ca、Cbは直動装置1が設置される装置により異なるので、装置毎に固有振動特性グラフを作成し、それにより求められた設定係数Ca、Cbがフィルタ周波数設定部11の記憶部13に予め格納される。
本実施例のフィルタ部9は、フィルタ周波数設定部11の制御部12が設定した設定周波数Fsにより図4に示すフィルタ特性を示すフィルタを形成する機能を有している。図4は図3と同様の縦軸、横軸を用いて示した周波数特性曲線である。
フィルタ部9が形成するフィルタ特性は、図4にFsを付して示した設定周波数Fs(図4の例では60Hz)を中心周波数とした破線で示すノッチフィルタの特性と、設定周波数Fsを遮断周波数とした一点鎖線で示すローパスフィルタの特性とを合成して得られるフィルタ特性(ローパスノッチ型フィルタ特性という。)である。
上記の記憶部13には、入力部14により入力された負荷荷重Wと、記憶部13から読出した設定係数Ca、Cbとを式(1)のフィルタ周波数設定関数に代入して設定周波数Fsを演算する機能を有するフィルタ周波数設定処理実行プログラムが格納されており、制御部12が実行するフィルタ周波数設定処理実行プログラムの各ステップにより本実施例の駆動制御装置5のハードウェアとしての各種の機能手段が形成される。
上記の構成の作用について説明する。
本実施例の直動装置1を位置決め装置等の装置に設置した場合には、設置後に上記で説明した負荷荷重毎の装置の固有振動数を測定し、図2に示す固有振動特性グラフを作成し、作成した固有振動特性グラフから設定係数Ca、Cbを求め、これらをフィルタ周波数設定部11の記憶部13に格納する。
そして、装置を稼動する際に、係員等は移動台2に負荷した負荷重量を入力部14のキーボード等を用いて入力する。
この入力を負荷重量Wとして認識した制御部12は、記憶部13に格納されている設定係数Ca、Cbを読出し、入力された負荷重量Wと設定係数Ca、Cbとを式(1)のフィルタ周波数設定関数に代入して設定周波数Fsを演算する。
設定周波数Fsを演算した制御部12は、これをフィルタ部9へ伝送する。
設定周波数Fsの伝送を受けたフィルタ部9は、伝送された設定周波数を基に上記で説明したローパスノッチ型フィルタ特性を有するフィルタを形成する。
このようにしてローパスノッチ型フィルタ特性を有するフィルタ部9が形成されると、外部から与えられる駆動指令と位置信号検出器6からのフィードバック信号とを突き合わせてカウンタ7から出力される偏差の信号からフィルタ部9のローパスノッチ型フィルタ特性により固有振動数付近の周波数成分が除去された入力信号がモータ駆動部10へ入力され、モータ駆動部10からモータ4へ供給される出力は固有振動数付近の周波数成分が除去された出力となり、装置での共振が防止される。
本実施例では負荷荷重Wとして12kgが入力され、これを基に制御部12が演算して設定した設定周波数Fs=250Hzがフィルタ部9へ伝送され、フィルタ部9は設定周波数Fsを250Hzとした図4と同様のローパスノッチ型フィルタ特性を有するフィルタとして機能し、図5の周波数特性曲線に示すように機械系の共振が生じない状態で装置を稼動させることができる。
すなわち、モータ4へ供給される出力からは固有振動数付近の周波数成分が除去されているので、モータ4の回転における微細なトルク変動にも固有振動数付近の周波数成分が含まれておらず、これにより励起される装置の機械系の振動は固有振動数付近の周波数成分を除く振動となり、装置の共振を誘起することが防止される。
上記のように、本実施例は、装置が決まればその機械系の固有振動数を変動させる負荷重量に応じてその装置に特有の設定係数Ca、Cbを用いて設定周波数Fsを演算し、この設定周波数Fsに合わせてフィルタ部9のフィルタ特性を形成するので、機械系の共振を誘起する周波数成分がモータ4の回転に伴って励起される機械系の振動成分に含まれなくなり、機械系に共振が生ずることはない。
また、ローパスノッチ型フィルタ特性により固有振動数付近の周波数成分のみが除去されるので、直動装置1による移動台2の移動の動作を阻害することがない。
以上説明したように、本実施例では、移動台に負荷される負荷重量に応じた機械系の固有振動数を設定周波数としてフィルタ部のフィルタ特性を形成し、移動台を移動させるモータに電力を供給するモータ駆動部への入力信号から固有振動数付近の周波数成分を除去するようにしたことによって、モータの回転により励起される装置の機械系の振動から固有振動数付近の周波数成分を除くことが可能になり、装置の重量を増加させることなく装置の共振を防止することができる。
このことは、装置の小型化や軽量化を図る上で移動台等の剛性を構造により向上させることができない場合に特に有効である。
また、負荷荷重を入力して設定周波数Fsを演算するようにしたことによって、一義的にフィルタ部が除去する周波数成分を設定することができ、共振を避けた装置の稼動を容易に行うことができる。
更に、フィルタ部のフィルタ特性をローパスノッチ型フィルタ特性としたことによって、固有振動数付近の周波数成分のみを除去することができ、直動装置による移動台の移動の動作を阻害することなく円滑な移動動作を行うことができる。
なお、本実施例においては、設定周波数Fsは記憶部に格納された設定係数Ca、Cbとを用いて式(1)のフィルタ周波数設定関数により演算するとして説明したが、負荷重量とそのときの固有振動数をテーブルにして記憶部に格納しておき、入力された負荷重量の近傍のテーブル上の2以上の負荷重量とその固有振動数を読出して内挿または外挿により入力された負荷重量に対応する固有振動数を演算し、これを設定周波数Fsとするようにしてもよい。このことは負荷重量と固有振動数の関係が直線的でない特性を有する装置の設定周波数Fsを演算する場合に有効である。
また、記憶部には本実施例の直動装置を設置した装置の設定係数やテーブルを格納するとして説明したが、本実施例の直動装置が設置される可能性を有する複数の装置の設定係数やテーブルをその装置の形式または名称に対応させて予め格納し、装置の形式等と負荷重量を入力して設定周波数Fsを演算するようにしてもよい。このようにすれば形式等と負荷荷の入力により、直動装置を設置するそれぞれの装置の機械系の共振を防止するための設定を容易に行うことができる。
実施例の直動装置を示す説明図 実施例の装置の機械系の固有振動特性を示すグラフ 装置の周波数特性曲線を示すグラフ 実施例のフィルタ部のフィルタ特性を示すグラフ 実施例のフィルタ部を用いた装置の周波数特性曲線を示すグラフ
符号の説明
1 直動装置
2 移動台
3 直動機構
4 モータ
5 駆動制御装置
6 位置信号検出器
7 カウンタ
9 フィルタ部
10 モータ駆動部
11 フィルタ周波数設定部
12 制御部
13 記憶部
14 入力部

Claims (2)

  1. 移動台を移動させるモータのモータ駆動部と、該モータ駆動部に入力する入力信号から所定の周波数成分を除去するフィルタ部とを備え、
    前記フィルタ部が除去する周波数成分の設定周波数を、前記移動台に負荷される負荷重量に応じた機械系の固有振動数に合わせたことを特徴とする駆動制御装置。
  2. 請求項1において、
    前記フィルタ部が、前記設定周波数を中心周波数としたノッチフィルタと、前記設定周波数を遮断周波数としたローパスフィルタを合成したフィルタ特性を有することを特徴とする駆動制御装置。
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