JP2006188367A - シリコン製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プロセスを簡素化し、コストの低減と生産性の向上を大幅に図ることができるシリコン製造方法を提供すること。
【解決手段】 第1工程では、珪質頁岩を精製して高純度シリカを製造する。第2工程では、第1工程で得た高純度シリカを原料として、レーザ(例えば、エキシマレーザ)を用いてSi−Oの結合およびSi−Siの結合を順次切断し、得られたシリコンを水素化してシリコン水素化物(主にSiH)を生成する。第3工程では、第2工程で得たシリコン水素化物を精製/さらに分解して高純度シランおよび高純度シリコンを生成する。 【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコン製造方法に関し、特に太陽電池用シリコンの製造に好適なシリコン製造方法に関する。
近年、エネルギー源の多様化要求から太陽光発電が脚光を浴び、低価格発電の実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
太陽電池用原料として用いられるシリコンには、純度が99.9999%(6N)以上の高純度であること、および、低価格であることが要求される。シリコンの純度を99.9999%以上の高純度にするためには、シリコン中に含有される不純物元素の濃度をppmオーダ以下まで低減する必要がある。現在は、主に太陽電池用シリコンとして半導体用シリコンのスクラップ品が利用されており、今後の太陽光発電システムの本格的な普及拡大を考えた場合、低コストで大量生産を可能とする太陽電池用シリコンの製造技術の開発が急務となっている。
このような太陽電池用シリコンの製造方法としては、例えば、現在実用化されている方法として、電気炉を使用する炭素熱還元法があり、最近開発された新技術として、特許文献1〜4に記載されているものがある。
特許文献1〜3には、電子ビームを用いた真空精錬で金属シリコンから脱リンを行い、水蒸気添加プラズマ溶解による酸化精錬でホウ素と炭素を除去し、一方向凝固で他の不純物を除去することにより、太陽電池グレードのシリコンを得る技術が記載されている。
特許文献4記載の技術は、特許文献1記載の技術における高温による熱負荷を軽減する新たな方法である。この方法においては、珪砂(SiO)をフッ化水素(HF)で溶解してSiFガスを生成させ(SiO+4HF→SiF+2HO)、生成したSiFガスと水素ガスをプラズマ中で反応させて高純度シリコンを生成する(SiF+2H→Si+4HF)。なお、この方法は、まだ実用化には至っていない。
特開平11−199217号公報 特開平11−209119号公報 特開平11−209195号公報 国際公開第01/87772号パンフレット
しかしながら、特許文献1〜3に記載のシリコン製造方法においては、すべての反応が熱反応であり、高温状態を使っているため、電力消費が依然として大きいという問題がある。
また、特許文献4に記載のシリコン製造方法においては、次のような工程上の問題がある。すなわち、SiFガスを生成させる工程では、SiFガスと同時に水が生成されるため、SiFが逆反応やシリカゲルを生成する反応を起こしてしまうという問題がある。SiFだけを選択的に分離するには、実際上大きな困難を伴う。また、SiFガスを水素で還元してシリコンを生成する工程では、減圧状態が要求されるため、気密性を厳密に保持するのは困難である。したがって、低コストで高い生産性を有する製造方法を実現するのは、極めて困難である。
なお、特許文献1〜4記載の技術でもそうであるように、従来、一般的に、太陽電池などに使用される高純度のシリコンを抽出(精製)するための原料としては、珪石の中でも特にSiO含有量の高い鉱石が使用されている。これらは、成因的分類から、変成岩系の粒状珪岩や珪石、ペグマタイト石英、水晶、熱水性珪化岩などである。
しかし、石英から構成される珪石は、著しく硬質であるため、粉砕工程や化学処理工程において著しく非効率的である。石英はモース硬度が7であり、ダイヤモンド、コランダム、トパーズに次いで硬い鉱物である。
また、現在実用化されている炭素熱還元法においては、石英を主とする珪石から金属シリコンを製造するのに、オイルコークスや木炭を配合し、電気炉で溶融する(炭素熱還元)ため、膨大な電力を消費する。また、炭素熱還元法は、COの放出量が多量であるため、地球環境の保全に悪影響を与えかねない。
このように、従来のシリコン精製方法においては、膨大な電力消費および多量のCO放出を避けることができないという問題がある。そのため、今日、シリコンの精製においては、電力消費が少なくかつCOの排出を伴わない方法が強く求められている。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、プロセスを簡素化し、コストの低減と生産性の向上を大幅に図ることができるシリコン製造方法を提供することを目的とする。
本発明のシリコン製造方法は、二酸化ケイ素を含有しかつ多孔質で微細構造を有する原料を精製して高純度シリカを製造する第1工程と、前記第1工程で製造した高純度シリカを原料としてシリコンを生成し、得られたシリコンをレーザの照射により分解励起して、シリコンを水素化する第2工程と、前記第2工程で得られたシリコン水素化物を精製した後分解して高純度シリコンを生成する第3工程と、を有するようにした。
本発明によれば、プロセスを簡素化し、コストの低減と生産性の向上を大幅に図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書においては、パーセント(%)はすべて重量パーセント(wt%)を意味するものとする。
(実施の形態1)
本発明者は、プロセスを簡素化するためには、まず原料に関して、(1)太陽電池用の高純度シリコンとして必須の条件(金属元素のみならずホウ素(B)とリン(P)の含有量もppm未満でなければならない)を満たすよう、ホウ素とリンをそもそもppm未満しか含まない原料、または処理工程で容易に除去可能な原料を用いること、および、(2)原料処理の初期工程における粉砕性・薬品反応性に優れた原料を用いることが必要であることを見出した。また、このような2つの条件を満たす原料として、珪質頁岩が最適であることを見出した。後で詳述するように、本発明に用いる珪質頁岩(以下単に「珪質頁岩」という)は、クリストバライト(SiO)を主成分とし、SiOの含有量が約70%〜約90%である。
また、プロセスを簡素化するためには、反応工程に関して、小さい熱負荷で、かつ、大気圧下で、しかも、コンパクトな装置で、高純度のシリコンを生成する方法が必要であることを見出した。また、そのためには、レーザを用いて珪質頁岩から生成された高純度シリカを分解励起する、つまり、原子間(Si−OとSi−Si)の結合を切断する必要があることを見出した。
本発明は、珪質頁岩を前処理工程で精製して高純度シリカを製造し、第1のレーザ(例えば、エキシマレーザなど)を用いてSi−Oの結合を切断し、解離した酸素を原子状水素(水素ラジカル)と反応させて水として除去し、酸素解離後のシリコン(一般には金属シリコン)の結合を第2のレーザ(例えば、エキシマレーザなど)を用いて切断し、得られた励起状態のシリコン原子を水素ラジカルで水素化してシリコン水素化物(例えば、高純度のSiHガス)を得て、これを精製・分解して太陽電池用の高純度シリコンを製造する方法である。
図1は、本発明の実施の形態1に係るシリコン製造方法の全体工程を示す図である。
このシリコン製造方法は、図1に示すように、大別して、3つの工程、つまり、第1工程(前処理工程)、第2工程(反応工程)、および第3工程(精製工程)を有する。第1工程では、珪質頁岩を精製して高純度シリカを製造する。後で詳述するように、珪質頁岩を原料として使用することにより、従来使用していた石英からなる珪石と比較して、粉砕工程や化学処理工程を合理化し、高純度シリカを低コストで、効率的かつ容易に製造することができる。第2工程では、第1工程で得た高純度シリカを原料として、レーザを用いてSi−Oの結合およびSi−Siの結合を順次切断し、得られたシリコンを水素化してシリコン水素化物を生成する。例えば、高純度シリカのSi−O結合を例えばエキシマレーザで切断し、解離した酸素を水素ラジカルと反応させて水として除去し、次に、Si−Si結合を例えばエキシマレーザで切断し、得られた励起状態のシリコン原子を水素ラジカルで水素化してシリコン水素化物(主にSiH)を得る。第3工程では、第2工程で得たシリコン水素化物を精製/さらに分解して高純度シランおよび高純度シリコンを生成する。例えば、SiHと一緒に生成される不純物(原料微粉末、反応生成不純ガス)を液体窒素等の低温を利用することにより精製して高純度のシランを生成し、さらにこの高純度シランを分解して高純度シリコンを生成する。
以下、各工程の詳細を順に説明する。
まず、第1工程(前処理工程)、つまり、珪質頁岩から高純度シリカを製造する工程について説明する。
ここで、珪質頁岩とは、シリカに富む(通常70〜90%)、細粒で緻密な岩石であり、チャートほど珪質かつ堅硬ではなく、微晶質石英やオパールCTなどのシリカ鉱物と粘土鉱物や長石などの細粒砕屑物との混合物から成る。シリカは、珪質微化石(放散虫や珪藻)に由来するものと、火山ガラスの脱玻璃作用やオパールの沈殿による場合とがある。なお、オパールCTとは、クリストバライト(SiO)やトリデイマイト(SiO)から成る鉱物の総称であり、また、砕屑粒子とは、流されてきた泥や粘土などの粒子を意味する。
珪質頁岩は、一般に、40%〜80%のクリストバライト、約10%の石英、ならびに残り数%〜数10%の粘土鉱物や長石などの細粒砕屑物から成っている。ここでいうクリストバライトは、いわゆる準安定クリストバライトである。準安定クリストバライトは、非晶質シリカから結晶化した中間的な結晶相であるため、Si−Oの配列の秩序化が不完全な状態にある。
このように、珪質頁岩は、シリカ鉱物としてクリストバライトを主成分とし、石英やトリデイマイトを含んでいる。SiO含有量は約70%〜約90%と石英からなる珪石と比較して低い値であるが、次に述べる珪質頁岩の特性と化学処理によって高純度のシリカを低コストで、効率的かつ容易に製造することができる。
堆積岩である珪質頁岩中に含まれるクリストバライトは、珪質殻を有する珪藻などの植物性プランクトンの化石を構成する非晶質シリカから変化したものである。このようなクリストバライトは、板状の、数μmからサブミクロンの大きさの結晶からなる。クリストバライト結晶間には間隙が多いため、珪質頁岩は多孔質である。図2に、珪質頁岩中の多孔質クリストラバイト結晶の電子顕微鏡写真を示す。図2(A)は、倍率が約2000倍の場合であり、図2(B)は、倍率が約3500倍の場合である。
珪質頁岩は、クリストバライト以外に粘土鉱物や長石などを含むが、石英からなる珪石に比べて著しく粉砕性に富み、また、多孔質であるため薬品反応性に優れている。例えば、クリストバライトからなる珪質頁岩の圧縮強度(kg/cm)は、石英からなる珪石(硬砂岩)と比較して1/2倍〜1/6倍である。また、珪質頁岩は堆積岩であるため、ホウ素(B)の含有量はそもそもppm未満であり、また、リン(P)の含有量は10ppm〜400ppmであるが、後述する化学処理において容易にppm未満に除去することができる。
なお、高純度シリカ製造の原料としては、上記のように、ホウ素の含有率がそもそもppm未満でありかつ前処理工程でリンを容易に除去可能であり、しかも粉砕性および薬品反応性に優れた珪質頁岩が最適であるが、必ずしもこれに限定されるわけではない。例えば、多孔質で微細構造を有する材料であれば、粉砕性や薬品反応性に比較的優れており、太陽電池用シリコンにとってキラー不純物の一つであるホウ素とリンを前処理工程で比較的容易に除去することができるため、珪質頁岩の代替材料として使用可能である。
図3は、第1工程(前処理工程)の一構成例を示す図であり、図4は、図3の構成例を視覚的に示す図である。この第1工程は、第2工程の前処理として、原料から不純物を除去して原料の純度を高め、第2工程に投入するのに適した原料を製造するためのものである。なお、図4において、符号「1」は、原料の珪質頁岩を示し、符号「3」は、この第1工程で得られる高純度シリカを示している。
第1段階では、採掘・粗砕された珪質頁岩1を粉砕・分級した後、焼成または過酸化水素水(H)によって珪質頁岩1から有機物を除去し、また、含まれる金属元素を酸化させる。過酸化水素水処理の場合は、その後、乾燥を行う。このとき、焼成処理の温度範囲は、例えば、300℃〜900℃であり、好ましくは500℃〜700℃である。また、過酸化水素水処理の温度範囲は、例えば、20℃〜60℃であり、好ましくは30℃〜50℃である。
そして、第2段階では、不純物の分解を容易にするために、加温した低濃度水酸化ナトリウム(NaOH)によってクリストバライト表面を処理し、その後、水(HO)で洗浄する。このとき、水酸化ナトリウム処理の温度範囲は、例えば、20℃〜100℃であり、好ましくは50℃〜70℃である。
そして、第3段階では、加温した高濃度硫酸(HSO)によって金属酸化物(例えば、Fe、TiOなど)、粘土鉱物、硫化鉱物などを分解・除去し、その後、水(HO)で洗浄する。このとき、硫酸処理の温度範囲は、例えば、20℃〜100℃、好ましくは60℃から100℃である。
そして、第4段階では、加温した低濃度フッ化水素水(HF)によって長石(Si、Al、O、Ca、Na、Kから成る)およびアパタイト(Ca、P、O、F、Cl、OHから成る)を分解・除去しつつ、粒子に付着したフッ化水素水を蒸発させ(フッ化水素の回収)、その後、乾燥させる。このとき、フッ化水素水処理の温度範囲は、例えば、20℃〜80℃であり、好ましくは50℃〜70℃である。
そして、第5段階では、加温した高濃度塩酸(HCl)によってさらにアパタイトの分解・除去、および、シリカ鉱物表面の洗浄を行い、その後、乾燥させ、粉末粗原料(純度98%以上の高純度シリカ3)とする。このとき、塩酸処理の温度範囲は、例えば、20℃〜100℃であり、好ましくは50℃〜70℃である。
図5は、第1工程の主な段階における化学組成の一例を示す表である。この例では、SiOの含有率は、原石で87.50%であるのに対し、第3段階で95.34%、第5段階で98.96%である。図5の表から、第1工程において、各段階を経るに従って原料(珪質頁岩)から不純物が除去されて原料の純度が高くなっていることが分かる。なお、図5の表において、分析値は表中の元素(酸化物)の合計を100%として再計算した値であり、構成鉱物はX線回折分析による判定に基づく。また、記号「−」は、0.01%未満という意味であり、ΣFeは、岩石中に含まれる2価のFe(酸化物ではFeO)を3価のFe(酸化物ではFe)に換算し、元々含まれる3価のFeと合わせてFeの合計を算出し、Feとして表示したものである。
図6は、第1工程の主な段階におけるX線回折の一例を示す図である。図6から、原石ではクリストバライトの他、石英や長石、粘土鉱物が認められるが、第3段階では粘土鉱物が分解され、第4段階での長石の分解後、第5段階で粒子表面が洗浄されたクリストバライトと石英のみに精製されたことを確認することができる。
測定によれば、以上の第1工程で生成された高純度シリカは、90%以上の準安定クリストバライトと残り数%の石英から成っている。
なお、本実施の形態では、前処理として第1段階から第5段階の5つの処理を行うようにしているが、必ずしもこれら5つの処理をすべて行う必要はなく、適宜、オプション的な処理を省略することができる。例えば、クリストバライトの周囲に付着する粘土鉱物などの微細粒子の含有量が少ない場合には、第2段階の水酸化ナトリウム処理を省略することができる。
次に、第2工程(反応工程)および第3工程(精製工程)、つまり、高純度シリカを原料として高純度シランおよび高純度シリコンを製造する工程について説明する。
まず、本発明の原理を説明する。
高純度シリカの主成分はSiO(クリストバライトと石英)である。Si−Oの結合エネルギーは約3.82eV(波長にして約324.7nm)であるため、これよりも高いエネルギーを持ったレーザを照射することで、Si−Oの結合を切断してSiO2を分解励起することができる。すると、そこには、励起状態のシリコン原子(Si)と原子状酸素(酸素ラジカル:O)が生じ、酸素ラジカルおよびその後の酸素分子は気体となって離散し、シリコン(Si)が固体として残る。このような高いエネルギーを持つレーザの例としては、エキシマレーザ、具体的には、例えば、光子エネルギーが9.8eVのArエキシマレーザおよび7.9eVのFエキシマレーザを挙げることができる。特に、珪質頁岩から生成された高純度シリカ(クリストバライトと石英)は数十オングストロームの連続した多孔質の原料であるため、レーザとの反応は表面から連続的に分解される形で中心部まで入り込み、SiOを完全に分解することができる。特に、クリストバライトは、格子不整や多くの欠陥が存在するため欠陥準位が多く存在し、また、加熱により吸収帯が長波長側にシフトすることから、石英に比べて加熱しやすく、エキシマレーザによる吸収も有利である。
また、XeCl、KrF、およびArFのエキシマレーザは、それぞれ4eV、5eV、6.4eVの光子エネルギーを持っている。これらのレーザを照射することによってもSi−Oの結合を切断することができる。
さらに、エキシマレーザ以外の例としては、YAGレーザの高調波、具体的には、例えば、YAGレーザの3倍波(波長354.7nm、3.50eV)、4倍波(波長266nm、4.66eV)、5倍波(波長212.8nm、5.83eV)などを挙げることができる。
このように、レーザを用いることにより、大気圧下で、かつ、熱負荷が全くない状態でSi−Oの結合を切断することができ、プロセスを簡素化することができる。
Si−O結合切断時に解離した酸素ラジカルおよび酸素分子の除去方法としては、例えば、キャリアガス(例えば、アルゴンガス)を供給して、解離した酸素ラジカルおよび酸素分子をキャリアガスと一緒に水生成分離器に移送し、ここで触媒(例えば、白金)を介して水素と反応させることにより、解離した酸素ラジカルおよび酸素分子を水(HO)として除去することができる。また、他の除去方法としては、例えば、Si−O結合切断時に酸素ラジカルが解離する反応が起こっている場所に、水素ガス(H2)または水素ラジカル(H)を供給して、水素ラジカルと反応させて水(HO)を生成し(SiO+レーザ→Si+2O+4H→Si+2HO)、生成した水をコールドトラップにより急激に冷却して固体の氷として系外に排出するという方法も可能である。この場合において水素ガスを供給するときは、同じくレーザ(具体的には、後述するように、波長が277nm以下のレーザ)により水素分子の結合も切断されて水素分子が水素ラジカルに解離される。なお、後述するように、生成された水は必ずしも氷にする必要はなく、単に液体にすれば十分である。
一方、Si−O結合の切断により生成された固体のシリコンには、依然として不純物が含まれている。不純物のうち、ホウ素とリン以外の元素(例えば、Fe、Ni、Al、Ti等)は水素化物を形成しないため、これを利用してシリコンを精製し高純度化することができる。
具体的には、本発明では、生成されたシリコンにレーザ(例えば、エキシマレーザ)を照射してSi−Si結合を切断し、ここに水素を供給してシリコン水素化物を生成する。このとき、供給する水素は、水素ガス(H2)でも水素ラジカル(H)でもよい。反応容器に水素ガスを供給する場合は、同じくレーザ(具体的には、波長が277nm以下のレーザ)により水素分子の結合も切断されて水素分子は水素ラジカルに解離され、励起状態のシリコン原子(Si)と反応してシリコン水素化物を生成する。この方法(水素ガスを供給しレーザで分解して水素ラジカルを発生させる)に代えてまたはこの方法と併用して、水素源として水素ラジカル発生器で発生した水素ラジカルを直接所望の場所に供給する方法も可能である。
いずれにせよ、この段階では、上記のように、ホウ素とリン以外の元素は水素化物を形成しないことを利用してシリコンを精製し高純度化する。このシリコン水素化工程で除去できないホウ素とリンの除去・分離は、次の第3工程で水素化物(SiH、B、PH等)の沸点の違いを利用して行う。
ここで、シリコンの水素化についてより詳細に説明する。
Si−Siの結合エネルギーは約1.82eV(波長にして約680.4nm)であるため、これよりも高いエネルギーを持ったレーザを照射することで、Si−Siの結合を切断してシリコンを分解励起することができる。このようなエネルギーを持つレーザの例としては、エキシマレーザ、具体的には、例えば、Ar、F、ArF、KrF、XeClエキシマレーザを挙げることができる。また、YAGレーザの2倍波(波長532nm、2.33eV)、3倍波(波長354.7nm)、4倍波(波長266nm)、5倍波(波長212.8nm)などの高調波も使用することが可能である。
Si−Siの結合が切断されて励起状態にあるシリコン原子(Si)に水素ラジカル(H)を接触させると、シリコンの水素化が進み、シリコン原子と水素ラジカルが結合してシリコン水素化物(主にSiH)が生成される(Si+4H→SiH)。
なお、原子間(Si−O、Si−Si)の結合は、レーザの照射によってのみならず、プラズマの照射によっても切断することもできる。より具体的には、アルゴン(Ar)やヘリウム(He)などの希ガスプラズマを原子間の結合エネルギーよりも大きなエネルギーで照射すると、プラズマ粒子がSiOのシリコン原子もしくは酸素原子、または単体シリコンのシリコン原子に衝突するため、プラズマ粒子の運動エネルギーによって原子間の結合を切断することができる。
図7は、第2工程(反応工程)および第3工程(精製工程)の一構成例を示す工程フロー図である。ここで、図7に示す工程フローにおいて、第2工程は、第1工程で得られた高純度シリカから酸素解離後のシリコン単体(Si)を生成し、このシリコンを水素化してシラン(SiH)を得るプロセスを示し、第3工程は、シラン(SiH)から、残留微粒子と水、次にPH、Bその他の生成ガスを順次それぞれ除去して、高純度シランおよび高純度シリコンを精製するプロセスを示している。
より具体的には、第2工程では、第1工程で製造した高純度シリカを粉砕器で微細に粉砕し、得られた粉末状のシリカを反応容器に供給する(S10)。そして、例えばエキシマレーザにより、反応容器に供給したシリカのSi−O結合を切断する(S20)。そして、解離した酸素ラジカルを、アルゴンとともに系外に排出し、水生成分離器で水として除去する(S30)。この時生成したシリコンは別系統で次の水素化反応容器に送られ、系内には固体のシリコンが残る。そして、次の水素化反応容器において、シリコンのSi−Si結合を例えばエキシマレーザにより切断してシリコン原子を励起させ、励起状態のシリコン原子を水素ラジカルにより水素化してシリコン水素化物(主にSiH)を生成する(S40)。
そして、第3工程では、第2工程で生成したシリコン水素化物(主にSiH)を洗浄工程に導き、ここで微粉末を除去する(S50)。そして、コールドトラップ工程の第1段階で、水分を氷として除去し生成ガスを乾燥ガスとし(S60)、次の第2段階で、水素化物の沸点の違いを利用してホウ素とリンの水素化物(B、PH)その他生成水素化物(Si等)を除去する(S70)。そして、得られた高純度シラン(SiH)を回収し(S80)、一方で、さらに、得られた高純度シラン(SiH)から多結晶製造装置を用いて高純度シリコンを生成する(S90)。すなわち、第3工程では、最終製品として、高純度シランと高純度シリコンが得られる。
なお、石英ではなく珪質頁岩から生成された高純度シリカの特徴を考慮した場合、SiO2を分解励起するレーザ加工法としては、例えば、炭酸ガスレーザとエキシマレーザを同時照射することが好ましい。その理由は、次の通りである。
珪質頁岩は、3nmに中心を持つナノメートルオーダの空孔を有し、上記のように、第1工程で生成された高純度シリカは90%以上の準安定クリストバライトと残り数%の石英から成っている。この高純度シリカは、前処理工程で硫酸やフッ化水素水で処理されて、石英に比べて極めて反応しやすい状態に変化している。
準安定クリストバライトは、上記のように、非晶質シリカから結晶化した中間的な結晶相であるため、Si−Oの配列の秩序化が不完全な状態にあるが、常圧の実験炉内では約900℃以上で秩序化を急速に開始する。実験データとしては、準安定クリストバライトは、約900℃以上で、比表面積が減少し、また、X線回折実験により幅広なブロードピークからシャープなピークへと変化することを確認した。さらに、非晶質シリカは900℃〜1000℃でクリストバライトへ変化するとされる(提貞夫・坂本尚史:岩石鉱物鉱床学会誌、68巻、p.295−302、1973年)。準安定クリストバライトの存在と結晶の秩序化については、水谷伸次郎:科学、46巻、p.420−428、1976年、および、Kiyohiro Mitsui and Kazuo Taguchi :Journal of Sedimentary Petrology, vol. 47, p. 158-167, 1977に記載されている。
発明者は、準安定クリストバライトの、秩序化が進んでいないSi−Oの配列に着目した。そして、主に準安定クリストバライトから成る、珪質頁岩から生成された高純度シリカを秩序化開始前の約700〜900℃に加熱しておき、そこに例えばエキシマレーザを照射することにより、極めて効率的に高純度シリカを分解励起できることを見出した。高純度シリカの加熱方法としては、誘導加熱や炭酸ガスレーザによる加熱などが考えられる。誘導加熱の場合は、加熱用のコイルを用意する必要があるが、炭酸ガスレーザを用いる場合は、コイルを用意する必要はなく、非接触で必要な部分を加熱することができるため、より好適である。Si−Oの結合が切断される時には電子が励起されるが、その励起準位に対するエキシマレーザの強い吸収により効率的にSi−O結合が切断される。このようにエキシマレーザと炭酸ガスレーザを併用することにより、高純度シリカを極めて効率的に分解励起することができ、省エネルギーを図ることができる。
珪質頁岩から生成された高純度シリカに炭酸ガスレーザとエキシマレーザを同時照射する場合、高純度シリカは炭酸ガスレーザにより加熱されて蒸発し、エキシマレーザにより原子状に分解励起される。H−Hの結合エネルギーは約4.48eVであるため、波長が277nm以下のエキシマレーザであれば、H−H結合を切断して水素ガスを分解励起することができる。したがって、波長が277nm以下のエキシマレーザを使用することにより、高純度シリカおよび水素ガスをそれぞれ分解解励し、Si−Oの結合を切断して得られる原子状酸素(酸素ラジカル:O)とH−Hの結合を切断して得られる原子状水素(水素ラジカル:H)とを反応させて水にすることができる。なお、炭酸ガスレーザのみでは、高純度シリカを蒸発させることはできるが、さらに高純度シリカを分解励起したり水素ガスを分解励起したりすることはできない。また、水素分子の結合をも切断しうるレーザとしては、波長が277nm以下のレーザであればよく、波長が277nm以下のエキシマレーザ以外に、例えば、YAGレーザの4倍波や5倍波などの高調波を挙げることができる。
上記の方法(炭酸ガスレーザで加熱した後、エキシマレーザで分解励起する)を用いる場合、高純度シリカの主成分であるクリストバライトは900〜1000℃で表面が溶解するのに対し、石英の溶解温度は1800℃程度であるため、珪質頁岩から生成された高純度シリカを原料とすることにより、レーザエネルギーを石英の場合よりも大幅に低減することができる。また、珪質頁岩から生成された高純度シリカの場合、3nm程度の空孔が無数存在し、また、表面にも多くの欠陥が存在するため、石英の場合に比べてレーザ加工の速度を高めることができる。
本発明者は、上記の方法の実現性を実証するために実験を行った。
具体的には、珪質頁岩から生成された高純度シリカが溶融する閾値を求めるための実験を行った。試料は、シリカ原料粉体を30トンでプレスしたもの(サイズ30mmΦ、厚さ2mm)を使用した。レーザは、コーヒレント社製の炭酸ガスレーザ(型式:GEM−40A)を用いた。炭酸ガスレーザの条件は、次の通りである。
・波長:10.2μm
・ビーム径:3.6mm
・焦点距離:63.5mm
・定格出力:40W
実験の結果は、次の表1に示す通りである。
実験では、表1に示すように、No.1とNo.2で試料を蒸発させることができた。したがって、蒸発の閾値としては、パワー密度が7000W/cmで、かつ、照射時間が1secである。なお、実験において、スポット径は対物レンズを変えることにより変更した。
次に、炭酸ガスレーザ(照射条件はNo.2と同じ)と同時に、F(157nm)レーザおよびArF(193nm)レーザをそれぞれ照射エネルギーを変えながら照射する実験を行った。Fレーザを照射した場合は、照射エネルギーが0.48J/cm、パルス幅が20nsec、繰り返し周波数が1Hzのときに、また、ArFレーザを照射した場合は、照射エネルギーが0.64J/cm、パルス幅が23nsec、繰り返し周波数が1Hzのときに、それぞれSi−O結合が切断された。
比較実験として合成石英を用いた実験では、Fレーザを照射した場合は0.95J/cmで、ArFレーザを照射した場合は1.21J/cmで、それぞれSi−Oが切断された。
(装置例1)
図8は、図7の工程フローを実現する装置構成の一例を示す概略図である。この装置100は、レーザを用いてSi−O結合を切断する工程とSi−Si結合を切断する工程とを別々の反応容器で行うように構成されている。
第1工程で製造された高純度シリカ3は、粉砕器101で微細に粉砕された後、第1の反応容器103に供給される。反応容器103は、例えば、エキシマレーザにより高純度シリカ3のSi−O結合を切断して酸素原子(O)を解離させる酸素解離器である。反応容器103内の高純度シリカ3は、エキシマレーザ装置105によって所定のレーザ光が照射される。さらに、図8の例では、高純度シリカ3を炭酸ガスレーザで加熱するために炭酸ガスレーザ装置107が設けられている。なお、反応容器103内には、キャリアガスとして、アルゴンガスが循環されている。アルゴンガスは、アルゴンガス供給装置109によって供給される。
反応容器103に供給された高純度シリカ3は、炭酸ガスレーザにより加熱された後、エキシマレーザによりSi−Oの結合が切断され、励起状態のシリコン原子(Si)と酸素ラジカル(O)に分解される。励起状態のシリコン原子は互いに結合して固体となり(一般には金属シリコンとなる)、その後、反応容器103の底部から第2の反応容器111に移送される。反応容器111は、後述するように、エキシマレーザによりシリコンのSi−Si結合を切断し、シリコンを水素化するシリコン水素化装置である。
一方、反応容器103においてSi−O結合切断時に解離した酸素ラジカルおよび酸素分子は、キャリアガスであるアルゴンガスによって反応容器103の外に排気され、水生成分離器113に投入される。水生成分離器113には、水素ガス供給装置115から水素ガス(H)を供給するとともに、大気圧下で水素ラジカル(H)を発生する水素ラジカル発生器117から水素ラジカルを供給する。水素ラジカル発生器117は、発生した水素ラジカルがその寿命時間内に水生成分離器113内に供給されるよう、水生成分離器113に十分に近い位置に設けられている。また、図示しないが、水生成分離器113内には、酸素ガスや水素ガスを分解励起して酸素と水素を反応させる触媒(例えば、白金)が設けられている。これにより、水生成分離器113では、反応容器103からの酸素ラジカルおよび酸素分子と、水素ガス供給装置115からの水素ガスおよび水素ラジカル発生器117からの水素ラジカルとが反応して水(HO)が生成される。この場合、一部は触媒(例えば、白金)を介して反応する。生成された水は、水生成分離器113により液体の水として系外に排出される。あるいは、水生成分離器113に冷凍機(図示せず)を内蔵しておき、生成された水をこの冷凍機で冷却して固体の氷として系外に排出することもできる。アルゴンガスは水に溶けないため、水と分離されて反応容器103内に戻される。なお、図8中の「119」、「121」、「123」、「125」は、それぞれ、流量制御弁である。
なお、酸素ラジカルおよび酸素分子の分離方法としては、キャリアガスを利用して排気する方法以外に、例えば、ポンプにより吸い出す方法なども考えられる。さらに、酸素ラジカルの場合には、磁場を印加して酸素ラジカルを引き寄せて分離する方法なども考えられる。
反応容器103の底部に溜まった酸素解離後のシリコン(一般には金属シリコン)は、上記のように、第2の反応容器111に移される。反応容器111は、例えば、エキシマレーザによりSi−Si結合を切断し、Si−Si結合切断後の励起状態のシリコン原子を水素ラジカルと反応させてシリコンを水素化するシリコン水素化装置である。反応容器111内のシリコンには、エキシマレーザ装置127によって所定のレーザ光が照射される。また、反応容器111には、水素ガス供給装置115から水素ガスが供給されるとともに、水素ラジカル発生器129から水素ラジカルが供給される。水素ラジカル発生器129は、発生した水素ラジカルがその寿命時間内に反応容器111内に供給されるよう、反応容器111に十分に近い位置に設けられている。
シリコンのSi−Si結合エネルギーは、上記のように、約1.82eVであるため、これよりも高いエネルギーを持つエキシマレーザを照射することにより、シリコンのSi−Si結合を切断することができる。また、水素ガスのH−H結合エネルギーは、上記のように、約4.48eVであるため、波長が277nm以下のエキシマレーザであれば、H−H結合を切断して水素ガスを分解励起する(つまり、水素ラジカルを生成する)ことができる。結合が切断されたシリコン原子は励起状態にあり、水素ラジカルと接触するとシリコンの水素化が進み、最終的にシリコン水素化物(主にシラン(SiH)ガス)になる。
反応容器111で生成されたシランガスは、洗浄工程に設けられた洗浄装置131に導かれ、ここでシリコンなどの固体の微粒子(または微粉末)を除去した後、コールドトラップ工程に導かれる。洗浄工程における微粉末の除去は、例えば、シャワー洗浄や遠心分離などを利用して行われる。図8の例では、シャワー洗浄を利用した洗浄装置131を例示している。遠心分離を利用した洗浄装置としては、例えば、サイクロン集塵機を挙げることができる。この洗浄工程から次のコールドトラップ工程へは、シランガス(SiH)、アルゴンガス(Ar)、水素ガス(H)、水(HO)、不純ガス(B、PH、Si等)が送られる。
コールドトラップ工程では、まず第1段階(乾燥工程)で、ガス乾燥器133で水分を氷として除去し生成ガスを乾燥ガスとする。具体的には、例えば、一旦反応系との接続を切断して、図示しない冷凍機により生成ガスを−40℃前後に冷却して水分を氷として捕集し、その後、加熱された窒素ガスにより氷を水または水蒸気としてパージする。そして、パージ終了後、アルゴンガスで置換して再度反応系と接続する。この第1工程から次の第2工程へは、シランガス(SiH)、アルゴンガス(Ar)、水素ガス(H)、不純ガス(B、PH、Si等)が送られる。
そして、コールドトラップ工程の第2段階(ガス分離工程)では、ガス分離器135で、水素化物の沸点の違いを利用して、不純ガス、具体的には、ホウ素とリンの水酸化物(B、PH)その他生成水素化物(Si等)を除去する。より具体的には、ガス分離器135は、内部に熱交換器137を有し、この熱交換器137を液体窒素(LN)で冷却する構造になっている。このガス分離工程では、まず沸点285KのSiが液化され、次に沸点186KのPHが液化され、さらに沸点180KのBが液化されるが、沸点161KのSiHは液化されずにガス分離器135を通過して次の工程に送られる。すなわち、ガス分離工程では、一旦反応系との接続を切断して、熱交換器137の温度を179K〜162Kの範囲でコントロールすることにより不純ガスを捕集し、その後、捕集した不純ガス、具体的には、熱交換器137に液化吸着したB、PH、Siなどを窒素ガスによりパージする。そして、パージ終了後、アルゴンガスで置換して再度反応系と接続する。このガス分離工程から次の工程へは、シランガス(SiH)、アルゴンガス(Ar)、水素ガス(H)が送られる。
なお、連続生産を可能にするためには、2組以上のガス乾燥器とガス分離器を用意しておき、運転を複数の系統で順次交互に行うようにすればよい。
また、コールドトラップ工程の乾燥工程およびガス分離工程からそれぞれ排出されるパージガスは、例えば、活性炭などで毒性ガスを除去され、安全に排出されるようになっている。
洗浄工程およびコールドトラップ工程を通じて精製されたシラン(SiH)ガスは、一方で、高純度のシラン(SiH)としてガスホルダ139に回収される。また、もう一方で、洗浄工程およびコールドトラップ工程を通じて精製されたシラン(SiH)ガスは、シリコン多結晶製造装置141に導かれ、高純度のシリコンとして回収される。より一層の高純度化を図る場合には、アルゴンガス中でシリコンの種を核にして成長させることにより、高純度シリコンを多結晶シリコン(Siインゴット)として回収する。
なお、本装置例では、反応容器103内でエキシマレーザによりSi−O結合を切断した後、反応容器103外の水生成分離器113で水を生成するようにしているが、本発明はこれに限定されるわけでなく、反応容器103内で水を生成させ、生成した水を反応容器103の外に引き抜く方法も可能である。具体的には、例えば、水素ガスを反応容器103に供給し、エキシマレーザにより高純度シリカのSi−O結合のみならず水素分子のH−H結合も切断する。Si−O結合が切断されると、解離した酸素ラジカルは気相中へ遊離するが、水素分子も分解励起されて水素ラジカルになっているため、両者はすぐに反応して水(HO)となる。このとき、水は水蒸気になっているため、直ちにキャリアガスであるアルゴンガスによって反応容器103の外へ排気される。
なお、本装置例では、反応容器111内に水素ガスと水素ラジカルの双方を供給するようにしているが、反応容器111内に必要な量の水素ラジカルが確保される場合は、いずれか一方だけを供給することも可能である。
(装置例2)
装置例2は、高純度シリカの分解からシリコンの水素化までの一連の処理を1つの反応容器で行う場合である。
図9は、図7の工程フローを実現する装置構成の他の例を示す概略図である。この装置200は、レーザを用いてSi−O結合を切断する工程とSi−Si結合を切断する工程とを同一の反応容器で行うように構成されている。なお、図9に示す装置200は、図8に示す装置100と同様の構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
本装置例の特徴は、高純度シリカの分解からシリコンの水素化までの一連の処理を行う流動床型反応容器201を有することである。流動床型反応容器201は、特に図10に良く示すように、3つの容器部、つまり、第1容器部203、第2容器部205、および第3容器部207から構成されている。各容器部203、205、207の下部は、隔壁209、211で互いに仕切られている。一方、各容器部203、205、207の上部は、互いに連通した開放空間を構成している。高純度シリカの微粒子は、第1容器部203の下部に供給される。高純度シリカを分解励起させるための第1レーザ(例えば、炭酸ガスレーザとエキシマレーザ)は、各容器部203、205、207の上部に向かって照射され、シリコンを分解励起するための第2レーザ(例えば、エキシマレーザ)は、各容器部203、205、207の下部に向かって照射される。このとき、第2レーザは、隔壁209、211に設けられた窓(図示せず)を通過するように構成されている。また、各容器部203、205、207の上部には、第1レーザおよび第2レーザの照射と同期して水素ガス(H)と水素ラジカル(H)が供給される。さらに、第1容器部203の下部と第2容器部205の下部には、アルゴンガスがそれぞれ供給される。
第1工程で製造された高純度シリカは、粉砕器101aで微細に粉砕され、流動床型反応容器201(具体的には、第1容器部203の下部)に所定量供給される。高純度シリカは、粉砕器101aにより、少なくともミクロンオーダの微粒子に粉砕される。粉砕器101aのタンク内は、アルゴンガスでパージされ、粉砕後の高純度シリカ微粒子は、アルゴンガス雰囲気中でスクリューフィーダにより流動床型反応容器201に送り込まれる。
流動床型反応容器201に供給された高純度シリカ微粒子は、吹き込まれたアルゴンガスによって舞い上げられ、炭酸ガスレーザとエキシマレーザの同時照射により、分解励起され、レーザ照射と同期して供給される水素ガスおよび水素ラジカルを用いて、水と固体シリコンに分解される。具体的には、舞い上げられた高純度シリカ微粒子は、炭酸ガスレーザにより加熱された後、エキシマレーザによりSi−Oの結合が切断され、励起状態のシリコン原子(Si)と酸素ラジカル(O)に分解される。励起状態のシリコン原子は互いに結合して固体となり、流動床型反応容器201の底部に溜まる。一方、Si−O結合切断時に解離した酸素ラジカルは、直ちに水素ラジカルと反応して水(HO)となる。酸素ラジカルと反応する水素ラジカルは、供給された水素ガスをエキシマレーザにより分解励起して得られた水素ラジカルと、直接供給された水素ラジカルとを含んでいる。生成された水は、水蒸気として次の工程(第3工程)に送られる。
流動床型反応容器201の底部に溜まったシリコンは、吹き込まれたアルゴンガスによって舞い上げられた後、上部から自由落下する。このとき、シリコンの落下と同期させてエキシマレーザを照射するとともに水素ガスおよび水素ラジカルを供給すると、シリコンのSi−Si結合が切断され、励起状態のシリコン原子は直ちに水素ラジカルと反応して水素化される。励起状態のシリコン原子と反応する水素ラジカルは、供給された水素ガスをエキシマレーザにより分解励起して得られた水素ラジカルと、直接供給された水素ラジカルとを含んでいる。シリコンの水素化により、最終的にシリコン水素化物(主にシラン(SiH)ガス)が生成される。生成されたシランガスは、流動床型反応容器201の上部から次の工程(第3工程)に送られる。
シリコンを水素化した後の処理(第3工程)は、図8に示す装置例1の場合と同様であるため、その説明を省略する。ただし、図9の例では、洗浄工程における微粉末の除去を、遠心分離を利用したサイクロン集塵機213によって行う場合を例示している。
なお、本装置例では、反応容器201内に水素ガスと水素ラジカルの双方を供給するようにしているが、反応容器201内に必要な量の水素ラジカルが確保される場合は、いずれか一方だけを供給することも可能である。
(実施の形態2)
実施の形態2は、第2工程(反応工程)における高純度シリカからのシリコンの生成を、実施の形態1ではレーザを用いて行うのに対し、大気圧プラズマエッチング処理を用いて行う場合である。
図11は、本発明の実施の形態2に係るシリコン製造方法における第2工程(反応工程)および第3工程(精製工程)の一構成例を示す工程フロー図である。なお、図11に示す工程フロー図は、実施の形態1に対応する図7に示す工程フロー図と同様の基本的構成を有しており、同一の工程には同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。また、第1工程(前処理工程)は、実施の形態1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
本実施の形態では、図11に示すように、ステップS25を図7に示す工程図に挿入し、ステップS20およびステップS30を削除している。
ステップS25では、大気圧プラズマエッチング処理を用いて高純度シリカの微粒子からシリコンを生成する。具体的には、例えば、高純度シリカを反応容器内に供給するとともに、CFガスを反応容器内に導き、電極またはコイルから高周波電力を供給してCFガスを分解してフッ素ラジカル(F)を発生させ、このフッ素ラジカルによって高純度シリカをエッチングする。CFガスによるSiOのエッチングの反応過程は、SiO+CF+F→SiF+COで表される。そして、この反応で生じたSiFガスとCOガスを二酸化炭素除去装置に導き、二酸化炭素除去装置内に設けられた熱交換器の表面をドライアイスとなる温度(−78.9℃)よりも少し低くかつSiF(沸点:−95.2℃)が液化しない温度範囲(例えば、−80〜−94℃程度)に設定しておくことで、COをドライアイスとして熱交換器に固着させてCOを分離する。そして、精製されたSiFガスを次のプラズマ反応装置(フッ素分離装置)に導き、水素ラジカルと反応させてシリコン(金属シリコン)を生成する(SiF+2H→Si+4HF)。なお、フッ素分離装置内の圧力は、大気圧であるため、気密性を厳密に保持するのは比較的容易である。また、反応自体に水が関与しないため、水の混入を容易に防止することができ、生成されたHFの反応性を低く抑えることができる(水の混入がないドライ状態では、HFの反応性は低い)。
図12は、本実施の形態における大気圧プラズマエッチング処理を行う装置構成の一例を示す概略図である。なお、図12に示す装置300は、図8に示す装置100と同様の構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
第1工程で製造された高純度シリカは、粉砕器101で微細に粉砕された後、反応容器301に供給される。反応容器301内には、CFガス供給装置303によってCFガスが供給される。反応容器301内に供給されたCFガスは、プラズマ発生器305により供給される高周波電力によって分解励起され、フッ素ラジカル(F)が発生する。プラズマ発生器305は、電極またはコイルを有し、高周波電力を反応容器301内に供給する機能を有する。反応容器301内の高純度シリカは、この時発生したフッ素ラジカルによってエッチングされる。このエッチング反応で生じたSiFガスとCOガスは、次の二酸化炭素除去装置307に送られる。なお、反応容器301内には、キャリアガスとして、アルゴンガス供給装置109によってアルゴンガスが供給されている。
二酸化炭素除去装置307は、内部に熱交換器309を有し、この熱交換器309を液体窒素(LN)で冷却する構造になっている。熱交換器309の表面は、ドライアイスとなる温度(−78.9℃)よりも少し低くかつSiF(沸点:−95.2℃)が液化しない温度範囲(例えば、−80〜−94℃程度)に設定される。したがって、二酸化炭素除去装置307に導かれたCOガスは、ドライアイスとして熱交換器309に固着されて分離される。熱交換器309に固着されたCOは、ドライアイスとして窒素ガス(GN)によりパージされ、溶解処理装置311に送られる。図12の例では、窒素ガスは、液体窒素を回収して加熱器313でガス状態にすることによって得られる。二酸化炭素除去装置307を通過して精製されたSiFガスは、次のフッ素分離装置315に送られる。
フッ素分離装置315には、水素ガス供給装置115aから水素ガスが供給されるとともに、水素ラジカル発生器129aから水素ラジカルが供給される。フッ素分離装置315内に供給されたSiFガスおよび水素ガスは、プラズマ発生器317により供給される高周波電力によって分解励起され、SiF+2H→Si+4HFの反応でシリコンを生成する。プラズマ発生器317は、プラズマ発生器305と同様に、電極またはコイルを有し、高周波電力をフッ素分離装置315内に供給する機能を有する。生成されたシリコン(Si)は、シリコン水素化装置としての反応容器111に移送される。また、生成されたHFガスは、溶解処理装置311に送られる。なお、フッ素分離装置315内には、キャリアガスとして、アルゴンガス供給装置109aによってアルゴンガスが供給されている。このアルゴンガス供給装置109aは、アルゴンガス供給装置109と同一の装置として構成することもできる。また、反応容器111にも、水素ガス供給装置115aから水素ガスが供給されるとともに、水素ラジカル発生器129bから水素ラジカルが供給されるようになっているが、水素ラジカル発生器129a、129bは、発生した水素ラジカルがその寿命時間内にフッ素分離装置315内および反応容器111内にそれぞれ供給されるよう、反応容器111およびフッ素分離装置315に十分近い位置にそれぞれ設けられている。この条件が満たされる限り、水素ラジカル発生器129a、129bを同一の装置で構成することも可能である。
溶解処理装置311は、二酸化炭素除去装置307からのドライアイスおよびフッ素分離装置315からのHFガスを水(HO)に溶解して処理する機能を有する。
反応容器111に移送されたシリコンは、図8に示す実施の形態1の装置例1の場合と同様に、エキシマレーザと水素ラジカルとで水素化され、最終的にシリコン水素化物(主にSiHガス)になる。以降、同じ工程を経て高純度シランおよび高純度シリコンを得る。
(実施の形態3)
実施の形態3は、第2工程(反応工程)における高純度シリカからのシリコンの生成を、実施の形態1ではレーザを用いて行い、実施の形態2では大気圧プラズマエッチング処理を用いて行うのに対し、溶融精錬装置を用いて行う場合である。
図13は、本発明の実施の形態3における第2工程(反応工程)および第3工程(精製工程)の一構成例を示す工程フロー図である。なお、図13に示す工程フロー図は、実施の形態1に対応する図7に示す工程フロー図と同様の基本的構成を有しており、同一の工程には同一のステップ番号を付し、その説明を省略する。また、第1工程(前処理工程)は、実施の形態1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
本実施の形態では、図13に示すように、ステップS35を図7に示す工程図に挿入し、ステップS20およびステップS30を削除している。
ステップS35では、溶融精錬装置を用いて高純度シリカ(SiO)からシリコン(Si)を生成する。具体的には、例えば、高純度シリカを電気炉に投入し、アルゴンガスでアーク放電させて高純度シリカを溶融させながら、メタンガス(CH)とアルゴンガスを電気炉内に吹き込んで精錬し、SiO+CH→Si+CO+HOの反応でシリコン(金属シリコン)を生成する。
図14は、本実施の形態における図13の第2工程を実現する装置構成の一例を示す概略図である。なお、図14に示す装置400は、図8に示す装置100と同様の構成を有しており、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
第1工程で製造された高純度シリカ3は、電気炉(溶融精錬装置)401に投入される。電気炉401に投入された高純度シリカは、電気炉401内をアルゴン(Ar)ガスでアーク放電させることにより溶融状態となる。この状態で、電気炉401内には精錬のためメタンガス(CH)とアルゴンガスが吹き込まれ、SiO+CH→Si+CO+HOの反応でシリコン(金属シリコン)が生成される。生成されたシリコンは、インゴット403として取り出される。また、生成された二酸化炭素(CO)と水(HO)は、ガスとなって放出される。このように、アルゴンガスは、他の不純物を除去するための精錬ガスとしても供給される。なお、電気炉401の電極405としては、高純度の炭素が使用される。
生成されたシリコンインゴット403は、所定の載置台407に置かれた状態で、ベルジャー型反応容器409内に供給される。ベルジャー型反応容器409内には、キャリアガスとしてのアルゴンガス(Ar)と、シリコンを水素化するための水素ガス(H)とが供給される。また、ベルジャー型反応容器409内には、炭酸ガスレーザとエキシマレーザとが同時に照射される。ベルジャー型反応容器409内のシリコンインゴット403は、炭酸ガスレーザにより加熱された後、エキシマレーザによりSi−Si結合が切断されて励起状態のシリコン原子が得られる。一方、これと同時に、ベルジャー型反応容器409内に供給された水素ガスは、同じくエキシマレーザによりH−H結合が切断されて水素ラジカルが得られる。したがって、Si−Si結合が切断されて励起状態となったシリコン原子は、直ちに水素ラジカルと反応して水素化される。この水素化により、最終的にシリコン水素化物(主にSiHガス)が生成される。生成されたSiHガスは、次の第3工程(精製工程)に送られる。
シリコンを水素化した後の処理(第3工程)は、実施の形態1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
なお、本実施の形態では、シリコンを水素化するための材料として、ベルジャー型反応容器409内に水素ガス(H)のみを供給するようにしているが、水素ラジカルの供給量を確保するために、実施の形態1と同様に、水素ガスに加えて水素ラジカル自体を供給するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、溶融精錬装置(電気炉401)を用いてシリコンインゴット403を得るようにしているが、シリコンインゴット403は、別の製造者から購入することも可能である。この場合、溶融精錬装置(電気炉401)は不要である。
本発明に係るシリコン製造方法は、プロセスを簡素化し、コストの低減と生産性の向上を大幅に図ることができるシリコン製造方法として有用である。
本発明の実施の形態1に係るシリコン製造方法の全体工程を示す図 珪質頁岩中の多孔質クリストラバイト結晶の電子顕微鏡写真を示す図 図1の第1工程(前処理工程)の一構成例を示す図 図3の構成例を視覚的に示す図 第1工程の主な段階における化学組成の一例を示す表 第1工程の主な段階におけるX線回折の一例を示す図 本発明の実施の形態1における第2工程(反応工程)および第3工程(精製工程)の一構成例を示す工程フロー図 図7の工程フローを実現する装置構成の一例を示す概略図 図7の工程フローを実現する装置構成の他の例を示す概略図 図9の反応容器の詳細図 本発明の実施の形態2に係るシリコン製造方法における第2工程(反応工程)および第3工程(精製工程)の一構成例を示す工程フロー図 本発明の実施の形態2における大気圧プラズマエッチング処理を行う装置構成の一例を示す概略図 本発明の実施の形態3に係るシリコン製造方法における第2工程(反応工程)および第3工程(精製工程)の一構成例を示す工程フロー図 本発明の実施の形態3における図13の第2工程を実現する装置構成の一例を示す概略図
符号の説明
1 珪質頁岩
3 高純度シリカ
100、200、300、400 シリコン製造装置
101、101a 粉砕器
103、111、301 反応容器
105、127 エキシマレーザ装置
107 炭酸ガスレーザ装置
109、109a アルゴンガス供給装置
113 水生成分離器
115、115a 水素ガス供給装置
117、129、129a、129b 水素ラジカル発生器
119、121、123、125 流量制御弁
131 洗浄装置
133 ガス乾燥器
135 ガス分離器
137、309 熱交換器
139 ガスホルダ
141 シリコン多結晶製造装置
201 流動床型反応容器
209、211 隔壁
213 サイクロン集塵機
303 CFガス供給装置
305、317 プラズマ発生器
307 二酸化炭素除去装置
311 溶解処理装置
313 加熱器
315 フッ素分離装置
401 電気炉
403 シリコンインゴット
405 電極
407 載置台
409 ベルジャー型反応容器

Claims (28)

  1. 二酸化ケイ素を含有しかつ多孔質で微細構造を有する原料を精製して高純度シリカを製造する第1工程と、
    前記第1工程で製造した高純度シリカを原料としてシリコンを生成し、得られたシリコンをレーザの照射により分解励起して、シリコンを水素化する第2工程と、
    前記第2工程で得られたシリコン水素化物を精製した後分解して高純度シリコンを生成する第3工程と、
    を有することを特徴とするシリコン製造方法。
  2. 前記第1工程で使用する原料は、クリストバライトを主成分とする珪質頁岩である、ことを特徴とする請求項1記載のシリコン製造方法。
  3. 前記第1工程は、
    原料としての珪質頁岩に対して焼成または過酸化水素水処理を行う焼成/過酸化水素水処理工程と、
    前記焼成/過酸化水素水処理工程の結果物に対して硫酸処理を行う硫酸処理工程と、
    前記硫酸処理工程の結果物に対してフッ化水素水処理を行うフッ化水素水処理工程と、
    前記フッ化水素水処理工程の結果物に対して塩酸処理を行う塩酸処理工程と、を有し、
    前記高純度シリカは、前記塩酸処理工程の結果物を洗浄・乾燥して得られる、
    ことを特徴とする請求項2記載のシリコン製造方法。
  4. 前記第1工程は、
    前記焼成/過酸化水素水処理工程の結果物に対して水酸化ナトリウム処理を行う水酸化ナトリウム処理工程、をさらに有し、
    前記硫酸処理工程は、
    前記水酸化ナトリウム処理工程の結果物に対して硫酸処理を行う、
    ことを特徴とする請求項3記載のシリコン製造方法。
  5. 前記第2工程は、
    前記第1工程で製造した高純度シリカを第1レーザの照射により分解してシリコンを生成するシリコン生成工程と、
    前記シリコン生成工程で生成したシリコンを第2レーザの照射により分解励起して、シリコンを水素化するシリコン水素化工程と、
    を有することを特徴とする請求項1記載のシリコン製造方法。
  6. 前記第2工程は、
    前記第1工程で製造した高純度シリカを粉砕して微細化する粉砕工程、をさらに有し、
    前記シリコン生成工程は、
    前記粉砕工程で微細化した高純度シリカを第1レーザの照射により分解してシリコンを生成する、
    ことを特徴とする請求項5記載のシリコン製造方法。
  7. 前記シリコン生成工程は、
    高純度シリカのSi−O結合を第1レーザの照射により切断することによって高純度シリカを分解してシリコンを生成する、
    ことを特徴とする請求項5記載のシリコン製造方法。
  8. 前記第2工程は、
    高純度シリカのSi−O結合切断時に解離された酸素原子を水素ラジカルと反応させて水として除去する解離酸素除去工程、
    をさらに有することを特徴とする請求項7記載のシリコン製造方法。
  9. 前記第1レーザの照射は、エキシマレーザまたはYAGレーザの照射である、ことを特徴とする請求項5記載のシリコン製造方法。
  10. 前記第1レーザの照射は、炭酸ガスレーザとエキシマレーザまたはYAGレーザとの同時照射である、ことを特徴とする請求項5記載のシリコン製造方法。
  11. 前記シリコン水素化工程は、
    シリコンのSi−Si結合を第2レーザの照射により切断することによってシリコンを分解励起し、得られた励起状態のシリコン原子を水素ラジカルと反応させてシリコンを水素化する、
    ことを特徴とする請求項5記載のシリコン製造方法。
  12. 前記第2レーザの照射は、エキシマレーザまたはYAGレーザの照射である、ことを特徴とする請求項5記載のシリコン製造方法。
  13. 前記第2レーザの照射は、炭酸ガスレーザとエキシマレーザまたはYAGレーザとの同時照射である、ことを特徴とする請求項5記載のシリコン製造方法。
  14. 前記シリコン生成工程と前記シリコン水素化工程とは、別々の反応容器で実施される、ことを特徴とする請求項5記載のシリコン製造方法。
  15. 前記シリコン生成工程と前記シリコン水素化工程とは、同一の反応容器で実施される、ことを特徴とする請求項5記載のシリコン製造方法。
  16. 前記第2工程は、
    前記第1工程で製造した高純度シリカを大気圧プラズマエッチング処理により分解してシリコンを生成するシリコン生成工程と、
    前記シリコン生成工程で生成したシリコンを第2レーザの照射により分解励起して、シリコンを水素化するシリコン水素化工程と、
    を有することを特徴とする請求項1記載のシリコン製造方法。
  17. 前記第2工程は、
    前記第1工程で製造した高純度シリカを粉砕して微細化する粉砕工程、をさらに有し、
    前記シリコン生成工程は、
    前記粉砕工程で微細化した高純度シリカを大気圧プラズマエッチング処理により分解してシリコンを生成する、
    ことを特徴とする請求項16記載のシリコン製造方法。
  18. 前記シリコン生成工程は、
    高純度シリカをフッ素ラジカルによりエッチングするエッチング工程と、
    前記エッチング工程の結果物から二酸化炭素を除去する二酸化炭素除去工程と、
    前記二酸化炭素除去工程で二酸化炭素を除去して得られた結果物を水素ラジカルと反応させてフッ素を分離することによりシリコンを生成するフッ素分離工程と、
    を有することを特徴とする請求項16記載のシリコン製造方法。
  19. 前記シリコン水素化工程は、
    シリコンのSi−Si結合を第2レーザの照射により切断することによってシリコンを分解励起し、得られた励起状態のシリコン原子を水素ラジカルと反応させてシリコンを水素化する、
    ことを特徴とする請求項16記載のシリコン製造方法。
  20. 前記第2レーザの照射は、エキシマレーザまたはYAGレーザの照射である、ことを特徴とする請求項16記載のシリコン製造方法。
  21. 前記第2レーザの照射は、炭酸ガスレーザとエキシマレーザまたはYAGレーザとの同時照射である、ことを特徴とする請求項16記載のシリコン製造方法。
  22. 前記第2工程は、
    前記第1工程で製造した高純度シリカを溶融精錬処理により分解してシリコンを生成するシリコン生成工程と、
    前記シリコン生成工程で生成したシリコンを第2レーザの照射により分解励起して、シリコンを水素化するシリコン水素化工程と、
    を有することを特徴とする請求項1記載のシリコン製造方法。
  23. 前記シリコン生成工程は、
    高純度シリカを電気炉に投入し、アーク放電により溶融させながら、所定の精錬用ガスを前記電気炉内に吹き込んで精錬することによりシリコンを生成する、
    ことを特徴とする請求項22記載のシリコン製造方法。
  24. 前記シリコン水素化工程は、
    シリコンのSi−Si結合を第2レーザの照射により切断することによってシリコンを分解励起し、得られた励起状態のシリコン原子を水素ラジカルと反応させてシリコンを水素化する、
    ことを特徴とする請求項22記載のシリコン製造方法。
  25. 前記第2レーザの照射は、エキシマレーザまたはYAGレーザの照射である、ことを特徴とする請求項22記載のシリコン製造方法。
  26. 前記第2レーザの照射は、炭酸ガスレーザとエキシマレーザまたはYAGレーザとの同時照射である、ことを特徴とする請求項22記載のシリコン製造方法。
  27. 前記第3工程は、
    前記第2工程で得られたシリコン水素化物から微粉末を除去する洗浄工程と、
    前記洗浄工程の結果物から水分を除去する乾燥工程と、
    前記乾燥工程の結果物から不純ガスを除去するガス分離工程と、
    前記ガス分離工程の結果物をシリコン多結晶製造装置により分解して高純度シリコンを生成する高純度シリコン生成工程と、
    を有することを特徴とする請求項1記載のシリコン製造方法。
  28. 前記第3工程は、
    前記ガス分離工程の結果物を高純度シランとして回収する高純度シラン回収工程、
    をさらに有することを特徴とする請求項27記載のシリコン製造方法。
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