JP2006186290A - 薄膜トランジスタ素子およびその製造方法 - Google Patents

薄膜トランジスタ素子およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2006186290A
JP2006186290A JP2005037728A JP2005037728A JP2006186290A JP 2006186290 A JP2006186290 A JP 2006186290A JP 2005037728 A JP2005037728 A JP 2005037728A JP 2005037728 A JP2005037728 A JP 2005037728A JP 2006186290 A JP2006186290 A JP 2006186290A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic electronic
film
electronic material
electrode
gate insulating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005037728A
Other languages
English (en)
Inventor
Haruo Kawakami
春雄 川上
Hisato Kato
久人 加藤
Masahiko Maeda
賢彦 前田
Kyoko Kato
恭子 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Holdings Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Electric Holdings Ltd filed Critical Fuji Electric Holdings Ltd
Priority to JP2005037728A priority Critical patent/JP2006186290A/ja
Publication of JP2006186290A publication Critical patent/JP2006186290A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】 有機TFT素子において、電荷移動をスムーズにし、高い移動度と周波数特性を実現する
【解決手段】 基板10上に配置されたゲート電極11と、該ゲート電極の少なくとも一部分の上に配置されたゲート絶縁膜12と、該ゲート絶縁膜の上において少なくとも一部が膜となるように形成され、ゲート電極による電位によって制御された電流を通す有機電子材料部17、13と、有機電子材料部に電流を流すためのソース電極15と、有機電子材料部に電流を流すためのドレイン電極14とを備えてなる薄膜電界効果トランジスタであって、ソース電極またはドレイン電極の少なくとも一方が、ソース電極とドレイン電極の間の有機電子材料部の厚さより小さい膜厚の有機電子材料部の膜17の上に配置される薄膜トランジスタ。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機電子材料を用いた薄膜トランジスタ素子およびその製造方法に関する。
近年、情報機器用に平面表示装置が用いられている。平面表示装置として広く用いられている透過型液晶表示装置は、液晶の光シャッター機能により、バックライトの光の通過・遮断を制御し、カラーフィルターを用いて色彩を得る。他の平面表示装置として有機EL表示装置が用いられている。この有機EL表示装置(あるいは有機LED表示装置)では各画素が個々に発光する(すなわち、自発光する)ため、視野角が広いという利点があるばかりでなく、バックライトが不要であることから薄型化が可能になり、フレキシブルな基板上に形成が可能である等、多くの利点を持っている。このため、有機EL表示装置は次世代の表示装置として期待されている。
これらの表示装置パネルの駆動方式は、大別して2つの種類に分けることができる。第一の駆動方式は、パッシブマトリックス型(あるいは、デューティー駆動方式、単純マトリックス方式)と呼ばれているものである。これは、複数のストライプ電極が行と列にマトリックス状に組み合わされ、行電極と列電極のそれぞれの交点に位置する画素を行電極と列電極に加えた駆動信号により発光させる。発光制御のための信号は、通常、行方向には1行毎に時系列で走査され、同一行の各列には同時に印加される。この方式においては、各画素には通常はアクティブ素子を設けず、行の走査周期のうち各行のデューティー期間にのみ発光制御するようにする。
第二の駆動方式は、各画素にスイッチング素子を持ち、ある行の走査周期が終了した後も、その行の発光が可能なアクティブマトリックス型と呼ばれるものである。例えば、100行×150列のパネル全面を100Cd/m2の表示輝度で発光させる場合を想定する。この場合、アクティブマトリックス型では各画素はほぼ常時発光しているため、画素の面積率や各種の損失を考慮しないものとすると、100Cd/m2で発光させれば良い。しかし、パッシブマトリックス型で同じ表示輝度を得ようとすると、各画素を駆動するデューティー比が1/100になり、そのデューティー期間(選択期間)のみが発光時間となるため、発光時間内の発光輝度を100倍の10000Cd/m2とする必要がある。
ここで、発光輝度を増すためには発光素子に流す電流を増大させればよい。しかし、例えば有機EL発光素子においては電流を増大させるとともに発光効率が低下することが知られている。この効率の低下により、アクティブマトリックス型の駆動方式とパッシブマトリックス型の駆動方式を同じ表示輝度で比較した場合、パッシブマトリクス型では相対的に消費電力が大きくなる。また、有機EL素子に流す電流を増すと、発熱等による材料の劣化が生じやすく、表示装置の寿命が短くなるという不都合がある。一方、これらの効率及び寿命の観点から最大電流を制限すると、同じ表示輝度を得るために発光期間を長くする必要が生じる。しかしながら、パッシブマトリックス型駆動方式での発光時間を定めるデューティー比はパネルの行数の逆数であることから、発光期間の延長は、表示容量(駆動ライン数)の制限に結びつく。これらの点から、大面積、高精細度のパネルを実現するにはアクティブマトリックス型の駆動方式を用いる必要があった。通常のアクティブマトリックス駆動の基本回路は、図2に示されるようにスイッチング素子として薄膜トランジスタ(TFT)素子を用いた方式が知られている。図2においては、陰極線Y1,117と陽極線X4、104により駆動TFT130を介して有機EL素子110を駆動する。この駆動TFT130のゲートには、制御TFT112のドレインが接続され、制御TFT112の開閉は、タイミング線X3,103およびデータ線Y2、116の電圧によって制御される。キャパシタ106は、駆動TFT130のゲート電圧を次の走査まで保持する働きをする。
大面積、高精細度に適したアクティブマトリックス型の駆動方式では、画素のスイッチング素子としてポリシリコンを用いたTFTが最も広く用いられている。しかしながら、例えば、ポリシリコンを用いるTFTを形成するプロセス温度は少なくとも250℃以上の高温であり、フレキシブルなプラスチック基板を用いることが困難である問題点がある。
こういった従来の表示装置パネルが有する種々の問題点に対処するため、従来から有機材料を用いる有機TFT素子を用いることが提案されている。
例えば特開2001−250680号公報(特許文献1)には、有機薄膜整流素子を有機薄膜発光部と直列に接続する事が開示されており、また、WO01/15233号パンフレット(特許文献2)には有機TFT素子により画素の駆動制御を行う事が開示されている。特許文献2の開示によれば、駆動素子が有機材料により構成されるため、低温での製造プロセスが可能であり、従ってフレキシブルなプラスチック基板を用いることが可能となる。また、安価な材料やプロセスを選定できるため低コスト化も可能となる。
特開2001−250680号公報 WO01/15233号パンフレット
しかしながら、このような有機TFT素子においては以下の問題があった。
即ち、有機TFT素子の代表的な構造は図3に示すようなボトムコンタクト構造と呼ばれるものと、図4に示すようなトップコンタクト構造と呼ばれるものに大別される。ボトムコンタクト構造においては、ゲート絶縁膜12上にソース電極15とドレイン電極14が直接、あるいは接着層を介して形成され、その後、有機電子材料膜13が形成される。一方、トップコンタクト構造においてはゲート絶縁膜12上に有機電子材料膜13が形成された後、その上にソース電極15とドレイン電極14が形成される。いずれの場合もゲート電極に印加されるゲート電圧により、有機電子材料膜のゲート絶縁膜に接した部分に電荷(キャリア)が誘起され、その電荷がソース電極とドレイン電極の間に印加された電圧により移動することにより電流が流れる。このソース電極とドレイン電極の間の電流経路はチャネル16と呼ばれるものである。チャネルは、通常ゲート絶縁膜に接した有機電子材料膜の数分子層の極薄い部分に形成される。
有機TFT素子に用いられる有機電子材料としてはペンタセン、チオフェン、へキシチオフェン系ポリマー、フルオレンチオフェン系ポリマー、銅フタロシアニン、フラーレンなどがあげられる。このうち特に低分子系のペンタセン、チオフェン、銅フタロシアニン、フラーレンなどの材料は、真空蒸着で形成された場合には多結晶薄膜となる。また、成膜条件や基板の種類によって結晶の配向性が異なり、それがトランジスタ特性に大きな影響を与えることが判明している。例えば、最も広く用いられているペンタセンの場合、ゲート絶縁膜に用いられる金属酸化物上では、分子の長手方向20a(図5)が基板の法線方向を向くように配向するのに対し、ソース電極やドレイン電極に用いられる金属膜上では分子の長手方向20bが基板平面に対して平行に配向することが知られている。ペンタセンの電気抵抗は分子に垂直方向が長手方向に対して高いため、電流がゲート絶縁膜に平行に流れる図3および図4の構造では、絶縁膜上の結晶配向は好適であるが、ボトムコンタクト構造とした場合は、ゲート絶縁膜とソース電極、ドレイン電極の境界部でのペンタセンの結晶性に乱れが生じ、そこでの電気抵抗が増大するという特性上の不具合が生じる。
トップコンタクト構造(図4)は、上記のようなボトムコンタクト構造の問題点を回避するための構造である。即ち、本構造においては、ペンタセン等の有機電子材料膜はゲート絶縁膜12上のみに形成されるため、結晶の配向に不連続性は生じない。このため、一般に、トップコンタクト構造における有機電子材料の電荷移動度はボトムコンタクト構造のものに比して高い値が得られる。しかしながら、ゲート絶縁膜上に形成される電流経路(チャネル16)とソース電極あるいはドレイン電極の間には有機電子材料膜があり、これが電気抵抗の増大を生じさせるという別の問題点があった。これは、前述のように、ペンタセン等の薄膜においては、分子長手方向の電気抵抗が分子垂直方向に比して高いことも一因となっている。この問題を軽減するために、有機電子材料膜の膜厚を小さくしようとしても、一般に有機材料薄膜は基板上で結晶が島状に成長するため、膜厚が小さい場合には有機電子材料が基板の全面を被覆できず、空間的欠陥を生じやすくなる。このような欠陥は、チャネル内の電流に対する電気抵抗を高くする(移動度を小さくする)ので、トランジスタ素子としての抵抗はかえって上昇することになる。このため、トップコンタクト構造においては有機電子材料膜は一定以上の厚さが必要であり、上記の問題を解決するには到っていない。
このように、ボトムコンタクト構造およびトップコンタクト構造のいずれの構造であっても、ソース電極またはドレイン電極とチャネルとの間に大きな電気抵抗が存在することとなり、静的な電気特性や高周波数信号への応答性に悪影響を及ぼしていた。特に図2に示すような多段のTFT素子を用いる場合や、表示領域の周辺部にTFT素子を用いた駆動回路を設ける場合には、電流経路の電気抵抗が大きいままでは、ゲート絶縁膜よりなる静電容量を充電する時定数が小さくならず、高い周波数特性を得られないという問題があった。
よって本発明の目的は、上述の点に鑑み、有機TFT素子において、ソース電極またはドレイン電極と、ゲート絶縁膜上のチャネルとの間での電荷移動をスムーズにし、チャネル部の高い移動度と、有機TFT素子の高い周波数での動作とを実現する手段を提供するものである。
本発明においては、基板上に配置されたゲート電極と、該ゲート電極の少なくとも一部分の上に配置されたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜の上に配置され、ゲート電極による電位によって制御された電流を通す有機電子材料部と、有機電子材料部に電流を流すためのソース電極と、有機電子材料部に電流を流すためのドレイン電極とを備えてなる薄膜電界効果トランジスタであって、有機電子材料部は、ソース電極またはドレイン電極とゲート絶縁膜との間において少なくとも一部が第1の膜厚の膜になるように形成され、ソース電極とドレインとの間のゲート絶縁膜上において少なくとも一部が第2の膜厚の膜となるように形成されており、第2の膜厚が第1の膜厚より大きいことを特徴とする薄膜トランジスタが提供される。
本発明においては、特に、第1の膜厚を20nm以下とすることが好適である。これにより、ソース電極、ドレイン電極とゲート絶縁膜上のチャネルとの距離が小さくなり、その部分における電気抵抗を抑制することが可能となる。
本発明においては、第2の膜厚が30nm以上であることが好適である。これにより、当該部分の有機電子材料膜の厚さを上記の範囲とすることにより、チャネル上の有機電子材料薄膜の連続性が確保され、チャネル部の電気電導特性を損なわなくすることが可能となる。
本発明においては、有機電子材料としては、ペンタセン、チオフェン、へキシチオフェン系ポリマー、フルオレンチオフェン系ポリマー、銅フタロシアニン、フラーレン等の材料が好適であるがそれに限定されるものではなく、多くの有機電子材料が適用可能である。
ゲート電極については、各種金属材料、有機導電性材料が適用可能であるが、基板への密着性やゲート絶縁膜の形成の容易さなどを勘案して決定される。例えば、タンタルは陽極酸化処理を行うことにより陽極酸化膜をゲート絶縁膜として使用することが出来るので、本目的には好適な材料となる。
ゲート絶縁膜としては、各種金属酸化物、例えばシリコン、アルミニウム、タンタル、チタン、ストロンチウム、バリウムなどの酸化物、これらの金属の陽極酸化膜、これら酸化物の混合酸化物を用いることが可能である。また、高分子材料、例えばポリスチレン、ポリビニールアルコール、ポリビニールフェノール、アクリルなどのポリマー材料も用いることが出来る。特に金属酸化物は高分子材料に比して誘電率が高い材料が多く、トランジスタを比較的低電圧で駆動することが可能であるという特徴を有する。これに対し高分子材料は比較的誘電率が低いため、高速応答性がよいという特徴がある。
ソース電極とドレイン電極については各種金属材料、有機導電性材料が適用可能であるが、例えば有機電子材料を移動する電荷がホール(正孔)である場合は、ソース電極でのホールの注入を促進し、かつドレイン電極での電子の注入を抑制するため、電極材料としては仕事関数の大きい金などの材料が多く用いられる。
また、これらの素子を形成する基板としては、各種のガラス基板の他、ポリイミド、PEEK、PETなどの高分子フィルムを用いることが出来る。
本発明においては、薄膜トランジスタの製造方法も提供される。すなわち 有機電子材料部に流れる電流をゲート電極の電位により制御する薄膜トランジスタの製造方法であって、基板上にゲート電極を配置するステップと、該ゲート電極の少なくとも一部分の上にゲート絶縁膜を配置するステップと、該ゲート絶縁膜の上に少なくとも一部が膜となるように有機電子材料部の一部を形成するステップと、ソース電極およびドレイン電極を形成するステップであって、前記膜の上にソース電極またはドレイン電極の少なくともいずれかを形成するステップと、前記膜の少なくとも一部に前記ソース電極から前記ドレイン電極まで有機電子材料を配置して、前記有機電子材料部の残りの部分を形成するステップとを含む薄膜トランジスタ素子の製造方法が提供される。
本発明の有機TFT素子においては、ソース電極、ドレイン電極と、ゲート絶縁膜上のチャネルとの電荷移動をスムーズにし、高い移動度と周波数特性を実現することが出来る。 また、本発明の有機TFT素子の製造方法により、高い移動度と周波数特性を実現する有機TFT素子を製造することができる。
本発明の実施の形態に係る有機TFT素子の構成を図1に例示する。本発明の構造においては、有機電子材料膜はゲート絶縁膜上に成膜される。このため、ボトムコンタクト構造(図3)の場合のようなソース電極やドレイン電極とゲート絶縁膜との境界において、有機電子材料の結晶配向が乱れることがない。またボトムコンタクト構造ではソース電極、ドレイン電極とチャネルの接点が電極の側面であるのに対し、本実施の形態の有機TFT素子の構造においては、ソース電極やドレイン電極の全面によりチャネルと電極とが接するため、電気抵抗は低減される。
一方、本発明の実施の形態に係る有機TFT素子をトップコンタクト構造(図4)と比較すると、ソース電極やドレイン電極とゲート絶縁膜との間にある有機電子材料膜の厚さd1(第1の膜厚)が小さく、ソース電極やドレイン電極と、ゲート絶縁膜上のチャネルとが近接しているので、電気抵抗は最小限に抑制される。ソース電極またはドレイン電極とゲート絶縁膜との間のチャネル部の有機電子材料膜の厚さとして実際に適切な厚みは有機電子材料の種類にも依存するが、概ね、有機電子材料の分子長さの数倍程度であり、例えばペンタセンの場合は5nm程度である。
本実施の形態では、ソース電極とドレイン電極との間のゲート絶縁膜上に配置された有機電子材料膜の膜厚d2(第2の膜厚)を30nm以上としている。これは以下の理由によるものである。即ち、有機電子材料薄膜を真空蒸着などの方法で形成する場合、薄膜は基板上で均一には成長せず、特に成長初期においては島状に、あるいはまだら状に成長する。このため平均膜厚が30nmより小さい場合、有機電子材料薄膜は空隙などの空間的欠陥が多くなる。このような膜を有機電子材料部としても、電流経路に多くの空隙が介在し、チャネルにおいて所望の電気伝導特性を得ることが出来ない。このため、本発明ではソース電極とドレイン電極との間のチャネル部の有機電子材料膜を30nm以上としているが、これにより、有機電子材料膜は連続した膜を形成する事を可能にしている。
この様子を、図6により説明する。図6は、本実施の形態における作製途中のTFT素子の様子を説明する断面図であり、同時に、図4のトップコンタクト構造で有機電子材料が薄い場合の結晶成長状態を示した説明図である。図6に示したように、有機電子材料膜17の膜厚を小さくすることにより、ドレイン電極14やソース電極(図示しない)をチャネル(図示しない)に近接するように配置し、しかも、同じ向きの有機電子材料の分子配向20aを実現することができる。この場合、図6に示したように、一般に有機材料薄膜は基板上で結晶が島状に成長するため、ゲート絶縁膜12上においても、同様に島状に成長する。このため、有機電子材料17の膜厚が小さい場合には有機電子材料17が基板の全面を被覆できず、空間的欠陥22が生じやすくなる。
図1に示したような実施の形態の有機TFT素子を製造する方法は、例えば、まずゲート絶縁膜上に有機電子材料膜17を真空蒸着などの方法で形成し、次にソース電極15とドレイン電極14を形成し、その後に有機電子材料膜13を形成することにより形成可能である。これにより、有機電子材料膜17が膜状に形成され、それと接するように有機電子材料膜13が形成されて、有機電子材料部が構成される。
図7は、本発明における有機電子材料の結晶配向、結晶成長を示した説明図である。ここで、ソース電極やドレイン電極とゲート絶縁膜との間の有機電子材料膜17は、図7に示すように膜厚が小さいため空間的欠陥22が生じやすいが、ソース電極15、ドレイン電極14の下の部分は各電極の蒸着時に電極材料23で埋められ、電荷流路が確保されるので問題は生じない。この場合には、有機電子材料膜中の電流経路として、電気抵抗の高い分子長手方向の経路が無くなるため、電気抵抗の抑制にはむしろ好適である。有機電子材料膜17中には、ゲート電極11の電位制御によってチャネル16が形成され、電流24が流れる。ここで、チャネル16上の空間的欠陥22は、ソース電極15やドレイン電極14を形成した後に成膜される有機電子材料膜13が有機電子材料膜17の結晶配向に従って成長を続けるため、有機電子材料膜13の成長に伴って埋められ、有機電子材料膜13の分子配向22aに沿った向きの分子配向25が実現する。これにより、欠陥22部においても電流24に対する良好な電気的な導通が確保される。このようにして、本発明においては、従来のボトムコンタクト構造、トップコンタクト構造の問題点を回避し、電流経路の電荷移動をスムーズにして、高い移動度と周波数特性を実現する手段を提供することが出来る。
すなわち、本実施の形態における有機TFT素子を作製するためには、まず、例えばガラス基板10上に適当な金属のゲート電極11を真空蒸着やスパッタなどの方法により成膜する。そして、ゲート電極11の上にゲート絶縁膜12を成膜する。これらは必要に応じてシャドウマスクやフォトプロセスによりパターニングされる。その後、有機電子材料膜を所要の厚さで成膜し、次にソース電極とドレイン電極を成膜する。しかる後、再度有機電子材料膜を成膜して、図1の構造の有機TFT素子を得る。
ガラス基板10上に通常のフォトプロセスとスパッタによりタンタルのゲート電極11を形成した。ゲート電極11の厚さは150nmとした。次にゲート電極11の上に陽極酸化膜を形成した。陽極酸化は1wt%ホウ酸アンモニウム溶液中で70V、50分の処理とした。これにより、Ta25を主成分とする膜厚80nmの陽極酸化膜12をゲート電極11の上に形成した。
次に、有機電子材料膜17を膜厚20nmの膜厚に成膜した。この有機電子材料膜17としては、ペンタセン(アルドリッチ社製)を用い、基板温度を60℃に保って真空蒸着により成膜した。その後、ソース電極15とドレイン電極14を、金をマスクデポにより蒸着した蒸着膜で形成した。このとき、金の膜の厚さは80nmとした。これにより、チャネル長は50μm、チャネル幅は1000μmとした。その後、有機電子材料膜13としてペンタセン(アルドリッチ社製)を真空蒸着により、さらに膜厚80nmだけ成膜した。この時の基板温度は60℃とした。
上記の成膜に用いた蒸着装置は拡散ポンプ排気で、蒸着は4×10-4Pa(3×10-6torr)の真空度で行った。また、金、ペンタセンの蒸着は抵抗加熱方式により成膜速度はそれぞれ10nm/sec、0.4nm/secで行った。なお、ペンタセン以外の成膜時の基板温度は室温とした。
基板としてn型シリコンを用い、これをゲート電極と兼用とし、その上の形成したシリコンの熱酸化膜(厚さ130nm)をゲート絶縁膜とした以外は、実施例1と同様にして実施例2の試料を得た。
ゲート酸化膜としてポリストレン樹脂膜をスピンコートにより塗布したもの(厚さ150nm)を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例3の試料を得た。
有機電子材料層17の膜厚を50nmとした以外は実施例1と同様にして実施例4の試料を得た。
[比較例1]
有機電子材料層17を用いず、ソース電極とドレイン電極を直接ゲート絶縁膜に形成した以外は実施例1と同様にして比較例1の試料を得た。
[比較例2]
有機電子材料層13を形成しない以外は実施例1と同様にして比較例2の試料を得た。
以上の各実施例、比較例の試料におけるTFT素子ではそれぞれpチャンネル型のトランジスタ動作が確認された。図8には代表例として実施例1の試料の特性を示す。また、各試料で得られた移動度と周波数特性を表1に示す。ここで、周波数特性は、ソース・ドレイン間の電圧を−10Vとし、ゲート電圧を−6V〜0Vの範囲で所定の周波数の正弦波で変調した時のソース・ドレイン間の電流の追従性から判断したものである。比較例で示したTFT素子はいずれも有機電子材料として相応の移動度は示しているが、周波数特性は100Hz以下でしかない。これに比して、本発明のTFT素子では移動度の改善は比較的小さいものの、周波数特性に大きな改善が認められる。これは、電流経路の電気抵抗が抑制された結果、ゲート絶縁膜よりなる静電容量を充電する時定数が小さくなり、高い周波数特性が得られた事を意味している。
Figure 2006186290
このように、本発明により、有機TFT素子において、ソース電極、ドレイン電極と、ゲート絶縁膜上のチャネルとの電荷移動をスムーズにし、高い移動度と周波数特性を実現することが出来た。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形、変更および組み合わせが可能である。
本発明におけるTFT素子の構造を例示する断面図である。 TFT素子による発光素子制御の等価回路を例示する回路図である。 従来の有機TFT素子の構造例(ボトムコンタクト構造)を示す断面図である。 従来の有機TFT素子の構造例(トップコンタクト構造)を示す断面図である。 ボトムコンタクト構造での有機電子材料の結晶配向を示した説明図である。 本実施の形態における作製途中のTFT素子の様子を説明する断面図であり、かつ、トップコンタクト構造で有機電子材料が薄い場合の結晶成長状態を示した説明図である。 本発明における有機電子材料の結晶配向、結晶成長を示した説明図である。 本発明の実施例1で得られたTFT素子の電気特性例を示す特性図である。
符号の説明
10 基板
11 ゲート電極
12 ゲート絶縁膜
13 有機電子材料膜
14 ドレイン電極
15 ソース電極
16 チャネル
17 有機電子材料膜
20 有機電子材料分子結晶
21 有機電子材料膜の表面
22 有機電子材料膜の空間的欠陥
23 有機電子材料膜へ拡散した電極材料
24 チャネル内の電流
25 2度目に蒸着された有機電子材料膜の有機電子材料分子結晶

Claims (4)

  1. 基板上に配置されたゲート電極と、
    該ゲート電極の少なくとも一部分の上に配置されたゲート絶縁膜と、
    該ゲート絶縁膜の上に配置され、前記ゲート電極による電位によって制御された電流を通す有機電子材料部と、
    前記有機電子材料部に電流を流すためのソース電極と、
    前記有機電子材料部に電流を流すためのドレイン電極と
    を備えてなる薄膜電界効果トランジスタであって、
    前記有機電子材料部は、前記ソース電極または前記ドレイン電極と前記ゲート絶縁膜との間において少なくとも一部が第1の膜厚の膜になるように形成され、前記ソース電極と前記ドレインとの間の前記ゲート絶縁膜上において少なくとも一部が第2の膜厚の膜となるように形成されており、
    前記第2の膜厚が前記第1の膜厚より大きいことを特徴とする薄膜トランジスタ。
  2. 前記第1の膜厚が20nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  3. 前記第2の膜厚が30nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  4. 有機電子材料部に流れる電流をゲート電極の電位により制御する薄膜トランジスタの製造方法であって、
    基板上にゲート電極を配置するステップと、
    該ゲート電極の少なくとも一部分の上にゲート絶縁膜を配置するステップと、
    該ゲート絶縁膜の上に少なくとも一部が膜となるように有機電子材料部の一部を形成するステップと、
    ソース電極およびドレイン電極を形成するステップであって、前記膜の上にソース電極またはドレイン電極の少なくともいずれかを形成するステップと、
    前記膜の少なくとも一部に前記ソース電極から前記ドレイン電極まで有機電子材料を配置して、前記有機電子材料部の残りの部分を形成するステップと
    を含む薄膜トランジスタ素子の製造方法。
JP2005037728A 2004-11-30 2005-02-15 薄膜トランジスタ素子およびその製造方法 Pending JP2006186290A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005037728A JP2006186290A (ja) 2004-11-30 2005-02-15 薄膜トランジスタ素子およびその製造方法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004345258 2004-11-30
JP2005037728A JP2006186290A (ja) 2004-11-30 2005-02-15 薄膜トランジスタ素子およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006186290A true JP2006186290A (ja) 2006-07-13

Family

ID=36739145

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005037728A Pending JP2006186290A (ja) 2004-11-30 2005-02-15 薄膜トランジスタ素子およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2006186290A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011165947A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Sony Corp 薄膜トランジスタおよび電子機器
JP5732595B2 (ja) * 2013-03-07 2015-06-10 Dic株式会社 有機薄膜、これを用いた有機半導体デバイスおよび有機トランジスタ

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004063978A (ja) * 2002-07-31 2004-02-26 Mitsubishi Chemicals Corp 電界効果トランジスタ
JP2004079623A (ja) * 2002-08-12 2004-03-11 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 有機薄膜電界効果トランジスター
JP2004128469A (ja) * 2002-07-31 2004-04-22 Mitsubishi Chemicals Corp 電界効果トランジスタ
JP2004235624A (ja) * 2003-01-30 2004-08-19 Changchun Scientific Research Center Of Applied Chemistry Chinese Acad Of Science ヘテロ接合型半導体電界効果トランジスタ及びその製造方法
JP2005223048A (ja) * 2004-02-04 2005-08-18 Ricoh Co Ltd 半導体装置、半導体装置の製造方法、および表示装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004063978A (ja) * 2002-07-31 2004-02-26 Mitsubishi Chemicals Corp 電界効果トランジスタ
JP2004128469A (ja) * 2002-07-31 2004-04-22 Mitsubishi Chemicals Corp 電界効果トランジスタ
JP2004079623A (ja) * 2002-08-12 2004-03-11 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 有機薄膜電界効果トランジスター
JP2004235624A (ja) * 2003-01-30 2004-08-19 Changchun Scientific Research Center Of Applied Chemistry Chinese Acad Of Science ヘテロ接合型半導体電界効果トランジスタ及びその製造方法
JP2005223048A (ja) * 2004-02-04 2005-08-18 Ricoh Co Ltd 半導体装置、半導体装置の製造方法、および表示装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011165947A (ja) * 2010-02-10 2011-08-25 Sony Corp 薄膜トランジスタおよび電子機器
JP5732595B2 (ja) * 2013-03-07 2015-06-10 Dic株式会社 有機薄膜、これを用いた有機半導体デバイスおよび有機トランジスタ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7807515B2 (en) Oxide semiconductor, thin-film transistor and method for producing the same
JP5041267B2 (ja) 薄膜電界効果トランジスタ、およびその製造方法
JP4811371B2 (ja) 有機薄膜トランジスターおよび有機薄膜トランジスターの作製方法
US8586979B2 (en) Oxide semiconductor transistor and method of manufacturing the same
CN100356576C (zh) 有机电致发光装置及其制造方法
US6836067B1 (en) Switching element having insulative film and organic film and electroluminescent element display device
JP4793679B2 (ja) 薄膜トランジスタ
US20060202196A1 (en) Transistor
JP2007311404A (ja) 薄膜トランジスタの製造方法
JP2006191044A (ja) 垂直型有機薄膜トランジスタ、垂直型有機発光トランジスタおよびディスプレイ素子
JP2003255857A (ja) 有機elディスプレイ
US10504731B2 (en) TFT substrate and manufacturing method thereof
JP4107328B2 (ja) 表示装置及びその駆動方法
CN110782805B (zh) 显示面板、形成显示面板的方法以及控制背光单元的方法
US6815710B2 (en) Organic electroluminescence unit
US7955154B2 (en) Flat panel display and method for manufacturing the same
JP2006186290A (ja) 薄膜トランジスタ素子およびその製造方法
JPH11109890A (ja) プラズマアドレス型有機el装置
CN107104111B (zh) 显示系统及其制造方法
JP2003316292A (ja) 表示装置
KR100502856B1 (ko) 유기 발광 소자
US20070171156A1 (en) Display device
JP2007134546A (ja) 薄膜トランジスタ
JP2002270378A (ja) エレクトロルミネッセンス素子
TW200410431A (en) Organic EL laminate type organic switching element and organic el display

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110603

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110802

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120228

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120706