JP2006185688A - 電子放出源組成物およびそれを用いて製造された電子放出素子 - Google Patents

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利夫 小林
Masahiro Fujikawa
正洋 藤川
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Abstract

【課題】 電子放出素子の電子放出特性の低下を抑止し、画素欠陥が生じにくい電子放出源組成物およびそれを用いて製造された電子放出素子を提供する。
【解決手段】 電子放出源組成物5aは、CNTと、ガラスフリットと、ポリグリシジルエーテル化合物とを含んでいる。また、電子放出源組成物は、エチルセルロースをさらに含んでおり、エチルセルロースに対するポリグリシジルエーテル化合物の質量比は10より大きいことが好ましい。
【選択図】 図6

Description

本発明は、電子放出源組成物およびそれを用いて製造された電子放出素子に関し、より特定的には、カーボンナノチューブ(CNT)を含む電子放出源組成物およびそれを用いて製造された電子放出素子に関する。
近年、新しい炭素材料であるCNTが、特に電子放出素子の電子放出源として用いられている。CNTは、炭素原子が規則的に配列されたグランフェンシートをチューブ状に丸めた中空の円筒形状を有し、外径がナノメートル(nm)オーダーで、長さが0.5〜数10μmという極めてアスペクト比が高い微小な物質である。このような形状のCNTでは、その先端に電界集中が起こり易く、高い放出電流密度が期待できる。また、CNTは、化学的、物理的安定性が高い特性を有するので、動作真空中の残留ガスの吸着やイオン衝撃等に対して安定であることが予想される。
CNTを用いた電子放出素子は、通常、以下の構造を有している。基板上にカソード電極がストライプ状に形成されており、カソード電極の上に絶縁膜が形成されており、絶縁膜上にゲート電極がストライプ状に形成されている。カソード電極とゲート電極とは互いに直交するように形成されている。ゲート電極および絶縁膜には、カソード電極に達する孔が開口されており、孔の底部のカソード電極上にCNTが林立するように形成されている。このような3電極構造の電子放出素子では、ゲート電極とカソード電極との間に電圧を印加することにより、カソード電極上に形成されているCNT(エミッタ)の先端に電界集中が発生し、その先端から電子が放出される。
電界放出素子においては、CNTと、フリットガラスと、バインダと、溶剤とを含む電子放出源組成物をカソード電極上に印刷し、この電子放出源組成物を乾燥および焼成することによって溶剤およびバインダを除去し、CNTのパターンが形成される。この電子放出源組成物として、たとえば特開2000−268707号公報(特許文献1)には、エチルセルロース(バインダ)をテルピネオール(溶剤)に溶解した溶液にCNTを混合し、よく分散したペーストが開示されている。また特開2003−303539号公報(特許文献2)には、CNTを含む炭素粒子を粉砕して作製した粉体に、ブチルカルビトールアセテートおよびブチルカルビトール(溶剤)と、エチルセルロース(バインダ)とを加えて混合し、さらにこの混合物にコロイダルシリカを分散した印刷ペーストが開示されている。
特開2000−268707号公報 特開2003−303539号公報
上述のように、従来においては、バインダとしてエチルセルロースのみを含む電子放出源組成物が用いられていた。しかしながら、従来の電子放出源組成物を用いて製造した電子放出素子には、電子放出特性が低いという問題があった。すなわち、電子放出源組成物に含まれるエチルセルロースは高い熱分解温度を有しており、バインダを除去するためには長時間の焼成が必要であった。このため、長時間の焼成によってCNTの一部が燃焼して消失し、得られる電子放出素子の電子放出特性が低下するという問題が生じていた。
また、従来の電子放出源組成物を用いて製造した電子放出素子には、画素欠陥が生じやすいという問題があった。すなわち、電子放出素子を製造する際には、10μm〜100μmレベルのファインパターンでCNTを形成することが必要である。ファインパターンでCNTを形成する方法としては、基板上に電子放出源組成物をベタ印刷した後で、研磨やサンドブラストなどの方法によって電子放出源組成物をファインパターンに成形する方法が用いられる。しかし、この方法を用いた場合には、バインダとしてのエチルセルロースと、基板との密着性が弱いために、研磨およびサンドブラストの際にCNTが基板から剥離し、画素欠陥が生じやすいという問題が生じていた。この問題は、特に大画面で100μmレベル以下のCNTパターンを形成する際に生じる問題である。
したがって、本発明の目的は、電子放出素子の電子放出特性の低下を抑止し、画素欠陥が生じにくい電子放出源組成物およびそれを用いて製造された電子放出素子を提供することである。
本発明の電子放出源組成物は、CNTと、ガラスフリットと、ポリグリシジルエーテル化合物とを含んでいる。
本発明の電子放出源組成物によれば、ポリグリシジルエーテル化合物はベンゼン環を含まない構造であるので、エチルセルロースよりも熱分解温度が低い。このため、バインダを除去するための焼成に必要な時間を短くすることができ、CNTが消失することを抑止できる。したがって、電子放出素子の電子放出特性の低下を抑止することができる。また、ポリグリシジルエーテル化合物はエポキシ基を含む構造であるので、エポキシ基を含まないエチルセルロースよりも基板との密着性が強い。このため、研磨およびサンドブラストの際にCNTが基板から剥離しにくくなり、画素欠陥が生じにくくなる。また、ガラスフリットを溶融して得られるガラスによって、CNTを基板上に固着することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態の電子放出源組成物は、CNTと、ガラスフリットと、ポリグリシジルエーテル化合物とを含んでいる。
CNTは、電子放出素子の電子放出源として機能する成分である。CNTとしては、たとえば単層カーボンナノチューブ(SWNT)、2層カーボンナノチューブ(DWNT)、または多層カーボンナノチューブ(MWNT)などが用いられる。CNTは、溶剤を除く固形成分比で1〜40質量%の割合で電子放出源組成物中に含有されることが好ましい。
ガラスフリットは、これを溶融して得られるガラスによってCNTを基板上に固着する役割を果たす。ガラスフリットは、CNT100質量部に対して1〜500質量部含有されていることが好ましい。
ポリグリシジルエーテル化合物は、CNTのバインダとして機能する。ポリグリシジルエーテル化合物としては、たとえば下記の式(1)〜(4)で表わされる化合物であることが好ましい。
Figure 2006185688
ここで、上記の式(1)〜(4)において、R1、R2およびR4〜R13はそれぞれ水素原子または下記の式(5)で表わされる基を示しており、
Figure 2006185688
1およびR2の少なくとも一方、R4〜R9のうち少なくとも1つ、R10〜R12のうち少なくとも1つ、並びに、R12およびR13の少なくとも一方が上記の式(5)で表わされる基を示しており、R3は水素原子またはメチル基のいずれか一方を示しており、mおよびnはそれぞれ0〜50の整数を示しており、xは1〜3の整数を示している。
さらに、ポリグリシジルエーテル化合物としては、たとえばポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、または1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルなどが用いられることがより好ましい。
また、本実施の形態においては、バインダとしてポリグリシジルエーテル化合物以外の物質が含有されていてもよい。バインダとしてたとえばエチルセルロースが含有されていてもよい。バインダとしてエチルセルロースをさらに含む場合には、エチルセルロースに対するポリグリシジルエーテル化合物の質量比は10より大きいことが好ましい。なお、本発明の電子放出源組成物がエチルセルロースを含有していても、バインダとしてポリグリシジルエーテル化合物を含有している分だけ従来に比べてエチルセルロースの含有量が減っているので、本発明の効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態においては、上記の物質の他に、ポリグリシジルエーテルを硬化させるための硬化剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、たとえばジエチレントリアミン、ベンジルジエチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、トリ−ブチルアミン、トリエタノールアミン、NN’−ジメチルピペラジンなどが用いられるが、他の公知の物質であってもよい。硬化剤は、ポリグリシジルエーテル化合物100質量部に対して1〜20質量部含有されていることが好ましい。なお、硬化剤は、電子放出源組成物を使用する直前に電子放出源組成物に添加混合されてもよい。
また、本実施の形態の電子放出源組成物においては、上記の物質を溶かすための溶剤をさらに含有していることが好ましい。溶剤としては、たとえばテルピネオール、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、テキサノール、ブチルカルビトール(BC)、トルエン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アニソール、またはN−メチルー2−ピロリドン(NMP)などが用いられる。
本実施の形態の電子放出源組成物は、たとえば、CNTと溶剤とによって構成されるCNTスラリーを作製し、このCNTスラリーと、ガラスフリットと、ポリグリシジルエーテル化合物と、溶剤とを所定の割合で混合することによって製造される。
本実施の形態の電子放出源組成物は、カーボンナノチューブと、ガラスフリットと、ポリグリシジルエーテル化合物とを含んでいる。
本実施の形態の電子放出源組成物によれば、ポリグリシジルエーテル化合物はベンゼン環を含まない構造であるので、エチルセルロースよりも熱分解温度が低い。これについて以下に詳細に説明する。
図1は、エチルセルロースの熱分解特性を示す図である。図1を参照して、従来、CNTのバインダとして用いられていたエチルセルロースでは、約300℃から熱分解が始まり、約360℃で大半の熱分解が終了し、最終的に約430℃以上の焼成温度が必要であることが分かる。このように、エチルセルロールは熱分解しにくい物質であるので、バインダとしてエチルセルロースのみを用いた場合には、バインダを除去するための焼成に長い時間を必要とする。
一方、図2は、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの熱分解特性を示す図である。図2を参照して、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルでは、約300℃〜350℃という低い温度で、ほぼ全てが熱分解することが分かる。
ところで、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルに類似した構造を有する物質として、ベンゼン環を含んでいるビスフェノールA構造が挙げられる。ビスフェノールA構造の代表例にはエピコート828がある。そこで、比較のために、エピコート828の熱分解特性を図3に示す。図3を参照して、エピコート828では、大半が熱分解するためには約500℃の焼成温度が必要であることが分かる。このことから、ポリグリシジルエーテル化合物はベンゼン環を含まない構造であるために、熱分解温度が低いということが分かる。
上記のように、ポリグリシジルエーテル化合物はエチルセルロースよりも熱分解温度が低いため、バインダを除去するための焼成に必要な焼成温度を低く、また焼成時間を短くすることができ、CNTが消失することを抑止できる。したがって、電子放出素子の電子放出特性の低下を抑止することができる。
また、本実施の形態の電子放出源組成物によれば、ポリグリシジルエーテル化合物はエポキシ基を含む構造であるので、エポキシ基を含まないエチルセルロースよりも基板との密着性が強い。このため、研磨およびサンドブラストの際にCNTが基板から剥離しにくくなり、画素欠陥が生じにくくなる。また、ガラスフリットを溶融して得られるガラスによって、CNTを基板上に固着することができる。
本実施の形態の電子放出源組成物において好ましくは、ポリグリシジルエーテル化合物は、上記の式(1)〜(4)で表わされる化合物のうち少なくとも1種である。上記の式(1)〜(4)において、R1、R2およびR4〜R13はそれぞれ水素原子または上記の式(5)で表わされる基を示し、R1およびR2の少なくとも一方、R4〜R9のうち少なくとも1つ、R10〜R12のうち少なくとも1つ、並びに、R12およびR13の少なくとも一方が上記の式(5)で表わされる基を示しており、R3は水素原子またはメチル基のいずれか一方を示しており、mおよびnはそれぞれ0〜50の整数を示しており、xは1〜3の整数を示している。
上記化合物は、いずれも炭素数が少ないので、バインダを除去するための焼成に必要な焼成温度をさらに低く、また焼成時間をさらに短くすることができ、CNTが消失することを効果的に抑止できる。
本実施の形態の電子放出源組成物において好ましくは、エチルセルロースをさらに含んでおり、エチルセルロースに対するポリグリシジルエーテル化合物の質量比は10以上である。
これにより、ポリグリシジルエーテル化合物のバインダとしての機能をエチルセルロースによって補うことができ、電子放出源組成物と基板との密着性を確保することができる。その結果、画素欠陥が生じにくくなる。また、エチルセルロースに対するポリグリシジルエーテル化合物の質量比を10より大きくとすることで、基板との密着性を確保することができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の電子放出素子の一構成を示す断面図である。図4に示すように、電子放出素子1は、3極構造であって、基板2と、カソード電極3と、絶縁膜4および6と、ゲート電極7と、電子放出源としてのCNT5とを備えている。基板2上にはカソード電極3が形成されており、カソード電極3を覆うように基板2上には絶縁膜4および6が形成されており、絶縁膜6上にはゲート電極7が形成されている。カソード電極7および絶縁膜6には孔8が形成されており、孔8の底部にはCNT5が形成されている。
電子放出素子1では、カソード電極3とゲート電極7との間に駆動電圧が印加される(ゲート電極7側に正の電位を与える)と、CNT5の表面に強い電場がかかり、CNT5の先端から電子が放出される。
基板2は、たとえば白板ガラス基板よりなっている。また、白板ガラス基板の他に、高歪点ガラス、石英、シリコン、アルミナ、またはセラミクスなどよりなっていてもよい。
カソード電極3はモリブデンよりなっている。また、モリブデンの他に、たとえば銀、アルミニウム、クロム、チタン、タングステン、チタンシリサイド、チタンナイトライド、金、銀、またはアルミ基合金などよりなっていてもよい。さらに、導電性のシリコンや酸化物透明電極であるインジウム錫酸化物(ITO)などよりなっていてもよい。
絶縁膜4および6は、たとえばシリコン酸化膜よりなっている。また、シリコン酸化膜の他に、たとえばガラス、シリコン窒化膜、シリコーンラダーポリマー、または耐熱性絶縁樹脂などよりなっていてもよい。
ゲート電極7はアルミニウムよりなっている。また、アルミニウムの他に、たとえば銀、クロム、チタン、モリブデン、タングステン、チタンシリサイド、チタンナイトライド、またはアルミ基合金などよりなっていてもよい。
次に、電子放出素子1の製造方法について、図5〜図8に基づいて説明する。
始めに、図5を参照して、基板2上にカソード電極3を形成し、カソード電極3上に所定の形状を有する絶縁膜4をパターニングする。
次に、図6を参照して、本発明の電子放出源組成物である電子放出源組成物5aを、絶縁膜5を覆うようにカソード電極3上にベタ印刷する。電子放出源組成物5aの印刷方法としては、たとえばスクリーン印刷、ディスペンサ、スプレー、コータ、またはディッピングなどを用いることができる。その後、電子放出源組成物5aを乾燥して、電子放出源組成物5aに含まれる溶媒を除去する。
次に、図7を参照して、たとえば研磨テープ処理やサンドブラストなどの方法を用いて、絶縁膜4の上面が露出する程度まで電子放出源組成物5aを研磨する。このとき、本発明の電子放出源組成物は密着性に優れているので、研磨の際に電子放出源組成物5aに力が加わっても、電子放出源組成物5aがカソード電極3から剥離することはない。
続いて、たとえば300℃〜350℃の温度の酸素雰囲気で、電子放出源組成物5aを1時間熱処理する。これによって、電子放出源組成物5aに含まれるバインダが熱分解して除去される。このとき、本発明の電子放出源組成物は低い温度で熱分解するので、焼成の際CNTに与えるダメージを少なくすることができる。続いて、たとえば520℃の窒素雰囲気で電子放出源組成物5aを1時間熱処理する。これによって、ガラスフリットが溶融してガラスとなり、CNT5がガラスによってカソード電極3上に固着される。
次に、図8を参照して、絶縁膜4およびCNT5を覆うように絶縁膜6を形成し、絶縁膜6上にゲート電極7を形成する。その後、図4を参照して、CNT5の上部からゲート電極7および絶縁膜6をエッチングすることにより、CNT5に達する孔8を形成する。なお、孔8を形成した後で、露出したCNT5の表面にレーザ照射やピーリング処理することでCNTを起毛してもよい。以上の工程によって、電子放出源組成物1が完成する。
本実施の形態の電子放出源組成物1は、実施の形態1の電子放出源組成物5aを用いて製造されている。これにより、電子放出素子1の電子放出特性の低下を抑止することができ、電子放出素子1に画素欠陥が生じにくくなる。その結果、良好な解像度を持つ電子放出素子が大画面で製造できる。
なお、本発明の電子放出素子は、実施の形態2に示す電子放出素子1およびその製造方法に限定されるものではない。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、電子放出源組成物を焼成した際のCNTのロスについて調べた。具体的には、以下の方法によって、本発明例1〜5および比較例1を製造した。
本発明例1:8質量%のCNTと、92質量%のテルピネオールとからなる混合物を、2mm径のジルコニアビーズを用いて粉砕した。次に、この混合物を遠心分離機にかけて、大半の溶剤を除去したCNTスラリーを作製した。次に、10質量%のCNTスラリーと、10質量%のガラスフリットと、バインダとして15質量%のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルと、2質量%のトリエタノールアミン(硬化剤)と、50質量%のテルピネオール50(溶剤)とを混合攪拌した後、大きな粒子をろ過して除去し、電子放出源組成物を得た。
本発明例2〜5:本発明例1と同様の方法によって製造した。但し、バインダとして15質量%のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを混合する代わりに、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルとエチルセルロースとの混合物をバインダとして15質量%混合した。ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルとエチルセルロースとの混合物は、エチルセルロースを10質量%含有するテルピネオールビヒクル(以下、10%エチルセルロースのテルピネオールビヒクルと示す)をポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルに添加することで作製した。
ここで、本発明例2〜5では、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルとエチルセルロースとの混合割合をそれぞれ変化させた。本発明例1〜5におけるポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルとエチルセルロースとの混合割合を表1に示す。
Figure 2006185688
比較例1:本発明例1と同様の方法で作製した10質量%のCNTスラリーと、10質量%のガラスフリットと、エチルセルロースが10質量%となる量の10%エチルセルロースのテルピネオールビヒクルとを3本ロールで混合攪拌した後、大きな粒子をろ過して除去し、電子放出源組成物を得た。
上記本発明例1〜5および比較例1の電子放出源組成物を基板上に印刷し、乾燥した。続いて、本発明例1では350℃の温度で1時間焼成し、バインダを除去した。また、本発明例2〜5では430℃で1時間焼成し、バインダを除去した。比較例1では430℃で3時間焼成し、バインダを除去した。その後、ガラスフリットを溶融し、ガラスによって基板上に固着されたCNTを得た。その結果、本発明例1〜5では、いずれもCNTのロスはなかった。一方、比較例1では、CNTのロスが15%あった。以上の結果から、本発明の電子放出源組成物によれば、CNTの消失を抑止できることが分かる。
(実施例2)
本実施例では、本発明の電子放出源組成物を用いて電子放出素子を製造した場合の画素欠陥について調べた。具体的には、上記実施例1における本発明例1〜5および比較例1の電子放出源組成物の各々を用いて、実施の形態2と同様の方法で電子放出素子をそれぞれ製造した。カソード電極3としてはAg(銀)を用いた。電子放出源組成物5aの印刷は、本発明例1〜5についてはスプレーコートによって行ない、比較例1についてはスクリーン印刷によって行なった。電子放出源組成物5aの研磨の際には2000番の研磨テープを用い、0.2g/mm2の面厚で研磨を行なった。
その結果、本発明例1および3〜5の電子放出源組成物を用いて製造された電子放出素子では、いずれもCNTが基板から剥離することはなく、画素欠陥は生じなかった。一方、本発明例2の電子放出源組成物を用いて製造された電子放出素子では、CNTの基板からの剥離が一部に見られた。また、比較例12の電子放出源組成物を用いて製造された電子放出素子では、CNTの基板からの剥離が多数見られ、画素欠陥が多数生じた。
以上の結果から、本発明の電子放出源組成物によれば、CNTが基板から剥離することを抑止でき、画素欠陥が生じにくくなることが分かる。また、エチルセルロースに対するポリグリシジルエーテル化合物の質量比が10より大きい場合に、画素欠陥が特に生じにくくなることが分かる。
以上に開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態および実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものと意図される。
エチルセルロースの熱分解特性を示す図である。 ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの熱分解特性を示す図である。 エピコート828の熱分解特性を示す図である。 本発明の電子放出素子の一構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態2における電子放出素子の製造方法の第1工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態2における電子放出素子の製造方法の第2工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態2における電子放出素子の製造方法の第3工程を示す断面図である。 本発明の実施の形態2における電子放出素子の製造方法の第4工程を示す断面図である。
符号の説明
1 電子放出素子、2 基板、3 カソード電極、4,6 絶縁膜、5 CNT、5a 電子放出源組成物、7 ゲート電極、8 孔。

Claims (4)

  1. カーボンナノチューブと、ガラスフリットと、ポリグリシジルエーテル化合物とを含む、電子放出源組成物。
  2. 前記ポリグリシジルエーテル化合物は、下記の式(1)〜(4)で表わされる化合物のうち少なくとも1種であり、
    Figure 2006185688
    上記の式(1)〜(4)において、R1、R2およびR4〜R13はそれぞれ水素原子または下記の式(5)で表わされる基を示し、
    Figure 2006185688
    1およびR2の少なくとも一方、R4〜R9のうち少なくとも1つ、R10〜R12のうち少なくとも1つ、並びに、R12およびR13の少なくとも一方が上記の式(5)で表わされる基を示しており、
    3は水素原子またはメチル基のいずれか一方を示し、
    mおよびnはそれぞれ0〜50の整数を示し、xは1〜3の整数を示す、請求項1に記載の電子放出源組成物。
  3. エチルセルロースをさらに含み、
    前記エチルセルロースに対する前記ポリグリシジルエーテル化合物の質量比は10より大きい、請求項1または2に記載の電子放出源組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電子放出源組成物を用いて製造された電子放出素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007299667A (ja) * 2006-05-01 2007-11-15 Mitsubishi Electric Corp 電子放出源の製造方法
JP2007311187A (ja) * 2006-05-18 2007-11-29 Mitsubishi Electric Corp 電子放出源の製造方法

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