JP2006184535A - ブラックマトリクス基板の製造方法および多層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 2層構造のブラックマトリクスを有するBM基板を低コストで製造する方法を提供する。
【解決手段】 撥液層42の形成に、静電吸引型のインクジェット装置61を用いる。従って、露光/現像を不要とできるので、工程数を減少できるとともに、撥液材42Aを節約できるので、BM基板21を低コストで製造できる。また、撥液層42の現像を行わないため、遮光層41のダメージを抑えられる。また、レジスト材料でない撥液材42Aを使用できる。また、インクジェット装置61の吐出口62の口径を0.01μm〜25μmとすることで、非常に幅の狭い撥液層42のパターン(幅25μm以下の細線)を、遮光層41上に容易に形成できる。従って、BM25の幅を小さくできる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、表示装置のカラーフィルターを形成するためのブラックマトリクス基板を製造する方法に関するものである。
近年、カラー液晶ディスプレイをより普及させるために、カラーフィルターをコストダウンすることが求められている。
そして、その具体的な手法として、カラーフィルターをインクジェット法によって作製する方法が検討されている。
この方法によるカラーフィルターの作製では、まず、光を遮る樹脂からなるブラックマトリクス(BM;遮光性樹脂パターン)を備えたガラス基板(ブラックマトリクス基板)を形成する。そして、インクジェット法によってBMの開口部にカラーインクを充填・乾燥させることとなる。
このような作製方法では、隣接する開口部間(隣接チャネル間)での混色(インクが混じりあうこと)を回避するために、インクに対して撥液性(インクをはじく性質)の高い材料をBMに用いることが検討されている。
例えば、特許文献1には、BMの材料として、インクに対して20°以上の接触角を有する材料を用いることが提案されている。
しかしながら、この技術では、BMの壁面と開口部との境界部分に、インクの充填されない白抜け領域が発生してしまう。
この問題を解決するため、例えば特許文献2には、BMを多層構造にする技術が開示されている。この技術では、BMにおけるガラス基板と接触する最下層を親液層(インクとの濡れ性の高い(インクになじみやすい)材料からなる層)で構成する一方、最上層を撥液層(インクに対する撥液性の高い材料からなる層)で構成している。
これにより、BMと開口部との境界にも十分にインクが充填されるため、白抜けを防止することが可能となる。
なお、特許文献2の技術では、図11に示すように、親液層125と撥液層126との幅が同一の場合、その境界部付近からインク液127が弾かれる。このため、開口部の中心部と端部とでインク膜の厚さが異なり、色むらの原因となる。
そこで、この技術では、図12に示すように、親液層125よりも撥液層126の幅を小さくすることも開示されており、この方法により、上記のような厚さの差を軽減できするようになっている。
特開平7−35917号公報(公開日;1995年2月7日) 特開2002−243931号公報(公開日;2002年8月28日)
しかしながら、特許文献2の技術では、BMを作製するために、露光/現像の工程を層数分だけ繰り返すフォトリソグラフィー技術を用いている。このため、下層となる親液層25を構成する樹脂に対し、現像によって大きなダメージを与えてしまい、BMのパターン精度が悪くなる。
さらに、一層を作製するためにかかる工程数が多い上、現像により大半の樹脂を除去するために材料の無駄が多い。このため、結果的にコスト高となっている。
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑みてなされたものである。そして、その目的は、上記のような2層構造のブラックマトリクスを有するブラックマトリクス基板を低コストで製造する方法を提供することにある。
本発明のブラックマトリクス基板の製造方法(本製造方法)は、
透明基板上に、カラーフィルターとなるインクを載せるための開口部と、開口部を取り囲む、遮光層および撥液層からなるブラックマトリクスとを配したブラックマトリクス基板の製造方法であって、
透明基板上に、遮光材料からなる遮光層を形成する遮光層形成工程と、
遮光層上に、遮光材料に比して上記のインクに対する撥液性の高い撥液材からなる撥液層を形成する撥液層形成工程とを含み、
この撥液層形成工程が、静電吸引型のインクジェット装置により遮光層上に撥液材を吐出する撥液材吐出工程を含み、
さらに、上記のインクジェット装置のノズル口径が、0.01μm〜25μmの範囲にあることを特徴としている。
本製造方法は、液晶表示装置などの表示装置に用いられる、カラーフィルターを形成するためのブラックマトリクス基板(BM基板)を製造するための方法である。
本製造方法に関するBM基板は、ガラスなどからなる透明基板上に、遮光材を含むブラックマトリクス(BM)を配したものである。そして、BMによって取り囲まれた領域を、カラーフィルターを形成する開口部として利用するようになっている。
すなわち、このBM基板は、カラーインクを開口部に充填し、これを乾燥・固化することによって、カラーフィルターを形成するように設計されている。
また、本製造方法で製造されるBM基板は、多層構造のBMを有するものである。すなわち、このBMは、透明基板と接触する遮光層と、この遮光層上に形成される撥液層から構成されている。
撥液層は、遮光層よりも、上記のカラーインクに対する撥液性の高い材料(撥液材)からなる層である。
従って、このBM基板では、BMと開口部との境界にも十分にインクを充填できるとともに、撥液層によって、隣接する開口部間でのインクの混色を回避できるようになっている。
なお、遮光層の材料としては、カラーインクに対する親液性の高いものを用いることが好ましい。
また、特に、本製造方法では、撥液層の形成工程を、静電吸引型のインクジェット装置によって遮光層上に撥液材を吐出することにより行うようになっている(撥液材吐出工程)。
従って、フォトリソグラフィー技術によって撥液層を形成する場合に必要な、露光/現像の工程を不要とできる。このため、製造工程数を大幅に減少させられるとともに、撥液材を大幅に節約できる。
これにより、ブラックマトリクス基板を低コストで提供することが可能となる。
また、撥液層に関する現像工程を行わないため、この現像工程による遮光層に対するダメージをなくせる。このため、BMのパターン精度の悪化を防止することも可能となる。
さらに、撥液層を構成する撥液材を、レジスト材料に限定する必要がない。従って、撥液材選定の自由度も向上できる。
また、特に、本製造方法では、撥液材を吐出するインクジェット装置として、「ノズル口径が0.01μm〜25μmの範囲にあるもの」を用いている。
従って、本製造方法では、撥液材を、極微小液滴で吐出することが可能である。このため、圧電素子を用いた従来の吐出方法では親撥水パターン処理を行わないと形成できないような、非常に幅の狭い撥液層のパターン(幅25μm以下の細線)を、遮光層上に容易に形成できる。
これにより、本製造方法では、25μm以下の幅を有する遮光層上にでも、撥液層をパターン形成できる。従って、幅の狭いBMを有する良好なBM基板を、インクジェット装置を用いて容易に形成することが可能となっている。
また、本製造方法では、遮光層上に撥液材を吐出した後、この撥液材を乾燥・固化することで、撥液層を得ることとなる。
ここで、この乾燥・固化については、撥液材に対する加熱(加熱乾燥)によって行える(撥液材加熱工程)。
この場合、撥液材として、主溶媒の蒸気圧(溶媒蒸気圧)の低いものを用いても、撥液材を十分に乾燥させられる。
また、BM基板の開口部にカラーインクを大量に充填したい場合(厚いカラーフィルターを形成したい場合)には、撥液層の厚みが足りないこともある。
このようなときには、上記した撥液材吐出工程および撥液材加熱工程を、この順序を保って繰り返すことで、厚い撥液層を形成できる。
また、撥液材吐出工程後に、遮光層上の撥液材を自然乾燥させた後、その上にさらに撥液材を重ね塗るようにしてもよい。この方法でも、厚い撥液層を形成できる。
なお、撥液材として溶媒蒸気圧の高いものを用いる場合、加熱しなくても撥液材を十分に乾燥させられるため、上記の加熱工程は不要である。
しかしながら、インクジェット装置によって様々な撥液材の吐出を試みた結果、インクジェット装置の流路および吐出口近傍の温度での溶媒蒸気圧(インクジェット装置から吐出されるときの溶媒蒸気圧)が、1torrを上回るような撥液材については、1000V以下の電圧印加条件で吐出できないことがわかった。これは、吐出前に、吐出口の近傍で撥液材が乾燥し、吐出口が詰まってしまうことが原因である。
このため、撥液材の溶媒蒸気圧を1torr以下とするように、流路および吐出口の近傍の温度を調整する、あるいは流路および吐出口の近傍温度での溶媒蒸気圧が1torr以下の撥水材を使用することで、上記の目詰まりを防止することが好ましい。また、室温での溶媒蒸気圧が1torr以下の、より乾燥しにくい撥液材を使用すれば、もっと確実に目詰まりを防げる。
また、撥液材としては、室温で液体であることが好ましい。これにより、撥液材の取り扱いが容易となる。
従って、インクジェット装置によって吐出する(撥液材吐出工程で使用する)撥液材としては、以下の(1)(2)の条件を満たすものを用いることが好ましいといえる。
(1)室温で液体である。
(2)インクジェット装置の流路および吐出口近傍の温度での主溶媒の蒸気圧が、1torr以下となる。
また、本製造方法では、遮光層についても、静電吸引方式のインクジェット装置によって形成してもよい。この場合には、液状の遮光材料をインクジェット装置によって透明基板に吐出すること(遮光材吐出工程)で、遮光層を形成する。
この方法では、フォトリソグラフィー技術を用いて遮光層を形成する場合に必要な、露光/現像の工程を不要とできる。このため、製造工程数を大幅に減少させられるとともに、遮光材を大幅に節約できる。
また、静電吸引方式のインクジェット装置を用いているため、ピエゾ方式のインクジェット装置を用いる場合に必要な、透明基板に対する親撥水パターンの形成を不要とできる。従って、透明基板上に遮光材を直接吐出(描画)できるので、製造工程を大幅に簡略化できる。
これにより、ブラックマトリクス基板を低コストで提供することが可能となる。
また、この場合、透明基板上に遮光材を吐出した後、この遮光材を乾燥・固化することで、遮光層を得ることとなる。
ここで、この乾燥・固化を、遮光材に対する加熱(加熱乾燥)によって行うことが好ましい(遮光材加熱工程)。
この場合、遮光材として溶媒蒸気圧の低いものを用いても、遮光材を十分に乾燥させられる。
なお、上記のような液状遮光材料としては、例えば、金属粒子を含有してものを用いることが可能である。また、この場合、金属粒子の径については、1nm〜1000nmであることが好ましい。
なお、インクジェット方式では液滴を吐出するため、着弾した液状の遮光材料は、透明基板上に濡れ広がる。このため、厚い遮光層の形成は難しいとされる。
そこで、厚い遮光層を形成するために、上記した遮光材吐出工程および遮光材加熱工程を、この順序を保って繰り返し行う(重ね塗りを行う)ことが好ましい。
ここで、重ね塗りによって単純に吐出量を増やすだけでは、遮光材の表面張力との兼ね合いから、透明基板上の遮光材パターンの線幅が、所望値よりも太くなってしまうことがある。
このため、重ね塗りについては、前に描画したパターンをある程度乾燥させた後に行うことが好ましい。
また、透明基板を保持する部材に、加熱機構(オーブン等)を設けてもよい。これにより、透明基板を加熱することで、液状の遮光材料のパターンを、乾燥を進めながら(濡れ広がりを抑制しながら)描画できる。
従って、液状の遮光材料を大量に吐出しても、濡れ広がる前に乾燥・固着させられる。これにより、先に塗った量を上回る吐出量で重ね塗りを行えるので、重ね塗り回数を減らし、製造タクトを短くできる。
このとき、透明基板付近での湿度が低くなりすぎると、透明基板の表面抵抗値が上がる。このため、帯電電荷を除電できなくなって、パターン精度を悪くしてしまうことがある。従って、透明基板の近傍の湿度に注意するとともに、加熱温度を調整することが好ましい。
なお、透明基板としてガラス基板を用いる場合であって、この基板を加熱しながら液状の遮光材料のパターンを重ね塗りする場合、透明基板の近傍の湿度に関しては、60%以上に保持しておくことが好ましい。
このように、湿度を60%以上とすれば、ガラスの透明基板を十分に高温にしても、透明基板における表面抵抗値の上昇を回避できる。
さらに、最初に描画された液状の遮光材料が導電材となり、帯電電荷を除電する役割をはたす。従って、反発電界により吐出液滴が飛散するなどの問題を回避できる。
また、湿度を60%以上とすることで、インクジェット装置の着弾精度を向上することも可能である。
すなわち、インクジェット装置のような静電吸引型のインクジェット装置では、表面抵抗の高い絶縁性基板に吐出材を吐出する場合、吐出口からの放電や、着弾後の吐出材の帯電により、反発電界の生じることがある。そして、このような反発電界は、着弾制度を悪くする原因となる。
しかし、ガラスからなる透明基板(ガラス基板)は、湿度により表面抵抗率が変わる。このため、上記したように湿度を60%以上に保つことにより、ガラス基板の表面抵抗を下げ、帯電電荷を逃がせる。これにより、着弾制度の劣化を防止できる。
また、本製造方法では、遮光層上に、インクジェット装置によって撥液材を吐出することとなる。このため、遮光層(および液状の遮光材料)を感光性樹脂等の絶縁性材料から構成する場合、透明基板に対する吐出と同様に、反発電界が生じ、製造タクトが落ちる可能性がある。
このため、遮光層としては、表面抵抗率の小さなものを選択することが好ましい。これにより、製造タクトの減少を防止できる。
なお、遮光層として、表面抵抗率を1011Ω/□以下のものを選択しておけば、撥液材のパターンを乱れることなく描画できることを確認している。
また、上記したように、遮光層と開口部との境界近傍にまで撥液層が形成されていると、開口部とBM(遮光層)との境界部分で、開口部内に充填されるカラーインクが弾かれてしまう。従って、開口部の中心部と端部とでインク膜の厚さが異なり、色むらの原因となる。
このため、本製造方法でも、撥液層を、遮光層の上面の中央部分に形成することが好ましい。これにより、上記のような色むらを抑制できる。
また、この場合、遮光層の上面における中央部分(撥液材の吐出される部分)を、他の部分よりも高くなるように、遮光層を形成することが好ましい。この場合、遮光層は、例えば、「かまぼこ型(ほぼ半円状)」の断面を有する形状や、上面の中央部分の突出した形状となる。
この構成では、インクジェット装置によって撥液材を吐出するとき、遮光層における盛り上がった中央部分に、インクジェット装置からの電界が集中する。このため、撥液材を、確実に遮光層の中央近傍へ着弾させられる。
従って、撥液層の形成精度を向上できるので、遮光層と開口部との境界近傍に撥液層を近づけてしまうことを回避できる。
これにより、この境界において、撥液層によってカラーインクをはじいてしまうことを防止できる。このため、カラーフィルターの厚さを均一に保てるので、その信頼性をより高められる。
なお、本製造方法において遮光層の表面抵抗率を1011Ω/□以下とすることの好ましい理由は、反発電界を抑制するためである。
すなわち、静電吸引型のインクジェット装置を用いる場合、液滴の吐出先部材の表面抵抗が高いと、吐出時における吐出口からの放電や、着弾後の吐出材の帯電により、反発電界の生じることがある。そして、このような反発電界は、着弾制度を悪くする原因となる。そして、このような反発電界は、吐出先部材の表面抵抗率を1011Ω/□以下とすることで、十分に防止することが可能である。
従って、BM基板の製造以外でも、静電吸引型のインクジェット装置を用いる場合、反発電界を防止するために、吐出先の部材の表面抵抗率を1011Ω/□以下とすることが好ましいといえる。
また、同様に、静電吸引型のインクジェット技術を用いて複数の層を積層した多層体(積層体)を製造する場合、最上層以外の層の材料として、表面抵抗率が1011Ω/□以下の材料を用いることが好ましい。これにより、先に積んだ層からの反発電界を防止できるので、積層精度を高められる。
以上のように、本発明のブラックマトリクス基板の製造方法(本製造方法)は、
透明基板上に、カラーフィルターとなるインクを載せるための開口部と、開口部を取り囲む、遮光層および撥液層からなるブラックマトリクスとを配したブラックマトリクス基板の製造方法であって、
透明基板上に、遮光材料からなる遮光層を形成する遮光層形成工程と、
遮光層上に、遮光材料に比して上記のインクに対する撥液性の高い撥液材からなる撥液層を形成する撥液層形成工程とを含み、
この撥液層形成工程が、静電吸引型のインクジェット装置により遮光層上に撥液材を吐出する撥液材吐出工程を含み、
さらに、上記のインクジェット装置のノズル口径が、0.01μm〜25μmの範囲にあることを特徴としている。
本製造方法では、撥液層の形成工程を、静電吸引型のインクジェット装置によって遮光層上に撥液材を吐出することにより行うようになっている(撥液材吐出工程)。
従って、フォトリソグラフィー技術によって撥液層を形成する場合に必要な、露光/現像の工程を不要とできる。このため、製造工程数を大幅に減少させられるとともに、撥液材を大幅に節約できる。
これにより、ブラックマトリクス基板を低コストで提供することが可能となる。
また、撥液層に関する現像工程を行わないため、この現像工程による遮光層に対するダメージをなくせる。このため、BMのパターン精度の悪化を防止することも可能となる。
さらに、撥液層を構成する撥液材を、レジスト材料に限定する必要がない。従って、撥液材選定の自由度も向上できる。
また、特に、本製造方法では、撥液材を吐出するインクジェット装置として、「ノズル口径が0.01μm〜25μmの範囲にあるもの」を用いている。
従って、本製造方法では、撥液材を、極微小液滴で吐出することが可能である。このため、圧電素子を用いた従来の吐出方法では親撥水パターン処理を行わないと形成できないような、非常に幅の狭い撥液層のパターン(幅25μm以下の細線)を、遮光層上に容易に形成できる。
これにより、本製造方法では、25μm以下の幅を有する遮光層上にでも、撥液層をパターン形成できる。従って、幅の狭いBMを有する良好なBM基板を、インクジェット装置を用いて容易に形成することが可能となっている。
本発明の一実施形態について説明する。
本実施の形態にかかる液晶表示装置(本表示装置)は、バックライト光を利用した透過表示によって表示を行う、透過型の表示装置である。
まず、本表示装置の構成について説明する。
図2は、本表示装置の概略構成を示す断面図である。
この図に示すように、本表示装置は、対向基板11と画素基板12との間に、液晶層13を挟んだ構成を有している。
図2に示すように、対向基板11は、ブラックマトリクス基板(BM基板)21の外側に位相差板22,偏光板23を備え、BM基板21内にカラーフィルター26を配した構成である。
位相差板22は、自身を透過する光の偏光状態を調整するものである。
偏光板23は、特定の偏光成分の光だけを透過させるものである。
BM基板21は、ガラス基板24の内側(液晶層13側)に、ブラックマトリクス(BM)25を配した構成である。
BM25は、画素間に対応する部分に設けられた遮光部材であり、各カラーフィルター26を分離して、表示のコントラストを高める機能を有している。
カラーフィルター26は、自身を透過する光の色を選択するものであり、赤(R)フィルタ,緑(G)フィルタ,青(B)フィルタのいずれかから構成されている。
各R,G,Bフィルタは、それぞれ、R,G,Bのカラーインクから構成されており、入射光の赤色成分,青色成分,緑色成分,黄色成分(赤と緑の両色成分)のみを透過させるようになっている。
なお、カラーフィルター26は、それぞれ、本表示装置の1つの画素部分(BM基板21のBM25間)に、1つづつ配されている。
また、対向基板11におけるBM基板21の内側には、図示しない透明な共通電極が設けられている。
一方、画素基板12は、透明基板31の外側に位相差板32,偏光板33,バックライト(外部光源)36を備え、また、透明基板31の内側に画素電極35を備えた構成である。
位相差板32は、位相差板22と同様に、自身を透過する光の偏光状態を調整するものである。
偏光板33は、偏光板23と同様に、特定の偏光成分の光だけを透過させるものである。
バックライト36は、透過表示において利用されるLEDである。
画素電極35は、ITOなどの透明な導電材料からなる電極である。
そして、本表示装置では、画像信号に応じて画素電極35に印加する電圧を制御することで、所望の表示を得るようになっている。
次に、本表示装置の特徴的な構成である、BM基板21について説明する。
図3は、BM基板21の構成を示す部分断面図である。
この図に示すように、BM基板21は、ガラス基板24における画素間に対応する部分に、BM25をなす遮光層41および撥液層42をこの順に重ねた構成を有している。また、画素に対応する部分は、BM25のない開口部43となっている。
遮光層(遮光性パターン)41は、親液性(カラーインクとの濡れ性)の高い遮光部材からなるパターンであり、ガラス基板24上に直接に載せられるものである。
撥液層(撥液パターン)42は、撥液性材料(撥液材;カラーインクに対する撥液性の高い材料)からなるパターンであり、遮光層41の上面の中央部分に配されるものである。また、図3に示すように、撥液層42の幅は、遮光層41よりも小さくなっている。
図4は、開口部43にカラーフィルター26を配した状態のBM基板21を示す説明図である。
この図に示すように、BM基板21では、BM25の下層に遮光層41を用いているため、BM25と開口部43との境界部分にも、カラーインクを十分に充填できる。従って、カラーフィルター26を、開口部43の全域に形成することが可能となっている。
また、BM基板21では、遮光層41の上に撥液層42を積層しているため、カラーインクがBM25を越えて隣接する画素に流れることを回避できている。このため、隣接画素間の混色を防止できるようになっている。
次に、このBM基板21の製造方法について説明する。
図1は、この製造方法を示す説明図である。
BM基板21の製造では、まず、図1(a)に示すように、ガラス基板24上に、遮光材層(遮光性パターン層)41Aを形成する(遮光層形成工程)。
この遮光材層41Aについては、ポジ型の感光性樹脂からなる遮光材料を塗布(スピンコート)し、その後、例えばオーブンなどで加熱して仮硬化することにより形成できる。
また、遮光材層41Aをなす遮光材料としては、カラーフィルター26となるカラーインク(後に充填するインク)に対する親液性の高いものを用いる。
次に、図1(b)に示すように、所望のパターンを有するフォトマスク51を用いて、遮光材層41Aを露光する。この露光では、遮光材層41Aをなす感光性樹脂材料の感度に合致した波長の光(hν)を放射する露光装置を用いる。
次に、図1(c)に示すように、露光した遮光材層41Aを現像液に浸漬する。これにより、遮光材層41Aにおける露光部分が溶け出す一方、フォトマスク51で遮光された部分が残る。
その後、現像液を洗い流すためにリンスを行い、加熱乾燥によって本硬化することにより、ほぼ矩形の断面を有する遮光層41を得る。
次に、図1(d)に示すように、遮光層41の上面における中央部分に、撥液層42の材料となる撥液材42Aを、インクジェット装置61によって吐出する。これにより、遮光層41の上面に、撥液材42Aの微細なパターンを形成する(撥液層形成工程,撥液材吐出工程)。
ここで、撥液材42Aは、撥液性樹脂を溶媒に溶かしてなるものである。この撥液材42Aとしては、開口部43に充填するカラーインク(カラーフィルター26となるもの)に対する撥液性(撥液性樹脂の撥液性)の高いものを用いる。
また、インクジェット装置61としては、1pL以下の微小な液適量を調整できる、静電吸引型のものを用いる。静電吸引型のインクジェット装置61は、電圧印加により帯電された流体を、静電吸引により、液滴の状態でノズルの流体吐出口(吐出孔)62から吐出させるものである。
また、インクジェット装置61の吐出口62の口径(孔径)は、φ0.01μm〜25μmの範囲で、撥液材42Aのパターン幅(線幅)にあわせて、適宜選定する。
また、撥液材42Aの吐出量については、遮光層41の上面からの濡れ広がりにより、遮光層41の側面(壁面)や開口部43に付着しないように、適宜調整する(この調整については、電圧印加条件を制御することによって行う)。
次に、図1(e)に示すように、遮光層41,撥液材42Aのパターンを形成したガラス基板24に加熱乾燥処理を行う(撥液材加熱工程)。これにより、撥液材42Aの溶媒を蒸発させて、その撥液性を高め、撥液層42を得る。加熱乾燥には、例えばオーブン,ホットプレート等を用いる。
これにより、遮光層41の上面に撥液層42の微細パターンを有する、BM基板21の製造が完了する。
なお、上記の製造方法では、撥液材42Aのパターン形成後、図1(e)に示したような加熱乾燥処理を行うとしている。しかしながら、撥液材42Aとして主溶媒の蒸気圧(溶媒蒸気圧)の高いものを用いる場合、加熱しなくても撥液材42Aを十分に乾燥させられるため、この処理は不要である。
しかしながら、インクジェット装置61によって様々な撥液材42Aの吐出を試みた結果、吐出口62から吐出されるときの溶媒蒸気圧が1torrを上回るような撥液材42Aについては、1000V以下の電圧印加条件で吐出できないことがわかった。これは、吐出前に、吐出口62の近傍で撥液材42Aが乾燥し、吐出口62が詰まってしまうことが原因である。
このため、撥液材42Aの溶媒蒸気圧を1torr以下とするように、流路および吐出口62の近傍の温度を調整する、あるいは流路および吐出口62の近傍温度での溶媒蒸気圧が1torr以下の撥液材を使用することで、上記の目詰まりを防止することが好ましい。また、室温での溶媒蒸気圧が1torr以下の、より乾燥しにくい撥液材を使用すれば、もっと確実に目詰まりを防げる。
また、撥液材42Aとしては、室温で液体であることが好ましい。これにより、撥液材42Aの取り扱いが容易となる。
従って、撥液材42Aとしては、以下の(1)(2)の条件を満たすものを用いることが好ましいといえる。
(1)室温で液体である。
(2)インクジェット装置61の流路および吐出口62の近傍の温度での溶媒蒸気圧が、1torr以下となる。
なお、目詰まりを防げる程度に乾燥しにくい撥液材42Aを使用する場合、その溶媒は、自然乾燥では十分には蒸発されない。このため、撥液材42Aを遮光層41上に載せただけでは、撥液材42Aに溶解された撥液性樹脂の撥液性を十分に発揮させられない。そのため、図1(e)に示したような、加熱乾燥工程を施すことが好ましい。
ここで、上記した製造方法の実施例(実施例1)について説明する。
実施例1では、200mm×200mmのガラス基板24を使用し、また、遮光材層41Aの遮光材料として、ポジ型の黒色レジスト(クラリアントジャパン株式会社:AZ−TFP300シリーズ))を使用した。
そして、黒色レジストを1.5μmの厚さになるようにガラス基板24上にスピンコートし、オーブンにて100℃,20分間のプリベークを行うことにより、遮光材層41Aを作製した。
また、遮光材層41Aに対する現像・リンスの後、オーブンにて120℃,20分のホストベークを行うことにより、幅20μmの遮光層41を作製した。このとき、ガラス基板24に形成する開口部43(パターン開口部)のチャネルサイズを、200μm×600μmとした。
その後、マルチノズル静電吸引型のインクジェット装置61を用いて、フロロテクノロジー社製撥液材(FG−1010シリーズ:室温での溶媒蒸気圧1torr以下)を撥液材42Aとして、遮光層41上に、撥液材42Aのパターンを形成した。
このとき、インクジェット装置61の吐出口62の口径を、φ5μmとした。そして、吐出電圧としてAC±300V、周波数1kHzを用い、インクジェット装置61のヘッド部(後述)を5mm/secで移動させた。これにより、線幅約5μmの撥液材42Aのパターンを形成することができた。
その後、150℃,40分でベークすることにより、撥液材42Aの溶媒を蒸発させ、撥液性を向上させて撥液層42を得た。なお、ベーキング温度を150℃に設定したのは、撥液材42Aの樹脂成分にダメージを与えないためである。
このようにして得られたBM基板21では、ガラス基板24,遮光層41,撥液層42のカラーインクに対する接触角が、それぞれ、10°以下,10°以下,約58°となった。
なお、この実施例1に使用した撥液材42A,インクジェット装置61を用いれば、撥液材42Aを安定的に100時間連続で吐出できることを確認している。
次に、図1を用いて示した製造方法によって製造したBM基板21に、カラーフィルター26を形成する工程について説明する。
図5(a)(b)は、カラーフィルターの製造工程を示す断面工程図である。
まず、図5(a)に示すように、BM基板21の開口部43に、インクジェット装置71を用いて,R,G,BのカラーインクCを充填する(1つの開口部43には、1つの色のカラーインクCが充填される)。
なお、この充填については、1つのノズルを用いて開口部43毎に行ってもよいし、複数の開口部43に対し、複数のノズルを用いて異なる色(あるいは同じ色)のカラーインクCを同時に吐出することで行ってもよい。
その後、カラーフィルター26としての膜を作製するため、開口部43に充填したカラーインクCに対して加熱乾燥処理を行う。この処理には、オーブン,ホットプレート等を用いる。
これにより、図5(b)に示すような、カラーフィルター26を得られる。
ここで、上記したカラーフィルター26の製造方法に関する実施例(実施例2)について説明する。
実施例2では、インクジェット装置71としてピエゾ方式のインクジェット装置を使用した。また、カラーインクCとして、カルビトール系の主溶媒をもつものを使用した。
また、加熱乾燥処理を2度行った。すなわち、まず、100℃,20分のベークを行うことにより、カラーインクCの主溶媒を蒸発させた。次に、200℃,10分のベークを行うことにより、カラーインクCを熱硬化させ、カラーフィルター26を得た。
得られたカラーフィルター26では、中心部の膜厚L1と端部の膜厚L2と(図4参照)における膜厚差が、約0.45μmとなった。この膜厚差は、図11に示した工程で作られた従来のカラーフィルターの膜厚差よりも、0.3μm小さいものである。
以上のように、撥液層42の形成工程を、静電吸引型のインクジェット装置61によって遮光層41上に撥液材42Aを吐出することにより行うようになっている(撥液材吐出工程)。
従って、フォトリソグラフィー技術によって撥液層42を形成する場合に必要な、露光/現像の工程を不要とできる。このため、製造工程数を大幅に減少させられるとともに、撥液材42Aを大幅に節約できる。
これにより、BM基板21を低コストで提供することが可能となる。
また、撥液層42に関する現像工程を行わないため、この現像工程による遮光層41に対するダメージをなくせる。このため、BM25のパターン精度の悪化を防止することも可能となる。
さらに、撥液層42を構成する撥液材42Aを、レジスト材料に限定する必要がない。従って、撥液材42Aの種類に関する選定の自由度も向上できる。
また、特に、BM基板21の製造では、撥液材42Aを吐出するインクジェット装置61として、「吐出口62の口径(ノズル口径)が0.01μm〜25μmの範囲にあるもの」を用いている。
従って、BM基板21の製造では、撥液材42Aを、極微小液滴で吐出することが可能である。このため、圧電素子を用いた従来の吐出方法では親撥水パターン処理を行わないと形成できないような、非常に幅の狭い撥液層42のパターン(幅25μm以下の細線)を、遮光層41上に容易に形成できる。
これにより、BM基板21の製造では、25μm以下の幅を有する遮光層41上にでも、撥液層42をパターン形成できる。従って、幅の狭いBM25を有する良好なBM基板21を、インクジェット装置61を用いて容易に形成することが可能となっている。
また、BM基板21の製造では、遮光層41上に撥液材42Aを吐出した後、撥液材42Aを加熱(加熱乾燥)することによって、撥液材42Aを乾燥・固化し、撥液層42を得るようになっている(撥液材加熱工程)。
従って、撥液材42Aとして、主溶媒の蒸気圧(溶媒蒸気圧)の低いものを用いても、撥液材42Aを十分に乾燥させられる。
なお、開口部43にカラーインクCを大量に充填したい場合(厚いカラーフィルター26を形成したい場合)には、撥液層42の厚みが足りないこともある。
このようなときには、図1(d)(e)を用いて示した工程(インクジェット装置61による撥液材42Aのパターン形成工程、および、加熱乾燥工程)を繰り返すことで、撥液層42を厚く形成すればよい。
また、撥液材42Aのパターン形成工程で、遮光層41上の撥液材42Aを自然乾燥させた後、その上にさらに撥液材42Aを重ね塗るようにしてもよい。この方法でも、厚い撥液層42を形成できる。
また、図1(a)〜(e)を用いた説明では、遮光材層41Aとして、ポジ型の感光性樹脂からなる遮光材料を用いるとしている。しかしながら、これに限らず、ネガ型のものを用いてもよい。この場合には、露光される部分が残るため、フォトマスク51の形状を逆転させればよい。
また、実施例2では、インクジェット装置71としてピエゾ方式のインクジェット装置を使用し、カラーインクCとして、主溶媒がカルビトール系のものを使用するとしている。
ピエゾ方式のインクジェット装置を使用した理由は、静電方式のインクジェットに比べ、ガラス基板24へのダメージを考慮する必要がなく、ガラス基板24の状態に依存することなく、pLサイズの液滴を安定かつ連続して吐出できるからである。
また、カラーインクCとして主溶媒がカルビトール系のものを選定したのは、液の粘度が10〜50cpsと比較的低粘度であり、かつ沸点が200℃以上であるため、吐出が容易であることが理由である。しかしながら、カラーインクCについては、これに限定されるものではなく、例えば水性インクや主溶媒に水を用いて顔料を分散したインクなど、一般的にインクジェット装置で吐出できる染料インク、顔料インクを使用することも可能である。
また、本実施の形態では、感光性樹脂を露光・現像することにより、ガラス基板24上に遮光層41を作製するとしている。
しかしながら、これに限らず、遮光層41を、インクジェット装置を用いて作製してもよい。
図6(a)〜(d)は、この場合におけるBM基板21の製造方法を示す断面工程図である。
この場合、まず、図6(a)に示すように、上記した静電吸引型のインクジェット装置61の吐出口62から、液状遮光材料41Bをガラス基板24上に吐出する(遮光材吐出工程)。これにより、液状遮光材料41Bからなる、ほぼ矩形の断面を有する、所望の形状のパターンを形成する。この際、パターンの幅に応じて、適宜、液状遮光材料41Bの吐出量を調整する。
次に、図6(b)に示すように、液状遮光材料41Bの主溶媒を蒸発させ、密着性を向上させるため、例えばオーブン,ホットプレート等による加熱乾燥処理を行う(遮光材加熱工程)。
次に、図6(c)に示すように、撥液材42Aをインクジェット装置61によってパターン形成する。このパターン形成については、図1(d)を用いて示した工程と同様としてもよいが、図6(c)に示すように、遮光層41を接地することにより、遮光層41上に対する帯電電荷の蓄積を防ぐことが好ましい(撥液材42Aのパターン形成時にも、遮光層41を接地してもよい)。
その後、図6(d)に示すように、撥液材42Aのパターンに加熱乾燥工程を施して、撥液層42を形成する。なお、この加熱乾燥処理は、図1(e)を用いて示した処理と同様である。
ここで、上記したインクジェット装置61による遮光層41を作製する場合における、BM基板21の製造に関する実施例(実施例3)について説明する。
実施例3では、200mm×200mmのガラス基板24を使用し、図1(d)に示したものと同様のインクジェット装置61を使用した。
なお、液状遮光材料41Bとして、ハリマ化成製Agナノペースト(NPS−J)を使用した。また、インクジェット装置61の吐出口62の口径を10μmとした。
そして、吐出電圧としてDC+500Vをナノペーストに印加し、インクジェット装置61のヘッド部を200mm/secで移動させることにより、液状遮光材料41Bのパターンを、線幅約20μmで形成した。
その後、加熱乾燥として、オーブンを用いて230℃,60分のベークを行うことで、液状遮光材料41Bを固着させ、遮光層41を形成した。
次に、遮光層41を接地し、インクジェット装置61の吐出口径を5μmとするとともに、吐出電圧としてDC+500Vを撥液材に印加し、インクジェット装置61のヘッド部を200mm/secで移動させた。これにより、線幅約5μmの撥液材42Aのパターンを形成した。その後、加熱乾燥処理により、このパターンから撥液層42を得た。
このように、静電吸引方式のインクジェット装置61を用いて遮光層41を形成する場合、フォトリソグラフィー技術を用いて遮光層41を形成する場合に必要な、露光/現像の工程を不要とできる。このため、製造工程数を大幅に減少させられるとともに、遮光材(液状遮光材料41B)を大幅に節約できる。
また、静電吸引方式のインクジェット装置61を用いているため、ピエゾ方式のインクジェット装置61を用いる場合に必要な、ガラス基板24に対する親撥水パターンの形成を不要とできる。従って、ガラス基板24上に液状遮光材料41Bを直接吐出(描画)できるので、製造工程を大幅に簡略化できる。
これにより、BM基板21を低コストで提供することが可能となる。
また、上記したインクジェット装置61を用いた遮光層41の製造では、ガラス基板24上に液状遮光材料41Bを吐出した後、この液状遮光材料41Bを加熱(加熱乾燥)することによって乾燥・固化し、遮光層41を得るようになっている。
従って、液状遮光材料41Bとして溶媒蒸気圧の低いものを用いても、液状遮光材料41Bを十分に乾燥させられる。
なお、インクジェット方式では液滴を吐出するため、着弾した液状遮光材料41Bは、ガラス基板24上に濡れ広がる。このため、高アスペクト比のパターン形成は難しいとされる。
例えば、実施例3において、インクジェット装置61によってハリマ化成製Agナノペーストを吐出させたとき、1回の吐出工程(1回塗り)では、液状遮光材料41Bのパターン(描画パターン)の厚さは、約250nmとなった。
ここで、液状遮光材料41Bのパターン(遮光層41)をバンクとして、開口部43にインクを充填することを考慮すると、パターンの厚さについては、1μm以上とすることが望ましい。
そのため、インクジェット装置61のヘッドとして1ラインのヘッド(1ラインのマルチノズルヘッドなど)を用いる場合には、吐出工程を繰り返し行うことが好ましい。例えば、描画パターンを6回重ね塗りする(吐出工程を6回繰り返す)ことで、パターン厚を1.5μmとすることで、1μm以上の膜厚を確保できる。
なお、マルチノズルヘッドを用いる場合、そのライン数を増やすことで、重ね塗り回数を軽減させることもできる。
ここで、重ね塗りによって単純に吐出量を増やすだけでは、ナノペーストの表面張力との兼ね合いから、パターンの線幅が所望値よりも太くなってしまうことがある。このため、重ね塗りについては、前に描画したパターンをある程度乾燥させた後に行うことが好ましい(実施例3では、重ね塗りの間隔を約2秒間とした)。
また、ガラス基板24を保持する部材(図示せず)に、加熱機構(オーブン等)を設けてもよい。これにより、ガラス基板24を加熱することで、液状遮光材料41Bのパターンを、乾燥を進めながら(濡れ広がりを抑制しながら)描画できる。
従って、液状遮光材料41Bを大量に吐出しても、濡れ広がる前に乾燥・固着させられる。これにより、先に塗った量を上回る吐出量で重ね塗りを行えるので、重ね塗り回数を減らし、製造タクトを短くできる。
このとき、ガラス基板24付近での湿度が低くなりすぎると、ガラス基板24の表面抵抗値が上がる。このため、帯電電荷を除電できなくなって、パターン精度を悪くしてしまうことがある。従って、ガラス基板24の近傍の湿度に注意するとともに、加熱温度を調整することが好ましい。
なお、ガラス基板24を加熱しながら液状遮光材料41Bのパターンを重ね塗りする場合、ガラス基板24の近傍の湿度に関しては、60%以上に保持しておくことが好ましい。これにより、最初に描画された液状遮光材料41Bが導電材となり、帯電電荷を除電する役割をはたす。従って、反発電界により吐出液滴が飛散するなどの問題を回避できる。
また、湿度を60%以上とすることで、インクジェット装置61の着弾精度を向上することも可能である。
すなわち、インクジェット装置61のような静電吸引型のインクジェット装置では、表面抵抗の高い絶縁性基板(通常ガラスなど)に吐出材を吐出する場合、吐出時における吐出口からの放電や、着弾後の吐出材の帯電により、反発電界の生じることがある。そして、このような反発電界は、着弾制度を悪くする原因となる。
しかし、ガラスからなる基板24は、湿度により表面抵抗率が変わる。このため、上記したように湿度を60%以上に保つことにより、ガラス基板24の表面抵抗を下げ、帯電電荷を逃がせる。これにより、着弾制度の劣化を防止できる。
なお、絶縁基板上の帯電電荷を打ち消すために、交互に極性の入れ替わる両極性電圧を用いてもよい。しかしながら、両極性電圧を用いると、吐出口に形成されるメニスカスに対し、吐出に必要な電荷を蓄積する時間が長くなる。このため、吐出応答性が悪くなり、製造タクトがおちる、という欠点がある。
また、液状遮光材料41Bのパターンを厚く形成するために、上記のような重ね塗りに代えて、ガラス基板24上に、液状遮光材料41Bに対する親撥液パターンをあらかじめ形成しておいてもよい。
この場合には、遮光層41の形成後、カラーインクCを充填するまでに、親撥液パターンの撥液性を取り除くことが好ましい。これにより、親撥液パターンにインクCが弾かれて、カラーフィルター26が白抜けとなることを防げる。
しかし、この方法では、撥液性を取り除く特別な処理を行うため、工程数が増える。従って、液状遮光材料41Bの濡れ広がりを考慮し、吐出量を抑えた上で、自然乾燥を待ち、ある程度乾燥した後に重ね書きをすることにより、パターンの厚さを確保することがより好ましいといえる。
また、図6(a)〜(d)に示した遮光層41の製造では、図1(d)に示した工程において使用したインクジェット装置61を用いるとしている。しかしながら、他のインクジェット装置を用いてもよい。なお、他の装置を用いる場合でも、インクジェット装置61のような、1pL以下の微小な液適量を調整できる、静電吸引型のインクジェット装置を用いることが好ましい。
また、BM基板21の製造では、遮光層41上に、インクジェット装置61によって撥液材42Aを吐出することとなる。このため、遮光層41(および液状遮光材料41B)を感光性樹脂等の絶縁性材料から構成する場合、絶縁性基板に対する吐出と同様に、反発電界が生じ、製造タクトが落ちる可能性がある。
このため、遮光層41としては、表面抵抗率の小さなものを選択することが好ましい。これにより、製造タクトの減少を防止できる。
なお、遮光層41として、表面抵抗率を1011Ω/□以下のものを選択しておけば、撥液材42Aのパターンを、乱れることなく描画できることを確認している。
また、実施例3では、液状遮光材料41Bとして、ハリマ化成製Agナノペースト(NPS−J)を用いている。これは、遮光性が高いこと、低粘度かつ含有金属の粒径が数nmと小さいこと、主溶媒の蒸気圧が高いため乾燥しにくく、インクジェット装置で容易に吐出できること、が理由である。
しかしながら、遮光性の高いもの、小粒径(粒径;1nm〜1000nm)のもの、乾燥固化等の処理後の表面抵抗率が1011Ω/□以下のものであれば、他の材料(その他の金属ペーストなど)を用いてもよい。
また、図1あるいは図6に示した製造方法では、ほぼ矩形の断面を有する遮光層41を構成するとしている。
しかしながら、これに限らず、遮光層41を、かまぼこ(蒲鉾)型の断面(ほぼ半円形の断面)を有する形状としてもよい。
図7は、このような形状の遮光層41を有するBM基板21を示す断面図である。
この図7に示すように、この構成では、遮光層41の中央の、頂点部分(最も高い部分)に撥液層42が形成されている。
従って、この構成では、図6(c)に示した撥液材42Aのパターン形成工程において、遮光層41の頂上近傍に、インクジェット装置61からの電界が集中する。
このため、撥液材42Aを、確実に遮光層41の頂上近傍へ着弾させられる。従って、撥液層42の形成精度を向上できるので、遮光層41と開口部43との境界近傍に撥液層42を近づけてしまうことを回避できる。
従って、この境界において、撥液層42によってカラーインクCをはじいてしまうことを防止できる。このため、カラーフィルター26の厚さを均一に保てるので、その信頼性をより高められる。
なお、このような、かまぼこ型の形状を有する遮光層41は、図6(a)に示したようなインクジェット装置61を用いることによって形成できる(図6(a)を用いて示した工程と異なるのは、インクジェット装置61の吐出条件である)。
すなわち、上記したように、遮光層41の形成には、重ね塗りが有効である。そして、塗りを重ねる度に吐出量を徐々に減少させることで、図7に示すような形状の遮光層41を容易に形成できる。
ここで、このような形状の遮光層41を有するBM基板21の製造に関する実施例(実施例4)について説明する。
実施例4では、DC+500Vから+300Vまで、一塗りする度に印加電圧を40Vづつ減少させて、計6回の重ね塗り描画を行った(他の条件は実施例3と同じ)。その結果、幅20μm、高さ1.5μm、接触角13°の遮光層41を形成できた。
その後、実施例3と同様に、遮光層41上に撥液層42を形成した。これにより、撥液層42の形状における揺らぎ(設計との誤差)の範囲を、±1μm以内とできた(1μm以上改善できた)。従って、撥液層42の形状精度を、より高くできた。
また、図8に示すように、遮光層41を、上面の一部(中心)が突出した形状としてもよい。このような形状であっても、突出部に電界集中がおこるため、図7の構成と同様の効果を得られる。このような突出構造は、重ね塗り時の電圧印加条件を調整する(後に塗るときの印加電圧を下げる)ことで、容易に形成可能である。
ここで、上記した静電吸引形のインクジェット装置61について説明する。
図9は、インクジェット装置61のヘッド部66の概略構成を示す説明図である。
インクジェット装置61のヘッド部66は、吐出材保持室63,ノズルプレート64,電極65を備えている。
吐出材保持室63は、カラーインク(吐出材)Cを保持するための保持槽である。
ノズルプレート64は、吐出口62を備えたノズル部分であり、吐出材保持室63と接着されている。
電極65は、カラーインクに吐出電圧を印加するものであり、吐出材保持室63に挿入されている。
そして、インクジェット装置61によってカラーインクCを吐出するときには、図示しない電源から電圧を電極65に印加する。これにより、カラーインクCが帯電し、ノズルプレート64の先端に設けられた吐出口62からが吐出される。
また、各吐出材保持室63,電極65は、チャネルごとに孤立しており、クロストークの影響はない状態となっている。
また、各吐出材保持室63には、図示しないインク流路(吐出材)流路が設けられている。この吐出材流路は、ヘッド部66の外部から吐出材保持室63にカラーインクCを供給するための流路である。
また、吐出材流路と吐出材保持室63とを接続する接続部には、図示しないパッキンが取り付けられている。そして、このパッキンを取り外すことで、インクジェット装置61に対し、ヘッド部66を簡単に脱着できるようになっている。
このため、使用目的にあわせた吐出口62の径やチャネル間隔を有するヘッド部66を作製(設計)し、作製したヘッド部66をインクジェット装置61に取り付けることが可能である。従って、インクジェット装置61を、様々な用途に使用することが可能となっている。
なお、このヘッド部66は、インクジェット装置61に備えられた制御部に制御された移動部材により、吐出先部材に対して相対的に移動できるようになっている。
また、上記した実施例1,3,4に用いたインクジェット装置61では、ヘッド部66の吐出材保持室63を、ガラスを加工して表面に絶縁膜を形成することで作製している。
また、このヘッド部66は、電極65としてタングステンワイヤー、ノズルプレート64としてポリイミド膜を使用し、フォトリソグラフィー技術、ドライエッチング加工、レーザー加工を組み合わせることで製造されたものである。
以下に、ヘッド部66におけるノズルプレート64の製造方法について説明する。図10(a)〜(e)は、この製造方法を示すための、ノズルプレート64の断面図である。
まず、図10(a)に示すように、ニッケル(Ni)からなる下地基板80上に、ポリイミド製のノズルプレート材81を塗布・焼成する。ノズルプレート材81の膜厚については、塗布・焼成プロセスを繰り返すことで確保する。
次に、図10(b)に示すように、ノズルプレート材81上にレジスト82を塗布することで、突出構造作製のためのレジストパターンを形成する。この工程では、図1(a)〜(c)を用いて示した工程と同様のフォトリソグラフィー技術を採用できる。
次に、図10(c)に示すように、反応性ガスとしてCF4を用いたドライエッチングにより、ノズルプレート材81、レジスト82をエッチングし、突出構造83を形成する。
次に、図10(d)に示すように、レーザーにより、ノズルプレート材81に穴をあけ、吐出口62を形成する。
その後、ダイサーを用いて、下地基板80を所望のサイズにハーフダイスする。その後、エッチャントに浸漬して下地基板80を溶かすことで、図10(e)に示すように、ポリイミド製のノズルプレート64を得られる。
なお、図9に示したノズルプレート64と吐出材保持室63とは、接着剤を用いて接着する。その後、吐出材保持室63のチャネル(部屋)ごとに、タングステンワイヤーからなる電極65を挿入することで、ヘッド部66を得られる。
さらに、吐出材保持室63に吐出材(カラーインクC)を充填し、ヘッド部66をインクジェット装置61に取り付けることで、ヘッド部66によるカラーインクCの吐出が可能となる。
また、本実施の形態では、図2に示した本表示装置を、透過型の液晶表示装置であるとしている。しかしながら、BM基板21については、透過型に限らず、反射型,半透過型,反射透過型の液晶表示装置に備えることも可能である。また、BM基板21を、液晶表示装置以外の、カラーフィルターを備えることの可能な(有用な)他のタイプの表示装置に適用してもよい。
また、本実施の形態では、BM基板21に、R,G,Bのカラーフィルター26を備えるとしている。しかしながら、これに限らず、他の色のカラーフィルター26を備えてもよい。また、カラーフィルター26の色数についても、3色に限らない。
また、本実施の形態では、BM基板21がガラス基板24を備えているとしている。しかしながら、BM基板21の基板は、透明であれば、ガラス以外の材料(樹脂など)から構成されていてもよい。
また、本実施の形態では、インクジェット装置61に関し、1pL以下の微小な液適量を調整できるとしている。しかしながら、液状遮光材料41Bあるいは撥液材42Aのパターンを所望の線幅で形成できるものであれば、調整可能な液適量については、1pL以上であってもよい。
また、本実施の形態では、インクジェット装置61を用いて撥液材42Aのパターンを形成する際、遮光層41(撥液材42A)の表面抵抗率が1011Ω/□以下であることが好ましいとしている。しかしながら、撥液材42Aを良好にパターニングできる場合には、この表面抵抗率を1011Ω/□以上としてもよい。
なお、遮光層41(撥液材42A)の表面抵抗率を1011Ω/□以下とすることが好ましい理由は、反発電界を抑制するためである。
すなわち、静電吸引型のインクジェット装置を用いる場合、液滴の吐出先部材の表面抵抗が高いと、吐出時における吐出口からの放電や、着弾後の吐出材の帯電により、反発電界の生じることがある。そして、このような反発電界は、着弾制度を悪くする原因となる。そして、このような反発電界は、吐出先部材の表面抵抗率を1011Ω/□以下とすることで、十分に防止することが可能である。
従って、BM基板21の製造以外でも、静電吸引型のインクジェット装置を用いる場合、反発電界を防止するために、吐出先部材の表面抵抗率を1011Ω/□以下とすることが好ましいといえる。
また、同様に、静電吸引型のインクジェット技術を用いて複数の層を積層する場合、最上層以外の層の材料として、表面抵抗率が1011Ω/□以下の材料を用いることが好ましい。
また、本発明の目的は、低コストで簡便、且つ、隣接チャネルの混色を防ぐとともに、色むらを抑えたカラーフィルターを作製するためのブラックマトリクス基板、およびその製造方法を提供することであるともいえる。
また、本発明のブラックマトリクス基板の製造方法では、遮光性パターン上に、遮光性パターンよりも小さな撥水パターンをインクジェット技術により配置するので、従来の問題であった工程数の多さを大幅に減少するとともに、材料を大幅に削減できるといえる。さらには、積層構造にするための露光/現像工程を繰り返す必要がないため、下層構造体がダメージを受け、遮光性パターンに欠けが生じることがなく、パターン精度が高いブラックマトリクス基板を提供できる。また、撥液性材料がレジスト材料に限定されないため、材料選定の自由度が向上する。さらには、本発明の方法で得られたブラックマトリクス基板を使用しカラーフィルターを作製することで、隣接チャネルの混色を防ぐとともに、色むらを抑えたカラーフィルターを提供できる。すなわち、本発明により、フォトリソグラフィー技術を用いた製造方法より工程数が少なく、低コストで、かつ隣接チャネルの混色を防ぐとともに、より均一で色むらの少ないカラーフィルターを簡便に作製できる。
また、本発明の製造方法において、遮光性パターンを静電吸引型のインクジェット装置を用いて作製する場合、フォトリソグラフィー技術を用いた工程よりも大幅な工程の削減、材料の削減ができるだけでなく、ピエゾ方式のインクジェット技術のような親撥水パターンを必要とせずガラス基板上に直接描画できるので、工程を大幅に簡略化でき、安価なブラックマトリクス基板を提供できるといえる。さらには、遮光性パターンを表面抵抗率が1011Ω/□以下の部材で形成するので、撥水パターンを静電吸引型のインクジェット技術により配置する際、片極性電圧を駆動電圧として使用しても遮光性パターン上に帯電電荷が蓄積されることがないので、パターン精度が向上するとともに、製造タクトも向上する。
なお、本実施の形態では、静電吸引型のインクジェット技術を用いて異なる2種類以上の物質を積層する方法について、ブラックマトリクス基板の製造方法を例に挙げ説明したが、これに限定されるのではなく、静電吸引型のインクジェット技術を用いて異なる2種類以上の物質を積層する場合、最上層以外を表面抵抗率が1011Ω/□以下の部材で形成した構成のものもすべて本発明に含まれる。
また、図7,8を用いて示したBM基板21は、遮光層41の形状がかまぼこ状をしているので、遮光層41の頂上部への電界集中がおこるため、撥液材42Aが確実に遮光層41の頂上近傍へ着弾し、その結果、遮光層41の形成精度が向上し、より信頼性の高いカラーフィルターの作製につながるといえる。
また、本発明を、以下の第1〜8製造方法および第1基板として表現することもできる。すなわち、第1製造方法は、透明基板上に遮光性物質がパターン形成され、その開口部に色材を有するインクを充填することで形成されるカラーフィルターを構成するためのブラックマトリクス基板の製造方法であって、前記遮光性物質上面の少なくとも一部に、前記遮光性物質に比べ前記インクに対し撥液性の高い物質を、インクジェット法により配置したことを特徴とする方法である。
この方法では、透明基板上にパターン形成された遮光性物質の上面の少なくとも一部に、前記遮光性物質に比べ前記インクに対し撥液性の高い物質を、インクジェット法により配置するので、従来の問題であった工程数の多さを大幅に減少するとともに、材料を大幅に削減できる。さらには、積層構造にするための露光/現像工程を繰り返す必要がないため、下層構造体がダメージを受け、遮光性パターンに欠けが生じることがなく、パターン精度が高いブラックマトリクス基板を提供できる。また、撥液性材料がレジスト材料に限定されないため、材料選定の自由度が向上する。さらには、本実施の形態におけるブラックマトリクス基板を使用しカラーフィルターを作製することで、隣接チャネルの混色を防ぐとともに、色むらを抑えたカラーフィルターを提供できる。
また、第2製造方法は、第1製造方法において、吐出用インクジェットとして、ノズルの口径がφ0.01μm〜φ25μmである静電吸引型の流体吐出装置を用いたことを特徴とする方法である。この方法では、撥液材吐出用インクジェット装置として、静電吸引型の流体吐出装置を用いているので、遮光性物質の上面の表面をあらかじめ親撥水処理する必要なく、遮光性物質の上面に微細なパターンを形成することができる。また、第3製造方法は、第1あるいは第2製造方法において、前記撥液性物質は室温下で液体であり、前記撥液性物質の主溶媒の蒸気圧が、使用時のインクジェット装置の流路および吐出口近傍の温度において、1torr以下のものを用いたことを特徴とする方法である。これにより、乾燥によるノズルの目詰まりもなく、吐出量変動もないため、パターンの欠けが生じることなく安定して撥液パターンを形成でき、混色のないカラーフィルターを提供できる。
また、第4製造方法は、第3製造方法において、前記撥液性物質を吐出後に、加熱乾燥させる工程を含むことを特徴とする方法である。これにより、インクジェットで吐出させた撥液性物質の撥液性を最大限高めることができ、より混色を防いだ信頼性の高いカラーフィルターを提供できる。また、第5製造方法は、第1〜第4製造方法のいずれかにおいて、前記遮光性物質のパターンをインクジェット法により作製したことを特徴とする方法である。これにより、工程数、材料をさらに削減できる。また、遮光性物質がレジスト材料に限定されないため、材料選定の自由度が向上する。
また、第6製造方法は、第5製造方法において、前記遮光性物質として金属粒子を含有していることを特徴とする方法である。これにより、感光性樹脂を使用した場合よりも遮光性を向上させることができる。さらに、第7製造方法は、第6製造方法において、前記金属粒子径が1nm〜1000nmであることを特徴とする方法である。これにより、インクジェット法により作製する際のノズルの目詰まりを抑制し、吐出量変動がなく、安定して遮光性パターンを形成することができる。
また、第8製造方法は、第2〜第7製造方法のいずれかにおいて、前記遮光性物質として表面抵抗率が1011Ω/□以下の部材を用いることを特徴とする方法である。これにより、撥液パターンを静電吸引型のインクジェット技術により配置する際、片極性電圧を駆動電圧として使用しても遮光性パターン上に帯電電荷が蓄積されることがないので、撥液パターンの形成精度が向上するとともに、製造タクトも向上する。さらに、第1基板は、前記遮光性物質の上面をかまぼこ状の構造、突出部を設けた構造の少なくとも一方の構造を有する構成にしていることを特徴とするブラックマトリクス基板である。これにより、かまぼこ状構造の頂上部、あるいは突出構造の突出部への電界集中がおこり、撥液材が確実に遮光性パターンの頂上部近傍、あるいは突出部近傍へ着弾する。そのため、撥水パターンの形成精度が向上し、より信頼性の高いカラーフィルターが作製できる。
本発明は、表示装置のカラーフィルターを形成するためのブラックマトリクス基板の製造に対し、好適に利用できるものである。
本発明の一実施形態にかかる液晶表示装置におけるブラックマトリクス基板に関し、その製造方法を示す説明図である。 本発明の一実施形態にかかる液晶表示装置の構成を示す説明図である。 図2に示した液晶表示装置における、ブラックマトリクス基板の構成を示す部分断面図である。 図3に示したブラックマトリクス基板に関し、その開口部にカラーフィルターを配した状態を示す説明図である。 図5(a)(b)は、図4に示したカラーフィルターの製造工程を示す断面工程図である。 図6(a)〜(d)は、図3に示したブラックマトリクス基板に関し、インクジェット装置を用いた遮光層の製造方法を示す断面工程図である。 図3に示したブラックマトリクス基板に関し、かまぼこ(蒲鉾)型の断面(ほぼ半円形の断面)を有する遮光層を備えた構成を示す断面図である。 図3に示したブラックマトリクス基板に関し、中央の突出した断面を有する遮光層を備えた構成を示す断面図である。 図1を用いて説明した製造方法に使用される、インクジェット装置のヘッド部の概略構成を示す説明図である。 図9に示したインクジェット装置のヘッド部におけるノズルプレートの製造方法を示す説明図である。 従来のブラックマトリクス基板を示す説明図である。 従来のブラックマトリクス基板を示す説明図である。
符号の説明
11 対向基板
12 画素基板
13 液晶層
21 BM基板
21 ブラックマトリクス基板(BM基板)
22 位相差板
23 偏光板
24 ガラス基板(透明基板)
25 ブラックマトリクス(BM)
26 カラーフィルター
31 透明基板
32 位相差板
33 偏光板
35 画素電極
36 バックライト
41 遮光層
41A 遮光材層
41B 液状遮光材料
42 撥液層
42A 撥液材
43 開口部
51 フォトマスク
61 インクジェット装置
62 流体吐出口(吐出口)
63 吐出材保持室
64 ノズルプレート
65 電極
66 ヘッド部
71 インクジェット装置
80 下地基板
81 ノズルプレート材
82 レジスト
83 突出構造
C カラーインク(インク)
L1,L2 膜厚

Claims (14)

  1. 透明基板上に、カラーフィルターとなるインクを載せるための開口部と、開口部を取り囲む、遮光層および撥液層からなるブラックマトリクスとを配したブラックマトリクス基板の製造方法であって、
    透明基板上に、遮光材料からなる遮光層を形成する遮光層形成工程と、
    遮光層上に、遮光材料に比して上記のインクに対する撥液性の高い撥液材からなる撥液層を形成する撥液層形成工程とを含み、
    この撥液層形成工程が、静電吸引型のインクジェット装置により遮光層上に撥液材を吐出する撥液材吐出工程を含み、
    さらに、上記のインクジェット装置のノズル口径が、0.01μm〜25μmの範囲にあることを特徴とする、ブラックマトリクス基板の製造方法。
  2. 上記の撥液材吐出工程で使用する撥液材として、
    室温で液体であり、
    インクジェット装置の流路および吐出口近傍の温度での主溶媒の蒸気圧が、1torr以下となるものを用いることを特徴とする、請求項1に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  3. 上記の撥液層形成工程が、
    遮光層上に吐出された撥液材を加熱乾燥させる撥液材加熱工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  4. 上記の撥液材吐出工程および撥液材加熱工程を、順次的に繰り返し行うことを特徴とする、請求項3に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  5. 上記の遮光層形成工程において使用する遮光材料として、表面抵抗率が1011Ω/□以下のものを用いることを特徴とする、請求項1に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  6. 上記の遮光層形成工程が、
    静電吸引方式のインクジェット装置によって液状の遮光材料を透明基板に吐出する、遮光材吐出工程を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  7. 上記の遮光層形成工程が、
    透明基板上に吐出された遮光材を加熱乾燥させる遮光材加熱工程を含むことを特徴とする、請求項6に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  8. 上記の遮光材吐出工程および遮光材加熱工程を順次的に繰り返し行うことを特徴とする、請求項7に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  9. 上記の透明基板としてガラス基板を用いるとともに、
    上記の遮光材吐出工程で、ガラス基板の近傍の湿度を60%以上に維持しておくことを特徴とする、請求項6に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  10. 上記の遮光材吐出工程で、透明基板を加熱しておくことを特徴とする請求項6に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  11. 上記の遮光材として、金属粒子を含有してものを用いることを特徴とする、請求項6に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  12. 上記の金属粒子の径が1nm〜1000nmであることを特徴とする、請求項11に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  13. 上記の遮光層形成工程で、撥液材の吐出される部分が他の部分よりも高くなるように、遮光層を形成することを特徴とする、請求項1に記載のブラックマトリクス基板の製造方法。
  14. 静電吸引型のインクジェット装置を用いて、複数の層を有する多層体を製造する方法において、
    多層体の最上層以外の層を、表面抵抗率が1011Ω/□以下となる材料で形成することを特徴とする方法。
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