JP2006183202A - ストレッチ縫糸 - Google Patents

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Abstract

【課題】
工業用の本縫いミシン機を用いてストレッチ性を有する生地を縫製するに際し、従来欠点とされている高速可縫性、自動機対応性および縫目強力等の改善を図り、ストレッチ性と弾性回復に優れた縫目を形成するストレッチ縫糸を提供する。
【解決手段】
糸条表面にループが突出してなる下ヨリと上ヨリを施したポリエステルフィラメント糸条からなり、該ループ数が30〜200個/mであり、10%伸長時の伸長弾性回復率が80%以上であることを特徴とするストレッチ縫糸であり、ポリエステルフィラメント糸条としては、脂肪族ポリエステルまたはポリブチレンテレフタレートからなるフィラメント糸条が用いられる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、糸条表面にループが突出してなるストレッチ性および可縫性に優れた弾性ポリエステルフィラメント糸から構成されたストレッチ縫糸に関するものである。
合成繊維のフィラメント糸条から構成されたフィラメント縫糸は、短繊維から構成されたスパン縫糸に比べて、強力が高く縫目が綺麗に仕上がることや耐久性に優れていることから、高級衣料品や産業資材に用いられている。しかしながら、かかるフィラメント縫糸は、耐熱的には、ミシン機の縫針との摩擦が大きいので熱溶断しやすく、特に高速可縫性については若干の問題がある。
また、最近の衣料用品においては、ストレッチブームを反映して、ストレッチ素材を用いたパンツ、カジュアルウエアー、スポーツウエアー、ユニホームおよびジーンズなどの商品開発が積極的に行われている。それに伴い、ストレッチ生地に必要な副資材の縫糸についても、ストレッチ性が要求されてきている。
例えば、ストレッチ生地を縫製する縫糸として、ストレッチ性と高弾性回復率の特性を有するミシン糸が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、このミシン糸は、伸長性および回復性は極めて優れた特徴を有するが、使用されるフィラメント糸は元々強度が低く耐熱性が劣るので、実用性はかなり低いものである。特に、高速可縫性については、ミシン針熱温度が上昇するために溶断しやすく糸切れが多発するのである。そのため、極めて低速で縫製しなければならず、生産性の低いものとなっている。
これを改善する技術として、フィラメント糸条に流体加工を施しループを付与させたスパン糸のようなフィラメント糸からなる縫糸が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、この提案では、流体加工の工程が増えることと、ネジレたループを有するのでファスナー効果が強くなったり、強力低下が大きいので糸解じょ性が低く、可縫性が低いものとなる。
また、自発伸長性のフィラメント糸条と自発伸長性を有しないマルチフィラメント糸条の糸長差によりループやたるみを形成させた複合ミシン糸が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この提案では、ループやたるみの発現が少なく可縫性を改善するには至らない。
また他に、スパン糸がもつような毛羽や嵩高性を合成繊維マルチフィラメント糸条に付与する複合ミシン糸やフィラメント加工糸が提案されている(特許文献4および特許文献5参照)。しかしながら、これらの提案では、可縫性は優れ強度も十分満足できるが、単繊維フィラメント糸が切断されているので、目的のストレッチ性は全く発現することがない。
特許第3441069号公報 特開昭62−257434号公報 特開平5−106134号公報 特公昭63−3977号公報 特開平8−337937号公報
そこで本発明の目的は、かかる従来技術の背景に鑑み、工業用の本縫いミシン機を用いてストレッチ性を有する生地を縫製するに際し、従来欠点とされている高速可縫性、自動機対応性および縫目強力等の改善を図り、ストレッチ性と弾性回復に優れた縫目を形成するストレッチ縫糸を提供することにある。
本発明のストレッチ縫糸は、上記課題を解決するため、次の構成を有する。
まず、第1の発明は、糸条表面にループが突出してなる下ヨリと上ヨリを施したポリエステルフィラメント糸条からなり、該ループ数が30〜200個/mであり、10%伸長時時の伸長弾性回復率が80%以上を有することを特徴とするストレッチ縫糸である。
第2の発明は、上記第1の発明のポリエステルフィラメント糸条が、脂肪族ポリエステルまたはポリブチレンテレフタレートからなるフィラメント糸条であることを特徴とするストレッチ縫糸である。
第3の発明は、上記第1または第2の発明のポリエステルフィラメント糸条が、交絡数50〜200個/mの交絡を有することを特徴とするストレッチ縫糸である。
第4の発明は、上記第1〜3のいずれかの発明において、上記のループがネジレていないループであることを特徴とするストレッチ縫糸である。
本発明のストレッチ縫糸によれば、ストレッチ縫糸の糸条表面に突出するループの随伴気流によるミシン針熱温度の冷却作用と、さらに縫製される生地とストレッチ縫糸間の摩擦抵抗を減少させることにより、高速縫製性や自動機対応性の向上を図ることができる。また、本発明のストレッチ縫糸によれば、高弾性ポリエステルフィラメント糸条を用いることにより、縫目のストレッチ性と弾性回復率に優れるので、ストレッチ性を有する布帛の縫製に好適である。
本発明のストレッチ縫糸の最も大きい効果は高速可縫性に優れていることであり、これは前記したように突出するループの冷却作用により、高速縫製中の糸切れが少なくなることである。その結果、例えば、工業用ミシン機にて高速縫製が可能となるので縫製コストダウンにつながるのである。そして、本発明のストレッチ縫糸は、縫製における前進縫いや後進縫いなどがパターン設計によって縫製することができる自動ミシン機への対応性についても追従性に優れ、特に自動ミシン機の急激な始動・停止運動による縫製張力変動にも対応することができ、糸切れや、熱融着の現象が起こりにくくなるのである。
また、縫製上がりの縫目強力は、縫製中の摩擦熱発生が低いので、ストレッチ縫糸への強度劣化影響は少なく、縫目の強力維持が高いのである。また、本発明のストレッチ縫糸は、生地の伸長・回復に合わせてストレッチ縫糸の伸びおよび回復が追随するので、快適な着用感が得られるのである。

本発明のストレッチ縫糸は、糸条表面にループが突出してなる高弾性ポリエステルフィラメント糸条からなり、該ループ数が30〜200個/mであり、10%伸長時の伸長弾性回復率が80%以上を有することを特徴とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決し、さらに縫製中のコーンからの輪抜けが少なく、ミシン機の張力調整などの条件設定が容易になり、また縫糸巻きコーンの取り扱い性にも優れたストレッチ縫糸について鋭意検討した結果、高弾性ポリエステルマルチフィラメント糸条表面にループを突出させて下ヨリ/上ヨリを施したストレッチ縫糸を作ってみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したのである。
まず、第1の発明のストレッチ縫糸において、ストレッチ縫糸は、糸条表面にループが突出してなる高弾性ポリエステルフィラメント糸条で構成されている。一般に、糸条表面に形成されるループの形状には、“タスラン”加工により得られるネジレたループと、インターレース加工または交絡加工により得られるネジレていないループの2種類が存在する。本発明のストレッチ縫糸のループは後者の形状のループであって、このループは糸走行によってつぶれやすくなるので、針穴やガイドなどの通過はスムーズであり、またコーンからの糸解じょ性もスムーズな立ち上がりとなるのである。一方、前者の場合のループは、糸条走行によってほとんどつぶれることがないので、抵抗が大きくまたループ同士がファスナー効果となるので、縫糸用には全く適さないのである。
本発明のストレッチ縫糸のループは、インターレース加工または交絡加工によって形成することができる。本発明のインターレース加工または交絡加工によって得られるストレッチ縫糸の糸条表面に突出するネジレていないループの個数は、1m当たり30個から200個が適している。
ループの個数が30個未満では、ループの個数が少ないので、本発明の可縫性の効果は少なくなり、また、ループの個数が200個を超えると本発明の可縫性効果が平衡に達し、また強度低下が大きくなるので好ましくない。ループ数の効果は、ミシン機の縫針とストレッチ縫糸の摩擦抵抗を下げることや、ループによる随伴気流による針熱温度の冷却を促進させ、縫製速度を向上させることができるのである。
ループの個数の変更は、インターレース加工または交絡加工の処理条件および用いられるフィラメント糸条の繊維構成の変更によって行うことができる。例えば、ループの個数を多くするには、空気処理圧力を高く、空気流量を多く、処理張力を低く処理条件を設定したり、フィラメント糸条の構成本数の増加、単繊維繊度の細繊度化等により容易に変更することができる。
本発明のストレッチ縫糸は、高ストレッチ性と高弾性回復性に優れており、伸長率に対する弾性回復率の関係において、10%伸長時の伸長弾性回復率が80%以上である。伸長率が10%を超えて高くなれば伸長弾性回復率はやや低下するが、30%伸長においても60%以上は回復することができるので、スポーツ、ユニホーム、ジーンズ等の衣料用など、高伸長性の生地に本発明のストレッチ縫糸を最適に用いることができる。
高伸長弾性回復率が80%以上を有する繊維糸条は、通常のポリエチレンテレフタレート繊維では元々達成できない特性であって、繊維糸条の分子構造のメチレン基が3個、4個を有するポリエステル系繊維を用いることに限定される。
そして、伸長弾性回復率を80%以上に設定するには、製糸条件の延伸倍率、延伸温度、紡糸速度等の適正化により達成することができる。
本発明のストレッチ縫糸の糸形成は、高弾性ポリエステルフィラメント糸条1本に交絡部を有する単糸条を用いて、下ヨリが施された単糸条を複数本引き揃えてさらに上ヨリが施されて形成されたものと、該高弾性フィラメント糸条2本に若干の糸長差を設けて交絡部を有する混繊糸条を用いて、下ヨリが施され該混繊糸条を複数本引き揃えてさらに上ヨリが施されて形成されたものの2種類があり、いずれであっても構わない。前者は薄地用の用途に、また後者は中厚地用の用途に適している。
第2の発明において、高弾性ポリエステルフィラメント糸条は、脂肪族ポリエステルからなるものである。好ましい脂肪族ポリエステルとしては、具体的にはポリトリメチレンテレフタレート(以下、PTTと称することがある)またはポリプロピレンテレフタレート(以下、PPTと称することがある)が挙げられる。前記のように10%伸長時の伸長弾性回復率は80%以上であることが重要であり、80%未満では、生地のストレッチ性に対し十分なストレッチ性が得られなく、極端な伸長に対しては縫糸切断を起こす恐れがあるので好ましくない。脂肪族ポリエステルからなる高弾性ポリエステルフィラメント糸条は、上記要件を満たすものである。
また、第2の発明において、高弾性ポリエステルフィラメント糸条は、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと称することがある)からなる糸条であってもよい。PBTは脂肪族ポリエステルより耐熱性に優れており、特に高速縫製性に優れており、さらに、強度も高く縫製中の糸切れが少なく、縫目の強度も高いので、着用中の縫糸切れも少ないのが特徴である。
本発明で用いられる高弾性ポリエステルフィラメント糸条の断面構成において、単繊維の断面形状は、異形断面より丸形断面が強度や耐摩耗性から好ましく、複合断面では通常のポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称することがある)繊維とのサイドバイサイド型や芯/鞘型断面など、いわゆるPPT/PET型の複合フィラメント糸が一例である。
特に、高弾性フィラメントと通常弾性フィラメントを複合紡糸した複合糸では、弾性差により潜在ケン縮糸を形成するのでストレッチ性に優れ嵩高性も高くソフトな風合いのストレッチ縫糸を得ることができる。ストレッチ縫糸特性において、ややソフトな風合いになるので縫製性がやや低下する傾向にあるが、生地とのなじみ性または相溶性が好ましい状態にある。
本発明においては、10%伸長直後の回復率が80%以上のものを「高弾性」と定義し、10%伸長直後の回復率が80%未満のもの(通常高弾性もしくは通常弾性)と区別する。
第3発明において、本発明のストレッチ縫糸を構成する高弾性フィラメント糸条は、交絡数が1m当たり50個以上300個の交絡部を有している。その交絡部は、ストレッチ縫糸を製造する工程において、下ヨリが施されるフィラメント糸条に施されているものである。交絡数は、より好ましくは50〜200個である。
本発明において、交絡部は、従来のインターレースノズルなどにより得られる交絡部ではなく、交絡のピッチが従来技術と同等であるが非交絡の開繊部のサイズが大きくなり、したがって、縫糸加工した場合にループ形状が該縫糸表面から突出したような形状となるのである。本発明において、このような交絡部は、後述する特殊な構造の交絡ノズルによって形成することができる。
従来のインターレースノズルでは、交絡処理を施すことにより、供給したフィラメント糸条2本に見掛けヨリが挿入されて過剰供給が阻止され、オーバーフィード条件が設定できなく、非交絡の開繊部のサイズを大きくすることができなかった。しかしながら、本発明では、該フィラメント糸条2本を分離するための細ピンをノズル内に設け強制分離後、交絡処理を施すことにより、見掛けヨリが挿入されず、過剰供給が阻止されることがなくなる。よって、非交絡の開繊部のサイズが大きくなるので、開繊絡が消滅したりして交絡数が少なくなることがなくなる。交絡数は、該処理圧力を高くしたり処理張力を低目に設定することにより、個数を多く設定することができる。
交絡部の個数が1m当たり50個以下では、ストレッチ縫糸の強度は高く維持されるが可縫性が低下しやすい。また、交絡部の個数が1m当たり300個以上では、可縫性は向上するがストレッチ縫糸の強度が低下しやすい。
交絡部を有する混繊糸条の糸長差において、鞘糸側になるフィラメント糸は芯糸側に成るフィラメントに対し1〜10%長い範囲が好ましく、糸長差が10%以上になるとループサイズが大きくなりすぎて、ミシン縫針に引っかかったり、縫目品位を低下させることがある。このような混繊糸条では、交絡数やループサイズを自由に変更できるので、目標とするストレッチ縫糸の設計が容易になる。
図1は、本発明に係るストレッチ縫糸の一例を示す模式側面図である。図1の(a)は、交絡処理が施された下ヨリが施される前のポリエステルフィラメント糸の単糸条である。また、図1の(b)は、上記(a)の単糸条に、S方向に下ヨリを施したポリエステルフィラメント糸を2本引き揃え、Z方向に上ヨリを施した本発明のストレッチ縫糸の例である。
図1(a)は、「交絡」状態を示し、くびれた部分が集束部であり、実際に交絡している箇所である。単繊維が開繊した部分は非交絡部である。また、図1(b)は、「ループ」状態を示し、単繊維フィラメント糸が1〜2本飛び出したような部分が実際のループである。右端上の2本、中央右下の1本、左上の2本重なり等がループに相当する。
次に、本発明のストレッチ縫糸の製造方法について説明する。 図2は、本発明に係るストレッチ縫糸を製造する糸加工工程の一例を示す概略工程図である。
図2において、芯糸となるマルチフィラメント糸1をボビンから解じょしフィードローラ3に供給し、一方、鞘糸となるマルチフィラメント糸2をボビンから解じょしフィードローラ4に供給する。フィードローラ3、4に供給されたマルチフィラメント糸1、2は、交絡ノズル5で交絡を施され、引き取りローラ6から引き出され混繊糸となる。
ここで得られた該混繊糸の粗大サイズのループを軽減することを目的として、引き取りローラ6とヒータ7とリラックスローラ8との間において熱セットを施しても構わなく、あるいは直接熱セットすることなく巻き取りローラ9を介して巻き取りチーズ10に巻き上げマルチフィラメント糸を製造しても構わない。
フィードローラへ供給する芯糸と鞘糸のオーバーフィード率において、芯糸のオーバーフィード率が0.5%未満であると交絡処理を施すに際し、開繊が不十分となることがある。また、芯糸のオーバーフィード率が5%を超えると、交絡処理において粗大ループが発生して糸加工が不安定になる問題が発生することがある。
また、鞘糸のマルチフィラメント糸条のオーバーフィード率が3.5未満であると、芯糸に対して十分な糸長差を付与することが困難となる。また、鞘糸のオーバーフィード率が25%を超えると、前述したように縫糸の糸表面に発現するループ長が大きくなり、ミシン機のミシン針穴への引っかかりが発生することがある。
図3は、本発明に係るストレッチ縫糸を製造する糸加工交絡ノズルの一例を示す横断面図である。図3において、芯糸となるフィラメント糸11と鞘糸となるフィラメント糸12を導糸口13から分離ガイド14を介して供給し、高圧空気流16をノズル孔15から吹きつけ、交絡処理を施して混繊糸17を引き出し製造するのである。すなわち、ノズル入り口に2糸条分の導入口を有し、導入後は互いに糸条が干渉しないよう分離ガイドのピンを設けており、ピンを通過後に交圧力の空気流にて交絡処理を施すことができるノズルを用いるのである。
本発明のストレッチ縫糸を製造する際に施す下ヨリと上ヨリにおいて、上ヨリ数と下ヨリ数との関係は、ストレッチ縫糸のヨリトルクのバランスを保つようにヨリ方向とヨリ数を設定することが好ましく、下ヨリ方向と上ヨリ方向とは互いに相反する方向であって、上ヨリ数は下ヨリ数の60〜90%に設計することが好ましい。
本発明のストレッチ縫糸の適正なヨリ数は、下ヨリ数はヨリ係数kが5000以上を付与することが好ましく、ストレッチ縫糸風合いが硬くなることを防止することと撚加工費を低減する観点から、ヨリ係数kはより好ましくは15000以下であり、さらに好ましくは7000〜13000の範囲である。
上ヨリ数は下ヨリ数とのトルクバランスを保つため、下ヨリ数の好ましくは60〜90%を挿入し、かつヨリ方向は下ヨリ方向と逆である。ミシン機の機構上、通常下ヨリ方向はS方向、上ヨリ方向はZ方向である。
通常、縫糸は、原糸を施撚後、必要に応じて撚り止めセットされ、その後、染色・仕上げ加工される。染色は、一般的にはかせ巻きまたはチーズ形状で行われる。なお、ヨリ係数kとは、次式から求められるものである。
ヨリ数T=K/(D1/2
ここで、T:1m当たりのヨリ数[個/m]
D:繊度[dtex]
K:ヨリ係数
本発明のストレッチ縫糸は、高速可縫性、自動機対応性、バック縫性および縫目の綺麗さ等が要求される工業用本縫いミシン機に供給できる一般衣料用縫糸の他、スポーツ衣料、ユニホーム、高齢者用衣料および子供衣料などのストレッチ性布帛の縫製に最適である。
実施例における縫糸の可縫性の評価(表1)は、次の評価結果を示すものである。
(a)沸水収縮率、繊度および強度と伸度
JIS L 1090(平成4年3月1日改正)に基づいて測定した。
(b)引っ掛け強度率(%)
引っ張り試験機(INSTRON社製 MODEL−1122)を用いて、試長20cmのミシン糸を引っ張り速度20cm/minにて測定した引っ張り強度をS1とし、試長40cmのミシン糸を「輪奈」状でリンクし互いに引き合いながら、上記条件と同様に測定した引っ張り強度をS2とする。引っ掛け強度S3(%)を、次式で算出する。
S3={(S2/2)/S1}×100
(c)交絡数
約50cm角のバットの底に黒板を沈め、水を5cmの深さにはったものを準備する。
その上に交絡処理を施した下ヨリ糸を構成する複合糸を浮かべ、交絡部分の数を読みとり、
1m当たりに換算した個数を平均値として算出したものである。n数は10回である。
「交絡部分」とは、図1(a)のくびれた部分を指す。具体的には、開繊された各フィラメント糸の位相がズレながらねじれた部分である。見掛け上実ヨリが挿入されており、開繊部をはさんでヨリ方向は相逆方向になる。くびれた部分を数個有した糸条を数回の伸長と回復を繰り返すことにより、くびれた部分は消滅し開繊された交絡処理前の糸条にもどる性質をもっている。
(d)ループ数
東レエンジニアリング(株)製毛羽カウンター測定機DT−104(S型検出端)を
用いて、糸表面から0.7mm以上1.2mm長および1.2mm長以上のループ数を測定し1m当たりの個数に算出したものである。
(e)縫製評価方法は以下のとおりである。
(i) 高速可縫性:
綿100%ブロード#4000(日清紡社製)生地10枚重ねを2m縫製可能なミシン機(JUKIDDL−5571N)、の最高回転数(針/分)100〜5000(針/分)の範囲をテストする。針番号;DB1−#11使用。
(ii) 自動機対応性:
綿100%ブロード生地4枚重ねを1500(針/分)で2m縫製可能な張力範囲を
測定する。
×; 縫製不可
△; 縫製可能(張力範囲不定)
○; 100〜200g
(iii) パッカリング:
綿100%ブロード生地2枚重ねを2000(針/分)で上糸張力65gにて縫製し、洗濯・乾燥を5回繰り返し後の縮み等級を判定する。
1級;極めて目立つ
2級;目立つ
3級:ほとんど目立たない
4級;目立たない
5級;全く目立たない
(iv) 縫目品位:
縫目生地を目視判定する。
×;ループを発見できる
△;ほとんど目立たない
○;ループなし
(v) 縫目伸度:
縫目方向20cm長の破断伸び率を測定する。
(vi) 総合判定:
ストレチ性の縫糸として適しているかを判定する。
×; 劣っている
△; 良くない
○; 良い
◎; 優れている
(実施例1)
ポリプロピレンテレタレート単独糸からなる10%伸長時の弾性回復率が91%のマルチフィラメント糸(56デシテックス−24フィラメント)2糸条を、第2図と3図に示した糸加工工程と交絡ノズルを用いて、芯糸となるマルチフィラメント糸のオーバーフィード率を2%とし、鞘糸となるマルチフィラメント糸のオーバーフィード率を6%として、高圧空気により交絡処理を0.5MPで施し、芯糸と鞘糸の糸長差が4%の芯鞘構造の混繊糸条を得た。得られた混繊糸条を、ダウンツイスターにてS方向900T/mの下ヨリを施し、80℃の温度のヨリ止めスチームセットを行い、この糸を2糸条引き揃えダウンツイスターにてZ方向850T/mの上ヨリを施した。その後、85℃の温度のヨリ止めスチームセットを施し、ソフトチーズに巻き返し、115℃の温度で分散染料によるチーズ染色加工を施し、油剤を付与後、ボビンに巻き上げて仕上げた。得られたストレッチ縫糸の糸特性および可縫性評価を、表1に示した。ストレッチ縫糸表面に山状に突出ループ長さ、すなわち山の高さと個数は次のとおりであった。
ループ長さ:0.7mm以上1.2mm未満のループ数 76個/m
ループ長さ:1.2mm以上のループ数 5個/m
得られたストレッチ縫糸を用いて高速自動ミシン機による縫製性を評価したところ、1分間に2000針まで糸切れすることなく縫製でき、縫目部分のストレッチ性も良好であった。
(実施例2)
10%伸長時の弾性回復率が93%のポリプロピレンテレフタレートマルチフィラメント糸(78デシテックス−36フィラメント)1糸条に、オーバーフィード率を5%として高圧の空気交絡処理を施して交絡単糸を得た。得られた交絡単糸を、ダウンツイスターにてS方向1050T/mの下ヨリを施し、80℃の温度のヨリ止めスチームセットを行い、この糸を3糸条引き揃えダウンツイスターにてZ方向950T/mの上ヨリを施した。その後、85℃の温度のヨリ止めスチームセットを施し、ソフトチーズに巻き返し、115℃の温度で分散染料によるチーズ染色加工を施し、油剤を付与後、ボビンに巻き上げて仕上げた。得られたストレッチ縫糸の糸特性および可縫性評価を表1に示した。実施例1と同様にループ長さの測定結果は次のとおりであった。
ループ長さ:0.7mm以上1.2mm未満のループ数 56個/m
ループ長さ:1.2mm以上のループ数 1/m
得られたストレッチ縫糸を用いて高速自動ミシン機による縫製性を評価したところ、高速可縫性は1分間に2000針まで縫製することができ、縫目のストレッチ性も良好であった。
(実施例3)
実施例1と同様に、ポリプロピレンテレタレート単独糸からなる10%伸長時の弾性回復率が91%のマルチフィラメント糸(56デシテックス−24フィラメント)2糸条を、第2図と3図に示した糸加工工程と交絡ノズルを用いて、芯糸となるマルチフィラメント糸のオーバーフィード率を3%とし、鞘糸となるマルチフィラメント糸のオーバーフィード率を8%として、高圧空気により交絡処理を0.6MPで施し、芯糸と鞘糸の糸長差が5%の芯鞘構造の混繊糸条を得た。得られた混繊糸条を、ダウンツイスターにてS方向900T/mの下ヨリを施し、80℃の温度のヨリ止めスチームセットを行い、この糸を2糸条引き揃えダウンツイスターにてZ方向850T/mの上ヨリを施した。その後、85℃の温度のヨリ止めスチームセットを施し、ソフトチーズに巻き返し、115℃の温度で分散染料によるチーズ染色加工を施し、油剤を付与後、ボビンに巻き上げて仕上げた。得られたストレッチ縫糸の糸特性および可縫性評価を、表1に示した。ストレッチ縫糸表面に山状に突出ループ長さ、つまり山の高さと個数は次のとおりであった。
ループ長さ:0.7mm以上1.2mm未満のループ数 131個/m
ループ長さ:1.2mm以上のループ数 18個/m
得られたストレッチ縫糸を用いて高速自動ミシン機による縫製性を評価したところ、1分間に2500針まで糸切れすることなく縫製でき、縫目部分のストレッチ性も良好であった。
(実施例4)
ポリブチレンテレフタレート単独糸からなる10%伸長時の弾性回復率が86%のマルチフィラメント糸(94デシテックス−72フィラメント)1糸条を、第2図と3図に示した糸加工工程と交絡ノズルを用いて、マルチフィラメント糸のオーバーフィード率を10%として、高圧空気により交絡処理を0.6MPで施し交絡糸条を得た。得られた交絡糸条を、ダウンツイスターにてS方向900T/mの下ヨリを施し、80℃の温度のヨリ止めスチームセットを行い、この糸を2糸条引き揃えダウンツイスターにてZ方向850T/mの上ヨリを施した。その後、85℃の温度のヨリ止めスチームセットを施し、ソフトチーズに巻き返し、115℃の温度で分散染料によるチーズ染色加工を施し、油剤を付与後、ボビンに巻き上げて仕上げた。得られたストレッチ縫糸の糸特性および可縫性評価を、表1に示した。ストレッチ縫糸表面に山状に突出ループ長さ、つまり山の高さと個数は次のとおりであった。
ループ長さ:0.7mm以上1.2mm未満のループ数 155個/m
ループ長さ:1.2mm以上のループ数 21個/m
得られたストレッチ縫糸を用いて高速自動ミシン機による縫製性を評価したところ、1分間に3000針まで糸切れすることなく縫製でき、縫目部分のストレッチ性も良好であった。
Figure 2006183202
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント糸(78デシテックス−36フィラメント)1糸条を用いて、ダウンツイスターにて実施例2と同様にS方向1050T/mの下ヨリを施し、80℃の温度のヨリ止めスチームセットを行い、この糸を3糸条引き揃えダウンツイスターにてZ方向950T/mの上ヨリを施した。その後、85℃の温度のヨリ止めスチームセットを施し、ソフトチーズに巻き返し、115℃の温度で分散染料によるチーズ染色加工を施し、油剤を付与後、ボビンに巻き上げて仕上げた。得られたストレッチ縫糸の糸特性および可縫性評価を表2に示した。ループ長さは次のとおりであった。
ループ長さ:0.7mm以上1.2mm未満のループ数 0個/m
ループ長さ:1.2mm以上のループ数 0個/m
この縫糸は、交絡部を有していないフィラメント縫糸であって、可縫性は最高速度1500針と極めて不良であり溶断による糸切れが多発する。また、伸度は極めて小さく
ストレッチ用生地の縫糸には適さない。
(比較例2)
通常のポリエチレンテレフタレート糸からなるマルチフィラメント糸(56デシテックス−24フィラメント)2糸条を、実施例1と同様の第2図と3図に示す糸加工工程とノズルを用いて、芯糸となるマルチフィラメント糸のオーバーフィード率を2%とし、鞘糸となるマルチフィラメント糸のオーバーフィード率を6%として、高圧空気により交絡処理を0.5MPで施し、芯糸と鞘糸の糸長差が4%の芯鞘構造の混繊糸を得た。得られた混繊糸をダウンツイスターにてS方向900T/mの下ヨリを施し、95℃の温度のヨリ止めスチームセットを行い、この糸を2糸条引き揃えダウンツイスターにてZ方向850T/mの上ヨリを施した。その後、105℃の温度のヨリ止めスチームセットを施し、ソフトチーズに巻き返し、130℃の温度で分散染料によるチーズ染色加工を施し、油剤を付与後、ボビンに巻き上げて仕上げた。得られたストレッチ縫糸の糸特性および可縫性評価を表2に示した。ループ長さは次のとおりであった。
ループ長さ:0.7mm以上1.2mm未満のループ数 71個/m
ループ長さ:1.2mm以上のループ数 4個/m
得られた縫糸を用いて高速自動ミシン機による縫製性を評価したところ、1分間に3500針まで糸切れすることなく縫製できたが、ストレッチ性は低くストレッチ生地の縫製には適用することはできないものであった。
Figure 2006183202
本発明のストレッチ縫糸は、高速可縫性、自動機対応性、バック縫性および縫目の綺麗さ等が要求される工業用本縫いミシン機に供給できる一般衣料用縫糸の他、スポーツ衣料、ユニホーム、高齢者用衣料および子供衣料などのストレッチ性布帛の縫製に最適である。また、本発明のストレッチ縫糸は、地球環境対応型素材であることから、環境対応型の生地との組み合わせにて100%環境対応型の製品である。
図1は、本発明に係るストレッチ縫糸の一例を示す模式側面図である。 図2は、本発明に係るストレッチ縫糸を製造する糸加工工程の一例を示す概略工程図である。 図3は、本発明に係るストレッチ縫糸を製造する糸加工交絡ノズルの一例を示す横断面図である。
符号の説明
1:芯糸となるマルチフィラメント糸
2:鞘糸となるマルチフィラメント糸
3:フィードローラ
4:フィードローラ
5:交絡ノズル
6:引き取りローラ
7:ヒータ
8:リラックスローラ
9:巻き取りローラ
10:巻き取りチーズ
11:芯糸のフィラメント糸
12:鞘糸のフィラメント糸
13:導糸口
14:分離ガイド
15:ノズル孔
16:高圧空気流
17:混繊糸

Claims (4)

  1. 糸条表面にループが突出してなる下ヨリと上ヨリを施したポリエステルフィラメント糸条からなり、該ループ数が30〜200個/mであり、10%伸長時の伸長弾性回復率が80%以上であることを特徴とするストレッチ縫糸。
  2. ポリエステルフィラメント糸条が、脂肪族ポリエステルまたはポリブチレンテレフタレートからなるフィラメント糸条であることを特徴とする請求項1記載のストレッチ縫糸。
  3. ポリエステルフィラメント糸条が、交絡数50〜300個/mの交絡を有することを特徴とする請求項1または2 記載のストレッチ縫糸。
  4. ループがネジレていないループであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のストレッチ縫糸。
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