JP2006183002A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低温かつ短時間で硬化して優れた接着性を示し、劣化を引き起こす成分を含まない硬化性樹脂組成物であって、特に有機EL素子の封止用接着剤として有用な組成物を提供すること。
【解決手段】 有機EL素子の封止用接着剤として、(A)分子中に1個以上の水酸基と2個以上のエチレン性2重結合とを有するアクリレート、(B)分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂、および(C)熱ラジカル重合開始剤を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物を使用する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、様々な用途に適用可能な硬化性樹脂組成物に関する。より具体的には、本発明は、ディスプレイまたは半導体デバイスなどの素子を封止する際に必要とされる各種特性を併せ持つ接着剤、すなわち素子を劣化させずに低温かつ短時間で硬化して優れた接着性を示す接着剤として有用な硬化性樹脂組成物であって、特に、有機EL素子の封止用接着剤としての使用に適した硬化性樹脂組成物に関する。
有機EL素子は、TFT等の駆動回路が形成されたガラス等の基板上に、陰極および陽極によって挟持された発光層を含む薄膜積層体からなる素子部本体が形成された構造を有する。素子部の発光層または電極といった層は、水分または酸素による劣化を受けやすく、それらの層が劣化すると、素子の性能低下を招くだけでなく、素子の寿命が著しく低下することになる。そのため、通常、有機EL素子は、外部からの水分またはイオン性不純物の浸入を遮断するように封止される。高品質で信頼性の高い有機EL素子の実現に向けて、より信頼性の高い封止が望まれており、従来から様々な封止技術が検討されている。
有機EL素子の代表的な封止方法として、予め乾燥剤を挿入した金属製またはガラス製の封止キャップを、接着剤を用いて有機EL素子の基板に固定する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法では、有機EL素子の基板外周部に接着剤を塗布し、その上に封止キャップを設置し、次いで接着剤を固化させることによって、基板と封止キャップとを固定し、有機EL素子を密閉している。このような方法では、現在、ガラス製の封止キャップによる封止が主流となっている。しかし、ガラス製の封止キャップは、平坦なガラス基板に乾燥剤を挿入するための掘り込みを加工することによって作製されるため、高コストとなる傾向がある。また、封止キャップによる封止は、封止キャップの内側に乾燥剤が挿入されることになるため、封止キャップ側から光を取り出すことはできない。すなわち、光は素子の基板側から取り出されることになり、ボトムエミッション型の素子に制限される。ボトムエミッション型の素子の場合、基板に形成された駆動回路部による開口率の低下、および駆動回路部によって光が一部遮られることによる取り出し効率の低下の問題がある。そのため、有機EL素子の基板の反対側から光を取り出すトップエミッション型の素子に適用可能な封止方法の開発が望まれている。
トップエミッション型の素子に適用可能な代表的な封止方法として、薄膜封止法および固体封止法がある。薄膜封止法は、有機EL素子の上に無機または有機材料からなる薄膜を多層積層してパッシベーション膜とする方法である(特許文献2参照)。この方法によって素子に十分な防湿性を付与するには、素子上に何層もの薄膜を順次積層する必要がある。そのため、薄膜封止法では成膜工程が長く高コストになり、また成膜に必要とされる大型の真空系設備の導入によって初期投資が高くなる傾向がある。
一方、固体封止法は、有機EL素子の素子部全体を覆うようにパッシベーション膜を設け、その上に接着剤を介して封止用透明基板を設ける方法である(特許文献3参照)。一般に、パッシベーション膜は、無機材料を蒸着またはスパッタリングすることによって形成されるが、それはピンホールを有する不完全な膜であるか、機械的強度の弱い膜であることが多い。そのため、固体封止法では、素子上にパッシベーション膜を設けた後に、接着剤を介してガラス基板などの封止用透明基板を設けることによって封止の信頼性を高めている。このような固体封止法は、簡便かつ低コストでトップエミッション型の素子の封止を実施可能な方法として注目を集めている。
特開2001−35659号公報 特開2003−217829号公報 特開2004―281380号公報
有機EL素子の固体封止法による封止では、熱または光硬化性樹脂を接着剤として使用することが可能であるが、それらの特性は素子の性能および封止作業の生産性に著しい影響を及ぼす可能性があるため非常に重要である。例えば、接着剤中に水分やイオン性不純物が存在すると、それらがパッシベーション膜のピンホールから素子部に浸入し、素子の劣化を招く可能性がある。また、接着性の硬化反応が遅ければ、硬化工程に時間がかかり、封止作業の生産性が低下する可能性がある。有機EL素子の封止用接着剤として周知の接着剤を使用して固体封止法による封止を実施することは可能であるが、信頼性および生産性の双方で満足できる結果を得ることは難しいのが現状であり、固体封止法に好適に使用可能な接着剤の開発が望まれている。
したがって、本発明では、有機EL素子を劣化する成分を含有せず、また低温かつ短時間で硬化して優れた接着性を示す接着剤として有用な硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の状況に鑑み、有機EL素子の封止用接着剤について鋭意検討した結果、特定の成分から構成される硬化性樹脂組成物が接着剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による硬化性樹脂組成物は、(A)分子中に1個以上の水酸基と2個以上のエチレン性二重結合とを有するアクリレート、(B)分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂、および(C)熱ラジカル重合開始剤を含むことを特徴とする。
ここで、上記硬化性樹脂組成物において、(A):(B)の配合比が60:40〜95:5の範囲であることが好ましい。
また、上記硬化性樹脂組成物において、(C)熱ラジカル重合開始剤の配合比が、((A)+(B))100重量部に対して0.05〜5重量部であることが好ましい。
また、上記硬化性樹脂組成物において、(A)のアクリレートが、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールF型エポキシアクリレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジプロピレングリコールジグリシジルジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、フェノールノボラック型エポキシアクリレート、およびクレゾールノボラック型エポキシアクリレート、からなる群より選択される1種以上のアクリレートを含むことが好ましい。上記(A)アクリレートは、ビスフェノールA型エポキシアクリレートおよびビスフェノールF型エポキシアクリレートの少なくとも一方を含むことがより好ましい。
また、上記硬化性樹脂組成物において、上記熱ラジカル重合開始剤が、有機過酸化物であることが好ましい。
また、上記硬化性樹脂組成物が、シランカップリング剤またはシラン変性エポキシ樹脂をさらに含むことが好ましい。
本発明による有機EL素子の封止用接着剤は、上述の硬化性樹脂組成物を含むことを特徴とする。
本発明による有機EL素子の固体封止方法は、基板上に形成された有機EL素子上にパッシベーション膜を形成する工程、上記パッシベーション膜の上に上述の封止用接着剤を塗布し、次いで封止用透明基板を設ける工程、および上記封止用接着剤を硬化させる工程
を有することを特徴とする。
本発明による硬化性樹脂組成物によれば、比較的低温かつ短時間で硬化し高い接着性を示す接着剤の提供が可能となる。また、組成物が硬化剤などに起因するイオン性不純物を含まないために、不純物によって引き起こされる劣化を抑制することが可能となる。特に、本発明による硬化性樹脂組成物を有機EL素子の封止用接着剤として使用した場合には、信頼性の高い封止を効率良く実施することが可能となり、また有機ELディスプレイの長期信頼性を向上させることが可能となる。
様々な硬化性樹脂組成物を有機EL素子の封止用接着剤として使用することが考えられる。例えば、代表的にエチレン性二重結合を有するモノマー、ポリマーまたはエラストマーと、ラジカル開始剤とを含むアクリル系接着剤が挙げられる。このようなアクリル系接着剤は光照射または加熱によって開始されるラジカル重合反応によって硬化し、その硬化速度が比較的速いという特徴を有する。また、他の例として、代表的に、グリシジル基を有するモノマー、ポリマーまたはエラストマーと、アミン化合物、酸無水物または光カチオン発生剤などの硬化剤とを含むエポキシ樹脂が挙げられる。このようなエポキシ樹脂は光照射または加熱によって生じる付加重合によって硬化し、接着性、機械的強度、および耐薬品性に優れるという特徴を有する。
本発明者の検討によれば、有機EL素子の封止においてアクリル系接着剤を使用した場合、低温かつ短時間の加熱または光照射であっても十分に硬化可能であった。しかし、アクリル系接着剤は、硬化性に優れる一方で、硬化時の収縮が大きく、高い接着力を得ることが困難であることが分かった。特に、固体封止法による封止にアクリル系接着剤を使用した場合は、封止用透明基板の剥離、接着界面から素子部へ水分が浸入することによる有機EL素子の劣化が生じやすい傾向があった。
また、エポキシ系接着剤を固体封止法による封止に使用した場合は、アクリル系接着剤に比べて硬化収縮が少なく、高い接着力が得られ、機械的強度および耐薬品性にも優れる結果となった。しかし、エポキシ系接着剤における付加重合は、一般にゆっくり進行するため、低温で硬化させる場合には1時間以上の硬化時間が必要となり、生産効率が低い。一方、高温での硬化は、過剰加熱によって素子の破壊が引き起こされる可能性があるため望ましくない。また、エポキシ系接着剤ではアミン化合物、酸無水物または光カチオン発生剤などの硬化剤の使用が可能となるが、それらの成分は極性を有するか強いイオン性を示し、有機EL素子の劣化を引き起こすことになり望ましくない。
このような状況に鑑み、本発明者らは有機EL素子の封止用接着剤として有用となる硬化性樹脂組成物についてさらなる検討を行い、本発明を完成するに至った。以下、本発明について説明する。
本発明による硬化性樹脂組成物は、(A)分子中に少なくとも1個以上の水酸基と2個以上のエチレン性二重結合を有するアクリレートと、(B)分子中に少なくとも2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂と、(C)熱ラジカル重合開始剤とを含むことを特徴とする。
本発明において使用される成分(A)のアクリレートは、分子中に少なくとも1個以上の水酸基と2個以上のエチレン性二重結合とを有するアクリレート化合物であればよい。特に限定されるものではないが、アクリレートの例として、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールF型エポキシアクリレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジプロピレングリコールジグリシジルジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート等のエチレン性二重結合を2個有するもの、またはフェノールノボラック型エポキシアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート等のエチレン性二重結合を多数有するものが挙げられる。特に限定されるものではないが、耐湿性の観点からは、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールF型エポキシアクリレートが好ましい。なお、特に限定されるものではないが、成分(A)のアクリレートは200〜10万の範囲の重量平均分子量を有するものが取り扱いの点で好ましい。
本発明において使用される成分(B)のエポキシ樹脂は、分子中に少なくとも2個以上のグリシジル基を有する化合物であればよい。特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂の例として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂が挙げられる。なお、特に限定されるものではないが、成分(B)のエポキシ樹脂は200〜10万の範囲の重量平均分子量を有するものが取り扱いの点で好ましい。
本発明において使用される成分(C)の熱ラジカル重合開始剤としては、熱によってラジカル種を発生することが可能な当技術分野において周知の化合物であってよく、例えば有機過酸化物を使用することが可能である。
有機過酸化物としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル等が挙げられる。しかし、ラジカル重合反応の温度を所望の温度で行うためには、適切な有機過酸化物を選択することが重要である。有機EL素子に使用する場合には、100℃以下の低温でラジカル重合を開始する必要がある。さらに、室温においてラジカル重合反応が開始するとポットライフが短くなってしまうため、1時間半減期温度が60〜100℃の有機過酸化物を用いることが望ましい。さらに、より望ましくは1時間半減期温度が70〜90℃の有機過酸化物を用いることが望ましい。そのような有機過酸化物の一例として、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、などが挙げられる。
なお、本発明による硬化性樹脂組成物では、予備的な硬化を可能とするために、熱ラジカル重合開始剤に加えて光重合開始剤を併用し、組成物に光硬化性を付与してもよい。光重合開始剤の例としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)ー2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロへキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4ーチオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物; 2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系化合物、ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル; ベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物; 2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物; ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物; 10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
理論によって拘束されるものではないが、本発明では、上記成分(A)、(B)および(C)の組み合わせによって2種の硬化反応が生じ、その結果として、低温の硬化条件であっても高い接着力を発現することが可能になるもの推測される。すなわち、本発明による硬化性樹脂組成物の硬化では、先ず、組成物をある所定温度に加熱することによって成分(C)の熱ラジカル重合開始剤が開裂してラジカル種が発生し、成分(A)のアクリレートに含まれるエチレン性二重結合をラジカル重合する第1の硬化反応が生じる。次いで、加熱温度をさらに高めることによって成分(A)のアクリレートに含まれる水酸基と、成分(B)のエポキシ樹脂に含まれるグリシジル基との付加反応による第2の硬化反応が生じる。
なお、本発明による樹脂組成物の硬化は、第1の硬化反応と第2の硬化反応とが順次生じるように、硬化温度を2段階に調整して実施することが望ましい。しかし、第1の硬化反応となるラジカル重合の反応速度は、第2の硬化反応となる付加反応と比較して十分に速いため、本発明による組成物は、硬化温度を2段階に調整しなくとも、自ずと2段階の硬化反応が生じると考えられる。このような2段階の硬化反応を伴って樹脂組成物が硬化することによって、第1の硬化反応時に生じるアクリレートの硬化収縮による内部応力が、同じ系内に存在するが第1の硬化反応には関与しない成分(C)のエポキシ樹脂によって緩和され、高い接着力を示すものと推測される。
また、高い接着力が低温の硬化条件下で得られることは、図1を参照することによって明らかとなるであろう。図1は、代表的な硬化性樹脂組成物の硬化反応に関するDSC測定の結果を示すチャートである。図中、反応例1は、ビスフェノールA型エポキシアクリレートとフェノールノボラック型エポキシ樹脂を50:50の割合で混合した組成物の硬化反応を示すものである。また、反応例2は、ビスフェノールA型エポキシアクリレートとフェノールノボラック型エポキシ樹脂と有機化酸化物(1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーオクタO」))を50:50:2の割合で混合した、本発明に該当する組成物の硬化反応を示すものである。
図1から明らかなように、反応例1の場合はラジカル重合開始剤を含まない系であるため、ラジカル重合(反応例2における第1の硬化反応に該当する)を伴わず、ビスフェノールA型エポキシアクリレートに含まれる水酸基と、フェノールノボラック型エポキシ樹脂に含まれるグリシジル基との付加重合のみが生じる。反応時の発熱は150℃をピークとし、130℃〜170℃の範囲で確認される。
一方、反応例2の場合は、ラジカル重合開始剤が存在することによって、80℃付近でラジカル重合反応による第1の硬化反応が生じる。そして、第2の硬化反応となるビスフェノールA型エポキシアクリレートに含まれる水酸基とフェノールノボラック型エポキシ樹脂に含まれるグリシジル基との付加反応については、その発熱ピークが第1の硬化反応で残留するラジカル重合開始剤の開裂ピークと重なっている。より詳細には、本発明による組成物に該当する反応例2では、水酸基とグリシジル基との反応が95℃〜140℃の範囲で確認され、反応例1よりも発熱ピークが低温側にシフトしている。すなわち、熱ラジカル重合開始剤の存在下では水酸基とグリシジル基との付加反応が100℃程度の低温でも進行することが明らかである。
上述のように、本発明による硬化性樹脂組成物によれば、低温の硬化条件であっても高い接着力を発現させることが可能である。しかし、樹脂組成物の硬化反応をより効率よく進行させ高い接着力を得るためには、組成物における成分(A)、(B)および(C)の配合比を適宜調整することが望ましい。
本発明者らによる検討結果によれば、100℃程度の低温および短時間の硬化条件下では、組成物における成分(B)のエポキシ樹脂の割合が多くなるにつれて硬化が不十分となり、高い接着力を得ることが困難となる傾向がある。そのため、本発明による硬化性樹脂組成物では、(A):(B)の配合比を60:40〜95:5の範囲とすることが好ましい。なお、配合に関する検討結果の詳細については、後述の実施例を参照されたい。
もちろん、(A):(B)の配合比が上述の範囲から外れても、組成物を低温で硬化させることは可能である。しかし、低温で十分に高い接着力を得るためには、長時間にわたる硬化が必要となる。また、組成物の硬化反応を効率よく促進するためには、成分(C)の熱ラジカル重合開始剤を、成分(A)と(B)の合計量((A)+(B))100重量部に対して、0.05〜5重量部の割合で配合することが好ましい。成分(C)の配合量が0.05重量部未満となると組成物の硬化反応を十分に促進させることが困難となる。また、5重量部を超える量での重合開始剤の配合は、さらに反応促進効果を得ることが困難であるため非経済的となるだけでなく、重合開始剤が硬化後の組成物に悪影響を及ぼす可能性があるため望ましくない。以上のことから、本発明による硬化性樹脂組成物のなかでも、(A):(B)の配合比が60:40〜95:5の範囲であり、((A)+(B))100重量部に対する(C)の配合比が0.05〜5重量部であるものが好ましい。また、(A):(B)の配合比が85:15〜95:5の範囲であり、((A)+(B))100重量部に対する(C)の配合比が0.5〜3重量部であるものがより好ましい。
本発明による硬化性樹脂組成物には、必要に応じてシランカップリング剤又はシラン変性エポキシ樹脂を追加することも可能である。シランカップリング剤とシラン変性エポキシ樹脂とを併用することも可能である。それら成分を本発明による硬化性樹脂組成物に配合することによって、組成物を有機EL素子の封止用接着剤として適用した場合、加湿による接着力の低下を抑えることが可能となる。
カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルシラザンなどのアミノ基を有するシランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するシランカップリング剤、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有するシランカップリング剤、およびγ−クロロプロピルトリメトキシシランなどのハロゲン基を有するシランカップリング剤等のシランカップリング剤、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルジアクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート等のチタネート系カップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤およびアセチルアセトン・ジルコニウム錯体等のジルコニウム系カップリング剤等がある。
シラン変性エポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂などの側鎖水酸基部位にアルコキシシランを化学結合させたものが挙げられる。
さらに、本発明による硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、乾燥剤(吸湿剤)、分散剤、チクソトロピー性付与剤、消泡剤、レベリング剤、可塑化剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、充填剤などの当技術分野において通常使用される添加剤を配合してもよい。
例えば、乾燥剤の配合は、そのような組成物を有機EL素子の封止用接着剤として適用した場合、素子部のガラス基板にもともと吸着している微量の水分又は樹脂中に含まれる水分を捕獲吸収して、有機EL素子の寿命をさらに向上させるのに有効である。本発明において使用可能な乾燥剤は、特に限定されるものではないが、例えば、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)等のアルカリ土類金属酸化物; 硫酸リチウム(LiSO)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸コバルト(CoSO)、硫酸ガリウム(Ga(SO)、硫酸チタン(Ti(SO)、硫酸ニッケル(NiSO)等の硫酸塩が挙げられる。乾燥剤の含有量は、その種類に応じて適宜設定すれば良いが、通常、組成物における樹脂成分100重量部に対して、乾燥剤1〜80重量部程度とすれば良い。
本発明による硬化性樹脂組成物は、各種成分を均一に分散かつ混合することによって調製することができ、各種成分の分散および混合には、当技術分野で周知の方法を適用することが可能である。但し、本発明による硬化性樹脂組成物では、組成物に混入する水分又はイオン性不純物等を極力少なくすることが望ましい。特に、本発明による組成物を有機EL素子の封止用接着剤として適用する場合、水分やイオン性不純物は素子劣化の原因となるので、組成物中の水分やイオン性不純物は500ppm以下にすることが重要である。水分やイオン性不純物の除去は、組成物調製前の原料の段階で実施することが望ましい。
本発明による硬化性樹脂組成物は、液状、固体状、フィルム状などのさまざまな形態の組成物として利用することが可能である。
フィルム状や固形状に樹脂組成物を成形する際には、組成物に熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂等の樹脂成分を追加することも可能である。熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の例としては、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1、2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1、3−ブタジエン、ポリ−2−t−ブチル−1、3−ブタジエン、ポリ−1、3−ブタジエンなどの(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテル、ポリビニルブチルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルホン、ポリスルフィド、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えばエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、オキシカルボニルテトラメタクリレート、メチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、テトラデシルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート、1,1−ジエチルプロピルメタクリレート、メチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又はこれらの共重合体を使用することができる。
その他、組成物に追加可能な樹脂成分としては、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体変性物、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸塩共重合体、アクリル酸エステル系ゴム、ポリイソブチレン、アタクチックポリプロピレン、ポリビニルブチラール、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、エチレンセルロース、ポリアミド、シリコーン系ゴム、ポリクロロプレン等の合成ゴム類、ポリビニルエーテルなどが適用可能であり、それらを単独あるいは2種以上併用して使用することが可能である。
組成物の成形を容易にするために、有機溶媒に混合して粘度を低下させ、フィルム状や固形状に成形加工し、最終的に有機溶媒を乾燥してもよい。本発明で使用可能な有機溶媒は特に限定されるものではない。例えば、アセトン、ジエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセタート、エチルセロソルブアセタート等のセロソルブ系溶剤、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル等のエステル系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のアルコール系溶剤などが挙げられ、それらを必要に応じて単独又は2種類以上組み合わせて使用することが可能である。
また、液状の組成物として使用する場合、又はフィルム状や固形状に樹脂組成物を成形する際の取り扱いを容易にするために、有機溶剤のかわりに反応性希釈剤を用いて組成物を所望の粘度に調整してもよい。反応性希釈剤は、有機溶剤と異なり最終的に組成物から除去する必要がないため、有機溶剤の残存が望ましくない用途で好適に使用することが可能である。
本発明において使用可能な反応性希釈剤は、少なくとつのラジカル重合性基を有する化合物であればよい。反応性が高く、好ましい化合物としては、(メタ)アクリル化合物、(メタ)アクリルアミド化合物及びビニルエーテル化合物が挙げられる。具体的には、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジオキシジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、フォスファゼン(メタ)アクリレート、アクリル共重合体へ(メタ)アクリロイル基を導入したもの、等の(メタ)アクリル化合物; ポリブタジエンや不飽和ポリエステル化合物等の主鎖及び側鎖に不飽和結合を有する化合物、アリル基、ビニル基、ビニルエーテル基等のラジカル重合性二重結合を有する化合物等がある。これらの1種または2種以上の混合物を用いることができる。
上述のように本発明による硬化性樹脂組成物は、低温かつ短時間の硬化によって高い接着力が達成されるため、様々な用途の接着剤または粘着剤として適用することが可能である。例えば、本発明による硬化性樹脂組成物では、アミン化合物、酸無水物、光カチオン発生剤などの極性またはイオン性の硬化剤成分を含まないという点で、それら成分による劣化が生じやすい各種ディスプレイまたは半導体デバイスといった電子部品の封止用接着剤として有用である。また、本発明による硬化性樹脂組成物では、分子内に水酸基を有するアクリレートを使用するため、カルボキシル基またはアミノ基といった水酸基よりも反応性が高い官能基を有する系の組成物と比較してポットライフが長くなる傾向があり、その使用性においても優れている。特に、本発明による硬化性樹脂組成物は、有機EL素子の封止用接着剤として好適に使用することが可能である。そのような封止用接着剤は、固体封止方法による封止において特に有効である。本発明による硬化性樹脂組成物を有機EL素子の封止用接着剤として適用した場合、低温かつ短時間の硬化によって高い接着力が達成され、また接着剤による劣化が極めて少ないため、信頼性の高い封止を効率良く実施することが可能となる。
本発明による有機EL素子の固体封止方法は、基板上に形成された有機EL素子上にパッシベーション膜を形成する工程、上記パッシベーション膜の上に封止用接着剤を塗布し、封止用透明基板を設ける工程、および上記封止用接着剤を硬化させる工程を有し、封止用接着剤として上述の本発明による硬化性樹脂組成物を使用することを特徴とする。
図2は、本発明による固定封止方法によって封止した有機EL素子の一例を示す模式的断面図である。図2中、参照符号1は基板、2は下部電極、3は有機EL層、4は上部電極を示す。また、参照符号5はパッシベーション膜、6は封止用接着剤、7封止用透明基板を示す。
封止される有機EL素子は、基板1と、下部電極2と、少なくとも発光層を含む有機EL層3と、上部電極4とを含む素子部本体とから構成される。基板1には、ガラス基板等の電気絶縁性物質からなる平坦な基板を用いる。また、素子部本体の代表的な構成としては以下のものが挙げられる。
(1)下部電極/発光層/上部電極
(2)下部電極/電子輸送層/発光層/上部電極
(3)下部電極/発光層/正孔輸送層/上部電極
(4)下部電極/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/上部電極
例えば、上記(4)の層構造を有する有機EL素子は、基板の片面上に、Al−Li合金等からなる下部電極(陰極)を抵抗加熱蒸着法またはスパッタ法によって形成し、次いで有機EL層として、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体等からなる電子輸送層、発光層、TPD等からなる正孔輸送層及び上部電極(陽極)を抵抗加熱蒸着法又はイオンビームスパッタ法等の薄膜形成方法によって順次積層することによって作製することが可能である。なお、有機EL素子の層構造、又は材料は表示素子として機能するものであれば特に限定されるものではない。また、本発明による固体封止方法はいかなる構造の有機EL素子であっても適用可能である。
パッシベーション膜は、有機EL素子を覆うように形成される。パッシベーション膜は、窒化ケイ素、酸化ケイ素などの無機材料を蒸着やスパッタなどの方法によって形成することが可能である。パッシベーション膜は、有機EL素子へ水分やイオン性不純物等が浸入するのを防止するために設けられる。パッシベーション膜の厚さは、10nm〜100μmの範囲が好ましく、100nm〜10μmの範囲とすることがより好ましい。
パッシベーション膜は、成膜法にもよるが、一般にピンホールが存在する不完全な膜であるか、機械的強度が弱い膜であることが多い。そのため、固体封止方法では、パッシベーション膜の上にさらに接着剤を塗布し、封止用透明基板を用いて圧着し、接着剤を硬化することによって封止の信頼性を高めている。しかしながら、従来の封止用接着剤による封止は、耐湿性に劣り、封止用透明基板の剥離および接着界面からの水分の浸入が生じることがあった。また、パッシベーション膜のピンホール部から水分とともに極性またはイオン性の不純物が素子部に浸入し、素子部の劣化を引き起こすことがあった。一方、本発明による固体封止方法による封止では、イオン性硬化剤等の有機EL素子の劣化を引き起こす成分を含まない接着剤を使用するため、接着剤による素子の劣化が改善され、長期信頼性の高い有機EL素子を提供することが可能となる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、それらは本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
(実施例1〜6および比較例1〜2)
実施例1〜6および比較例1〜2では、以下の成分から調製される硬化性樹脂組成物について例示する。
成分(A)のアクリレート:ビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:EA1020、新中村化学社製)
成分(B)のエポキシ樹脂:ノボラックフェノール型エポキシ樹脂(商品名:エピコート152、ジャパンエポキシレジン社製)、
成分(C)のラジカル重合開始剤:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーオクタO」、日本油脂社製)
上記各成分を表1に示した割合で配合し、それぞれ実施例1〜3及び比較例1〜5の配合を有する硬化性樹脂組成物を調製し、それぞれの樹脂組成物の接着性について評価した。
接着性の評価は、硬化性樹脂組成物をガラス基板に塗布し、次いで100℃、1時間の低温硬化条件下において、組成物を硬化させ、ガラス基板を接着して得られるサンプルのせん断接着力を測定することによって評価した。その結果を表1に示す。
次に、それぞれの硬化性樹脂組成物を封止用接着剤として使用して、有機EL素子の固体封止法による封止を検討した。先ず、有機EL素子として、ガラス基板(コーニング社製、#1737)上に、陰極(Al−Li合金)/発光層(Alq)/正孔輸送層(α−NPD)/正孔注入層(銅フタロシアニン)/陽極(ITO)を有する素子を作製し、引き続き、有機EL素子を覆うようにパッシベーション膜(SiO)を形成した。次に、パッシベーション膜の上に、実施例1〜6および比較例1〜2による硬化性樹脂組成物をそれぞれ塗布し、その上に封止用透明基板としてガラス基板(コーニング社製、#1737)を設けて圧着し、100℃、30分の硬化条件下で硬化性樹脂組成物を硬化させた。
上述のような手順に従い封止した有機EL素子について点灯試験を行い、発光部におけるダークスポット(非発光部)の割合(%)を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2006183002
表1から分かるように、成分(A)、(B)および(C)を含む本発明による樹脂組成物は100℃、1時間の硬化条件下で硬化し接着力を発現させることが可能であった。一方、成分(A)および(B)のいずれかが欠けた組成物では、100℃、1時間の硬化条件下では硬化が生じないか、硬化しても初期接着力として十分ではなく、耐湿性に劣る結果となった。
また、本発明による組成物を用いて封止した有機EL素子の点灯試験では、概ね良好な結果となった。
(実施例7〜9)
実施例7〜9では、以下の成分から調製される硬化性樹脂組成物について例示する。
成分(A)のアクリレート:ビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:EA1020、新中村化学社製)
成分(B)のエポキシ樹脂:ノボラックフェノール型エポキシ樹脂(商品名:エピコート152、ジャパンエポキシレジン社製)
成分(C)のラジカル重合開始剤:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーオクタO」、日本油脂社製)
光ラジカル開始剤:1−ヒドロキシシクロへキシル−フェニルケトン(商品名「IRGACURE 184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM−403」、信越化学社製)
シラン変性エポキシ樹脂:シラン変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「コンポセランE201」、荒川化学社製)
上記各成分を表2に示した割合で配合し、それぞれ実施例7〜9の配合を有する硬化性樹脂組成物を調製した。次いで、実施例1〜6及び比較例1〜2と同様にして、それぞれの組成物の接着性、及びそれら組成物を用いて封止した有機EL素子について評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2006183002
表2から分かるように、いずれの組成物についても、約200kgf/cmの十分に高い初期接着力が得られた。また、それら組成物を用いて封止した有機EL素子の点灯試験では、初期点灯時および空気中保存360時間後のいずれにおいてもダークスポットの発生は確認できなかった。また、60℃、90%、100時間の耐湿試験後であっても、良好な結果となった。特に、組成物にシランカップリング剤を含む実施例8、及びシラン変性エポキシ樹脂を含む実施例9では、耐湿試験後であってもダークスポットの発生がなかった。なお、実施例8および9では、上記耐湿試験後のせん断接着力についても大幅な改善が見られた。
(実施例10〜15)
実施例10〜15では、以下の成分から調製される硬化性樹脂組成物について例示する。
成分(A)のアクリレート:ビスフェノールF型エポキシアクリレート(商品名:KAYARAD R−9136、日本化薬社製);1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(商品名:EA−5521、新中村化学社製)
成分(B)のエポキシ樹脂:ノボラックフェノール型エポキシ樹脂(商品名:エピコート152、ジャパンエポキシレジン社製)
成分(C)のラジカル重合開始剤:1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名「パーオクタO」、日本油脂社製)
光ラジカル開始剤:1−ヒドロキシシクロへキシル−フェニルケトン(商品名「IRGACURE 184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM−403」、信越化学社製)
シラン変性エポキシ樹脂:シラン変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名「コンポセランE201」、荒川化学社製)
上記各成分を表3に示した割合で配合し、それぞれ実施例10〜15の配合を有する硬化性樹脂組成物を調製した。次いで、実施例1〜6及び比較例1〜2と同様にして、それぞれの組成物の接着性、及びそれら組成物を用いて封止した有機EL素子について評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2006183002
表3から分かるように、本発明によるいずれの組成物についても、高い初期接着力が得られた。また、各組成物を用いて封止した有機EL素子の点灯試験についても、初期および空気中360時間後の点灯時のいずれにおいてもダークスポットは確認されなかった。特に、実施例11、12、14および15の組成物では、60℃および90%の湿度下、100時間後に実施した点灯試験でさえもダークスポットの発生は確認できなかった。
以上、本発明による硬化性樹脂組成物を有機EL素子の封止用接着剤に適用した場合について例示したが、本発明による組成物はそれらの用途に限定されるものではなく、それらを液晶、プラズマといった各種ディスプレイおよび半導体などの各種素子に適用することも可能である。
代表的な硬化性樹脂組成物の硬化反応に関するDSC測定の結果を示すチャートである。 本発明による固定封止方法によって封止した有機EL素子の一例を示す模式的断面図である。
符号の説明
1 基板
2 下部電極
3 有機EL層
4 上部電極
5 パッシベーション膜
6 封止用接着剤(硬化性樹脂組成物)
7 封止用透明基板

Claims (9)

  1. (A)分子中に1個以上の水酸基と2個以上のエチレン性二重結合とを有するアクリレート、
    (B)分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂、および
    (C)熱ラジカル重合開始剤
    を含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  2. 前記硬化性樹脂組成物において、(A):(B)の配合比が60:40〜95:5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記(C)熱ラジカル重合開始剤の配合比が、((A)+(B))100重量部に対して0.05〜5重量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(A)のアクリレートが、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールF型エポキシアクリレート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジプロピレングリコールジグリシジルジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸ジアクリレート、フェノールノボラック型エポキシアクリレート、およびクレゾールノボラック型エポキシアクリレート、からなる群より選択される1種以上のアクリレートを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 前記(A)アクリレートが、ビスフェノールA型エポキシアクリレートおよびビスフェノールF型エポキシアクリレートの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(C)熱ラジカル重合開始剤が、有機過酸化物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  7. シランカップリング剤またはシラン変性エポキシ樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を含むことを特徴とする有機EL素子の封止用接着剤。
  9. 有機EL素子の固体封止方法であって、
    基板上に形成された有機EL素子上にパッシベーション膜を形成する工程、
    前記パッシベーション膜の上に請求項8に記載の封止用接着剤を塗布し、次いで封止用透明基板を設ける工程、および
    前記封止用接着剤を硬化させる工程
    を有することを特徴とする固体封止方法。
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